(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の筐体(A),(B)が互いに折畳まれる折畳状態と、互いに開いて展開された展開状態とに切換可能なように、該一対の筐体(A),(B)を互いに回動可能に連結するにあたり、一方の筐体(A)と一体的に回動する第1回動部材(3A)の回動軸(2A)と、他方の筐体(B)と一体的に回動する第2回動部材(3B)の回動軸(2B)とを2列に並べて形成するとともに、第1回動部材(3A)と第2回動部材(3B)を回動可能に軸支して連結するベース部材(4)と、第1回動部材(3A)の回動に伴って第2回動部材(3B)を反対方向に回動させる連動機構(5)とを設けた二軸ヒンジ装置であって、第1回動部材(3A)及び第2回動部材(3B)を回動軸(2A),(2B)間距離が変動可能にベース部材(4)に支持し、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸(2A),(2B)間距離が大きくなるように変動調整する変動機構を設け、
回動軸(2A)は第1回動部材(3A)と一体回動するようにし、回動軸(2B)は第2回動部材(3B)と一体回動するようにし、
回動軸(2A),(2B)と一体回転する位置決め部材(6A),(6B)をベース部材(4)に対向させて設け、位置決め部材(6A),(6B)とベース部材(4)における互いの対向部に凹凸嵌合する嵌合部(24),(26)をそれぞれ形成し、位置決め部材(6A),(6B)及びベース部材(4)の嵌合部(24),(26)同士の凹凸嵌合によって、該回動部材(3A),(3B)を所定の回動位置で位置決めする二軸ヒンジ装置。
一対の筐体(A),(B)が互いに折畳まれる折畳状態と、互いに開いて展開された展開状態とに切換可能なように、該一対の筐体(A),(B)を互いに回動可能に連結するにあたり、一方の筐体(A)と一体的に回動する第1回動部材(3A)の回動軸(2A)と、他方の筐体(B)と一体的に回動する第2回動部材(3B)の回動軸(2B)とを2列に並べて形成するとともに、第1回動部材(3A)と第2回動部材(3B)を回動可能に軸支して連結するベース部材(4)と、第1回動部材(3A)の回動に伴って第2回動部材(3B)を反対方向に回動させる連動機構(5)とを設けた二軸ヒンジ装置であって、第1回動部材(3A)及び第2回動部材(3B)を回動軸(2A),(2B)間距離が変動可能にベース部材(4)に支持し、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸(2A),(2B)間距離が大きくなるように変動調整する変動機構を設け、
連動機構(5)を、第1回動部材(3A)と第2回動部材(3B)とを連結するリンク機構によって構成し、
変動機構を連動機構(5)に一体的に設け、
リンク機構(5)が、第1回動部材(3A)と一体回動する連結アーム(16A)と、第2回動部材(3B)と一体回動する連結アーム(16B)と、前記2つの連結アーム(16A),(16B)同士を連結する連結ロッド(17)とを備え、
回動軸(2A),(2B)間の距離方向が長手方向になる長孔(12A),(12B)をベース部材(4)に穿設し、回動軸(2A),(2B)を長手方向に移動可能且つ回動可能に長孔(12A),(12B)に挿入して支持し、
各連結アーム(16B),(16B)に作動ピン(29),(29)を設け、作動ピン(29),(29)が移動可能に挿入される作動ガイド部(31A),(31B)をベース部材(4)に形成し、連結アーム(16A),(16B)の回動位置に応じて、各作動ピン(29),(29)の作動ガイド部(31A),(31B)内での位置が定まり、これによって各回動軸(2A),(2B)の長孔(12A),(12B)での位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸(2A),(2B)間距離が大きくなるように各作動ガイド部(31A),(31B)を形成し、一対の連結アーム(16A),(16B)間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド(17)側に設け、
連結アーム(16A),(16B)側の連結ピン(20)がスライド可能に挿入されるスライド部(17c)を連結ロッド(17)に形成し、該スライド部(17c)によって前記融通手段を構成した二軸ヒンジ装置。
一対の長孔(12A),(12B)の互いに近接する側に、該長孔(12A),(12B)と交差する方向両側に延びる作動ガイド部(31A),(31B)をそれぞれ形成し、一対の作動ガイド部(31A),(31B)の間の距離が、中途側より端側の方が短くなるように、該一対の作動ガイド部(31A),(31B)を、それぞれ中途側で互いの距離が長くなる円弧状に形成した請求項2に記載の二軸ヒンジ装置。
一対の筐体(A),(B)が互いに折畳まれる折畳状態と、互いに開いて展開された展開状態とに切換可能なように、該一対の筐体(A),(B)を互いに回動可能に連結するにあたり、一方の筐体(A)と一体的に回動する第1回動部材(3A)の回動軸(2A)と、他方の筐体(B)と一体的に回動する第2回動部材(3B)の回動軸(2B)とを2列に並べて形成するとともに、第1回動部材(3A)と第2回動部材(3B)を回動可能に軸支して連結するベース部材(4)と、第1回動部材(3A)の回動に伴って第2回動部材(3B)を反対方向に回動させる連動機構(5)とを設けた二軸ヒンジ装置であって、第1回動部材(3A)及び第2回動部材(3B)を回動軸(2A),(2B)間距離が変動可能にベース部材(4)に支持し、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸(2A),(2B)間距離が大きくなるように変動調整する変動機構を設け、
連動機構(5)を、第1回動部材(3A)と第2回動部材(3B)とを連結するリンク機構によって構成し、
変動機構を連動機構(5)に一体的に設け、
リンク機構(5)が、第1回動部材(3A)と一体回動する連結アーム(16A)と、第2回動部材(3B)と一体回動する連結アーム(16B)と、前記2つの連結アーム(16A),(16B)同士を連結する連結ロッド(17)とを備え、
回動軸(2A),(2B)間の距離方向が長手方向になる長孔(12A),(12B)をベース部材(4)に穿設し、回動軸(2A),(2B)を長手方向に移動可能且つ回動可能に長孔(12A),(12B)に挿入して支持し、
