特許第6121525号(P6121525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121525
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ガラスセラミック電解質系
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20170417BHJP
   C03C 10/02 20060101ALI20170417BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20170417BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20170417BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20170417BHJP
   H01B 1/08 20060101ALI20170417BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20170417BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H01B1/06 A
   C03C10/02
   H01M10/0562
   H01M10/052
   H01M10/058
   H01B1/08
   H01B13/00 501Z
   C03B32/02
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-514968(P2015-514968)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2015-525443(P2015-525443A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】SG2013000223
(87)【国際公開番号】WO2013180658
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】61/654,363
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506076891
【氏名又は名称】ナンヤン テクノロジカル ユニヴァーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤザミ、ラシド
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、ヌタン
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/063827(WO,A1)
【文献】 特開2013−155068(JP,A)
【文献】 特開平11−031413(JP,A)
【文献】 特開平11−157872(JP,A)
【文献】 特開2000−034134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/06、13/00
H01M 10/052、10/0562、10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含むガラスセラミック電解質系であって、
前記電解質は化学式Li1.5Al0.5Ge1.5(POを有するとともに、前記ガラスセラミック電解質系の全重量に対して多くとも0.5wt%の酸化ホウ素(B)をドープされ、
ドープ後の前記電解質におけるB:Ge化学量論比は0.04以内である、ガラスセラミック電解質系。
【請求項2】
0.3wt%のBを含む、請求項1に記載のガラスセラミック電解質系。
【請求項3】
酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含むガラスセラミック電解質系を調製するための方法であって、
リチウム前駆体、アルミニウム前駆体、ゲルマニウム前駆体、およびリン酸前駆体の混合物を溶媒中で摩砕してスラリーを得る工程と、
該スラリーを乾燥して粉体混合物を得る工程と、
該粉体混合物が溶融するまで該粉体混合物を加熱する工程と、
該溶融した粉体混合物を急冷する工程と、
該急冷した粉体混合物をアニールしてリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)ガラスを得る工程と、
該LiO−Al−GeO−PガラスにBまたは酸化ホウ素前駆体をドープしてLiO−Al−GeO−P電解質系を得る工程とを含む方法。
【請求項4】
前記リチウム前駆体が摩砕混合物中における前記リチウム前駆体、アルミニウム前駆体、ゲルマニウム前駆体、およびリン酸前駆体の化学量論比よりも多い量で添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リチウム前駆体がLiCO、LiO、LiOH、Li(CHCOO)、Li、LiNO、LiHPO、LiHPO、LiPO、Liおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミニウム前駆体がAl、Al(NO、Al(OH)、AlOOH、Al(C、Al(CHCOO)、Al(Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲルマニウム前駆体がGeO、GeO、GeO(OH)、Ge(NO、Ge(NO、GeC、Ge(C、Ge(CHCOO)、Ge(CHCOO)、GeBおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記リン酸前駆体がNHPO、P、P、P、P、P、PO、P、P、(NHPO、(NH(HPO)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化ホウ素前駆体がB(NO、B(CHCOO)、B(C、(NH(B)、NH(HB)、B(HPO、B(HPO、BPO、B(AlO、B(GeO(OH)、B(GeO(OH)、B(Ge(OH))、B(Ge(OH)、B(GeO(OH)、B(Ge(OH))およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がアルコールである、請求項3乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
摩砕混合物中の固体含量が該摩砕混合物の全体積に対して10vol%である、請求項3乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記粉体混合物が1,000〜1,500℃の温度範囲で溶融される、請求項3乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記粉体混合物が1,375℃で溶融される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶融した粉体混合物が150℃〜500℃に予熱されたステンレス鋼板の上で急冷される、請求項3乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
急冷された前記粉体混合物が500〜600℃の温度範囲でアニールされる、請求項3乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
