(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
図面を参照して本発明の一実施形態に係る射出成形システムについて説明する。なお、各図において矢印X、Yは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下(鉛直)方向を示す。
【0013】
<システムの概要>
図1は本発明の一実施形態に係る射出成形システム1の平面図である。射出成形システム1は、横型の射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを備え、一台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を入れ替えながら成形品を製造するシステムである。本実施形態の場合、二つの金型100Aおよび100Bを用いる。金型100Aおよび100Bを総称して金型100と呼ぶ場合がある。
【0014】
金型100は、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。固定金型101と可動金型102との間に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出することで成形品が成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101a、102aが固定されている。取付板101a、102aは金型100を射出成形機の成形動作位置11(金型取付位置)にロックするために用いられる。
【0015】
金型100は、固定金型101と可動金型102とを閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103を設けたことで、射出成形機2から金型100を搬出した後も、金型100が開くことを防止できる。本実施形態の場合、自己閉鎖部103は磁力を利用して金型100を閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101と、可動金型102との合せ面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、本実施形態の場合、固定金型101側の要素と、可動金型102側の要素との組み合わせである。これらの要素の組合せは、例えば、永久磁石と鉄などの磁性体との組み合わせ、または、永久磁石同士の組である。
【0016】
なお、自己閉鎖部103としては、磁力以外に、プラスチックなどの弾性変形を利用した機構や、金属やバネで製造された機械式の機構も採用可能であるが、磁力を利用したものは、金型が僅かに開いたときに、閉状態に復帰可能な点で有利である。すなわち、この種の自己閉鎖部は、一般的に型締装置の型締力に対して閉鎖力が小さいため、金型内の樹脂圧によって、金型がわずかに開く場合がある。このとき、磁力を利用した自己閉鎖部は、金型がわずかに開いても、金型内の樹脂圧の低下に伴い、再度金型を閉じることが可能となる。このとき、金型内の樹脂と金型とが密着した状態が維持され、成形品の品質が安定する。
【0017】
自己閉鎖部103は、一つの金型100に二組以上、望ましくは四組程度設置するのがよい。一組の自己閉鎖部は、金型100が閉状態で、0.1mmから数mmの隙間を空けておいてもよい。これにより、開状態から閉状態への移行に際して、磁力の急激な変化を防ぎ、バランスの取れた閉状態の維持を行うことができる。
【0018】
搬送装置3Aは金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2および搬送装置3Bは、この順にX方向に並んで配置されている。すなわち、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX方向に挟むように、射出成形機2の左右に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。
【0019】
搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれ、フレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを備える。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれ、金型100を工場内で搬送する台車であってもよい。
【0020】
フレーム30は、装置の骨格を構成し、搬送ユニット31や、複数のローラ32および33を支持する。搬送ユニット31は、金型100をX方向に往復移動して、成形動作位置11に対して金型100を出し入れする装置である。
【0021】
搬送ユニット31は、本実施形態の場合、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを備え、シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータを利用することで、金型100の搬送に際して、その位置や速度の制御の精度を向上できる。流体アクチュエータとしては例えば油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダの他、モータを駆動源としたラック&ピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
