特許第6121698号(P6121698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121698
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】医用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/24 20120101AFI20170417BHJP
【FI】
   G06Q50/24
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-259916(P2012-259916)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106783(P2014-106783A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 美和
【審査官】 山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−273453(JP,A)
【文献】 特開2008−090824(JP,A)
【文献】 特開2007−316789(JP,A)
【文献】 特開2009−048410(JP,A)
【文献】 特開2011−097157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の患者に関する複数の患者情報が記憶されている外部装置である複数の記憶部に対し、消去依頼された所要の患者に関する所要の患者情報の検索をそれぞれ行う検索部と、
前記検索の結果に基づいて、前記所要の患者情報が前記複数の記憶部のいずれか記憶されていると判断される場合前記複数の記憶部のうち前記所要の患者情報が記憶された記憶部から前記所要の患者情報を消去すると共に当該記憶部から前記所要の患者情報が消去されたことを示す未承認の消去の情報を登録する登録部と、
前記所要の患者情報が記憶されていた全ての記憶部に対応する全ての未承認の消去の情報が登録され、かつ、前記全ての未承認の消去の情報に対して承認がなされることで、前記全ての記憶部からの前記所要の患者情報の消去が承認されたことを示す承認済の消去の情報を生成する生成部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記承認済の消去の情報を表示可能に出力する出力部をさらに備え
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の患者情報のそれぞれ前記外部装置に出力されたときは、前記複数の患者情報のそれぞれ前記外部装置に出力されたことを示す履歴情報を格納する格納部をさらに備え、
記検索部は、
前記格納部に対し前記所要の患者情報検索を行い前記格納部から前記所要の患者情報に対応する履歴情報が取得された場合には、前記取得された履歴情報を出力する
請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、
前記全ての未承認の消去の情報のそれぞれに対して、複数人による承認を受け付ける
請求項1から3のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記患者情報は、
少なくとも前記患者の氏名、性別、及び年齢を含む情報である
請求項1から4のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人情報の電子化が進むとともに情報通信が発達したことによって、パーソナルコンピュータ(情報処理装置)に格納された個人情報が、インターネットのネットワークなどを介して外部に情報漏洩する問題が生じている。
【0003】
特に、個人の機密に関する個人情報が情報漏洩することは、個人のプライバシーの保護を図ることができなくなり、第三者からの危険にさらされることになりかねない。
【0004】
一方、病院や検査機関などにおいても病院の根幹を担う病院情報システム(HIS:Hospital Information System)が構築され、オーダリングシステムを軸として、電子カルテやレセプト・コンピュータが構成されている。また、病院によっては、病院情報システムは、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)や放射線科情報システム(RIS:Radiology Information System)と、連携するようにシステムが構築されている。
【0005】
