(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本セクションでは、本開示に関する背景情報を記載するが、これらには従来技術であるものも従来技術でないものもある。
【0003】
ポリウレタンフォームは、通常、化学的に作用する発泡剤又は物理的に作用する発泡剤を使用することにより調製される。これらの発泡剤は、重合中にモノマー反応剤と混合されるか、又はモノマー反応剤に投入される。化学的発泡剤は、イソシアネートとの反応により気体状の生成物を形成する化合物、例えば水又はギ酸を含む。物理的発泡剤は、ポリウレタン生成条件下において、モノマー中で溶解又は乳化し、蒸発する。これらは、例えば炭化水素及びハロゲン化炭化水素、又は二酸化炭素等の気体であり、オンライン式に、即ち直接ミキシングヘッドへ導入されるか、又はバッチ操作においてストックタンクを経由して導入される。このようなプロセスは、例えばBruchmannらの米国特許出願公開第2011/0275732号明細書(特許文献1)に記載されている。
【0004】
Takemuraらの米国特許第6878753号明細書(特許文献2)には、熱硬化性ポリウレタンフォームから成る靴底及びミッドソールが記載されている。当該発泡体は、ポリオールを触媒、水、及びウレアと混合することにより事前に調製されるポリオール溶液と、鎖延長剤と、必要に応じて添加剤と、を、成形機中で撹拌しながらポリイソシアネート化合物と混合するステップと;得られた混合物を金型へ投入し、当該混合物を発泡させるステップと、を含むプロセスにより作られる。ポリウレタンフォーム成形品の密度は、0.15〜0.45g/cm
3であると記載されている。
【0005】
Fischerらの国際公開第94/20568号(特許文献3)には、平均直径1〜20ミリメートルの熱可塑性ポリウレタンのミニペレット又はビーズ型発泡体が記載されている。ポリウレタンは、ポリエステル系及びポリエーテル系材料である。ビーズ型発泡体は、加圧蒸気を導入することにより、圧力下で成形され、加熱される。
【0006】
Prissokらの米国特許出願公開第2010/0047550号明細書(特許文献4)には、ポリウレタンマトリックス及び当該マトリックス中に埋め込まれた熱可塑性ポリウレタンの発泡粒子を含むハイブリッド材料が記載されている。当該ハイブリッド材料は、靴底を作るために使用することができる。マトリックスのポリウレタンは、成形中に発泡させることができる。
【0007】
Prissokらの米国特許出願公開第2010/0222442号明細書(特許文献5)には、発泡剤を含む、ショア硬度がA44〜A84の膨張可能な熱可塑性ポリウレタンが記載されている。発泡体は、密閉金型中でポリウレタンビーズを熱にさらしながら互いに溶融させることにより、膨張したポリウレタンビーズから製造することができる。Prissokらは、ビーズを金型に入れて、金型を密閉し、蒸気又は高温空気を金型へ導入することで、ビーズを更に膨張させ、これらのビーズを溶融させ合う旨を教示している。このようにして作られた発泡体は、8〜600g/Lの範囲の密度を有すると記載されている。
【0008】
Nadellaの米国特許出願公開第2010/0052201号明細書(特許文献6)には、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリエチレン等の固体モノリス状の半結晶質熱可塑性材料シートから高分子発泡パネルを作る旨が記載されている。この開示された事項は、フィルム型の材料について利用されるものである。
【0009】
履物、防護服、及びこれらに類する用途におけるクッション材用にカスタマイズ可能な発泡体を形成する改良された方法が、依然必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本セクションでは、本発明の例示を目的とする具体例を記載する。これらは、必ずしも材料及びプロセスを限定するものではない。
【0019】
熱可塑性エラストマーのペレット、ビーズ、粒子、又はその他の小片であって、少なくとも一つの次元における最大サイズが10mm以下であるもの(「ペレット」と総称する)に対して、加圧された容器中で超臨界流体が注入され、その後、当該ペレットを発泡させるために、加熱された流体に浸すか、又は赤外線若しくはマイクロ波を放射することにより、当該ペレットが急速に減圧及び加熱される。ペレットは、少なくとも二つの異なる色を有するように調製される。ペレットは、加工後に連続した部分が確実に得られるように、バインダーを用いて前処理又は後処理することができる。異なる色を有するペレットが金型の異なる領域に配置されるか、又は、異なる色を有するペレットが金型中にランダムに配置される。金型はペレットで充填された後、部品を形成するために加熱される。異なる色のペレットの位置決めを行った場合は、結果として当該部品が色の異なる領域を有し、異なる色のペレットをランダムに配置した場合はカラフルな結果となる。
【0020】
図を参照すると、本方法により成形されたミッドソール10の断面において、区別可能な領域12、14、16、及び18が示されている。領域12の発泡体は第1色のペレットから成り、第1色を呈する。領域14の発泡体は第2色のペレットから成り、第2色を呈する。一例として、領域14の発泡体はオレンジ色であってよく、領域12の発泡体は緑色であってよい。残りの領域16、18は、それぞれ独立して、第1色、第2色、又は第1色及び第2色とは更に異なる色を呈することができ、各領域はその色のペレットで製造される。あるいは、領域16、18は、それぞれ独立して、無着色ペレットで製造し、無着色(又は本来の色)とすることもできる。
【0021】
異なる色の発泡体ペレットは、その発泡前、発泡中、又は発泡後に染色プロセスを行うことにより調製することができる。
【0022】
発泡させるペレットは、規則的な形状であっても不規則な形状であってもよい。略球状、円筒状、楕円体、立方体、長方形、及びその他の略多面体の形状等であってよい。また、軸に沿って均一な幅又は直径を有するか否かを問わず、円形、楕円形、正方形、長方形、若しくはその他の外辺が多角形の断面形状、又は不規則な断面形状等を有する、不規則な形状やその他の形状であってもよい。「略(generally)」との語は、ここでは、凹凸や凹みがあったり、縁部、角部、又は側部が完全には揃っていなかったりといった不完全性及び不規則性を有し得る全体形状を示すために使用されている。