【0022】
本実施形態の場合、搬送ユニット31は、各搬送装置3A、3Bに独立して設けられている。しかし、金型100Aおよび100を支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して一つの共通の搬送ユニット31を設けてもよい。但し、本実施形態のように、搬送ユニット31を、各搬送装置3A、3Bに独立して設けた場合の方が、金型100Aと金型100Bとで、搬送時の移動ストロークが異なる場合(例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なる場合や、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていて、金型を同時に搬送できない場合)等に対応可能な点で有利である。
【0023】
複数のローラ32は、X方向に配列されたローラ列を構成しており、本実施形態の場合、Y方向に離間して二列構成されている。複数のローラ32は、Z方向の回転軸周りに回転し、金型100の側面(取付板101a、102aの側面)に接触して、金型100を横から支えて金型100のX方向の移動の案内を行う。複数のローラ33は、X方向に配列されたローラ列を構成しており、本実施形態の場合、Y方向に離間して二列構成されている。複数のローラ33は、Y方向の回転軸周りに回転し、金型100の底面(取付板101a、102aの底面)を支持して、金型100を下から支えて金型100のX方向の移動を円滑にする。
【0024】
制御装置4は、射出成形機2を制御するコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するコントローラ42Bとを備える。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶デバイスと、センサやアクチュエータに接続されるインタフェースと、を含む。プロセッサは記憶デバイスに記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100の搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100の搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信したり、また、異常発生時に緊急停止信号をコントローラ41に送信する。
【0025】
本実施形態では、射出成形機2、搬送装置3Aおよび3Bにそれぞれコントローラを設けたが、一つのコントローラでこれら三つの装置を制御してもよい。また、搬送装置3Aと搬送装置3Bとを、より確実に協調的に動作させる点で、これらを一つのコントローラで制御してもよい。少なくとも射出成形機2に一つのコントローラを設け、搬送装置3Aおよび3Bに一つのコントローラを設けることで、システムの自由度が向上する。
【0026】
<射出成形機>
射出成形機2の構成について、
図1に加えて、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は射出成形機2の側面図である。
図3は固定プラテン61の端面図であり、
図2のI−I線矢視図である。
図4は成形動作位置11周辺の構成を示す部分斜視図である。
【0027】
図1および
図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7と、を備える。Y方向に射出装置5と、型締装置6とは、フレーム10上に、搭載されている。
【0028】
射出装置5は、Y方向に延設された射出シリンダ51を備える。射出シリンダ51は、バンドヒータ等の加熱デバイス(不図示)を備え、ホッパ53から導入される樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュー51aが内蔵されており、スクリュ51aの回転により、射出シリンダ51内に導入する樹脂の可塑化計量を行い、スクリュ51aの軸方向(Y方向)の移動によって、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
【0029】
ノズル52としては、吐出口を開閉可能なシャットオフノズルを採用可能である。
図2には、シャットオフノズルの一例が図示されている。同図の開閉機構56は、吐出口52aを開閉するピン56aが設けられている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により、吐出口52aを開閉する。
【0030】
射出シリンダ51は、駆動ユニット54に支持されている。駆動ユニット54には、スクリュ51aを回転させる可塑化計量モータや、スクリュ51aを軸方向に進退させる射出モータが設けられている。駆動ユニット54は、フレーム10上のレール12に沿ってY方向に進退可能であり、駆動ユニット54には、射出装置5を全体的にY方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が設けられている。
【0031】
