特許第6121710号(P6121710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121710
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】電池用外装材及びリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-281141(P2012-281141)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-127258(P2014-127258A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146879
【弁理士】
【氏名又は名称】三國 修
(72)【発明者】
【氏名】田中 克美
(72)【発明者】
【氏名】大森 将弘
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−040595(JP,A)
【文献】 特開2000−006304(JP,A)
【文献】 特開平09−286969(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/059925(WO,A1)
【文献】 特開2004−234995(JP,A)
【文献】 特開2007−173212(JP,A)
【文献】 特開2010−212243(JP,A)
【文献】 特開2012−164680(JP,A)
【文献】 特開2003−217529(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/061932(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
B32B 9/00
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性樹脂フィルムを含む外層と、金属箔層と、接着層と、熱可塑性樹脂フィルムを含む内層とが積層されてなる電池用外装材において、
前記接着層に絶縁性粒子が含有され、
前記絶縁性粒子が、平均粒径0.1μm〜4μmの無機系粒子、平均粒径0.1μm〜4μmの有機系粒子のいずれか一方またはこれらの混合物であり、かつ、前記接着層中の前記絶縁性粒子の添加量が1〜30質量%であり、
前記接着層が、その厚みよりも大きな粒径の前記絶縁性粒子を含有しておらず、
前記絶縁性粒子の体積固有抵抗が、10Ω/cm(100MΩ/cm)以上であることを特徴とする電池用外装材。
【請求項2】
前記接着層が、ドライラミネート用接着剤よりなる請求項1に記載の電池用外装材。
【請求項3】
前記接着層が、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン、スチレンエラストマー、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エーテル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤のいずれかよりなる請求項2に記載の電池用外装材。
【請求項4】
前記内層がポリオレフィンからなり、前記外層がポリアミドまたはポリエステルからなる請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の電池用外装材。
【請求項5】
前記金属箔層が、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、銅箔のいずれかからなる請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の電池用外装材。
【請求項6】
前記外層と前記金属箔層とが、前記接着層とは材質の異なる接着層を介して貼り合わされている請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の電池用外装材。
【請求項7】
深絞り成形または張出成形によって凹部が形成されてなる請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の電池用外装材。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の電池用外装材が備えられていることを特徴とするリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用外装材及びリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、ノート型パソコン、携帯電話等の電子機器のポータブル化、小型化に応じて、その駆動源である電池にも小型軽量化の要求が高まり、高性能なリチウム二次電池が普及されるに至っている。最近では、リチウム二次電池を電気自動車またはハイブリッド車の車載電源に適用すべく、リチウム二次電池の大型化が検討されている。
【0003】
