(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トリガ位置が前記監視スキャンの監視領域の外に位置する時、前記トリガ位置を拡大した後の前記監視領域内に位置させるように前記監視領域を自動的に拡大する監視領域調整部を具備することを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記血流速度検出部は、前記血管検出部が複数の目標血管を検出した時、前記血流速度計算部が計算した前記複数の目標血管の血流速度において最小である1つを、トリガタイミングを確定するための血流速度とすることを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記トリガ残り時間はフレーム間の時間間隔よりも短い場合、トリガ残り時間経過後に前記造影MRAスキャンのトリガを確定し、前記トリガ残り時間はフレームを追って計算され校正されることを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記トリガ残り時間はフレーム間の時間間隔よりも短い場合、トリガ残り時間経過後に前記造影MRAスキャンのトリガを確定し、前記トリガ残り時間はフレームを追って計算され校正されることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の基本的理解のために、本発明の幾つかの実施形態についての概要を紹介する。この概要は、本発明のキーになる領域或いは重要な領域を確定するものではなく、また本発明の範囲を限定するものでもない。その目的は、ただ簡略的に説明することによって、その後に説明する更に詳細な記述のイントロダクションのために説明するものである。
【0012】
本発明の目的は、血流速度を考慮して、自動的、且つ正確にCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定することが可能な装置と方法を提供することにある。
【0013】
本発明のCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置によれば、目標血管の血流速度を取得するための血流速度取得部と、監視スキャン期間において、血流速度と予め設定した画像収集条件に基づいてCE−MRAスキャン領域に対してCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定するためのトリガタイミング確定部とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明のCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法によれば、目標血管の血流速度を取得することと、及び監視スキャン期間において、血流速度と予め設定した画像収集条件に基づいてCE−MRAスキャン領域に対してCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定することとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明では、前記方法を実現するためのコンピュータープログラムを含む。
【0016】
更に、本発明では、少なくともコンピューター読み取り可能な媒体形式のコンピュータープログラム製品を含み、そこには前記方法を実現するためのコンピュータープログラムコードが記録されている。
【0017】
以下、図面を参照しながら本実施形態の説明することにより、更に本実施形態の目的、特徴、メリットを理解し易くすることができる。図面中の構成は、ただ本実施形態の原理を示すためのものである。図面において、同じあるいは類似の技術的特徴あるいは構成は、同様のあるいは類似の図面表記を用いて表現することとする。
【0018】
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明をする。なお、説明において、一つの図面あるいは一つの実施形態において記載した構成や特徴は、一つあるいは複数の他の図面あるいは実施形態において示した構成や特徴の組み合わせることができる。更に、明瞭にするため、図面や説明において本実施形態と無関係な内容や、当業者にとって周知の構成や処理については、表示や記載を省略する。
【0019】
以下、
図2乃至
図10を参照しながら本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法を説明する。
【0020】
図2は、本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法を示すフローチャートである。この方法において、まず、ステップS210において、目標血管の血流速度を取得する。
【0021】
本発明の実施例による方法において、予め設定した血流速度を使用することができる。例えば、外部から予め設定した血流速度を受け取って目標血管の血流速度とすることができる。予め設定した血流速度は、例えば以前スキャンされた被検体測量結果でもいい、或いはスキャンされた被検体が属する集団の統計的な血流速度などであっでもいい。
【0022】
本発明の実施例による方法において、目標血管の実際の血流速度を使用することもできる。血流速度はスキャンされた被検体によって異なる。そのため、実際の血流速度を使用することは、確定されたトリガタイミングをより正確にさせることができる。
【0023】
本発明の一実施例において、監視領域に対して監視スキャンして得られた複数の時相画像を取得し、前記複数の時相画像によって目標血管の血流速度を検出することができる。従来の技術に既存の各種の適切な方法を用いて実際の血流速度を検出することができる。例示として制限はなく、本発明の一実施例において、複数の時相画像において目標血管を検出することができ、その後、検出した目標血管の複数の時相画像における任意の2つのフレームにおける長さ差とこの2つのフレーム画像間の時間間隔に基づいて目標血管の血流速度を検出することができる。血流速度は長さ差を時間間隔で割った値と等しい。当然ながら、これは単なる一例に過ぎず、他の血流速度の計算方式を用いてもよい。例えば、複数の時相画像において2つのフレーム画像毎に計算した血流速度の平均値を求めることで、目標血管の血流速度が得られる。ここでいちいち列挙はしない。
【0024】
監視スキャンした透視画像において、造影剤部分の輝度は一般的に画像におけるほかの部分の輝度より高い。そのため、透視画像から目標血管に流れる造影剤を容易的に識別することができ、それによって目標血管を識別できる。造影剤の流れる速度は、即ち目標血管における血流の速度を表す。検出した目標血管の長さは識別した造影剤の長さで示すことができる。
【0025】
その後、ステップS220において、監視スキャン期間において、血流速度と予め設定した画像収集条件によってCE−MRAスキャン領域に対してCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定する。具体的には、まず、画像収集条件に基づいてCE−MRAスキャンを開始してから有効なCE−MRAスキャン画像を獲得するまでの所要時間を確定することができる。有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する時刻は、造影剤が関心領域(スキャン領域)においてピーク値に達する時刻であり、CE−MRAスキャンのトリガを、CE−MRAスキャン開始から有効なCE−MRAスキャン画像を獲得するまでの所要時間を前進させる必要があり、この時間はスキャンフロント時間とも称する。その後、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定する。