急冷された前記粉体混合物が550℃でアニールされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記LiO−Al−GeO−Pガラスに前記電解質系の全重量に対して多くとも0.5wt%のBがドープされる、請求項3乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記LiO−Al−GeO−Pガラスに0.3wt%のBがド
ープされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アノードとカソードの間に挟まれたガラスセラミック電解質系を含むリチウムイオン電池であって、
該ガラスセラミック電解質系は酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を有し、同電解質は化学式Li1.5Al0.5Ge1.5(POを有するとともに、前記ガラスセラミック電解質系の全重量に対して多くとも0.5wt%の酸化ホウ素(B)をドープされた電解質であり、
ドープ後の前記電解質におけるB:Ge化学量論比は0.04以内である、リチウムイオン電池。
【請求項20】
前記ガラスセラミック電解質系が0.3wt%のBを含む、請求項19に記載のリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスセラミック電解質系、特にドープされたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質に関する。ガラスセラミック電解質系を調製する方法およびリチウムイオン電池におけるその使用についても開示する。
【背景技術】
【0002】
先行技術のリチウムイオン電池は、自動車および大規模のエネルギー保存システムにおいて用途を拡大してきた。しかし、有機液体電解質を用いるそれらの電池は、その性能の限界、熱および周囲環境における不安定性、可燃性および金属リチウムによる腐食に関連する問題を抱えている。水性カソードを有するリチウム空気電極も、10−4Scm−1を超える電導度σを有し、かつリチウムおよび水に対して安定な電解質を必要とする。1970年代以降、固体電解質(SSE)は性能、安全性、幾何学的可撓性(すなわち寸法/形状)の向上、および製造(たとえばバイポーラ構成)の容易さにおける改良が期待され、リチウムイオン/空気電池において液体電解質を置き換える熱心な研究の対象となってきた。金属酸塩、リン酸塩(ホスファート)、硫酸塩、ケイ酸塩およびホウ酸塩の形態のSSEは、超イオン(高速イオン)輸送、無視できる電子電導および広い温度範囲における熱力学的安定性等の多くの要求を満たす。
【0003】
NASICON型構造のリチウムアナログの中で、LiGe(PO(0≦x≦3)は、隅角を共有するGeO八面体(すなわちGeが任意の三価、四価および五価イオンによって置き換えられる)およびPO四面体を示し、リチウムカチオンが通常6b(0,0,0)のM1ウィコフ位置および18e(x,0,1/4)のM2ウィコフ位置と称される2つの異なったサイトを占める、相互連通した電導チャネルを有するGe(PO化学式の三次元(3D)フレームワークをもたらすことが報告されている。NaSICON構造の相互連通したボイドは高速イオン輸送を可能にするが、これはフレームワークの寸法、Liイオンの移動に要する活性化エネルギーおよび格子パラメータに依存し、その値は組成を変えることによって変更することができる。通常電導から高電導への挙動の遷移には、材料のイオンサブ格子の1つの無秩序化が関与している。低温においては、全てのイオンは明瞭な格子サイトの上に位置しており、移動度は極めて小さい。温度が上昇するとともに、可動イオンが格子間サイトに存在し始める。超イオン相においては、多数の利用可能なサイトにこれらのイオンが分布する。その高いイオン電導度(27℃において約4.62×10−3Scm−1)および金属リチウムに対する安定性により、超イオン性Li1+xAlGe2−x(PO(LAGP)ガラスセラミック電解質(GCE)のNaSICON相が望ましい。Ge4+を部分的にAl3+に置き換えることによって、LiGe(POの密度が改善されること、およびLiイオン電導度が増大することが示されている。
【0004】
NaSICON構造において電導度をさらに増大させるために、以下の方策を採用することができる。(i)調製パラメータの最適化、(ii)それを通してLiイオンが移動することができる3Dトンネル構造の安定化、(iii)母材ガラスに誘電相不純物を導入することによる系の無秩序性の増大。これによって材料研究において高イオン電導度を導入する新たな戦略を探索する興味が刺激され、再充電可能なリチウムイオン/空気電池における大きな可能性が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】LAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)ガラスのDSCを示し、結晶化および動的挙動を表す図。
図2】825〜875℃の種々の温度で12時間焼結したLAGP GCEのX線回折パターンを示す図。
図3】850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)GCEのX線回折パターンを示す図。
図4】種々の温度(a)825℃、(b)850℃、および(c)875℃で12時間焼結したLAGP GCEの破折した表面のFESEM画像を示す図。
図5】850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)GCEの破折した表面のFESEM画像を示す図。(a)0.1wt%、(b)0.2wt%、(c)0.3wt%、(d)0.4wt%
図6】菱面体晶のLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)相の室温における静的Li核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図。
図7】825〜875℃の種々の温度で12時間焼結したLAGP GCEの室温インピーダンススペクトルを示す図。
図8】温度850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4st%)GCEの室温インピーダンススペクトルを示す図。
図9】温度825〜875℃で12時間焼結した母材LAGP GCEの電導度の温度範囲−30〜100℃におけるアレニウスプロットを示す図。
図10】850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)GCEの電導度の温度範囲−30〜100℃におけるアレニウスプロットを示す図。
図11】LAGP−xB(x=0.3wt%)GCEの界面抵抗の保存期間による変動を示す図(Li/GCE/Liセル、周波数範囲10mHz〜1MHz、振幅100mV)。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明らは、驚くべきことにリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LAGP)電解質系にガラス形成剤を導入することによって非晶質のガラス構造が安定化されることを見出した。結果として、ドープされたLAGP電解質系のイオン電導度は未ドープのLAGP電解質系のイオン電導度の約3倍高く、これは欠陥密度およびリチウムイオンの移動度が高いことに起因する。
【0007】
