(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
施設内部および所定エリアのいずれかに設置されている複数で一群の自動販売機(以下、「自動販売機群」という)と通信可能なサーバーを備える自動販売機管理システムであって、
前記サーバーは、
前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機に対して、情報送信を要求する要求信号を送信する要求手段と、
前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機が前記要求信号に基づいて返信する、返信情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した返信情報に基づいて、前記自動販売機群の少なくとも一部の自動販売機の売り上げ情報を把握する把握手段と、
前記売り上げ情報に基づいて、前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機、一部の自動販売機もしくは全部の自動販売機の売り上げの少なくとも一つを経理処理する経理手段と、を有し、
前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機は、金券に加えて、電子媒体によって商品購入時の決済を可能であり、
前記要求手段は、前記自動販売機群の一部の自動販売機に対して、前記要求信号を送信して、前記経理手段で経理処理された売り上げが所定値以上である場合に、前記要求手段は、前記自動販売機群に含まれるそれぞれの自動販売機に対して、前記要求信号を送信する、自動販売機管理システム。
前記電子媒体は、ICカード、IDカード、RF−ID、指紋認証カードおよび生体認証カードの少なくとも一つ、もしくは、これらの少なくとも一つの機能を含む社員証である、請求項1記載の自動販売機管理システム。
前記自動販売機は、前記電子媒体によって決済する場合には、前記決済情報が、前記サーバーに送信され、前記電子媒体の所有者と対応する決済口座において、費用処理がなされる、請求項1又は2記載の自動販売機管理システム。
前記サーバーと前記自動販売機群は、前記施設内部および前記所定エリアにおける前記サーバーと通信可能な複数の自動販売機の群である、請求項1から3のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記サーバーと前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機は、無線および有線の少なくとも一方で通信可能に接続され、前記無線および有線の少なくとも一部は、公衆回線もしくは他の専用回線を経由可能である、請求項1から4のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記要求手段は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、前記自動販売機群の少なくとも一部の自動販売機に対して、前記要求信号を送信する、請求項1から5のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記任意時刻および前記所定条件は、前記サーバーの管理者が、前記自動販売機群のそれぞれの自動販売機の経理処理を行う必要性に応じて、任意に定められる、請求項6記載の自動販売機管理システム。
前記要求手段が、前記一定期間サイクルもしくは前記特定時刻に要求信号を送信する場合に、前記自動販売機群の内、当該要求信号が送信された時刻の前の所定時間以内に、前記経理手段での経理処理が行われている自動販売機に対しては、前記要求信号を送信しない、請求項6記載の自動販売機管理システム。
前記経理手段は、前記自動販売機群に含まれるそれぞれの自動販売機の、時間と売り上げとの時間売り上げ動向、商品と売り上げの商品売り上げ動向、購入者と売り上げ商品の購入者動向および自動販売機の設置場所と売り上げの設置場所売り上げ動向の、少なくとも一つを、関係式、グラフおよび図示の少なくとも一つの手段で、算出する、請求項1から11のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記経理手段は、前記自動販売機群全体の、時間と売り上げとの時間売り上げ動向、商品と売り上げの商品売り上げ動向、購入者と売り上げ商品の購入者動向および自動販売機の設置場所と売り上げの設置場所売り上げ動向の、少なくとも一つの販売動向を、関係式、グラフおよび図示の少なくとも一つの手段で、算出する、請求項1から11のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記受信手段が受信する前記返信情報は、前記自動販売機の決済に用いられる社員証が、決済可能であるか決済不能であるかの情報を含んでおり、前記受信手段は、当該決済可能であるか決済不能であるかの情報を、前記要求手段からの要求信号に基づいて返信される前記返信情報に基づいて、リアルタイムに把握することが可能である、請求項1から14のいずれか記載の自動販売機管理システム。
前記把握手段および前記経理手段の少なくとも一方は、前記社員証が決済不能である場合には、前記自動販売機に決済不可の情報を送信して、当該自動販売機での購入を不可とする、請求項15記載の自動販売機管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の発明に係る自動販売機管理システムは、施設内部および所定エリアのいずれかに設置されている複数で一群の自動販売機(以下、「自動販売機群」という)と通信可能なサーバーを備える自動販売機管理システムであって、サーバーは、自動販売機群のそれぞれの自動販売機に対して、情報送信を要求する要求信号を送信する要求手段と、自動販売機群のそれぞれの自動販売機が要求信号に基づいて返信する、返信情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した返信情報に基づいて、自動販売機群の少なくとも一部の自動販売機の売り上げ情報を把握する把握手段と、売り上げ情報に基づいて、自動販売機群のそれぞれの自動販売機、一部の自動販売機もしくは全部の自動販売機の売り上げの少なくとも一つを経理処理する経理手段と、を有し、自動販売機群のそれぞれの自動販売機は、金券に加えて、電子媒体によって商品購入時の決済を可能である。
【0034】
この構成により、自動販売機管理システムは、サーバーが主体的に自動販売機群に対して要求信号を送信して、種々の情報を得ることができる。
【0035】
本発明の第2の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1の発明に加えて、電子媒体は、ICカード、IDカード、RF−ID、指紋認証カードおよび生体認証カードの少なくとも一つ、もしくは、これらの少なくとも一つの機能を含む社員証である。
【0036】
この構成により、自動販売機管理システムは、会社、オフィスビル、工場、事業場、公共施設などの施設内部に設置される自動販売機群においては、規定された社員証などで決済可能となり、自動販売機管理システムは、購入者を特定した上での種々の情報を収集できる。
【0037】
本発明の第3の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1又は第2の発明に加えて、自動販売機は、電子媒体によって決済する場合には、決済情報が、サーバーに送信され、電子媒体の所有者と対応する決済口座において、費用処理がなされる。
【0038】
この構成により、購入者を決定した上で決済処理がなされ、売り上げと購入者との対応付けがなされる。
【0039】
本発明の第4の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、サーバーと自動販売機群は、施設内部および所定エリアにおけるサーバーと通信可能な複数の自動販売機の群である。
【0040】
この構成により、自動販売機管理システムは、ある数の自動販売機であって、一つの群として把握できる自動販売機群をまとめて管理できる。
【0041】
本発明の第5の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、サーバーと自動販売機群のそれぞれの自動販売機は、無線および有線の少なくとも一方で通信可能に接続され、無線および有線の少なくとも一部は、公衆回線もしくは他の専用回線を経由可能である。
【0042】
この構成により、自動販売機管理システムは、インターネット回線や電話回線などを用いて、自動販売機と通信可能である。
【0043】
本発明の第6の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第5のいずれかの発明に加えて、要求手段は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群の少なくとも一部の自動販売機に対して、要求信号を送信する。
【0044】
この構成により、サーバーが主体的かつ発意に基づいて、自動販売機群に情報を要求できる。この結果、リアルタイム性やバリエーションが高まり、情報収集を必要とするタイミングで、即座に情報収集が行われる。
【0045】
本発明の第7の発明に係る自動販売機管理システムでは、第6の発明に加えて、任意時刻および所定条件は、サーバーの管理者が、自動販売機群のそれぞれの自動販売機の経理処理を行う必要性に応じて、任意に定められる。
【0046】
この構成により、情報収集や経理処理が必要なタイミングに合わせて、自動販売機群からの情報を得ることができる。
【0047】
本発明の第8の発明に係る自動販売機管理システムでは、第6の発明に加えて、要求手段が、一定期間サイクルもしくは特定時刻に要求信号を送信する場合に、自動販売機群の内、当該要求信号が送信された時刻の前の所定時間以内に、経理手段での経理処理が行われている自動販売機に対しては、要求信号を送信しない。
【0048】
この構成により、経理手段は、経理処理における上書きや、自動販売機ごとにおける経理処理の不整合を防止できる。
【0049】
本発明の第9の発明に係る自動販売機管理システムでは、第6から第8のいずれかの発明に加えて、一定サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件のそれぞれは、サーバーの管理者によって、予め定められてサーバーに記憶されていても良いし、サーバーの管理者が、その都度主体的に設定しても良い。
【0050】
この構成により、サーバーの主体性に基づいて、自動販売機群の経理処理を行える。このため、リアルタイムに必要なタイミングに合わせて、自動販売機群の経理処理を行える。
【0051】
本発明の第10の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第9のいずれかの発明に加えて、要求手段は、自動販売機群の一部の自動販売機に対して、要求信号を送信して、経理手段で経理処理された売り上げが所定値以上である場合に、要求手段は、自動販売機群に含まれるそれぞれの自動販売機に対して、要求信号を送信する。
【0052】
この構成により、自動販売機管理システムは、テスト的な経理処理に続いて、本格的な経理処理を段階的に行える。結果として、適切な処理が行われる。
【0053】
本発明の第11の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第10のいずれかの発明に加えて、受信手段は、要求信号の送信に対してリアルタイムに返信情報を受信する。
【0054】
この構成により、経理処理のリアルタイム性が高まる。
【0055】
本発明の第12の発明に係る自動販売機管理システムでは、第11の発明に加えて、把握手段は、返信情報の受信後の所定時間内に、返信情報から個々の自動販売機の売り上げを抽出して、抽出結果を経理手段に出力し、経理手段は、把握手段での抽出結果に基づいて、返信情報の受信後の所定時間内に、売り上げから、自動販売機群の個別の自動販売機、一部の自動販売機もしくは全部の自動販売機の、売り上げ金額、売り上げ商品、時間帯別売り上げ金額、時間帯別売り上げ商品および購入者特定情報を、経理処理する。
【0056】
この構成により、自動販売機管理システムは、自動販売機群の様々な組み分けでの売り上げ等を経理処理できる。
【0057】
本発明の第13の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第12のいずれかの発明に加えて、経理手段は、自動販売機群に含まれるそれぞれの自動販売機の、時間と売り上げとの時間売り上げ動向、商品と売り上げの商品売り上げ動向、購入者と売り上げ商品の購入者動向および自動販売機の設置場所と売り上げの設置場所売り上げ動向の、少なくとも一つを、関係式、グラフおよび図示の少なくとも一つの手段で、算出する。
【0058】
この構成により、自動販売機管理システムは、管理者に売り上げ動向を、様々な視点で可視化できるように提示することができる。
【0059】
本発明の第14の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第12のいずれかの発明に加えて、経理手段は、自動販売機群全体の、時間と売り上げとの時間売り上げ動向、商品と売り上げの商品売り上げ動向、購入者と売り上げ商品の購入者動向および自動販売機の設置場所と売り上げの設置場所売り上げ動向の、少なくとも一つの販売動向を、関係式、グラフおよび図示の少なくとも一つの手段で、算出する。
【0060】
この構成により、自動販売機管理システムは、管理者に売り上げ動向を、様々な視点で可視化できるように提示することができる。
【0061】
本発明の第15の発明に係る自動販売機管理システムでは、第14又の発明に加えて、自動販売機が、社員証によって決済される場合には、経理手段は、社員証に対応する社員の商品嗜好を分析する。
【0062】
この構成により、社員個々に応じた嗜好を分析することで、自動販売機管理システムは、商品分析の精度を高める。
【0063】
本発明の第16の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第15のいずれかの発明に加えて、受信手段が受信する返信情報は、自動販売機の決済に用いられる社員証が、決済可能であるか決済不能であるかの情報を含んでおり、受信手段は、当該決済可能であるか決済不能であるかの情報を、要求手段からの要求信号に基づいて返信される返信情報に基づいて、リアルタイムに把握することが可能である。
【0064】
この構成により、社員証の決済の可否を、自動販売機管理システムは、即座に登録できる。
