特許第6121427号(P6121427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121427
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】吸収性物品に構造要素を塗布する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20170417BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   A61F13/15 300
   A61F13/511 110
   A61F13/511 300
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-531760(P2014-531760)
(86)(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公表番号】特表2014-526365(P2014-526365A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】SE2011051192
(87)【国際公開番号】WO2013051971
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アンゲリカ・ブールバール
(72)【発明者】
【氏名】ソルガン・ドレヴィク
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−241079(JP,A)
【文献】 特開平4−40948(JP,A)
【文献】 特開2003−70841(JP,A)
【文献】 特開2005−270233(JP,A)
【文献】 特表2009−512489(JP,A)
【文献】 特開平6−245954(JP,A)
【文献】 特表平7−505549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61F 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向および横方向、前記長手方向に延びる側縁部、ならびに前記横方向に延びる端縁部を有する吸収性物品に構造要素を塗布する方法であって、前記吸収性物品がトップシートおよびバックシートを備える方法において、
a.発泡性インクが前記トップシートに塗布され、
b.前記発泡性インクが活性化され、それによって3次元構造要素が前記トップシート上に得られ、
前記発泡性インクの点のクラスタが前記吸収性物品の中央長手方向部分に塗布され、隆起部分を形成し、クラスタ中の前記点の高さと前記点の間の距離の比が少なくとも1:1であり、
前記点の高さは、前記クラスタの中心に向けて高くなることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記発泡性インクが前記トップシートの表面積の1〜50%、好ましくは1〜25%に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発泡性インクが、前記トップシートが加熱されることによって活性化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記発泡性インクが赤外線放射、熱空気、マイクロ波から選択される手段によって、または加熱されたエンボスロールによって活性化される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発泡性インクがUV放射によって活性化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記発泡性インクがポリマー、溶剤、および発泡剤、または発泡性微小球を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記発泡性インクが、前記長手方向の側縁部の少なくとも一部に沿った股領域、横方向の前部、または後領域内から選択される1つまたは複数の液体バリアとして塗布される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体バリアが連続線および/または点線で形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡性インクが前記吸収性物品の横方向の側縁部の少なくとも一部に沿って塗布される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
