特許第6121722号(P6121722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社エネルギア・コミュニケーションズの特許一覧 ▶ 株式会社中電工の特許一覧

<>
  • 特許6121722-測定棒 図000002
  • 特許6121722-測定棒 図000003
  • 特許6121722-測定棒 図000004
  • 特許6121722-測定棒 図000005
  • 特許6121722-測定棒 図000006
  • 特許6121722-測定棒 図000007
  • 特許6121722-測定棒 図000008
  • 特許6121722-測定棒 図000009
  • 特許6121722-測定棒 図000010
  • 特許6121722-測定棒 図000011
  • 特許6121722-測定棒 図000012
  • 特許6121722-測定棒 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121722
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】測定棒
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/08 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   G01B3/08
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-1662(P2013-1662)
(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公開番号】特開2014-134418(P2014-134418A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503320061
【氏名又は名称】株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】591080678
【氏名又は名称】株式会社中電工
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳司
(72)【発明者】
【氏名】天崎 文晶
(72)【発明者】
【氏名】田村 耕一
(72)【発明者】
【氏名】石飛 裕史
(72)【発明者】
【氏名】大塚 恭士
(72)【発明者】
【氏名】松川 義和
(72)【発明者】
【氏名】進藤 叔将
(72)【発明者】
【氏名】角島 幸二
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−239231(JP,A)
【文献】 米国特許第04318228(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/08
G01C 15/06
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方の測定対象物の地上高を地上から測定する測定棒であって、
複数のロッド伸縮可能に複数段に連結されてなり、最上段のロッドから順次引き伸ばし可能に構成されるとともに、最上段のロッドを除く上下段のロッド間に、該上段のロッドの引き伸ばしが阻止されたロック状態とすることが可能なロック機構が設けられ、該上段のロッドの更に上段のロッドに、当該更に上段のロッドが最大に引き伸ばされることにより前記ロック機構による前記ロック状態を解除して該上段のロッドを引き伸ばし可能とするロック解除機構が設けられたことを特徴とする測定棒。
【請求項2】
上方の測定対象物の地上高を地上から測定する測定棒であって、
複数のロッドが伸縮可能に複数段に連結されてなり、最上段のロッドから順次引き伸ばし可能に構成されるとともに、最上段のロッドを除く上下段のロッド間に、該上段のロッドの更に上段のロッドを最大に引き伸ばすことにより、該上段のロッドを引き伸ばし可能とするロック機構が設けられ、当該更に上段のロッドに、前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構が設けられ、
前記ロック機構は、上段のロッドに回動可能に設けられるロック部材と、下段のロッドに設けられるとともに、前記ロック部材を係止させるロック溝と、上段のロッドに設けられるとともに、前記ロック部材が前記ロック溝に係止された状態に付勢する付勢部材とからなり、
