(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め、複数の印刷対象ジョブデータに対して、前記インクドロップ数分布算出手段、前記画素数判定手段、前記最大インクドロップ数決定手段の処理を施した後、前記再生成手段による再生成処理を行うのに要する時間に対して、画像ページのページ数と印刷用紙のサイズと前記印刷解像度に応じて分類することで、前記予測時間テーブルを生成する予測時間テーブル生成手段を備え、
前記記憶手段には、前記予測時間テーブル生成手段により生成された前記予測時間テーブルが記憶されることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチドロップ方式のインクジェット印刷装置の場合には、以下のような問題があった。マルチドロップ方式のインクジェット印刷装置の場合には、インクの飛翔状態等を考慮し、着弾位置のずれや、ミストなどによる汚れを抑制するように、インクドロップの吐出速度が所定値に決められる。また、用紙に対するインクのにじみを考慮して最適な印刷濃度となるように、同一位置に吐出できるインクドロップ数の最大値が設定される。
【0005】
このため、設定される最大インクドロップ数が多いほど、同一位置への吐出を完了するまでに時間がかかるため、インクジェットヘッドの下方を印刷用紙が搬送される速度(ヘッド下搬送速度)を遅くする必要がある。
【0006】
この結果、予め最大インクドロップ数が設定されている場合、印刷ジョブによっては、最大インクドロップ数を全くまたはほとんど用いない状態であるにもかかわらず、最大インクドロップ数に対応するヘッド下搬送速度で、印刷用紙が搬送されてしまい、印刷ジョブの処理が遅くなってしまう問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を鑑みてなされたものであり、マルチドロップ方式のインクジェット印刷装置において、印刷ジョブにおいて、最大インクドロップ数を全くまたはほとんど用いない状態である場合に、最大インクドロップ数を変更することで、印刷ジョブの処理時間を早めることができるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、印刷解像度に応じて、画素毎にインクドロップ数が記録された画像ページを含む印刷対象画像データを、ページ毎及び色成分毎に生成する生成手段と、前記印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、印刷用紙に基づいて決定される最大インクドロップ数を上限として、前記各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することで、印刷用紙に印刷を行う印刷手段と、前記最大インクドロップ数に基づいて、前記印刷手段による印刷処理の際における印刷用紙の搬送速度を決定する搬送速度決定手段と、を備えるインクジェット印刷装置であって、前記生成手段により印刷対象画像データを生成する際に、インクドロップ数の分布を、ページ毎及び色成分毎に算出するインクドロップ数分布算出手段と、前記インクドロップ数分布算出手段により算出された全ページのインクドロップ数の分布に基づいて、前記最大インクドロップ数からインクドロップ数の多い順に、前記インクドロップ数に対応する画素数が全色成分及び全ページにおいて0であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が0でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、新たな最大インクドロップ数として、決定する最大インクドロップ数決定手段と、前記新たな最大インクドロップ数に基づいて、前記印刷手段、前記搬送速度決定手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記発明において、前記生成手段は、色成分に応じて異なる印刷解像度に基づいて、前記印刷対象画像データを生成し、前記印刷手段は、前記印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、前記印刷用紙及び印刷解像度に基づいて決定される最大のインクドロップ数を上限として、前記各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することを色成分毎に行うことで、印刷用紙に印刷を行い、前記搬送速度決定手段は、色成分毎に決定された最大のインクドロップ数のうち、最も大きい最大のインクドロップ数を、前記最大インクドロップ数として、前記印刷手段による印刷処理の際における印刷用紙の搬送速度を決定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明は、印刷解像度に応じて、画素毎にインクドロップ数が記録された画像ページを含む印刷対象画像データを、ページ毎及び色成分毎に生成する生成手段と、前記印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、前記印刷用紙に基づいて決定される第1の最大インクドロップ数を上限として、前記各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することで、印刷用紙に印刷を行う印刷手段と、前記第1の最大インクドロップ数に基づいて、前記印刷手段による印刷処理の際における印刷用紙の搬送速度を決定する搬送速度決定手段と、を備えるインクジェット印刷装置であって、前記生成手段により印刷対象画像データを生成する際に、インクドロップ数の分布を、ページ毎及び色成分毎に算出するインクドロップ数分布算出手段と、前記インクドロップ数分布算出手段により算出された全ページのインクドロップ数の分布に基づいて、前記第1の最大インクドロップ数からインクドロップ数の多い順に、前記インクドロップ数に対応する画素数が全色成分及び全ページにおいて所定閾値以下であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記第1の最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が前記所定閾値以下でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、第2の最大インクドロップ数として、決定する最大インクドロップ数決定手段と、前記第1の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間から、前記第2の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間を差し引いた差分時間を算出する差分時間算出手段と、前記印刷対象画像データ内において、前記第2の最大インクドロップ数より大きいドロップ数であって画素数が所定値以上であるインクドロップ数に対応する画素である振り分け対象画素に対して、前記第2の最大インクドロップ数を対応づけ、前記振り分け対象画素に対応するインクドロップ数と、前記第2の最大インクドロップ数との差分値を、前記振り分け対象画素の周辺の画素に振り分けることで、印刷対象画像データを再生成する再生成手段と、前記再生成手段により印刷対象画像データを再生成するのに要する再生成時間が、前記差分時間算出手段により算出された差分時間より小さいか否かを判定する差分時間判定手段と、前記差分時間判定手段により前記差分時間より小さいと判定された場合に、前記再生成手段による再生成処理を行わせ、前記第2の最大インクドロップ数に基づいて、前記印刷手段、前記搬送速度決定手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、上記発明において、前記生成手段は、色成分に応じて異なる印刷解像度に基づいて、前記印刷対象画像データを生成し、前記印刷手段は、前記印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、前記印刷用紙及び印刷解像度に基づいて決定される最大のインクドロップ数を上限として、前記各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することを色成分毎に行うことで、印刷用紙に印刷を行い、前記搬送速度決定手段は、色成分毎に決定された最大のインクドロップ数のうち、最も大きい最大のインクドロップ数を、前記最大インクドロップ数として、前記印刷手段による印刷処理の際における印刷用紙の搬送速度を決定するようにしてもよい。
【0012】
また、上記発明において、前記印刷対象画像データには、画像ページのページ数と、印刷対象の印刷用紙のサイズと、印刷解像度とが含まれており、画像データのページ数と、印刷用紙のサイズと、印刷解像度に応じた、前記再生成手段により印刷対象画像データを再生成するのに要すると予測される時間を示す予測時間テーブルが記憶された記憶手段を備え、前記差分時間判定手段は、前記予測時間テーブルを参照して、前記印刷対象ジョブデータに含まれるページ数、印刷用紙のサイズ、前記印刷解像度に対応する時間を、前記再生成時間として、決定するようにしてもよい。
【0013】
また、上記発明において、予め、複数の印刷対象ジョブデータに対して、前記インクドロップ数分布算出手段、前記画素数判定手段、前記最大インクドロップ数決定手段の処理を施した後、前記再生成手段による再生成処理を行うのに要する時間に対して、画像ページのページ数と印刷用紙のサイズと前記印刷解像度に応じて分類することで、前記予測時間テーブルを生成する予測時間テーブル生成手段を備え、前記記憶手段には、前記予測時間テーブル生成手段により生成された前記予測時間テーブルが記憶されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、判定手段による判定結果に基づいて、前記判定手段による判定結果に基づいて、最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が0でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、新たな最大インクドロップ数として決定し、新たな最大インクドロップ数に基づいて、印刷手段、搬送速度決定手段を制御する。
【0015】
本発明によれば、以下の作用効果を備える。生成手段、印刷手段、搬送速度決定手段による処理は、全ての印刷ジョブの処理に必要なものである。そして、インクドロップ数分布算出手段による処理は、生成手段の処理の際に行えるので、ほとんど時間がかからない。また、判定手段による処理、最大インクドロップ数決定手段による処理もほとんど時間がかからない。
【0016】