すなわち、第1の態様においては、酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含むガラスセラミック電解質系が提供される。種々の実施形態においては、ガラスセラミック電解質系は電解質系の全重量に対して多くとも約0.5wt%のB、たとえば約0.3wt%のBを含む。
【0008】
第2の態様においては、酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含むガラスセラミック電解質系を調製するための方法が開示される。
【0009】
該方法は、
リチウム前駆体、アルミニウム前駆体、ゲルマニウム前駆体、およびリン酸前駆体の混合物を溶媒中で摩砕してスラリーを得る工程と、
スラリーを乾燥して粉体混合物を得る工程と、
粉体混合物が溶融するまで粉体混合物を加熱する工程と、
溶融した粉体混合物を急冷する工程と、
急冷した粉体混合物をアニールしてリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)ガラスを得る工程と、
LiO−Al−GeO−PガラスにBまたは酸化ホウ素前駆体をドープしてLiO−Al−GeO−P電解質系を得る工程と
を含む。
【0010】
第3の態様においては、アノードとカソードの間に挟まれたガラスセラミック電解質系を含むリチウムイオン電池であって、ガラスセラミック電解質系が酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含むリチウムイオン電池が開示される。
【0011】
図面において、様々な図面を通して同様の参照符号は一般に同じ部品を表す。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、その代わり概して種々の実施形態の原理を説明することに重点が置かれている。以下の記述において、以下の図面を参照して本発明の種々の実施形態を説明する。
【0012】
以下の詳細な説明は本発明が実施される具体的な詳細および実施形態を説明のために示す添付図面を参照する。これらの実施形態は当業者が本発明を実施することを可能にするため十分に詳細に記述している。その他の実施形態も利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的、論理的および電気的な変化を行うことは可能である。種々の実施形態は必ずしも相互に排他的ではなく、いくつかの実施形態を1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせて新たな実施形態を作成することができる。
【0013】
水溶性超イオン性リチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)(LAGP)ガラスセラミック電解質(GCE)系は、溶融急冷法によって成功裡に調製される。未ドープの母材LAGP系に非晶質ガラス構造を安定化させるためのガラス形成剤として酸化ホウ素(B)を導入することによって、新規なガラス相が調製される。
【0014】
すなわち、本発明の第1の態様によれば、BをドープしたLAGP電解質を含むガラスセラミック電解質系が提供される。
本発明の場合には、「LAGP−xB」という表現は本発明のLAGP GCE系を指定するために用いられ、ここで「x」は電解質系の全重量に対して重量%(wt%)で表した、系中に存在するドーパントであるBの相対的重量を意味する。
【0015】
種々の実施形態において、ガラスセラミック電解質系は電解質系の全重量に対して多くとも約0.5wt%のBを含む。たとえば、ガラスセラミック電解質系は約0.5wt%のB(すなわちLAGP−0.5B)、約0.4wt%のB(すなわちLAGP−0.4B)、約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)、約0.2wt%のB(すなわちLAGP−0.2B)、約0.1wt%のB(すなわちLAGP−0.1B)、またはそれ未満を含む。
【0016】
1つの実施形態においては、ガラスセラミック電解質系は約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)を含む。
本発明のLAGP GCE系のリチウムイオン電導度、安定性、形態およびその他の特性を確認するため、ここで調製したLAGP−xB(x=0〜0.4wt%)電解質を、示差走査熱量測定(DSC)、X線回折(XRD)、電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)、核磁気共鳴(NMR)、および広い温度範囲(−30〜100℃)におけるイオン電導度(σ)の研究によって体系的に検討する。
【0017】
850℃で12時間焼結した未ドープの母材LAGP GCEについては、30℃にお
いて最高の電導度約3.2×10−3Scm−1が得られた。LAGP系への最適量のB(x=0.3)の添加により、極めて高い構造的および熱的安定性ならびに30℃において約8.75×10−3Scm−1のσを示し、これは未ドープの母材LAGPの値の約3倍高く、これは欠陥密度およびリチウムイオンの移動度が高いことに起因する。ほとんどの場合において、リチウム輸送の活性化エネルギーの2つの領域(0.58〜0.74eV)および(0.18〜0.42eV)が観察される。適切な組成でBを添加したLAGP電解質は、その調製の容易さ、比較的高いリチウムイオン電導度、および金属リチウムに対する良好な界面安定性によって、全固体型電池の有望な候補であることが推測される。
【0018】
未ドープの母材LAGP GCE系を溶融急冷法によって調製し、GCEのための最高イオン電導度を最適化するために、生ペレットを種々の焼結温度で焼結した。
すなわち、本発明の第2の態様によれば、BをドープしたLAGP電解質を含むガラスセラミック電解質系を調製するための方法が提供される。該方法は、
リチウム前駆体、アルミニウム前駆体、ゲルマニウム前駆体、およびリン酸前駆体の混合物を溶媒中で摩砕してスラリーを得る工程と、
スラリーを乾燥して粉体混合物を得る工程と、
粉体混合物が溶融するまで粉体混合物を加熱する工程と、
溶融した粉体混合物を急冷する工程と、
急冷した粉体混合物をアニールしてリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)ガラスを得る工程と、
LiO−Al−GeO−PガラスにBまたは酸化ホウ素前駆体をドープしてLiO−Al−GeO−P電解質系を得る工程と
を含む。
【0019】
摩砕工程においては、リチウム前駆体、アルミニウム前駆体、ゲルマニウム前駆体、およびリン酸前駆体を、これだけに限らないが水平遊星ミル等の摩砕機で小片に粉砕する。混合物をアルコール等の溶媒中でたとえば1時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、またはそれ以上摩砕してスラリーを得る。種々の実施形態においては、摩砕混合物中の固体含量は摩砕混合物の全体積に対して約10体積%(vol%)である。
【0020】
それぞれの前駆体はLAGPの化学式Li1.5Al0.5Ge1.5(POに従って化学量論比で添加する。しかし、高い溶融温度においてはリチウム化合物が揮発する性質があり、またLAGP化学式の化学量論を維持するため、追加量のリチウム前駆体を摩砕混合物に添加した。種々の実施形態においては、追加の1〜5wt%、たとえば1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、または5wt%のリチウム前駆体を摩砕混合物に添加してよい。
【0021】