各連結アーム(16B),(16B)の先端側をガイド可能に係合させる作動ガイド部(31A),(31B)を有するガイド部材(34)を設け、回動位置に応じた連結アーム(16A),(16B)先端側の作動ガイド部(31A),(31B)での位置の設定によって、連結アーム(16A),(16B)の回動位置に対する各回動軸(2A),(2B)の長孔(12A),(12B)での位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸(2A),(2B)間距離が大きくなるように設定し、各作動ガイド部(31A),(31B)を形成し、一対の連結アーム(16A),(16B)間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド(17)側に設けた二軸ヒンジ装置。
ガイド部材(34)におけるベース部材(4)の反対側に連結ロッド(17)を配置し、連結ロッド(17)と連結アーム(16A),(16B)とを連結する連結ピン(20)を挿通させる作動ガイド孔からなる作動ガイド部(31A),(31B)を、ガイド部材(34)に穿設した請求項4に記載の二軸ヒンジ装置。
各作動ガイド孔(31A),(31B)は、一対の筐体(A),(B)を0乃至180度の間で回動させる部分と、180度乃至360度の間で回動させる部分とによって構成した請求項5に記載の二軸ヒンジ装置。
回動軸(2A),(2B)と一体回転する位置決め部材(6A),(6B)をベース部材(4)に対向させて設け、位置決め部材(6A),(6B)とベース部材(4)における互いの対向部に凹凸嵌合する嵌合部(24),(26)をそれぞれ形成し、位置決め部材(6A),(6B)及びベース部材(4)の嵌合部(24),(26)同士の凹凸嵌合によって、該回動部材(3A),(3B)を所定の回動位置で位置決めする請求項7に記載の二軸ヒンジ装置。
位置決め部材(6A),(6B)を回動軸(2A),(2B)の軸方向に移動可能に設け、該位置決め部材(6A),(6B)がベース部材(4)に接当するように該位置決め部材(6A),(6B)をベース部材(4)側に押圧する弾性部材(27)を設けた請求項1又は8に記載の二軸ヒンジ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に記載の二軸ヒンジ装置では、筐体同士をできるだけ短い距離で連結するため、2列に並べられた回動軸を互いに近接させる必要がある一方で、回動軸間の距離が短すぎると、回動時に一対の筐体の回動軸側端部同士が互いに干渉し、折畳状態から展開状態への切換又は展開状態から折畳状態への切換をスムーズに行うことが困難な場合がある。
このため、2列に並べられた回動軸間の距離を所定以上の長さに設定するか、或いは一対の筐体の回動軸側端部を互いに干渉し難い形状、例えば円弧断面形状等に成形する必要がある。
【0008】
本発明は、一方の筐体と一体的に回動する第1回動部材の回動軸と、他方の筐体と一体的に回動する第2回動部材の回動軸とを2列に並べて形成し、第1回動部材の回動に伴って第2回動部材を反対方向に回動させる連動機構を設けた二軸ヒンジ装置であって、回動軸同士の配置の自由度が高く、各筐体の回動軸側端部の形状の自由度も高い二軸ヒンジ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すため、第1に、一対の筐体A,Bが互いに折畳まれる折畳状態と、互いに開いて展開された展開状態とに切換可能なように、該一対の筐体A,Bを互いに回動可能に連結するにあたり、一方の筐体Aと一体的に回動する第1回動部材3Aの回動軸2Aと、他方の筐体Bと一体的に回動する第2回動部材3Bの回動軸2Bとを2列に並べて形成するとともに、第1回動部材3Aと第2回動部材3Bを回動可能に軸支して連結するベース部材4と、第1回動部材3Aの回動に伴って第2回動部材3Bを反対方向に回動させる連動機構5とを設けた二軸ヒンジ装置であって、第1回動部材3A及び第2回動部材3Bを回動軸2A,2B間距離が変動可能にベース部材4に支持し、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸2A,2B間距離が大きくなるように変動調整する変動機構を設けてなることを特徴としている。
【0010】
第2に、連動機構5を、第1回動部材3Aと第2回動部材3Bとを連結するリンク機構によって構成したことを特徴としている。
【0011】
第3に、変動機構を連動機構5に一体的に設けたことを特徴としている。
【0012】
第4に、リンク機構5が、第1回動部材3Aと一体回動する連結アーム16Aと、第2回動部材3Bと一体回動する連結アーム16Bと、前記2つの連結アーム16A,16B同士を連結する連結ロッド17とを備えたことを特徴としている。
【0013】
第5に、動軸2A,2B間の距離方向が長手方向になる長孔12A,12Bをベース部材4に穿設し、回動軸2A,2Bを長手方向に移動可能且つ回動可能に長孔12A,12Bに挿入して支持してなることを特徴としている。
【0014】
第6に、各連結アーム16B,16Bに作動ピン29,29を設け、作動ピン29,29が移動可能に挿入される作動ガイド部31A,31Bをベース部材4に形成し、連結アーム16A,16Bの回動位置に応じて、各作動ピン29,29の作動ガイド部31A,31B内での位置が定まり、これによって各回動軸2A,2Bの長孔12A,12Bでの位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸2A,2B間距離が大きくなるように各作動ガイド部31A,31Bを形成し、一対の連結アーム16A,16B間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド17側に設けたことを特徴としている。
【0015】
第7に、連結アーム16A,16B側の連結ピン20がスライド可能に挿入されるスライド部17cを連結ロッド17に形成し、該スライド部17cによって前記融通手段を構成したことを特徴としている。
【0016】
第8に、一対の長孔12A,12Bの互いに近接する側に、該長孔12A,12Bと交差する方向両側に延びる作動ガイド部31A,31Bをそれぞれ形成し、一対の作動ガイド部31A,31Bの間の距離が、中途側より端側の方が短くなるように、該一対の作動ガイド部31A,31Bを、それぞれ中途側で互いの距離が長くなる円弧状に形成したことを特徴としている。