【0026】
CE−MRAシステムにおいて、CE−MRAスキャンをトリガする時刻と有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する時刻とは非同期であるが画像収集条件と密接にかかわる。まず、監視スキャンとCE−MRAスキャンとは使用されたスキャンシーケンスが異なり、監視スキャンからCE−MRAスキャンに切り替えるためにはある程度の時間が必要であり、以下、シーケンス切替時間と称する。同一のシステムにおいて、シーケンス切替時間はCE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に関わる。一般的に、システムが異なればシーケンス切替時間も異なる。次に、CE−MRAスキャンの時、通常、k空間充填方法を採用してCE−MRA画像を形成する。k空間充填方法において、k空間の中央まで充填した時、形成したCE−MRA画像の画質は最適である。k空間の充填を開始してからk空間の中央まで充填するためにかかる時間をk空間中央充填時間と称する。k空間中央充填時間はk空間充填方法の類型と関わる。例えば、順序通りのk空間充填方法では、k空間中央充填時間は一回フルでのk空間充填時間TAの半分、即ちTA/2である。中央が優先のk空間充填方法では、k空間中央充填時間は零である。そのため、よりよいCE−MRA画質を得るためには、k空間充填方法の類型という画像収集条件を考慮することができることが好ましいが、必須ではない。
【0027】
図3は、CE−MRAスキャンをトリガする時刻と有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する時刻との間の時期を示す図である。理想的には、有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する時刻は造影剤の濃度がピーク値に達する時刻である。図に示すように、スキャンをトリガする時刻から造影剤の濃度がピーク値に達する時刻まで、t
1時期とt
2時期を経過する。t
1時期はシーケンス切替時間を示し、t
2時期はk空間中央充填時間を示す。TAは一回フルでのk空間充填時間である。
図3の例示において、k空間中央充填時間を考慮している。k空間の中央まで充填した時、得られるスキャン画像の画質は最適である。しかしながらk空間中央充填時間を考慮しなくとも良い。
【0028】
図3によれば、手動的にCE−MRAスキャンをトリガすると、CE−MRAシステムの操作者は一定の熟練度が必要であって各画像収集条件に基づいてトリガタイミングを確定しなければならないことがわかる。また、手動操作では一致性が悪く、毎回確定したトリガタイミングが異なってしまい、有効なCE−MRAスキャン画像を得る時刻を造影剤の濃度がピーク値に達する時刻に一致させることが困難であり、スキャンしたCE−MRA画像のコントラストを一致させることができない。
【0029】
このような問題に鑑みて、本発明の実施例によれば、血流速度と予め設定した画像収集条件に基づいて自動的にCE−MRAスキャン領域に対してCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定する。
【0030】
図4は、本発明の一実施例によるトリガタイミングを確定するステップを示すフローチャートである。この実施例において、考慮する画像収集条件はCE−MRAスキャンのシーケンス類型である。
図4に示すように、ステップS410において、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定し、スキャンフロント時間とする。シーケンス切替時間は監視スキャンから前記シーケンス類型のCE−MRAスキャンへ切り替えるための所要時間である。その後、ステップS420において、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定する。血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定する具体的な内容については、以下に説明する。
【0031】
図5は、本発明の他の一実施例によるトリガタイミングを確定するステップを示すフローチャートである。この実施例では、CE−MRAスキャンのシーケンス類型とCE−MRAスキャンで採用されたk空間充填方法の類型という2つの画像収集条件を考慮している。
図5に示すように、ステップS510において、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定する。ステップS520において、k空間充填方法の類型に基づいてk空間中央充填時間を確定する。ステップS530において、シーケンス切替時間とk空間中央充填時間を合計し、スキャンフロント時間とする。その後、ステップS540において、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定する。
【0032】
同じCE−MRAスキャンシーケンス類型である場合、異なるCE−MRAシステムは異なるシーケンス切替時間を有する可能性がある。CE−MRAシステムのシーケンス切替時間とk空間充填方法の類型とは、通常、CE−MRAシステムのパラメータとして予め設定されており、これらのパラメータを使用する必要がある時、都合よく得ることができる。k空間充填方法の類型に対応するk空間中央充填時間は従来のいずれか適切な方法に基づいて計算して得ることができる。
【0033】
トリガスキャンの時刻を確定した後、必要に応じて、手動的或いは自動的にCE−MRAスキャンをトリガすることができる。例えば、操作者が手動的にCE−MRAスキャンのボタンを押す。或いは、信号によって自動的にCE−MRAスキャンをトリガする。
【0034】
例示として、以下、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定する具体的な実現方式を幾つか紹介する。
【0035】
1.位置によるトリガの確定
本発明の一実施例による、造影剤が到達する位置に基づくCE−MRAスキャンのトリガタイミングの確定について説明する。
【0036】
まず、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算する。スキャンフロント距離は、血流速度とスキャンフロント時間との積である。前に述べたように、スキャンフロント時間は、CE−MRAの開始から有効なCE−MRAスキャン画像を得るまでの所要時間である。従って、スキャンフロント距離は、血流が、CE−MRAの開始時刻から有効なCE−MRAスキャン画像を得る時刻までに経過した距離で表わされる。
【0037】