疎水性インクが前記長手方向または横方向の側縁部の少なくとも一部に沿って塗布され、親水性インクが前記トップシートの中央および長手方向部分に塗布される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トップシートが前記バックシートから離れる方向に面する第1の表面、および前記バックシートに向かって面する第2の表面を有し、前記発泡性インクが前記第1および第2の表面の1つまたは両方に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記構造要素が、生理用ナプキン、パンティライナ、男性用または女性用失禁物品、おむつから選択される吸収性物品上に塗布される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
3次元構造要素が設けられたトップシートを備える吸収性物品であって、
前記3次元構造要素が、発泡した発泡性インクの点のクラスタであり、
前記3次元構造要素は、前記吸収性物品の中央長手方向部分に形成された隆起部分を有し、
前記クラスタ中の前記点の高さと前記点の間の距離の比が少なくとも1:1であり、
前記点の高さは、前記クラスタの中心に向けて高くなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
前記3次元構造要素が高さ0.1〜15mm、好ましくは0.5〜5mmを有する、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記トップシートの1〜50%、好ましくは1〜25%が発泡した発泡性インクで覆われる、請求項13または14に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品のトップシートに構造要素を塗布する方法、こうした構造要素を含む吸収性物品、および吸収性物品のトップシートに構造要素を与える発泡性インクの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パンティライナ、生理用ナプキン、および失禁パッドなど吸収性物品は、その上面に3次元要素を含むことがある。こうした要素は、吸収性物品のトップシート層のエンボス加工によって得ることができる。米国特許出願公開第2009/0312733A1号明細書は、身体に面する表面上に3次元要素を有する吸収性物品の一例を示している。エンボス加工は信頼できる方法であるが、多種多様な3次元要素のパターンを与える場合、特定のパターンごとに特別のエンボスロールを獲得する必要があるため、幾分柔軟性に欠ける。また、エンボス加工によって非常に微細な3次元の点および線を得ることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0312733A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、吸収性物品のトップシート上に3次元要素を塗布する改善された方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、長手方向および横方向を有する吸収性物品に構造要素を塗布する改善された方法に関し、側縁部は長手方向に延び、端縁部は横方向に延び、前記吸収性物品はトップシートおよびバックシートを備え、この方法では、発泡性インクがトップシートに塗布され、次いで発泡性インクが活性化され、それによって3次元構造要素がトップシート上に得られる。発泡性インクの塗布および活性化により、トップシート上に構造要素を形成することによって、様々なパターンを達成することができる。さらに、発泡性インクの塗布および活性化によって、非常に正確なパターン、ならびに非常に微細な線および点を形成することができるようになる。
【0006】
発泡性インクは、トップシートの表面積の1〜50%、好ましくは1〜25%に塗布することができ、通常、たとえば、赤外線放射、熱空気、マイクロ波によって、または加熱されたエンボスロールによって、あるいは代替的にUV放射によって、トップシートを加熱することによって活性化される。発泡性インクは、通常、ポリマー、溶剤、および発泡剤、または発泡性微小球を含む。
【0007】
発泡性インクを、長手方向側縁部の少なくとも一部に沿って1つまたは複数の液体バリアとして塗布することができ、液体バリアを連続線または点線で形成することができる。さらに、発泡性インクの点のクラスタは、物品の中央部分に塗布することができ、隆起部分を形成し、クラスタ中の点の高さと点の間の距離の比は、少なくとも1:1である。また、発泡性インクを物品の横方向側縁部の少なくとも一部に沿って塗布することができる。吸収性物品のトップシートは、バックシートから離れる方向に面する第1の表面、およびバックシートに向かって面する第2の表面を有し、発泡性インクを前記第1および第2の表面の1つまたは両方に塗布することができる。
【0008】