前記ロック解除機構は、前記上段のロッドの更に上段のロッドに設けられ、該更に上段のロッドが最大に引き伸ばされることにより、前記ロック部材を前記付勢部材の付勢力に抗して押圧して、前記ロック部材が前記ロック溝に係止された状態を解除する突起と、該突起を押圧する弾発部材とから構成されていることを特徴とする測定棒。
【請求項3】
前記複数のロッドは、上段のロッドがその下段のロッドの内面側に伸縮可能に収納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の測定棒。
【請求項4】
前記最上段のロッドには、該最上段のロッドをその下段のロッドの内面側に収納された状態に連結する連結部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の測定棒。
【請求項5】
前記各ロッドは、テーパ筒状又は円筒状をなすものを周方向に複数の支持片に分割して構成した測定部と、該測定部の複数の支持片の上端を円環状に固定する連結部材とからなり、
上段のロッドの測定部の各支持片がその下段のロッドの測定部の各支持片の内面側に伸縮可能に収納されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の測定棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定棒に関し、特に、上方に設置された測定対象物の地上高を地上から測定するのに有効な測定棒に関する。
【背景技術】
【0002】
上方の設置された測定対象物の地上高の測定に用いられる測定棒の一例として、複数の円筒状のロッドを伸縮可能に複数段に連結して構成した測定棒が知られている。このような構成の測定棒は、上段のロッドを最大に引き伸ばさなくても、次の下段のロッドを引き伸ばすことができるので、ロッドを引き伸ばして測定棒を所定の長さに設定する場合、ロッドの引き伸ばし長さにばらつきが生じ、測定棒を所定の長さに設定することができない。このため、測定棒による測定対象物の測定誤差が生じ、測定対象物の測定精度が著しく低下することになる。
【0003】
特許文献1及び2には、測定棒の他の例が記載されている。特許文献1に記載の測定棒は、異なる径の円柱状の複数の中空パイプから構成され、内側の小径パイプから順に引き出し、引き出した内側の小径パイプのピンをばね反発力によってその外側のパイプの貫通孔から突出させて、ピンと貫通孔とを係合させることにより、引き出した小径パイプをその外側の小径パイプに固定するように構成したものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の測定棒は、軸方向に貫通した筒状の棒状部材を複数振り出し式に伸縮自在に連結した構成したものであって、外側の棒状部材の先端部内周面とその内側の棒状部材の基端部外周面とを互いに嵌合させて摩擦力によって締結させることにより、外側の棒状部材から内側の棒状部材を振り出した状態に固定するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−107479号公報
【特許文献2】特開2012−110107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の測定棒は、内側の小径パイプのピンをその外側の小径パイプの貫通孔から突出させることにより、内側の小径パイプを外側の小径パイプから引き出した状態に固定しているが、上段の小径パイプを最大に引き出さなくても、下段の小径パイプを引き出すことが可能となっているため、作業者によって小径パイプの引き出し長さに誤差が生じ、測定棒の設定長さにばらつきが生じ、測定対象物の地上高の測定精度が低下する。
【0007】
また、特許文献2に記載の測定棒は、内側の棒状部材を外側の棒状部材に摩擦力によって固定しているため、内側の棒状部材の外側の棒状部材からの振り出し長さに誤差が生じ、測定棒の設定長さにばらつきが生じ、測定対象物の地上高の測定精度が低下する。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、上方に設置された測定対象物の地上高を地上から高精度で測定することができる測定棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、上方の測定対象物の地上高を地上から測定する測定棒であって、複数のロッド伸縮可能に複数段に連結されてなり、最上段のロッドから順次引き伸ばし可能に構成されるとともに、最上段のロッドを除く上下段のロッド間に、該上段のロッドの引き伸ばしが阻止されたロック状態とすることが可能なロック機構が設けられ、該上段のロッドの更に上段のロッドに、当該更に上段のロッドが最大に引き伸ばされることにより前記ロック機構による前記ロック状態を解除して該上段のロッドを引き伸ばし可能とするロック解除機構が設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明の測定棒によれば、最上段のロッドから順次引き伸ばし可能に構成するとともに、上下段のロッドの更に上段のロッドを最大に引き伸ばしてロック機構を解除しない限り、当該上段のロッドを引き伸ばすことができないことになる。