その後、スキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて、トリガ位置を確定する。スキャンフロント距離を考慮し、トリガ位置は、有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する位置を、血流方向の逆方向にスキャンフロント距離分移動した位置に設置される。通常は、有効なCE−MRAスキャン画像を得る位置と、CE−MRAスキャン領域の血流方向における下流境界位置とは基本的に合致し、つまり、CE−MRAスキャンで得た画像は造影剤がちょうどスキャン領域の下流境界に到達した時の画像である。このように、獲得したCE−MRAスキャン画像はクリアーに関心領域における目標血管の全体輪郭を呈する。
【0038】
理解のために、
図6は、本発明の一実施例によるトリガ位置を示す図である。図中の符号Offsetはスキャンフロント距離を表し、それは血流速度Vとスキャンフロント時間Tとの積に等しい。水平方向における実線は、有効なCE−MRAスキャン画像を得る位置を表す。水平方向における点線は、CE−MRAスキャンのトリガ位置を表す。
【0039】
監視スキャンで検出した目標血管における造影剤がトリガ位置に到達した時、CE−MRAスキャンの開始を確定する。
【0040】
実際上の応用において、手動トリガの構造を実現するために、確定したトリガ位置を監視スキャンで得た透視画像上に表示することができる。操作者は造影剤がトリガ位置に流れ着くタイミングを見計らって、手動的にCE−MRAスキャンのトリガをかけることができる。
【0041】
また、本実施例の一変形において、確定したトリガ位置が監視スキャンの監視領域の外に位置する時、トリガ位置を拡大した後の監視領域内に位置させるために、自動的に監視領域を拡大することができる。このように、本実施例による方法をより強化することができる。各種の従来の或いは将来開発する技術を用いて監視領域を拡大することができる。本発明を曖昧にさせないために、ここで詳しくは紹介しない。
【0042】
2.計時によるトリガの確定
本発明の他の一実施例による、計時でのCE−MRAスキャンのトリガタイミングの確定について説明する。
【0043】
まず、血流速度、監視スキャンで検出した目標血管における造影剤の現在の到達位置、及びCE−MRA領域によって、トリガ残り時間を計算する。トリガ残り時間は、造影剤が、現在位置からCE−MRAをトリガするまでに流れるための所要時間を表す。理想的には、トリガ残り時間は、目標血管における造影剤が現在の到達位置と、CE−MRA領域の血流方向における下流境界(通常は、この位置で有効なCE−MRAスキャン画像を得る。)との間の距離を、血流速度で割った値に等しい。
【0044】
トリガから有効なCE−MRAスキャン画像を獲得するまである程度の時間が必要であり、即ちスキャンフロント時間であることを考慮し、トリガ残り時間からスキャンフロント時間を減算する。
【0045】
計時によりスキャンフロント時間を減算した後のトリガ残り時間を経過したことを確定した時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定する。
【0046】
実際上の応用において、手動トリガの構造を実現するために、トリガ残り時間を計時方式で監視スキャンにより得られた透視画像上に表示することができる。操作者はトリガ残り時間が零、或いは零に近づきつつあるのを見計らいながらCE−MRAスキャンのトリガを手動的にかけることができる。
【0047】
本実施例の方法はトリガ位置に対して制限しない。トリガ位置がスキャン領域にあろうが無かろうが、本実施例の方法に対して特に影響は無い。
【0048】
3.位置と計時との組み合わせによるトリガの確定
CE−MRAシステムは、1フレーム画像を表示するために要した時間を機器時間と称する。監視スキャンにとって、機器時間は基本的に監視スキャンのフレーム間の時間間隔に等しい。位置トリガを使用する場合、トリガタイミングが1つの機器時間期間にある時、CE−MRAスキャンのトリガが遅めに引き起こされる可能性がある。例えば、造影剤が、あるフレームにおいてはまだトリガ位置に到達していないが、次のフレームを表示させた時、すでにトリガ位置を通過してしまっているようなケースである。そのため、次のフレームにおいてはCE−MRAスキャンのトリガが遅れてしまい、造影剤濃度がピーク値に達する時刻を逃してしまうことになる。
【0049】
これに対して、本発明の他の一実施例によって、トリガ位置と計時との組み合わせによりCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定することができる。この実施例のトリガタイミングの確定ステップは、
a)血流速度とスキャンフロント時間に基づいて、スキャンフロント距離Lを計算するステップと、
b)スキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて、トリガ位置Pを確定するステップと、
c)血流速度に基づいて目標血管における造影剤の監視スキャンで検出した現在位置からトリガ位置に流れ着くまでの所要時間T
trを計算して、トリガ残り時間とするステップと、
d)監視スキャンのフレーム間の時間間隔T
intvをモジュラーとしてトリガ残り時間T
trに対してモジュラー演算:r = T
tr%T
intvを行い、モジュラー演算の商をmとするステップと、
e)モジュラー演算の余りrが零ではない場合、mフレーム透視画像を表示した時、つまり監視スキャンでモジュラー演算の商mに等しい数量のフレーム分をスキャンした時、計時を開始し、計時によりモジュラー演算の余りrに等しい時間を経過したことを確定した時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定するステップと、
f)モジュラー演算の余りrが零である場合、監視スキャンにより目標血管における造影剤がトリガ位置に到達したことが検出された時を、CE−MRAスキャンのトリガとして確定するステップと、を含む。
【0050】
前記ステップにおいて、ステップa)、b)及びステップc)の順序は逆にすることができ、特に制限はしない。
【0051】
本実施例の方法によって、トリガタイミングが1つの機器時間の期間にある場合において正確にトリガタイミングを確定することができる。
【0052】
4.フレーム数と計時との組み合わせによるトリガの確定
上記で説明した位置と計時との組み合わせによるトリガによる実施例の一代替方法として、本発明の他の一実施例により、フレーム数と計時との組み合わせによるCE−MRAスキャンのトリガタイミングの確定を説明する。
【0053】
この実施例のトリガタイミングの確定ステップは、
a)血流速度に基づいて目標血管における造影剤の監視スキャンで検出した現在位置からトリガ位置に流れ着くまでの所要時間T
trを計算して、トリガ残り時間とするステップと、
b)監視スキャンのフレーム間の時間間隔T
intvをモジュラーとしてトリガ残り時間T
trに対してモジュラー演算:r = T
tr%T
intvを行い、モジュラー演算の商をmとするステップと、
c)モジュラー演算の余りrが零ではない場合、mフレーム透視画像を表示した時、つまり監視スキャンでモジュラー演算の商mに等しい数量のフレーム分をスキャンした時、計時を開始し、計時によりモジュラー演算の残りrに等しい時間を経過したことを確定する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定するステップと、
d)モジュラー演算の余りrが零である時、mフレーム透視画像を表示した時、つまり監視スキャンでモジュラー演算の商mに等しい数量のフレーム分をスキャンした時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定するステップ、とを含む。
