【実施例】
【0015】
実施例に係る椅子につき、
図1から
図10を参照して説明する。以下、
図2及び
図7、8、12(a)、15、16の紙面左側を椅子の正面側とし、
図8(b)の紙面下側を椅子の正面側として説明する。
【0016】
図1の符号1は、本発明の適用された椅子である。この椅子1は、先端部にキャスタ2を備える放射状をなす5本の脚杆3を有する脚体4と、脚体4の中央に立設され、内部にガススプリング(図示略)が収容された伸縮式の脚柱5と、脚柱5の上端に後端部が固着された正面上方を向く支基6と、支基6の上方に支持された座7と、左右方向に延び前後方向に回動可能な軸8をもって支基6の左右両側にそれぞれ枢着され側面視で略L字状をなす背凭れ支持杆9と、背凭れ支持杆9の後端上部に支持された背凭れ10と、座7の左右両側にそれぞれ上下方向に延設され下端が背凭れ支持杆9の左右にそれぞれ固着された肘掛支持柱11と、肘掛支持柱11の上端に固着された肘掛12と、背凭れ10の背面側上部に設けられたオプション部材としてのハンガー本体14を有するハンガー装置13とを備えている。
【0017】
図1から
図3に示すように、支基6は、前後方向に延びた箱状をなし、その内部には、座7を正面側方向に向かって常時付勢する公知の付勢手段、例えば特開2005−211244号公報に記載れているような圧縮コイルバネと、この圧縮コイルバネの付勢力を調節する調節手段(いずれも図示略)とが収容されている。なお、これらの付勢手段や調節手段は、本発明に直接関係しないので、具体的な構成および詳細な説明は省略する。
【0018】
また、座7は、上面視で枠状をなす座フレーム15と、この座フレーム15に取り付けられた合成樹脂製の座板(図示略)と、座板の上面および外周面を覆うように取り付けられたクッション材16とからなる。
【0019】
そして、座フレーム15の前部および後部には、両側部が上向きに傾斜され、なおかつ中間部が座フレーム15より下方に離間して左右方向に延びる横杆がそれぞれ固着されている。また、正面側の前部横杆17の中間部は、支基6に設けられた圧縮コイルバネによって、正面側方向に付勢されている。また、背面側の後部横杆(図示略)の中間部は、背凭れ支持杆9の軸8よりやや背面側に設けられたブラケット(図示略)に回動可能に連結されており、背凭れ10が背凭れ支持杆9とともに背面側方向に傾斜されると、座7の後部が背面側下方へ移動されるようになっている。
【0020】
この座7の後部の移動に伴って、前部横杆17が圧縮コイルバネによる付勢力に抗して、背面側下方に摺動され、座7の前部も背面側下方に移動される。このようにすることで、圧縮コイルバネの付勢力よる背凭れ10の正面側方向への復帰回動力と、座7の正面側上方への復帰力とが得られて、着座者にとっての座り心地が向上する。
【0021】
また、
図2に示すように、背凭れ支持杆9は、前後方向に延設されるとともに後部側が上方に湾曲されている。この背凭れ支持杆9の前端部には、軸8が固着される。そして、この軸8が支基6の上面における脚柱5よりもやや正面側に枢着されることで、背凭れ支持杆9が軸8を中心に上下方向に回動可能になっている。また、背凭れ支持杆9の後端部には、側面視で略倒立L字状をなす固定片(図示略)が取り付けられている。
【0022】
背凭れ10は、前後方向に連通する開口面が下方に向けて漸次若干狭幅となる略方形枠状をなす硬質合成樹脂製の背凭れフレーム18と、この背凭れフレーム18の開口面の正面側に張設された張材19とからなる。また、張材19は、メッシュ材が方形に加工されて、上下左右に緊張された状態で開口面に張設されている。なお、張材19は、メッシュ材以外の材質、例えば、織布、帆布等からなってもよい。
【0023】
そして、背凭れフレーム18は、上下方向の中央よりやや下方の部分が正面側に突出するように緩やかに屈曲する左右一対の側枠杆20、20と、側枠杆20、20の上端部同士を連結するとともに、左右方向の中央部が背面側方向に突出するように緩やかに湾曲する上枠杆21と、左右両側の枠杆20、20の下端部同士をほぼ直線状に連結する下枠杆22とからなる。
【0024】
また、下枠杆22には、正面側に向けて延設された前向片(図示略)が一体的に成形されている。そして、この前向片が、背凭れ支持杆9の上面にネジ止めされて、なおかつ上述の背凭れ支持杆9の固定片が、下枠杆22の下面にネジ止めされる。これにより、背凭れ支持杆9に、背凭れフレーム18が強固に取り付けられる。