ここで、例えば、患者の識別情報を基に、患者の主治医や患者を担当する担当科の情報を含むカルテ情報を記録するともに、複数の医師のスケジュールを記憶して、医師に対して、優先度をつけて診察要求を通知する医用情報管理装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−117969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、患者のカルテ情報や検査結果を示す画像データは、医用情報管理装置や医用画像管理システム(PACS)で管理され、医師や検査技師または医療従事者などにより、個人情報が記録されるようになっている。
【0008】
ここで、患者のカルテ情報や検査結果を示す画像データなどの個人情報については、例えば、患者の死亡や患者の引越しなどの理由によりその医用情報管理装置や医用画像管理システム(PACS)において使用されなくなった患者情報を適切に削除して欲しい、という要望が想定される。
【0009】
しかしながら現状では、医用情報管理装置や医用画像管理システム(PACS)をはじめ病院情報システム(HIS)から、個人情報である患者情報を適切に削除(消去)する手段がなかった。すなわち、医用情報管理装置や医用画像管理システム(PACS)または病院情報システム(HIS)から患者情報を個別に削除する方法は考えられるが、削除(消去)したい患者情報を一括して確実に削除(消去)する手段は存在しなかった。
【0010】
そのため、医用情報管理装置や医用画像管理システム(PACS)または病院情報システム(HIS)から、患者情報が適切に削除(消去)されたことを示す証明手段がなく、患者や患者の家族に対して、その患者の患者情報を適切に削除(消去)して欲しいという要望に応えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係る医用情報処理装置は、複数の患者に関する複数の患者情報が記憶されている外部装置である複数の記憶部に対し、消去依頼された所要の患者に関する所要の患者情報の検索をそれぞれ行う検索部と、前記検索の結果に基づいて、前記所要の患者情報が前記複数の記憶部のいずれか記憶されていると判断される場合前記複数の記憶部のうち前記所要の患者情報が記憶された記憶部から前記所要の患者情報を消去すると共に当該記憶部から前記所要の患者情報が消去されたことを示す未承認の消去の情報を登録する登録部と、前記所要の患者情報が記憶されていた全ての記憶部に対応する全ての未承認の消去の情報が登録され、かつ、前記全ての未承認の消去の情報に対して承認がなされることで、前記全ての記憶部からの前記所要の患者情報の消去が承認されたことを示す承認済の消去の情報を生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る消去証明書発行装置と、その消去証明書発行装置を用いた消去証明書発行システムの概略の構成の一例を示した概略構成図。
図2】消去証明書発行システムの全体の概略動作を示したシーケンス図。
図3】本実施形態に係る消去証明書発行装置の機能を示す機能ブロック図。
図4】本実施形態に係る消去証明書発行装置の構成を示すハードウエアブロック図。
図5】本実施形態に係る消去証明書発行システムにおいて、消去証明書発行装置が消去証明書の発行を行う消去証明書発行処理を示したフローチャート。
図6】本実施形態に係る消去情報出力部が、患者についての患者情報が消去されたことを証明する消去証明書を出力した場合の一例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る消去証明書発行装置(医用情報処理装置)100について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る消去証明書発行装置100を用いた消去証明書発行システム800の概略の構成の一例を示した概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、消去証明書発行システム800は、消去証明書発行装置(医用情報処理装置)100、モダリティ200、画像サーバ300、ワークステーション400、読影装置500、予約装置600、ネットワーク700などを備えて構成されている。
【0016】
消去証明書発行装置100は、患者や患者の家族から患者情報の消去の要求を受け付けて、その患者の患者情報、例えば、ネットワーク700を介して接続されているモダリティ200の撮像データや画像サーバ300に格納されている画像データなどを、消去するようになっている。
【0017】
ここで、ネットワーク700を介して消去証明書発行システム800に接続された消去証明書発行装置100以外の装置、具体的には、モダリティ200、画像サーバ300、ワークステーション400、読影装置500、予約装置600などを外部接続装置ということにする。
【0018】
すなわち、本実施形態では、患者を担当する医師や検査技師または医療従事者の操作により、消去証明書発行装置100は、ネットワーク700を介して、外部接続装置の記憶部に格納されている患者情報を消去するようになっている。消去証明書発行装置100は、患者情報を消去すると、まずはその患者情報の消去を仮消去として扱い、その後、例えば、異なる医師や異なる検査技師などによって仮消去されたことが承認されると、正式にその患者情報が消去されたと判断する。