種々の実施形態においては、リチウム前駆体はLiCO、LiO、LiOH、Li(CHCOO)、Li、LiNO、LiHPO、LiHPO、LiPO、Liおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
1つの実施形態においては、リチウム前駆体はLiCOである。
種々の実施形態においては、アルミニウム前駆体はAl、Al(NO、Al(OH)、AlOOH、Al(C、Al(CHCOO)、Al(Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
1つの実施形態においては、アルミニウム前駆体はAlである。
種々の実施形態においては、ゲルマニウム前駆体はGeO、GeO、GeO(OH)
、Ge(NO、Ge(NO、GeC、Ge(C、Ge(CHCOO)、Ge(CHCOO)、GeBおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
1つの実施形態においては、ゲルマニウム前駆体はGeOである。
種々の実施形態においては、リン酸前駆体はNHPO、P、P、P、P、P、PO、P、P、(NHPO、(NH(HPO)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
1つの実施形態においては、リン酸前駆体はNHPOである。
種々の実施形態においては、酸化ホウ素前駆体はB(NO、B(CHCOO)、B(C、(NH(B)、NH(HB)、B(HPO、B(HPO、BPO、B(AlO、B(GeO(OH)、B(GeO(OH)、B(Ge(OH))、B(Ge(OH)、B(GeO(OH)、B(Ge(OH))およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
摩砕の後、スラリーを乾燥して粉体混合物を得る。スラリーは真空オーブン中、約50〜100℃、たとえば80℃で、たとえば6時間、12時間、18時間、24時間、30時間、またはそれ以上の時間、乾燥する。
【0027】
乾燥して粉体混合物を得た後、粉体混合物をこれが溶融するまで加熱する。種々の実施形態においては、粉体混合物は約1,000〜1,500℃の温度範囲、たとえば約1,375℃で溶融する。加熱溶融工程は2工程以上で行ってもよい。たとえば、粉体混合物は最初にアルミナるつぼ中、約375℃で約2時間加熱し、合成された粉体を次に再粉砕して、粉砕された合成粉体を白金るつぼ中、1,375℃でさらに2時間溶融する。
【0028】
次いで溶融物を迅速に急冷(quench)する。たとえば、粘稠な溶融物を、約150℃〜500℃、たとえば200℃〜400℃、250℃〜350℃、または約300℃に予熱したステンレス鋼板の上に注ぎ、直ちに急冷媒体中で急冷してもよい。1つの実施形態においては、粉体混合物を、約300℃に予熱したステンレス鋼板の上で急冷する。
【0029】
急冷の後、急冷した粉体混合物を約500〜600℃の温度範囲、たとえば約550℃でアニールして、リチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)ガラスを得る。
【0030】
アニーリング工程の後、LiO−Al−GeO−PガラスにBをドープして、LiO−Al−GeO−P電解質系を得る。種々の実施形態においては、LiO−Al−GeO−Pガラスに電解質系の全重量に対して多くとも約0.5wt%のBをドープする。たとえば、ガラスセラミック電解質系は約0.5wt%のB(すなわちLAGP−0.5B)、約0.4wt%のB(すなわちLAGP−0.4B)、約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)、約0.2wt%のB(すなわちLAGP−0.2B)、約0.1wt%のB(すなわちLAGP−0.1B)、またはそれ未満を含む。
【0031】
1つの実施形態においては、ガラスセラミック電解質系は約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)を含む。
本発明のLAGP−xB(x=0〜0.4wt%)GCE系については、かなり高いイオン電導度を有する不均一なガラス生成組成が最適化される。固体GCEは金属リ
チウムのアノードおよびカソードの間の樹枝状結晶の架橋を低減させる。したがって、9日間まで保存した対称的なLi/LAGP−xB GCE/Liセルのインピーダンスの変動を評価することによって、LAGP−xB(x=0〜0.4wt%)系列の最適化された組成物の金属リチウムとの親和性を解析した。Bをドープした固体LAGP GCEは水中で6週間以上も高度に安定であり、かつ極めて高いイオン電導度を有することが証明された。したがってBをドープしたLAGP GCEは将来のリチウム/空気電池における有望な候補と考えられる。
【0032】
したがって、本発明の第3の態様はアノードとカソードの間に挟まれたガラスセラミック電解質系を含むリチウムイオン電池に関し、ガラスセラミック電解質系は酸化ホウ素(B)をドープしたリチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸(LiO−Al−GeO−P)電解質を含む。
【0033】
種々の実施形態においては、LiO−Al−GeO−Pガラスに、電解質系の全重量に対して多くとも約0.5wt%のBをドープする。たとえば、ガラスセラミック電解質系は約0.5wt%のB(すなわちLAGP−0.5B)、約0.4wt%のB(すなわちLAGP−0.4B)、約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)、約0.2wt%のB(すなわちLAGP−0.2B)、約0.1wt%のB(すなわちLAGP−0.1B)、またはそれ未満を含む。
【0034】
1つの実施形態においては、ガラスセラミック電解質系は約0.3wt%のB(すなわちLAGP−0.3B)を含む。
本発明を容易に理解させ、実際に実行させるため、ここで以下の非限定的な例によって特定の実施形態を説明する。
【0035】
[実施例]
示差走査熱量測定(DSC)、X線回折(XRD)、電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)等の種々の手法によって、超イオン性LAGP GCE系の構造、形態および電導度に対するBドーピングの効果を検討した。熱的性質とガラス構造との関係も考察する。局部構造、すなわちLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)のリチウムの動力学を、GCEにおけるLi−O配位とともに、固体Li−NMR分光手法によって検討した。NaSICON様構造におけるリチウムの種々のサイトを記述するため、固体の1M LiClに対して表した化学シフトデータを用いる。LAGP−xB(x=0〜0.4wt%)ガラス系のイオン電導度を、−30〜100℃の広い温度範囲において100mHz〜1MHzの周波数範囲で検討した。母材LAGP GCEに組み込まれたBの添加は、(i)結晶性を低減させ、(ii)AlPOの不純物相および不均一性を抑制し、(iii)ガラス系中におけるカチオン濃度の増大によってイオン電導度を改良するためであった。
【0036】
実験
ガラス粉体、生ペレット、および焼結ディスクの合成