【0054】
本実施例の方法によれば、トリガタイミングは1つの機器時間の期間にある場合において、正確にトリガタイミングを確定することができる。
【0055】
上記の位置と計時とを組み合わせてトリガを確定する実施例におけるステップと比べて、本実施例はトリガ位置を計算しなくてもいい。
【0056】
本発明の実施例の一変形例において、トリガ残り時間T
trはフレーム間の時間間隔T
intvよりも短い場合、T
tr経過後にスキャンを開始する。トリガ残り時間T
trはフレームを追って計算され校正される。
【0057】
当業者にあっては、前記説明のもとで、各種の異なる手段を用いて血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定することを実施できるが、ここではいちいち列挙はしない。
【0058】
また、前記実施例において、必要に応じて、更にリアルタイムにトリガタイミングを校正することができる。例えば、監視スキャンの過程において、リアルタイムで検出した血流速度に基づいて、リアルタイムにトリガ位置或いはトリガ残り時間を校正することができる。
【0059】
監視領域において、1つ或いは複数の目標血管を検出することが可能である。例えば、監視領域が人体の下肢である場合、2つの太い血管を検出することが可能である。また例えば、監視領域が骨盤である場合、目標血管は多くの分岐を有する樹状血管状を呈し、目標血管の数は即ち分岐の数である。複数の目標血管の血流速度はお互いに異なる可能性がある。本発明の一実施例に基づいて、複数の目標血管を検出する時、複数の目標血管の血流速度において最小の1つをトリガタイミングとして確定するための血流速度とすることができる。このように、有効なCE−MRAスキャン画像を得るタイミングで、造影剤がすべての目標血管に到達することを保証することができる。
【0060】
理解のために、以下、監視領域に複数の目標血管を有する例示について説明する。しかし、これはあくまでも説明の目的のためであって、複数の目標血管の数に対する制限と見なされるものではない。
【0061】
図7A〜7Bは、2つの目標血管を有する監視領域を示す図である。この例示において、T1時刻において、2つの目標血管の長さはそれぞれL1とL2である。T2時刻に、2つの目標血管の長さはそれぞれL1’とL2’である。それによって、左側の目標血管の血流速度((1)式)、右側目標血管の血流速度((2)式)を計算することができる。V1とV2において最小の1つmin(V1、V2)を採用してトリガタイミングを確定するための血流速度とする。
【数1】
【数2】
【0062】
図8A〜8Bは、樹状の目標血管を有する監視領域を示す図である。この例示において、T1時刻に、目標血管には2つの分岐が出現し、2つの分岐の長さはそれぞれL1とL2である。T2時刻において、目標血管には4つの分岐が出現し、分岐毎に長さはそれぞれP1、P2、P3とP4である。つまり、監視領域において4つの目標血管を有する。それによって、4つの分岐の血流速度はそれぞれ、(3)式、(4)式、(5)式、及び(6)式で計算することができる。この4つの速度のうちの最小の1つmin(V1、V2、V3、V4)を採用してトリガタイミングを確定するための血流速度とする。
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0063】
本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法において、監視領域は従来技術のように手動的に設定することができる。監視領域をより正確に設定するために、本発明の一実施例により、監視スキャンを開始する前に、目標血管の予め設定した血流速度、予め設定した画像収集条件及びCE−MRAスキャン領域に基づいて監視スキャンの監視領域を確定することができる。
【0064】
従来の技術において、操作者の操作に対する利便性のために、通常は、監視領域を、造影剤が監視領域の血流方向における下流境界に流れ着く時をCE−MRAスキャンのトリガとして設定する。そのため、本発明の実施例において、監視領域の下流境界を、基本的にはトリガ位置と相応し、監視領域の血流方向における上流境界に対しては制限なく確定することができる。当然ながら本発明はこれに限定されることなく、監視領域の下流境界はトリガ位置の下流であってもいい。また、前述したいずれかの実施形態のように、造影剤の位置を判断することなく計時によりトリガを行えば、監視領域の下流境界は実際のトリガ位置の上流にあることもあり得る。
【0065】
具体例として、
図9は、本発明の一実施例による監視領域を確定するステップを示すフローチャートである。この実施例において、画像収集条件はCE−MRAスキャンのシーケンス類型を含む。
図9に示すように、ステップS910において、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定し、スキャンフロント時間とする。ステップS920において、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算する。ステップS930において、スキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて監視領域の目標血管の血流方向における下流境界を確定する。具体的には、監視領域の下流境界はCE−MRAスキャン領域の血流方向における下流境界が血流方向の逆方向にスキャンフロント距離を移動する位置に設定される。
【0066】
図10は、本発明の他の一実施例による監視領域を確定するステップを示すフローチャートである。この実施例において、画像収集条件はCE−MRAスキャンのシーケンス類型とCE−MRAスキャンで採用されたk空間充填方法の類型とを含む。
図10に示すように、ステップS1010において、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定する。ステップS1020において、k空間充填方法の類型に基づいてk空間中央充填時間を確定する。ステップS1030において、シーケンス切替時間とk空間中央充填時間とを合計してスキャンフロント時間とする。ステップS1040において、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算する。ステップS1050において、スキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて監視領域の目標血管の血流方向における下流境界を確定する。
図9の実施例と同様に、監視領域の下流境界はCE−MRAスキャン領域の血流方向における下流境界が血流方向の逆方向にスキャンフロント距離を移動する位置に設定される。
【0067】
図9と
図10の実施例において、従来の技術と同様、監視領域はCE−MRAスキャン領域が位置する平面上に設定される。
【0068】
以下、
図11〜21を参照しながら本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置を説明する。
【0069】
図11は、本発明の一実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置を示すブロック図である。
