(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121556
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ハーブサプリメントおよびその使用の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/22 20060101AFI20170417BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20170417BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20170417BHJP
A61K 36/77 20060101ALI20170417BHJP
A61K 31/7024 20060101ALI20170417BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20170417BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20170417BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20170417BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20170417BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20170417BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20170417BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20170417BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20170417BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20170417BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20170417BHJP
【FI】
A61K36/22
A61K36/534
A61K36/185
A61K36/77
A61K31/7024
A61K31/704
A61K9/20
A61K9/48
A61P1/00
A61P1/10
A61P3/04
A61P21/02
A61P25/08
A61P43/00 121
A23L33/105
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-544076(P2015-544076)
(86)(22)【出願日】2013年11月5日
(65)【公表番号】特表2016-501862(P2016-501862A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013068550
(87)【国際公開番号】WO2014081563
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/728,893
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515135756
【氏名又は名称】ケイビーエス リサーチ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ケネス
(72)【発明者】
【氏名】スコット ブランディ エム
【審査官】
鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】
Journal of Animal Science ,2006年,Vol.84,No.9,pp.2546-2554
【文献】
Gastroenterology,2006年,Vol.130,No.4,Suppl.2,pp.A322-A323
【文献】
World Journal of Surgery,2005年,Vol.29,No.12,pp.1614-1620
【文献】
Phytomedicine,2005年,Vol.12,No.8,pp.601-606
【文献】
Digestive and Liver Disease,2007年,Vol.39,No.6,pp.530-536
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23L 33/105
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61P 1/00
A61P 1/10
A61P 3/04
A61P 21/02
A61P 25/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーブサプリメントであって:
アカケブラコエキス;
トリテルペノイドサポニンを含むハーブ組成物;および
抗痙攣剤を含み、
該アカケブラコエキスは、サプリメント総重量の約0.5%から約75%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該ハーブ組成物は、サプリメント総重量の約10%から約90%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該抗痙攣剤は、サプリメント総重量の約2%から約70%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該サプリメントがヒト対象における鼓腸、便秘および/または体重増加を軽減するよう製剤化されることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項2】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、前記アカケブラコエキスが濃縮タンニンを少なくとも約50%の量で含むことを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項3】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、前記トリテルペノイドサポニンがトチノキまたはムクロジ種の植物エキスの形態で提供されることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項4】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、前記抗痙攣剤がハッカ油の形態で提供されることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項5】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、該ハーブサプリメントが約20から500mgの間のアカケブラコエキス;約100から約2000mgの間のセイヨウトチノキ植物エキス;および約0.05から約1mLの間のハッカ油を含む剤型に製剤化されることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項6】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、ニュートラシューティカルとして許容できる担体をさらに含み、該ハーブサプリメントが錠剤またはカプセルの形態であることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項7】
ヒト対象における鼓腸、便秘および/または体重増加を治療するためのハーブサプリメントであって:
アカケブラコエキス;
ニュートラシューティカルとして許容できる担体;
トリテルペノイドサポニンを含む1つまたはそれ以上のハーブ組成物;および
抗痙攣剤を含み、
該ハーブサプリメントが1つまたはそれ以上の錠剤またはカプセルの形態であり、
該ハーブサプリメントが、10から1000mgの間のアカケブラコエキス;トリテルペノイドサポニンを含む50から2000mgの間のハーブ組成物;および10から1000mgの間の抗痙攣剤を含む剤型であることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項8】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、
該アカケブラコエキスは、サプリメント総重量の約2%から約40%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該ハーブ組成物は、サプリメント総重量の約20%から約80%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該抗痙攣剤は、サプリメント総重量の約5%から約40%の間で該ハーブサプリメント中に存在している、前記ハーブサプリメント。
【請求項9】
請求項1に記載のハーブサプリメントであって、
該アカケブラコエキスは、サプリメント総重量の約5%から約20%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該ハーブ組成物は、サプリメント総重量の約40%から約65%の間で該ハーブサプリメント中に存在し、
該抗痙攣剤は、サプリメント総重量の約15%から約30%の間で該ハーブサプリメント中に存在している、前記ハーブサプリメント。
【請求項10】
請求項7に記載のハーブサプリメントであって、該ハーブサプリメントが、25から500mgの間のアカケブラコエキス;トリテルペノイドサポニンを含む150から1000mgの間のハーブ組成物;および50から500mgの間の抗痙攣剤を含む剤型であることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項11】
請求項7に記載のハーブサプリメントであって、該ハーブサプリメントが、25から500mgの間のアカケブラコエキス;トリテルペノイドサポニンを含む50から1000mgの間のハーブ組成物;および10から1000mgの間の抗痙攣剤を含む剤型であることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【請求項12】
請求項7に記載のハーブサプリメントであって、該ハーブサプリメントが、50から200mgの間のアカケブラコエキス;トリテルペノイドサポニンを含む300から600mgの間のハーブ組成物;および100から300mgの間の抗痙攣剤を含む剤型であることを特徴とする、前記ハーブサプリメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年11月21日に出願された米国特許仮出願第61/728,893号に対する優先権を主張する。前述の明細書の全文は参考文献として本願に援用する。
【0002】
本願は、鼓腸、便秘および/または体重増加に随伴する疾患を治療するためのハーブ組成物および方法に関する。より具体的には、本願は、鼓腸、便秘および/または体重増加を治療するための、ハーブサプリメントおよびヒト対象における濃縮タンニンの経口投与を含む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腸疾患は、鼓腸および便秘をしばしば特徴とし、かつ人口の少なくとも20%が罹患すると考えられる。それにもかかわらず、今日まで有効な治療法はない。そのような腸疾患は過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘、慢性偽性腸閉塞、および慢性腹部鼓腸症候群(chronic abdominal bloating syndrome)を含む。症状は腹痛、便秘、鼓腸、酸逆流、膨満、悪心および嘔吐、慢性嗜眠および睡眠障害を含む。
【0004】
IBSは、慢性腹痛および便秘(IBS−C)、下痢(IBS−D)のいずれかまたはその両者(IBS−M;混合型)を伴う排便習慣の変化を特徴とする消化器系障害である。IBSは最も多く診断されるGI疾患である。欠勤の理由として風邪に次ぐ唯一のものである。一般母集団の約20%がIBSを患い、医療費の増加をもたらすと推定される。年間の直接および間接経費は最高で300億ドルであると報告されている。
【0005】
機能性便秘は、6300万人のIBS罹患アメリカ人が患う最も一般的な消化器系愁訴である。IBSは、硬便またはしぶり腹または排便が1週間に3回未満の期間が少なくとも25%であることをしばしば特徴とする。
【0006】