ところで、車両における車載電源の搭載スペースに限りがあり、また搭載スペースの形状も一定ではないことから、電子機器等の場合と同様に、車載用のリチウム二次電池には軽量化および形状の自由度が求められている。また、車載用のリチウム二次電池では、電池容量及び使用電流が大きくなるため、より高い安全性を確保する為に、より良好な絶縁性(高い絶縁抵抗値)が求められている。
【0004】
従来のリチウム二次電池の外装材として、例えば下記特許文献1にあるような外装体が知られている。特許文献1の外装体は、金属層と合成樹脂層からなるラミネート外装材からなる外装体に、酸の吸収能をもった無機粒子を含む吸収シートが備えられた外装体が開示されている。また、特許文献2には、接着剤層、アルミニウム箔層、アルミニウム保護層、接着樹脂層、シーラント層をこの順番で積層したリチウムイオン電池用外装材において、シーラント層に、平均粒径200nm以下の微粒子からなるエラストマーが添加されたリチウムイオン電池用外装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−235256号公報
【特許文献2】特開2011−216390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の外装体は、電池内部で発生し得るフッ化水素による外装体の劣化を防ぐ為に、発電素子とともにフッ化水素を吸収する樹脂シートが封入されたものであり、絶縁性については何ら考慮されていない。また、特許文献2に記載のリチウムイオン電池用外装材は、リチウムイオン電池の外装材として用いるラミネート包材において、成形時のシーラント層の白化(シーラント樹脂の微小クラック)を防ぐ為に、シーラント層へエラストマー微粒子を添加し、エンボス成形時のクラックによる破断や白化が発生しないように、シーラント層に耐衝撃性を持たせた技術であって、絶縁性については何ら考慮されていない。このように、従来の電池用の外装材の絶縁性能はまだまだ不十分であり、更なる改良が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、絶縁性に優れた電池用外装材及びこのような電池用外装材を備えたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 耐熱性樹脂フィルムを含む外層と、金属箔層と、接着層と、熱可塑性樹脂フィルムを含む内層とが積層されてなる電池用外装材において、
前記接着層に絶縁性粒子が含有され、
前記絶縁性粒子が、平均粒径0.1μm〜4μmの無機系粒子、平均粒径0.1μm〜4μmの有機系粒子の何れか一方またはこれらの混合物であり、かつ、前記接着層中の前記絶縁性粒子の添加量が1〜30質量%であることを特徴とする電池用外装材。
[2] 前記接着層が、ドライラミネート用接着剤よりなる[1]に記載の電池用外装材。
[3] 前記接着層が、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン、スチレンエラストマー、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エーテル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤のいずれかよりなる[2]に記載の電池用外装材。
[4] 前記内層がポリオレフィンからなり、前記外層がポリアミドまたはポリエステルからなる[1]乃至[3]の何れか一項に記載の電池用外装材。
[5] 前記金属箔層が、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、銅箔のいずれかからなる[1]乃至[4]の何れか一項に記載の電池用外装材。
[6] 前記外層と前記金属箔層とが、前記接着層とは材質の異なる接着層を介して貼り合わされている[1]乃至[5]の何れか一項に記載の電池用外装材。
[7] 深絞り成形または張出成形によって凹部が形成されてなる[1]乃至[6]の何れか一項に記載の電池用外装材。
[8] [1]乃至[7]の何れか一項に記載の電池用外装材が備えられていることを特徴とするリチウム二次電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絶縁性に優れた電池用外装材及びこのような電池用外装材を備えたリチウム二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態である電池用外装材を備えたリチウム二次電池の断面模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態である電池用外装材の拡大断面模式図である。
図3図3は、実施例における電池外装材の深絞り加工工程を示す模式図である。
図4図4は、実施例における電池外装体のリチウム二次電池の製造工程を示す模式図である。
図5図5は、実施例における絶縁評価用テストセルの製造工程を示す模式図である。
図6図6は、実施例における絶縁評価用テストセルの製造工程を示す模式図である。
図7図7は、実施例1〜7及び比較例2〜5の絶縁性評価方法を示す模式図である。
図8図8は、比較例1の絶縁性評価方法を示す模式図である。