図11に示すように、CE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置1100は、血流速度取得部1110とトリガタイミング確定部1120とを含む。血流速度取得部1110は、目標血管の血流速度を取得することに用いられる。
【0070】
本発明の実施例による装置において、予め設定した血流速度を使用することができる。本発明の一実施例によって、血流速度取得部1110は、更に外部から予め設定した血流速度を受け取って、目標血管の血流速度とすることに用いられる。
【0071】
本発明の実施例による装置において、確定したトリガタイミングをより正確にさせるために、目標血管の実際血流速度も使用することができる。
図12は、本発明の一実施例による血流速度取得部を示すブロック図である。この実施例において、血流速度取得部1110は、画像取得部1210と血流速度検出部1220とを含むことができる。画像取得部1210は、監視領域に対して監視スキャンして得られた複数の時相画像を取得することに用いられる。血流速度検出部1220は、複数の時相画像を用いて目標血管の血流速度を検出することに用いられる。
【0072】
血流速度検出部1220は、従来の技術に既存の各種の適切な方法を用いて実際の血流速度を検出することができる。例示として制限ではなく、本発明の一実施例によって、血流速度検出部1220は、血管検出部と血流速度計算部(図示しない)を含む。血管検出部は、複数の時相画像において目標血管を検出することに用いられる。血流速度計算部は、検出した目標血管の複数の時相画像におけるいずれかの2つのフレーム画像における長さ差と前記2つのフレーム画像間の時間間隔に基づいて目標血管の血流速度を計算する。血流速度は、長さ差を時間間隔で割った値に等しい。当然ながら、これは単なる例示であって、そのほかの血流速度計算方式も有することができる。例えば、複数の時相画像において2つのフレーム画像毎に計算した血流速度の平均を求め、目標血管の血流速度とすることができる。
【0073】
また、本発明の他の一実施例によって、血流速度検出部1220は、複数の目標血管を検出する時、血流速度計算部が計算した前記複数の目標血管の血流速度において最小の1つをトリガタイミングを確定するための血流速度とする。このように、有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する時、造影剤がすべての目標血管に到達することを保証することができる。
【0074】
図11において、トリガタイミング確定部1120は監視スキャン期間において、血流速度と予め設定した画像収集条件に基づいてCE−MRAスキャン領域に対してCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定することに用いられる。具体的には、まず、トリガタイミング確定部1120は、画像収集条件に基づいて、CE−MRAの開始から有効なCE−MRAスキャン画像を得るまでの所要時間を確定することができ、即ちスキャンフロント時間である。その後、トリガタイミング確定部1120は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてCE−MRAスキャンを行うトリガタイミングを確定する。
【0075】
図13は、本発明の一実施例によるトリガタイミング確定部を示すブロック図である。
図13の実施例において、画像収集条件はCE−MRAスキャンのシーケンス類型を含む。
図13に示すように、トリガタイミング確定部1120は、スキャンフロント時間確定部1310とトリガタイミング確定サブ部1320とを含む。スキャンフロント時間確定部1310は、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定することに用いられる。トリガタイミング確定サブ部1320は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定することに用いられる。
【0076】
図14は、本発明の他の一実施例によるトリガタイミング確定部を示すブロック図である。
図14において、画像収集条件は、CE−MRAスキャンのシーケンス類型とCE−MRAスキャンで採用されたk空間充填方法の類型とを含む。トリガタイミング確定部1120は、スキャンフロント時間確定部1310とトリガタイミング確定サブ部1320とを含む。スキャンフロント時間確定部1310は、スキャンフロント時間を確定することに用いられ、且つシーケンス切替時間確定部1311と、k空間中央充填時間確定部1312と、合計部1313とを含む。シーケンス切替時間確定部1311は、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定することに用いられる。k空間中央充填時間確定部1312は、k空間充填方法の類型に基づいてk空間中央充填時間を確定することに用いられる。合計部1313は、シーケンス切替時間とk空間中央充填時間を合計することに用いられ、スキャンフロント時間とする。トリガタイミング確定サブ部1320は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてトリガタイミングを確定することに用いられる。この実施例において、スキャンフロント時間にはk空間中央充填時間を含み、より良いCE−MRA画像の画質を得ることができる。
【0077】
トリガスキャンのタイムを確定した後、必要に応じて、手動的にCE−MRAスキャンのトリガをかける、或いはトリガタイミング確定部1120で自動的にCE−MRAスキャンのトリガをかけるができる。例えば、操作者で手動的にCE−MRAスキャンボタンを押す。或いは、トリガタイミング確定部1120は信号によって自動的にCE−MRAスキャンのトリガをかける。
【0078】
例示として、以下、複数種のトリガタイミング確定サブ部の具体的な実現方法を説明する。
【0079】
図15は、本発明の一実施例によるトリガタイミング確定サブ部を示すブロック図である。この実施例において、トリガタイミング確定サブ部1500は、位置によってトリガタイミングを確定する。
図15に示すように、トリガタイミング確定サブ部1500は、トリガ位置確定部1510とトリガ位置監視部1520とを含む。トリガ位置確定部1510は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算し、且つスキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいてトリガ位置を確定することに用いられる。スキャンフロント距離は、血流速度とスキャンフロント時間との積である。トリガ位置は、有効なCE−MRAスキャン画像を獲得する位置を血流方向の逆方向にスキャンフロント距離を移動する位置に設定することができる。トリガ位置監視部1520は、監視スキャンで検出した目標血管における造影剤がトリガ位置に到達する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定することに用いられる。
【0080】
本実施例の一変形例において、CE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置は、更に監視領域調整ユニット(図示しない)を含むことができる。監視領域調整ユニットは、トリガ位置確定部1510が確定したトリガ位置が監視スキャンの監視領域の外に位置する時、トリガ位置を拡大した後の監視領域内に位置させるために、自動的に監視領域を拡大するために用いられる。