【0025】
また、背凭れフレーム18の上枠杆21の背面側の中央部には、
図9に示すように、左右方向に延びるとともに下方側が上方側に対して漸次小となる台形状をなし、正面側方向に窪んだ凹状の固定部24(嵌合凹部52)が形成されている。この固定部24は、後述するオプション部材の嵌合凸部を内側に嵌合可能となっている。さらに、この固定部24の内側には、この固定部24の形状よりも若干小さな相似形をなす台形形状の内窪み部が形成されており、この内窪み部の外周と嵌合凸部の外周との間の面が、本発明に係る凹部態様の重合面27となっている。そして、この窪み部の内側には、上枠杆21の内部に貫通するする貫通孔25が左右に2つずつ形成されている。
【0026】
次に、本発明に係るオプション部材としてのハンガー装置13について説明する。
図4に示すように、ハンガー装置13は、椅子1の背面側に配置され衣服等が掛けられるハンガー本体14と、ハンガー本体14を支持し椅子1の背面側に取り付けられる筒状部材28と、ハンガー本体14の高さ位置を調整するための調整具38からなる。これらのハンガー本体14と筒状部材28とは、合成樹脂材、例えば、ポリスチレンやポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の加工材からなる。
【0027】
また、ハンガー本体14は、背広等が掛けられる程度の長さに左右方向に延設されたハンガー部66と、このハンガー部66の中央部から下方に延設された取付部31とを備えている。このハンガー部66は、正面視および背面視で、上方を向く板状をなしており、側面視で、正面側の端部が下方に屈曲する反り部67を有するとともに、全体形状として上方が凸となる湾曲形状の反りを有する板状体となっている。そして、板状体の上面は、ハンガー部66に掛けられる衣服の形状に合わせてラウンド状になっており(
図9参照)、衣服等を型崩れさせることなく掛けることができるようになっている。
【0028】
また、ハンガー部66の前後方向および左右方向の中央部には、ハンガー部66をなす板状体の上下方向に連通し左右方向に延設されたスリット状の開口部69設けられており、開口部69をネクタイやストール、ショールなどを掛ける部位として利用できるようになっている。
【0029】
一方、取付部31は、
図5および
図8(b)に示すように、上断面視で内面が正面側を向く略U字状をなしているとともに、幅方向の中央に前後方向に貫通し上下方向に延設された支持溝36を有している。また、取付部の正面側には、後述する調整具38の掛止部39の上面に係止されうる掛止段部37が、上下方向に所定間隔で複数個設けられている。
【0030】
次に、ハンガー装置13の筒状部材28について
図6、
図7及び
図8に基づき説明する。この筒状部材28は、上下端が開放された内周空間を備えた筒状部42と、この筒状部42の上端部から正面側方向に向けて連続的に延設されて前後方向を向く板状をなす支持部45を有する。
【0031】
図6に示すように、筒状部42は、その正面側の中央より若干上方に、上下方向に延びるスリット状の止着孔47が形成されており、後述する調整具38の先端が止着されるようになっている。また、
図7に示すように、筒状部42の背面側には、正面側に設けられた止着孔47に対向する位置には、筒状部42の背面側から内周空間に貫通する挿通部50が形成される。また、この挿通部50には、後述する調整具38を筒状部42の背面の外周側から挿入できるようになっている。
【0032】
また、
図8に示すように、筒状部42の内周空間は、前述のハンガー本体14の取付部31に対応する形状となっており、筒状部42の背面側の内壁面と取付部31の背面側の外周面とが摺接しつつ、取付部31が筒状部材28に対して上下方向に移動可能になっている。
【0033】
そして、
図6に示すように、筒状部42の上端から前面側上方に向けて連続的に延設された支持部45は、前後方向を向く板状をなしている。この支持部45の正面側には、左右方向に延びるとともに下方側が上方側に対して漸次小となる台形状をなし正面側方向に突出した凸状の嵌合凸部23が形成されている。この嵌合凸部23は、上述の固定部24の内側に嵌合可能となるように、固定部24に対応する形状となっている。さらに、この嵌合凸部23の内面は、上述の凹部態様の重合面27と平行に形成されて相互に密接しうるようになっており、凹部態様の重合面27と重合可能な凸部態様の重合面27’となっている。また、この嵌合凸部23の内面には、背凭れ10の貫通孔25に対応する共通の位置に、支持部45の背面側に貫通する貫通孔25’が左右に2つずつ形成されている。
【0034】
一方、支持部45の背面側には、
図7に示すように、支持部45の正面側から貫通される貫通孔25’を囲うように、背凭れ10の固定部24と同様の嵌合凹部52’が形成されており、固定部24と共通の形状をなす凹部態様の重合面27’’が形成される。
【0035】
また、調整具38は、
図8に示すように、挿通部50に挿入可能な外径を有す円形状をなす鍔部53と、この鍔部53の正面側の中央部から垂直方向に延設された操作杆54を備えている。そして、鍔部53の正面側の操作杆54の先端には、調整具38が筒状部材28の挿通部50に挿入されて、付勢手段としてのコイルバネ60により調整具38が背面方向に付勢された状態で、筒状部材28の正面側の止着孔47に止着される止着部57が設けられている。
【0036】
さらに、操作杆54は、左右方向に突出され上述の掛止段部37に掛合可能な掛止部39が設けられている。この掛止部39は、
図8(b)に示すように、調整具38が筒状部材28の挿通部50に挿入されて、付勢手段としてのコイルバネ60により調整具38が背面方向に付勢された状態で、掛止部39の上面にハンガー本体14の掛止段部37が掛合されるように配置され、なおかつ、調整具38が背面側から利用者等により押圧されて掛止部39が正面側に移動された状態で、掛止部39と掛止段部37との掛合が解かれるように配置されている。
【0037】
また、この調整具38をハンガー装置13に取り付ける際には、ハンガー本体14の取付部31の挿入孔41と筒状部材28の挿通部50とが重なる位置に合わせられた状態で、調整具38は、前後方向に延設された付勢手段としてのコイルバネ60と共に、調整具38が筒状部材28の外周側から挿通部50に挿入される。そして、止着部57が止着孔47に止着されることにより、調整具38は、コイルバネ60により背面側方向に付勢される一方で、挿通部50から抜けることが防止される。
【0038】
さらに、ハンガー本体14の高さ調整がなされる場合には、調整具38の背面が利用者により押圧されることで、調整具38の掛止部39が正面側方向に移動されて、掛止部39とハンガー本体14の掛止段部37との掛合が解かれ、ハンガー本体14は筒状部材28に対して上下方向に移動可能な状態となる。そして、ハンガー本体14を筒状部材28に対して上下方向に摺動させて、ハンガー本体14が利用者の所望の位置に達した状態で、調整具38の押圧を解くと、ハンガー本体14が筒状部材28に対して移動不可能となり、利用者の所望の位置付近で安定的に固定される。
【0039】
次に、オプション部材としてのヘッドレスト装置26について
図9に基づいて説明する。ヘッドレスト装置26は、背凭れ10に取り付けられ前後方向を向く板状の支持部61と、この支持部61から上方に延設されたヘッドレスト本体59とを備えている。
【0040】
ヘッドレスト装置26の支持部61は、その正面側に、筒状部材28の支持部45の嵌合凸部23と同一の形状をなし正面側方向に突出する嵌合凸部23’が形成されている。さらに、この嵌合凸部23の内面は、上述の凹部態様の重合面27、27’’と平行に形成されて相互に密接しうるようになっており、凹部態様の重合面27、27’’と重合可能な凸部態様の重合面27’’’’となっている(
図10参照)。また、この嵌合凸部23’の内面には、背凭れ10の貫通孔25に対応する共通の位置に、支持部45の背面側に貫通する貫通孔25’’が左右に2つずつ形成されている。
【0041】
一方で、ヘッドレスト装置26の支持部61の背面側には、支持部61の正面側から貫通される貫通孔25’’を囲うように、背凭れ10の固定部24と同様の嵌合凹部52’’が形成されるとともに、固定部24と共通の形状をなす凹部態様の重合面27’’’が形成される。
【0042】
なお、ヘッドレスト本体59が支持部61に対して上方に延設されていることで、ハンガー装置13とヘッドレスト装置26とが相互に干渉することが防止され、利用者がハンガー装置13やヘッドレスト装置26を使用する際の利便性を向上させられるようになっている。
【0043】
次に、
図9および