本発明は、また、構造要素が与えられたトップシートを備える吸収性物品であって、構造要素が、トップシートに塗布され、その後に活性化されて3次元構造要素を形成した発泡性インクからなることを特徴とする吸収性物品、および構造要素を吸収性物品のトップシートに与えるための発泡性インクの使用に関する。吸収性物品の3次元構造要素は、有利には高さ0.1〜15mm、好ましくは0.5〜5mmを有し、トップシートの1〜50%、好ましくは1〜25%を発泡性インクで覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】トップシートに塗布された3次元構造要素を有する吸収性パッドの上面図である。
図2図1の線A-Aに沿った図1の吸収性パッドのトップシートの概略断面図である。
図3】トップシートに塗布された3次元構造要素を有するおむつの上面図である。
図4】トップシートに塗布された3次元構造要素を有する別のおむつの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の方法では、トップシートおよびバックシートを有し、所望の場合はトップシートとバックシートの間に配置された吸収層も備える、吸収性物品のトップシートに構造要素が塗布される。吸収性物品は、たとえば、生理用ナプキン、パンティライナ、男性用または女性用の失禁物品、おむつ、または任意の他の吸収性物品でもよい。発泡性インクが発泡して、活性化の結果として3次元の突き出た構造要素に変えられる。本発明の吸収性物品を以下にさらに詳細に記載する。
【0011】
本発明の方法に使用される発泡性インクは、トップシートの乾燥表面を維持することが望ましいため、非吸収性であることが好ましい。また、特にトップシートの液体ガイド特性を向上させることが望まれる場合は、インクは親水性でもよい。トップシートの同じ表面または異なる表面上に親水性と疎水性のインクの混合物が存在してもよい。疎水性インクを着用者に面する表面上に配置し、バリアとして使用することができ、親水性インクを着用者から離れる方向に向く表面上に配置することができる。好ましくは、発泡性インクは、ポリマー、溶剤、および発泡剤、または発泡性微小球を含む。インクは、ポリマー、溶剤、バインダ、シックナー、顔料、および発泡剤、または噴射剤(propellant)を含む発泡性微小球を含む、当業者に周知の標準配合でもよい。インクを、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ロータリースクリーン印刷、またはグラビア印刷などの、印刷によって塗布することができる。フレキソ印刷による塗布は、安定性、およびインク中の粉塵または粒子に対する鈍感性により、有利な印刷方法である。特に発泡性インクが、吸収性物品の吸収された内容物をマスキングするパターンに塗布される場合は、様々な色のインクを組み合わせることも好ましい。様々な親水性、濃度、活性化温度などを有するインクを組み合わせることも好ましい。
【0012】
吸収性物品のトップシートに塗布される発泡性インクの量は、インクの組成物、所望のパターン、および/またはインクの活性化後の構造要素の所望の高さに依存する。必要とされるインクの量は表面の吸収性によって変えてもよい。当業者は、日常の実験によって所望の表面を達成するのに必要な量を知ることができる。
【0013】
吸収性物品上へのインクの塗布の後、全ての溶剤が蒸発して、インクが概ね即時に乾く。上記のように、発泡性インクを活性化して、所望の効果が得られる。活性化中、インクの成分が発泡剤または微小球の作用によって膨張して、塗布されたインクが3次元構造要素に変わり、吸収性物品のトップシートの表面から突き出る。
【0014】
活性化は、好ましくは赤外線放射、熱空気、またはマイクロ波により、発泡性インクを熱に曝すことによって、行うことができる。こうした加熱方法は、柔軟性があり、多目途の加熱を可能にし、それによって発泡性インクの効果的な活性化が供される。あるいは、インクをエンボスロールなど、加熱された表面と接触させることができる。活性化温度は、塗布されるインクの量、および使用されるインクのタイプに依存し、通常は80から180℃、好ましくは100〜180℃である。
【0015】
発泡性インクがUV放射によって活性化できるタイプの場合、活性化を代わりにUV放射によって行うことができ、特に感熱性材料が吸収性物品に使用される場合は有利である。
【0016】
印刷および活性化のステップを、吸収性物品の製造工程のインラインステップに組み込むことができ、またはオフラインでトップシートに印刷し、活性化することができる。組立前または吸収性物品の構成要素の組立中にトップシート層に印刷し、発泡性インクを工程の後段階で活性化することもできる。
【0017】
発泡性インクを塗布し、インクを活性化するステップを実行するための設備が、たとえば、個々の吸収性物品のブランクをコンベアベルト上に配置し、方法の各ステップを通過させることによって、吸収性物品のブランクをライン生産方式の各ステップを通して供給することができるように配置された装置で、本発明の方法を実行することができる。インクを様々なステップで塗布することができる。したがって、様々なタイプのインクを様々なステップで塗布し、活性化することができる。