型締装置6は、金型100の型締めと、型開閉を行う装置であり、本実施形態の場合、トグル式の型締装置である。型締装置6は、Y方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。これらのプラテン61〜63には複数(ここでは四つ)のタイバ64が通過している。各タイバ64はY方向に延びる軸であり、その一方端部は固定プラテン61に固定されている。各タイバ64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴を挿通している。各タイバ64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY方向に移動可能であり、固定プラテン61はフレーム10に固定されている。
【0032】
可動プラテン62と可動プラテン63との間にはトグル機構65が設けられている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(換言すれば固定プラテン61に対して)可動プラテン62をY方向に進退させる機構である。トグル機構65は、リンク65a〜65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回動自在に連結されている。リンク65bは可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cはリンク65bに回動自在に連結されている。リンク65cは、また、アーム66cに回動自在に連結されている。
【0033】
アーム66cはボールナット66bに固定されている。ボールナット66bはY方向に延びるボールねじ軸66aに係合しており、ボールねじ軸66aの回転によって、Y方向に進退する。ボールねじ軸66aは可動プラテン63に回転自在に支持されており、可動プラテン63にはモータ66が支持されている。モータ66はボールねじ軸66aを回転する。モータ66の回転量はロータリエンコーダ等のセンサ(不図示)により検出される。モータ66の回転量を検出しつつ、モータ66を駆動することで、金型100の型締めと型開閉とを行うことができる。
【0034】
射出成形機2は、型締力を計測するセンサ68を備える。本実施形態の場合、センサ68はタイバ64に設けられた歪ゲージであり、タイバ64の歪を検知して型締力を演算する。
【0035】
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構(ここではベルト伝動機構)とを備える。各タイバ64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることで、ナット67bとタイバ64とのY方向の係合位置が変化する。つまり、タイバ64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間隔を変化させることができ、型締力等を調節することができる。モータ67aの回転量はロータリエンコーダ等のセンサ(不図示)により検出される。モータ67aの回転量を検出しつつ、モータ67aを駆動することで、タイバ64に対する可動プラテン63の固定位置を初期位置から任意の位置により高精度に変化させることができる。
【0036】
成形動作位置11は固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。成形動作位置11に導入された金型100は、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれて型締めされる。また、可動プラテン62の移動により可動金型102の移動による型開閉が行われる。
【0037】
図3を参照して、固定プラテン61の中央部には、ノズル52が進退する開口部61aが形成されている。固定プラテン61の、可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在に支持されている。複数のローラBRは、Y方向の回転軸周りに回転し、金型100の底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100を下から支えて金型100のX方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX方向両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620にも複数のローラBRが支持されている。
【0038】
固定プラテン61の内面には、X方向に延びる溝61bが形成されている。溝61bは上下に離間して二列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が設けられている。ローラユニット640は複数のローラSRが回転自在に支持されている。複数のローラSRは、Z方向の回転軸周りに回転し、金型100の側面(取付板101aの側面)に接触して、金型100を横から支えて金型100のX方向の移動の案内を行う。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640はバネ641の付勢によって、溝61bからローラSRが突出する位置に位置する一方、型締め時には溝61b内に後退してローラSRが溝61bに突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100の入れ替えの際には、金型100と固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100とが密接することを邪魔しない。
【0039】