図10に基づいて、本発明に係る複数のオプション部材としてハンガー装置13とヘッドレスト装置26とを椅子1の背凭れ10に取り付ける方法について説明する。なお、本実施例では、複数のオプション部材を背凭れ10に取り付ける方法を示すが、1つのオプション部材、例えば、ハンガー装置13のみを椅子1に取り付けることもできる(
図3参照)。
【0044】
まず、椅子1の背凭れ10の背面の固定部24(嵌合凹部)の凹状の窪みに、ヘッドレスト装置26の嵌合凸部23’を背面側上方からあてがうようにして、固定部24の内側に嵌合凸部23’を嵌め込む。このとき、台形形状に形成された固定部24および嵌合凸部23’の左右両辺部が相互にガイドとして機能するので、固定部24に嵌合凸部23’を容易に嵌め込むことができる。
【0045】
さらに、ヘッドレスト装置26の嵌合凹部52’’の凹状の窪みに、ハンガー装置13の嵌合凸部23を背面側上方からあてがうようにして嵌め込む。
【0046】
そして、ヘッドレスト装置26の背面側から、貫通孔25’に貫通ボルト62をそれぞれ挿入し、背凭れ10の上枠杆21の内部で雌ネジ部としてのナット58と貫通ボルト62とを締結させる(
図10参照)。これにより、重合された複数のオプション部材同士の重合面同士が連結され、相互に脱落不能となる。なお、貫通ボルト62は、取り付けられる複数のオプション部材のすべてを貫通して、背凭れ10内のナット58に締結されるように、オプション部材の個数に応じて適した長さのものが用いられる。
【0047】
その後、ハンガー装置13の嵌合凹部52’を塞ぐカバーとしての装飾キャップ63を、ハンガー装置13の背面側から取り付ける。この装飾キャップ63は、
図10に示すように、この装飾キャップ63は、ハンガー装置13やヘッドレスト装置26の嵌合凹部52’、52’’の凹状の嵌合面に一致する形状に形成されており、外周面と内周面とにより嵌合凹部52’に嵌合される。また、装飾キャップ63の背面側は、平面の板状に形成されている。これにより、装飾キャップ63の背面側方向に突出が生じないようになっている。なお、装飾キャップ63の背面は装飾されたり彩色されたりしてもよく、最背面の嵌合凹部52’を装飾キャップ63で塞ぐことで、オプション部材の支持部におけるデザイン性を向上させることができる。
【0048】
なお、背凭れ10の固定部24とオプション部材の嵌合凹部52’、52’’および嵌合凸部23、23’’とがそれぞれ共通の形状の重合面を有するとともに、重合面の共通の位置に貫通孔25、25’、25’’が形成されているので、所定のオプション部材のみを椅子1に取り付けたり、複数のオプション部材の椅子に対する取り付け順序を適宜変更したりすることができる。
【0049】
以上により、
図10に示す重合連結手段を利用することで、複数のオプション部材が椅子1の前後方向に重合され、相互に脱落不能とされた状態で背凭れ10に支持させることができる。
【0050】
これにより、背凭れ10の背面に固定部24が設けられるとともに、ハンガー装置13やヘッドレスト装置26(複数のオプション部材)にはそれぞれ前後方向に重合可能となる支持部45、61を備え、背凭れ10の背面の固定部24と複数のオプション部材の支持部45、61とを固定できるようになっているので、複数のオプション部材の支持部同士が前後方向に重合した状態で背凭れ10の固定部24に支持されるので、オプション部材の取り付け個数が制限されることなく重合固定できることになるばかりか、オプション部材の支持部と背凭れ10の背面側の固定部24との間に隙間が形成されることがなく、支持強度を確保できる。
【0051】
また、複数のオプション部材の支持部45、61は、該支持部同士が凹凸嵌合によって連結されるための重合面27’、27’’、27’’’、27’’’’を備えているので、オプション部材の支持部同士が凹凸嵌合によって連結されることにより、両者の位置決めが容易になるばかりか、重合面同士の接触面積が大となり相互の支持強度を高めることができる。
【0052】
また、背凭れ10の背面側の固定部24は、オプション部材の支持部45、61と凹凸嵌合によって連結可能な重合面27を備えているので、背凭れの背面側の固定部24とオプション部材の支持部45、61とが凹凸嵌合によって連結されることにより、両者の位置決めが容易になるばかりか、重合面同士の接触面積が大となり相互の支持強度を高めることができる。
【0053】