【0081】
図16は、本発明の他の一実施例によるトリガタイミング確定サブ部を示すブロック図である。この実施例において、トリガタイミング確定サブ部1600は、計時によりトリガタイミングを確定する。
図16に示すように、トリガタイミング確定サブ部1600は、トリガ残り時間計算部1610とトリガ残り時間監視部1620とを含む。トリガ残り時間計算部1610は、血流速度、監視スキャンが検出した目標血管における造影剤の現在位置及びCE−MRA領域に基づいてトリガ残り時間を計算することに用いられ、且つトリガ残り時間からスキャンフロント時間を減算する。トリガ残り時間監視部1620は、計時によりトリガ残り時間を経過したことを確定する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定することに用いられる。本実施例のトリガタイミング確定サブ部は、トリガ位置が監視領域にあるかどうかには影響されない。
【0082】
図17は、本発明の他の一実施例によるトリガタイミング確定サブ部を示すブロック図である。この実施例において、トリガタイミング確定サブ部1700は、位置と計時とを組み合わせてトリガタイミングを確定する。
図17に示すように、トリガタイミング確定サブ部1700は、トリガ位置確定部1710と、トリガ残り時間計算部1720と、モジュラー演算部1730と、トリガ残り時間監視部1740と、トリガ位置監視部1750とを含む。トリガ位置確定部1710は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算し、且つスキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいてトリガ位置を確定することに用いられる。トリガ残り時間計算部1720は、血流速度に基づいて目標血管における造影剤が監視スキャンで検出した現在位置からトリガ位置に流れ着くまでの所要時間を計算し、トリガ残り時間とすることに用いられる。モジュラー演算部1730は、監視スキャンのフレーム間の時間間隔をモジュラーとしてトリガ残り時間に対してモジュラー演算を行うことに用いられる。モジュラー演算の余りが零ではない時、モジュラー演算部1730はトリガ残り時間監視部1740を用いる。前記モジュラー演算の余りが零である時、モジュラー演算部1730はトリガ位置監視部1750を用いる。トリガ残り時間監視部1740は、監視スキャンによってモジュラー演算の商に等しい数量のフレームをスキャンした時、計時を開始する。トリガ残り時間監視部1740は、計時によりモジュラー演算の余りに等しい時間を経過したことを確定する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定する。トリガ位置監視部1750は、監視スキャンによって目標血管における造影剤がトリガ位置に到達することを検出する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定することに用いられる。本実施例のトリガタイミング確定サブ部によって、トリガタイミングが1つの機器時間の期間である場合、正確にトリガタイミングを確定することができる。
【0083】
図18は、本発明の他の一実施例によるトリガタイミング確定サブ部を示すブロック図である。この実施例において、トリガタイミング確定サブ部1800は、フレーム数と計時とを組み合わせてトリガタイミングを確定する。
図18に示すように、トリガタイミング確定サブ部1800は、トリガ残り時間計算部1810と、モジュラー演算部1820と、トリガ残り時間監視部1830と、フレーム数監視部1840とを含む。トリガ残り時間計算部1810は、血流速度に基づいて目標血管における造影剤が監視スキャンによって検出した現在位置からトリガ位置まで流れ着くまでの所要時間を計算し、トリガ残り時間とすることに用いられる。モジュラー演算部1820は、監視スキャンのフレーム間の時間間隔をモジュラーとしてトリガ残り時間に対してモジュラー演算を行うことに用いられる。モジュラー演算の余りが零ではない時、モジュラー演算部1820はトリガ残り時間監視部1830を用いる。モジュラー演算の余りが零である時、モジュラー演算部1820はフレーム数監視部1840を用いる。トリガ残り時間監視部1830は、監視スキャンによってモジュラー演算の商に等しい数量のフレームをスキャンした時、計時を開始する。計時によりモジュラー演算の余りに等しい時間を経過したことを確定する時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定する。フレーム数監視部1840は、監視スキャンによってモジュラー演算の商に等しい数量のフレームをスキャンした時をCE−MRAスキャンのトリガとして確定することに用いられる。本実施例のトリガタイミング確定サブ部によって、トリガタイミングが1つの機器時間の期間にある場合、正確にトリガタイミングを確定することができる。
図18におけるトリガタイミング確定サブ部と比べて、本実施例のトリガタイミング確定サブ部はトリガ位置を計算する必要がない。
【0084】
当業者においては、前記説明のもとで、各種の異なる手段を用いてトリガタイミング確定サブ部を実施することができる。ここではいちいち列挙はしない。
【0085】
また、前記実施例において、必要に応じて、トリガタイミング確定サブ部1120は更にリアルタイムにトリガタイミングを校正することに用いられる。例えば、監視スキャンの過程において、リアルタイムで検出した血流速度に基づいて、リアルタイムにトリガ位置或いはトリガ残り時間を校正する。
【0086】
本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置において、更に監視領域を確定するための部を含むことができ、監視スキャンの前に、自動的に監視領域を確定することに用いられる。
【0087】
図19は本発明の他の一実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための装置を示すブロック図である。
図19における装置1900と
図11における装置1100と比べて、監視領域確定部1930が追加されている。監視領域確定部1930は、監視スキャンが始まる前に、目標血管の予め設定した血流速度、予め設定した画像収集条件及びCE−MRAスキャン領域に基づいて監視スキャンの監視領域を確定することに用いられる。血流速度取得部1910の機能と
図11における装置1100における血流速度取得部1100の機能とは基本的には同じである。トリガタイミング確定部1920の機能と
図11における装置1100におけるトリガタイミング確定部1120の機能とは基本的には同じである。監視領域確定部1930は外部から予め設定した血流速度を受け取ることができ、血流速度取得部1910を用いて予め設定した血流速度を獲得することができる。
【0088】
監視領域の血流方向における下流境界は、基本的にトリガ位置と同じ所に設定することができる。そのため、監視領域確定部1930は、トリガ位置確定部と同じ方法を用いて監視領域の下流境界を確定することができる。監視領域の血流方向における上流境界には制限はない。また、前述したように、監視領域の下流境界もトリガ位置と異なるとすることができる。
【0089】
図20は、本発明の一実施例による監視領域確定部を示すブロック図である。この実施例において、画像収集条件は前記CE−MRAスキャンのシーケンス類型を含む。