このため、予め最大インクドロップ数が設定されている場合において、印刷対象ジョブデータの全ページにわたって、最初に設定された最大インクドロップ数を全く用いない状態である場合には、最大インクドロップ数を小さくすることで、印刷用紙の搬送速度を上げることができる。この結果、上記搬送速度で、印刷中に印刷用紙を搬送することにより、印刷ジョブの処理の高速化を図ることができる。
【0017】
請求項2、4に記載の発明によれば、色成分に応じて異なる印刷解像度に応じて、前記印刷対象画像データが生成され、色成分に応じて異なる最大のインクドロップ数が設定されているような場合であっても、請求項1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0018】
請求項3、5、6に記載の発明によれば、印刷対象画像データの再生成により、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が所定閾値以下でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、第2の最大インクドロップ数として、決定し、第2の最大インクドロップ数にした領域について、その差分となるインクドロップ数を、その周辺の画素に振り分けることになる。この結果、最大インクドロップ数を変更することに基づく画質の劣化を抑制できる。
【0019】
また、印刷対象画像データを再生成する処理は、最大インクドロップ数を変更する場合にのみ必要であり、生成手段等の処理とは別個に行われる。そして、印刷対象画像データを再生成する時間は、複数の画像データのすべての画素単位での処理となるため、大きいといえる。
【0020】
このため、再生成手段により印刷対象画像データを再生成するのに要する再生成時間が、差分時間算出手段により算出された差分時間より小さいと判定された場合に、再生成処理を行わせ、前記第2の最大インクドロップ数に基づいて、前記印刷手段、前記決定手段を制御する。
【0021】
この結果、最大インクドロップ数を低減して印刷対象画像データを再生成した場合、もとの最大インクドロップ数で印刷ジョブの処理をするよりも印刷ジョブの処理が早くなるようにしている。これにより、印刷ジョブの処理の高速化を図るとともに、最大インクドロップ数を変更にしたことに基づく画質の劣化を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本実施形態の印刷システムについて詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の印刷システム1の全体構成図である。
(第1の実施形態)
[印刷システムの構成]
【0024】
図1に示すように、印刷システム1は、ユーザインタフェース等の基本操作を行うためのオペレーションシステムが組み込まれ、各種のソフトウェアの実行が可能な端末装置100と、インクジェット印刷装置200と、これらの間を有線LAN等のネットワークを介して接続する通信経路300とを備える。
【0025】
(端末装置)
端末装置100は、アプリケーション部102とプリンタドライバ部104と入出力部106と端末側通信部108とを備える。アプリケーション部102及びプリンタドライバ部104は、端末装置100にインストールされたプログラムが、CPU等により解読等の処理が行われることにより構成される。
【0026】
アプリケーション部102は、文書、画像等の原稿データを生成するプログラムを備えるものである。アプリケーション部102で生成された原稿データは、プリンタドライバ部104に出力される。
【0027】
プリンタドライバ部104は、印刷操作画面、印刷設定画面等の表示を入出力部106の出力機能に行わせ、入出力部106の入力機能を介してユーザから印刷の設定を受け、印刷に関する設定情報や印刷状態を入出力部106の出力機能を介してユーザに通知する。プリンタドライバ部104は、ユーザによって入力された印刷設定情報と、原稿データに基づいて、印刷ジョブデータ(例えば、PDLデータ)を生成する。
【0028】
入出力部106は、入力機能及び出力機能を備える。入力機能は、キーボード等で構成され、出力機能は、液晶表示モニター等で構成される。入出力部106は、ユーザにより各種のデータの入力を可能とし、この入力データをプリンタドライバ部104又はアプリケーション部102に出力する。また、入出力部106は、プリンタドライバ部104又はアプリケーション部102からの出力結果をユーザに対して通知する
【0029】
端末側通信部108は、プリンタドライバ部104により生成された印刷ジョブデータを通信経路300を介して、インクジェット印刷装置200に転送する。
【0030】
(インクジェット印刷装置)
インクジェット印刷装置200は、後述する印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、印刷用紙に応じて決定される最大インクドロップ数を上限として、各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することで、印刷用紙に印刷を行うものである。ここで、印刷対象画像データ中の画素数は、印刷解像度に応じて決められる。
【0031】
具体的には、インクジェット印刷装置200は、印刷側通信部201と、印刷対象データ生成部202と、搬送部203を駆動する搬送駆動部204と、インクジェットヘッド205を駆動するヘッド駆動部206と、各種の情報を記憶する記憶部207と、各部を制御する制御部208とを備える。