また、オプション部材の支持部45、61の前後両面にそれぞれ凹部態様の重合面27’’、27’’’と凸部態様の重合面27’’、27’’’を備え、これら重合面は全ての前記オプション部材の支持部45、61に共通に形成されているとともに、背凭れ10の背面側の固定部24に凹部態様の重合面27が形成されているので、背凭れ10の背面側の固定部24に取り付けられるオプション部材の配置順序を自由に選択して、背凭れ10の背面側の固定部24とオプション部材の支持部45、61とを凹凸嵌合によって固定できることになる。
【0054】
また、オプション部材の支持部45、61の背面が凹部態様の重合面27’’、27’’’として形成され、この凹部態様の重合面と凹凸嵌合可能な凸部態様の重合面70を正面に備えた装飾キャップ63を有しているので、重合固定された最後端のオプション部材の背面側の重合面を装飾キャップ63によって容易に隠蔽できることになる。
【0055】
また、背凭れ10の背面側の固定部24にはナット58(雌ねじ部)が設けられるとともに、複数のオプション部材の支持部45、61には共通位置に貫通孔25’、25’’が設けられ、貫通孔25’、25’を介して挿通される貫通ボルト62で背凭れ10の背面側の固定部24と複数のオプション部材の支持部45、61とを一体に固定できるようになっているので、重合するオプション部材を容易に且つ強力に背凭れ10の背面側の固定部24に固定できることになる。
【0056】
また、嵌合凹部52、52’、52’’および嵌合凸部23、23’’の共通形状が、下方側が上方側に対して漸次小となる台形に形状されているので、椅子1にハンガー装置13やヘッドレスト装置26(複数のオプション部材)を取り付ける際に、嵌合凹部の凹状の窪みに嵌合凸部を背面側上方からあてがうようして嵌め込むことで、台形をなすそれぞれの左右両辺部が相互にガイドとして機能するので、嵌合凹部への嵌合凸部の嵌め込むみ作業を容易にできることになる。
【0057】
また、椅子1に取り付けられるオプション部材の個数に対しいて十分に長い貫通ボルト62が用いられることで、背面側のオプション部材が正面側のオプション部材に対して強力に固定されるとともに、複数のオプション部材と背凭れ10とが貫通ボルト62によって一体的に支持されるので、背面側のオプション部材が背凭れ10や正面側のオプション部材に対して下方に撓んで取り付けられることが防止される。これにより、利用者によってオプション部材が椅子1に取り付けられる場合であっても、椅子全体の重心が当初設計位置から大きくずれてしまうことが防止され、椅子の安定性を維持できることになる。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施例では、重合面27、27’、27’’、27’’’、27’’’’、70が略台形状に形成されているが、背凭れ10および複数のオプション部材に共通した形状で形成される限り、重合面は略台形状に限らず長方形や楕円形に形成されてもよく、さらには複数の方形等に形成されもよい。
【0060】
また、前記実施例では、ハンガー本体14の筒状部42が支持部45の下方に延設されて、 ヘッドレスト本体59が支持部61の上方に延設されるようにしているが、ハンガー装置13とヘッドレスト装置26とが互いに干渉しない限り、筒状部42を支持部45の上方や側方に延設さたり、 ヘッドレスト本体59を支持部61の下方や側方に延設させてもよい。
【0061】
また、前記実施例での筒状部材28は、上述のハンガー本体14を支持しつつ、背凭れ10に取り付けられようになっているが、筒状部材28が、ハンガー本体14に限らずヘッドレスト本体等の他のオプション部材を上下方向に移動可能に支持しつつ、背凭れ10に取り付けられようにされるようにしてもよい。
【0062】
また、前記実施例では、背凭れ10に凹状の固定部24を設けているが、背凭れ10に凸状の嵌合凸部を設けるとともに、他のオプション部材の正面側に嵌合凹部を設け、背面側に嵌合凸部を設けるようにしてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、装飾キャップ63を嵌合凹部52’、52’’の凹状の嵌合面に一致する形状に形成して、装飾キャップ63の外周面と内周面とにより装飾キャップ63が嵌合凹部52’、52’’に嵌合されるようにしているが、装飾キャップ63を嵌合凹部の凹状の嵌合面よりも大きく形成するとともに、装飾キャップの正面側にハンガー装置やヘッドレスト装置と同様の嵌合凸部を設けるようにしてもよい。