従って、測定棒を最上段のロッドから所望のロッドまで引き伸ばして所定の長さに設定し、この状態で上方の測定対象物の地上高を測定する場合に、引き伸ばしていないロッドが下段のロッドから飛び出すことはないので、測定棒を所定の長さに保った状態で測定対象物の地上高を測定することができ、測定精度を高めることができる。また、測定棒を所定の長さに設定した状態で他の測定箇所に移動する場合であっても、測定棒を所定の長さに保持することができるので、移動する毎に測定棒の長さの確認をする必要はなく、測定作業の効率を高めることができる。
【0011】
また、本発明は、上方の測定対象物の地上高を地上から測定する測定棒であって、
複数のロッドが伸縮可能に複数段に連結されてなり、最上段のロッドから順次引き伸ばし可能に構成されるとともに、最上段のロッドを除く上下段のロッド間に、該上段のロッドの更に上段のロッドを最大に引き伸ばすことにより、該上段のロッドを引き伸ばし可能とするロック機構が設けられ、当該更に上段のロッドに、前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構が設けられ、前記ロック機構は、上段のロッドに回動可能に設けられるロック部材と、下段のロッドに設けられるとともに、前記ロック部材を係止させるロック溝と、上段のロッドに設けられるとともに、前記ロック部材が前記ロック溝に係止された状態に付勢する付勢部材とからなり、前記ロック解除機構は、前記上段のロッドの更に上段のロッドに設けられ、該更に上段のロッドが最大に引き伸ばされることにより、前記ロック部材を前記付勢部材の付勢力に抗して押圧して、前記ロック部材が前記ロック溝に係止された状態を解除する突起と、該突起を押圧する弾発部材とから構成されていることを特徴とする。
本発明の測定棒によれば、上段のロッドのロック部材を下段のロッドのロック溝に係止させ、付勢部材の付勢力によってロック部材がロック溝内に係止された状態に保ち、上段のロッドの更に上段のロッドを最大に引き伸ばして、当該更に上段のロッドの突起でロック部材のロック溝への係止状態を解除しない限り、上段のロッドを下段のロッドから引き伸ばすことができないことになる。従って、測定棒を最上段のロッドから所望のロッドまで引き伸ばして所定の長さに設定し、この状態で上方の測定対象物の地上高を測定する場合に、引き伸ばしていないロッドが下段のロッドから飛び出すことはないので、測定棒を所定の長さに保った状態で測定対象物の地上高を測定することができ、測定精度を高めることができる。また、測定棒を所定の長さに設定した状態で他の測定箇所に移動する場合であっても、測定棒を所定の長さに保持することができるので、移動する毎に測定棒の長さの確認をする必要はなく、測定作業の効率を高めることができる。
また、本発明において、前記複数のロッドは、上段のロッドがその下段のロッドの内面側に伸縮可能に収納されていることとしてもよい。
【0012】
本発明の測定棒によれば、複数のロッドを引き伸ばす場合には、上段のロッドから順次その下段のロッドの内面側から引き伸ばし、複数のロッドを縮める場合には、下段のロッドから順次その下段のロッドの内面側に収納することになる。
【0013】
また、本発明において、前記最上段のロッドには、該最上段のロッドをその下段のロッドの内面側に収納された状態に連結する連結部材が設けられていることとしてもよい。
【0014】
本発明の測定棒によれば、固定部材によって最上段のロッドをその下段のロッドの内面側に収納された状態に固定することにより、測定棒を移動させる場合等に、最上段のロッドがその下段のロッドから飛び出るのを防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記各ロッドは、テーパ筒状又は円筒状をなすものを周方向に複数の支持片に分割して構成した測定部と、該測定部の複数の支持片の上端を円環状に固定する連結部材とからなり、上段のロッドの測定部の各支持片がその下段のロッドの測定部の各支持片の内面側に伸縮可能に収納されていることとしてもよい。
【0016】