【0032】
本実施形態では、一例として、インクジェットヘッド205がライン型のインクジェットヘッド205の場合について説明する。印刷側通信部21は、通信経路300を介して端末装置100から送信されてきた印刷ジョブデータを受信するものである。
【0033】
記憶部207には、用紙種類と最大インクドロップ数とが対応づけられた第1テーブルと、最大インクドロップ数と、搬送方向の用紙長さ(例えば、A4横方向の長さ、A3横方向の長さ)と、両面・片面を示す面付情報と、用紙の搬送速度(以下、単に搬送速度)とが対応付けられた第2テーブルとが記憶されている。ここで、インクジェット印刷装置200においては、インクの種類に応じて、1ドロップを吐出する速度(または単位時間あたりのインクドロップ数を示す吐出周波数)が決定される。本実施形態では、用いられるインクの種類は固定とし、ドロップ吐出速度は固定とする。例えば、ライン型インクジェットプリンタの場合、印刷用紙の搬送方向に垂直な方向のライン単位おきにインクドロップ数0〜7に応じた吐出動作を行う必要がある。このため、印刷用紙上において搬送方向に沿って所定のラインからその隣のラインに移動する間に、最大インクドロップ数である7インクドロップ数が吐出できるように搬送速度を決める必要がある。
【0034】
また、搬送速度とは、本実施形態では、以下のように定義される。1分間に、給紙を開始してから印刷を行い排紙が終了するまでの印刷枚数を示す単位として、PPM(PAGE PER MINITE)がある。このPPMを用いて、搬送速度を定義すると、例えば、1分間に、給紙を開始してから排紙が終了するまでの印刷枚数が150枚の場合には、150PPMとなる。また、150PPMの搬送速度の場合に、例えば、40枚の印刷用紙に対して給紙を開始してから印刷を行い排紙が終了するまでの印刷ジョブ完了時間は、40×60/150(秒)となる。
【0035】
印刷対象データ生成部202は、印刷ジョブデータに基づいて、インクジェットヘッド205に印刷させるための印刷対象画像データを生成するものである。具体的には、印刷対象データ生成部202は、画像処理部2021を備える。
【0036】
画像処理部2021は、印刷側通信部201が受信した印刷ジョブデータ(PDLデータ)に基づいて、上記印刷解像度のビットマップデータに展開する。例えば、CMYKの色成分の印刷解像度がすべて300DPIの場合には、300DPIに対応する画素数のビットマップデータに展開される。
【0037】
具体的には、画像処理部2021は、画素位置(0,0)において、レッド(以下、R)成分、グリーン(以下、G)成分、ブルー(以下、B)成分に変換した後、シアン(以下、C)成分、マゼンタ(以下、M)成分、イエロー(以下、Y)成分、ブラック(以下、K)成分に変換し、階調数を低減する多値ハーフトーン処理(各成分値0〜255を、各成分値0〜7)を行うことを、すべての画素位置に対して繰り返し行う。これにより、ラスタデータである印刷対象画像データを、ページ毎及び色成分毎に生成する。
【0038】
ここで、印刷対象画像データにおいては、印刷解像度で展開された各画素位置ごとに、C成分値(例えば、0〜7)〜K成分値(例えば、0〜7)が対応づけられている。後述するように、C成分値〜K成分値は、インクジェットヘッド205のC成分吐出ヘッドモジュール〜K成分吐出ヘッドモジュールで吐出するインクドロップ数となる。
【0039】
この際、画像処理部2021は、印刷対象画像データを生成する際に、インクドロップ数の分布を、ページ毎及び色成分毎に算出する(インクドロップ数分布算出処理)。この処理の具体的な説明を以下に示す。
【0040】
画像処理部2021は、画素位置(0,0)において、上述のようにして、C〜K成分値(0〜7)を算出する。この後、画像処理部2021は、例えば、画素位置(0,0)におけるC成分値が6の場合、インクドロップ数6の画素が1と計数する。画像処理部2021は、M成分値〜K成分値に対しても同様の計数処理を行う。そして、画像処理部2021は、全ての画素位置に対して、C〜K成分値(0〜7)を算出後、上述の計数処理を行う。
【0041】
この結果、画像処理部2021は、C〜K成分毎に、インクドロップ数0〜7に対して、画素数がどのくらいかを示すインクドロップ数分布データをページ毎に生成する。
【0042】
制御部208は、インクドロップ数分布データに基づいて、最大インクドロップ数からインクドロップ数の多い順に、インクドロップ数に対応する画素数が全ページにおいて0であるか否かを、全ての色成分について判定する(画素数判定処理)。
【0043】
また、制御部208は、上記の判定結果に基づいて、最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が0でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、新たな最大インクドロップ数として、決定する(最大ドロップ数決定処理)。
【0044】
例えば、
図2において、ページ数1の印刷ジョブデータについて生成されたインクドロップ数分布データ(所定の1つの色成分についてのインクドロップ数分布データ)を一例を3つ示す。ここで、画素比率は、1ページの全画素数に対する各インクドロップ数の画素数の比率を示したものである。ただし、画素比率の代わりに、画素数そのものにしてもよい。
