特許第6121309号(P6121309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6121309チャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121309
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】チャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システム
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20170417BHJP
   G01F 23/288 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   C10J3/46 K
   G01F23/288
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-232439(P2013-232439)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-93889(P2015-93889A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2015年11月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 恭行
(72)【発明者】
【氏名】小山 智規
(72)【発明者】
【氏名】早田 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸治
(72)【発明者】
【氏名】中山 尚人
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/024827(WO,A1)
【文献】 特開2007−271477(JP,A)
【文献】 特開平09−166472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/46
G01F 23/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたチャーをガス化炉側へ供給するチャー供給ホッパ本体と、
チャー供給ホッパ本体の側壁から挿入され、互いに鉛直軸方向に整列して設けられた2以上の鞘管と、
一の前記鞘管内に設けられ、前記チャー供給ホッパ本体内部にγ線を照射する線源部と、
他の前記鞘管内に設けられ、照射された前記γ線を検出するγ線検出器と、を有し、
各前記鞘管の横断面は、上端に頂角を有する先細り部を備えた形状とされていることを特徴とするチャー供給ホッパ。
【請求項2】
水平面に対して前記先細り部の側面がなす角は、前記チャーの安息角以上であることを特徴とする請求項1に記載のチャー供給ホッパ。
【請求項3】
分離されたチャーをガス化炉側へ供給するチャー供給ホッパ本体と、
チャー供給ホッパ本体の側壁から挿入され、互いに鉛直軸方向に整列して設けられた2以上の鞘管と、
一の前記鞘管内に設けられ、前記チャー供給ホッパ本体内部にγ線を照射する線源部と、
他の前記鞘管内に設けられ、照射された前記γ線を検出するγ線検出器と、を有し、
前記鞘管は、中心軸回りに回転可能とされていることを特徴とするチャー供給ホッパ。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれかに記載のチャー供給ホッパを備えることを特徴とするチャー回収装置。
【請求項5】
請求項に記載のチャー回収装置を備えることを特徴とするガス化炉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムに関し、より具体的にはチャーの正確な計測が可能なチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素質原料のガス化設備は、炭素質原料を酸素又は水蒸気などを含むガス化剤によりCO,H2等を主成分とするガスに転換する設備である。この炭素質原料のガス化設備は、一般的に、炭素質原料供給装置、ガス化炉、チャー回収装置で構成されている。炭素質原料は窒素などの搬送ガスにより、ガス化炉に供給されると共に、ガス化剤(空気、酸素富化空気、酸素、水蒸気など)が供給され、ガス化炉で炭素質原料が燃焼ガス化されて生成ガス(可燃性ガス)が生成される。そして、この生成ガスは、チャー回収装置にて、炭素含質原料の未反応分(チャー)が除去される。
【0003】
上述した炭素質原料のガス化設備におけるチャー回収装置は、ガス化炉で生成された生成ガスから、複数段の集塵装置を用いて含有するチャーを除去している。そして、回収したチャーは、チャー供給装置により、所定量ずつガス化炉に戻している。チャーの供給装置としては、チャー供給ホッパが設置されている。この回収したチャーをガス化炉へ再投入にするに当たり、チャーの回収量とチャーの供給量とを略バランスするように運転制御する必要があり、そのためには保有チャー量を正確に把握することが重要である。
例えば、特許文献1には、鞘管内部に設けられた線源部およびγ線検出器を用いてホッパ内部の容積(レベル)を計測することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−57048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、線源部およびγ線検出器を内部に有する鞘管が円筒形状であるため、鞘管にチャーが堆積するという問題があった。