【0017】
第9に、各連結アーム16B,16Bの先端側をガイド可能に係合させる作動ガイド部31A,31Bを有するガイド部材34を設け、回動位置に応じた連結アーム16A,16B先端側の作動ガイド部31A,31Bでの位置の設定によって、連結アーム16A,16Bの回動位置に対する各回動軸2A,2Bの長孔12A,12Bでの位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸2A,2B間距離が大きくなるように設定し、各作動ガイド部31A,31Bを形成し、一対の連結アーム16A,16B間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド17側に設けたことを特徴としている。
【0018】
第10に、ガイド部材34におけるベース部材4の反対側に連結ロッド17を配置し、連結ロッド17と連結アーム16A,16Bとを連結する連結ピン20を挿通させる作動ガイド孔からなる作動ガイド部31A,31Bを、ガイド部材34に穿設したことを特徴としている。
【0019】
第11に、各作動ガイド孔31A,31Bは、一対の筐体A,Bを0乃至180度の間で回動させる部分と、180度乃至360度の間で
回動させる部分とによって構成したことを特徴としている。
【0020】
第12に、第1回動部材3Aと一体回動する回動軸2Aと、第2回動部材3Bと一体回動する回動軸2Bとを設けたことを特徴としている。
【0021】
第13に、回動軸2A,2Bと一体回転する位置決め部材6A,6Bをベース部材4に対向させて設け、位置決め部材6A,6Bとベース部材4における互いの対向部に凹凸嵌合する嵌合部24,26をそれぞれ形成し、位置決め部材6A,6B及びベース部材4の嵌合部24,26同士の凹凸嵌合によって、該回動部材3A,3Bを所定の回動位置で位置決めすることを特徴としている。
【0022】
第14に、位置決め部材6A,6Bを回動軸2A,2Bの軸方向に移動可能に設け、該位置決め部材6A,6Bがベース部材4に接当するように該位置決め部材6A,6Bをベース部材4側に押圧する弾性部材27を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸間距離が大きくなるように変動調整する変動機構を設けることにより、折畳状態時及び展開状態時における回動軸間の距離を短く設定することが可能になるとともに、折畳状態から展開状態への切換及び展開状態から折畳状態への切換時における筐体の回動軸側端部同士の干渉も抑制できるため、2列に並べて配置される回動軸の配置構成の制約や、筐体の回動軸側端部の形状の制約が減るという効果がある。
【0024】
また、連動機構を、第1回動部材と第2回動部材とを連結するリンク機構によって構成し、変動機構を連動機構に一体的に設ければ、リンク機構の他に変動機構を別途設ける必要がないため、構成をより簡略化できる。
【0025】
また、各連結アームに作動ピンを設け、作動ピンが移動可能に挿入される作動ガイド部をベース部材に形成し、連結アームの回動位置に応じて、各作動ピンの作動ガイド部内での位置が定まり、これによって各回動軸の長孔での位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸間距離が大きくなるように各作動ガイド部を形成し、一対の連結アーム間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド側に設ければ、作動ガイド部の形状選択によって、作動ピンの移動軌跡を変更し、回動部材の回動位置に応じて、回動軸の離間・近接作動を詳細に設定することが容易になり、利便性が高い。
【0026】
さらに、各連結アームの先端側をガイド可能に係合させる作動ガイド部を有するガイド部材を設け、回動位置に応じた連結アーム先端側の作動ガイド部での位置の設定によって、連結アームの回動位置に対する各回動軸の長孔での位置を定めるにあたって、折畳状態時及び展開状態時よりも折畳・展開回動中の回動軸間距離が大きくなるように設定し、各作動ガイド部を形成し、一対の連結アーム間の連結距離の変化を許容する融通手段を連結ロッド側に設けものによれば、作動ガイド部の形状選択によって、作動ピンの移動軌跡を変更し、回動部材の回動位置に応じて、回動軸の離間・近接作動を詳細に設定することが容易になり、利便性が高い他、ベース部材と別体であるガイド部材に作動ガイド部が形成されるため、作動ガイド部材の形状選択のバリエーションがより広がる。
【0027】
また、ガイド部材におけるベース部材の反対側に連結ロッドを配置し、連結ロッドと連結アームとを連結する連結ピンを挿通させるガイド孔からなる作動ガイド部を、ガイド部材に穿設したものによれば、作動ガイド部に係合させる部分を、連結アームに別途形成する必要がなく、部品点数が減少する。
【0028】
なお、連結アーム側の連結ピンをスライド可能に挿入されるスライド部を連結ロッドに形成し、該スライド部によって前記融通手段を構成すれば、前記融通手段をより簡易な構造で実現できるため、コスト的メリットが大きい。
【0029】
また、第1回動部材と一体回動する回動軸と、第2回動部材と一体回動する回動軸とを設け、回動軸と一体回転する位置決め部材をベース部材に対向させて設け、位置決め部材とベース部材における互いの対向部に凹凸嵌合する嵌合部をそれぞれ形成し、位置決め部材及びベース部材の嵌合部同士の凹凸嵌合によって、該回動部材を所定の回動位置で位置決めすれば、ベース部材を位置決め部材として兼用できるため、構造が複雑化することを防止可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明を適用した二軸ヒンジ装置の斜視図であり、
図2は、二軸ヒンジ装置の要部分解斜視図であり、
図3は、
図2の拡大斜視図である。図示する二軸ヒンジ装置1は、互いが平行に対向するように2列に並べられた一対の回動軸2A,2Bを有するヒンジ装置であって、この二軸ヒンジ装置1は方形板状の一対の筐体A,B(
図7,11参照)を互いに回動可能に連結するように構成されている。
【0032】