【0045】
(a)においては、最大インクドロップ数7に対して、画素比率が0であるインクドロップ数は、インクドロップ数7であるため、新たな最大インクドロップ数6にできる。一方、(b)、(c)においては、最大インクドロップ数7に対して、画素数が0であるインクドロップ数はないので、新たな最大インクドロップ数は7のままである。
【0046】
なお、(a)において、インクドロップ数7、6に対して、画素比率が0であって、最大インクドロップ数から連続したインクドロップ数は、インクドロップ数7、6であるため、新たな最大インクドロップ数5にできる。一方、(a)において、最大インクドロップ数7、5に対して、画素比率が0であって、最大インクドロップ数から連続したインクドロップ数は、インクドロップ数7だけなので、新たな最大インクドロップ数6となる。
【0047】
制御部208は、決定した新たな最大インクドロップ数に基づいて、ヘッド駆動部206、搬送駆動部204を制御する。具体的には、制御部208は、ヘッド駆動部206に対して、印刷用紙の同一ライン上に、新たな最大インクドロップ数が吐出できるようなタイミングでインクジェットヘッド205が図示しない各C〜K成分のヘッドモジュールからインクドロップの吐出処理を行えるように駆動する。また、制御部208は、搬送駆動部204に対して、インクジェットヘッド205が、印刷用紙の同一ライン上に、最大インクドロップ数が吐出できるような搬送速度で、搬送部203を駆動するように搬送駆動部204を制御する。
【0048】
(インクジェット印刷方法)
図3は、本印刷システムを用いた印刷方法を示すフローチャート図である。端末装置100のプリンタドライバ部104で印刷ジョブデータが生成された後、端末側通信部108により印刷ジョブデータが送信される。印刷ジョブデータには、印刷対象の印刷用紙のページ数、フェイスアップ排紙トレイを指定しているか否かを示すフェイスアップ排紙情報と、用紙種類を示す用紙種情報、搬送方向の用紙長さ、面付情報、印刷対象の印刷用紙サイズ(例えば、A4、B4)が含まれる。
【0049】
ステップS1では、インクジェット印刷装置200の印刷側通信部201が、印刷ジョブデータを受信する。
【0050】
ステップS2では、制御部208は、印刷ジョブデータに含まれる用紙種情報から、第1テーブルを参照して、用紙種類に対応する最大インクドロップ数を決定する。制御部208は、決定した最大インクドロップ数をヘッド駆動部206に設定する。また、制御部208は、第2テーブルを参照して、決定した最大インクドロップ数、搬送方向の用紙長さ、面付情報に対応する搬送速度を決定し、搬送駆動部204に設定する。以下、このステップで決定した最大インクドロップ数を第1の最大インクドロップ数という。
【0051】
ステップS3では、制御部208は、印刷ジョブデータに含まれるフェイスアップ排紙情報に基づいて、フェイスアップ排紙トレイに排紙するか否かを判断する。NOと判断された場合には、ステップS8へ移行する。
【0052】
YESと判断された場合には、ステップS4で、制御部208の指令に基づき、画像処理部2021は、印刷ジョブデータに基づき、印刷対象画像データを、ページ毎及び色成分毎に生成する。この際、画像処理部2021は、印刷対象ジョブデータを生成しながら、インクドロップ数分布データも生成する。
【0053】
ステップS5では、画像処理部2021は、印刷対象画像データに基づき、C、M、Y、K成分のすべてのページにおいて、第1の最大インクドロップ数の画素数が0か否か判定する。画素数0と判定された場合には、ステップS6へ移行する。画素数0でないと判定された場合には、ステップS8へ移行する。
【0054】
ステップS6では、画像処理部2021は、第1の最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が0でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、新たな最大インクドロップ数(以下、第2の最大インクドロップ数)として、決定して、制御部208に送る。
【0055】
ステップS7では、制御部208は、記憶部207に記憶された第2テーブルを参照して、第2の最大インクドロップ数、搬送方向の用紙長さ、面付情報に対応する搬送速度を決定する。
【0056】
ステップS8では、制御部208は、決定した搬送速度を搬送駆動部204に送り、搬送部203が、上記搬送速度で搬送処理を行うように指示する。また、制御部208は、ヘッド駆動部206に対して、印刷用紙の同一ライン上に、決定した最大インクドロップ数(第1の最大インクドロップ数または第2の最大インクドロップ数)が吐出できるようなタイミングでインクジェットヘッド205が吐出処理を行えるように駆動するように指示する。
【0057】
ステップS9では、制御部208は、印刷対象画像データに基づいて、ヘッド駆動部206に対して、インクジェットヘッド205に対して、最大インクドロップ数で吐出制御を行わせるとともに、搬送駆動部204を介して、指示された搬送速度で印刷用紙を搬送部203に搬送させる。これにより、各画素位置に対応する印刷用紙内の位置に、上記画素位置に対応するインクドロップ数の吐出動作が行えるように、印刷用紙の搬送処理が行われる。
【0058】
ステップS10では、制御部208は、全てのページの印刷処理が終了したか否かを判定し、終了しない場合には、ステップS9に戻り、終了した場合には、本処理を終了する。