チャー供給ホッパに貯蔵されたチャーの量が、該当する鞘管の上方から下方へ移動した場合に、鞘管上部にチャーが堆積する場合がある。この時に、実際はチャーの量が少ないにもかかわらず鞘管上部までチャーが貯蔵されていると誤って計測されるなど、鞘管上部に堆積したチャーが正確な容積計測を阻害する。これにより、保有チャー量の正しい把握ができず、チャーの定量供給が行えなくなり、安定運転が困難になる。ひいてはガス化炉の停止につながることもあり得る。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、チャーの正確な計測が可能なチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムは以下の手段を採用する。
分離されたチャーをガス化炉側へ供給するチャー供給ホッパ本体と、チャー供給ホッパ本体の側壁から挿入され、互いに鉛直軸方向に整列して設けられた2以上の鞘管と、一の前記鞘管内に設けられ、前記チャー供給ホッパ本体内部にγ線を照射する線源部と、他の前記鞘管内に設けられ、照射された前記γ線を検出するγ線検出器と、を有し、各前記鞘管の横断面は、上端に頂角を有する先細り部を備えた形状とされていることを特徴とするチャー供給ホッパを採用する。
【0008】
鞘管には、チャー供給ホッパ内の紛体層レベルを検知するためレベル計としてのγ線を出射する線源を有する線源部と、γ線を検出するγ線検出器が各々設置されている。線源部からγ線検出器に向かってγ線が出射され、γ線がγ線検出器に入ると電気信号となって検出される。そして、チャーの量に応じたγ線の透過による密度差を用いてチャーの紛体層レベルを計測する。
【0009】
チャー供給ホッパ内に堆積されたチャーの量が減少し、堆積したチャーの上面が該当する鞘管の上方から下方へ移動した場合に、鞘管上部にチャーが残り堆積する場合がある。この時に、実際はチャーの量が少ないにもかかわらず鞘管上部までチャーが貯蔵されていると誤って計測されるなど、チャー供給ホッパ内に堆積したチャーが正確な容積計測を阻害する。これにより、保有チャー量の正しい把握ができず、チャーの定量供給が行えなくなり、安定運転が困難になる。ひいてはガス化炉の停止につながることもあり得る。
そこで、鞘管の横断面を、上端に頂角を有する先細り部を備えた形状とした。これにより、鞘管の上部に位置するチャーは、鞘管の上端に頂角が設けられているため鞘管の上端に留まることができず、また先細り形状とされているので、チャーは鞘管上に留まることができずに滑り落ちる。このように、鞘管の先細り部にチャーが堆積することを未然に防ぐことができるので、チャーにより計測が遮られることなく正確な容積計測が行えるため、安定した運転の継続が可能となる。
【0010】
上記発明において、水平面に対して前記先細り部の側面がなす角は、前記チャーの安息角以上であるとしてもよい。
【0011】
本発明によれば、水平面に対して先細り部の側面がなす角が、チャーを堆積させた際の安息角以上の角度であることから、先細り部の側面にチャーが堆積するのを防ぐことができる。よって、正確な容積計測が行え、安定した運転の継続が可能となる。
【0016】
本発明は、分離されたチャーをガス化炉側へ供給するチャー供給ホッパ本体と、チャー供給ホッパ本体の側壁から挿入され、互いに鉛直軸方向に整列して設けられた2以上の鞘管と、一の前記鞘管内に設けられ、前記チャー供給ホッパ本体内部にγ線を照射する線源部と、他の前記鞘管内に設けられ、照射された前記γ線を検出するγ線検出器と、を有し、前記鞘管は、中心軸回りに回転可能とされていることを特徴とするチャー供給ホッパを採用する。
【0017】
本発明によれば、鞘管が中心軸を中心とした円周方向に回転可能であることから、鞘管の上部にチャーが堆積しても鞘管を回転させることにより上部に堆積したチャーを滑り落とすことで除去することができ、鞘管の上部にチャーが堆積するのを防ぐことができる。よって、正確な容積計測が行え、安定した運転の継続が可能となる。
また、たとえチャーが堆積してしまったとしても、鞘管の回転によりチャーを取り除くことが可能である。
【0018】
本発明は、前項のいずれかに記載のチャー供給ホッパを備えることを特徴とするチャー回収装置を採用する。
【0019】
本発明は、前項に記載のチャー回収装置を備えることを特徴とするガス化炉システムを採用する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、線源部およびγ線検出器を内部に有する鞘管へのチャー堆積を防止するので、保有チャー量の正しい把握ができ安定した運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態にかかるチャー供給ホッパを備えたガス化炉システムを示した概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかるチャー供給ホッパを示した縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態にかかる線源部を有する鞘管の横断面図である。
図4】本発明の第1実施形態にかかるγ線検出器を有する鞘管の先端部を示した縦断面図である。
図5】横断面が円筒形状とされた鞘管の上部にチャーが堆積した状態を示した横断面図である。
図6】本発明の第1実施形態にかかる鞘管の横断面を示し、(a)は先細り部が垂直な状態を示した横断面図であり、(b)は(a)の変形例であって先細り部が偏心した状態を示した横断面図である。
図7】本発明の第1参考実施形態にかかる鞘管および近傍部の部分拡大縦断面図である。