医療の問題としてのIBSの深刻さにもかかわらず、根底にある原因はほとんど分かっていない。従来はGI運動性の変化および臓器の過敏性に重点が置かれてきた。最近の報告より、小腸細菌過剰繁殖(SIBO)がIBS、さらには肥満およびII型糖尿病の発症に重要な役割を果たすことが示唆される。たとえば、複数の研究より、IBS患者の小腸に過量の大腸菌型細菌があることが証明されている。
【0007】
メタン産生古細菌は、主として嫌気性条件下で成長しかつ発酵副産物としてメタン(CH
4)を産生する、SIBOに寄与する重要な腸内定着群である。メタン産生細菌を含む腸内細菌による炭水化物の分解は、短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸、酢酸)、さらには二酸化炭素、水素およびメタンの産生をもたらす。これらの産生物は酸性便、腹部膨満、膨満、下痢、および便秘に関連する。メタン産生細菌は、他の細菌に由来する産生物の存在下でその代謝が亢進するという点が特異である。他の細菌に由来する水素およびアンモニアをメタンを産生するための基質として用いる。腸内のメタン産生は、IBS−C、機能性便秘、肥満およびII型糖尿病と関連付けられている。メタンは直接腸内移動時間、腸運動性、および疼痛閾値の低下をもたらす直腸知覚運動機能に影響する。
【0008】
微生物叢が栄養素取り込みの決定因子、エネルギー調節および最終的には体重および代謝障害に決定的な役割を果たすというエビデンスが増加している。腸内微生物は、食物成分からのエネルギーの回収にも、またエネルギーがどのように保存および消費されるかにも影響することがある。この点でメタン産生細菌は、やせ型の動物および個人と比較して、肥満マウスおよびヒトにおいてより多く存在することが確認されている。細菌種と古細菌種の間の水素の移行は、H
2またはギ酸などの発酵中間体を除去することにより、メタン産生菌を介して大腸によるエネルギー取り込みを亢進しうることが示されている。これにより、腸管腔からの吸収のための短鎖脂肪酸のより大きな産生および利用能が可能となる。産生されたメタンは局所麻痺剤としても作用し、小腸内で食物基質が吸収絨毛とより長い時間接触することを可能とする。
【0009】
消化器系障害および肥満のための治療選択肢は限られている。たとえば、線維などのバルク剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、およびより最近ではプロバイオティクスおよび抗生物質の使用を含むIBSのための治療選択肢はあるものの、そうした治療選択肢は十分に有効でなく、また根底にある問題を治療しない。たとえば、バルク剤はIBS症状の全体的な改善を示すと証明されておらず、また実際には鼓腸および疼痛を増加させることが証明されている。米国でIBSに対して利用できる抗痙攣剤はジサイクロミン、ヒヨスチアミン、およびハッカ油である。最近のメタアナリシスでは、ハッカ油のみがIBS症状の全体的な改善に有効であると確認された。抗うつ剤は不十分かつ矛盾した結果が示されており、症状を緩和しないことが最終的に立証されている。プロバイオティクスについては、大規模なメタアナリシスではプラセボより優れた効果が立証されなかった。また当然ながら、肥満は流行性の問題であり有効な選択肢はほとんどない。
【0010】
複数の調査より、自分の治療に満足しているIBS患者は14%未満であることが立証された。現在、IBSまたは肥満に対する信頼できる薬物療法の選択肢はほとんどない。
【0011】
IBSおよび機能性便秘、さらには肥満または望ましくない体重増加を含めた、腸障害治療に随伴する現在の欠陥を考慮すると、新たの治療法に対するニーズがある。本願は、このニーズに対処し、かつそのような障害または疾患を治療するための新たな方法および製剤を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、鼓腸、便秘および/または体重増加に随伴する疾患を治療するためのハーブ組成物および方法に関する。1つの態様において、本願は、鼓腸、便秘または体重増加を治療するための方法であって、鼓腸、便秘および/または体重増加を軽減するのに有効な量の濃縮タンニンを含むハーブサプリメントをそれを必要とするヒト対象に経口投与することを含む方法を提供する。
【0013】
一部の実施形態においては、本方法はアカケブラコエキスを含むハーブサプリメントを用いる。他の実施形態においては、サプリメントはトリテルペノイドサポニンを含むハーブ組成物、抗痙攣剤を含むハーブ組成物のいずれかまたは両者を追加的に含む。
【0014】
組成物および方法は、鼓腸または便秘を特徴とする腸障害、さらには肥満および望ましくない体重増加を特徴とする他の疾患を治療することに適用しうる。典型的な治療対象の腸障害は過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘および慢性腹部鼓腸症候群を含む。組成物は、肥満またはII型糖尿病を管理または抑制するためにさらに適用しうる。
【0015】
1つの他の実施形態においては、ハーブサプリメントはアカケブラコエキス、およびトリテルペノイドサポニン、抗痙攣剤のいずれかまたは両者を含むハーブサプリメントを含み、サプリメントが鼓腸、便秘、および/または体重増加を軽減するよう製剤化されていることを特徴とする。他の実施形態においては、ハーブサプリメントはアカケブラコエキスおよびニュートラシューティカルとして許容できる担体を含み、サプリメントが錠剤またはカプセルの形態にあることを特徴とする。
【0016】
アカケブラコエキスは任意のアカケブラコ樹に由来しうる。典型的なアカケブラコ種はShinopsis lorentzii、Schinopsis balansae、Schinopsis brasiliensis、Schinopsis haenkeana、Schinopsis heterophyllaおよびSchinopsis marginataを含む。好ましくは、サプリメントは濃縮タンニン含有量が約50%と約80%の間のアカケブラコエキスを含む。濃縮タンニンはタンパク質と結合し、これを沈殿させ、かつ/あるいは収斂させ、かつ原虫類およびメタン産生細菌の活性に負の影響を与えることが知られている。
【0017】