【0019】
なお、本実施形態に係る消去証明書発行装置100は、消去証明書発行システム800に接続された外部接続装置の記憶部に記憶された患者情報を消去して消去の証明を行うものであり、原則として、消去証明書発行装置100に消去に関する情報以外の患者情報を有していないものとする。ここで、例えば、消去証明書発行装置100に予約装置600の機能を付加した場合には、消去証明書発行装置100は、外部接続装置である予約装置600の記憶部を有することになり、この場合は、予約装置600の記憶部に記憶された患者情報に該当する患者情報を消去することができるものとする。なお、消去証明書発行装置100の詳細については後述する。
【0020】
また、患者情報とは、その患者の氏名、性別、年齢(生年月日)を含む情報であって、さらに他の情報、例えば、検査日、検査部位または検査場所など患者の検査に関する情報や画像データなどを含むものとする。
【0021】
モダリティ200は、被検体を撮像するための装置(撮像装置)を分類するときに使用される医用システム名である。例えば、モダリティ200として、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置(磁気共鳴診断装置)、超音波診断装置、核医学診断装置などがある。なお、X線CT装置は、放射線などを利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理する撮影装置である。MRI装置は、磁場と電波を用いて被検体の体内などの画像を撮影する装置である。超音波診断装置は、超音波を被検体に当てて、その反響を映像化する画像診断装置である。核医学診断装置は、被検体に投入された特定の病巣に集積する試薬を、放射性同位体(ラジオアイソトープ:radioisotope)で標識し、その試薬から放射されるγ線をシンチレーションカメラなどの検出器により検出して病巣を含む人体の断層像を抽出する画像診断装置である。本実施形態では、いずれの装置でもモダリティ200として適用することができる。
【0022】
画像サーバ300は、医療用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)を構成する画像管理サーバであり、モダリティ200によって被検体(患者)を撮影することにより得られた画像データを、保管、閲覧、管理するサーバである。
【0023】
ワークステーション400は、モダリティ200によって被検体を撮影することにより得られた画像データや画像サーバ300に格納されている画像データに対して、コンピュータ処理を施すことによって3次元表示の映像化を図ったり、定量解析を行う装置である。
【0024】
読影装置500は、モダリティ200によって被検体を撮影することにより得られた画像データや画像サーバ300に格納されている画像データに対して、読影医師が読影して所見を作成したり、作成された所見によりレポートの作成を行う装置である。
【0025】
予約装置600は、モダリティ200を用いて被検体(患者)を撮影するための検査予約を入力したり、検査予約の日程や内容の変更を入力する装置である。
【0026】
ネットワーク700は、消去証明書発行システム800に接続されている各端末や装置を、相互に接続するためのネットワークである。
【0027】
(全体の概略動作)
図2は、消去証明書発行システム800の全体の概略動作を示したシーケンス図である。図2において、Sに数字を付した符号は、シーケンス図の各ステップを示している。
【0028】
消去証明書発行装置100は、患者や患者の家族から患者情報の消去依頼を受け付けると、ネットワーク700を介して、消去証明書発行システム800に記憶されている患者情報を検索する。例えば、医師が消去証明書発行装置100に患者情報の消去依頼を入力すると、消去証明書発行装置100は、モダリティ200の記憶部に、その患者の撮像データが記憶されているか否か検索(患者情報検索)を行う(ステップS001)。
【0029】
また、消去証明書発行装置100は、医師から患者情報の消去依頼が入力されると、ネットワーク700を介して画像サーバ300の記憶部に、その患者の画像データが記憶されているか否か検索(患者情報検索)を行う(ステップS003)。
【0030】
また、消去証明書発行装置100は、医師から患者情報の消去依頼が入力されると、ネットワーク700を介してワークステーション400の記憶部に、コンピュータ処理がされたその患者の画像データが記憶されているか否か検索(患者情報検索)を行う(ステップS005)。
【0031】