図8】本発明の第1参考実施形態の変形例にかかる鞘管および近傍部の部分拡大縦断面図である。
図9】本発明の第実施形態にかかる鞘管および近傍部の部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムの概略構成が示されている。
図1に示されるように、ガス化炉システム10は、原料炭である石炭等が微粉化された微粉炭31を供給する微粉炭供給設備30と、微粉炭31を供給してガス化し生成ガス(可燃性ガス)11Aを生成する石炭ガス化炉14と、ガス化ガスである生成ガス11A中のチャー55を回収するチャー回収装置50と、チャー55が分離された生成ガス11Bを精製するガス精製装置16と、精製された燃料ガス11Cを燃焼させてタービンを駆動するガスタービン設備17と、前記ガスタービン設備17からのタービン排ガス81を導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)20で生成した蒸気82により運転される蒸気タービン(ST)設備18と、前記ガスタービン設備17及び/又は前記蒸気タービン設備18と連結された発電機19とを主な構成として備えている。
【0023】
本実施形態に係る微粉炭供給設備30は、図示しない原炭バンカからの原炭(例えば石炭、褐炭等)を粉砕し、微粉炭31とされたものを石炭ガス化炉14に微粉炭バンカ32より供給している。
【0024】
石炭ガス化炉14へは、微粉炭バンカ32から供給される微粉炭31が供給可能である。
【0025】
すなわち、石炭ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気37が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気から窒素(N2)と酸素(O2)を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43が石炭ガス化炉14に接続されている。また、第2窒素供給ライン45も石炭ガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45に、チャー回収装置50から回収されたチャー55をチャー供給ホッパ53から戻すチャー排出ライン56が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素(N)は、微粉炭31やチャー55の搬送用ガスとして利用され、酸素(O)は、酸化剤として利用される。
【0026】
ここで、本実施形態では、チャー55を石炭ガス化炉14に供給しているが、チャー回収装置50で回収されたチャー55を微粉炭31に混合して石炭ガス化炉14内に供給するようにしてもよい。
【0027】
石炭ガス化炉14は、例えば噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された微粉炭31、チャー55、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、一酸化炭素を主成分とする生成ガス11Aを発生させ、この生成ガス11Aをガス化剤としてガス化反応を生じさせている。なお、石炭ガス化炉14は、微粉炭31の混入した溶融スラグ等の異物を排出する。
本実施形態では、石炭ガス化炉14として噴流床ガス化炉を例示しているが、本発明は、これに限定されず、例えば流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉14は、チャー回収装置50に向けて生成ガス11Aのガス生成ライン49が設けられており、チャー55を含む生成ガス11Aが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を別途設けることで、生成ガス11Aを所定温度まで冷却してからチャー回収装置50に供給するようにしてもよい。
【0028】
チャー回収装置50は、生成ガス11A中の微粉炭31の未反応分のチャー55を分離する分離手段51と、分離されたチャー55を回収するチャービン52と、回収されたチャー55をチャー供給ホッパ53に供給するチャー排出ライン54と、前記チャー供給ホッパ53よりチャー55を石炭ガス化炉14側へ搬送するチャー排出ライン56とを有する。
【0029】
分離手段51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉14で生成された生成ガス11Aに含有するチャー55を分離することができる。そして、チャー55が分離された生成ガス11Bは、ガス排出ライン59を通してガス精製装置16に送られる。チャー供給ホッパ53は、分離手段51で生成ガス11Aから分離されたチャー55を貯留するものである。なお、チャー供給ホッパ53からのチャー排出ライン56は、第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0030】
ガス精製装置16は、チャー回収装置50によりチャー55が分離された生成ガス11Bに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、チャー55が分離された生成ガス11Bを精製して燃料ガス11Cを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャー55が分離された生成ガス11B中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、例えばアミン吸収液等によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0031】