この一対の筐体A,Bを備えた情報端末装置は、上記二軸ヒンジ装置1によって、一対の筐体A,Bが互いに折畳まれる折畳状態と、一対の筐体A,Bが互いに開いて展開される展開状態とに、切換可能に構成されている。
【0033】
各筐体A,Bの片面側にはタッチパネル式の液晶画面(図示しない)が設けられ、該液晶画面は操作部及び表示部として機能する。折畳状態への切換に伴って、一方の筐体である第1筐体Aの液晶画面と、他方の筐体である第2筐体Bの液晶画面とが互いに向い合って接触又は近接するとともに、展開状態への切換に伴って、一対の筐体A,Bが互いに略180度開いて単一のプレート状をなし、一対の筐体A,Bの液晶画面同士がフラットに隣接して1つの大きな表示部及び操作部として利用可能になるように、該一対の筐体A,Bが二軸ヒンジ装置1によって連結されている。
【0034】
前述の二軸ヒンジ装置1は、第1筐体A側に取付固定されて該第1筐体Aと共に一体回動する回動部材である第1回動アーム(第1回動部材)3Aと、第2筐体B側に取付固定されて該第2筐体Bと共に一体回動する回動部材である第2回動アーム(第2回動部材)3Bと、前記2つの回動部材3A,3Bが回動自在に軸支されるベースプレート(ベース部材)4と、第1回動アーム3Aの前記回動軸である第1回動軸2Aと、第2回動アーム3Bの前記回動軸である第2回動軸2Bと、前記2つの回動アーム3A,3B同士を連結するリンク機構5と、第1回動アーム3Aの位置決めを行う第1位置決め部材(位置決め部材)6Aと、第2回動アーム3Bの位置決めを行う第2位置決め部材(位置決め部材)6Bとを備え、この二軸ヒンジ装置1の所定箇所はカバー体7によってカバーされている。
【0035】
上記一対の回動軸2A,2Bは、それぞれ支持ピンから構成されている。各支持ピン2A,2Bは、基端部側の抜け止用のヘッド部8と、ヘッド部8から先端側に直線状に突出する軸部9とによって構成されている。軸部9は先端から基端に向かって断面積が段階的に広くなるように成形されている。
【0036】
具体的には、この軸部9は、先端側の断面視方形状の先端側取付部9aと、先端取付部9aよりも基端寄りに位置して断面視円形をなす挿通部9bと、挿通部9bよりも基端寄りに位置する中途側取付部9cと、基端寄りに位置する基端寄り取付部9dとを有している。中途側取付部9cの断面は、四隅が円弧状に形成された方形状に成形され、基端寄り取付部9dの断面は、円(仮想円)の周囲を、中心挟んで対称且つ互いに平行な一対の弦で切欠いた断面形状に成形されている。
【0037】
以上により、各回動軸2A,2Bには、基端から先端に向かって、径が次第に小さくなるようにして、基端寄り取付部9dと、中途側取付部9cと、挿通部9bと、先端側取付部9aとが、この順序で、配置形成されている。
【0038】
上記ベースプレート4は、中心部を境に横長の対称形状をなし、その中央部には縦長のガイド孔11が穿設され、このベースプレート4のガイド孔11を挟んだ対称位置には、横方向に長い長円形状の長孔12A,12Bがそれぞれ穿設されている。この一対の長孔12A,12Bには、上述した一対の回動軸2A,2Bが、それぞれ軸回りに回動自在に挿通支持されており、さらに詳しくは、回動軸2A,2Bは、長孔12A,12Bの長手方向にスライド移動可能にベースプレート4に軸支されている。すなわち、2列に並べられた回動軸2A,2Bは互いに離間・近接可能な状態で、自身の軸回りに回動自在に、ベースプレート4に支持されている。
【0039】
上記一対の回動部材3A,3Bは、基端から先端に向かって、筐体A,Bの回動軸2A,2B側端部からもう端部側に向かって延設され、この各回動部材3A,3Bの基端部には、回動軸2A,2Bを挿入して固定する取付孔13が穿設されている。
【0040】
この取付孔13は、回動軸2Aの先端側取付部9aの断面形状と同一に形成され、この先端側取付部9aは取付孔13に嵌合状態で挿入又は挿通され、これによって、回動軸2A,2Bと、該回動軸2A,2Bが挿入又は挿通された回動部材3A,3Bとが一体回動するようになる。これに加えて、各回動部材3A,3Bの先端部分には、対応する筐体A,Bのフレーム部を取付ける取付座14が一体成形されている。
【0041】
ちなみに、第1回動アーム3Aは、第1筐体Aと同一回動角で、該第1筐体Aと一体回動する一方で、第2回動アーム3Bは、第2筐体Bと同一回動角で、該第2筐体Bと一体回動する。
【0042】
上記リンク機構5は、第1回動軸2Aと一体回動する第1連結アーム(連結アーム)16Aと、第2回動軸2Bと一体回動する第2連結アーム(連結アーム)16Bと、この一対の連結アーム16A,16Bを連結する連結ロッド17と、ガイドピン18とによって構成されている。
【0043】
各連結アーム16A,16Bの基端側半部には、回動軸2A,2Bの中途側取付部9c,9cを嵌合挿通するように、該中途側取付部9cの断面形状と同一の形状を有する取付孔19が穿設される一方で、各連結アーム16A,16Bの先端部には、連結ピン20が一体的に突設されている。第1連結アーム16Aは、第1回動アーム3Aに対して、第2回動アーム3Bに近づく側に135度開いた角度で、第1回動軸2Aと一体回動するように取付けられているとともに、第2連結アーム16Bは、第2回動アーム3Bに対して、第1回動アーム3Aに近づく側に135度開いた角度で、第2回動軸2Bと一体回動するように取付けられている。
【0044】
連結ロッド17は横長に形成され、その中央部にはピン孔17aが穿設され、連結ロッド17におけるピン孔17aを挟んだ対称位置には、それぞれ連結孔17b、17bが開口形成されている。連結ロッド17の横方向両側に形成された前記連結孔17b、17bに、一対の連結アーム16A,16Bの連結ピン20,20をそれぞれ挿入することにより、両連結アーム16A,16Bは連結ロッド17に回動自在に連結される。
【0045】
ガイドピン18は、ベースプレート4を挟んでリンク機構5の反対側から、該ベースプレート4のガイド孔11に挿通されるとともに、ガイドピン18のベースプレート4からリンク機構5側に突出した部分を前記連結ロッド17のピン孔17aに挿入固定することにより、該連結ロッド17は、ガイド孔11の長手方向にスライド案内される。
【0046】