また、消去証明書発行装置100は、医師から患者情報の消去依頼が入力されると、ネットワーク700を介して読影装置500の記憶部に、その患者の所見やレポートが記憶されているか否か検索(患者情報検索)を行う(ステップS007)。
【0032】
また、消去証明書発行装置100は、医師から患者情報の消去依頼が入力されると、ネットワーク700を介して、予約装置600の記憶部に、その患者の検査予約や検査内容が記憶されているか否か検索(患者情報検索)を行う(ステップS009)。
【0033】
モダリティ200は、モダリティ200の記憶部にその患者の撮像データを記憶していた場合には、その撮像データを消去するとともに、消去したことを示す仮消去通知を消去証明書発行装置100に送信する(ステップS011)。
【0034】
同様に、画像サーバ300は、画像サーバ300の記憶部にその患者の画像データを記憶していた場合には、その画像データを消去するとともに、消去したことを示す仮消去通知を消去証明書発行装置100に送信する(ステップS013)。
【0035】
同様に、ワークステーション400は、ワークステーション400の記憶部にその患者の画像データを記憶していた場合には、その画像データを消去するとともに、消去したことを示す仮消去通知を消去証明書発行装置100に送信する(ステップS015)。
【0036】
同様に、読影装置500は、読影装置500の記憶部にその患者の所見やレポートを記憶していた場合には、その画像データや所見を消去するとともに、消去したことを示す仮消去通知を消去証明書発行装置100に送信する(ステップS017)。
【0037】
同様に、予約装置600は、予約装置600の記憶部にその患者の検査予約や検査内容を記憶していた場合には、その検査予約や検査内容を消去するとともに、消去したことを示す仮消去通知を消去証明書発行装置100に送信する(ステップS019)。
【0038】
消去証明書発行装置100は、受信した各仮消去通知に基づいて、患者情報の消去登録処理を行うようになっている(ステップS021)。具体的には、消去証明書発行装置100は、モダリティ200、画像サーバ300、ワークステーション400、読影装置500および予約装置600から各仮消去通知を受信し、各仮消去通知に対して、各記憶部から消去されたことを示す承認を、消去依頼を行った医師とは異なる医師や検査技師から受け付ける。そして、消去証明書発行装置100は、各記憶部から正式に消去されたことを示す消去の情報を生成するようになっている。
【0039】
次に、本実施形態に係る消去証明書発行装置100の構成について、詳細に説明する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る消去証明書発行装置100の機能を示す機能ブロック図である。
【0041】
図3に示すように、消去証明書発行装置100は、消去依頼受付部110、患者情報検索部120、仮消去登録部130、消去承認受付部140、消去情報生成部150、消去情報出力部160、履歴情報データベース170、仮消去証明書データベース171、消去証明書データベース172などを備えて構成されている。
【0042】
消去依頼受付部110は、患者に関する患者情報の消去の依頼を受け付けるようになっている。具体的には、患者を担当する担当医師や医療従事者などにより、患者情報の消去の依頼を受け付けるようになっている。
【0043】
患者情報検索部120は、受け付けた消去の依頼に対応する患者情報が記憶されている外部接続装置の記憶部を検索(患者情報検索)するようになっている。具体的には、患者情報検索部120は、ネットワーク700を介して、モダリティ200、画像サーバ300、ワークステーション400、読影装置500、予約装置600などの各記憶部に、消去依頼に対応する患者情報が記憶されているか検索するようになっている。
【0044】
また、消去証明書発行装置100は、履歴情報データベース170を備えている。履歴情報データベース170は、患者情報が外部機器に出力されたとき、その患者情報がその外部機器に出力されたことを示す履歴情報を格納するようになっている。ここで、外部機器とは、DVD(Digital Versatile Disc)やUSB(Universal Serial Bus)などの記憶媒体のことである。例えば、ワークステーション400に格納されていた画像データをDVDに記憶させたり、読影装置500に記憶されていた所見やレポートをUSBに記憶させた場合、それらの履歴を所定のタイミングで取得して、履歴情報データベース170に履歴情報として格納するようになっている。
【0045】