【0065】
本発明の第17の発明に係る自動販売機管理システムでは、第16の発明に加えて、把握手段および経理手段の少なくとも一方は、社員証が決済不能である場合には、自動販売機に決済不可の情報を送信して、当該自動販売機での購入を不可とする。
【0066】
この構成により、自動販売機管理システムは、社員証の決済可否に合わせて、購入決済の可否を制御できる。
【0069】
(参考技術の説明)
まず、従来技術で説明した問題1〜4を有する従来の自動販売機管理システムを、参考技術として説明する。
【0070】
図1は、参考技術として説明する従来技術の問題点を有する自動販売機管理システムのブロック図である。
図1は、ある施設内部や所定エリアにおいて複数の自動販売機が設置されており、これら複数の自動販売機を、一つの自動販売機群101として一つのサーバー120が管理している自動販売機管理システム100を示している。自動販売機管理システム100は、上述のように、工場、事業場、会社、オフィスビル、公共施設、病院などの複数の自動販売機110を設置する施設内部であったり、市中の所定のエリアである(例えば、まるまる町)所定エリアであったりする場所において機能する。
【0071】
自動販売機群101は、
図1では、図示の都合上および分かりやすさの都合上で、3台の自動販売機110A、110B、110Cを有している。
図1は、模式的な図であるので、3台の自動販売機110A〜110Cが並列に並んでいるように表されている。しかし、例えば3台の自動販売機110A〜110Cが、施設内部に設置されている場合には、1階と2階と3階のそれぞれに1台ずつ設置されている状態でもよい。あるいは、3台の自動販売機110A〜110Cが、所定エリアに設置されている場合には、○番地に自動販売機110Aが設置され、○○番地に自動販売機110Bが設置され、○○○番地に自動販売機110Cが設置されている状態でも良い。
【0072】
サーバー120は、通信網130で、これら3台の自動販売機110A〜110Cと通信可能に接続されている。通信網130は、有線であっても無線であってもよいし、有線と無線とが混在していても良い。また、通信網130の一部もしくは全部は公衆回線を含んでいても良いし、一部もしくは全部が専用回線を含んでいても良い。これは、後述する実施の形態1における自動販売機管理システムでの通信網でも同様である。
【0073】
サーバー120と自動販売機群101に含まれる個々の自動販売機110A〜110Cのそれぞれとは、通信網130を介して通信可能である。ここで、参考技術に示される自動販売機管理システム100では、1日に1回、特に1日の終了時刻に(24時制で自動販売機管理システムが、自動販売機110A〜110Cの売り上げなどを管理する場合には、24時に)、タイマー等が働いて、自動販売機110A〜110Cのそれぞれが、個々の売り上げなどを含む送信情報を送信していた。つまり、売り上げ等の情報を含む送信情報を、サーバー120ではなく、自動販売機110A〜110Cが主体的にサーバー120に送信していた。
【0074】
このため、自動販売機管理システム100の管理者にとっては(管理者は、サーバー120を直接的に管理する体制にある)、主体的に自動販売機110A〜110Cの売り上げ情報を収集することができない問題を有している。これは、サーバー120にとっても同様の問題が存在することになる。
【0075】
また、1日の終了時刻に、自動販売機110A〜110Cが送信情報をサーバー120に送信することで、サーバー120およびこれを管理する管理者は、翌日にならないと、売り上げ情報などの情報を得ることができない。もちろん、自動販売機110A〜110Cが備えるタイマーなどで決まった時刻にしか、送信情報が送信されないことで、サーバー120および管理者は、必要な時に、売り上げ情報などの情報を得ることができない。
【0076】
現在では、自動販売機における売り上げ状態(商品ごとであったり、時間帯であったりなど)を、きめ細かく把握することが求められる。自動販売機110A〜110Cが多様化し、自動販売機110が提供できる商品の種類(飲料の種類でもあるし、飲料以外に食物や日用品などの商品も提供できる)が多様化している現在では、商品の入れ替えや商品企画などへの活用情報として、自動販売機110での売り上げを必要に応じて即座に把握することが求められる。また、経理管理の観点からも、売り上げを当日の内に把握したい傾向もある。
【0077】
また、特定の施設内部の自動販売機群101が有する自動販売機110A〜110Cは、ICカードやIDカードなどの電子媒体やこれら電子媒体を含む社員証(職員証なども含む概念である)で、商品購入時の決済を行うことがある。このような決済では、社員証と対応する社員の有する特定口座や、社員の給与口座から購入した商品の金額が決済されることがある。ここで、当該社員証が、決済可能である場合と決済不能である場合とがある。例えば、当該社員証を有する社員の特定口座や給与口座の残高が不十分な場合や、当該社員証を有する社員が、退職や休職中などの場合には、決済不能と考えられる。
【0078】
このような決済可能であるか決済不能であるかの情報も、翌日にならないと分からないことは、サーバー120や管理者にとって好ましいことではない。このように、参考技術として
図1で説明した自動販売機管理システム100は、自由に種々の情報を入手できない問題を有しており、情報入手が遅れる問題もあった。これらの情報入手が遅れたりリアルタイムではなかったりすることで、自動販売機110A〜110Cへの商品補充や、社員の口座での経理処理などのやり直しなどの、現場対応作業が増加する問題が生じる。
【0079】
このように、参考技術として説明する現状使用されている自動販売機管理システムの一態様は、様々な問題と不便を有していた。
【0080】
(全体概要)
上述の参考技術と対比させるようにして、本発明の実施の形態1における自動販売機管理システムの全体概要を説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における自動販売機管理システムの模式図である。
【0081】
図1のように、工場や会社などの様々な施設内部や、市中の所定エリアに、自動販売機管理システム1は、構築されている。自動販売機管理システム1は、これら施設内部や所定エリアに設置される複数の自動販売機10を含む自動販売機群2を有している。また、自動販売機群2の有する複数の自動販売機2のそれぞれと通信可能なサーバー20を、自動販売機管理システム1は、有している。
【0082】
ここで、
図2では、図示の都合上、自動販売機群2は、3台の自動販売機10A、10B、10Cを有している。参考技術で説明したのと同様に、3台の自動販売機10A、10B、10Cは、施設内部の各階に設置されていたり、所定エリアの各所に設置されていたりしていてもよい。もちろん、4台以上の複数の自動販売機10を、自動販売機群2が備えていても良い。
【0083】
サーバー20は、この自動販売機群2を管理する。自動販売機群2の定義は、このサーバー20によって管理される対象となる複数の自動販売機の群であって、サーバー20の設置後に、自動販売機群2が含む自動販売機10の増減があってもよい。また、サーバー20は、自動販売機群2を管理する要素であり、コンピューター機器や電子装置の概念で単体のものである必要はなく、複数のコンピューター機器や電子装置が組み合わされて、一つのサーバー20の要素が構成される概念も含む。もちろん、単体のコンピューター機器が、サーバー20を構成しても良い。