図9図9は、実施例1〜7及び比較例1〜5の絶縁性評価方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態である電池用外装材及び電池用外装材を備えたリチウム二次電池について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のリチウム二次電池1は、例えば、正極2と、負極3と、電解質と、正極2、負極3及び電解質を包装する電池用外装体5を少なくとも備えて構成されている。電池用外装体5は、例えば、シート状の電池用外装材5a、5bが重ね合わされて袋状に形成されることにより構成される。そして、正極2、負極3及び電解質は、電池外装体5の内部に挿入されている。また、図1に示す例では、正極2と負極3の間にセパレータ6が配置される。このセパレータ6に代えて、固体電解質膜を正極2と負極3の間に配置してもよい。
【0013】
電池外装体5は、例えば、2枚のシート状の電池外装材5a、5bを内層が相互に向き合うように重ね合わせ、電池外装材5a、5bの外周部5cをヒートシールさせて袋状に成形されてなるものである。電池用外装材5a、5bは、耐熱性樹脂フィルムを含む外層と、金属箔層と、絶縁性粒子が含有された接着層と、熱可塑性樹脂フィルムを含む内層とが積層されて構成されている。また、一方の電池外装材5aには、正極2、負極3及び電解質を収容するための凹部5dが、深絞り成形または張出成形によって形成されている。図1に示す例では、他方の電池外装材5bには凹部が設けられていないが、他方の電池外装材5bにも凹部を設けておいてもよい。
【0014】
正極2及び負極3はそれぞれ、金属箔または金属網からなる集電体2a、3aと、集電体2a、3aにそれぞれ積層された電極合材2b、3bとから構成されるものを用いることができる。正極2の電極合材2bには正極活物質が含有され、負極3の電極合材3bには負極活物質が含有されている。
【0015】
更に正極2及び負極3の各集電体2a、3aには、取り出し端子としてのタブリード2c、3cが接合される。タブリード2c、3cは、その長手方向基端部が電池外装体内部の集電体2a、3aに接合され、長手方向先端部が電池外装体5のヒートシール部である外周部5cを貫通してリチウム二次電池1の外部に突出される。タブリード2c、3cの外周部5c近傍においては、タブリード2c、3cがシート状の2枚の電池外装材5a、5bに挟まれており、タブリード2c、3cの表面に電池外装材5a、5bの内層がヒートシールされた状態になっている。
【0016】
図1に示すリチウム二次電池1を製造する際には、開口部を有する袋状の電池外装体5を用意し、電池外装体5に正極2、負極3及び電解質並びにセパレータ6を挿入し、更に必要に応じて電解液を注液した後、開口部から突出しているタブリード2c、3cを挟むように開口部を封止してヒートシールすることで、開口部が密閉されたリチウム二次電池1を得る。
【0017】
次に、本実施形態の電池用外装材について詳細に説明する。本実施形態の電池用外装材5a、5bは、図2に示すように、電池外装体5の外表面51aとなる外層51と、金属箔層52と、電池外装体5の内面53bとなる内層53とが積層されて構成されている。また、図2に示すように、外層51と金属箔層52との間、及び内層53と金属箔層52との間に、接着層54、55が介在されている。
【0018】
(外層51)
電池用外装材5a、5bを構成する外層51は、少なくとも1または2以上の耐熱性樹脂フィルムを含んで構成されている。2以上の耐熱性樹脂フィルムから構成される場合の外層51は、耐熱性樹脂フィルム同士が接着層を介して積層されていることが好ましい。
【0019】
外層51を構成する耐熱性樹脂フイルムは、電池用外装材5aに正極2及び負極3を収納する凹部5dを成形する場合に、電池用外装材5aの成形性を確保する役割を担うもので、ポリアミド(ナイロン)樹脂またはポリエステル樹脂の延伸フイルムが好ましく用いられる。また、外層51を構成する耐熱性樹脂フイルムの融点は、内層53を構成する熱可塑性樹脂フィルムの融点より高いことが好ましい。これにより、リチウム二次電池1を製造する際の開口部のヒートシールを確実に行うことが可能になる。
【0020】
外層51の厚さは10〜50μm程度が好ましく、15〜30μm程度がより好ましい。厚みが10μm以上であれば電池用外装材5aの成形を行なうときに延伸フイルムの伸びが不足することがなく、金属箔層52にネッキングが生じることがなく、成形不良が起きない。また、厚みが50μm以下であれば、成形性の効果を十分発揮できる。
【0021】
(金属箔層52)
電池用外装材5a、5bを構成する金属箔層52は、電池用外装材5a、5bのバリア性確保の役割を行なうもので、この金属箔層52としては、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、銅箔等が使用されるが、成形性、軽量であることを考慮し、アルミニウム箔を使用することが好ましい。アルミニウム箔の材質としては、純アルミニウム系またはアルミニウム−鉄系合金のO材(軟質材)が好ましく用いられる。
【0022】
金属箔層52の厚みは、加工性の確保及び酸素や水分の電池内への侵入を防止するバリア性確保のために20〜80μmが必要である。厚みが20μm以上であれば、電池用外装材5aの成形時において金属箔層52が破断せず、ピンホールの発生もなく、酸素や水分の侵入を防止できる。また、厚みが80μm以下であれば、成形時の破断の改善効果やピンホール発生防止効果が維持され、また、電池外装材5a、5bの総厚が過剰に厚くならず、重量増を防止し、電池1の体積エネルギー密度を向上できる。