固定プラテン61のX方向両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630にも複数のローラSRが支持されている。
【0040】
このようなローラBR、ローラSRによって、金型100を射出成形機2と、搬送装置3Aまたは3Bとの間で搬送する際に、金型100をより高速かつ円滑に搬送することができる。
【0041】
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定する複数の固定機構(クランプ)610が設けられている。クランプ610は、取付板101aと係合する係合部610aを備えると共に係合部610aを係合位置と、係合解除位置との間で移動するアクチュエータ(不図示)を内蔵する。アクチュエータは、油圧アクチュエータやエアアクチュエータ等の流体アクチュエータである。金型を固定するための機構としては、電磁クランプを使用してもよい。電磁クランプは、コイルに電流を流すことで、比較的短時間にコイルの内側にある磁性材料の着磁や脱磁を行うことができ、金型の脱着が可能となる。しかし、金型100の入れ替えを頻繁に行う場合、流体アクチュエータの方が有利である。
【0042】
電磁クランプの着磁や脱磁は、一般に大容量コンデンサに蓄えられた電荷を、コイルに瞬間的に流すことによって行われるが、コイルに流れる電流は非常に大きく、何度も繰り返すとコイルや磁石が次第に発熱するという問題がある。磁石の磁力は温度が上がると弱まり、最終的に磁力を失うため、コイルや磁石が加熱する状況は好ましくなく、さらに金型に熱が伝わることで成形品の品質に影響を及ぼす場合もある。この対策として、電磁クランプに冷却水を流すという方法もあるが、電力使用量や設備コストの観点で不利である。そのため、金型100の入れ替えを頻繁に行う場合、流体アクチュエータの方が有利である。
【0043】
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBR、ローラ支持体620および630、ローラユニット640、可動金型102を固定する固定機構610が設けられる。
【0044】
図4を参照する。一般に型締装置の周囲には、安全性確保の点で安全扉が設けられており、金型交換の際には、安全扉を開放して交換作業を行う。しかし、本実施形態では、金型100の入れ替えを頻繁に行うことを想定しており、安全扉を開閉する構成では不便である。
【0045】
本実施形態の場合、型締装置6の周囲は、安全性の点でカバー(外装板)60で囲まれているが、金型100の入れ替えのために、成形動作位置11の側方に、金型100を通過させる開口部60aが形成されている。開口部60aは、基本的に、常時開放されており、成形動作位置11に対する金型100の自由な出し入れが可能となっている。開口部60aには、手動で開閉するスライド扉を設けて開口部60aを閉鎖可能としてもよい。そして、金型100を別の金型に交換するといった準備作業の際には、スライド扉で開口部60aを閉鎖してもよい。
【0046】
また、
図4には、搬送装置3Bの外観例も図示されていいる。フレーム30には安全扉を設けてフレーム30の内外を隔離してもよい。
図4の例では搬送装置3Bの下部にコントローラ42Bを配置しているが、各コントローラの配置箇所はどこでもよい。
【0047】
図2に戻り、取出機7について説明する。成形品の取り出しは、金型のエジェクタピンを作動させ成形品を自動落下させる方法や、作業者による手作業での取り出しも採用可能であるが、本実施形態では、型開きされた可動金型102から成形品を取り出す機構としている。
【0048】
取出機7は、X方向に延びるレール71と、レール71上をX方向に移動可能な可動レール72と、を備える。可動レール72はY方向に延設されており、可動レール72上にはスライダ73が設けられている。スライダ73は可動レール72に案内されてY方向に移動する機能を有すると共に、昇降軸73aをZ方向に昇降する機能を有している。
【0049】
昇降軸73aの下端部には吸着ヘッド74が設けられており、吸着ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取付けられている。
【0050】
取出機7は、型開きの後、レール71、可動レール7およびスライダ73により、
図2で破線で示すように吸着ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品を吸着して、外部へ搬送する。なお、本実施形態では、取出機7として吸着方式の取出機を例示するが、成形品を機械的に把持する方式の取出機も採用可能である。
【0051】
<成形品の製造例>
射出成形システム1の動作例について説明する。
図5はコントローラ41が実行する処理例を示すフローチャートである。
図6〜
図11は射出成形システム1の動作例を示す図である。
図5の処理例の各ステップと、
図6〜
図11の各状態とを参照しつつ説明する。以下の例では、金型100Aを用いた成形→金型100Bを用いた成形→金型100Aを用いた成形...というように、金型100Aおよび100Bを入れ替えながら成形動作を行う場合を想定する。
【0052】