また、連結アーム16A,16Bと回動部材3A,3Bとの間には、回動軸2A,2Bの挿通部9b,9bに外装されたリング状のスペーサ21,21が介在している他、各回動軸2A,2Bにおける連結アーム16A,16Bとベースプレート4との間には、ワッシャ22,22が外装され、このワッシャ22,22によって、ベースプレート4に対して連結アーム16A,16Bをスムーズに回動させることが可能になる。
【0047】
上記一対の位置決め部材6A,6Bはリング状に形成され、その内周側は、回動軸2A,2Bの基端寄り取付部9dの断面形状と同一の取付孔23となり、この取付孔23に回動軸2A,2Bの基端寄り取付部9dを挿通すると、位置決め部材6A,6Bが回動軸2A,2Bの軸方向のスライド可能に支持されるとともに、位置決め部材6A,6Bが回動軸2A,2Bと一体回動する他、この一対の位置決め部材6A,6Bとベースプレート4とが対向した状態になる。
【0048】
この位置決め部材6A,6B及びベースプレート4の互いの対向面には、凹凸嵌合する嵌合部24,26がそれぞれ形成されている。具体的には、位置決め部材6A,6Bの嵌合部24は、回動中心に対して対称位置にそれぞれ形成された一対の凸部である一方で、ベースプレート4の嵌合部26は、長孔12A,12Bの周縁の縦方向に対称な位置にそれぞれ形成された一対の凹部である。この他、位置決め部材6A,6Bと、回動軸2A,2Bのヘッド部8との間には、軸部9に外装された複数の皿バネ(弾性部材)27が介在し、この皿バネ27によって、位置決め部材6A,6Bがベースプレート4側に押圧され、この皿バネ27の弾性力によって、一対の筐体A,Bを互いに回動させる際のトルクを適切な値で発生させる。
【0049】
そして、一対の筐体A,Bが展開状態に切換えられた際には、各位置決め部材6A,6Bの一対の凸部24,24が、ベースプレート4の対応する一対の凹部26,26に凹凸嵌合し、各回動部材3A,3Bが位置決めされる。ちなみに、所定以上のトルクを、折畳状態に切換える側に発生させると、該位置決めが解除される。
【0050】
なお、ベースプレート4の位置決め部材6A,6Bとの対向面にほぼ1/4周間隔毎に嵌合部26を形成し、展開状態と折畳状態の2つの回動位置で位置決めを行うようにしてもよい。
【0051】
上記カバー体7は、縦方向に半割り形成されており、縦一対の分割片28,28によって構成されている。この一対の分割片28,28を互いに係脱自在に係合させると、二軸ヒンジ装置1の各回動部材3A,3Bの全体及び各回動軸2A,2Bの先端側取付部9a,9aを外部に露出させ且つその他の部分を内部に収容するボックス状のカバー体7が形成される。
【0052】
このカバー体7内には、ベースプレート4を位置決めする位置決め部7aが形成されるとともに、各回動軸2A,2bの先端側取付部9a,9aを外部に突出させる突出孔7b,7bが開口形成される他、一対の突出孔7b,7bの反対側端部には、配線孔7c、7cが第1筐体A側と第2筐体B側とにそれぞれ開口形成されている。
【0053】
配線の束であるハーネスHは、第1筐体A側の配線孔7cを介してカバー体7内に導入され、第2筐体B側の配線孔7cを介してカバー体7外に導出され、第1筐体Aと第2筐体Bとを電気的に接続している。
【0054】
該構成の二軸ヒンジ装置の組立手順について説明すると、まず、各支持ピン2A,2Bの最基端側及び基端寄り取付部9dに皿バネ27及び位置決め部材6A,6Bを、この順番で挿通装着し、この状態で、支持ピン2A,2Bをベースプレート4の対応する長孔12A,12Bに挿通する。そして、ベースプレート4から突出した支持ピン2A,2Bに、ワッシャ22,22及び連結ロッド17が連結された一対の連結アーム16A,16Bを挿通して装着し、その後、ガイドピン18を、ベースプレート4及び連結ロッド17に挿通する。
【0055】
続いて、支持ピン2A,2Bの連結アーム16A,16Bから突出した挿通部9b、9bにスペーサ21,21を外装した後、支持ピン2A,2Bの先端側取付部9a,9aを回動部材3A,3Bに挿入して取付固定し、二軸ヒンジ装置1の組立を完了する。
【0056】
次に、
図4乃至
図7に基づき、二軸ヒンジ装置1の作動について説明する。
図4は、折畳状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部斜視図であり、
図5は、折畳状態から展開状態に切換える途中の二軸ヒンジ装置の要部斜視図であり、
図6は、展開状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部斜視図であり、
図7(A)は折畳状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(B)は折畳状態から展開状態に切換えられる途中の二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(C)は展開状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部側面図である。
【0057】
ちなみに、
図7では、回動軸2A,2B間の距離(軸間距離)をD、連結アーム16A,16Bの回動支点から連結ピン20までの距離(アーム全長)をR、連結ロッド17の両側連結孔17b、17b間の距離(ロッド全長)をLとして示している。
【0058】
二軸ヒンジ装置1は、一対の筐体A,Bの折畳状態時には、一対の回動軸2A,2Bを最短で結ぶ仮想線に対して、各連結アーム16A,16Bが45度傾いた状態になり、この折畳状態から一方の回動軸2Aを他方の回動軸2Bから離間するように、所定角度αだけ回動させると、リンク機構5の作用により、該他方の回動軸2Bも該一方の回動軸2Aから離間するように、所定角度αだけ回動される。
【0059】
すなわち、一対の筐体A,Bにおける互いの回動角(開き角)をθとすると、開き角θが0度の場合が折畳状態になり、開き角θが180度の場合が展開状態になり、連結アーム16A,16Bの折畳状態からの回動角であるアーム回動角αと、上記開き角θとの間には、以下の式が成立する。
【0061】
そして、軸間距離Dは、アーム全長Rと、ロッド全長Lと、開き角θを用い、次の式が表される。
【0063】
ちなみに、「−45度」の値は、連結アーム16A,16Bの回動部材3A,3Bに対する相対的な角度を変えることにより、変更可能である。そして、アーム回動角αが60度の時に、軸間距離Dを最大としたければ、この値を「−60度」に設定する必要があり、−90度〜0度の範囲で変更できる。