【0084】
自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10A,10B、10Cのそれぞれは、サーバー20と、通信網30によって、通信可能に接続されている。この通信網30は、有線、無線のいずれであっても良いし、有線および無線の混在であっても良い。また、通信網30の一部もしくは全部が公衆回線(電話回線、インターネット回線など)で構成されても良いし、通信網30の一部若しくは全部が、専用回線(PBX回線や社内イントラネット回線など)で構成されても良い。
【0085】
自動販売機管理システム1は、この通信網30で自動販売機群2と通信可能なサーバー20をその要素とする。このサーバー20が、種々の要素を用いた処理を行うことで、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10A、10B,10Cの売り上げ等の各種情報を得て、自動販売機群2の売り上げ等の分析や、必要な予測を行うことができる。
【0086】
図3は、本発明の実施の形態1におけるサーバーの内部ブロック図である。サーバー20は、要求手段21、受信手段22、把握手段23、経理手段24および制御部25を備える。それぞれは、サーバー20のハードウェアの要素によって実現されても良いし、ソフトウェアの要素によって実現されても良いし、ハードウェアとソフトウェアとの混在要素によって実現されても良い。例えば、サーバー20が、コンピューター機器で構成される場合には、要求手段21、受信手段22、把握手段23、経理手段24および制御部25の少なくとも一部は、コンピューター機器が備えるプロセッサが動作させるコンピュータープログラムに従って動作すればよい。
【0087】
要求手段21は、自動販売機群2の有する自動販売機10A、10B、10Cのそれぞれに対して、情報送信を要求する要求信号を送信する。すなわち、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、サーバー20(あるいはサーバー20の管理者)が、主体的に、自動販売機10からの情報を収集する。
【0088】
受信手段22は、要求手段21からの要求信号を受けると、この要求信号に基づいて、自動販売機10A、10B、10Cのそれぞれが返信する、種々の情報を含んだ返信情報を受信する。つまり、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、サーバー20の主体的な要求信号に対して、従として自動販売機10が、自らの持つ種々の情報を返信情報として、サーバー20に返信する。このため、サーバー20および管理者が、必要に応じたタイミングや条件に基づいて、自動販売機群2の含む複数の自動販売機10からの情報を得ることができる。
【0089】
また、把握手段23は、受信した返信情報に基づいて、返信情報に含まれる自動販売機群2の含む複数の自動販売機10A、10B、10Cの少なくとも一部の自動販売機10の売り上げ情報を、把握する。返信情報は、種々の情報を含んでいることが多いが、把握手段23は、この返信情報が含んでいる種々の情報から売り上げ情報を抽出して、自動販売機10A、自動販売機10Bもしくは自動販売機10Cのいずれかもしくはそれぞれの売り上げ情報を把握する。その後、把握手段23は、把握した売り上げ情報を、経理手段24に出力する。
【0090】
経理手段24は、把握手段23から出力された売り上げ情報に基づいて、自動販売機群2の含む自動販売機10A、10B、10Cのそれぞれ、もしくは一部、もしくは全体の売り上げを経理処理する。経理処理とは、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10A、10B、10Cの個別、複数、全体のいずれかのパターンに基づいて、自動販売機群2の売り上げ状態を把握したり、必要に応じて決済に必要となる特定の処理を行ったりする処理を含む。
【0091】
このように、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、サーバー20あるいはこの管理者の主体的な、自動販売機群2からの売り上げ情報の収集と、売り上げの管理を実現できる。これら経理処理された種々の結果は、当然ながらサーバー20に記録されたり、サーバー20と接続される記憶手段に記憶されることで、自動販売機管理システムの管理者(管理部門や管理会社)は、将来的な商品予測や補充予測、あるいは設置場所の最適化やメンテナンス予測を行うことができる。
【0092】
なお、自動販売機群2の含む複数の自動販売機10A,10B、10Cのそれぞれは、金券(硬貨、紙幣、プリペイドカードなどの貨幣価値を有するもの)に加えてあるいは金券に換えて、電子媒体によって商品購入時の決済を可能とすることもよい。これは、
図4に示されている。
【0093】
図4は、本発明の実施の形態1における自動販売機の模式図である。自動販売機10は、一般に施設内部や所定エリアに設置されて使用される自動販売機である。自動販売機10は、商品表示部11、商品取り出し口12、金券投入部15に加えて、電子媒体対応部13を備えている。このため、商品購入者は、金券投入部15から金券を投入して商品を購入することも、電子媒体対応部13に、電子媒体14を接触もしくは非接触で対向させることで、商品を購入することもできる。
【0094】
この電子媒体14は、ICカード、IDカード、RF−ID、指紋認証カードおよび生体認証カードの少なくとも一つか、これら電子媒体の少なくとも一つの機能や構成を含む社員証である。社員証は、上述した通り、公共施設の職員、施設内部で登録された登録者、その他登録された登録者の有する証明カードなどを含む概念である。
【0095】
購入者は、このような電子媒体14か、電子媒体14を含む社員証を、電子媒体対応部13に対向させて、決済を実行して商品を購入する。この場合、電子媒体が対向したことでの購入希望が、自動販売機10からサーバー20に送信され、サーバー20は、電子媒体14の所有者と対応する決済口座において、費用処理を行う。サーバー20は、例えば受信手段22や経理手段24が、電子媒体14での購入における決済を行う機能を有しており、決済の可否と実際の決済を処理することでもよい。
【0096】
このように、特定の施設内部に複数の自動販売機10を含む自動販売機群2が構成され、これらの自動販売機10が、社員証などの電子媒体14で決済可能な自動販売機10である場合には、電子媒体14と決済口座の対応に基づいた決済がなされることも多い。
【0097】
このような場合には、後述するように社員証に対応する特定個人と商品の売り上げ動向を対比させたり、決済の可否を処理したりできるメリットが生じる。
【0098】
(サーバー20による要求のバリエーションとリアルタイム性)
上述のように、実施の形態1における自動販売機管理システムは、サーバー20やサーバー20の管理者の発意による主体的な自動販売機10の情報収集を行えるメリットを有している。すなわち、自動販売機10からの情報収集におけるバリエーションとリアルタイム性を有している。
【0099】
要求手段21は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群2に含まれる少なくとも一部の自動販売機10に対して、要求信号を送信できる。