図5のS1では初期設定を行う。ここでは、金型100A、100B毎に、射出装置5、型締装置6の動作条件を登録する。例えば、一回の射出樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバ64に対する可動プラテン63の位置の初期値等である。これらの条件は金型100Aと金型100Bとで同じ場合も異なる場合もある。1回目の成形動作は金型100Aを用いるので、まずは、動作条件として金型100Aに関する条件が自動設定される。また、射出シリンダ51の加温や初回の樹脂の可塑化計量等を開始する。
【0053】
図5のS2では、金型100Aを射出成形機2内に搬送する。
図6はこの動作を示している。まず、モータ66を駆動して、状態ST1に示すように、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間が、金型100Aの厚み(Y方向の幅)よりも少し広くする。続いて、コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬入指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11に搬入する。搬入が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。搬入完了を示す信号を受信すると、モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。また、固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61、可動プラテン62にそれぞれロックする。
【0054】
図5のS3ではモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。
図5のS4では金型100に対する射出の準備を行う。ここではアクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aにタッチさせる。
図7の状態ST3はこれらの動作を示している。
【0055】
図5のS5では、溶融樹脂の射出と、保圧とを行う。詳細には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティへ溶融樹脂を充填し、更に、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。S5の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張し、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。よって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバ64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバ64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。タイバ64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミング(例えば
図5のフローチャートであればS7、S9、S13〜S15のいずれかのタイミング等)で行えばよい。
【0056】
次に、
図5のS6〜S8の処理を並列的に行う。
図5のS6では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。S7では型締装置6に関連する処理を行う。まず、固定機構610による金型100Aのロックを解除する。また、S5から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を消失し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる隙間を形成する。
図7の状態ST4は固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる状態を示している。
【0057】
図5のS8では射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退、次の射出のための可塑化計量開始、等を行う。
図7の状態ST4は射出装置5を後退する状態(ノズル52を後退する状態)を示している。
【0058】
保圧サックバック、ノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Aから離れて溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、S7で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて射出シリンダ51内や金型100内の樹脂圧力を低減するものである。保圧サックバックにおけるスクリュ51aの後退位置は、絶対位置で管理してもよいし、保圧完了後のスクリュ51aの位置に対する相対位置で管理してもよい。また、射出装置5に設置されているロードセル(不図示)が測定する樹脂圧力が所定圧まで低下することが検知されるまでスクリュ51aを後退させてもよい。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することであり、