【0023】
また、金属箔層52には、外層51及び内層53との接着性を向上させたり、耐食性を向上させるために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等によるアンダーコート処理や、クロメート処理等による化成処理が施されているとよい。
【0024】
(内層53)
次に、電池用外装材5a、5bを構成する内層53は、熱可塑性樹脂フィルムを含んで構成されている。内層53に使用される熱可塑性樹脂フィルムとしては、ヒートシール性を有し、腐食性の強いリチウム二次電池の電解質等に対する耐薬品性を向上させる役割を果たし、かつ、金属箔層52とリチウム二次電池1の正極2または負極3との絶縁性を確保できるものがよく、例えば、ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の未延伸ポリオレフィンフィルムや、エチレン−アクリレート共重合体またはアイオノマー樹脂などの未延伸フィルムが好ましく用いられる。また、内層53を構成する熱可塑性樹脂フィルムは、単一の熱可塑性樹脂層で構成されていてもよいが、複数の熱可塑性樹脂層が積層されたもので構成されていても良い。
【0025】
内層53の厚みは、0.1〜200μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲がより好ましい。厚みが0.1μm以上、好ましくは50μm以上であれば、ヒートシール強度が充分になり、また電解液等に対する耐食性が向上し、金属箔層と正極または負極との絶縁性が高められる。また、厚みが200μm以下、好ましくは100μm以下であれば、ヒートシール性及び耐薬品性に支障が無く、また、リチウム二次電池の体積エネルギー密度を向上できる。
【0026】
更に、内層53を構成する熱可塑性樹脂フィルムの融点は、130℃〜170℃の範囲が好ましく、160〜165℃の範囲がより好ましい。融点がこの範囲であれば、内層53の耐熱性が向上し、ヒートシール時における内層53の厚みが低下することがなく、内層53の絶縁性が向上する。
【0027】
(接着層)
接着層54、55は、外層51と金属箔層52、及び内層53と金属箔層52とを接着するために、外層51と金属箔層52との間、及び内層53と金属箔層52との間に配置される。
接着層54、55は、ドライラミネート用接着剤からなるドライラミネート用接着層が好ましく、例えば、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン、スチレンエラストマー、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エーテル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤から選ばれる1種を用いることができる。
【0028】
特に、外層側の接着層54と内層側の接着層55は、相互に異なる材質からなる接着層を用いることが好ましい。接着層54、55の材質の組み合わせとして好ましくは、外層51がPETまたはナイロンで構成される場合に外層側の接着剤としてウレタン系接着剤を用い、内層53がポリプロピレンから構成される場合に内層側の接着剤としてアクリル系接着剤または酸変性オレフィン系接着剤がよい。外層側の接着層54と内層側の接着層55として、相互に異なる材質からなる接着層を用いることで、各材質間の接着強度および耐電解液性能を付与できる。
【0029】
また、内層53側の接着層55には、絶縁性粒子が含有されていることが好ましい。接着層55に含有させる絶縁性粒子としては、平均粒径0.1μm〜4μmの無機系粒子若しくは平均粒径0.1μm〜4μmの有機系粒子のいずれか一方またはこれらの混合物がよい。このような絶縁性粒子を含有することで、内層53と金属箔層52との絶縁性をより高めることができる。
【0030】
平均粒径0.1〜4μm以下の無機系粒子としては、球状または板状の粒子が好ましい。また、無機系粒子としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、カルサイト系炭酸カルシウム、微細タルク、水酸化アルミニウム、シリカ系ビーズ、球状溶融シリカ、カオリン、天然珪酸カルシウム、チッ化硼素、アルミナなどを例示できる。また、平均粒径0.1〜4μm以下の有機系粒子としては、球状または板状の粒子が好ましく、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル等のプラスチックビーズを例示できる。
【0031】
絶縁性粒子の平均粒径が0.1μm未満では、接着剤への均一分散が困難であり、電池用外装材5a、5bの面内の絶縁性のばらつきが発生しやすくなる。また、平均粒子径が4μm超では、接着剤を塗布して乾燥した後の接着層の厚みよりも大きな粒径の絶縁性粒子を含有させることになる為、接着層の欠陥が多くなり、接着性に悪影響を与え、絶縁性のバラツキも大きくなるおそれがある。よって、絶縁性粒子としては、平均粒径0.1〜4μmのものが好ましい。