患者情報検索部120は、受け付けた消去の依頼に対応する患者情報を履歴情報データベース170から検索し、その患者情報に対応する履歴が検索された場合は、その患者情報に関して、例えば、ワークステーション400に格納されていた画像データをDVDに記憶させた履歴情報を表示部に表示させたり、読影装置500に記憶されていた所見やレポートをUSBに記憶させた履歴情報を表示部に表示させることができる。なお、履歴情報データベース170は、記憶メモリを構成するものであればよく、ネットワーク700を介して、装置ごとの履歴情報を取得して、その装置ごとの履歴情報を格納することができればよい。また、履歴情報データベース170は、必須の構成要素ではなく、所望により消去証明書発行装置100に設けることができる。
【0046】
仮消去登録部130は、患者情報の検索結果に基づいて、受け付けた患者情報がいずれかの外部接続装置の記憶部に記憶されていたときには、その記憶部に記憶されている患者情報を消去して、その患者情報をその記憶部から仮消去したことを示す仮消去証明書(仮消去の情報)を登録するようになっている。
【0047】
具体的には、仮消去登録部130は、ネットワーク700を介して、外部接続装置から患者情報の検索結果を取得して、患者情報がいずれかの外部接続装置の記憶部に記憶されている場合に、その記憶部に記憶されている患者情報を消去させる消去プログラムをその装置に送信する。そして、その外部接続装置の記憶部において患者情報が消去されると、その外部接続装置から仮消去登録部130に仮消去通知が送信される。これにより、仮消去登録部130は、仮消去証明書(仮消去の情報)を仮消去証明書データベース171に登録するようになっている。
【0048】
また、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、患者情報検索部120が、受け付けた患者情報に該当する個人情報(例えば、撮像データ、画像データまたはレポートなど)を消去する消去プログラムを一斉に送信するようにしてもよい。この場合は、その消去プログラムが患者情報に該当する個人情報を消去すると、仮消去通知を示す応答が、消去証明書発行装置100に返信される。これにより、仮消去登録部130は、仮消去証明書を仮消去証明書データベース171に登録することができる。
【0049】
仮消去証明書データベース171は、仮消去通知に対応する仮消去証明書を格納するようになっている。
【0050】
消去承認受付部140は、登録された仮消去証明書に対して、その患者情報がその記憶部から消去されたことを示す承認を受け付けるようになっている。具体的には、消去承認受付部140は、患者情報の消去の依頼を行った医師とは異なる医師や複数の異なる医療従事者から、その記憶部から患者情報が消去されたことを確認したことを意味する承認を受け付けるようになっている。なお、この承認では、少なくとも患者情報の消去の依頼を行った医師とは異なる医師や、患者情報の消去の依頼を行った医療従事者とは異なる医療従事者のうち少なくとも一人が承認すればよく、承認として必要な数は限定されるものではない。したがって、消去承認受付部140は、複数の異なる承認を受け付けるように設定することもできる。
【0051】
消去情報生成部150は、承認を受け付けた仮消去証明書(仮消去の情報)に対して、その患者情報がその記憶部から正式に消去されたことを示す消去証明書(消去の情報)を生成するようになっている。具体的には、消去情報生成部150は、消去承認受付部140において、仮消去証明書データベース171に格納された仮消去証明書に対して所定の承認を受け付けた場合に、正式にその患者情報が消去されたことを示す消去証明書を生成する。そして、消去情報生成部150は、生成した消去証明書を消去証明書データベース172に格納するようになっている。
【0052】
消去情報出力部160は、生成された消去証明書(消去の情報)を表示可能に出力するようになっている。具体的には、消去依頼受付部110において患者情報の消去の依頼を受け付け、その患者情報に関連付けられた消去証明書が生成されると、消去情報出力部160は、生成されたその消去証明書を出力するようになっている。
【0053】
なお、消去情報出力部160は、消去証明書を消去証明書発行装置100の表示部に表示する形態であってもよく、また、証明書として紙媒体によって印刷(発行)してもよく、また、PDF(Portable Document Format)として電子データにより患者の家族に送信する形態であってもよい。また、消去情報出力部160は、消去証明書の内容を音声情報によって出力する形態であってもよい。
【0054】
消去証明書データベース172は、消去情報生成部150において生成された消去証明書(消去の情報)を格納するようになっている。
【0055】
次に、本実施形態に係る消去証明書発行装置100のハードウエアの構成について説明する。
【0056】
図4は、本実施形態に係る消去証明書発行装置100の構成を示すハードウエアブロック図である。
【0057】
図4に示すように、消去証明書発行装置100は、CPU(Central Processing Unit)181、ROM(Read Only Memory)182、RAM(Random Access Memory)183、ネットワークインターフェース部184、操作部185、表示部186、記憶部187、内部バス188などを備えて構成されている。
