(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121609
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】電気回路および薄膜熱構造に関するカーボンナノチューブ・シート材料をエッチングする方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3063 20060101AFI20170417BHJP
C01B 32/152 20170101ALI20170417BHJP
C01B 32/158 20170101ALI20170417BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
H01L21/306 L
C01B31/02 101F
H01L21/308 C
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-500084(P2016-500084)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2016-516299(P2016-516299A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】US2013047480
(87)【国際公開番号】WO2014143123
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年11月5日
(31)【優先権主張番号】13/838,606
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ジェームズ・アール
(72)【発明者】
【氏名】タウンセンド,カール・ダブリュー
【審査官】
鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−515847(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/091139(WO,A1)
【文献】
特表2008−544495(JP,A)
【文献】
Kwi Nam HAN et al.,"Electrochemical Patterning of Transparent Single-Walled Carbon Nanotube Films on Plastic Substrates",Langmuir Article,米国,American Chemical Society,2010年 3月17日,Vol. 26, No. 11,pp. 9136-9141
【文献】
Dachng WEI, et al.,"Selective Electrochemical Etching of Single-Walled Carbon Nanotubes",ADVANCED FUNCTIONAL MATERIALS,ドイツ,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA,2009年10月19日,Vol. 19,pp. 3618-3624
【文献】
S. SENYANGE, et al.,"Fabrication of arrays of carbon micro- and nanostructures via electrochemical etching",Micro & nano Letters,英国,The Institution of Engineering and Technology,2009年,Vol. 4 Issue 1,pp. 22-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306−21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465−21/467
C01B 32/152
C01B 32/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路および薄膜熱構造用のカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングする方法であって、
導電性CNT材料のシート上にマスクを形成するステップと、
前記CNT材料のマスクがされていない部分を電気化学的に除去するステップと、
を有し、
前記部分を電気化学的に除去するステップは、前記マスクされたCNT材料を溶液中に配置し、前記溶液と前記CNT材料との間に電圧を印加するステップを有し、
前記溶液は、溶融硝酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【請求項2】
除去されたCNT材料を基板に結合するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスクは、前記CNT材料から除去されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクは導電性であり、電気化学的に除去されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
カーボンナノチューブ材料をパターニングする方法であって、
カーボンナノチューブ材料のマスクされていない部分を電気化学的に除去するステップを有し、
前記マスクされていない部分を電気化学的に除去するステップは、マスクされたカーボンナノチューブ材料を溶液中に配置し、前記溶液と前記マスクされたカーボンナノチューブ材料との間に電圧を印加するステップを有し、
前記溶液は、溶融硝酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的にカーボンナノチューブ(CNT)シート材料に関し、より詳しくは、電気回路および薄膜熱構造に関するカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、小さい寸法(〜ミル(mils))で連結する複雑な形の多様なセットを作成するために、電気回路および薄膜熱構造のエリアにおけるカーボンナノチューブ材の成長は、不十分な方法論により制限された。手または手動カットは、面倒で扱いにくく、必要な厳しい寸法を製造することができない。レーザー・カットは、現実的であるが、一度に一つの構造を生成し、次いでプラットフォームに動かされなければならない。回路基板産業において、観察されるハイ・ボリューム製造によって、得られる規模の経済は、得られない。
【0003】
CNT材料のエッチングは、ナノ次元のレベルで生じ、CNTチューブの単一のおよび小さいバンドルは、電子部品を形成するために、超小型回路構成において、正しい位置に置かれる。半導体処理ならびにオゾンにおいて、使用する典型的な酸またはベース腐食液は、顕微鏡的なコンポーネント・レベル(<マイクロメートル)で電気回路構成を製造するのに用いられる。アンテナ回路構造もまた、手動カットおよびレーザー・カットにより製造される。ミリメートル乃至メートルサイズの構造の例も報告された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示に従って、この方法は、カーボンナノチューブ材料のマスクされていない部分を電気化学的に除去し、カーボンナノチューブ材料をパターニングするように提供される。