【0032】
また、絶縁性粒子の体積固有抵抗は、10Ω/cm(100MΩ/cm)以上であることが好ましい。これにより、内層53と金属箔層52との絶縁性をより高めることができる。例えば、アルミナは1015Ω/cm程度であり、チッ化硼素は1014Ω/cm程度である。
【0033】
更に、絶縁性粒子の接着層への添加量は、1〜30質量%の範囲で、好ましくは2〜20質量%の範囲にするのがよい。添加量が1質量%未満では、絶縁性粒子の添加効果が発現しにくく、30質量を超えて添加した場合は、接着性に悪影響を与える場合がある。
【0034】
接着層54、55の厚みは、1〜10μmの範囲が好ましく、1.5〜5μmの範囲がより好ましい。接着層54、55の厚みが0.1μm以上、好ましくは1.5μmであれば、接着強度が低下することがなく、水分透過を抑制でき、また、内層側では内層53の絶縁性をより高めることができる。また、接着層54、55の厚みが10μm以下、より好ましくは5μm以下であれば、接着強度の低下を防止できる。また、内層側の接着層55に添加する絶縁性粒子は上述のように平均粒径0.1〜4μmの範囲内で選択するが、選択した粒子の最大粒子径に留意して、接着層55の厚さよりも最大粒子径が小さい絶縁性粒子を選定することが望ましい。
【0035】
電池外装材5a、5bの内層53と金属箔層52との絶縁性は、次の評価手法によって評価することができる。
まず、上記のリチウム二次電池1を製造し、リチウム二次電池1の電池用外装体5の外層51を部分的に除去して金属箔層52を露出させる。金属箔層52を露出させる位置は、できるだけ、タブリード2c、3cから離れた位置がよい。次いで、露出させた金属箔層52に導線を接続し、正極2又は負極3のいずれかのタブリード2c、3cにも導線を接続する。なお、金属箔層52を露出させる代わりに、端面に露出する金属箔層52に導電性テープを装着し、この導電性テープに導線を接続してもよい。そして、これらの導線の間に、電源と抵抗測定機を挿入する。そして、電源から導線を介して金属箔層52とタブリード2c、3cとの間に電圧を印加し、このときの金属箔層52とタブリード2c、3cとの間の抵抗値を抵抗測定機によって測定し、得られた抵抗値によって電池用外装材5a、5bの内層の絶縁性を評価する。
【0036】
本実施形態の電池用外装材5a、5bは、5〜50ボルト以下の直流電圧を印加させたときに、絶縁抵抗値が1×10Ω以上になるものが好ましい。
【0037】
なお、電池外装材5a、5bの内層53と金属箔層52との絶縁性を評価するにあたり、上記のリチウム二次電池1に代えて、電池用外装体5にタブリードを取り付け、電池外装体5の内部には電解液を満たしたテストセルを用いることもできる。
【0038】
本実施形態の電池用外装材5a、5bは、外層51または金属箔層52の表面に、ドライラミネート用接着剤を塗布し、ドライラミネート用接着剤に含まれる溶剤を揮発させる。
そして、外層51と金属箔層52とをドライラミネートすることで、ドライラミネートフィルムを製造する。
次に、ドライラミネートフィルムの金属箔層52または内層53の表面に、絶縁性粒子を含有させた別のドライラミネート用接着剤を塗布して、このドライラミネート用接着剤に含まれる溶剤を揮発させる。そして、ドライラミネートフィルムと内層53とをドライラミネートする。このようにして、本実施形態の電池用外装材5a、5bを製造する。
【0039】
本実施形態の電池用外装材5a、5bによれば、内層53側の接着層55に絶縁性粒子が含有されているので、内層53と金属箔層52との絶縁性を高めることができる。具体的には、リチウム二次電池を構成した状態で金属箔層52と電池の端子(タブリード)とを導線で結線し、5〜50ボルト以下の直流電圧を印加させたときに、絶縁抵抗値を1×10Ω以上とすることができる。
また、接着層55に含まれる絶縁性粒子が、平均粒径0.1μm〜4μmの無機系粒子若しくは平均粒径0.1μm〜4μmの有機系粒子のいずれか一方またはこれらの混合物であり、かつ、接着層5中の絶縁性粒子の添加量が1〜30質量%であるので、内層53と金属箔層52との絶縁性をより高めることができる。
【0040】
更に、本実施形態の電池用外装材5a、5bの接着層55は、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン、スチレンエラストマー、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エーテル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤のいずれかよりなるドライラミネート接着剤からなるものである。これらドライラミネート接着剤からなる接着層55を用い、かつ絶縁性粒子を併用することで、内層53と金属箔層52との絶縁性をより高めることができる。
【0041】