【0100】
(一定サイクル)
例えば、要求手段21は、一定時間の間隔ごとに要求信号を送信する。例えば、1時間ごとであったり3時間ごとであったりの間隔で、要求手段21は、要求信号を、自動販売機10に出力できる。あるいは、要求手段21は、日中は1時間毎のサイクルで要求信号を出力し、夜間は、3時間ごとのサイクルで要求信号を出力するなど、時間帯によって、一定サイクルを変化させることもよい。
【0101】
あるいは、設置場所によって、時間の異なるサイクルで、要求手段21は、自動販売機10に対して要求信号を送信しても良い。このため、一定サイクルとは、常に一定のサイクルではなく、可変性や変動性のあるサイクルであったり、任意に切り替えられるサイクルであったりしてもよい。あるいは、自動販売機群2が含む自動販売機10の設置場所や種類によって、異なるサイクルが採用されてもよい。
【0102】
但し、いずれにしても、一定サイクルで、要求手段21が主体的に自動販売機群2が含む複数の自動販売機10へ、要求信号を送信することで、売り上げ情報などを含む返信情報のサーバー20による収集が、翌日になったり、遅くなったりするなどの問題を解消できる。この結果、要求信号に基づく、サーバー20による自動販売機群2からの情報収集のバリエーションが高まるだけでなく、リアルタイム性も高まる。
【0103】
(特定時刻)
要求手段21は、所定に定められた特定時刻に、自動販売機群2の含む自動販売機10のそれぞれに要求信号を出力することも良い。例えば、サーバー20を用いた自動販売機群2の経理処理の締めを17時に行うのであれば、要求手段21は、14時や15時など、決まった特定時刻に、自動販売機10に対して要求信号を送信する。
【0104】
この特定時刻は、当然に、サーバー20の管理者によって適宜定められればよいし、サーバー20によって異なってもよい。要求手段21が、定められた特定時刻に自動販売機群2の自動販売機10のそれぞれに、要求信号を(特に、一斉に)送信することで、高いリアルタイム性で、受信手段22が自動販売機10からの情報を受信できる。特定時刻を、最適に設定すれば、受信手段22が受信した情報を、把握手段23および経理手段24が、管理者にとって高いリアルタイム性をもって、売り上げ等の経理処理を実行できるようになる。
【0105】
参考技術で説明した従来技術のように、売り上げ等の経理処理を、翌日まで待たなければならないなどの問題も生じない。
【0106】
(任意時刻)
要求手段21は、サーバー20やサーバー20の管理者が任意に決める任意時刻に、自動販売機群2の含む自動販売機10のそれぞれに、要求信号を送信することでも良い。
【0107】
サーバー20の管理者にとっては、任意のある時刻に、売り上げ情報などを知りたいことが生じる。また、この任意のある時刻は、1日の間に一回であることもあるし複数回であることもある。例えば、午前中のある時刻に、要求信号を用いて、自動販売機群2の含む自動販売機10からの売り上げ情報などを収集した場合に、午後のある時刻に更に売り上げ情報などを収集したい場合もある。
【0108】
このような場合にはサーバー20の管理者は、任意の時刻を、サーバー20に設定して、自らの発意に基づいた情報収集を行うことができる。特に、経理処理の必要性に応じて、サーバー20の管理者が、この任意の時刻を定めればよい。この定められた任意の時刻によって、サーバー20の管理者は、高いリアルタイム性(特に、必要性のある時刻に対する高いリアルタイム性)を、もって、売り上げ等の情報を、自動販売機群2から得ることができる。
【0109】
(所定条件)
要求手段21は、所定条件に基づいて、自動販売機群2の含む自動販売機10に対して要求信号を送信することも適当である。例えば、経験則的に、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のいずれか(あるいは一部か全部)が、所定金額以上の売り上げとなる時刻が分かっていることがある。あるいは、経験則的に、自動販売機群2に含まれる自動販売機10のいずれか(あるいは一部か全部)が、商品不足となる時刻がわかっていることがある。
【0110】
このような場合に、サーバー20は、自らが記憶している経験則(これが所定条件となる)に従って、要求部21を制御して、要求信号を、自動販売機群2に含まれる自動販売機10のいずれかに送信する。
【0111】
このため、所定条件は、任意時刻と同じように、サーバー20の管理者によって自動販売機10の経理処理を行う必要性に応じて、任意に定められる。また、管理者が、サーバー20にプログラマブルに所定条件を記憶させておくことで、所定条件をサーバー20が自ら判断して、所定条件が整った場合に、要求手段21を通じて、要求信号を自動販売機群2の含む複数の自動販売機10に送信する。
【0112】
以上のように、要求手段21が、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群2の含む複数の自動販売機10に、要求信号を出力することで、自動販売機管理システム1は、自動販売機10の売り上げ情報などの、バリエーションとリアルタイム性の高い収集が可能になる。
【0113】
また、上述の通り、これら一定サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件のそれぞれは、サーバー20の管理者によって、予めサーバー20に記憶されても良いし、サーバー20の管理者が、必要に応じて主体的に設定しても良い。いずれにしても、サーバー20の有する様々なバリエーションに従ったリアルタイム性の高い情報収集が実現される。
【0114】
(別のバリエーション)
要求手段21による要求信号の送信においては、その後に行われる経理処理での結果上書き防止などを防ぐことも好適である。
【0115】
要求手段21が、一定期間サイクルもしくは特定時刻に要求信号を送信する場合には、自動販売機群2の内、当該要求信号が送信された時刻の前の所定時間以内に、経理手段24での経理処理が行われている自動販売機10に対しては、要求信号を送信しないことも好適である。
【0116】
例えば、ある特定時刻に、要求手段21が、自動販売機群2に含まれる自動販売機10A、10B、10Cの全てに要求信号を送信しようとしている状況があるとする。このときに、当該特定時刻の前の所定時間以内(例えば5分以内)に、任意時刻による設定で、要求手段21が自動販売機10Aに要求信号を送信していたとする。この場合には、自動販売機10Aについての経理処理が、サーバー20の内部で(経理手段24で)処理されている最中である可能性がある。
【0117】
このような状況で、要求手段21が、自動販売機10Aに要求信号を出力してしまうと、経理処理が、同じ時間帯に二重に行われてしまい、正確な売り上げ計算ができなくなる可能性がある。例えば、直前の経理処理が終わらない内に、要求信号に対して直前の経理処理で含めるべき売り上げ情報をも含んだ返信情報が、返信されてしまう可能性がある。この場合には、当該特定時刻での要求信号に基づく経理処理では、直前の経理処理で計算される売り上げの一部と二重計算される可能性が生じてしまう。
【0118】
このような二重計算あるいは計算漏れを防止するために、特定時刻に要求信号を送信する場合には、自動販売機群2の内、当該要求信号が送信された時刻の前の所定時間以内に、経理手段24での経理処理が行われている自動販売機10Aに対しては、要求信号を送信しないことが好適である。