【0023】
ペレットは様々なサイズとすることができるが、これらのペレットの最大サイズは、少なくとも一つの次元において10mm以下である。適当なサイズについての非限定的な例としては、直径約3mm〜約8mmの略球状のビーズ、及び、長さ約3mm〜約8mmで直径約1.5mm〜約5mmの、タブレット状又はフットボール状のペレットが挙げられる。
【0024】
ペレットは熱可塑性エラストマーから成る。適当な熱可塑性エラストマーについての非限定的な例としては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリウレアエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー(PEBA又はポリエーテルブロックポリアミド)、熱可塑性ポリエステルエラストマー、メタロセン触媒によるエチレン及び4〜約8個の炭素原子を有するα−オレフィンとのブロックコポリマー、並びに、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン−co−ブチレン−スチレン)、及びポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)等のスチレンブロックコポリマーエラストマーが挙げられる。
【0025】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、熱可塑性ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、及びポリカーボネート−ポリウレタンから選択することができ、限定されるものではないが、これには、高分子ジオール反応剤としてポリエーテル及びポリカプロラクトンポリエステル等のポリエステルを使用して重合されたポリウレタンが含まれる。これらの高分子ジオール系ポリウレタンは、高分子ジオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラヒドロフランジオール、又はポリカーボネートジオール)と、一以上のポリイソシアネートと、必要に応じて一以上の鎖延長化合物と、を反応させることにより調製される。「鎖延長化合物」との語が使用される場合、ジオール、アミノアルコール、及びジアミンといった、イソシアネート基と反応する二以上の官能基を有する化合物を指す。好ましくは、高分子ジオール系ポリウレタンは略直鎖状である(即ち、実質的に反応剤すべてが二官能性である)。
【0026】
ポリウレタンエラストマーを作るのに使用されるジイソシアネートは、芳香族又は脂肪族であってよい。熱可塑性ポリウレタンを調製するために使用される、有用なジイソシアネート化合物としては、これらに限定されるものではないが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート(Hi
2MDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとしても知られる)、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアネートプロパン、1,3−ジイソシアネートプロパン、1,6−ジイソシアネートヘキサン(ヘキサメチレンジイソシアネート又はHDI)、1,4−ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メタ−キシレンジイソシアネート及びパラ−キシレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロ−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネート(XDI)、並びにこれらの組合せが挙げられる。分岐熱可塑性ポリウレタンを生成させるために(必要に応じて単官能性アルコール又は単官能性イソシアネートと共に)限られた量だけ使用され得る、高官能性ポリイソシアネートについての非限定的な例としては、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ジイソシアネートのイソシアヌレート、ジイソシアネートのビウレット、ジイソシアネートのアロファネート等が挙げられる。
【0027】
延長剤として使用することができる適当なジオールについての非限定的な例としては、エチレングリコール、及び、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコール等のエチレングリコールの低級オリゴマー;プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びテトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの低級オリゴマー;シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル及びレゾルシノールビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル;p−キシレン−α,α’−ジオール;p−キシレン−α,α’−ジオールビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル;m−キシレン−α,α’−ジオール等のジヒドロキシアルキル化芳香族化合物、並びにこれらの組合せが挙げられる。熱可塑性ポリウレタンは、少量のトリオール又はトリメチロールプロパン若しくはペンタエリトリトール等の高官能性ポリオールを、必要に応じてC2〜C8のモノオール等の単量体アルコール又はブチルイソシアネート等のモノイソシアネートと共に使用して作ることができる。
【0028】