Li1.5Al0.5Ge1.5(PO(LAGP)を調製するための化学量論比の、種々の含量の試薬グレードのLiCO、Al、GeOおよびNHPOを、アルコール中(固体含量10vol%)、24時間、水平遊星ミルで十分に摩砕した。高い溶融温度においてはリチウム化合物が揮発する性質があり、また化学量論を維持するため、追加量のリチウム化合物を混合物に添加したことに留意することが重要である。混合したスラリーを真空オーブン中、80℃で24時間乾燥した。その後、20gの粉体混合物をアルミナるつぼ中、375℃で2時間加熱した。合成した粉体を再度粉砕し、次いで白金るつぼ中、1,375℃で2時間溶融した。粘稠な溶融物を約300℃
に予熱したステンレス鋼板の上に注ぎ、直ちに急冷した。ガラス生成範囲内ではこれらのガラスは無色透明で、引き続いてガラス応力を除くために550℃で2時間アニールした。その後、ドーピングの効果を解析するため、試薬グレードのBを種々の重量比で母材LAGPガラスに混合した。NaSICON菱面体(R−3cH)相を安定化させ、不純物のAlPO相を抑制するため、最小ドーパントレベルが必要である。このようにして得られたガラスフリットを次に種々の量のBと混合し、高エネルギーボールミルによって3時間粉砕して微粉体とし、75μm未満の粒子径を得た。ステンレス鋼の金型内で400mgのガラス粉体を6トン/cmの圧で60秒加圧することによって、直径16mm、厚み約1〜2mmの生ガラス「ペレット」を作成した。ペレットを空気中、825〜875℃で12時間、プログラムされた加熱冷却速度3℃/分で焼結した。
【0037】
材料特性解析
微粉体ガラスの特徴的な温度を同定するため、示差走査熱量計(TAインストルメンツ社(TA Instruments)Model2910)による熱解析を行った。速度10℃/分、温度範囲30〜900℃、窒素雰囲気下、空気流量50ml/分で、試料を走査した。試料30mgをアルミナパンに入れ、測定の基準として空のアルミナパンを用いた。本発明のDSCデータに基づいて2つの方法で熱処理を行った。第1のステップにおいては、核生成を達成するため、試料をガラス転移温度(T)と結晶化温度(T)との間の温度に2時間加熱した。第2の場合においては、ガラス状の試料を、Tを超える一定温度で同じ12時間の間、加熱してGCEを得た。
【0038】
焼結したGCEの結晶相は、CuKα放射(λ=0.15406nm(1.5406A))付きのブルーカ社(Bruker)D8 AXS Advance X線回折計を用い、10〜80°の2θ範囲にわたってステップ走査(0.02°、滞留時間0.6秒、40kV)でX線回折(XRD)技術によって同定した。格子パラメータならびに定量的相組成を決定するため、TOPASソフトウェアを用い、Rietveld法によって回折パターンをさらに評価した。熱処理後の試料の研磨した断面および平面を、高分解能電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM:JEOL社JSM7600F)によって、加速電圧5kVで解析した。電導性の両面炭素テープを用いて試料を金属スタブ上に載置し、走査前にJEOL社JFC−1200を用いて試料上に白金の薄層をスパッタした。界面の結晶特性および微小構造変化を検討するため、FE−SEMに取り付けたコンピュータ接続INCAマッピングソフトウェアを用いて、試料のX線エネルギー分散分光測定(EDS、DX−4、エダックス社(EDAX Co.)[米国所在])を記録した。
【0039】
顕微イオン動力学に関する知見を得るため、Tecmagインターフェースで動作するブルーカ社(Bruker)DSX−300分光計[ドイツ国レインシュテッテン(Rheinstetten)所在]を用い、116.6MHzで固体Li静的核磁気共鳴(NMR)測定を行った。リサイクルパルス遅延は2秒および64〜320スキャンとした。室温において四極子相互作用は小さいままで(C<180kHz)、それゆえ中央遷移とサテライト遷移の照射は非選択的である。約5kHzで回転する円筒形のジルコニアスピナーを用いて、マジック角回転(MAS)を行った。LiNMRの化学シフトは、1M LiCl固溶体に対して表した。NMRスペクトルのフィッティングはブルーカ社(Bruker)WINFITソフトウェアパッケージを用いて行った。このプログラムによって、NMRピークの位置、一般に「線幅」と称される半最大値における全幅(FWHM)および強度を決定することができる。しかし、四極子Cおよびη値は試行錯誤法によって推測する必要がある。
【0040】
電導度の測定のため、焼結したLAGP−xB(0〜0.4wt%)のペレット(直径約16mm、厚み約1〜2mm)の両表面上に金の層をスパッタした。イオン電導度測定は、ソラートロン社(Solartron)1470Eおよびポテンシオスタット
と連結したSI 1255Bインピーダンス/ゲイン相分析計を用いるACインピーダンス法で、周波数範囲10mHz〜1MHz、AC振幅電圧100mV、温度範囲−30〜100℃で行った。電導度測定は、ステンレス鋼(SS)のSwagelok(登録商標)セルに組み立てて冷却サイクルの間に記録した。測定前の温度における試料の熱平衡を保証するため、セルは少なくとも30分、それぞれの測定温度に保った。
【0041】
安定性試験
2つのリチウム電極の間に挟んで対称的なLi/GCE/Liセルを形成したBドープLAGP GCEの時間依存性界面抵抗(R)は、そのインピーダンス応答を測定することによって室温で測定した。セルを組み立て、アルゴンを満たしたMBraun社グローブボックス(O<0.1ppm、HO<0.1ppm)中でシールした。インピーダンススペクトルは9日間、周囲温度で採取した。LAGP−xB(0〜0.4wt%)の試料は、周囲環境下、室温で6週間、脱イオン水に浸けた。GCEの重量変化および外観から安定性を決定した。
【0042】
結果および考察
LAGP−xB(0〜0.4wt%)GCEの熱特性解析
結晶化挙動および動力学的因子を検討するため、LAGP−xB(x=0〜0.4wt%)について窒素雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)を行った。サーモグラムを図1に示す。異なったxの値に対して熱的挙動の顕著な相違が観察され、これは結晶化度に起因すると考えることができる。ガラス転移温度(T)および結晶化温度(T)を全ての試料について推定する。Tはxの増加とともに低下することが見出され、x=0.3wt%の場合にTは最低の497℃となり、これは母材LAGPガラスより約26.3℃低い。x=0.4wt%の組成物では、Tはx=0.3wt%組成物のときに観察されたTよりもやや高い。DSCデータから、母材LAGPガラスについてはアニールしたガラスのTおよびTはそれぞれ523.3℃および701.9℃であることが分かった。これらの値は他の研究者によって観察された値よりもそれぞれ約24.6℃および48℃低い。これはプロセスパラメータおよび溶融条件が異なるためであろう。DSCプロファイルの発熱ピークはガラス状マトリックスの結晶化、急冷したままの材料の性質の結果である。Tはx=0.3wt%の場合に最高の748.6℃であることが観察され、これは母材LAGPガラスより約47℃高い。一方x=0.4wt%の組成物で最低のTが観察される。見て分かるように、Tはxの増加とともにゆっくりと上昇し、xが高値の場合はガラスの結晶化が困難であることを示唆し、過剰のBがリン酸塩ガラスの結晶化を妨げることを示している。T−Tの値はxの増加とともに変動することが観察され、x=0.3wt%で最大(最大の熱安定性)、x=0.4wt%で最小(最小の熱安定性)であることが見出され、結晶化に対するガラスの熱安定性がLAGPガラスマトリックス中へのBのドーピングとともに変動することが示されることは明らかである。換言すれば、過剰のBドーピングはLAGP系におけるガラスの熱安定性にほとんど影響しない。