本発明の測定棒によれば、各ロッドの測定部は、テーパ筒状又は円筒状をなすものを周方向に複数の支持片に分割して構成した測定部を備えているので、各ロッドを軽量化することができ、測定棒全体を軽量化することができ、測定棒の操作、移動を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明の測定棒によれば、最上段のロッドから所望のロッドまで引き伸ばして所定の長さに設定し、この状態で上方の測定対象物の地上高を測定する場合に、引き伸ばしていないロッドが下段のロッドから飛び出すことはなく、測定棒を所定の長さに保った状態で測定対象物の地上高を測定することができる。従って、測定精度を大幅に高めることができる。また、測定棒を所定の長さに設定した状態で他の測定箇所に移動する場合であっても、測定棒を所定の長さに保持することができるので、移動する毎に測定棒の長さの確認をする必要はなく、測定作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による測定棒の一実施の形態を示した概略図であって、各段のロッドを引き伸ばした状態を示した概略図である。
図2図1の測定棒の各段のロッドを収納した状態を示した概略図である。
図3図1の測定棒の測定部の概略図である。
図4図3のA−A線断面図である。
図5図1の測定棒の変形例を示した部分拡大図である。
図6図1の測定棒の変形例を示した部分拡大断面図である。
図7図1の測定棒の第7ロッド、第6ロッド、第5ロッド、及び第4ロッドを示した概略断面図である。
図8】測定棒の第7ロッドを引き伸ばす途中の過程を示した説明図である。
図9】第7ロッドを最大に引き伸ばした状態を示した説明図である。
図10】第6ロッドを引き伸ばす途中の過程を示した説明図である。
図11】第6ロッドを最大に引き伸ばした状態を示した説明図である。
図12】第7ロッドを収納する途中の過程を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1図7には、本発明による測定棒の一実施の形態が示されている。本実施の形態の測定棒1は、上方に設置された測定対象物の地上高を地上から測定するのに有効なものであって、本実施の形態においては、電柱間に架設された架空ケーブルの地上高の測定に適用している。
【0022】
本実施の形態の測定棒1は、図1図7に示すように、径、長さの異なる複数のロッド2を伸縮可能に連結して、最上段のロッド2aから順次引き伸ばし可能に構成するとともに、最上段のロッド2aを最大に引き伸ばさない限り、その下段のロッド2bを引き伸ばしできないように構成し、さらに、そのロッド2bを最大に引き伸ばさない限り、その下段のロッド2cを引き伸ばしできないように、最上段のロッド2aから順次1段ずつ引き伸ばし可能に構成したものである。
なお、本実施の形態においては、7本のロッド(第1ロッド2a〜第7ロッド2g)を伸縮可能に連結している。
【0023】
各ロッド2は、図3及び図4に示すように、テーパ筒状をなすものを周方向に4つの支持片7a〜7dに分割して構成した測定部7と、測定部7の4つの支持片(第1支持片7a〜第4支持片7d)の上端を円環状に束ねた状態に連結する連結リング9とから構成されている。各ロッド2は、図1及び図2に示すように、上段のロッド2の測定部7の各支持片7a〜7dがその下段のロッド2の測定部7の各支持片7a〜7dの内面側に引き伸ばし可能に収納されている。
なお、最下段のロッド2aは、テーパ筒状のままに構成され、この最下段のロッド2aが測定棒1を支持する柄部6に構成されている。また、最上段のロッド2gの上部には、測定対象の架空ケーブルに引っ掛けるためのフック(図示せず)が設けられている。
【0024】
各ロッドの測定部7の支持片7a〜7dの外面には目盛(図示せず)が付され、最上段の第7ロッド2gの上部のフックを架空ケーブルに引っ掛けた状態で、各ロッド2の目盛を読むことにより、架空ケーブルの地上高を測定することができる。
【0025】
各ロッド2の測定部7の下端部の内面側には、図3に示すように、弾性変形可能な球状の弾発体16が圧縮された状態で収納され、この弾発体16の弾発力により、各ロッド2の測定部7の各支持片7a〜7dが外方に押圧され、各ロッド2の測定部7の各支持片7a〜7dの下端がその下段のロッド2の測定部7の各支持片7a〜7dの内面に押し付けられる。例えば、図7に示すように、弾発体16の弾発力によって第7ロッド2gの測定部7の各支持片7a〜7dが外方に押圧され、第7ロッド2gの各支持片7a〜7dの下端が第6ロッド2fの測定部7の各支持片7a〜7dの内面に押し付けられる。
【0026】