図2の例で言えば、ピン56aで吐出口52aを閉鎖する。このような動作により、樹脂が漏れ出ることを抑制できる。また、次の射出のための樹脂計量の精度も向上できる。なお、以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できるが、樹脂の種類や金型の構造によっては金型100とノズル52の間で長い糸状の樹脂が発生することがあるため、これを防止するため、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置してもよい。
【0059】
図5のS9では金型100の入れ替えを行う。
図8の状態ST5は金型100を入れ替える状態を示している。ここでは、金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11へ搬入している。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。このとき、自己閉鎖部103の働きによって金型100Aの閉状態が維持される。
【0060】
金型100Aの搬出の後、または、搬出に並行して、コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬入指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11に搬入する。搬入が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。
【0061】
搬入完了を示す信号を受信すると、
図5のS10で成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。また、金型100Bのに対応した射出速度等の成形条件を設定する。更にモータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。また、固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61、可動プラテン62にそれぞれロックする。
【0062】
なお、本実施形態ではS9の後に、S10を行っているが、成形条件の切替えには時間を要することがあるため、例えば、金型100Aの搬出指示と同時に成形条件を切替えるようにしても良い。
【0063】
S11では金型100Aおよび100Bに対する初回の成形動作か否かを判定する。初回の成形動作の場合はS3へ戻り、二回目移行の成形動作の場合はS12へ進む。上記の説明の流れでは初回の成形動作に該当し、S3へ戻って金型100Bに対して、S3〜S8の処理が実行される。
図8の状態ST6は、金型100Bに対するS3およびS4の処理の状態を、
図9の状態ST7は金型100Bに対するS7およびS8の処理の状態を、それぞれ示している。
【0064】
金型100Bに対するS3〜S8の処理が実行されると、S9で金型100Bの搬出と、金型100Aの搬入が行われる。
図9の状態ST8は金型100Bが搬出され、金型100Aが搬入された状態を示す。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。S11の判定では初回ではないと判定され、S12へ進む。
【0065】
S12ではS6で計時を開始した冷却時間が規定時間に達したか否かに基づいて金型100Aの冷却が完了したか否かを判定する。冷却が完了した場合はS13〜S16の処理と、S14の処理とを並行的に行う。
【0066】
S13では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されているため、自己閉鎖部130の磁力に抗して、固定金型101から可動金型102が分離し、金型100Aが型開きされる。S15では取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側に残留している成形品を取り出し、外部へ搬送する。
図10の状態ST9は金型100Aの型開きと成形品Pの取り出し動作を示している。チャック板75が成形品Pに対向する位置に吸着ヘッド74が移動され、成形品Pが吸着保持される。
【0067】
S14では金型100Aに対する次の射出動作の準備を行う。S4と同様の処理である。S16では金型100Aの型締めを行う。
図10の状態ST10は金型100Aを型締めした状態を示している。その後、S5へ戻って同様の処理を繰り返すことになり、金型100Aに対する射出・保圧→金型100の入れ替え(金型100Aの搬出と金型100Bの搬入)→金型100Bの成形品の取り出し、と処理が進む。
図11の状態ST11は金型100の入れ替えを、
図11の状態ST12は金型100Bから成形品Pを取り出す状態を示している。その後、
図8の状態ST5に戻り、状態ST5〜状態ST12の状態が繰り返されることになる。
【0068】
以上述べたとおり、本実施形態では、金型100の冷却を射出成形機2外の搬送装置3Aまたは3B上で行う。そして、一方の金型100の冷却中に、他方の金型100に対して、射出成形機2によって、成形品の取り出し→型締め→射出・保圧といった各処理を行う。型開きおよび成形品の取り出しを射出成形機2で行うため、搬送装置3Aおよび3Bは、型開き機能および成形品の取り出し機能を有している必要がない。したがって、システムのコストアップを抑制しつつ、一台の射出成形機2に対して、複数の金型100Aおよび100Bを入れ替えながら成形品Pを製造することができる。
【0069】