本実施形態の電池用外装材5a、5bは、電池外装体5の形状に成形する際に、コーナー部やパンチ肩R部において最も厳しい成形加工を受ける。このようなコーナー部やパンチ肩R部において、ヒートラミネート製法では接着層を介さずに金属箔層と内層とが直接、強固に接着されるため、成形加工時の金属箔層の変形に内層が十分追随できず、金属箔層と内層との界面に微小欠陥が生じやすく、この微小欠陥に電解液が浸透して絶縁性を低下させるおそれがある。一方、本実施形態では、ドライラミネート製法を採用し、接着層55を介して金属箔層52と内層53とが接着されるため、成形加工時に、接着層55が金属箔層52の変形に追随して薄く変形する(伸長する)ので、金属箔層52と接着層55と内層53の各界面に微小欠陥が発生しにくく良好な絶縁性を維持できる。さらにこの接着層55に絶縁性粒子を添加することにより、より良好な絶縁性が得られる。
更に、本実施形態のリチウム二次電池1によれば、上記の電池用外装材5a、5bが備えられているので、金属箔層を介した内部短絡の発生を抑制できる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、汎用品)と、厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルム(株式会社興人製、ボニールRX)とを、3μmの二液硬化型ウレタン系接着層を介してドライラミネートして外層フィルムを製造した。
【0043】
次いで、得られた外層フィルムと、厚さ40μmのアルミニウム箔(JIS規格A8079H-O)とを、3μmの二液硬化型ウレタン系接着層を介して、速度:80m/min,ロール温度:80℃の条件でドライラミネートして外層・金属箔層フィルムを製造した。
【0044】
次いで、内層として、ポリプロピレン樹脂をTダイ成形法により成形して厚み80μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0045】
そして、内層と、外層・金属箔層フィルムとの間に、厚み4.5μmのオレフィン系接着層を介在させて、速度:80m/min,ロール温度:80℃の条件でドライラミネートすることにより、実施例1の電池用外装材を製造した。なお、内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層には、平均粒径3.5μmの窒化硼素粒子を3質量%含有させた。オレフィン系接着層は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとヘキサメチレンジイソシアナートをイソシアナート/OH比=5.0となるオレフィン系接着剤を用いた。
【0046】
(実施例2)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径3.5μmの窒化硼素粒子を20質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の電池用外装材を製造した。
【0047】
(実施例3)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径2μmのアルミナ粒子を5質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の電池用外装材を製造した。
【0048】
(実施例4)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径1.5μmのシリカ系ビーズを5質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の電池用外装材を製造した。
【0049】
(実施例5)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径1.5μmのシリカ系ビーズを5質量%と、平均粒径3.5μmのポリウレタンビーズを10質量%とを含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の電池用外装材を製造した。
【0050】
(実施例6)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径3.5μmのポリウレタンビーズを15質量%を含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の電池用外装材を製造した。
【0051】
(実施例7)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径0.5μmのシリカ系ビーズを10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の電池用外装材を製造した。
【0052】
(比較例1)
厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、汎用品)と、厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルム(株式会社興人製、ボニールRX)とを、3μmの二液硬化型ウレタン系接着層を介してドライラミネートして外層フィルムを製造した。
【0053】
次いで、得られた外層フィルムと、厚さ40μmのアルミニウム箔(JIS規格A8079H-O)とを、3μmの二液硬化型ウレタン系接着層を介して、速度:80m/min,ロール温度:80℃の条件でドライラミネートして外層・金属箔層フィルムを製造した。
【0054】