【0058】
CPU181は、ROM182に格納されている各種プログラムをRAM183にロードして、そのプログラムを展開することにより、各種プログラムの機能を実現することできるようになっている。RAM183は、ワークエリア(作業用メモリ)として利用されるようになっている。ROM182は、各種プログラムを格納するようになっている。ROM182に格納されている各種プログラムには、図3で示した消去証明書発行装置100の各機能を実現するためのプログラムが含まれる。
【0059】
ネットワークインターフェース部184は、ネットワーク700(図1)を介して、消去証明書発行装置100から、モダリティ200、画像サーバ300、またはワークステーション400などの外部接続装置の記憶部に患者情報の検索を行ったり、モダリティ200、画像サーバ300、またはワークステーション400などの外部接続装置から、仮消去通知を受信するためのインターフェース部である。
【0060】
操作部185は、消去証明書発行装置100の各データベースに格納されている仮消去証明者や消去証明書の表示操作を行ったり、プログラムの入力、編集、登録などを行う入力装置などにより構成されている。具体的には、操作部185は、キーボードやマウスなどにより構成されている。
【0061】
表示部186は、消去依頼を受け付けた患者情報を表示したり、承認を受け付ける患者情報または消去証明書などを表示する表示部として構成されている。この表示部186は、液晶ディスプレイやモニタなどにより構成されている。
【0062】
記憶部187は、記憶メモリを構成する記憶部であり、RAMやハードディスクなどによって構成されている。本実施形態では、記憶部187は、例えば、患者情報を外部に出力した履歴情報を格納する履歴情報データベース170や仮消去通知の患者情報を格納する仮消去証明書データベース171、または、消去証明書を格納する消去証明書データベース172を構成するようになっている。
【0063】
このように、本実施形態では、記憶部187は、履歴情報データベース170、仮消去証明書データベース171、および消去証明書データベース172を構成し、また、ROM182に格納されているプログラムを実行することにより、図3に示した消去証明書発行装置100の各機能を実現することができるようになっている。
【0064】
(消去証明書発行処理)
次に、本実施形態に係る消去証明書発行装置100の消去証明書発行処理の動作について説明する。
【0065】
図5は、本実施形態に係る消去証明書発行システム800において、消去証明書発行装置100が消去証明書の発行を行う消去証明書発行処理を示したフローチャートである。図5において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示している。なお、この消去証明書発行処理は、図2のステップS021で示した消去証明書発行装置100が行う消去登録処理を含んでいる。
【0066】
まず、ステップS101では、医師や医療従事者がキーボードやマウスなどの操作部185を介して患者情報の消去の依頼を行うことにより、消去依頼受付部110は、患者に関する患者情報の消去の依頼を受け付ける。
【0067】
ステップS103では、患者情報検索部120が、消去依頼受付部110で受け付けた消去の依頼に対応する患者情報が記憶されている外部接続装置の記憶部を検索する(患者情報検索)。具体的には、患者情報検索部120は、ネットワーク700を介して、モダリティ200、画像サーバ300、ワークステーション400、読影装置500、予約装置600などの外部接続装置の記憶部に、消去依頼に対応する患者情報が記憶されているか検索する。
【0068】
また、本実施形態に係る消去証明書発行装置100は、履歴情報データベース170を備えている。履歴情報データベース170は、患者情報が外部機器に出力されたとき、その患者情報がその外部機器に出力されたことを示す履歴情報を格納している。具体的には、ワークステーション400に格納されていた画像データをDVDに記憶させたり、読影装置500に記憶されていた所見をUSBに記憶させた場合に、それらの履歴を示す履歴情報を所定のタイミングで取得して履歴情報データベース170に格納している。
【0069】
これにより、患者情報検索部120は、受け付けた消去の依頼に対応する患者情報を履歴情報データベース170から検索し、その患者情報に対応する履歴が検索された場合は、対応するその履歴情報を消去情報出力部160により表示させることができる。
【0070】
ステップS105では、仮消去登録部130が、患者情報の検索結果に基づいて、受け付けた患者情報がいずれかの外部接続装置の記憶部に記憶されていたときには、その記憶部に記憶されている患者情報を消去して、その患者情報をその記憶部から仮消去したことを示す仮消去証明書を登録する。