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17には、圧縮機61から石炭ガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気37とガス精製装置16から供給された燃料ガス80とを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガス80により回転軸を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0032】
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気と高温の排ガス81との間で熱交換を行うことで、蒸気82を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20には、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気82を供給する蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気82によりタービン69が駆動し、回転軸を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0033】
そして、排熱回収ボイラ20で熱が回収された排ガス83は、煙突75から大気へ放出される。
【0034】
ここで、本実施形態のガス化炉システム10の作動について説明する。
【0035】
本実施形態のガス化炉システム10において、微粉炭バンカ32に貯留された微粉炭31は、空気分離装置42から供給される窒素により石炭ガス化炉14に供給される。また、後述するチャー回収装置50で回収されたチャー55が、空気分離装置42から供給される窒素により石炭ガス化炉14に供給される。更に、後述するガスタービン設備17から抽気された圧縮空気37が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通して石炭ガス化炉14に供給される。
【0036】
石炭ガス化炉14では、供給された微粉炭31及びチャー55が圧縮空気(酸素)37により燃焼し、微粉炭31及びチャー55がガス化することで、二酸化炭素を主成分とする生成ガス11Aを生成することができる。そして、この生成ガス11Aは、石炭ガス化炉14からガス生成ライン49を通して排出され、チャー回収装置50に送られる。
【0037】
このチャー回収装置50にて、生成ガス11Aはまず分離手段51に供給され、生成ガス11Aに含有するチャー55が分離される。そして、チャー55が分離された生成ガス11Bは、ガス排出ライン59を通してガス精製装置16に送られる。一方、生成ガス11Aから分離した微粒のチャー55は、チャービン52を介してチャー供給ホッパ53に堆積され、石炭ガス化炉14に戻されてリサイクルされる。
【0038】
チャー回収装置50によりチャー55が分離された生成ガス11Bは、ガス精製装置16にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガス11Cが製造される。そして、ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気37を生成して燃焼器62に供給する。この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気37と、ガス精製装置16から供給される燃料ガス11Cとを混合し、燃焼することで燃焼ガス80を生成し、この燃焼ガス80によりタービン63を駆動することで、回転軸を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0039】
そして、ガスタービン設備17におけるタービン63から排出された排ガス81は、排熱回収ボイラ20にて、空気と熱交換を行うことで蒸気82を生成し、この生成した蒸気82を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気82によりタービン69を駆動することで、回転軸を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0040】
その後、排熱回収ボイラ20から排出された排ガス83が煙突75から大気へ放出される。
【0041】
図2には、本実施形態に係るチャー供給ホッパの断面図が示されている。
図2に示されるように、チャー供給ホッパ53は、分離されたチャー55を石炭ガス化炉14側へ供給するチャー供給ホッパ本体53aと、チャー供給ホッパ本体53aの側壁から挿入される第1鞘管121と、この第1鞘管121内に設けられ、チャー供給ホッパ本体53aの内部にγ線を照射する線源部101と、第1鞘管121の鉛直軸方向の上下方向に設けられ、チャー供給ホッパ本体53aの側壁から挿入される第2鞘管122と、この第2鞘管122内に設けられ、照射されたγ線を検出するγ線検出器102とを有するものである。
なお、第1及び第2鞘管121、122はチャー供給ホッパ本体53aの側壁に設けた管台123に各々設置されている。
【0042】
図3に示すように、第1鞘管121内には、線源101aを有する線源部101が挿入されている。
図4に示すように、第2鞘管122内には、検出部102aを有するγ線検出器102が挿入されている。
【0043】