【0018】
発泡性インクを活性化して、選択した領域だけで発泡させ、他の領域を発泡しないままにすることができる。それによって、一部のパターン要素が2次元であり、一部のパターン要素が3次元である、印刷されたインクのパターンを形成することができる。これは、活性化すべきでない領域のマスキングによって、または、たとえば、方向づけられたビームを使用して、活性化すべき領域だけに熱またはUV放射を向けることによって行うことができる。熱エンボス加工をこの目的に使用することもできる。選択した領域のインクだけを活性化することによって、インクが塗布されたパターンを修正する必要なく、吸収性物品のトップシート上の様々な突起のパターンの生成を行うことができる。
【0019】
発泡性インクは所望により選択された領域に、かつ任意の所望のパターンに塗布することができる。本発明の方法によって、構造要素の非常に正確なパターン、ならびに微細な線および点をトップシート上に形成することができるようになる。発泡性インクは、好ましくはトップシートの表面積の1〜50%、より好ましくは表面積の1〜25%に塗布される。
【0020】
トップシートは、吸収性物品に配置された場合、バックシートから離れる方向に面する第1の表面、およびバックシートの方向に面する第2の表面を有する。発泡性インクを前記第1および第2表面の1つまたは両方に塗布することができる。3次元構造要素をトップシートの内側、すなわちバックシートに面する表面に塗布することによって、たとえば、吸収性物品の容積を向上させることができ、たとえば、物品の切断と比較して、物品の形付けが容易になる。構造要素を外面上、すなわちバックシートから離れる方向に面する表面上に与えることによって、液体流を望む通りに方向づける手段が得られる。
【0021】
上記で示したように、発泡性インクの所望のパターンの印刷によって、または印刷された発泡性インクを所望のパターンで活性化することによって、あるいはその組合せで、トップシート上の構造要素の最終パターンを得ることができる。この方法で塗布される構造要素の位置および構造によって、様々な有利な機能的効果を得ることができる。様々な機能を有する構造要素を生成する発泡性インクのパターンの例を以下に挙げる。こうしたパターンを個々に使用することができるが、当然、有利に組み合わせて、吸収性物品の所望の特性を達成することができる。
【0022】
たとえば、発泡性インクを1つまたは複数の液体バリアとして吸収性物品に塗布することができ、それによって排出された液体が吸収性物品の縁部を超えて流れる危険性が最小限に抑えられる。液体バリアは、発泡性インクを、たとえば連続した線または点線として、吸収性物品の各側の長手方向の側縁部の少なくとも一部に沿って塗布することによって形成される。液体バリアは、好ましくは、湾曲した形状を有して、各対向する長手方向側縁部に存在する液体バリア線の間の距離が、股領域の中央でよりも小さく、また吸収性物品の横方向の端部に向かってより大きくできる。バリア線の湾曲した形状は、股領域の吸収性物品の輪郭に概ね従うことができる。さらに、概ね同じ湾曲形状を有する2つ以上の液体バリア線を、物品の長手方向の側縁部の少なくとも一部に沿って互いに隣接するように配置することができる。こうした液体バリア線は、同じ長さでもよく、またはバリア線の長さを吸収性物品の中央に向かって短縮して、最適の液体バリアを得ることができる。2つ以上の液体バリア線が吸収性物品の各長手方向側縁部に塗布された場合、液体バリア線は全て連続した線、または点線でもよく、あるいは連続線と点線の組合せを使用することもできる。たとえば、最外液体バリア線は連続でもよく、1つまたは複数の内側の液体バリア線は点線でもよい。バリア線を製品の横方向の側縁部の少なくとも一部に沿って塗布することもできる。
【0023】
さらに、発泡性インクの点のクラスタを吸収性物品のトップシートに塗布することができる。クラスタ内での発泡性インクのそのような点によって共に形成された構造要素は、トップシートの表面中の孔として働く凹部を有する表面を形成する。したがって、トップシート上の、かつトップシートを通る液体の流れを改善し、所望の方向に向けることができる。この効果は、発泡性インクをバックシートから離れる方向に面する第1の表面、およびバックシートに面する第2の表面に塗布した場合に得られる。
【0024】
たとえば、隆起部分を形成する発泡性インクの点のクラスタを物品のトップシートの中央部分に塗布することができる。クラスタ中の点の高さと点の間の距離との比は少なくとも1:1であり、液体がトップシートに容易に浸透して、吸収性物品の良好な吸収特性を維持することができるようになされる。隆起部分を形成する点は等しいサイズおよび高さを有することができる。好ましくは、点の高さはクラスタの中心に向かって高くなり、物品と身体の接触を向上させ、トップシートを通して液体の分散を向上させる。