一定の実施形態においては、トリテルペノイドサポニンは、トチノキ(Aesculus)またはムクロジ(Satindus)種の植物エキスといった植物エキスの形態で提供される。植物においては、トリテルペノイドサポニンは病原微生物および草食動物に対して防御的な化合物とされる。トリテルペノイドサポニンは、これとの細胞表面相互作用を介して細菌および菌類を抑制する能力を含むその抗菌性を考慮すると、また炭水化物と複合体を形成して消化性を改善させる能力において有用である。1つの実施形態においては、トリテルペノイドサポニンは、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)エキス、ムクロジ(Satindus trifoliatus)エキス、またはその種子エキスの形態で提供される。
【0018】
一部の実施形態においては、ハーブサプリメントは、1つまたはそれ以上の抗痙攣剤を植物に由来するハーブエキスの形態で含む。抗痙攣(または鎮痙)剤は筋肉の攣縮または痙攣を予防または緩和し、かつ特に腹痛を軽減すること、消化器系を鎮静および緩和することおよび胃食道括約筋を弛緩させることという点で、IBS患者の腸または膀胱の筋肉に特別な利益を提供する。典型的な抗痙攣剤の提供源は、メギ、バジル、ブラックコホシュ、ツボクサ、カモミール、クランプバーク、ディル、ウイキョウ、ショウキョウ、サンザシ、ホップ、ネズノミ、レモンバーム、カンゾウ、ウスベニタチアオイ、ナツメグ、ハッカ、ローズマリー、サフラン、セージ、タツナミソウ、アカニレ、ミドリハッカ、タイム、カノコソウ、ワイルドレタスおよびワイルドヤムなどの植物を含む。1つの実施形態においては、抗痙攣剤はハッカ油の形態で提供される。
【0019】
具体的な実施形態においては、ハーブサプリメントは、約20から500mgの間のアカケブラコエキス;約100から約2000mgの間のAesculus hippocastanum植物エキス;および約0.05から約1mgの間のハッカ油を含む剤型にある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の発明を実施するための形態は、任意の当業者が本願を作製および使用することを可能とするために提示される。説明を目的として、本願の完全な理解を提供するために具体的な用語が明記されている。しかし、これらの具体的な詳細は本願を実践するために必要でないことが当業者に明らかとなるであろう。具体的な用途の説明は典型的な実施例としてのみ提供される。本願は提示する実施形態に限定されることではなく、本願に開示される原理および趣旨と一致する最も広い範囲に一致することを意図する。
【0021】
特に定義しない限り、本願に関連して用いられる学術用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有することとする。さらに、文脈上特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含みかつ複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0022】
(定義)
本願で用いる以下の用語は以下の意味を有する:本願で用いる用語「ハーブ組成物」は、1つまたはそれ以上の植物材料エキスまたはその精油から得られ、分離され、かつ/またはこれに由来する任意の植物化学物質またはその混合物に関して用いられる。用語「植物材料」は、葉、ハーク、樹皮、幹、花、果実、種子、根、およびその組み合わせを含むがこれに限定されない任意の植物材料を意味する。用語「ハーブエキス」および「植物エキス」は、植物から直接抽出された植物材料に関して互換的に用いられる。エキスは乾燥粉末、溶液または油の形態でありうる。
【0023】
本願で用いる語句、体重増加を「治療する」または体重増加の「治療」は、体重減少の促進、さらには体重の調節または管理、またはより具体的には、体重増加の予防および/または体重増加促進の阻害の同義語である。
【0024】
「ニュートラシューティカルとして許容できる担体」という記述などの、用語「ニュートラシューティカルとして許容できる」は、生物学的にまたはそれ以外の点で有害でない材料を意味し、すなわち当該材料は、何らかの有害な生物学的作用を引き起こしたり、またはそれが含有される組成物の他の成分のいずれとも有害に相互作用したりすることなく、患者に投与される医薬組成物に組み入れることができる。
【0025】
「有効量」は、無毒性であるが所望の全身的または局所的効果を提供するのに十分な組成物または植物材料の量を意味する。有効量は組成物の性質および成分割合、最終使用者の年齢および身体的条件、腸障害の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用される具体的な医薬品として許容できる担体、などといった因子によって変動するであろう。本願で用いるすべての百分率は、特に規定しない限り重量百分率である。
【0026】
本願で用いる移行部分の用語「含む」または「含む」は、「含む」、「含有する」、または「を特徴とする」の同義語であり、そのいずれもが包括的または非制限的であり、かつ、請求項の前提部または本体部におけるその使用に関わらず、追加的な記載されていない要素または方法の段階を除外しない。用語はさらに用語「からなる」および「本質的に〜からなる」も包含する。請求項および/または明細書において、「含む」は「1つ」を意味しうるが、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つ以上」の意味とも一致する。
【0027】
本願はハーブ組成物および鼓腸、便秘および体重増加に随伴する腸障害を治療するための方法に関する。より具体的には、本願は、鼓腸、便秘および/または体重増加を治療するための、ハーブサプリメントおよびヒト対象における濃縮タンニンの経口投与を含む方法に関する。1つの実施形態において、鼓腸、便秘および/または体重増加を治療するための方法は、有効な量の濃縮タンニンを含むハーブサプリメントをそれを必要とするヒト対象に経口投与することを含み、サプリメントが鼓腸、便秘および/または体重増加を軽減するために製剤化されることを特徴とする。
【0028】
組成物および方法は、鼓腸、便秘、またはその両者を特徴とする任意の腸障害、さらには肥満および望ましくない体重増加を特徴とする他の疾患に適合する。典型的な治療対象の腸疾患は過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘、および慢性腹部鼓腸症候群を含む。
【0029】