【0059】
(第2の実施形態)
本実施形態において、第1の実施形態と同一・類似構成、機能については説明を省略し、異なる構成、機能について主に説明を行う。
【0060】
(印刷システムの構成)
本実施形態の画像処理部2021は、インクドロップ数分布データに基づいて、第1の最大インクドロップ数からインクドロップ数の多い順に、インクドロップ数に対応する画素数が全ページにおいて所定閾値以下であるか否かを、全ての色成分について判定する。ここで所定閾値は、予め各種の複数の印刷対象データに対して、どの閾値までが画像の品質が所定以上になるかを実験的に求め、決定している。
【0061】
画像処理部2021は、上記の判定結果に基づいて、第1の最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が所定閾値以下でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、第2の最大インクドロップ数として、決定する。
【0062】
例えば、ページ数1の印刷ジョブデータについて生成されたインクドロップ数分布データを示す
図4において、所定閾値が画素比率5%未満の場合、(a)、(b)においては、第1の最大インクドロップ数7に対して、画素比率が所定閾値以下であるインクドロップ数は、インクドロップ数7であるため、第2の最大インクドロップ数6にできる。一方、(c)においては、画素比率が所定閾値未満であるインクドロップ数は、第1の最大インクドロップ数7をそのまま用いることになる。
【0063】
画像処理部2021は、印刷対象ジョブデータ内において、画素数が所定値(例えば、1)以上であって所定閾値より少ないインクドロップ数(第1の最大インクドロップ数〜第2の最大インクドロップ数+1のインクドロップ数)の画素である振り分け対象画素に対して、第2の最大インクドロップ数を対応づけ、振り分け対象画素に対応するインクドロップ数と、第2の最大インクドロップ数との差分値を、振り分け対象画素の周辺の画素に振り分けることで、印刷対象ジョブデータを再生成する。
【0064】
この再生成処理の具体的な説明を以下に行う。画像処理部2021は、インクドロップ数分布データに基づいて、C成分の1ページ目のインクドロップ数の分布(画素位置に対するインクドロップ数)から、振り分け対象画素の画素位置を検出する。画像処理部2021は、検出した振り分け対象画素の画素位置の周辺の画素位置に振り分け処理を行う。
【0065】
図5は、C成分の画素位置(I、J)周辺のインクドロップ数の分布の一例であり、インクドロップ数7の画素が振り分け対象画素と決定され、第2の最大インクドロップ数が6と決定された場合を説明するための補足図である。
【0066】
この場合には、画素位置(I、J)に対応するインクドロップ数を、第2の最大インクドロップ数6とし、画素位置(I、J)に対応するインクドロップ数7と、第2の最大インクドロップ数6との差分値1を周囲の画素位置に振り分ける。
【0067】
この振り分け方の具体的な一例を以下に示す。画像処理部2021は、画素位置(I、J)の周囲の8つの画素位置に対応するインクドロップ数に基づいて、第2の最大インクドロップ数−1より小さく、かつ、0でないインクドロップ数(インクドロップ数1以上5以下)の場合には、その差分値1を振り分ける。振り分ける対象の画素位置が複数ある場合には、インクドロップ数の大きい画素位置に振り分ける。振り分ける画素位置がない場合には、次に近傍となる画素位置(I、J)(具体的には、画素位置(I、J)から2画素離れた画素位置)のインクドロップ数に基づいて同様の処理を行う。
【0068】
上記の近傍の画素位置のインクドロップ数の検索を所定回数行い、振り分ける画素位置がない場合には、上記差分値1をどこの画素位置にも割り当てないようにする。但し、この場合、画素位置(I、J)の隣接の画素位置であって、インクドロップ数0の画素位置に割り当てるようにしてもよい。この際、インクドロップ数0の画素位置に割り当てる領域は、所定の面積(所定の画素の領域の面積)に限定するようにしてもよい。
【0069】
画像処理部2021は、C成分の残りページ、他の色M〜K成分についても同様の処理を行う。なお、本振り分け処理は、一例であり、もとの画像に対して、振り分ける対象の画素位置のインクドロップ数を削減することによる画質の劣化を防止できるものであれば、他の処理を行うようにしてもよい。
【0070】
制御部208は、第1の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページ(受信した印刷ジョブデータの全ページ)の印刷用紙の印刷を完了する時間から、第2の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により上記全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間を差し引いた差分時間を算出する。
【0071】
この算出処理の具体的な説明を以下に示す。印刷ジョブの印刷指示を入力してから印刷対象画像データが生成され、給紙が開始されるまでの間に要する時間は、印刷ジョブによって決まる値であり、最大インクドロップ数の変更によって変化しない値である。また、インクドロップ数分布算出処理は、印刷対象画像データ生成処理の際に行えるので、ほとんど時間がかからない。また、画素数が所定閾値以内であるか否かの判定処理、最大インクドロップ数決定処理も、インクドロップ数分布データに基づき行われ、画素単位での処理ではないため、ほとんど時間がかからない。