【0119】
あるいは、自動販売機10B、10Cについては、当該特定時刻の直前には、経理処理が行われておらず、自動販売機群2全体の1日分の売り上げを経理処理したい場合には、自動販売機10Aは、直前からの数分間分の売り上げしか計算できないこともある(もちろん、経理手段24の処理手順で対応することは可能である)。
【0120】
このような全体的な売り上げ把握のミスを防止するためにも、特定時刻に要求信号を送信する場合には、自動販売機群2の内、当該要求信号が送信された時刻の前の所定時間以内に、経理手段24での経理処理が行われている自動販売機10Aに対しては、要求信号を送信しないことが好適である。
【0121】
(テスト要求+本要求)
要求手段21は、まずテスト的に自動販売機群2の含む自動販売機10A〜10Cの少なくとも一つに要求信号を送信して、その後、所定状況に従って、本要求を行う事も好適である。
【0122】
要求手段21は、まず自動販売機群2の一部の自動販売機10に要求信号を送信する。例えば、自動販売機10Aに要求信号を送信する。この要求信号を受けた自動販売機10Aは、売り上げ情報などを含む返信情報を、受信手段22に返信する。受信手段22は、この自動販売機10Aからの返信情報を受信して、把握手段23に出力する。把握手段23は、返信情報に含まれる売り上げ情報を抽出して当該売り上げ情報を経理手段24に出力する。
【0123】
ここで、経理手段24で経理処理された自動販売機10Aの売り上げが所定値以上であるか、否かを判断する。ここで、自動販売機10Aの売り上げが、所定値以上である場合には、他の自動販売機10B,10Cの売り上げも所定値以上である可能性が高い。
【0124】
このため、要求手段21は、この所定値以上の場合に、改めて自動販売機群2に含まれるそれぞれの自動販売機10A、10B、10Cに要求信号を出力する。その後、それぞれの自動販売機10A,10B、10Cからの返信情報に基づいて、経理処理手段24が、それぞれの自動販売機10A、10B、10Cの売り上げ、複数台の売り上げ、あるいは全体の売り上げを経理処理する。
【0125】
このように、要求手段21は、最初にテスト的にいずれかの自動販売機10に要求信号を送信し、その経理処理の結果で、自動販売機群2の全体に対して、要求信号を送信するという、2段階の処理を行っても良い。このような2段階処理によって、要求信号を送信する最適なタイミング(一定以上の売り上げがあることで、経理処理する必要があったり、一定以上の売り上げがあることで、補充計画を立てる必要があったりなど)で、自動販売機管理システム1は、自動販売機群2の経理処理を実行できる。もちろん、リアルタイム性もあるので、早期かつ短サイクルでの経理処理が実行される。
【0126】
(受信手段)
要求手段21によって送信された要求信号を、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10が受信すると、受信した自動販売機10のそれぞれは、通信網30を介して、返信情報を即座に、サーバー20に返信する。サーバー20が備える受信手段22が、この返信情報を受信する。受信手段22は、通信網30を介して到達する返信情報(電子データとなっている)を、即座に受信できる。このため、受信手段22は、要求手段21による要求信号の送信後に、リアルタイムに返信情報を受信できる。
【0127】
受信手段22は、リアルタイムに返信情報を受信できるので、サーバー20内部では、受信した返信情報が即座に把握手段23および経理手段24に転送される。このため、把握手段23は、すぐに返信情報から必要とする売り上げ情報(あるいは別の情報)を抽出できる。売り上げを把握する必要がある場合には、把握手段23は、抽出した売り上げ情報を、即座に経理手段24に出力できる。
【0128】
経理手段24も、即座に売り上げ情報を受け取ることができるので、売り上げに関する経理処理を行うことが即座にできる。例えば、自動販売機群2全体のある期間での総売り上げ、自動販売機群2に含まれるある自動販売機10のある期間での売り上げ、自動販売機群2に含まれる複数台のグループのある期間での売り上げなどを、経理処理できる。
図2においては、例えば、自動販売機10A、10B、10C全部の売り上げ、自動販売機10A、10B、10Cのいずれかの売り上げ、自動販売機10Aと10Bとの売り上げの合計、などを、経理手段24は、即座に経理処理できる。
【0129】
もちろん、この経理処理のきっかけは、要求手段21による要求信号であるので、要求信号が、参考技術のように1日の終わりなどに限定されない。この結果、必要な経理処理が、サーバー20やサーバー20の管理者の任意の要求に合わせて、行われるようになる。
【0130】
当日に経理処理がされれば、自動販売機管理システム1の管理者や管理会社は、当日の内に、売り上げ動向、商品動向、補充計画などを行えるようになる。
【0131】
以上のように、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、従来の問題を解決しつつ、リアルタイム性と高いバリエーションで、自動販売機群2の自動販売機10のそれぞれ、一部もしくは全体の売り上げを経理処理できる。
【0132】
なお、
図3で説明した要求手段21、受信手段22、把握手段23および経理手段24は、サーバー20の内部で、制御部25によって制御される。この制御部25は、サーバー20がコンピューター機器である場合には、プロセッサとその周辺要素である。
【0134】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、経理手段24での経理処理のバリエーションや、経理処理に繋がる次のステップの処理について説明する。
【0135】
(経理処理のバリエーション)
経理手段24は、把握手段23で抽出された自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のそれぞれの売り上げを経理処理できる。経理処理は、自動販売機10のそれぞれの売り上げ、利益金額、商品ごとの販売数、商品ごとの売り上げ、時間単位での売り上げ、時間単位での売り上げ商品、時間帯と売り上げとの関連性、時間帯と売り上げ商品との関連性、購入者の特定、購入者と購入額の関連性、購入者と購入商品との関連性、などの、整理と分析を含む。
【0136】
把握手段23によって、自動販売機群2の複数の自動販売機10のそれぞれの売り上げと売り上げ商品を、経理手段24は、確認できる。また、自動販売機10が、実施の形態1の
図4で説明したように、社員証などで決済される場合には、社員証の含む社員を特定するIDコードによって、購入者を特定する情報も、経理手段24は、確認できる。加えて、要求信号の送信時刻によって、売り上げや購入者の情報に、時間帯を関連させることも可能である。
【0137】
このような情報を種々に加工することで、経理手段24は、様々な整理を行ったり、分析を行ったりできる。
【0138】
また、経理手段は、自動販売機群2に含まれるそれぞれの自動販売機10、あるいは自動販売機群2全体(あるいは一部)の、時間売り上げ動向、商品売り上げ動向、購入者動向、設置場所と売り上げ動向などについて、分析した結果を、関係式、グラフ、図示などの少なくとも一つの手段で算出することも好適である。これら関係式、グラフ、図示などの可視化できる状態とすることで、管理者や商品メーカーにとって、その後の商品プランニングや、自動販売機設置プランニングや、自動販売機管理プランニングなどに、容易に役立てることができるからである。