一部の実施形態においては、組成物および方法は、鼓腸および/または便秘を含む、IBS疾患サブタイプの1つまたはそれ以上の症状を治療することに関する。ローマIII分類法によれば4つのIBSサブタイプが認められている:a)便秘型IBS(IBS−C)、排便の≧25%が硬便または塊状便であり、軟便(泥状便)または水様便が排便の<25%であることを特徴とする;b)下痢型IBS(IBS−D)、排便の≧25%が軟便(泥状便)または水様便であり、硬便または塊状便が排便の<25%であることを特徴とする;およびc)混合型(IBS−M;時に下痢、時に便秘)、排便の≧25%が硬便または塊状便かつ排便の≧25%が軟便(泥状便)または水様便であることを特徴とする;および分類不能型IBS(IBS−U)、便の硬さの異常がIBS−C、D、またはMの基準を十分に満たさないことを特徴とする。交互型IBS(IBS−A)は、排便習慣が下痢から便秘および便秘から下痢と変動する患者の大半を占めるので、最大75%(またはそれ以上)の患者は1年の間にわたってIBS−DとIBD−Cの間を移行する。
【0030】
他の実施形態においては、ハーブサプリメントはアカケブラコエキスおよびトリテルペノイドサポニン、抗痙攣剤のいずれかまたは両者を含むハーブサプリメントを含み、サプリメントが、ヒト対象における、鼓腸、便秘、またはその両者を含む1つまたはそれ以上の腸障害症状を軽減するよう製剤化されていることを特徴とする。本願の組成物によって治療される追加的な症状は、疼痛、腹部充満、腹部膨満;異常な排便頻度、すなわち週3回未満の排便または1日3回を上回る排便;硬便または塊状便、時に軟便(泥状便)または水様便;排便時のしぶり腹;切迫(急いで用便に行かなければならない);残便感;または排便時の粘液の排出を含みうる。
【0031】
さらなる態様において、本願は体重増加、肥満またはII型糖尿病を管理または抑制するための方法であって、体重増加を軽減、または肥満またはII型糖尿病の1つまたはそれ以上の症状を軽減するのに有効な量の本願に記載のハーブサプリメントを、それを必要とするヒト対象に経口投与することを含む方法を提供する。
【0032】
ハーブサプリメントは任意の適切な植物エキス、好ましくは少なくとも高濃縮タンニン成分をもたらすことが知られているものを用いて調製しうる。濃縮タンニンは、多様な植物種に認められるポリフェノール化合物複合群である。濃縮タンニンまたはプロアントシアニジンは、フラボノイド単位(例:フラバン−3−オール、フラバン−3,4−ジオール)の非分岐ポリマーであり、かつ通常は約1〜20kDaの分子量を有する。
【0033】
濃縮タンニンはタンパク質と結合し、これを沈殿させ、かつ/あるいは収斂させ、かつ腸内の原虫類およびメタン産生細菌の活性に負の影響を与えることによりメタンレベルを低下させることが示されている。さらに、濃縮タンニンは炭水化物およびタンパク質と複合体を形成してタンパク質代謝を改善し、消化性を改善しかつ便秘を軽減する。
【0034】
腸内細菌叢はエネルギーおよび体重の調節に重要な役割を果たし、かつ肥満およびII型糖尿病の発症および進行に影響すると考えられている。したがって、腸内ミクロビオームは、上述の腸障害の治療においてのみならず、肥満および/またはII型糖尿病の治療においても、濃縮タンニンの標的となる。
【0035】
タンニンを含有する植物の部分は樹皮、材部、果実、果皮、葉、根および虫こぶを含む。濃縮タンニンは、カバノキ(Betula sp.)、カナイグレ(Rumex hymenocephalus)、クリノキ(Castanea sp.、sativaおよびdentataを含む)、カナダツガ(Tsuga canadensis)、ユーカリノキ(Eucalyptus sp.)、ヨーロッパカラマツ(Latrix decidua)、マングローブ(Rhizophora sp.、mangleを含む)、オーク(Quercus sp.、montanaを含む)、マツ(Pinus sp.)、ザクロ(Punica granatum)、アカケブラコ(Schniposis sp.)、ラタニア根(Krameria triandra)、オウシュウアカマツ樹皮(Pinus sylvestris)、ツガ(Picea sp.,abiesを含む)、ウルシ(Rhus sp.)、アカシア(Acacia sp.、decurrensおよびmearnsiiを含む)、ヤナギ(Salix caprea)およびワイングレープシード(Vitis vinifera)を含むがこれに限定されない、選択された植物(およびその代表的な部位)に由来する植物エキスの形態で提供されうる。
【0036】
好ましい実施形態においては、本方法はアカケブラコエキスが濃縮タンニンを提供するハーブサプリメントを用いる。アカケブラコエキスは、Shinopsis lorentzii、Schinopsis balansae、Schinopsis brasiliensis、Schinopsis haenkeana、Schinopsis heterophyllaおよびSchinopsis marginataを含むがこれに限定されない任意のアカケブラコ樹に由来しうる。1つの実施形態においては、アカケブラコエキスはアカケブラコ樹の樹皮から調製される。
【0037】
本願において、アカケブラコエキスは少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%またはそれ以上の濃縮タンニン(w/w)を含みうる。1つの実施形態においては、アカケブラコエキスは加水分解性タンニンをほとんど含まない。代替的に、または追加的に、アカケブラコエキスは粉末の形態である。1つの実施形態においては、アカケブラコエキスは濃縮タンニン含有量が少なくとも80%の粉末の形態である。カプセルで投与されるとき、アカケブラコエキスは、好ましくは加水分解性タンニンをほとんど含まずかつ濃縮タンニン含有量が50%、少なくとも60%、少なくとも70%または約73%の粉末を含む。
【0038】
アカケブラコエキスは、鼓腸または便秘を治療するために十分な任意の量で存在しうる。一部の実施形態においては、ハーブサプリメントは、約10から約1000mgの間、約25から約500mgの間、または約50から約200mgの間の量のアカケブラコエキスを含む剤型にある。
【0039】