【0064】
以上により、図示する例では、開き角θが0度の折畳状態時に軸間距離Dが最小になり(
図4,
図7(A)参照)、開き角θを0度から90度の間で増加させると、軸間距離Dが増加し、開き角θが90度になった時点で、軸間距離Dが最大になり(
図5,
図7(B)参照)、開き角θを90度から180度の間で増加させると、軸間距離Dが減少し、開き角θが180度になった展開状態に切換えられ、軸間距離Dが再び最小になる(
図6,
図7(C)参照)。
【0065】
すなわち、リンク機構5は、第1回動アーム3Aの回動に伴って第2回動アーム3Bを反対方向に回動させる連動機構として機能するとともに、折畳状態時及び展開状態時によりも折畳・展開回動中の軸間距離D(回動軸2A,2B間距離)が大きくなるように該軸間距離Dを回動軸2A,2Bの回動に伴って変動させる変動機構としても機能しており、このように、単一のリンク機構5に、連動機構と変動機構の2つの機能を一体的に持たせることにより、構成を簡略化し、コストを低減させている。
【0066】
なお、上述したように、開き角θが0度になる折畳状態時や、開き角θが180度になる展開状態時に、凸部24と凹部26とが凹凸嵌合されて係止されるが、凸部24が凹部26に完全に嵌り込んだ状態では、ガタが発生する場合がある。そこで、凸部24と凹部26が完全に嵌合する手前の状態で、一対の筐体A,Bが折畳状態や展開状態に切換えられるように、凸部24及び凹部26の位相をずらして配置構成してもよい。
【0067】
具体的には、開き角θがマイナス角(図示する例では−6度程度)の状態で、凸部24と凹部26が完全に嵌合するとともに、開き角θが180度よりも大きい角度(図示する例では186度程度)の状態で、凸部24と凹部26とが完全に嵌合するように凸部24及び凹部26を配置する一方で、一対の筐体A,Bに対しては、開き角度θが0度よりも小さい角度及び180度よりも大きい角度にならないように、各筐体A,Bの回動を規制する規制手段を設け、これによって、折畳状態時及び展開状態時におけるガタが防止する。
【0068】
ちなみに、開き角度θが0度の場合には、筐体A,B同士が接触又は略接触状態で対向するため、各別に規制手段を設けなくてもよく、開き角θが180度より大きくならないように筐体A,B同の回動を規制するストッパ等の規制手段を設ければよい。
【0069】
次に、
図8乃至
図10に基づき二軸ヒンジ装置の別実施形態について上述した例と異なる点を説明する。
図8は、二軸ヒンジ装置の別実施形態を示す要部分解斜視図であり、
図9は、
図8に示すベースプレートの片面側の構成を示す側面図である。図示する二軸ヒンジ装置1では、回動軸2A,2Bと一体回動する連結アーム16A,16Bの先端部には、ベースプレート4側に突出する作動ピン29と、ベースプレート4の反対側に突出する前記連結ピン20とがそれぞれ一体形成されている。一方、ベースプレート1には、一対の作動ピン29が個別に挿入される一対の作動ガイド孔(作動ガイド部)31A,31Bがそれぞれ穿設されている。
【0070】
一対の作動ガイド孔31A,31Bは、長孔12A,12B同士の近接側端部から、該長孔12A,12Bに対して交差する方向両側に延設され、第1回動軸2A側の長孔12Aと作動ガイド孔31Aとが一体的に連接されてT字状をなすとともに、第2回動軸2B側の長孔12Bと作動ガイド孔31Bとが一体的に連接されてT字状をなしている。そして、一対の作動ガイド孔31A,31Bは、長手方向両端側に近づく程互いが徐々に近づく円弧状に湾曲しており、この一対の作動ガイド孔31A,31Bの間に、前記ガイド孔11が配置されている。
【0071】
そして、第1連結アーム16Aが装着された第1回動軸12Aが長孔12Aに挿入され、該連結アーム16Aの作動ピン29が該長孔12A側の作動ガイド孔31Aに挿入された場合、作動ガイド孔31A内を移動作動する作動ピン29の位置によって、第1回動軸2Aの回動位置及び該回動軸2Aの長孔12A内での位置が一義的に定まる。
【0072】
また、第2連結アーム16Bが装着された第2回動軸12Bが長孔12Bに挿入され、該連結アーム16Bの作動ピン29が該長孔12B側の作動ガイド孔31Bに挿入された場合、作動ガイド孔31B内を移動作動する作動ピン29の位置によって、第2回動軸2Bの回動位置及び該回動軸2Bの長孔12B内での位置が一義的に定まる。
【0073】
このような構成によれば、一対の回動軸2A,2Bの回動中、連結ピン20,20同士の距離が一定ではなく、変化する。このため、連結ロッド17には、上述した連結孔17b,17bに代えて、挿入時における連結ピン20,20の連結ロッド17長手方向のスライド移動を許容する長孔状のスライド孔(スライド部,融通手段)17c、17cが該連結ロッド17に形成されている。
【0074】
一対の連結アーム16A,16Bの連結ピン20,20を、連結ロッド17の一対のスライド孔17c,17cに挿入することにより、連結アーム16A,16B同士のアーム回動角αが常に同一になるように、一対の回動アーム3A,3Bが回動作動される。また、各連結アーム16A,16Bの取付孔19周縁には、前記スペーサ21が一体形成により設けられている。
【0075】
また、各連結アーム16A,16Bの基端部における回動中心を挟んだ対称位置には、一対の突起部32,32がそれぞれ一体形成される一方で、ベースプレート4の長手方向両側の各端部には、該一対の突起部32にそれぞれ当接して該連結アーム16A,16B及び回動軸2A,2Bの動きを一部で規制する一対の規制部33がそれぞれ一体形成されている。
【0076】
この突起部32,32と、規制部33,33との接当による規制作用によって、開き角θが所定範囲内(図示する例では90度程度)に収まっている際に、作動ピン29,29が、作動ガイド孔31A,31Bから、該作動ガイド孔31A,31Bに連続している長孔12A,12Bに移動することを、効率的に規制できる。
【0077】
さらに、この二軸ヒンジ装置1では、ベースプレート4における位置決め部材6A,6B(
図1乃至
図3参照)との対向面には、回動軸2A,2Bの軸回りにほぼ1/4周間隔毎に凹状の嵌合部26を設け、皿バネ27(
図1乃至
図3参照)折畳状態と展開状態の2つの状態時に位置決め部材6A,6Bによる位置決めを行う。ちなみに、上述した通り、凸部24及び凹部26の位相をずらして、ガタを防止させてもよい。