次いで、内層として、ポリプロピレン樹脂をTダイ成形法により成形して、厚み80μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0055】
そして、内層と、外層・金属箔層フィルムと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを所定の押し出し条件でヒートラミネートすることにより、比較例1の電池用外装材を製造した。
【0056】
(比較例2)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、絶縁性粒子を含有させなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の電池用外装材を製造した。
【0057】
(比較例3)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径1.5μmのシリカ系ビーズを0.3質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の電池用外装材を製造した。
【0058】
(比較例4)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径0.07μmの酸化マグネシウム粒子を10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の電池用外装材を製造した。
【0059】
(比較例5)
内層と外層・金属箔層フィルムとの間のオレフィン系接着層に、平均粒径6.5μmの窒化硼素粒子を3質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の電池用外装材を製造した。
【0060】
(評価方法)
(1)絶縁評価用テストセルの調製
図3に示すように、上記の実施例1〜7および比較例1〜5の電池用外装材101に対して5cm×3.25cmの大きさの絞り加工を行った。絞り加工の深さは5.5mmとし、周囲のトリミングを行って9.5cm×6.5cmの大きさとした。
【0061】
次に、上記の通りに加工した実施例1〜7および比較例1〜5の電池用外装材102と、未加工の実施例1〜7および比較例1〜5の電池用外装材を用いて、図4に示すように、ネッツ社製タブリード103(長さ9cm)を挟み込む形でヒートシールを行って、図5に示すような電池用外装体104を作製した。ヒートシーラーは、テスター産業株式会社製のTP-701-Aを使用した。ヒートシール条件は200℃、0.2MPa、6秒とした。図5に示すように、シール105の箇所は、成形箇所からそれぞれ1cm離れた箇所とした。
【0062】
電池用外装材101の3辺についてシール加工を行って電池外装体104を形成した後、キシダ科学製の7.5mlの電解液を容器内に注入した。電解液の成分は濃度1MのLiPF6を溶質とし、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1(体積比)の混合溶液を溶質とした。電解液注入後、四辺目のヒートシールを行い、図6に示すように、電解液を電池外装体104内に封入して試験セル106を製造した。
【0063】
電解液封入後、試験セル106の下部に日新EM株式会社製のSEM用カーボンテープと貼り付けた。これは安定した測定を行うために、測定装置プローブとの接触面を増加させる目的で行った。なお、実施例1〜実施例7及び比較例2〜5の場合、図7に示すように、内部の回路は、タブリード103/電解液107/内層108/接着層109/金属箔層110/カーボンテープ112から構成される。これに対して比較例1の場合、図8に示すように、内部の回路はタブリード103/電解液107/内層108/金属箔層110/カーボンテープ112となる。なお、符号113は絶縁抵抗試験器である。図7及び図8に示す絶縁評価用テストセルは、実施例1〜7及び比較例1〜5においてそれぞれ5個づつ作製した。
【0064】
(2)絶縁評価
絶縁試験には日置電機株式会社製絶縁抵抗試験器3154を使用した。測定レンジは200MΩ〜1000MΩ、印加電圧は25V、印加時間は10秒とした。図9に示すように、プローブをそれぞれタブリードおよびカーボンテープに接触させた状態で測定を行った。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
(結果)
実施例1〜7は、120〜860MΩ程度の絶縁抵抗値を示していたことに対し、比較例1〜5はいずれも、0.5〜50MΩ程度の絶縁抵抗値となっていた。また、比較例5は、5つの試料の絶縁抵抗値が30〜170MΩの範囲で大きくばらついていた。
この差異は内層側の接着層に各種の絶縁性粒子を含有させたことによると推測される。また、実施例1〜7と、比較例3〜5の結果を対比したところでは、単に絶縁性粒子を含有させるだけではなく、その平均粒径と接着層中の含有量を調整すべきであることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
1…リチウム二次電池、5a、5b…電池用外装材、51…外層、52…金属箔層、53…内層、55…接着層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9