なお、図5に示すように、上下段のロッド2g〜2f、2f〜2e、2e〜2dの連結リング4の端面4b、連結リング9の端面9c、9dを所定の角度で面取りし、上下段のロッド2g〜2f、2f〜2e、2e〜2dの連結リング4、9の端面間4b〜9c、9d、9c間に指等を挟むのを防止するように構成してもよい。
また、図6に示すように、各ロッド2(最上段の第7ロッド7gを除く)の測定部7の支持片7a、7cの内面、及び柄部6の内面を波形状に形成し、この波形状に形成した支持片7a、7cの内面、及び柄部6の内面に上段のロッド2g〜2aの測定部7の支持片7a、7cの突起8を係合させるように構成してもよい。このような構成とすることにより、各ロッド2g〜2aを引き伸ばす際に、各ロッド2g〜2aが自重によって下降するのを防止でき、各ロッド2g〜2aの引き伸ばし作業を容易に行うことができる。
【0027】
図7に示すように、各ロッド2の測定部7の対向する2つの支持片(第1支持片7a及び第3支持片7c)の下端には、外方に突出する突起8がそれぞれ設けられ、各ロッド2の連結リング9(第7ロッド2gの連結リング9を除く)の内面側の対向する2箇所(上段のロッド2の第1支持片7a及び第3支持片7cに対応する部分)には、それぞれ連結溝10が設けられ、上段のロッド2の第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8が下段のロッド2の連結リング9の各連結溝10内に嵌合可能に構成されている。
【0028】
各連結リング9(第7ロッド2gの連結リング9を除く)には、上段のロッド2の測定部7がその下段のロッド2の測定部7の内面側に収納された状態にロックし、上段のロッド2の上部のロッド2を最大に引き伸ばすことにより、そのロック状態を解除するロック機構12が設けられている。
【0029】
ロック機構12は、連結リング9の底部9aに設けられた貫通孔9b内を貫通して、上端が連結溝10内に突出し、下端が連結リング9の底部9aよりも下方に突出する棒状のロック部材13と、ロック部材13を図中矢印方向に回動可能に支持する支持軸14と、ロック部材13の上端を連結リング9の中心方向に付勢する付勢部材としてのばね15とから構成されている。
【0030】
ロック部材13の下端には、外方に突出するフック13aが一体に設けられ、このフック13aが下段のロッド2の連結リング9(第7ロッド2gの連結リング9及び第6ロッド2fの連結リング9を除く)のロック溝11内に係止される。これにより、上段のロッド2(例えば第6ロッド2f)が下段のロッド2(例えば第5ロッド2e)に連結され、上段のロッド2(例えば第6ロッド2f)が下段のロッド2(例えば第5ロッド2e)引き伸ばされるのが阻止される。
【0031】
ロック機構12によるロックを解除するには、ロックを解除する対象の上段のロッド2の上部のロッド2の測定部7を引き伸ばし、そのロッド2の測定部7のロック解除機構としての第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8を弾発部材16の弾発力によって上段のロッド連結リング9の各連結溝10内に嵌合させ、各突起8でロック部材13の上端をばね15の付勢力に抗して外方に押圧する。これにより、ロック部材13が支持軸14を中心として時計周り又は反時計周りに回動し、ロック部材13のフック13aのロック溝11への係止状態が解除され、対象の上段のロッド2を下段のロッド2から引き伸ばすことが可能となる。
【0032】
なお、最上段の第7ロッド2gは、第7ロッド2gの測定部7の外側にスライド可能に設けられている連結リング4を第6ロッド2fの上端に連結することで、第6ロッド2fから引き伸ばされるのが阻止され、連結リング4を第6ロッド2fから取り外すことで、第6ロッド2fから引き伸ばし可能な状態となる。
【0033】
ここで、連結リング4は、中心部に第7ロッド2gの測定部7を挿通させる挿通孔4aが設けられるキャップ状をなすものであって、内面側に設けられた雌ねじ5を第6ロッド2fの連結リング9の上部に設けられた雄ねじ3に螺合させることにより、第6ロッド2fの上端に連結される。
【0034】
このような構成の連結リング4を第6ロッド2fの上端に連結することにより、第7ロッド2gの測定部7の各支持片7a〜7dの外面が連結リング4の挿通孔4aの内面に当接され、第7ロッド2gの測定部7の各支持片7a〜7dが挿通孔4aから所定以上に引き伸ばされるのが阻止される。連結リング4を第6ロッド2fから取り外すことにより、連結リング4がフリーの状態となり、第7ロッド2gの測定部7の各支持片7a〜7dを連結リング4を伴った状態で第6ロッド2fの測定部7から引き伸ばすことができる。
【0035】
次に、上記のように構成した本実施の形態の測定棒1の引き伸ばしの手順について説明する。