有用な活性水素含有鎖延長剤は、一般に少なくとも二つの活性水素基を含有するものであり、例えばジオール、ジチオール、ジアミン、又はヒドロキシル基、チオール基、及びアミン基を併せ持つ化合物、とりわけアルカノールアミン、アミノアルキルメルカプタン、及びヒドロキシアルキルメルカプタン等が挙げられる。鎖延長剤の分子量は、好ましくは約60〜約400の範囲である。アルコール及びアミンが好ましい。有用なジオールの例としては、上述のジオール類が挙げられる。適当なジアミン延長剤としては、これらに限定されるものではないが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びこれらの組合せが挙げられる。その他の典型的な鎖延長剤は、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、及びこれらの組合せ等のアミノアルコールである。エラストマーでないポリウレタンを調製するにあたっては、ジチオール及びジアミン反応剤も挙げることができる。
【0029】
二官能性延長剤に加えて、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール及びグリセロール等の三官能性延長剤、又はブタノールやジメチルアミン等の単官能性活性水素化合物が少量存在してもよい。使用される三官能性延長剤又は単官能性化合物の量は、例えば、反応生成物及び使用される活性水素含有基の全重量を基準として5.0当量パーセント以下とすることができる。
【0030】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーを形成するのに使用されるポリエステルジオールは、一般に、一以上のポリ酸化合物及び一以上のポリオール化合物の縮合重合により調製される。僅かに分岐しているが交差結合していないポリエステルポリオール成分を得るために、単官能性材料、三官能性材料、及び高官能性材料が少量含まれてもよい(最大で5モルパーセントとなる場合もあろう)が、好ましくは、ポリ酸化合物及びポリオール化合物は二官能性、即ち、二塩基酸化合物であり、ジオールは、略直鎖状のポリエステルジオールを調製するために使用される。適当なジカルボン酸としては、これらに限定されるものではないが、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、これらの無水物及び重合可能なエステル(例えばメチルエステル)、及び酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物)、並びにこれらの混合物が挙げられる。適当なポリオールとしては、上述のもの、特にジオールが挙げられる。好ましい実施形態では、カルボン酸成分としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、ドデカン二酸、若しくはマレイン酸(又はこれらの無水物又は重合可能なエステル)のうち一以上が含まれ、また、ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、又はジエチレングリコールを含む一以上が含まれる。エステル化重合用の典型的な触媒は、プロトン酸、ルイス酸、チタンアルコキシド、及びジアルキルスズ酸化物である。
【0031】
熱可塑性ポリウレタンを調製するための高分子ポリエーテル又はポリカプロラクトンジオール反応剤は、ジオール開始剤、例えば1,3−プロパンジオール又はエチレングリコール若しくはプロピレングリコールを、鎖延長試薬であるラクトン又はアルキレンオキシドと反応させることにより得ることができる。活性水素により開環可能なラクトンは、従来技術において周知である。適当なラクトンの例としては、これらに限定されるものではないが、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−デカノラクトン、δ−デカノラクトン、γ−ノナラクトン、γ−オクタラクトン、及びこれらの組合せが挙げられる。好ましい一実施形態では、ラクトンはε−カプロラクトンである。有用な触媒としては、ポリエステル合成用の上述のものが挙げられる。あるいは、反応は、ラクトン環と反応する分子のヒドロキシル基のナトリウム塩を形成することにより開始させることもできる。
【0032】
別の実施形態では、ジオール開始剤はオキシラン含有化合物と反応することができ、これによりポリウレタンエラストマー重合において使用されるポリエーテルジオールが生成し得る。アルキレンオキシドポリマーセグメントとしては、これらに限定されるものではないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−シクロヘキセンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、tert−ブチルエチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、1−デセンオキシド、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、1−ペンテンオキシド、及びこれらの組合せの重合生成物が挙げられる。オキシラン含有化合物は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、及びこれらの組合せから選択される。アルキレンオキシド重合は、通常塩基触媒による。この重合は、例えば、ヒドロキシル官能性開始剤化合物と水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、又はカリウムtert−ブトキシド等の触媒量の腐食剤とを入れて、反応可能なモノマーの量を維持するのに十分な速度でアルキレンオキシドを添加することにより行うことができる。二以上の異なるアルキレンオキシドモノマーは、同時に添加することによりランダムに共重合させてもよく、逐次添加することによりブロックで重合させてもよい。エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのホモポリマー又はコポリマーが好ましい。テトラヒドロフランは、SbF
6−、AsF
6−、PF
6−、SbCl
6−、BF
4−、CF
3SO
3−、FSO
3−、及びClO
4−等の対イオンを使用したカチオン開環反応により重合させることができる。第三級オキソニウムイオンが生成することにより反応が開始する。ポリテトラヒドロフランセグメントは、「リビングポリマー」として調製することができ、上述したようなジオールのヒドロキシル基との反応により終了させることができる。ポリテトラヒドロフランは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)としても知られている。