【0139】
(時間帯と売り上げの関連性)
図5は、実施の形態2における時間帯と売り上げとの関連性を示すグラフである。要求手段21は、実施の形態1で説明した通り、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて要求信号を出力する。自動販売機10は、この要求信号に基づいて返信情報を返信する。経理手段24は、この返信情報を用いて複数の自動販売機10のそれぞれの売り上げを確認できる。このとき、要求信号は、ある時刻に送信されているので、経理手段24で確認される売り上げも、この時刻に沿ったものとなる。
【0140】
図5は、8時から18時まで、2時間ごとに要求信号が発信され、その2時間間隔での売り上げをヒストグラムおよび時間関係曲線で表している。これは、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のいずれか一つの売り上げでも良いし、複数の自動販売機10のいくつかの売り上げでも良いし、自動販売機群2全体の売り上げでもよい。自動販売機管理システム1の管理者にとって、
図5のような分析結果は、必要に応じた売り上げと時間との関係を把握することに役立つ。
【0141】
すなわち、経理手段24は、時間と売り上げの時間売り上げ動向を分析して、管理者に提供できる。このとき、上述のように、複数の自動販売機10のそれぞれにおいてでもよいし、いくつかにおいてでも良いし、自動販売機群2全体においてでもよい。
【0142】
図5では、当然ながらお昼の時間帯の売り上げが大きく、早朝や夜間は、売り上げが小さい。このため、管理者は、自動販売機10の商品補充のタイミングを夜に行ったり、夜間や早朝における、商品の冷却や加熱の消費電力を低減させたりするプランニングを行うことをできるようになる。
【0143】
時間帯と売り上げとの関連性である時間売り上げ動向が、個々の自動販売機10や自動販売機群2で分かることで、管理者は、自動販売機10の設置場所、補充プラン、設置数の最適プラン等を、検討することができる。
【0144】
(商品ごとの売り上げ関連性)
図6は、本発明の実施の形態2における商品種類と売り上げとの関連性を示すヒストグラムである。自動販売機10には、飲料であれ、食物であれ、日用品であれ、複数の種類の商品が用意されている。購入者は、自分の必要なあるいは好みの商品を選択して、自動販売機10での購入を行う。また、飲料メーカーなどにとっては、自社の販売拡大を狙う商品、販売の安定した商品、新規参入商品など、様々な意図で複数の種類の商品を用意している。
【0145】
自動販売機10が備える複数の商品においては、人気商品、中程度の人気商品、やや不人気商品などがある。自動販売機10の商品を製造する飲料メーカーなどにとっては、スーパーやコンビニエンスストアでの複数の商品のそれぞれでの販売動向も重要であるが、自動販売機10での販売動向も重要である。自動販売機10での販売動向は、消費者の商品への好みを反映している可能性が高いと考えられるからである。
【0146】
図6では、商品A、商品D、商品Fの売り上げが低い。
図6中で、破線で示す閾値1未満の売り上げである。一方、商品Eの売り上げはまあまあであり、商品B、商品Cは、閾値2以上の大きな売り上げを有している。この点で、商品A〜Fの人気度合いが分かる。管理者は、この
図6の分析結果によって、商品の人気度合いを計り、商品開発や商品補充のプランニングを行うことができる。
【0147】
例えば、
図6のA,商品D、商品Fは、閾値1よりも低い売り上げしかない(例えば、ある一日での売り上げであったり、ある時間帯での売り上げであったり、ある期間での売り上げであったりする)。閾値1も、閾値2も、管理者や商品メーカーによって任意に定められれば良いが、閾値1は、非常に低い金額に設定されているものとする。
【0148】
この結果からすれば、閾値1よりも低い売り上げしかない状態では、商品A,D、Fは、極めて売り上げが悪いといえる。管理者や商品メーカーは、この商品A、D、Fは、不人気商品であると考えて、例えば廃盤商品にすることもありえる。あるいは、不人気商品であるので、売り方の戦略を考え直すこともありえる。例えば、販売する場所や季節、商品パッケージや商品名称などである。
【0149】
また、商品Eは、閾値1と閾値2の間の売り上げである。すなわち、まあまあの売り上げであるといえる。極めて多くの販売が行われるわけではないが、売れ行きが悪いといえるほどでもない。このため、管理者や商品メーカーにとっては、定番商品であると言える。このため、当該商品Eは、このままの路線を継承していけばよいと考えられる。
【0150】
一方、商品B、商品Cは、閾値2以上の売り上げである。非常に高い売れ行きを示していることが、経理手段24によって算出された
図6のグラフによって分かる。このような商品は、管理者や商品メーカーにとっての稼ぎ頭であり、重要商品である。管理者や商品メーカーは、例えば、商品B,Cの一つの自動販売機10での収容数を多くしたり、補充回数を増やすなどをプランニングしたりする。
【0151】
(顧客と売り上げの動向)
図7は、本発明の実施の形態2における、顧客と売り上げの関連性を示す顧客売り上げ動向を表すグラフである。
図7のグラフは、ある顧客Aの商品A〜Fのそれぞれに対する購入動向を示している。既に述べたように、施設内部に設置された自動販売機群2では、社員証によって購入決済が行われる。社員証は、当該社員のIDコードを有しているので、この社員が現金やプリペイドカードなどではなく、社員証で商品を購入する場合には、社員のIDコードと購入商品とが対応付けられることになる。
【0152】
経理手段24は、このように社員証などで購入決済されることを利用して、特定顧客と売り上げの動向を算出して、
図7のグラフのように可視化することもできる。
図7では、ある顧客Aの商品A〜Fのそれぞれの売り上げがヒストグラムで示されている。
【0153】
図7のグラフでは、顧客Aは、商品Cと商品Dを中心に購入しており、それ以外の商品は、購入実績が少ないことが分かる(商品Eはやや多いが)。例えば、商品C、商品Dは、コーヒー系飲料であり、それ以外の商品は、ジュース類であるとすると、当該顧客Aは、コーヒー系飲料を好む傾向を見て取れる。施設内部には、当然顧客A以外の顧客もいるので、他の顧客についても同様の動向を算出して分析すれば、当該施設内部では、どのジャンルの商品が人気があり、どのジャンルの商品が、人気がないかが分かる。
【0154】
あるいは、施設内部で、顧客Aが購入する自動販売機10の設置エリアが、一定の範囲に限定される場合(広いオフィスビルや工場では、購入場所は、顧客Aの所属部門の場所に依存すると考えられる)には、この顧客Aに合わせて、自動販売機10の商品ラインアップを変えることも考えられる。もちろん、顧客Aだけでなく、ある一定の範囲の自動販売機10での購入の多い顧客の購入動向に従って、これらの範囲に設置される自動販売機10でのラインアップを検討しても良い。
【0155】
(設置場所売り上げ動向)
また、経理手段24は、自動販売機10の設置場所と売り上げ動向との関係を算出して可視化することも好適である。
図8は、本発明の実施の形態2における設置場所と売り上げとの関係を示すグラフである。