【0078】
図10(A)は折畳状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(B)は折畳状態から展開状態に切換えられる途中の二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(C)は展開状態に切換えられた二軸ヒンジ装置の要部側面図である。
【0079】
この二軸ヒンジ装置1では、一対の筐体A,Bの折畳状態時、各作動ピン29,29は、円弧状の作動ガイド孔31A,31Bの一端側に位置し、作動ピン29,29間の距離が最小になり、これに伴って、回動軸2A,2B間の距離も最小になる(同
図A参照)。
【0080】
そして、各連結アーム16,16Bのアーム回動角αが0度から45度(開き角が0度から90度)になるように、一対の筐体A,Bを回動させると、各作動ピン29,29は、円弧状の作動ガイド孔31A,31Bの中間部分に達して作動ピン29間の距離が最大になり、これに伴って、回動軸2A,2B間の距離も最大になる。
【0081】
続けて、各連結アーム16,16Bのアーム回動角αが45度から90度(開き角が90度から180度)になるように、一対の筐体A,Bを回動させると、各作動ピン29,29は、円弧状の作動ガイド孔31A,31Bの他端側に達して作動ピン29間の距離が再び最小になり、これに伴って、回動軸2A,2B間の距離も再度最小になる。
【0082】
このような作動ピン29,29による回動軸2A,2Bの離間・近接作動は、一対の作動ガイド孔31A,31Bの形状によって、細かく設定される。図示する例では、一対の作動ガイド孔31A,31Bの間の距離が、該作動ガイド31A,31Bの両端側で最小となり、中間側に向かって次第に大きくなっていくため、上述のような離間・近接作動になる。
【0083】
このように、作動ガイド孔31A,31Bの形状を適宜変更することにより、回動軸2A,2Bの離間・近接作動の態様を、回動軸2A,2Bの回動位置毎に詳細に設定できるため、利便性が高い。ちなみに、その間、連結ピン21もスライド孔17c内をスライド移動し、連結ピン21,21間の距離の変化が許容される。
【0084】
次に、
図12乃至
図18に基づき二軸ヒンジ装置1の別実施形態について上述した例と異なる点を説明する。
図12は、二軸ヒンジ装置の別実施形態を示す分解斜視図であり、
図13は、
図11の要部斜視図である。上述した例では、作動ガイド孔31A,31Bを、ベースプレート4に形成する例について説明したが、同図に示す例では、作動ガイド孔31A,31Bを形成するガイドプレート(ガイド部材)34を、ベースプレート4とは別体で設けている。
【0085】
ガイドプレート34は、ベースプレート4を挟んで、回動アーム3A,3Bの反対側に配置されている。このガイドプレート34は、長手方向がベースプレート4の全長方向に向けられ且つ該ベースプレート4と平行に対向している。
【0086】
このベースプレート4及びガイドプレート34の対向面側には、互いに凹凸嵌合する嵌合部36,37が形成され、この嵌合部36,37によって、ガイドプレート34とベースプレート4を嵌合させると、対向面の間に隙間が形成されるボックス状をなし、この隙間に、前記した一対の連結アーム16A,16Bが介挿される。
【0087】
この隙間内に位置する連結アーム16A,16Bの取付孔19,19には、回動軸2A,2Bの基端側に形成された小径の基端寄り取付部9d,9dが嵌合挿入され、この回動軸2A,2Bは、ベースプレート34に穿設された一対の長孔12A,12Bにそれぞれ挿通される。
【0088】
この回動軸2A,2Bの中途側取付部9c及び先端側取付部9aは、ベースプレート34から回動アーム3A,3B側に突出し、この中途側取付部9cには、位置決め部材6A,6B及び皿バネ27が挿通して取付けられている。この位置決め部材6A,6B及び複数の皿バネ27の周囲には、回動軸2A,2B毎にカバー体38が外装されている。
【0089】
このカバー体38は、皿バネ27の周囲を覆う部分に対して、位置決め部材6A,6Bを覆う部分の径が大きく形成され、このカバー体38のベースプレート4側端は開放される一方で、回動アーム3A,3B側端面には、回動軸2A,2Bを挿通させる挿通孔38aが穿設されている。この挿通孔38aから回動アーム3A,3B側に突出する回動軸2A,2Bの先端側取付部9aが、回動アーム3A,3Bの取付孔13の嵌合挿入されて固定される。
【0090】
このようにして回動軸2A,2Bの両端部に回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bが嵌合挿入されると、カバー体38、皿バネ27及び位置決め部材6A,6Bがベースプレート4側に装着され、皿バネ27の弾性力によって、位置決め部材6A,6Bの上述した嵌合部24が、ベースプレート4の前記嵌合部26に凹凸嵌合した状態になる。
【0091】
図14は、ベースプレート及びガイドプレートの斜視図である。
図12乃至
図14に示す通り、ベースプレート4及びガイドプレート34の一方側の嵌合部36はスペーサ部36a及び該スペーサ部36aに一体形成された凸部36bから構成され、他方側の嵌合部37は凹部によって構成され、この凹部37と凸部36bを凹凸嵌合させると、スペーサ部36aの分だけ、ベースプレート4bとガイドプレート34の間に隙間が形成される。
【0092】
ベースプレート4及びガイドプレート34には、上記ガイド孔11が穿設され、このガイドプレート34を挟んだベースプレート4の反対側に連結ロッド17が配置されている。連結ロッド17には、上述した融通手段を構成する長孔状のスライド孔17cが一対設けられ、この一対のスライド孔17c,17cの間には、ベースプレート4及びガイドプレート34側に突出するガイドピン18が一体形成されている。
【0093】
このガイドプレート34における連結ロッド17側の長手方向両端部には、ガイド孔11と平行な係合レール39,39がそれぞれ凸状形成される一方で、該連結ロッド17の両端部には、この係合レール39,39とスライド自在に係合する係合溝17d、17dがそれぞれ凹設されている。この一対の係合レール39,39に一対の係合溝17d、17dをスライド自在に係合させることにより、連結ロッド17が、ガイド孔11の方向に摺動自在に、ガイドプレート34に係合支持される。