図20に示すように、監視領域確定部1930は、スキャンフロント時間確定部2010と、スキャンフロント距離確定部2020と、境界確定部2030とを含む。スキャンフロント時間確定部2010は、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型に基づいてシーケンス切替時間を確定し、スキャンフロント時間とすることに用いられる。スキャンフロント距離確定部2020は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算することに用いられる。境界確定部2030は、スキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて監視領域の目標血管の血流方向における下流境界を確定することに用いられる。具体的には、監視領域の下流境界はCE−MRAスキャン領域の血流方向における下流境界が血流方向の逆方向にスキャンフロント距離を移動する位置に設置される。
【0090】
図21は本発明の他の一実施例による監視領域確定部を示すブロック図である。この実施例において、画像収集条件はCE−MRAスキャンのシーケンス類型とCE−MRAスキャンで採用されたk空間充填方法の類型とを含む。
図21に示すように、監視領域確定部1930はスキャンフロント時間確定部2110と、スキャンフロント距離確定部2120と、境界確定部2130とを含む。スキャンフロント時間確定部2110はスキャンフロント時間を確定することに用いられ、且つシーケンス切替時間確定部2111と、k空間中央充填時間確定部2112と、合計部2113と、を含む。シーケンス切替時間確定部2111は、CE−MRAスキャンで採用されたシーケンス類型によってシーケンス切替時間を確定することに用いられる。k空間中央充填時間確定部2112は、k空間充填方法の類型に基づいてk空間中央充填時間を確定することに用いられる。合計部2113は、シーケンス切替時間とk空間中央充填時間とを合計し、スキャンフロント時間とすることに用いられる。スキャンフロント距離確定部2120は、血流速度とスキャンフロント時間に基づいてスキャンフロント距離を計算することに用いられる。境界確定部2130はスキャンフロント距離とCE−MRAスキャン領域に基づいて監視領域の目標血管の血流方向における下流境界を確定することに用いられる。また、監視領域の下流境界は、CE−MRAスキャン領域の血流方向における下流境界が血流方向の逆方向にスキャンフロント距離を移動する位置に設置される。
【0091】
また、監視領域確定部は、更に監視領域をCE−MRAスキャン領域が位置する平面上に設定することができる。これは従来の技術と同様であり、詳細な説明は割愛する。
【0092】
本発明の実施例による装置における各部毎の更に多くの詳細な操作に関しては、以上の本発明の実施例による方法に対する関連記述を参考することができ、ここでは重複して説明はしない。
【0093】
本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法と装置において、血流速度を考慮してトリガタイミングを確定し、CE−MRAスキャンのトリガタイミングを自動的、且つ正確的に確定することができる。
【0094】
1つの例示として、本発明の実施例によるCE−MRAスキャンのトリガタイミングを確定するための方法の各ステップ及び装置の各構成モジュール及び/又はユニットによってCE−MRAシステムにおけるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア或いはそれらを組み合わせて実施し、且つCE−MRAシステムにおける一部とすることができる。もう1つの例示として、前記方法の各ステップ及び前記装置の各構成モジュール及び/又はユニットはCE−MRAシステムから独立した装置として実施することができる。前記装置において各構成モジュール、ユニットはソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア或いはそれらの組み合わせの構成に基づいてレイアウトを行うことができるが、使用する具体的手段や方法は当業者にとって周知のものであり、ここでは重複して説明はしない。
【0095】
その一例として、上述方法の各ステップ及び上述装置の各構成及び/又は部分はソフトウエア、ファームウエア、ハードウエアあるいはそれらの組み合わせとして実施しても良い。ソフトウエアあるいはファームウエアを介して実現した場合、上述方法のソフトウエアプログラムを実施するため、メモリ媒体からあるいはネットワークを介して専用のハードウエア構造のコンピュータ(例えば、
図22に示す汎用コンピュータ2200)へダウンロードして構成することができ、該コンピュータに各種プログラムがダウンロードされた状態で、各種機能等を実施することができる。
図22において、演算処理部(即ち、CPU)2201は、読み取り専用メモリ(ROM)2202の中に記憶されているプログラム、あるいは、記憶部2208から読み書き兼用メモリ(RAM)2203へ書き込まれたプログラムに基づいて、各種処理を実施する。RAM2203では、必要に応じて、CPU2201が各種処理等を実施するときに必要なデータも記憶しておく。CPU2201、ROM2202及びRAM2203は、綜合ライン2204を経由してそれぞれ接続されている。入力/出力インターフェース2205も、綜合ライン2204につながっている。
【0096】
下記の各部は、入力/出力インターフェース2205に接続されている:入力部2206(キーボード、マウス等を含む)、出力部2207(モニタ、例えば、ブラウン管(CRT)、液晶モニタ(LCD)等や、スピーカ等を含む)、記憶部2208(キーボードを含む)、通信部2209(ネットワークインターフェースカード、例えば、LANカード、モデム等)。通信部2209は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信処理を実施する。必要に応じて、駆動部2210も入力/出力インターフェース2205に接続可能である。取り外し可能な媒体2211は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、MO、半導体メモリ等であって、必要に応じて駆動部2210に装着され、必要の応じてコンピュータプログラムを読み出して、記憶部2208へダウンロードされる。
【0097】
ソフトウエアを介して上述システム処理を実施する場合、ネットワーク(例えば、インターネットあるいは記憶媒体(例えば、取り外し可能な媒体2211))からプログラムをダウンロードしても良い。
【0098】
当業者においては、このような記憶媒体は
図22に示すようなプログラムを記憶した記憶媒体は、装置とは離れたところからユーザにプログラムを提供する取り外し可能な媒体2211に限らない。取り外し可能な媒体2211の例としては、磁気ディスク(フロッピーディスク(登録商標)、光ディスク(CD−ROMやDVDを含む)、磁気光ディスク(MiniDisc(MD、登録商標)を含む)らを含む。また、記憶媒体はROM2202であっても良く、記憶部2208に含まれるハードディスク等、その中にプログラムが記憶され、それらを含む装置からユーザへプログラムが送られる形態でも良い。
【0099】