図8に示されるヒストグラムにより、設置場所の異なる自動販売機A〜自動販売機Fのそれぞれの売り上げの違いが分かる。ここで、
図8における自動販売機A〜Fのそれぞれは、設置場所の違いによる自動販売機10である。ここでは、ある設置場所に設置されている自動販売機Aと自動販売機Eの売り上げが高いことが分かる。別の場所に設置されている自動販売機B、Cは、中程度の売り上げであり、更に別の場所に設置されている自動販売機D,Fのそれぞれは、売り上げが非常に低い。
【0156】
このため、管理者や商品メーカーなど、自動販売機を設置する主体者は、この自動販売機D、Fの設置を取りやめることも検討対象とできる。あるいは設置場所を変えるなどの検討も可能である。
【0157】
以上のように、経理手段24が、様々な売り上げ動向を算出・分析し、更に、
図5〜8のように可視化できることで、管理者や商品メーカーは、種々の検討することができる。
【0158】
(プランニング手段)
図9は、本発明の実施の形態2における自動販売機管理システムのブロック図である。
図9の自動販売機管理システム1は、プランニング手段26を更に備えている。
【0159】
プランニング手段26は、実施の形態2で説明した経理手段が算出する販売動向に基づいて、自動販売機群2に含まれる少なくとも一部の自動販売機10での商品プラン、商品補充サイクルプランおよび商品補充手順プランの少なくとも一つを決定する。
【0160】
図5〜
図8に示されるような、種々の視点での販売動向が得られれば、その結果を踏まえて、管理者や商品メーカーが、人力で商品プランなどを検討することがありえる。例えば、開発会議によって商品プランや商品補充プランを決定すればよい。
【0161】
しかし、コンピューター機器の性能の向上に伴って、人的要素がなくても、種々のプランニングが解析される。このため、サーバー20は、人力で検討するようなプランニングを実行するプランニング手段26を有することもできる。例えば、サーバー20が有するマイクロプロセッサが、特定のプログラムを動作させることで、このプランニング手段26の機能を実現しても良い。
【0162】
商品プランは、
図5〜
図8で示される販売動向から、「売れていない商品」、「売れている商品」、「改良や入れ替えを検討すべき商品」などを検討することである。一定のルーティーンな計算を繰り返せば、販売動向のデータが投入されることで、プランニング手段26は、これらに対して、適切な解や提案を提示することができる。
【0163】
同様に、販売動向の十分な量のデータが与えられることで、プランニング手段26は、商品補充サイクルや商品補充手順について、適切な解や提案を提示できる。例えば、特定の商品の売り上げが自動販売機群2において大きいので、商品補充においては、この商品をより多く積んだトラック等で補充することが適切である。あるいは、ある場所に設置されている自動販売機の売り上げが大きいことで、商品が減りやすいこの自動販売機から補充を開始する補充手順が適切である。
【0164】
プランニング手段26は、このように、種々のプランニングを行い、管理者や商品メーカーに適切なソリューションを提供できるようになる。
【0165】
以上、実施の形態2における自動販売機管理システム1は、売り上げの把握と経理処理に基づいて、様々な分析を行ったり、分析に基づくプランニングを行ったりして、自動販売機管理システムの管理者や商品メーカーへの、商品開発や商品展開への適切な解を提供できる。
【0166】
(実施の形態3)
実施の形態3では、社員証で自動販売機10が購入決済する場合に、この顧客に個別に対応する自動販売機管理システムを説明する。
【0167】
(嗜好の分析)
図4を用いて説明したように、自動販売機10によっては、電子媒体を含む社員証などで、購入決済が可能な場合がある。このように、社員証で決済される場合には、返信情報には、社員を識別できるIDコードが、売り上げ情報などと一緒に返信される。
【0168】
図7に示したように、経理手段24は、特定の顧客の商品の売り上げ動向を算出・分析できる。言い換えれば、自動販売機管理システムは、特定の社員の嗜好を分析することができる。自動販売機10が、飲料を商品とする自動販売機である場合には、当該特定の社員が、コーヒー系飲料が好きであるとか、果汁系飲料が好きであるとかを、分析できる。このような分析によって、例えば当該社員に対して、自動販売機群2の管理者は、嗜好に即した商品の宣伝を行ったり、提案を行ったりできる。
【0169】
もちろん、飲料以外の商品を取り扱う自動販売機10においても同様である。
【0170】
(社員証決済の可否)
また、社員証を用いて購入決済できる自動販売機10では、当該社員証が、決済可能であるのか、決済不能であるのかを判断する必要がある。例えば、社員証で購入決済する場合には、当該社員証に対応する特定口座や給与口座から、購入金額が引き落とされる。しかしながら、社員が既に退職していたり、休職していたりする場合に、社員証で購入決済されてしまうと、実際に引き落とすべき口座が既に存在しないなどの問題がある。
【0171】
特に、特定口座や給与口座から引き落とす場合には、実際の購入のタイミングと引き落としのタイミングに、時間差が生じてしまう為、大きな施設内部では、社員数も多いので、経理部門等がこれを把握して引き落としできなかった金額を取り返すことは困難を伴う。
【0172】
このような問題を防止するため、社員証は、決済可能であるか決済不能であるかの情報を含んでおり、要求信号に対して自動販売機10が受付手段22に返信する返信情報に、この決済可能であるか決済不能であるかの情報も含まれる。社員証から自動販売機に伝達された情報が、そのまま返信情報に含まれてサーバー20に返信される手順である。
【0173】
なお、決済の可否情報は、社員証が有していなくても、社員証に対応する電子媒体対応部13やこれに接続されるサーバーが、決済の可否情報を有していてもよい。例えば、電子媒体対応部13やこれに接続されるサーバーが、使用期限の切れた社員証を認識できるようになっていることで対応することもありえる。
【0174】
この場合に、受信手段22は、決済可能である場合には購入決済を許可し、決済不能である場合には、購入決済を不許可にするよう、自動販売機10を制御する。このとき、要求手段21を、受信手段22が制御部25を介して制御して、要求手段21から、購入決済の許可/不許可の信号を、自動販売機10に送信すればよい。
【0175】
また、同時に受信手段22は、決済可能か決済不能であるかのいずれかの情報を、経理手段24に出力する。当該社員証が、決済不能である場合には、経理手段24は、それ以降、自動販売機10での当該社員証での購入決済を不許可とするように登録する。もちろん、決済可能な場合にはそのように登録する。
【0176】
このように、社員証が、決済可能であるか、決済不能であるかの登録もリアルタイムで行われる。この結果、自動販売機管理システム1に対する信頼性が高まる。更には、自動販売機10での社員証などを使った購入に対する信頼性も高まる。
【0177】
以上のように、実施の形態3における自動販売機管理システム1では、社員証などを用いて購入決済される場合の、不正防止や信頼性向上を実現できる。
【0178】
以上、実施の形態1〜3で説明された自動販売機管理システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。