他の実施形態においては、ハーブサプリメントはトリテルペノイドサポニンを含むハーブ組成物、抗痙攣剤を含むハーブ組成物のいずれかまたは両者を追加的に含み、サプリメントが、ヒト対象における鼓腸または便秘を特徴とする1つまたはそれ以上の腸障害症状を軽減するよう製剤化されていることを特徴とする。他の実施形態においては、ハーブサプリメントはアカケブラコエキスおよびニュートラシューティカルとして許容できる担体を含み、サプリメントが錠剤またはカプセルの形態にあることを特徴とする。
【0040】
トリテルペノイドサポニンは、多様な植物種に認められる構造的に多様である界面活性グリコシド化合物の大きな群に属する。トリテルペノイドサポニン化合物は、典型的には数個の酸素が結合した約30炭素の4環または5環構造にある糖部分を含有する。植物においては、トリテルペノイドサポニンは病原微生物および草食動物に対して防御的な化合物とされる。トリテルペノイドサポニンは、それとの細胞表面相互作用によって細菌および菌類を抑制する能力を含むその抗菌性に考慮するとき鼓腸、便秘および/または体重増加の治療において、および炭水化物と複合体を形成して消化性を改善させる能力において有用である。
【0041】
一定の実施形態においては、トリテルペノイドサポニンは、AesculusまたはSapindus種の植物のエキスといった植物エキスの形態で提供される。一定の具体的な実施形態においては、トリテルペノイドサポニンは、その種子エキスを含むセイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)エキスまたはムクロジ(Satindus trifoliatus)エキスの形態で提供される。
【0042】
抗痙攣(または鎮痙)剤は筋肉の攣縮または痙攣を予防または緩和し、かつIBS患者の腸および膀胱の筋肉において、特に腹痛を軽減し、消化器系を鎮静および緩和し、胃腸平滑筋を弛緩させ、胃食道括約筋を弛緩させかつ小腸への治療薬の時間および吸収を高めるその能力という点で特別な利益を提供する。多様な植物が抗痙攣剤を天然合成することが知られている。
【0043】
一部の実施形態においては、抗痙攣剤は、メギ(Berberis vulgaris)、バジル(Ocimum basilicum)、ブラックコホシュ(Actaea racemosa)、ツボクサ(Centella asiatica)、カモミール(Matricaria recutita)、クランプバーク(Viburnum opulus)、ディル(Anethum graveolens)、ウイキョウ(Foeniculum vulgare)、ショウキョウ(Zingiber officinale)、サンザシ(Crataegus monogyna)、ホップ(Humulus lupulus)、ネズノミ(Juniperus communis)、レモンバーム(Melissa officinalis)、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、ウスベニタチアオイ(Althaea officinalis)、ナツメグ(Myristica fragrans)、ハッカ(Mentha piperita)、ローズマリー(Rosmarinus offinalis)、サフラン(Crocus sativus)、セージ(Salvia officinalis)、タツナミソウ(Scutellaria baicalensis)、アカニレ(Ulmus rubra)、ミドリハッカ(Mentha spicata)、タイム(Thymus vulgaris)、カノコソウ(Valeriana officinale)、ワイルドレタス(Lactuca virosa)およびワイルドヤム(Dioscorea villosa)を含むがこれに限定されない選択された植物(およびその典型的な部位)に由来するハーブエキスの形態で提供される。
【0044】
具体的な実施形態においては、抗痙攣剤は、ミズハッカとミドリハッカの交配種ハッカであるMentha piperita L植物の葉および開花時の先端部に由来する周知の着香料であるハッカ油の形態で提供される。
【0045】
単独で使用されるとき、アカケブラコエキスは、サプリメント総重量の約1%から約100%の間の量でハーブサプリメント中に存在しうる。本願に記載する他のハーブ組成物と組み合わせて使用されるとき、ケブラコエキスは、サプリメント総重量の約0.5%から約75%の間、約2%から約40%の間、または約5%から約20%の間の量でハーブサプリメント中に存在しうる。
【0046】
トリテルペノイドサポニンを含むハーブ組成物がハーブエキスの形態で提供されるとき、エキスはハーブサプリメントの重量の約10%から約90%の間、約20%から80%の間、および約40%から約65%の間の量でハーブサプリメント中に存在しうる。一部の実施形態においては、ハーブサプリメントは、約50から約2000mgの間、約150から約1000mgの間、または約300から600mgの間の量のトリテルペノイドサポニンを含む剤型にある。
【0047】
抗痙攣剤を含むハーブ組成物がエキスの形態で提供されるとき、エキスはハーブサプリメントの重量の約2%から約70%の間、より好ましくは約5%から40%の間、より好ましくは約15%から約30%の間の量で提供されうる。一部の実施形態においては、ハーブ組成物は、約10から約1000mgの間、約50から約500mgの間、または約100から約300mgの間の量の抗痙攣剤を含む剤型にある。
【0048】
ハーブサプリメントは、互いに組み合わせて別個に投与される(例:カプセルまたは錠剤の形態で)1つまたはそれ以上のエキスを含むこともあれば、またはアカケブラコエキス、トリテルペノイドサポニン、および抗痙攣剤を含む単一の製剤で一斉に投与されることもある。
【0049】
1つの実施形態においては、ハーブサプリメントは、約20から500mgの間のアカケブラコエキス;約100から約2000mgの間のAesculus hippocastanum植物エキス;および0.05から約1mLの間のハッカ油を含む剤型にある。具体的な実施形態においては、ハーブサプリメントはアカケブラコエキス100mg、Aesculus hippocastanumエキス470mgおよびハッカ油180mgを含む。
【0050】