チャー供給ホッパ本体53a内の鉛直軸方向に、複数個の圧力を遮蔽する第1及び第2鞘管121、122を設置し、鞘管121、122に粉体層レベルを検知するためのレベル計としてγ線を出射する線源101aを有する線源部101と、γ線を検出する検出部102aを有するγ線検出器102とを各々設置した。
【0044】
線源部101とγ線検出器102とは、チャー55のレベル範囲(高さ)に応じて、複数設置するようにしてもよい。
すなわち、レベル範囲が小さい場合は、線源部101とγ検出器102との1組の構成でもよい。
レベル範囲が大きい場合は、図3に示すように上下に放出孔を有する線源部101を設置する(この場合、線源101aを中心として鉛直軸方向だけ開口する放射孔101bを形成する)、または、図2に示すようにγ線検出器102と線源部(上下に放出孔有)101とγ線検出器102との構成の上下方向にさらに線源部101を設けるなど複数の線源部101とγ検出器102を設ける、などとしてもよい。
【0045】
チャー供給ホッパ本体53aの容器側面における上下方向に、管台123を複数個設置し、この管台123に第1及び第2鞘管121、122を設け、鞘管121、122内部に設けた線源部101とγ線検出器102とからなるレベル計を複数個設置することにより、チャー55のレベルを非接触で計測が可能となる。
【0046】
線源部101からγ線検出器102に向かってγ線が出射され、γ線がγ線検出器102に入ると電気信号となって検出される。この時、線源部101とγ線検出器102との間にチャー55が存在する場合は、その量に応じてγ線の透過の密度が異なる。このチャー55の量に応じたγ線の透過による密度差を用いてチャー55の紛体層レベルを計測する。
【0047】
ここで、例えば第1鞘管121が円筒形状である場合、チャー供給ホッパ53に貯蔵されたチャー55の量が、該当する第1鞘管121の上方から下方へ移動した場合に、図5に示すように第1鞘管121上部にチャー55が堆積する場合がある。この時に、実際はチャー55の量が少ないにもかかわらず第1鞘管121上部までチャー55が貯蔵されていると誤って計測されるなど、堆積したチャー55が正確な容積計測を阻害する。これにより、保有チャー量の正しい把握ができず、チャー55の定量供給が行えなくなり、安定運転が困難になる。ひいてはガス化炉システム10の停止につながることもあり得る。
【0048】
そこで、本実施形態では、鞘管121、122の横断面を、図6に示すような上端に頂角を有する先細り部200を備えた形状とした。
より詳細には、鞘管121、122は、仮想の円筒があるとして、円筒の円周方向に二つの接平面(図6において先細り部200の側面201)を有し、この接平面の交線を一辺とし、この交線が円筒の頂点の上方にあるような先細り部200と、先に示した仮想の円筒とを結合した形状である。
図6(a)は、第1鞘管121の先細り部200の頂角が、第1鞘管121が円筒であった場合の中心の鉛直軸方向にある場合、すなわち先細り部200が垂直な状態である場合であり、図6(b)は、図6(a)の変形例であり、第1鞘管121の先細り部の頂角が、第1鞘管121が円筒であった場合の中心の鉛直軸方向以外にある場合、すなわち偏心している場合である。
水平面に対して、図6(a)及び(b)の先細り部200の側面201がなす角β、β、β、βは、安息角以上であり、先細り部200の頂点は第1鞘管121が円筒であった場合の円筒の頂点よりも上方にある。
また、図6(a)及び(b)の形状は、少なくとも鞘管121、122のチャー供給ホッパ53内に挿入された部分に連続して設けられている。
第1鞘管121が上記のような形状であることにより、第1鞘管121の上部に位置するチャー55は、第1鞘管121の上端に頂角が設けられているため第1鞘管121の上端に留まることができず、また先細り形状とされているので、チャー55は第1鞘管121上に留まることができずに滑り落ちる。
【0049】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムによれば、鞘管121、122の先細り部200にチャー55が堆積することを未然に防ぐことができることから、チャー55により計測が遮られることなく正確な容積計測が行えるため、安定した運転の継続が可能となる。
また、水平面に対して先細り部200の側面201がなす角が、チャー55を堆積させた際の安息角以上の角度であることから、先細り部200の側面201にチャー55が堆積するのを防ぐことができる。
本実施形態では、第1鞘管121に限定して説明したが、第1鞘管121は第2鞘管122であってもよい。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第1参考実施形態について、図7を用いて説明する。
上記した第1実施形態では、チャー55の堆積を防ぐために鞘管121、122が上端に頂角を有する先細り部を備えた形状であるとしたが、本参考実施形態では、チャー除去部を備えるものである。その他の点については第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0051】
図7には、本参考実施形態に係る鞘管および近傍部の横断面の概略構成図が示されている。
第2鞘管122と管台123との間で、第2鞘管122の円筒の頂点の上方に、ノズル301が設けられている。ノズル301の一端はガス化炉システム10の不活性ガス系統に接続されており、他端の噴射口はチャー供給ホッパ本体53a内部まで延びている。ここで、本参考実施形態では、不活性ガスを窒素(N)とする。
ノズル301からは第2鞘管122の円筒の上部に対して加圧窒素が噴射される。噴射された加圧窒素により、第2鞘管122の上部のチャー55を吹き飛ばす。
【0052】