【0071】
例えば、仮消去登録部130は、ネットワーク700を介して外部接続装置から患者情報の検索結果を取得して、患者情報がいずれかの外部接続装置の記憶部に記憶されている場合に、その記憶部に記憶されている患者情報を消去させる消去プログラムをその装置に送信する。そして、その外部接続装置の記憶部において患者情報が消去されると、その外部接続装置から仮消去登録部130に仮消去通知が送信され、仮消去登録部130は、その外部接続装置から仮消去通知を受信する。これにより、仮消去登録部130は、仮消去証明書(仮消去の情報)を仮消去証明書データベース171に登録する。
【0072】
また、前述したように、患者情報検索部120が患者情報に該当する個人情報を消去する消去プログラムを一斉に送信して、その消去プログラムが患者情報に該当する個人情報を消去すると、仮消去通知を示す応答を消去証明書発行装置100に返信するようにしてもよい。これにより、仮消去登録部130は、仮消去証明書(仮消去の情報)を登録することができる。
【0073】
ステップS107では、消去承認受付部140が、登録された仮消去証明書に対して、その患者情報がその記憶部から消去されたことを示す承認を受け付ける。具体的には、消去承認受付部140は、患者情報の消去の依頼を行った医師とは異なる医師や、患者情報の消去の依頼を行った医療従事者とは異なる医療従事者から、患者情報がその外部接続装置の記憶部から消去されたことを確認したことを意味する承認を受け付ける。
【0074】
例えば、消去承認受付部140は、仮消去証明書データベース171に格納されている仮消去証明書を表示部186に表示させ、モダリティ200や画像サーバ300の記憶部に記憶されていた患者情報(撮像データや画像データなど)が、ネットワーク700を介して消去されたことを確認させることができる。なお、本実施形態に係る消去承認受付部140では、仮消去証明書に対して承認を受け付けることができるようになっているが、仮消去証明書を表示部186に表示させる形態に限定されるものではない。具体的には、消去承認受付部140は、承認を行う承認者に対して、ネットワーク700を介してその外部接続装置の記憶部からすでに患者情報(撮像データや画像データなど)が消去されている状態を、直接確認させるようにしてもよい。
【0075】
なお、この承認では、少なくとも患者情報の消去の依頼を行った医師とは異なる医師や、患者情報の消去の依頼を行った医療従事者とは異なる医療従事者のうち少なくとも一人が承認すればよく、承認として必要な数は限定されるものではない。したがって、消去承認受付部140は、1つの仮消去証明書に対し、複数の異なる承認を受け付けるように別途設定することもできる。
【0076】
ステップS109では、消去情報生成部150が、承認を受け付けた仮消去証明書(仮消去の情報)に対して、その患者情報がその記憶部から正式に消去されたことを示す消去証明書(消去の情報)を生成する。具体的には、消去情報生成部150は、消去承認受付部140において、仮消去証明書に対して所定の承認を受け付けた場合に、正式にその患者情報が消去されたことを示す消去証明書を生成する。そして、消去情報生成部150は、生成した消去証明書を消去証明書データベース172に格納する。
【0077】
ステップS111では、消去情報出力部160が、生成された消去証明書を表示可能に出力する。具体的には、消去情報生成部150は、消去依頼受付部110において患者情報の消去の依頼を受け付け、その患者情報に関連付けられた消去証明書が生成されると、その消去証明書を消去情報出力部160に出力させる。
【0078】
例えば、消去証明書発行装置100は、消去情報出力部160に消去証明書を表示させてその消去証明書を印刷(発行)したり、文書ファイルとして患者の家族に消去証明書を送信することにより、消去証明書発行システム800において患者情報が消去されたことを示す消去証明書を、患者の家族などに送付することができる。
【0079】
図6は、本実施形態に係る消去情報出力部160が、患者Aについての患者情報が消去されたことを証明する消去証明書を出力した場合の一例を説明する説明図である。
【0080】
図6に示すように、消去情報出力部160は、消去証明書発行装置100の表示部186に消去証明書を表示させることができる。この場合、この消去証明書には、患者名として、Aが記載されており、また、消去日には、平成24年10月10日が記載されている。また、患者Aを担当した医師として、担当者の項目には医師Bの名前が記載されている。
【0081】
また、患者Aの患者情報が消去されたことを承認した承認者として、検査技師Cの名前が記載されている。また、その承認の状況として、消去完了の旨が記載されている。
【0082】