本願における使用を目的としたエキスは、過敏性腸症候群を治療するために、水、極性または石油溶剤によって抽出することのできる任意の植物組織から製造することができる。エキスは技術上周知の抽出手順(例:低級アルコール、アルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルケトン、クロロホルム、石油エーテル、ヘキサン等の有機溶媒および/または水などの無機溶媒の使用)を用いて調製しうる。さらに、エキスは、水、脂肪溶媒(オリーブ油など)およびアルコール系溶媒(例:70%エタノール)を含むが、これに限定されない多様な異なる抽出溶媒を用いて、低温抽出技術によって製造しうる。低温抽出技術は、葉および花などの植物のより柔らかい部分に対して、または植物の所望の活性成分が熱に不安定であることを特徴とする場合において適用しうる。代替的に、前述の溶媒を用いて、前記溶媒が高温に加熱され、前記温度の正確な値が選択された溶媒の性状に依存し、かつ抽出プロセスを通じてその温度に維持されることを特徴とする高温抽出技術によって、所望の植物のエキスを製造しうる。高温抽出技術は、樹皮、材部の枝およびより太い根といった植物のより硬く扱いにくい部分に適用されることがより多い。一部の例においては、2つ以上の溶媒で、かつ相異なる温度で連続抽出を実施することもある。
【0051】
植物エキスを製造するための標準的な手順(高温抽出、低温抽出および他の技術を含む)は、その全文を本願に参照文献として援用する『薬用植物:イスラエル国内薬用植物フィールドガイド』(ヘブライ語)、著者:N. Krispil、Har Gilo(イスラエル)、1986年および『植物薬の製造』、著者:R. Cech、出版元:Horizon Herbs、2000年を含む多くの刊行物に記載されている。好ましくは、サプリメントは粉末の形態で調製された1つまたはそれ以上の植物エキスを含む。
【0052】
本願のものなどのような、相異なる植物種に由来するエキスの混合物を含有する組成物および医薬品は各エキスを異なる比率で用いて調製してもよい。
【0053】
一定の実施形態においては、サプリメントは精油の形態のハーブエキスを含みうる。本願で用いる用語「精油」は、水蒸気蒸留または低温圧搾によりハーブまたは他の植物から得られる油を意味する。精油は植物油または水と混合してもよく、かつ本開示に従った使用のために経口摂取されてもよい。
【0054】
一部の実施例においては、所与の植物種に由来する葉を水蒸気蒸留してその植物種に由来する精油を製造しうる。規定された樹木種から製造される精油は、植物種の名称と、葉および植物種の他の構成要素から製造される精油の名称について互換的に用いることができる。同様に、同じことが所与の植物種に由来するエキスに適合する。
【0055】
ハーブサプリメントは、ニュートラシューティカルとして許容できる任意の形態で提供することができる。好ましくは、ハーブサプリメントは、たとえば散剤、結晶、顆粒、小粒子(マイクロスフェアおよびマイクロカプセルなどのμm単位のサイズの粒子を含む)、粒子(mm単位のサイズの粒子を含む)、ビーズ、マイクロビーズ、ペレット、丸剤、マイクロ錠、圧縮錠または錠剤粉砕物、すりこみ錠または錠剤粉砕物として、しかしこれに限定されずに、および硬カプセルまたな軟カプセルでありかつ組成物を粉末、粒子、ビーズ、溶液または懸濁液として含有するカプセルで、経口投与を目的として製剤化される。
【0056】
ハーブサプリメントは、水性液状物の溶液または懸濁液として、ゲルカプセルに組み入れられた液状物として、またはその他の投与に好適な製剤として経口投与のために、または坐剤、浣腸または他の好適な形態で直腸投与のために製剤化することもできる。さらに、本願の組成物は制御放出システムとして提供することもできる。
【0057】
ハーブ組成物はニュートラシューティカルとして許容できる任意の賦形剤、担体またはその混合物をさらに含みうる。本願で用いる用語「ニュートラシューティカルとして許容できる賦形剤または担体」は、無毒性、不活性の固形物、反固形物、希釈剤、カプセル化材料または任意の種類の製剤化補助剤を意味する。デキストラート、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、ソルビトール、ショ糖、イノシトール、粉糖、ベントナイト、微結晶性セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの希釈剤または充填剤を含むが、これに限定されない典型的な賦形剤を阻害分子に添加して組成物の嵩を増加させうる。また、デンプン、ゼラチン、ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、糖蜜、乳糖、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アイルランドゴケエキス、パンワーガム(panwar gum)、ガッティガム、イサゴール殻皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビーガムおよびデンプンアラボガラクタン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、およびロウといった、ただしこれに限定されない結合剤をサプリメントに添加してその粘着性を高めうる。さらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、カーボワックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびラウリル硫酸マグネシウムといった、ただしこれに限定されない滑沢剤をサプリメントに添加しうる。また、コロイド状二酸化ケイ素またはタルクといった、ただしこれに限定されない滑剤を添加して粉末サプリメントの流動性を改善しうる。最後に、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ガム、架橋ポリマー(例:クロスカルメロース、クロスポビドン、およびグリコール酸デンプンナトリウム)、ビーガム、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材産生物、天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプ、カルボキシメチルセルロース、またはラウリル硫酸ナトリウムといった、ただしこれに限定されない崩壊剤もデンプンと共に添加してサプリメントの腸内での崩壊を促進しうる。
【0058】