【0072】
しかし、印刷対象画像データを再生成する時間は、印刷対象画像データの生成処理とは別個に行われるので、複数ページの印刷対象データ内に含まれるすべての画素単位での検索処理が別個に必要となり、かつ、画素に応じて振り分ける処理があるため、インクドロップ数分布算出処理等に比べると、時間がかかる。
【0073】
このため、最大インクドロップ数の変更により、印刷ジョブ完了の時間の変化に大きく影響するのは、最大インクドロップ数に基づく搬送速度の変化と、後述する印刷対象画像データの再生成処理である。最大インクドロップ数の変更に基づく搬送時間の変化と、印刷対象画像データの再生成処理に要する時間との比較に基づいて、最大インクドロップ数の変更に基づく搬送時間の減少時間よりも、再生成処理に要する時間が短い場合に限り、最大インクドロップ数の変更により搬送速度を変更して印刷ジョブを実行する。これにより、印刷画質も良好にしつつ印刷ジョブ完了時間も早められるようにする。
【0074】
制御部208は、第2対応テーブルを参照して、第1の最大インクドロップ数と、印刷ジョブデータに含まれる搬送方向の用紙長さと、面付情報とから、搬送速度を決定する。そして、制御部208は、印刷ジョブデータに含まれるページ数と、決定した搬送速度から、第1の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により、全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間(以下、第1の印刷完了時間)を算出する。
【0075】
同様にして、制御部208は、第2の最大インクドロップ数に基づいて、第2の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間(以下、第2の印刷完了時間)を算出する。制御部208は、第1の印刷完了時間から第2の印刷完了時間を差し引いた差分時間を算出する。
【0076】
制御部208は、画像処理部2021により印刷対象画像データを再生成するのに要する再生成時間が、算出された差分時間より小さいか否かを判定する。この処理の具体的な説明を以下に行う。
【0077】
記憶部207には、予め、ページ数と印刷用紙のサイズと印刷解像度とに応じた、印刷対象画像データを再生成するのに要すると予測される時間を示す予測時間テーブルが記憶される。この予測時間テーブルの生成方法の一例を以下に示す。
【0078】
制御部208は、予め、複数の印刷対象画像データに対して、インクドロップ数分布算出処理、画素数判定処理、最大インクドロップ数決定処理が施された後、印刷対象画像データの再生成処理を行うのに要する時間に対して、ページ数の範囲と、印刷対象の印刷用紙のサイズと、印刷解像度とに応じて分類することで、予測時間テーブルを生成する。そして、制御部208は、生成した予測時間テーブルを記憶部207に記憶させる。制御部208は、予測時間テーブルを参照して、印刷対象ジョブデータに含まれるページ数及び印刷用紙のサイズと、制御部208に設定された印刷解像度に対応する時間を、再生成時間として、決定する。制御部208は、決定した再生成時間が、算出された差分時間より小さいか否かを判定する。
【0079】
制御部208は、差分時間判定機能により差分時間より小さいと判定された場合に、画像処理部2021による再生成処理を行わせ、第2の最大インクドロップ数に基づいて、ヘッド駆動部206、搬送駆動部204を制御する。
【0080】
(インクジェット印刷方法)
図6は、第2の実施形態の印刷方法を示すフローチャート図である。本実施形態では、
図3に示すフローチャート図において、ステップS5〜7の処理の代わりに、以下の処理が行われる。
【0081】
ステップS20では、画像処理部2021は、C、M、Y、K成分のすべてのページにおいて、第1の最大インクドロップ数の画素数が所定閾値以下か否か判定する。所定閾値以下と判定された場合には、ステップS21へ移行する。所定閾値以下でないと判定された場合には、ステップS8へ移行する。
【0082】
ステップS21では、画像処理部2021は、ステップS20で判定した結果に基づいて、第1の最大インクドロップ数以下のインクドロップ数であって画素数が所定閾値以下でないインクドロップ数のうち、最も大きいインクドロップ数を、第2の最大インクドロップ数として、決定して、制御部208に送る。
【0083】
ステップS22では、制御部208は、記憶部207に記憶された第2テーブルを参照して、第2の最大インクドロップ数、印刷対象ジョブデータに含まれる搬送方向の用紙長さ等に対応する搬送速度を決定する。
【0084】
ステップS23では、制御部208は、第1の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間から、第2の最大インクドロップ数に対応する搬送速度により全ページの印刷用紙の印刷を完了する時間を差し引いた差分時間を算出する。
【0085】
ステップS24では、制御部208は、予測時間テーブルを参照して、印刷対象ジョブデータに含まれるページ数、印刷用紙のサイズに対応する時間を、再生成時間として、決定する。
【0086】