【0033】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーを作る際に使用することができる脂肪族ポリカーボネートジオールは、アルカリ金属、スズ触媒、又はチタン化合物等の触媒存在下で、ジオールをジアルキルカーボネート(ジエチルカーボネート等)、ジフェニルカーボネート、又はジオキソラノン(五員環及び六員環を有する環状カーボネート等)と反応させることにより調製される。有用なジオールとしては、限定されるものではないが、上述のものが挙げられる。芳香族ポリカーボネートは、通常、ビスフェノール、例えばビスフェノールAと、ホスゲン又はジフェニルカーボネートとの反応により調製される。
【0034】
様々な実施形態において、高分子ジオールの重量平均分子量は、好ましくは少なくとも約500であり、より好ましくは少なくとも約1000であり、更に好ましくは少なくとも約1800であり、且つ最大で約10000であるが、高分子ジオールの重量平均分子量は、最大で約5000、特には最大で約4000とすることが好ましい場合もある。高分子ジオールの重量平均分子量は、有利には約500〜約10000、好ましくは約1000〜約5000、より好ましくは約1500〜約4000の範囲である。重量平均分子量は、ASTM D−4274により決定することができる。
【0035】
ポリイソシアネート、高分子ジオール、及びジオール又はその他の鎖延長剤の反応は、通常、触媒の存在下高温で起こる。この反応に用いるための典型的な触媒としては、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズオキシド等の有機スズ触媒、第三級アミン、亜鉛塩、及びマンガン塩が挙げられる。一般に、弾性ポリウレタンについては、延長剤に対するポリエステルジオール等の高分子ジオールの割合は、比較的広い範囲内で変化させることができる。この範囲は、最終的なポリウレタンエラストマーに必要とされる硬度(hardness)に大きく依存する。例えば、延長剤に対するポリエステルジオールの当量比は、1:0〜1:12、より好ましくは1:1〜1:8の範囲内とすることができる。好ましくは、使用するジイソシアネートの割合は、活性水素含有材料の当量に対するイソシアネートの当量の全体的な割合が1:1〜1:1.05、より好ましくは、1:1〜1:1.02の範囲内となるようなものとされる。高分子ジオールセグメントは、通常、ポリウレタンポリマーの重量を基準として約35%〜約65%、好ましくはポリウレタンポリマーの重量を基準として約35%〜約50%である。
【0036】
使用されるジイソシアネート、延長剤、高分子ジオールの選択、及び高分子ジオールの重量パーセントの選択にあたっては、最終的な発泡体に必要とされる密度及び安定性が考慮される。一般に、超臨界流体に近いヒルデブラントの溶解度パラメータを有する高分子ポリオールの含有量が多いと、超臨界流体をより多く吸収することができるようになるため、結果として低密度の発泡体が得られる。また、一般に、短い高分子ジオールではまず発泡が起こり、その後あまり収縮しない発泡体が得られる。数平均分子量がより大きな高分子ジオールを使用することにより、より著しい膨張が可能となるが、分子量が大きすぎると、より不安定な発泡体が生じるおそれがある。
【0037】
適当な熱可塑性ポリウレアエラストマーが、一以上の高分子ジアミン又はポリオールを一以上の上述のポリイソシアネート類及び一以上のジアミン延長剤と反応させることにより調製され得る。適当なジアミン延長剤についての非限定的な例としては、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、イミノ−ビス(プロピルアミン)、イミド−ビス(プロピルアミン)、N−(3−アミノプロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)ブタン、ジエチレングリコール−ジ(アミノプロピル)エーテル、1−メチル−2,6−ジアミノ−シクロヘキサン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビス(メチルアミノ)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,2−又は1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジシクロヘキシルメタン、並びに3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンが挙げられる。高分子ジアミンとしては、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン、及びポリ(テトラメチレンエーテル)ジアミンが挙げられる。上述のアミン官能性延長剤及びヒドロキシル官能性延長剤も使用可能である。一般に、上述の通り、三官能性反応剤については制限があり、交差結合を防ぐために単官能性反応剤と併せて使用され得る。
【0038】
適当な熱可塑性ポリアミドエラストマーは、(1)(a)ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、若しくはその他の上述のジカルボン酸の何れかを、(b)ジアミン、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、若しくはデカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、m−キシリレンジアミン、若しくはその他の上述のジアミン類の何れかと重縮合させることにより;(2)ε−カプロラクタム若しくはω−ラウロラクタム等の環状ラクタムの開環重合により;(3)6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、若しくは12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重縮合により;又は(4)環状ラクタムをジカルボン酸及びジアミンと共重合させることにより、カルボン酸官能性ポリアミドブロックを調製し、その後上述のような高分子エーテルジオール(ポリオキシアルキレングリコール)と反応させることによって得ることができる。重合は、例えば約180℃〜約300℃の温度で行うことができる。適当なポリアミドブロックについての具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、共重合ナイロン、ナイロンMXD6、及びナイロン46が挙げられる。