【0025】
発泡性インクの点のクラスタは、マスキングの目的のために、トップシート上の中央および長手方向に、したがって吸収性物品の前、後、および中央部分を含んで塗布することもでき、クラスタ中の点の高さと点の間の距離の比は少なくとも1:1である。クラスタ中の構造要素のパターンは、血液、尿、または大便など、吸収性物品の内容物を見えなくする。上記で示したように、様々な色のインクを組み合わせて、吸収性物品の吸収した内容物のマスキングを向上させることが望ましい。
【0026】
さらに、発泡性インクを物品の横方向の側縁部の少なくとも一部に沿って塗布して、強化線、バリア線などを形成することができる。これらの線は、連続線であることが好ましく、湾曲した形状を有することができる。吸収性物品の前部の横方向側縁部で、線を1つの構造要素として形成することができ、後部の横方向側縁部で線を吸収性物品の長手方向の中心線の両側の2つの別個の構造要素として形成して、吸収性物品の着用者の快適性を向上させることができる。
【0027】
3次元構造要素を距離要素として塗布することも望ましい。たとえば、おむつおよび一部の失禁用物品では、距離要素を物品の後部領域に塗布して、吸収性物品の表面と着用者の皮膚の間に間隙を設けることができる。
【0028】
本発明は、また、上記の方法で得ることができる構造要素を有する吸収性物品に関する。吸収性物品は、不織布、フィルム、またはその積層の身体に面する側面、および液体不透過性ポリマーフィルム材料のバックシート、およびパルプおよび/または高吸収性材料ならびに/あるいは繊維ウェブを含む吸収層を備えることができる。バックシート材料は通気性または非通気性でもよい。バックシートは、使用中に使用者から離れる方向に面し、吸収性物品の身体に面する側面の反対側である。締結手段をバックシートに貼ることができる。吸収性物品のトップシート上に塗布された構造要素は、トップシートに塗布され、その後に活性化されて上記のような特性を有する3次元構造要素を形成する発泡性インクからなる。3次元構造要素は、好ましくは高さ0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜5mmを有する。トップシートの表面積の、有利には1〜50%、より好ましくは1〜25%が発泡性インクで覆われ、発泡性インクによって覆われないトップシートの領域が残され、それによって十分なトップシートが液体を自由に受けることができるようになる。
【0029】
本発明は、また、構造要素を吸収性物品のトップシートに与える発泡性インクの使用に関する。方法および吸収性物品に関連する上記の全ての詳細および例は、この使用に適合する。
【0030】
次に本発明を例によって図面を参照して説明する。図面で示した吸収性物品は全て、本発明の方法によってトップシートに塗布された3次元構造要素を有する。
【0031】
図1は、トップシート2に塗布された発泡したインクの3次元構造要素を有する吸収性パッド1を示している。吸収性パッドの中央部分に、点のクラスタ3が塗布され、隆起部分4が形成される。液体バリア5は股領域の長手方向の側縁部に沿って形成される。液体バリアは幾つかの曲線を含み、最外線5aは連続し、内側線5bは点であり、液体バリア線の間の距離は股領域の中央で相対的に短く、吸収性パッドの横方向の端部に向かって相対的に長くなる。(図1の線A-Aに沿って切り取られた)図2の断面図で隆起部分4を見ることができ、どのように隆起部分4の中央部分の点3aが周囲の点よりも高く、点の高さが隆起部分4の中心から離れる方向に減少するかが示されている。液体バリア5はトップシート2の側縁部で見ることができる。強化線6、7は吸収性パッド1の前部および後部の横方向の端部に与えられる。後端に、2つの強化線7が塗布されて、吸収性パッドの快適性が向上され、前端に1つの強化線が塗布される。
【0032】
図3図4は、おむつのトップシートに塗布された発泡性インクの3次元構造要素を示している。図3のおむつ10は、おむつの湿潤領域13の後端12のトップシートに与えられた点のクラスタ11を含む。3次元構造要素は、この場合、着用者の皮膚とおむつの表面の間の距離として働き、おむつによって吸収された内容物のマスキングにも寄与する。液体バリア14は、おむつの股領域に与えられ、発泡性インクの連続線で形成される。図4のおむつ20は、湾曲した連続線の形の後端に与えられた代替の距離またはバリア要素15を有する。
【符号の説明】
【0033】
1 吸収性パッド
2 トップシート
3、11 点のクラスタ
3a 点
4 隆起部分
5 液体バリア
5a 最外線
5b 内側線
6、7 強化線
10 おむつ
12 後端
13 湿潤領域
14 液体バリア
15 バリア要素
20 おむつ
図1
図2
図3
図4