まず、図8に示すように、連結リング4を第6ロッド2fから取り外し、連結リング4をフリーの状態とすることにより第7ロッド2gを引き伸ばし可能な状態とする。
この場合、第6ロッド2fのロック部材13のフック3aが第5ロッド2eのロック溝11内に係止され、第5ロッド2eのロック部材13のフック3aが第4ロッド2dのロック溝11内に係止されていることにより、第6ロッド2f、第5ロッド2eの引き伸ばしが阻止される。同様に、図示はしないが、第4ロッド2d、第3ロッド2c、第2ロッド2b、第1ロッド2aの引き伸ばしも阻止される。
【0036】
次に、図9に示すように、第7ロッド2gを最大に引き伸ばし、弾発体16の弾発力によって測定部7の各支持片7a〜7dを外方に押圧することにより、第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8を第6ロッド2fの連結リング9の連結溝10内に嵌合させる。
【0037】
これにより、第7ロッド2gが最大に引き伸ばした状態に固定される。また、第6ロッド2fのロック部材13の上端がばね15の付勢力に抗して外方に押圧されることにより、ロック部材13が支持軸14を中心として時計周り又は反時計周りに回動し、ロック部材13のフック13aの第5ロッド2eのロック溝11への係止状態が解除され、第6ロッド2fが引き伸ばし可能な状態となる。
【0038】
次に、図10に示すように、第7ロッド2gの測定部7の第1支持片7aの突起及び第3支持片7cの突起8が第6ロッド2fの連結溝10内に嵌合された状態で、第7ロッド2gと第6ロッド2fとを一体に引き伸ばす。
【0039】
そして、図11に示すように、第6ロッド2fを最大に引き伸ばすことにより、第6ロッド2fの測定部7の第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8を第5ロッド2eの連結溝10内に嵌合させる。
【0040】
これにより、第6ロッド2fが最大に引き伸ばした状態に固定される。また、第5ロッド2eのロック部材13の上端がばね15の付勢力に抗して外方に押圧されることにより、ロック部材13が支持軸14を中心として時計周り又は反時計周りに回動し、ロック部材13のフック13aの第4ロッド2dのロック溝11への係止状態が解除され、第5ロッド2fが引き伸ばし可能な状態となる。
【0041】
そして、同様の作業を順次行うことにより、第5ロッド2f〜第1ロッド2aをそれぞれ最大に引き伸ばすことができる。
なお、第1ロッド2aのロック部材13は、第1ロッド2aの下段の柄部6に設けられたロック溝11内にフック13aを係止させることで、柄部6の内面側に収納された状態に固定されている。
【0042】
次に、最大に引き伸ばした各ロッド2を収納する手順について説明する。
最大に引き伸ばした各ロッド2を収納する場合には、第2ロッド2b、第3ロッド2c、第4ロッド2d、第5ロッド2e、第6ロッド2f、第7ロッド2gの順に収納し、最後に連結リング4を雄ねじ3に締め付ける。
【0043】
例えば、第6ロッド2fを第5ロッド2eの内面側に収納するには、図12に示すように、第6ロッド2fの測定部7の各支持片7a〜7dを手で握り締め、弾発体16をその弾発力に抗して圧縮変形させることにより測定部7の下端を図中矢印a方向に縮径させ、測定部7の第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8を第5ロッド2eの連結溝10から離脱させる。そして、この状態で測定部7の各支持片7a〜7dを第5ロッド2eの測定部7の各支持片7a〜7dの内面側(図中矢印b方向)に押し込む。これにより、図7に示すように、第6ロッド2fのロック部材13のフック13aが第5ロッド2eのロック溝11内に係止され、第6ロッド2fが第5ロッド2eの内面側に収納された状態に固定される。
【0044】
また、第7ロッド2gを第6ロッド2fの内面側に収納するには、図12に示す第6ロッド2fと同様に、第7ロッド2gの測定部7の各支持片7a〜7dを手で握り締め、弾発体16をその弾発力に抗して圧縮変形させることにより測定部7の下端を縮径させ、測定部7の第1支持片7aの突起8及び第3支持片7cの突起8を第6ロッド2fの連結溝10から離脱させる(連結溝10から離脱させた状態は図示を省略する。)。
【0045】
そして、この状態で、図7に示すように、測定部7の各支持片7a〜7dを第6ロッド2fの測定部7の各支持片7a〜7dの内面側に押し込み、連結リング4の雌ねじ5を第6ロッド2fの上部の雄ねじ3に螺合させる。これにより、第7ロッド2gが第6ロッド2fの内面側に収納された状態に固定される。
【0046】