【0039】
熱可塑性ポリウレアエラストマー及びポリアミドエラストマーを作るのに使用されるソフトセグメント高分子ポリオールの種類及び分子量による影響は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを作る場合におけるものと類似している。
【0040】
熱可塑性ポリエステルエラストマーは、結晶質領域を形成する、鎖長が短いモノマーユニットのブロックと、比較的鎖長が長いモノマーユニットを有するソフト化セグメントのブロックと、を有する。熱可塑性ポリエステルエラストマーは、DuPontから商品名HYTRELで市販されているものである。
【0041】
エチレン及び4〜約8個の炭素原子を有するα−オレフィンのメタロセン触媒によるブロックコポリマーが、例えばシクロペンタジエニル−遷移金属化合物及びアルモキサンを含む触媒系が存在する状態での高圧法による、エチレンとヘキサン−1又はオクテン−1等のソフト化コモノマーとの単一サイトのメタロセン触媒反応によって調製される。オクテン−1は、使用するのに好ましいコモノマーである。これらの材料は、商品名Exact(商標)でExxonMobilから市販されており、また、商品名Engage(商標)でDow Chemical Companyから市販されている。
【0042】
ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン−co−ブチレン−スチレン)、及びポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)等のスチレンブロックコポリマーエラストマーは、アニオン性重合により調製することができる。このアニオン性重合では、ポリマーセグメントは、まずアルキル−リチウム開始剤をスチレンと反応させ、次いでアルケンモノマーを添加することにより重合を継続させ、その後スチレンの再添加により重合を完了させることによって、逐次的に形成される。S−EB−Sブロックコポリマー及びS−EP−Sブロックコポリマーはそれぞれ、S−B−Sブロックコポリマー及びS−I−Sブロックコポリマーの水素化により製造される。
【0043】
熱可塑性エラストマーは、押出成形及びカット又はペレット化といった既知の方法により、少なくとも一つの次元における最大サイズが10mm以下である、ペレット、ビーズ、粒子、又はその他の小片へ形成される。
【0044】
ペレットには超臨界流体が注入される。この超臨界流体は、多くの実施形態において、好ましくは超臨界二酸化炭素である。
【0045】
超臨界流体として使用することができる適当な化合物についての非限定的な例としては、二酸化炭素(臨界温度31.1℃、臨界圧力7.38MPa)、亜酸化窒素(臨界温度36.5℃、臨界圧力7.24MPa)、エタン(臨界温度32.3℃、臨界圧力4.88MPa)、エチレン(臨界温度9.3℃、臨界圧力5.12MPa)、窒素(臨界温度−147℃、臨界圧力3.39MPa)、及び酸素(臨界温度−118.6℃、臨界圧力5.08MPa)が挙げられる。
【0046】
超臨界流体は、組み合わせて使用されてもよい。場合によっては、超臨界窒素が、発泡剤として働く超臨界二酸化炭素又は他の超臨界流体と共に、重量パーセンテージが小さな核形成剤として使用されてもよい。ナノクレイ、カーボンブラック、結晶質粒子、非混和性ポリマー、及び塩等の無機結晶といったナノサイズ粒子が核形成剤として含まれていてもよい。
【0047】
二酸化炭素は、様々なプロセスにおいて超臨界流体として使用されることが多い。超臨界流体の二酸化炭素をメタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノール等の極性流体と混合することにより、超臨界流体と極性熱可塑性エラストマー(特に、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレア、及びポリアミドエラストマー)との相溶性を高めることができる。使用される極性流体のヒルデブラントの溶解度パラメータは、9MPa
−1/2以上であるべきである。極性流体の重量分率が増加すると、二酸化炭素の取り込み量が増加するが、極性流体も取り込まれてしまう。また、いくつかの点で、超臨界二酸化炭素が取り込まれる最大量から、発泡剤でない極性流体が熱可塑性エラストマーペレットに取り込まれる量へのシフトが生じ、極性流体の取り込み量が増加する。特定の実施形態では、特にポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、又はポリアミドエラストマーへの注入に使用される際には、全流体を基準として約0.1モル%〜約7モル%の極性流体が超臨界流体に含まれる。
【0048】
ペレットは、高圧に耐えられる容器中に配置される。容器は密閉されており、CO
2又はその他の種類の発泡剤が導入される。容器の温度及び圧力は、発泡剤の臨界温度及び臨界圧力よりも高く維持される。ペレットが発泡剤で飽和した時点で、容器は急速に減圧される(この減圧プロセスは、最大で1分程度続き得る)。その後、ペレットが容器から取り出されて加熱され、これにより発泡ペレットが製造される。共溶媒を使用する場合、当該共溶媒は、CO
2と共に導入することができ、容器を密閉する前にペレットと共に容器に加えることもできる。
【0049】
熱可塑性ペレットは、当該ペレットが必要量の超臨界流体を取り込むことができるように、所定条件(温度及び圧力)下で所定時間だけ超臨界流体に浸漬される。
【0050】
他の形状の発泡品について、同様の方法で、他の形状及びサイズの熱可塑性エラストマー物品、特に少なくとも一つの次元において20mm以下のものから調製することができる。
【0051】