【0043】
GCEの構造/形態特性解析
温度825〜875℃で12時間焼結(図2に示すように)したLAGP GCEのXRDパターンによって、結晶NASICON型相形成が確認される。母材のLAGP GCE系は、Al3+イオンがGe4+イオンを置き換える際の固溶体の生成を示す。粉体X線回折パターンのRietveld解析によって行ったLAGP結晶構造の純化は、菱面体晶の対称性(空間群R−3c、#167)を示す。LAGP相において、リチウムは部分的に占有されたM1サイト(ウィコフサイト6b)に位置し、一方Al3+およびGe4+は12cサイトを共有している。焼結した全ての試料についてこの構造が観察された。公称組成およびサイトの占有は、全ての純化について一定に保たれていた。不純物相のベルリナイト型AlPO(空間群C2221 #20)による2θ=26、37.5
および39.5°における回折ピークは、全ての焼結温度において現われる。焼結温度を上昇させるとともに、主回折ピークの幅はますます狭くなる。
【0044】
ピーク強度の僅かな変動は、試料の結晶性の変動、すなわち固体中の構造規則性の程度、ならびに850℃で12時間焼結した試料において明確に証明されるような大きな顆粒の成長を示す。この高い結晶性によってNaSICON構造中の電導チャネルの間の接続が良好になり、材料のイオン電導性が増大することが期待される。
【0045】
850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0〜0.4wt%)GCEのXRDパターンを図3に示す。これは母材LAGP試料について観察されたピークと同程度の明瞭なピークを示している。Bをドープした試料について、不純物相AlPOが観察される。NaSICON型相のピーク強度は(半最大値における全幅とは対照的に)、0.3wt%までのxの増加とともに僅かに減少し、LAGP−xBガラス中の過剰のB(>0.3wt%)は結晶化プロセスをやや困難にしていることを示しており、これはDSCの結果(図1)と一致している。不純物ピークの強度は0.3wt%までのxの増加とともに急速に減少し、おそらくGCEの電導性をより高くしていることも分かる。過剰のB(x=0.4wt%)の一部が一次のLAGPならびにLAGP−xB GCE中の二次のAlPO相を抑制し、結晶構造の無秩序化を示すことは明らかである。TOPASソフトウェアを用いてRietveld解析によって決定した焼結LAGP−xB GCEの純化結晶構造a,cパラメータおよびセル体積および二次相の量を下のテーブル1に示す。得られた格子パラメータはLiGe(POの文献データ、a=0.8268nm(8.268A)およびc=2.0645nm(20.645A)(JCPDS 41−0034)とよく一致し、Bをドープした試料の結晶相のNaSICON型構造が確かめられた。格子定数aは全組成範囲にわたって直線的増加を示す。データの比較により、xが0から0.3wt%に増加するとともに、cパラメータ(おそらく構造/微小構造の変化による)ならびにセル体積の僅かな減少が見られ、これはおそらく3Dネットワーク構造の変化によるものである。
【0046】
テーブル1:850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)GCEのRietveld解析データおよびユニットセルパラメータ
【0047】
【表1】
LAGP−xB(0〜0.5)ガラスセラミック電解質の破折した表面の微小形態および元素分布を、エネルギー分散分光測定(EDS)を備えた電界放出走査電子顕微鏡(FESEM)によって解析した。図4に示すように、825〜875℃の種々の温度で熱処理したLAGPのFE−SEM顕微鏡写真は、完全に相互連通した顆粒境界を有する均一な表面形態および良好に結晶化した顆粒ネットワークを示した。875℃で焼結したLAGP GCEは結晶成長が促進されており、したがって825℃で焼結した場合よりも高い密度を示す。母材のLAGP GCEについては高度に結晶性の顆粒(1〜10μm)が観察される。850℃で6時間加熱したGCEは、孔および割れ目が極めて少なく、極めて密な構造によって特徴付けられた。焼成温度をさらに875℃に上昇させると
、ガラスセラミック中の結晶化顆粒がさらに成長し、顆粒境界に沿ってさらにいくつかの割れ目が発生した。図5に、850℃で12時間処理したLAGP−xBガラスセラミックの破折断面のFESEM画像を示す。これは、全ての組成について割れ目またはボイド等の大きな欠陥が全くない密な構造を示した。欠陥密度および母材LAGP格子中の不純物の程度等のいくつかの要因により、異なったBドーピングの結果としての結晶形態の顕著な相違が観察される。GCEの密度は、エタノールを浸漬媒体とするアルキメデス法によって決定した。母材LAGPガラスの結晶形態は、BドープしたLAGPガラス(密度約93〜96%)に比べてかなり密(密度95〜97%)で、平滑であった。境界エリアにはある程度の数の孔が観察されるものの、顆粒は相互に良好に接している。イオン電導度の変動は、微小構造および調製方法の相違のみによるものではないであろう。この電導度の違いは、粒子間接触の結果としてのバルクおよび顆粒境界の寄与、密度、焼結、および電極−電解質界面効果等のいくつかの要因によって生じると思われる。EDSによって得られたゲルマニウムおよびアルミニウム元素の分布をテーブル2に示す。ゲルマニウムおよびアルミニウム元素はB含量とともに一様に変動しているようである。
【0048】
テーブル2:850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0.0〜0.4wt%)GCEのEDX解析
【0049】
【表2】
LAGP−xB(0〜0.4wt%)のLiNMR分光測定
LAGP−xB(0〜0.4wt%)GCEのリチウムによって占有された構造サイトを、室温、静的条件で記録したLiNMR(I=3/2)スペクトル(図6に示す)によって決定する。図6の挿入図に、本シリーズのLi静的NMRスペクトルの中央成分の拡大図を示す。スペクトルは1本の中央線(−1/2、1/2遷移)および2本のサテライト線(−3/2、−1/2および1/2、3/2遷移)から形成されている。中央線およびサテライト線は等間隔のスピニングサイドバンドによって変調されており、サイドバンドの頂点をつなぐことによって試料の粉体パターンが再現される。母材LAGPマトリックスにおける(種々のwt%の)Bドーピングの関数としての中央のLiの遷移の半最大値における全幅(FWHM)を解析することによって、Li線幅とイオン電導度との相関を検討する。中央遷移のFWHMは、母材LAGPマトリックスの静的LiNMRスペクトルにおいては220Hz付近である。この成分の線幅はx≦0.2ではほぼ一定であるが、x>0.2では増大し、これは電導度の傾向(図9および図10)と符合する。同時に、この成分の1ppmから3.5ppmへの漸進的なシフトが観察される。一次的には、Liの中央遷移線幅は主として2つの効果、すなわち(i)双極子−双極子相互作用(最もありそうなものはLi−P)の強さおよび(ii)これらの相互作用を効果的に平均化し得るリチウムイオン移動度(電導度と相関する)によって支配される。後者の影響がLAGP−xB(0〜0.4wt%)GCE系における線幅拡大の主要な原因であることが最もありそうである。それは、後で考察するように、x=0.3wt%で電導度の急激な増大が見られるからである。双極子−双極子相互作用