一定の実施形態においては、1つまたはそれ以上のサプリメントの組成物は、胃の酸性条件による分解、および胃の中に存在するペプシンなどのタンパク質との相互作用から組成物を保護するよう製剤化されうる。そのような製剤は、胃内容物の排出まで放出を防止するpH依存性腸溶コーティングを含みうる。したがって、一部の実施形態においては、1つまたはそれ以上の組成物またはサプリメントの全体が腸溶コーティングされる。しかし、他の実施形態においてはサプリメントの組成物は腸溶コーティングされない。
【0059】
腸溶コーティングされた組成物またはサプリメントは、ステアリン酸マグネシウムといった、ただしこれに限定されない滑沢剤を任意に含有しうる、腸溶コーティング錠、ビーズまたは顆粒として配合しうる。
【0060】
腸溶コーティングは1つまたはそれ以上のpH依存性ポリマーを含みうる。pH依存性ポリマーは約4.0未満のpH値では未変化のままでありかつ4.0を上回る、好ましくはpH5.0を上回る、最も好ましくは約6.0のpH値で溶解しうる。典型的なpH依存性ポリマーは、メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸−メチルメタクリル酸コポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)L100(タイプA)、EUDRAGIT(登録商標)S100(タイプB)Rohm GmbH(ドイツ);メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(例:EUDRAGIT(登録商標)L100−55(タイプC)およびEUDRAGIT(登録商標)L30D−55コポリマー分散剤、Rohm GmbH(ドイツ);メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーおよびメタクリル酸メチル(EUDRAGIT(登録商標)FS);メタクリル酸、メタクリル酸エステル、およびアクリル酸エチルターポリマー;酢酸フタル酸セルロース(CAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)(例:HP−55、HP−50、HP−55S、信越化学工業(日本));ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(例:COATERIC(登録商標)、OPADRY(登録商標)腸溶ホワイトOY−P−7171);ポリビニルブチレートアセテート;酢酸コハク酸セルロース(CAS);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS);例:AQOAT(登録商標)LFおよびAQOAT(登録商標)MF(信越化学工業(日本))を含むHPMCAS LFグレード、MFグレード、HFグレード、;信越化学工業(日本));シェラック(例:MARCOAT(登録商標)125およびMARCOAT(登録商標)125N);酢酸ビニル−無水マレイン酸コポリマー;スチレン−マレイン酸モノエステルコポリマー;カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、フロイント産業(日本));酢酸フタル酸セルロース(CAP)(例:AQUATERIC(登録商標));酢酸トリメリット酸セルロース(CAT);およびたとえばEUDRAGIT(登録商標)L100−55とEUDRAGIT(登録商標)S100の重量比約3:1から約2:1の混合物、またはEUDRAGIT(登録商標)L30D−55とEUDRAGIT(登録商標)FSの重量比約3:1から約5:1の混合物といった、重量比約2:1から約5:1のその2つまたはそれ以上の混合物を含むが、これに限定されない。
【0061】
pH依存性ポリマーは、用量単位またはサプリメントの重量の約10%から90%、好ましくは約20%から80%および最も好ましくは約30%から70%の量で組み入れることができる。ポリマーは、顆粒化の前または後のいずれかにで製剤に組み入れることができるか、または乾燥材料としてサプリメントに添加することができるか、または適切な溶媒中に分散または溶解させかつ顆粒化の際に分散させることができる。
【0062】
腸溶コーティング組成物またはサプリメントは、カプセル内の腸溶コーティングビーズ、カプセル内の腸溶コーティングマイクロスフェア、小児投与にとって特に好適である懸濁剤でまたは食品に混合して提供される腸溶コーティングマイクロスフェア、および腸溶コーティング圧縮錠を含みうる。カプセルはハードシェルゼラチンカプセルまたはセルロースカプセルとすることができる。具体的には、組成物またはハーブサプリメントは腸溶コーティングカプセルとして製剤化しうる。具体的な実施形態においては、ハッカ油などの抗痙攣組成物を含むハーブサプリメントは、微結晶性セルロースを充填した錠剤の状態で投与される。代替的に、ハッカ油は腸溶コーティングの使用なしで投与されうる。
【0063】
一部の実施形態においては、組成物および/またはサプリメントは、任意の賦形剤を用いてまたは用いずに直接圧縮してニュートラシューティカルとして許容できる硬度および脆砕性を有する錠剤またはその他のハーブサプリメントとしうる。好ましくは、直接圧縮可能なハーブサプリメントは、圧縮して4kp(キロポンド)を上回る硬度、好ましくは8から14kpの硬度、より好ましくは10から13kpの硬度を有する錠剤とすることができる。直接圧縮可能な組成物は、圧縮して重量ロス1%以下、好ましくは重量ロス0.8%未満、より好ましくは重量ロス0.5%未満の脆砕性を有する錠剤とすることができる。
【0064】
本願は、制限的であると解釈すべきでない以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0065】
単盲検プラセボ対照試験は、プラセボ[n=10]または本願に記載のハーブサプリメント[N=10]のいずれかを服用する活動性鼓腸および便秘を呈する患者20名を対象とする。評価項目はガスおよび鼓腸の緩和および便秘および体重減少の評価を含む。試験を通して安全性プロフィールおよび体重変化をモニタリングする。
【0066】
上の記載は、当業者に本発明をどのように実践するか教授することを目的とし、かつ記載を読む際に当業者に明らかになるであろうそうした本発明の明白な変更および変法を詳述することを意図しない。しかし、そのような明白な変更および変法は、すべて以下の請求項に定義される本発明の範囲内に含まれることを意図している。請求項は、文脈が具体的に反対のことを示さない限り、請求された項目およびそこで意図される目的を満たす上で効果的である任意の手順の段階を網羅することを意図する。