特に一方の金型100に必要な冷却時間に、金型交換工程の開始から、他方の金型の取り出し工程、射出工程、保圧工程と、再度の金型交換工程の完了までの全工程に要する時間が収まれば、生産性が通常成形に比べ最大2倍に向上する。つまり、コストアップの抑制に加えて、高い生産性を実現できるメリットがある。
【0070】
なお、2倍の生産性を実現するには、金型交換工程の時間にも依存するが、少なくとも全成形工程(一成形サイクルの時間)に対し、金型100の冷却時間が50%以上を占めていればよい。自動車や家電、事務機器などの外装部品や機構部品に用いられる成形品の多くは、強度確保のため数ミリメートルの肉厚をもつ。このため、全成形工程中、冷却工程が最も長い時間を占め、一成形サイクルの時間に対し、金型100の冷却時間が50%から70%に達することも珍しくない。したがって、この種の成形品の生産性向上に上記実施形態は特に有効である。金型100Aの成形サイクルの時間と金型100Bの成形サイクルの時間とが同程度で、一成形サイクルの時間に対する金型100の冷却時間が50%以上であれば、特に生産性を向上することができる。
【0071】
また、肉厚が1mm程度と比較的薄い場合でも、高い寸法精度が必要な部品や、金型温度として高温が必要な樹脂、或いは、冷却に時間のかかる結晶性樹脂を使用する成形品の場合は冷却工程が長くなる傾向がある。上記実施形態では、幅広い成形品で2倍に近い生産性を実現することが可能である。
【0072】
一成形サイクルの時間に対し、金型100の冷却時間が50%未満の場合であっても、冷却時間の有効活用により、通常成形に対して1.5倍や1.8倍といった高い生産性の実現が可能となる。更に、上記実施形態によれば、一台の射出成形機2で、従来の製造方法による二台分の射出成形機の生産性を得ることができるため、設備のスペースや電力使用量の削減に対しても効果がある。
【0073】
<第二実施形態>
金型100Aと金型100Bは同じ成形品を成形する金型であってもよいし、異なる成形品を成形する金型であってもよい。成形する成形品が同じか否かに関わらず、金型100Aと金型100Bとで、Y方向の厚みや型締力が異なる場合があるが、本実施形態の場合、調整機構67により、タイバ64に対する可動プラテン63の固定位置を変化可能であり、かつ、金型を入れ替えた後(
図5のS9)、設定変更を行うので(
図5のS10)、各金型に対応して型締めの設定を行うことができる。
【0074】
金型100Aと金型100Bが異なる成形品を成形する金型である場合、チャック板75を成形品の種類に対応したものに交換する必要がある場合がある。しかし、チャック板75を交換すると、手動、自動を問わず、時間を要する。
【0075】
そこで、異なる成形品にそれぞれ対応した保持部を有するチャック板75を使用し、成形品を取り出す金型100に応じて、チャック板75を変位させ、成形品に対応した保持部を成形品に対向させてもよい。
図12はその例を二例示している。
【0076】
図12のEX1は、チャック板75の一例を示している。チャック板75は、保持部75Aと、保持部75Bとを含む。吸着ヘッド74は、チャック板75を軸74a周りに回動させることができ、保持部75Aと保持部75Bの位置が変化するようにチャック板75を変位させることができる。これにより、成形品に対向する保持部を切り替えることができ、チャック板75を交換せずに短時間で異なる成形品に対応できる。
【0077】
図12のEX2は、チャック板75の別例を示している。チャック板75は、保持部75Aと、保持部75Bとを含む。吸着ヘッド74は、レール74bとレール74bに沿って移動するスライダ74cとを備えており、チャック板75はスライダ74cに設けられている。スライダ74cを移動することで、保持部75Aと保持部75Bの位置が変化するようにチャック板75を変位させることができる。これにより、成形品に対向する保持部を切り替えることができ、チャック板75を交換せずに短時間で異なる成形品に対応できる。
【0078】
なお、このようなチャック板の変位を含む取出機7の動作設定変更は
図5のS10の処理において行うことができる。
【0079】
<第三実施形態>
第一実施形態では、二つの金型100Aおよび100Bを入れ替える例を説明したが、三つ以上の金型を入れ替えてもよい。例えば、三つの金型100A〜100Cを入れ替える場合について説明する。金型100Aを射出成形機2に搬入し、成形品の取り出し、型締め、射出・保圧を行う。金型100Aを搬出し、金型100Bを射出成形機2に搬入し、成形品の取り出し、型締め、射出・保圧を行う。金型100Bを搬出し、金型100Cを射出成形機2に搬入し、成形品の取り出し、型締め、射出・保圧を行う。金型100Cを搬出し、金型100Aを射出成形機2に搬入し、成形品の取り出し、型締め、射出・保圧を行う。以降、同様の手順を繰り返す。三つの金型100A〜100Cの搬送装置としては、これらをX方向に並べて共通の支持体で支持し、この支持体をX方向に移動するアクチュエータを備えた装置を採用可能である。この構成例の場合、金型100Cを搬出して、金型100Aを搬入する際、金型100Bは一時的に射出成形機2内を通過することになる。
【0080】
<第四実施形態>
金型100の搬出と搬入を短時間で行うことにより、より高い生産性を実現することができる。そのためには、搬送ユニット31として、より高出力のユニットの採用が考えられるがコストアップの要因となる。そこで、錘の重力を利用して金型100の移動を補助するバランサ装置を設けてもよい。