の強さの増大はリチウムイオンの移動に関与する3Dトンネルフレームワークにおける増大または延長に起因し、したがってNaSICON型構造の結晶格子に過剰のリチウムの一部が組み込まれていることを立証するものである。LiNMRシグナルが大きく重複しているので、ここで検討したLAGP−xB(0〜0.4wt%)GCE系においては、LiOおよびLiO単位はよく区別されていない。スピニングサイドバンドパターンを用いて、リチウムによって占有された構造サイトの特性を表す、LAGP−xBの四極子定数Cおよび非対称パラメータηを決定した。xが0.3wt%を超えるとスピニングサイドバンドの数が増加し、別の無秩序相の存在を示す。x=0.3および0.4wt%の試料においては、LiNMRスペクトルは四極子定数C(1)が40kHzとC(2)が110kHzの2つの成分から形成されている。最後に、NASICON化合物のC(1)パラメータの増大が観察される。これらのサテライト遷移の鋭さはBの置換ならびに加工の程度に依存し、個々のリチウムイオンが受ける電場勾配(efg)のある分布と一致すると思われる。しかし図6に見られるように、置換はefgの大きさに主要な影響を有しているようには思われず、ここではBの添加のみがCの極めて僅かではあるが着実な増大(42kHzから43.2kHzへ)の原因であると思われる。LGP中のLiの以前の検討により、このCの値はリチウムがNaSICON構造のM1サイト、すなわち、リチウムイオンが八面体配列の6個の酸素と配位し、efgがM2サイトと比較して相対的に対称であるサイトに主として存在していることに対応していることが示唆された。Bの添加によるCの僅かな増大は、いくらかのM1置換ならびに全体のセル体積の収縮の結果であろう。
【0050】
LAGP−xB(0〜0.4wt%)GCEのイオン電導度
NaSICON型電解質材料の全イオン電導度は、結晶顆粒中ならびに顆粒境界を通るリチウムイオンの輸送に依存する。知られているように、これらの顆粒は顆粒境界よりも電導度が高く、したがって電気化学的セルに埋め込まれた多結晶性材料の全体の電導度を制御する。したがって、構造/微小構造および顆粒境界を通るリチウムイオン輸送特性を制御することは、超イオン性GCEを達成するための重要な要素である。
【0051】
825〜875℃で12時間焼結したLAGPについて室温で記録した複素インピーダンスプロット(−Z”対Z’)を図7に示す。全ての試料について、プロットの低周波数端において1つの弧とこれに続く傾いたスパイクとが観察される。室温でのインピーダンスプロファイルにおけるバルクのインピーダンス半円の消失は、バルクの抵抗が極めて低いことによると思われ、これは通常たとえば1MHzを超える極めて高い周波数における応答である。周波数範囲103〜105Hzで観察される高周波の弧は、顆粒内部におけるリチウムイオンの運動(顆粒−内部応答)に起因する。100mHz〜1kHzの範囲で観察されるスパイクは電極表面におけるイオンのブロッキング効果(電極応答)によるもので、この応答は高温においてよく観察される。
【0052】
試料の全抵抗(R+Rgb)はプロットにおける半円の実軸との右切片から得られる。したがってバルク抵抗の値(R)は半円の実軸との右切片と左切片との差である。R値は全ての試料のσ(全電導度)の対応する値を計算するために用いる。LAGP GCEの場合においては、結晶LAGP GCEに顆粒境界が存在するので、バルク電導機構に対応するただ1つの半円が観察される。850℃で処理したGCEではRならびにR+Rgbが最小であることが観察される一方、結晶材料の余分な成長の結果としてRgbの方が僅かに大きいことは注目に値する。Rは825℃で12時間焼結した試料で最小の約49Ωであることが観察された。この現象は超微細材料におけるイオン電導度および拡散について観察されたことと一致している。それは、顆粒間領域においてイオンの濃度が高く、移動度が大きいために、顆粒境界が電気輸送特性を支配しているからである。
【0053】
全イオン電導度は、(a)バルク材料の密度を増大させて顆粒境界抵抗を最小化し、(b)より多くのリチウムをフレームワークに導入して移動性イオン濃度を増大させ、および(c)格子パラメータを調整してリチウムイオン電導のための格子間チャネルの大きさを最適化することによる、ドープするBの成分および含量の最適化によってさらに改善される。図8に示すように、LAGP−xB(0.1〜0.4wt%)について同様のインピーダンスプロットが観察される。インピーダンススペクトルの形状(図の挿入図において拡大スケールで示す)は、他で報告された他のNaSICON型電解質と一致している。しかし、図5に示すような焼結したペレットの密な構造であるが相互連通したボイドにより、RgbはRより大きい。インピーダンススペクトルにおいて室温より高い温度でのバルクと顆粒境界の寄与を分離することは困難であるので、全イオン電導度を決定した。xが0.1から0.3に増加するとR+RgbおよびRは減少し、xがさらに増加すると上昇したことが分かる。xの初期の増加に伴ってRおよびR+Rgbの値は3分の1に減少し、x=0.3付近で最小に達する。x>0.4におけるR+RgbおよびRの増大は、リチウムイオン電導度に影響する、上で得られたようなセル体積の過剰拡大および顆粒間領域における孔およびボイドの出現によると考えられる。しかし高温においてはインピーダンスデータの解釈はより複雑になる。それは、高周波数の虚数インピーダンス値が実験的制約によって正になるからである。
【0054】
825〜875℃の温度で12時間焼結した母材LAGP GCEについて−30〜100℃の温度範囲でアレニウス式σT=A(−E/kT)から計算した全イオン電導度(σ)および活性化エネルギー(E)の温度依存性を図9に示す。ここでAは頻度因子、Eは電導の活性化エネルギー、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。全ペレット電導度σTはスパイクおよび/または弧(低周波数端)のZ’軸上の切片から得られる。その結果、全イオン電導度は室温で約3.2×10−3Scm−1であり、NaSICON構造を有する関連するリチウム超イオン電導体について報告された300℃における純LiGe(POの約10−5Scm−1よりも数倍高い。
【0055】
アレニウスプロットは2つのエリア:(i)活性化エネルギーが約0.59eVと高い−30〜40℃の直線、(ii)活性化エネルギーが約0.21eVと低い40℃付近の勾配変化を示す。活性化エネルギーは電導チャネルに沿ったリチウムイオンの運動の妨害の尺度であり、したがって活性化エネルギーの2つの状態は以下のように明確に区別される。ボトルネックの大きさは第1の状態(40℃未満)においてリチウムイオンの大きさより小さく、第2の状態においてはそれより大きい。850℃で調製した試料は、825℃および875℃で得た試料に比べて僅かに高いバルクおよび全リチウムイオン電導度を示した。イオン電導度の増大は、高い焼結温度で得た粒子の大きさの増大および粒子間接触が良いことによって説明された。これは高温での焼結の結果としての移動性リチウムイオン濃度の変化によるものでもあろう。
【0056】
図10に、温度850℃で12時間焼結したLAGP−xB(0.1〜0.4wt%)のイオン電導度の温度依存性をアレニウスプロットの形式で示す。B組成0.3の試料は、本研究で検討した全温度範囲において最高のσ電導度を示し、30℃において8.25×10−3Scm−1のオーダーの値に到達している。冷却サイクルの間に得られたデータも活性化エネルギーの2つの領域をたどっている。BアナログであるLAGP−B(0.3wt%)は特に低温において、対応するLAGP GCEよりも3倍高いσを示す。σの明らかな増大は、おそらく試料の全リチウムイオン電導度を増大させる密な顆粒間領域によるものであろう。LAGP−0.4Bの電導度がずっと低いのは、xの増加とともに構造中の大きなボイドの濃度を減少させるネットワーク構造の変化に起因する(すなわちx=0.3では大きなボイドは存在しない)。大きな「ケージ」サイトと比べて、占有された小さな「ケージ」キャビティの間では移動のための「窓」が減少するため、この構造変化はリチウムの拡散に対して明らかに有害である。