〔第1参考実施形態の変形例〕
以下、本発明の第1参考実施形態の変形例について、図8を用いて説明する。
上記した第1参考実施形態では、チャー除去部であるノズル301が第2鞘管122と管台123との間で、チャー供給ホッパ本体53a内部まで延びているとしたが、本変形例では、ノズル301の位置が相違する。具体的には図8に示すように、ノズル301は管台123の基端部123a、すなわちチャー供給ホッパ53内部側とは逆の端部に噴射口を備えるものである。
また、第2鞘管122の円周上には、円周から立ち上がるように2つのガイド302が平行に並んで設けられている。これら2つのガイド302は、その間にノズル301の噴射口から噴射される不活性ガスをチャー供給ホッパ本体53a内部へ導く流路を形成するように設けられる。また、各ガイド302は、管台123の基端部123aからチャー供給ホッパ本体53aまでの間で、第2鞘管122の中心軸に沿う方向に設置される。
ノズル301からは、第2鞘管122の円筒の上部に対して窒素などの不活性ガスが噴射される。噴射された不活性ガスは、チャー供給ホッパ本体53a内部までガイド302間に沿って流れ、第2鞘管122の上部のチャー55を吹き飛ばす。
【0053】
以上、説明してきたように、本参考実施形態および変形例に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムによれば、ノズル301から噴射される不活性ガスにより鞘管121、122の上部に堆積するチャー55を除去できることから、鞘管121、122にチャー55が堆積するのを防ぐことができる。よって、正確な容積計測が行え、安定した運転の継続が可能となる。
また、たとえチャー55が堆積してしまったとしても、ノズル301から噴射される不活性ガスによりチャー55を取り除くことが可能である。
【0054】
また、ノズル301からガス化炉システム10で使用される不活性ガスが噴射されることから、鞘管121、122に堆積するチャー55を不活性ガスの噴射により除去することができる。また、ガス化炉システム10で使用される不活性ガス、例えば微粉炭31やチャー55の搬送用ガスとして用いられる窒素を利用することから、新たに噴射用ガスの設備を備える必要がなく容易に導入可能である。また、チャー供給ホッパ53内部はチャー55の安定供給のために内部が加圧された状態であることが望ましいが、不活性ガス、特に窒素が内部に噴射されることでチャー55の堆積防止と同時に加圧が可能である。
また、本変形例に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムによれば、第2鞘管122と管台123との間が狭くノズル301を設けることができずに管台123の基端部123aに設ける場合であっても、第2鞘管122にガイド302を設けることにより、第1参考実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本参考実施形態では、第2鞘管122に限定して説明したが、第2鞘管122は第1鞘管121であってもよい。
【0055】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
上記した第1参考実施形態では、チャー55の堆積を防ぐために鞘管121、122上方に不活性ガスを噴射するノズル301を設けたが、本実施形態では、鞘管121、122を回転可能な構成とするものである。その他の点については第1参考実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0056】
例えば、鞘管121、122が円筒形状である場合、チャー供給ホッパ53に貯蔵されたチャー55の量が、該当する鞘管121、122の上方から下方へ移動した場合に、図5に示すようにチャー55が堆積する場合がある。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、第2鞘管122を中心軸A回りに回転可能であるとした。
常に回転させる、定期的に回転させる、または、計測前に回転させるなどの方法により、第2鞘管122にチャー55が堆積せず滑り落ちる。回転については、操作者が手動で回転させる、及び、回転のための装置及び制御装置を別途設ける、など、その手段は問わない。
【0057】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るチャー供給ホッパ、チャー回収装置及びガス化炉システムによれば、鞘管121、122が中心軸A回りに回転可能であることから、鞘管121、122の上部にチャー55が堆積しても回転させることにより上部に堆積したチャーを滑り落とすことで除去することができ、鞘管121、122の上部にチャー55が堆積するのを防ぐことができる。よって、正確な容積計測が行え、安定した運転の継続が可能となる。
また、たとえチャー55が堆積してしまったとしても、鞘管121、122の回転によりチャー55を取り除くことが可能である。
本実施形態では、第2鞘管122に限定して説明したが、第2鞘管122は第1鞘管121であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 ガス化炉システム
14 石炭ガス化炉
50 チャー回収装置
53 チャー供給ホッパ
53a チャー供給ホッパ本体
55 チャー
101 線源部
102 γ線検出器
121 第1鞘管
122 第2鞘管
123 管台
301 ノズル(チャー除去手段)
302 ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9