本実施形態では、更に、メモリとして、機器読み取り可能なコマンドコードを記憶しているプログラム製品でも応用でき、前記コマンドコードが機器を介して読み取られると、本実施形態の実施例における方法が実施される。
【0100】
上述機器読み取り可能なコマンドコードを記憶しているプログラム製品を受け入れるための記憶媒体も本実施形態に適用できる。その記憶媒体は、ハードディスク、光ディスク、磁気光ディスク、メモリカード、メモリスティックには限定されない。
【0101】
上述した実施形態においては、装置1100が各種処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置が備える計算機が、上述した各種処理を実行してもよい。
【0102】
図23は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図23に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、送信コイル107と、送信部108と、受信コイル109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図23に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部120及び計算機130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0103】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
【0104】
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライスエンコード傾斜磁場GSE(若しくはスライス選択傾斜磁場GSS)、位相エンコード傾斜磁場GPE、及び周波数エンコード傾斜磁場GROである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0105】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0106】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0107】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるMR信号を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。
【0108】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0109】
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0110】
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0111】
なお、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。
【0112】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、MR画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース部131、記憶部132、制御部133、入力部134、表示部135、及び画像生成部136を備える。
【0113】
インタフェース部131は、シーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信し、シーケンス制御部120からMRデータを受信する。また、インタフェース部131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部132に格納する。記憶部132に格納されたMRデータは、制御部133によってk空間に配置される。この結果、記憶部132は、複数チャネル分のk空間データを記憶する。
【0114】
記憶部132は、インタフェース部131によって受信されたMRデータや、制御部133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部136によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶部132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0115】
入力部134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示部135は、制御部133による制御の下、スペクトラムデータや画像データ等の各種の情報を表示する。表示部135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0116】
制御部133は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、制御部133は、入力部134を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信することによって撮像を制御する。また、制御部133は、MRデータに基づいて行われる画像の生成を制御したり、表示部135による表示を制御したりする。また、制御部133は、受信部110によって生成されたMRデータを記憶部132から読み出し、k空間に配置する。例えば、制御部133は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。
【0117】
画像生成部136は、制御部133によってk空間に配置されたk空間データを記憶部132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、MR画像を生成する。
【0118】
上記の本実施形態の具体的実施例においては、一つの実施方式に示す特徴について、同様の方法を一つあるいは複数のほかの実施方法方の中で適用したり、その他の実施方法との組み合わせたり、あるいはその他の実施方法における特徴に替えるといったことも可能である。
【0119】
更に、“包含する/含む”といった用語を使用したときは、特徴・構成・ステップあるいは構造の存在を指し示す。ただし、その他の特徴・構成・ステップあるいは構造の存在や付加の排除を意味するものではない。
【0120】
上記実施例においては、数字構成の図番記号を用いて各ステップや構成を表記している。ただし、これらの図番記号は単なる説明や画図の都合への考慮によるものであって、その順序やいかなるほかの限定を表すものではない、と当業者は理解すべきである。
【0121】
このほか、本実施形態の方法は、詳細な説明の欄において説明された時間順序に沿って実施されるものに限らず、その他の時間順序に沿って、同時に、あるいは独立して実施されても良い。それゆえ、本願の詳細な説明において説明された方法の実施順序は、本実施形態の技術範囲に対する構成を制限するものではない。
【0122】
上記では、既に、本実施形態の具体的実施例の説明をもって、本実施形態の説明を行っているものの、上述のすべての実施例はすべて単なる例示に過ぎず、限定するものではない。当業者は、特許請求の主旨や範囲において、本実施形態の各種手直し・改良あるいは同等物の設計を行うことが可能である。これらの手直し・改良あるいは同等物は、本実施形態の保護範囲内に含まれるものである。