さらに、xが増加すると、チャネル中のLi−O相互作用がより強くなり、これはまた電導度を低下させる。多くの場合において、リチウム輸送に対して活性化エネルギーの2つの領域(0.58〜0.74eV)および(0.18〜0.42eV)が観察される。上記の結果より、電導度の結果は全ての試料について観察されたNMRの結果とよく一致することが明らかである。
【0057】
Li/LAGP−0.3B GCE/Li対称セルの界面抵抗
図11に、2つの金属リチウム電極の間に試料を挟むことによって形成したLAGP−0.3B GCE対称セルの室温におけるインピーダンス応答を示す。インピーダンス測定は引き続く保存期間において行った。応答は期待された半円状の軌跡とともに起こり、それによって低周波数における実軸との切片からLi/GCE界面抵抗(R)の値が得られる。これはリチウム電極表面上の不動態化フィルムの抵抗を含む。一方、バルク抵抗(R)は高周波数における実軸との切片から得られる。このようなパターンは一般に高いイオン電導度(すなわち低いR値)を有する固体電解質によって示される。最初の2週間の保存において1000Ωより低いインピーダンス値を有する典型的なスペクトルが得られた。Li/LAGP−0.3B GCE/Liセルについて、初期界面抵抗は最小の約67Ωである。インピーダンスの初期増大が観察されたことは、リチウム電極とGCE試料との反応性によりリチウム電極が経時的に不動態化されることを暗示している。保存9日後に観察された約392ΩのR値は、BをドープしたGCEについて界面抵抗が小さいことを示す。BをドープしたGCEにおいては、界面抵抗が比較的小さいこと、ならびに抵抗の増大速度が比較的遅いことが観察される。これは、適切なB含量によって良好な界面安定性が得られることに起因する。リチウムイオンを自由に導くため、ならびに樹枝状結晶の形成を防止するために、金属リチウム上に安定な固体GCE界面を形成することは、将来のリチウムイオン/空気電池には重要である。
【0058】
DI水中のLAGP−xB(0〜0.4wt%)GCEの安定性
リチウムイオン電導GCEは、貫通孔を有さず、水蒸気透過性を示さないこと、ならびに塩化リチウムの存在下および不在下にアルカリ水溶液中で安定であることが報告されている。したがって、850℃で12時間焼結したLAGP−xB(x=0〜0.4)GCEのDI水中における安定性を確認するため、引き続いて6週間後の重量変化の測定による安定性試験を行った。蒸留水10mlを満たした蓋付きの小さなガラス製ペトリ皿に試料を浸した。DI水中6週間の安定性はこれらの電解質が外観的にも構造的にも劣化していないことを示している。重量増加は全ての試料について6週間後に0.8〜1.4%の範囲で変動しているように見える。変色も表面のテクスチャの変化も観察されない。外見より、6週間後であっても試料は1日目と同じ外見上の寸法を有していることが確認される。したがって、LAGP−xB(0〜0.4wt%)GCEは、将来のリチウム/空気電池において周囲環境下で水および水蒸気から金属リチウムアノードを保護する可能性を有している。
【0059】
結論
リン酸塩ガラスセラミック電解質における高いイオン電導度は、母材ガラス構造に欠陥/無秩序を導入することによって達成される。本発明のNaSICON型試料に関する研究により、構造中のリチウムイオン含量およびそのサイトが高速イオン電導に重要であることが明白に示された。850℃で12時間焼結したガラスセラミックのイオン電導度はその他の温度で焼結したものよりも高い。LAGP−xB(x=0〜0.4wt%)GCEの電導度の比較により、850℃で12時間焼結した試料についてはx=0.3で30℃における最高の電導度約8.75×10−3Scm−1が見られることが示される。母材LAGPと同様、BをドープしたLAGP GCEについても、高い構造均一性、すなわち結晶性を有するNaSICON相が観察された。DI水中6週間の安定
性は、これらのGCEに顕著な外観または微小構造の劣化がないことを示している。イオン電導性が高く、電導の活性化エネルギーが低い超イオン性リチウムイオン電導固体電解質は、将来の再充電可能なリチウム/空気電池における安全が期待される有望な候補であろう。
【0060】
「含む(comprising)」は、これだけに限らないが、単語「含む(comprising)」に続く全てのものを含むことを意味する。したがって、用語「含む(comprising)」の使用は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は任意であり、存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0061】
「からなる(consisting of)」は、句「からなる(consisting of)」に続く全てのものを含み、それに限ることを意味する。したがって、句「からなる(consisting of)」は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素は存在しないことを示す。
【0062】
本明細書に説明的に記述した発明は、本明細書に特に開示していないいかなる要素、限定なしに、好適に実施することができる。したがって、たとえば用語「含む(comprising、including、containing等)」は、拡張的かつ限定なしに読まれるべきである。さらに、本明細書において用いた用語および表現は、説明の用語として限定なしに用いており、そのような用語および表現の使用には、開示し記述した特徴のいかなる等価物またはその部分をも排除する意図はなく、特許請求する発明の範囲内において種々の変更が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態および選択的特徴によって本発明を具体的に開示したが、ここで具現化し、本明細書に開示した本発明の変更および変形は当業者によって行うことができること、およびそのような変更および変形は本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0063】
所与の数値、たとえば温度および時間に関して「約(about)」は、指定された値の10%以内の数値を含むことを意味する。
本明細書において本発明を広範かつ一般的に記述した。概観的な開示に包含される狭い種および下位のグループのそれぞれも、本発明の一部を形成する。この中には、除外した要素が本明細書において具体的に言及されたか否かに関わらず、任意の主題をグループから除外するという条件または消極的限定付きで、本発明の一般的記述が含まれる。
【0064】
その他の実施形態も以下の特許請求の範囲および非限定的実施例に含まれる。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループの観点で記述される場合には、本発明はまた、マーカッシュグループの任意の個別の要素または要素のサブグループの観点で記述されていることを当業者は認識することになる。
【0065】

【表3】
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11