ステップS25では、制御部208は、決定した再生成時間が、ステップS23で算出された差分時間より小さいか否かを判定する。制御部208は、差分時間判定機能により差分時間より大きいと判定した場合には、ステップS8へ移行する。制御部208は、差分時間判定機能により差分時間より小さいと判定した場合に、ステップS26で、画像処理部2021による再生成処理を行わせる。その後、ステップS8へ移行する。
【0087】
(変形例1)
上述の実施形態1、2において、画像処理部2021は、色成分に応じて異なる印刷解像度に基づいて、印刷対象画像データを生成するようにしてもよい。
【0088】
インクジェットヘッド205は、印刷対象画像データ中の各画素に対応する印刷用紙上の位置に、印刷用紙及び印刷解像度に基づいて決定される最大のインクドロップ数を上限として、各画素に対応するインクドロップ数のインクを吐出することを色成分毎に行うことで、印刷用紙に印刷を行うようにしてもよい。
【0089】
制御部208は、色成分毎に決定された最大のインクドロップ数のうち、最も大きい最大のインクドロップ数を、上述の第1の最大インクドロップ数として、インクジェットヘッド205による印刷処理の際における印刷用紙の搬送速度を決定するようにしてもよい。
【0090】
例えば、K成分のインクジェットヘッドの印刷解像度が600DPI、CMY成分のインクジェットヘッドの印刷解像度が300DPIの場合には、K成分の印刷対象画像データの画素数と、CMY成分の印刷対象画像データの画素数が異なる。
【0091】
このような場合に、1ドロップあたりのインク吐出量を同じままで、CMYK成分の1画素あたりの最大吐出可能なドロップ数を同じにすると、隣接画素間でインク滲み等で、識別不能な場合も生じ画質劣化が生じるため、上述のように、各色成分に応じて、インクジェットヘッドの印刷解像度を変え、最大吐出可能なドロップ数を変える場合がある。本変形例はその場合の適用例を説明する。
【0092】
また、制御部208は、各色成分のインクジェットヘッドの印刷解像度を保持している。本変形例の場合、第1テーブルにおいては、用紙種類と印刷解像度と最大のインクドロップ数とが対応づけられている。
【0093】
本変形例の印刷方法の説明を、
図3、
図6を用いて行う。なお、上述の実施形態と同じ処理の説明は省略する。ステップS2では、制御部208は、第1テーブルを参照して、印刷ジョブデータに含まれる用紙種情報と、各色成分の印刷解像度とから、各色成分の最大のインクドロップ数を決定する。そして、制御部208は、各色成分の最大のインクドロップ数のうち、最大の値を、上述の第1の最大インクドロップ数と決定する。
【0094】
ステップS8では、制御部208は、ヘッド駆動部206に対して、決定した第1の最大インクドロップ数または第2の最大インクドロップ数または各色成分の最大のインクドロップ数が吐出できるようなタイミングで吐出処理が行えるように、ヘッド駆動部206を制御する。
【0095】
ここで、第2実施形態における予測時間テーブルにおける印刷解像度は、各色成分に応じて印刷解像度が異なる場合には、そのまま、色成分に応じた印刷解像度が記録される。
【0096】
(変形例2)
(1)上述の実施の形態では、間引き設定モード、省インクモード等印刷濃度を低減して印刷するモードが印刷ジョブデータに含まれている場合にも同様に適用可能である。これらのモードは印刷濃度を全体的に低下させるものであるので、これらのモードが含まれている場合には、最大インクドロップ数を所定値下げるようにして、上述の実施の形態を適用するようにしてもよい。
【0097】
(2)上述の実施の形態、変形例では、フェイスアップ排紙の場合について説明したが、これに限定されず、例えば、フェイスダウン排紙の場合においても、印刷対象ジョブデータ内のインクドロップ数分布を算出して、最大インクドロップ数を変更するか否かに基づいて、搬送速度を変更する場合についても同様な適用が可能である。
【0098】
なお、フェイスダウン排紙方式では、全ページRIP処理しなくても印刷を開始できるので、1ページずつRIP処理して、決められた最大インクドロップ数に対応する搬送速度で処理していく場合よりも、全ページRIP処理して、最大インクドロップ数を変更してそれに対応する搬送速度で搬送して印刷する方が処理が早くなる場合に限られるので、適用できる場合はそれほど多くないといえる。一方、フェイスアップ排紙方式の場合、全ページRIP処理してからでないと、印刷を開始できないので、最大インクドロップ数の変更に伴う搬送速度の変更で、印刷処理を早める場合は、フェイスダウン排紙方式より多くなるといえるので、本発明の効果が大きいといえる。
【0099】
(3)変形例2において、例えば、最大吐出可能なドロップ数の各色成分の印刷対象画像データについて、K成分の最大吐出可能なドロップ数が最も大きい場合であって、K成分の印刷対象画像データの各画素の画素値の高い領域が多く、他成分の印刷対象画像データの各画素の画素値の高い領域が少ないようなことが、端末装置100の入出力部106のプレビュー表示などで分かっている場合には、K成分についてのみ、ステップS2〜S8を行うようにしてもよい。
【0100】
(4)上述の実施の形態では、端末装置で、印刷ジョブデータを生成していたが、これに限定されず、インクジェット印刷装置200で原稿を読み取り、各種のデータをユーザが入力することで、印刷ジョブデータを生成し、本実施の形態を適用するようにしてもよい。