超臨界流体に浸漬した後、ペレット又はその他の物品はチャンバーから取り出され、その後すぐに、発泡が起こる温度まで適当な熱特性を有する媒体中で加熱されるか、又は、発泡を起こすために、トンネル若しくはオーブン中でマイクロ波若しくは赤外線放射にさらされる。マイクロ波加熱においては、材料が材料中の分子を振動させる電磁波にさらされ、これにより熱が発生する。当該システムは、バッチ式に又は連続プロセスで動作するように設計することができる。バッチプロセスでは、超臨界流体で飽和させた物品は、マイクロ波オーブン中又は一つ以上のIRランプが備え付けられたデバイス中に配置される。好ましくは、当該物品は、そのサイズが確実に高速且つ均一な加熱ができる程度に十分小さい場合は、回転されるか、又はかき混ぜられる。発泡が完了すると、当該物品は当該システムから取り出される。連続プロセスにおいて加熱を行うこともできる。当該物品は、トンネル又はパイプを通して当該物品を動かすベルト等の平坦面上に配置される。当該システムは、加熱素子(IRランプ又はマイクロ波発生器)により急速且つ均一な加熱を行う力が得られるように設計される。加熱時間は、物品がトンネル又はパイプを通って移動する速度により制御される。
【0052】
水は、高い熱容量及び熱伝達率を有するため、適切な温度で容易に発泡を起こす適当な媒体の一つである。特定の好ましい実施形態では、超臨界流体を注入するか、又は超臨界流体で飽和させた熱可塑性エラストマー物品は、エラストマー(ソフトセグメント)のT
gより少なくとも約80℃、好ましくは少なくとも約100℃高く、エラストマー(ハードセグメント)のT
mより低い温度の水に入れられる。
【0053】
その他の適当な媒体には、蒸気又は加圧された高温の空気がある。
【0054】
超臨界流体の注入から発泡までの間が約数分〜約1日遅れると、吸収された超臨界流体の少なくとも一部が発泡せずに脱着することができるようになる。このため、ペレットの外側の層は低濃度、ペレットの中央は高密度となり、ペレットの中に超臨界流体の濃度勾配が生じることになる。このような勾配は、密度及び発泡体の反応率に影響を及ぼす。
【0055】
熱可塑性エラストマー物品と超臨界流体との溶媒和ステップにおける時間、温度、及び圧力、並びに発泡ステップにおける減圧速度、温度、及び媒体のすべてが、実際の発泡の度合いに影響する。一般に、より大きなペレットは、超臨界流体で飽和させるためには、より長い時間超臨界流体中で保持しなければならない。
【0056】
当該発泡ペレットは、発泡プロセス後であって当該ペレットを成形する前に、高温でアニールすることができる。理論に拘泥するものではないが、物品のアニーリングにより、例えば金型中で歪みが生じ、応力や部分的な外圧が掛かっているエラストマーにおいて相分離を起こすことが可能であり、これにより急速な発泡直後の内部圧力の平衡が穏やかなものとなり得ると考えられている。力がつり合っている状態で冷却することにより、室温及び大気圧下に置かれてもその形状を維持することができるように、弾性係数(modulus)が増加し得る。
【0057】
ペレットは、周囲温度より高く熱可塑性エラストマーのT
m(T
mは通常の適切な熱的方法により決定することができ、熱的方法としては示差走査熱量分析(DSC)が挙げられる)直下までの温度で、発泡体を安定化させるために十分な時間アニールすることができる。
【0058】
ペレットは、(1)超臨界流体を注入する前に、(2)超臨界流体を注入している間に、必要に応じて極性液体を含む、超臨界流体に溶解又は分散した非イオン性又はアニオン性染料によって、(3)染料を含有する加熱された流体に浸されている間に、又は(4)発泡後に、非イオン性又はアニオン性(「酸性」)染料で染色される。
【0059】
酸性染料は、水溶性アニオン性染料である。酸性染料は、くすんだ色調から鮮やかな色合いまで、多種多様なものが利用可能である。化学的には、酸性染料としては、アゾ化合物、アントラキノン化合物、及びトリアリールメタン化合物が挙げられる。
【0060】
英国染料染色学会(UK)及び米国繊維化学技術・染色技術協会(USA)が共同で出版している「カラーインデックス」(C.I.)は、大規模な着色を目的とする染料及び顔料の最も広範な大要であり、2000のC.I.一般名があり、結果として12000の色が含まれる。C.I.では、各化合物に色の分類及び化学的分類を表す二つの数字が付されている。「一般名」は利用分野及び/又は着色方法についてのものであり、もう一方の数字は「カラーインデックスナンバー(constitution number)」である。酸性染料についての非限定的な例としては、Acid Yellow 1、17、23、25、34、42、44、49、61、79、99、110、116、127、151、158:1、159、166、169、194、199、204、220、232、241、246、及び250;Acid Red 1、14、17、18、42、57、88、97、118、119、151、183、184、186、194、195、198、211、225、226、249、251、257、260、266、278、283、315、336、337、357、359、361、362、374、405、407、414、418、419、及び447;Acid Violet 3、5、7、17、54、90、及び92;Acid Brown 4、14、15、45、50、58、75、97、98、147、160:1、161、165、191、235、239、248、282、283、289、298、322、343、349、354、355、357、365、384、392、402、414、420、422、425、432、及び434;Acid Orange 3、7、10、19、33、56、60、61、67、74、80、86、94、139、142、144、154、及び162;Acid Blue 1、7、9、15、92、133、158、185、193、277、277:1、314、324、335、及び342;Acid Green 1、12、68:1、73、80、104、114、及び119;Acid Black 1、26、52、58、60、64、65、71、82、84、107、164、172、187、194、207、210、234、235、並びにこれらの組合せが挙げられる。酸性染料は、単独で使用してもよく、染料溶液中で任意に組み合わせて使用してもよい。