【0081】
図13はその一例を示している。状態ST21は金型100A、100Bがそれぞれ搬送装置3A、3B上に位置している場合を示し、状態ST22は金型100Bを成形動作位置11に搬入した状態を示している。
【0082】
バランサ装置8は、二つの金型100毎に設けられている。バランサ装置8は、錘Wa、Wbと、連結部材81a、81bと、複数の回転部材82と、ストッパ83とを備える。連結部材81a、81bは、チェーン、ワイヤ等の線部材である。連結部材81aは、金型100Aと錘Waとを連結し、連結部材81bは金型100Bと錘Waとを連結する。回転部材82は、連結部材81a、81bを支持する回転自在な部材であり、例えば、ローラ、スプロケット、プーリ、動滑車である。ストッパ83は錘Wa、Wbの下限位置を規定する。ストッパ83は、金型100が成形動作位置11と搬送装置3Aまたは3B上の位置との中間位置に到達した場合に、錘Wa、Wbの降下を停止するように設けられている。錘Wa、Wbの移動量(下降量)は金型100の移動ストロークの半分以下である。
【0083】
金型100が搬送装置3Aまたは3B上や、成形動作位置11に位置している場合、搬送ユニット31のサーボモータのブレーキ機構によって、金型100を停止することができる。金型100を搬入または搬出する際、ブレーキ機構を解除する。すると、錘WaまたはWbが降下し、金型100の移動が加速する。
【0084】
金型100の移動の途中で錘WaまたはWbがストッパ83に到達すると、今度は金型100に引っ張られるようにして錘WaまたはWbは上昇に転じ、金型100を減速するように作用する。したがって、搬送ユニット31が金型100を移動させるために必要となる駆動力を削減できる。
【0085】
具体例を説明する。
図13において、状態ST21の状態から、搬送装置3Bの搬送ユニット31のサーボモータのブレーキを解除する。すると、錘Wbが初期位置から降下し、金型100Bが成形動作位置11へ向けて加速する。金型100Bの移動の途中で錘Wbがストッパ83に到達すると、今度は金型100に引っ張られるようにして錘Wbは上昇に転じ、金型100を減速するように作用する。そして、金型100Bが成形動作位置11に到達したときに搬送装置3Bの搬送ユニット31のサーボモータのブレーキをロックする。これにより、金型100Bが成形動作位置11に停止する。錘Wbは初期位置または初期位置に近い位置に戻っている。
【0086】
金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bへ搬出する場合も同様である。搬送ユニット31は、金型100Bの移動開始時の加速段階、および、移動停止時の減速段階でそれぞれ錘Wbの重力を利用することができ、必要となる駆動力を削減できる。
【0087】
錘Wa、Wbがストッパ83に到達し、下降から上昇に転じる際、連結部材81a、81bに大きな負荷が生じる場合がある。これによる連結部材81a、81bや複数の回転部材82の破損を防ぐために、錘Wa、Wbとストッパ83の間にダンパやバネなどの衝撃吸収部材(不図示)を設置しても良い。
【0088】
<第五実施形態>
第一実施形態では、射出成形機2に一つの射出装置5が設置されている例を説明したが、二つ以上の射出装置5をもつ射出成形機2を使用してもよい。この方法では、それぞれの射出装置5に対する成形条件の変更を行う必要がなく、さらに複数の金型に別の種類の材料を用いて成形をすることができる。
【0089】
<第六実施形態>
第一実施形態では、金型100に対して、射出、保圧、冷却、取出しの工程からなる一般的な射出成形方法を適用したが、少なくとも一つの金型に対して発泡成形やガスアシスト成形、ヒートアンドクール成形などの公知の成形技術を組み合わせてもよい。一般にこれらの成形方法は冷却時間が長いため、第一実施形態と組み合わせて成形することは、生産性を向上させる上で優位である。
【0090】
<第七実施形態>
成形サイクル中、金型100に配管を介して温度調節器を常時接続してもよい。温度調節器は、例えば、冷却水等の流体を金型100と温度調節器との間で循環させることにより、金型100の温度を調節する。温度調節器は、金型100Aおよび100Bに共通の温度調節器であってもよいし、金型100A、金型100Bにそれぞれ設けられてもよい。金型100A、金型100Bにそれぞれ温度調節器を設けることで、金型100A、金型100Bを独立して温度調節することができる。
【0091】
また、成形サイクル中、金型100に電気配線を常時接続してもよい。電気配線としては、ホットランナなどへの電力供給用の配線、熱電対やリミットスイッチなどセンサ信号用の配線等を含めることができる。
【解決手段】一台の射出成形機に対して、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する製造方法であって、前記射出成形機内で、金型に対して型締め、射出および保圧を行う第一の工程と、前記第一の工程後に前記金型を前記射出成形機外に搬送し、前記射出成形機外で前記金型の冷却を行う第二の工程と、前記第二の工程後に前記金型を前記射出成形機内に搬送し、前記射出成形機内で前記金型の型開きと、成形品の取り出しを行う第三の工程と、を備え、前記第一の工程から前記第三の工程が繰り返し行われ、第一の金型に対して前記第二の工程が実行されている間に、第二の金型に対して前記第三の工程および次の前記第一の工程が実行される。