なお、図7においては、第6ロッド2fを第5ロッド2eの内面側に収納する場合について説明したが、第2ロッド2b〜第5ロッド2eをそれぞれ下段のロッド2a〜2dの内面側に収納する場合についても、同様の作業を行うことになる。
【0047】
上記のように構成した本実施の形態の測定棒1にあっては、最上段の第7ロッド2gが連結リング4によって第6ロッド2fの内面側に収納された状態に固定され、第6ロッド2f〜第2ロッド2bがそれぞれ下段のロッド2e〜2aの内面側に収納された状態にロック機構12によって固定され、最下段の第1ロッド2aがその下段の柄部6の内面側に収納された状態にロック機構12により固定されているので、連結リング4を取り外さない限り、或いはロック機構12によるロック状態を解除しない限り、各ロッド2a〜2gを引き伸ばすことができない。
【0048】
また、最上段の第7ロッド2gを連結リング4を取り外して最大に引き伸ばさない限り、その下段の第6ロッド2fを引き伸ばすことができず、また、第6ロッド2fを最大に引き伸ばしてロック機構12によるロック状態を解除しない限り、その下段の第5ロッド2eを引き伸ばすことができず、同様に、第4ロッド2d〜第1ロッド2aについても、上段のロッド2e〜2bを最大に引き伸ばしてロック機構12によるロック状態を解除しない限り引き伸ばすことができない。
【0049】
従って、測定棒1を最上段から所望のロッド2g〜2aまで最大に引き伸ばし、測定棒1を所定の長さに設定した状態で架空ケーブルの測定を行う場合に、下段のロッド2f〜2a、及び柄部6の内面側に収納した状態に固定されている上段段のロッド2g〜2aが下段のロッド2f〜2a、及び柄部6から自由に伸びてしまうようなことはなく、測定棒1による測定精度を高めることができる。
【0050】
また、測定棒1を所定の長さに設定した状態で移動するような場合にも、下段のロッド2f〜2a、及び柄部6の内面側に収納した状態に固定されている上段段のロッド2g〜2aが下段のロッド2f〜2a、及び柄部6から自由に伸びてしまうようなことはないので、測定ごとに測定棒1の設定長さを確認する必要がなく、架空ケーブルの測定効率を高めることができる。
【0051】
また、上下段のロッド2g〜2f、2f〜2e、2e〜2dの端面2hを所定の角度で面取りした場合には、上下段のロッド2g〜2f、2f〜2e、2e〜2dの端面2h間に指等を挟むのを防止できるので、作業上の安全性を確保することができる。
【0052】
また、各ロッド2a〜2gの測定部7を4つの支持片7a〜7dに分割して構成しているので、各ロッド2a〜2gの軽量化を図ることができ、長尺の測定棒1の操作性を高めることができる。
【0053】
さらに、各ロッド2(最上段の第7ロッド2gを除く)の測定部7の支持片7a、7cの内面を波形状に形成し、この波形状に形成した支持片7a、7cの内面に上段のロッド2g〜2aの測定部7の支持片7a、7cの突起8を接触させるように構成することにより、各ロッド2g〜2aを引き伸ばす際に、各ロッド2g〜2aが自重により下降するのを防止でき、各ロッド2g〜2aの引き伸ばし作業を効率よく行うことができる。
【0054】
なお、前記の説明においては、各ロッド2の測定部7をテーパ筒状のものを4つの支持片7a〜7dに分割して構成したが、3つ以下、又は5つ以上の支持片に分割してもよい。また、円筒状のものを複数の支持片に分割して構成してもよい。
【0055】
また、前記の説明においては、上段のロッド2の対向する2つの支持片(第1支持片7a及び第3支持片7c)に突起8を設け、それに対応するように、下段のロッド2の連結リング9の内面に連結溝10を設けたが、少なくとも一つの支持片7a〜7dの下端に突起8を設け、その支持片7a〜7dに対応するように、下段のロッド2の連結リング9の内面に連結溝10を設けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 測定棒
2a 第1ロッド
2b 第2ロッド
2c 第3ロッド
2d 第4ロッド
2e 第5ロッド
2f 第6ロッド
2g 第7ロッド
2h 端面
3 雄ねじ
4 連結部材(連結リング)
4a 挿通孔
4b 端面
5 雌ねじ
7 測定部
7a 第1支持片
7b 第2支持片
7c 第3支持片
7d 第4支持片
8 ロック解除機構(突起)
9 連結リング
10 連結溝
9a 底部
9b 貫通孔
9c 端面
9d 端面
11 ロック溝
12 ロック機構
13 ロック部材
13a フック
14 支持軸
15 付勢部材(ばね)
16 弾発部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12