ここで、消去証明書の最下欄には備考の欄が設けられている。この備考の欄には、付記的事項(参考情報)として、消去に関する情報を記載することができる。例えば、患者情報検索部120が、履歴情報データベース170に格納された履歴情報を検索し、ワークステーション400や読影装置500に記憶されていた画像データがDVDやUSBなどに格納(出力)された履歴が記録されていれば、その内容を記載するようになっている。なお、この備考の欄に記載された履歴は、消去証明書の記載として必須の要素ではなく、患者情報検索部120が、消去情報出力部160を介して、履歴情報として独立して出力(表示)させることもできる。
【0083】
また、消去情報出力部160は、消去証明書を消去証明書発行装置100の表示部186に表示する形態に限定されるものではなく、例えば、消去証明書の内容を音声情報によって出力する形態であってもよい。
【0084】
この場合、例えば、消去情報生成部150が正式に消去されたことを示す消去の情報を音声情報にて生成することにより、消去情報出力部160が「患者A様の患者情報は正式に消去されました。」と音声にて出力することができる。
【0085】
これにより、承認を行った医師や医療従事者は、聴覚的に正式に消去された事実を確認することができる。また、患者情報の消去依頼について患者の家族が立ち会った場合には、消去の情報を音声情報にて生成することにより患者の家族や承認者を含めて一斉同時に証明を行うことができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る消去証明書発行システム800では、消去証明書発行装置100は、モダリティ200や画像サーバ300などの外部接続装置の記憶部に記憶されている患者情報を検索し、それらの外部接続装置の記憶部に患者情報が記憶されている場合には、その患者情報を消去させる。消去証明書発行装置100は、患者情報を消去したことを示す仮消去通知を受信すると、仮消去登録を行い、患者情報の消去依頼を行った医師とは異なる者(医師や医療従事者)の承認を受け付ける。消去証明書発行装置100は、所定の承認を受け付けると、その患者情報が正式に消去されたことを示す消去の情報を生成して、消去証明書などを出力する。
【0087】
これにより、本実施形態に係る消去証明書発行装置100は、ネットワーク700を介して、消去証明書発行システム800に接続された外部接続装置の記憶部に記憶された患者情報を消去することができるので、患者や患者の家族などに対して、患者の患者情報を適切に消去したことを示す消去証明書などを出力することができる。
【0088】
このように、消去証明書発行装置100によれば、従来から期待されていた患者情報を適切に消去して欲しいという要望に応えるとともに、患者情報を適切に消去したことを示す消去証明書などを出力することができる。
【0089】
なお、本実施形態に係る消去証明書発行装置100は、消去依頼受付部110において患者情報の消去依頼を受け付けると患者情報を消去するようになっていたが、これに限定されるものではない。具体的には、同一の患者に関する患者情報の消去依頼について2回目の消去依頼を受け付けた場合であって、その患者情報が消去証明書データベース172に登録されている場合には、その患者情報はもうすでに正式に消去されているものとして、その患者情報に関する消去証明書を出力するようにしてもよい。
【0090】
また、同一の患者に関する患者情報の消去依頼について2回目の消去依頼を受け付けた場合でも、ステップS101からステップS111に示した処理を再度実行するようにしてもよい。この場合、例えば、ある画像サーバ300において、画像データがリストアされた場合などにより予期せぬ患者情報が復元される場合も想定されるので、同一の患者に関する消去依頼があった場合には、消去証明書発行装置100は、その都度、消去証明書発行処理を、ステップS101から実行するようにしてもよい。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0092】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0093】
100 消去証明書発行装置
110 消去依頼受付部
120 患者情報検索部
130 仮消去登録部
140 消去承認受付部
150 消去情報生成部
160 消去情報出力部
170 履歴情報データベース
171 仮消去証明書データベース
172 消去証明書データベース
181 CPU
182 ROM
183 RAM
184 ネットワークインターフェース部
185 操作部
186 表示部
187 記憶部
188 内部バス
200 モダリティ
300 画像サーバ
400 ワークステーション
500 読影装置
600 予約装置
700 ネットワーク
800 消去証明書発行システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6