【0061】
酸性染料及び非イオン性分散染料は、多数の販売元から市販されている。例えば、商標TELONでノースカロライナ州シャーロットのDystar L.P.から、商標ERIONYL及びTECTILONでテキサス州ウッドランドのHuntsman Corporationから、商標BASACIDでドイツ・ルートウィヒスハーフェンのBASF SEから、また、商品名Bemacidでスイス・MontlingenのBezema AGから市販されている。
【0062】
非イオン性分散染料も、多数の色のものが市販されており、これには蛍光染料も含まれる。
【0063】
ペレット又はその他の物品は、発泡前に染色されてもよい。ペレット又はその他の物品が染色される酸性又は非イオン性分散染料溶液は、例えば、約0.001〜約5.0g/L、好ましくは約0.01〜約2g/Lの、酸性若しくは非イオン性分散染料化合物、又は酸性若しくは非イオン性分散染料化合物の組合せを含むことができる。酸性又は非イオン性分散染料化合物の使用量により、どの程度強い色になるか、及びどの程度速くペレット又はその他の物品が染色されるかが決定されることになる。染料化合物の使用量は直接的なやり方で最適化することができる。即ち、一般に、より濃縮された染料溶液の方が、より強い(より深く、より暗く、より高強度の)染色が得られ、また、熱可塑性エラストマーを含有するペレット又はその他の物品をより速く染色することができる。
【0064】
染料溶液は、水溶性有機溶媒を含むことができる。染料溶液中で特定量使用される特定の有機溶媒の水溶性については、アルコールが染料溶液中で使用される濃度で、20℃、1気圧の圧力において決定される。即ち、アルコールが染料溶液中で使用される濃度で、20℃、1気圧の圧力において、有機溶媒が完全に水に溶解するか、又は完全に水に混和し、分離相又は層を形成することがなければ、当該有機溶媒は水溶性である。使用され得る水溶性有機溶媒についての適当な非限定的な例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びグリセロール等のアルコール;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン;限られた量だけ水に可溶なブチルアセテート等のエステル;並びに、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の、グリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル(特に酢酸エステル)が挙げられる。水溶性有機溶媒は、染料溶液を作るために使用される水系媒体に対して、体積基準で最大約50%、若しくは体積基準で最大約25%、又は体積基準で約1%〜約50%、若しくは体積基準で約5%〜約40%、若しくは体積基準で約10%〜約30%、若しくは体積基準で約15%〜約25%の濃度で含まれ得る。有機溶媒を使用するかどうか、及びどの程度の量の有機溶媒を使用するかは、どの染料を使用するかに応じて、また、染料溶液をペレット又はその他の物品と接触させるための付与方法に応じて変更することができる。
【0065】
ペレット又はその他の物品が熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱可塑性ポリウレアエラストマーを含有する場合、有利には、アニオン性染料溶液も、可溶性テトラブチルアンモニウム化合物及びテトラヘキシルアンモニウム化合物から選択された第四級(テトラアルキル)アンモニウム塩を含む。このような物品は、有利には、アニオン性染料化合物、可溶性テトラブチルアンモニウム化合物及びテトラヘキシルアンモニウム化合物から選択された第四級アンモニウム塩、及び、必要に応じて水溶性有機溶媒を含む酸性染料溶液中で染色される。
【0066】
第四級アンモニウム塩の対イオンは、第四級アンモニウム塩がアニオン性染料と安定な溶液を形成するようなものを選択すべきである。第四級アンモニウム化合物は、例えば、ハロゲン化物(塩化物、シュウ化物、若しくはヨウ化物等)、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ヘキサフルオロホスファイト、ホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、シアン化物、イソシアニド、アジ化物、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、又はカルボン酸塩(酢酸塩若しくはシュウ酸塩等)であってよい。特定の実施形態では、染色カバー層又はコーティング層用により暗い色を生成するために、テトラアルキルアンモニウム化合物には、より弱いルイス塩基であるアニオンが選択され得る。様々な実施形態において、テトラアルキルアンモニウム化合物は、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物又はテトラヘキシルアンモニウムハロゲン化物、特にシュウ化テトラブチルアンモニウム若しくは塩化テトラブチルアンモニウム又はシュウ化テトラヘキシルアンモニウム若しくは塩化テトラヘキシルアンモニウムであるか、又はこれを含むものである。
【0067】
ペレット又は物品が熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱可塑性ポリウレアエラストマーを含有する場合、ペレット又は物品の染色に使用される酸性染料溶液は、染料化合物の1当量あたり約0.1〜約5当量の可溶性テトラアルキルアンモニウム化合物を含み得る。様々な実施形態において、酸性染料溶液は、染料化合物の1当量あたり約0.5〜約4、好ましくは約1〜約4当量のテトラアルキルアンモニウム化合物を含み得る。特定の酸性染料化合物と共に使用されるテトラアルキルアンモニウム化合物の量は、カバー層又はコーティング層への、又は当該層中での染料の拡散速度に依存し、直接的なやり方で最適化することができる。熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱可塑性ポリウレアエラストマーを含有するペレット又は物品を、この可溶性テトラアルキルアンモニウム化合物を含有する染料溶液で染色するプロセスにより、染色されるペレット又は物品において、強い色強度を生成することができる。