【0094】
この係合状態において、連結ロッド17に一体形成されたガイドピン18は、ガイドプレート34及びベースプレート4に穿設されたガイド孔11,11に挿通され、このようにしてベースプレート4から回動アーム3A,3B側に突出したガイドピン18の先端部には、抜け止用のリング41が嵌合挿入されて取付けられる。
【0095】
ガイドプレート34に穿設された一対の作動ガイド孔31A,31Bはガイド孔11を境に互いが対称形状をなすとともに、各作動ガイド孔31A,31Bはガイド孔11の中央側で互いの距離が短くなるくの字状に形成され、この各作動ガイド孔31A,31Bは、ガイド孔11の中央で該ガイド孔11に直交する直線に対して対称形状をなしている。
【0096】
さらに詳しく説明すると、各作動ガイド孔31A,31Bの中央部を境にした一方側半部が、開き角θが0〜180度の間で、筐体A,Bが回動する際の案内範囲である第1ガイド範囲42であり、他方側半部が、開き角θが180〜360度の間で、筐体A,Bが回動する際の案内範囲である第2ガイド範囲43であり、この第1ガイド範囲42と第2ガイド範囲43との接続部分が折返し部44になる。この2つの各ガイド範囲42,43は、折返し部44から遠ざかる程、ガイド孔11側に湾曲し、ガイド孔11が最も遠ざかるガイド範囲43,43の端側では、ガイド孔11に沿って略平行な状態になる。
【0097】
一対の連結アーム16A,16Bの先端側に一体で突出形成された連結ピン20,20は、対応する作動ガイド孔31A,31B及びスライド孔17c,17dに挿通され、各連結ロッド17から突出した連結ピン20の先端部には、抜け止用のリング46が嵌合挿入されて固定されている。
【0098】
図15(A)は開き角が0度の場合における二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(B)は開き角が90度の場合における二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(C)は開き角が180度の場合における二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、
図16(A)は開き角が270度の場合における二軸ヒンジ装置の要部側面図であり、(B)は開き角が360度の場合における二軸ヒンジ装置の要部側面図ある。
【0099】
開き角θが0度となる筐体A,Bの折畳み状態では、各連結ピン20は、第1ガイド範囲42の折返し部44から遠い端部に位置し、回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bはガイド孔11の方向に沿った(具体的には平行な)状態になる(
図15(A)参照)。
【0100】
開き角θが90度となる筐体A,Bの折畳み状態から展開状態への切換の最中では、各連結ピン20は、第1ガイド範囲42の端部から折返し部44に至る中途部分に位置し、回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bは、ガイド孔11方向に対して若干外側に開いた状態になり、回動軸2A,2Bの間の距離である前記軸間距離Dが、開き角度θが0度の場合に比べて長くなる(
図15(B)参照)。
【0101】
開き角θが180度となる筐体A,Bの展開状態では、各連結ピン20は、折返し部44に位置し、回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bは、ガイド孔11方向に対して垂直に外側に開いた状態になり、回動軸2A,2Bの間の距離である前記軸間距離Dが、開き角度θが90度の場合に比べて短くなる(
図15(C)参照)。ちなみに、一対の連結アーム16A,16Bは、互いに離間する方向に開くが、この場合に隣接する折返し部44,44の間の距離を短くしたため、軸間距離Dを短くできる。
【0102】
開き角θが270度となる筐体A,Bの展開状態から折畳み状態への切換の最中では、各連結ピン20は、折返し部44から第2ガイド範囲43の端部に至る中途部分に位置し、回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bは、ガイド孔11方向に対して若干外側に開いた状態になり、回動軸2A,2Bの間の距離である前記軸間距離Dが、開き角度θが180度の場合に比べて長くなる(
図16(A)参照)。
【0103】
開き角θが360度となる筐体A,Bの折畳み状態では、各連結ピン20は、第2ガイド範囲42の折返し部44から遠い端部に位置し、回動アーム3A,3B及び連結アーム16A,16Bはガイド孔11の方向に沿った(具体的には平行な)状態になる(
図16(B)参照)。
【0104】
図17及び
図18は、回動軸と位置決め部材のガタを防止するガタ防止機構の構成を示す要部正断面図及び要部側断面図である。各回動軸2A,2Bの外周と、該回動軸2A,2Bが挿通される位置決め部材6A,6Bの内周との間には、ガタ防止機構が介挿されている。
【0105】
具体的には、回動軸6A,6Bの外周面のフラットに切欠かれた部分と、位置決め部材6A,6Bの取付孔23の内周面との間に配置されて球状に成形された金属製(具体的には鉄製)のガタ防止部材47と、ガタ防止部材47が収容されるように取付孔23の内周面に凹状形成された収容溝(収容スペース)23aとによって、ガタ防止機構を構成している。
【0106】
収容溝23aは、皿バネ27の弾性力の作用方向(回動軸2A,2Bの皿バネ27から位置決め部材6A,6B)に向かって深さが浅くなるテーパ状に形成されるとともに、収容溝23aの皿バネ27側端が開放されている。このため、収容溝23aに収容されたガタ防止部材47は、皿バネ27によって弾性的に押圧され、収容溝23aのテーパ面に沿って回動軸2A,2B側に弾性的に付勢される。
【0107】
この弾性付勢によって、位置決め部材6A,6Bの取付孔23の内周と、回動軸2A,2Bの外周との間に形成される隙間に起因したガタが防止され、筐体A,Bが上述した各姿勢で、確実に位置決めされる。
【0108】
ちなみに、回動軸2A,2Bの位置決め部材6A,6Bを挿通させる部分には、1/4周間隔毎にフラットな切欠き面が形成されているため、各位置決め部材6A,6Bに対して、収容溝23a及びガタ防止部材47が切欠き面の数と同数の4つ用意される。