実施形態において、方法は、電気回路および薄膜熱構造に関しカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングすることを提供する。方法は、導電性CNT材料のシート上にマスクを形成するステップと、CNT材料のマスクされていない部分を電気化学的に除去するステップと、を包含する。
【0005】
実施形態において、方法は、除去されたCNT材料を基板に結合するステップを包含する。
実施形態において、マスクは、電気化学的にCNTから除去される。
【0006】
実施形態において、CNTの電気化学的除去は、マスクされたCNT材料を溶液に配置し、溶液と導電性CNTとの間に電圧を印加することを包含する。
実施形態において、マスクは導電性である。
【0007】
実施形態において、溶液は、溶融硝酸ナトリウムである。
実施形態において、溶液は、濃縮水酸化ナトリウムである。
本開示の一つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および下記の説明において、説明される。本開示の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、並びに、特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】図は、本開示に従った電気回路および薄膜熱構造に関するカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングすることに関する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、本開示に従った電気回路および薄膜熱構造に関するカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングすることに関する方法のフロー図を示す。方法100は、導電性CNT材料110のシート上にマスクを形成するステップと、CNT材料120のマスクされていない部分を電気化学的に除去するステップと、CNT材料130からマスクを除去するステップと、を包含する。
【0010】
より詳しくは、方法は、次の工程を包含する。
(A) 例えば、ニューハンプシャー州(03054)ダニエル・ウェブスター・ハイウェー・メリマック57のNanocomp Technologyから入手されたCNTの自立シートであり、例えば、0.5〜2ミルのレンジの厚みを有することを特徴とする、導電性CNTのシートを提供するステップと、
(B) 例えば、約0.1ミル乃至約1.0ミルの厚みを有している銅のフラッシュのような伝導体でCNTシートを電気メッキするステップと、
(C) 所望の電気回路、または、下に横たわるCNTに形成された熱導体パターンの上の銅が残ったマスクされた部分の選択された表面部分をマスキングするために銅に第1のマスクを添付するステップと(例えば、プリント回路基板の製作において、用いられているように、マスキング材料は粘着テープまたはフォトイメージング可能なレジスト材料である)、
(D) 電気伝導マスクを形成するため、H
2SO
4で銅のマスクされていない部分を第1のマスクを用いてエッチングするステップと(下に横たわるCNTに残っている銅のマスクは、パターニングされた銅のマスクに取り付く)、
(E) パターニングされた銅のマスクおよびCNT構造から第1のマスクを剥ぎ取るステップと、
(F) 約400乃至500℃の温度で溶融硝酸ナトリウムを有している容器を提供する(あるいは、約125乃至170℃で25乃至65%の水に水酸化ナトリウムの濃縮溶液を有する容器を提供する)ステップと、
(G) ステップ(E)から結果として生じる構造を溶融硝酸ナトリウム、または、ステップ(F)で提供される別の実施形態における水酸化ナトリウム溶液に浸漬するステップと、
(H) 溶融硝酸ナトリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液と容器内の構造と一緒に、CNTシートに一方の電位と、銅のマスクのエッチングされた部分により露出されたCNTの部分を約10秒乃至1分間、エッチングするように溶液中の他の電位とにDC10ボルトを印加するステップと、
(I) 容器から構造を取り出し、取り外された構造を冷却し、H
2Oに残っている水酸化ナトリウムまたは硝酸ナトリウムを凝固させるステップと、
(J) 前記取り出され、冷却され、凝固された構造を、約10パーセントのH
2SO
4である溶液と一緒に、H
2SO
4およびH
20の溶液を有する容器に配置するステップと、
(K) CNTに印加された電圧の正の電位で溶液とCNTとの間に、約0.5〜5ボルトのDC電圧を印加するステップ(これは、銅のマスクを除去し、自立してパターニングされたCNT材料のシートを残す電気化学的プロセスである)と、
(L) 例えば液晶ポリマーのような適切な誘電体、または、FR―4またはG―10ガラス強化エポキシ積層体のような回路基板誘電体に、パターニングされ自立したCNTを粘着結合するステップと、
を方法は包含する。
【0011】
この開示は、バスのCNT材料にエッチングする能力を有する回路基板のようなプロセスを記載する。定義済みの範囲の銅のフラッシュの使用は、銅のマスクの間に許容された優先エッチングをパターニングする。
【0012】
導電性CNT材料のシート上にマスクを形成することを包含する開示に従って電気回路および薄膜熱構造に関するカーボンナノチューブ(CNT)シート材料をエッチングするステップと、CNT材料のマスクされていない部分を電気化学的に除去するステップと、を有する方法と理解される。開示はまた、除去されたCNT材料を基板に結合するステップを包含し、マスクは、CNTから除去され、CNTを電気化学的に除去するステップが、マスクされたCNT材料を溶液に配置するステップと、溶液と導電性CNTとの間に電圧を印加するステップとを包含し、マスクは導電性であり、マスクは電気化学的に除去され、溶液は、溶融硝酸ナトリウムであり、溶液は、濃縮水酸化ナトリウムである
ことを特徴とする。
【0013】
本開示はまた、カーボンナノチューブ材料のマスクされていない部分を電気化学的に除去することを含む、カーボンナノチューブ材料をパターニングするための方法を教示すると理解されるべきである。
【0014】
本開示の多くの実施形態を記載してきた。にもかかわらず、さまざまな修正が本開示の精神と範囲から逸脱することなくされることができることが理解されよう。例えば、導電性のマスクをCNTに用いたが、マスクが伝導性である必要はなく、マスクの除去は、電気化学的でないプロセスを用いて行うこともできる。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。