【0068】
ペレットは、(1)超臨界流体が注入される前に、非イオン性又はアニオン性染料で染色することができる。ペレットは、超臨界流体が注入されている間に、超臨界流体に溶解又は分散した、必要に応じて極性液体を含む非イオン性又はアニオン性染料により染色することもできる。ペレットは、染料を含有する加熱された流体に浸されている間に染色することもできる。特に、当該加熱された流体は加熱された水系染料溶液とすることができ、上述のように、第四級アンモニウム塩及び有機溶媒を含有するものとすることができる。最後に、ペレット又は物品は、上述の染色プロセスを使用して発泡後に染色することができる。
【0069】
金型は異なる色の発泡ペレットで充填される。これら異なる色の発泡ペレットは、混合されてもよく、金型の複数の異なる領域に分離されてもよい。少なくとも二つの異なる色のペレットが使用される。より多くの色のペレットを使用してもよい。
【0070】
金型がこのようにして充填された後、ペレットが適切な温度で造形品に成形される。当該造形品は、任意の大きさのものであってよい。例えば、当該成形品は、履物製品、例えば、カラー又はタンの発泡要素といった履物のアッパーの一部に含まれ得るクッション若しくはクッション要素として、インソールとして、ミッドソール若しくはミッドソールの一部として、アウトソール若しくはアウトソールの一部として;すね当て、肩パッド、胸部プロテクター、マスク、ヘルメット若しくはその他のヘッドギア、膝部プロテクター、及びその他の保護具における発泡パッドとして;衣料品において繊維層の間に配置されるか、衣類中、ヘルメット、胸部プロテクター、及び肩パッド等の防具中に配置される構成要素として適した大きさとすることができ、また、その他の既知の保護機能又は快適性のためのパッドの利用、特にパッド重量を主眼とした利用のために使用することもできる。
【0071】
一実施形態では、履物用ミッドソール等の発泡品は、必要な量の異なる色の熱可塑性ポリウレタン発泡ペレットを、例えば概ね図に示すように並べて、圧縮金型中に物品の形状に合わせて配置することにより形成される。金型は、約300〜約1500秒間にわたり約100℃〜約180℃のピーク温度とされ、次いで、ピーク温度に達した後約30秒以内に冷却されて、約300〜約1500秒間にわたり約5℃〜約80℃とされる。様々な実施形態において、熱可塑性ポリウレタンフォームペレットは、好ましくは略球状又は楕円体状のものとすることができる。非球状のペレット、例えば楕円体状のビーズの場合、断面の最大長径は、楕円体の主軸(長軸)に垂直に取られる。発泡体ペレットの直径は、好ましくは約0.5mm〜約1.5cmとすることができる。楕円体状のペレットは、長さ約2mm〜約20mm、直径約1mm〜約20mmとすることができる。個々の各ペレットの重量は、例えば約20mg〜約45mgとすることができる。発泡体ペレットの密度は、約0.01g/cm
3〜約0.3g/cm
3とすることができ、成形品の密度は、約0.1g/cm
3〜約0.45g/cm
3とすることができる。
【0072】
必要な量の熱可塑性ポリウレタンフォームペレットが圧縮金型中に配置される。発泡ペレットは、金型及び発泡ペレットの両方の温度が約80℃未満であるときに、金型中に配置することができる。好ましくは、金型及び発泡ビーズの温度は何れも周囲温度(約5〜27℃)である。但し、上述のように、各温度はこれより高いものであってもよく、最大で80℃となる場合もあろう。
【0073】
発泡体ペレットは、金型中に配置する前に接着剤でコートすることができる。適当な接着剤としては、Henkel製のW−104、W−105、W−01、W−01S、及びSW07が挙げられる。Han Young Industry Company製のWA−1C及びWP1−116Kといった他の接着剤を使用することもできる。一般に、これらの接着剤は、発泡ペレット上にスプレーするか、又はその他の方法で発泡ペレット上にコートすることができる。
【0074】
金型は、約300〜約1500秒にわたり、最大で約110℃までの範囲のピーク温度とされる。一般に、より厚い部分を加熱して当該部分の成形を行うためには、より長い時間が使用され得る。従って、より厚い部分は、より薄い部分についてピーク成形温度とする時間と比較して、より長い時間にわたりピーク成形温度とされ得る。様々な実施形態において、金型は約300〜約1200秒又は約300〜約900秒間にわたりピーク温度とされる。温度範囲内で最大加熱温度を選択することにより、必要な表面厚さが得られる。表面厚さは、履物製品において使用される際の、成形されたミッドソールのクッション性及び肌触りを変化させるように選択することができる。ビーズの表面厚さは、約10マイクロメートルとすることができる。成形部分の表面厚さは、少なくとも約20マイクロメートルとすることができる。様々な実施形態において、ピーク温度は、表面厚さが約10〜約200マイクロメートルとなるように選択される。
【0075】
その後、金型は、約300〜約1500秒間にわたり約5℃〜約80℃の温度に冷却される。冷却は、通常、金型を二つの冷却プレートの間の圧縮成形機の低温側へ移動させることにより行われる。一般に、より厚い部分を冷却するためには、より長い時間が使用され得る。
【0076】
別の実施形態では、発泡ペレットは、未発泡の熱可塑性エラストマーのマトリックス材料と共に成形される。当該マトリックス材料は、成形プロセス中に発泡するように、発泡剤を含み得る。
【0077】
成形品は、熱成形プロセス等の更なる成形プロセスにおける挿入部として使用することができる。
【0078】
これまでの実施形態についての説明は、例示目的及び説明目的でなされたものである。網羅的であること、又は発明を限定することを目的としたものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に当該特定の実施形態に限定されるものではなく、具体的な明示や記載がなかったとしても、他の実施形態において使用することができ、また他の様式で組み合わせることができる。このような変形例は、本発明に包含されるものである。