特許第6121743号(P6121743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6121743
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20170417BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G01N35/10 A
   G01N35/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-27909(P2013-27909)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157073(P2014-157073A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】熊田 美智男
【審査官】 渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−240328(JP,A)
【文献】 特開平10−048220(JP,A)
【文献】 特開平11−271324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料の吸引及び吐出、並びに洗浄液の吐出を行う分注プローブと、
前記試料の吸引、前記試料の吐出又は前記洗浄液の吐出のいずれか1つが行われているときの前記分注プローブ内の圧力を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記1つが行われているときの圧力及び予め設定された第1の閾値に基づいて前記分注プローブが正常な状態であるか否かを判定し、前記分注プローブが異常な状態であると判定した場合、当該1つが行われた後、前記検出器により検出された前記1つが行われているときの圧力及び予め設定された第2の閾値に基づいて前記分注プローブが正常な状態であるか否かを判定する判定部とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記検出器により検出された前記試料が吸引されているときの圧力及び吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定し、前記分注プローブが異常な状態であると判定して当該試料の吸引が行われた後に、前記検出器により検出された前記試料が吸引されているときの圧力及び吸引量に応じて設定された第2の閾値に基づいて判定し、
前記試料の吸引時の判定に用いられる前記第2の閾値は、前記第1の閾値が用いられるときの前記試料の吸引量と同じである場合、前記第1の閾値よりも大きい圧力値であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記検出器により検出された前記試料が吐出されているときの圧力及び吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定し、前記分注プローブが異常な状態であると判定して当該試料の吐出が行われた後に、前記検出器により検出された前記試料が吐出されているときの圧力及び吐出量に応じて設定された第2の閾値に基づいて判定し、
前記試料の吐出時の判定に用いられる前記第2の閾値は、前記第1の閾値が用いられるときの前記試料の吐出量と同じである場合、前記第1の閾値よりも小さい圧力値であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記検出器により検出された前記洗浄液が吐出されているときの圧力及び吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定し、前記分注プローブが異常な状態であると判定して当該洗浄液の吐出が行われた後に、前記検出器により検出された前記洗浄液が吐出されているときの圧力及び吐出量に応じて設定された第2の閾値に基づいて判定し、
前記洗浄液の吐出時の判定に用いられる前記第2の閾値は、前記第1の閾値が用いられるときの前記洗浄液の吐出量と同じである場合、前記第1の閾値よりも小さい圧力値であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記分注プローブは、前記1つが行われているときの圧力及び前記第1の閾値に基づいて前記分注プローブが異常な状態であると判定された後に前記洗浄液を吐出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記分注プローブは、前記1つが行われているときの圧力及び前記第2の閾値に基づいて前記分注プローブが異常な状態であると判定された場合、判定された以降の前記試料の吸引及び吐出を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記分注プローブは、前記試料が吸引されているときの圧力及び吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定され、判定された後に分注する試料がない場合に洗浄液を吐出し、
前記判定部は、前記洗浄液が吐出されているときの圧力及び吐出量に応じて予め設定された第3の閾値に基づいて前記分注プローブが正常な状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された試料等の液体に含まれる成分を分析するための自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を光学的に測定する。この測定により、試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、試料毎に選択された各検査項目の分析を行う。そして、サンプル分注プローブが試料容器に収容された試料を吸引して反応容器に吐出し、試薬分注プローブが試薬容器内の試薬を吸引して反応容器に吐出する。次いで、測光部が反応容器内に吐出された試料と試薬の混合液を測定する。
【0004】
ところで、各検査項目の分析では、試料として血液から分離された血清や血漿が用いられることが多い。この試料には血液成分から生成するフィブリン等の不溶物が含まれていることがあり、不溶物により試料を吸引している分注プローブに詰まりが生じたとき、試料の分注精度を低下させる原因となる。
【0005】
この問題を解決するために、サンプル分注プローブに試料の吸引及び吐出を行わせるシリンジとサンプル分注プローブの間の圧力を検出する圧力センサを設けることにより、サンプル分注プローブの詰まりを検知することができる自動分析装置が知られている。この自動分析装置では、サンプル分注プローブが試料を吸引しているときの圧力を検出し、検出した圧力が閾値より小さい値であるときに詰まりを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−48220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、詰まりを検知した後に試料を吸引しているときの圧力値が大きくなるものの、閾値より低いために詰まりとして検知されずに、分析データが悪化する問題がある。
【0008】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、分注プローブの詰まりによる分析データの悪化を防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料と試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料の吸引及び吐出、並びに洗浄液の吐出を行う分注プローブと、前記試料の吸引、前記試料の吐出又は前記洗浄液の吐出のいずれか1つが行われているときの前記分注プローブ内の圧力を検出する検出器と、前記検出器により検出された前記1つが行われているときの圧力及び予め設定された第1の閾値に基づいて前記分注プローブが正常な状態であるか否かを判定し、前記分注プローブが異常な状態であると判定した場合、当該1つが行われた後、前記検出器により検出された前記1つが行われているときの圧力及び予め設定された第2の閾値に基づいて前記分注プローブが正常な状態であるか否かを判定する判定部とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
図3】実施形態に係るサンプル分注プローブ、分注ユニット、圧力検出器及び分注モニタ部の構成の一例を示す図。
図4】実施形態に係るサンプル分注プローブが試料を吸引しているときに圧力検出器により検出される圧力の変化の一例を示す図。
図5】実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料等の各試料と各検査項目の分析用の試薬とを分注し、その混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部26を備えている。また、分析部26の分析に関る各分析ユニットを移動する駆動部27と、駆動部27を制御する分析制御部28と、分析部26で試料の分注が行われるときの状態等をモニタして異常を検知する分注モニタ部30とを備えている。
【0013】
また、自動分析装置100は、分析部26で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部40と、データ処理部40で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部50と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、分析制御部28、分注モニタ部30、データ処理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0014】
図2は、分析部26の構成を示した斜視図である。この分析部26は、各検査項目の標準試料や被検試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持する試料容器ホルダ5とを備えている。また、各検査項目の分析用の試薬のうちの例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を保持する試薬ラック1aと、試薬ラック1aに保持された試薬容器6を保冷する試薬庫1とを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を保持する試薬ラック2aと、試薬ラック2aに保持された試薬容器7を保冷する試薬庫2とを備えている。また、円周上に配置された複数個の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4を備えている。
【0015】
また、試料容器ホルダ5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注や洗浄液の吐出を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16に試料の吸引、試料の吐出及び洗浄液の吐出を行わせる分注ユニット18とを備えている。また、サンプル分注プローブ16と分注ユニット18の間を連通している流路の圧力を検出する圧力検出器19と、試料容器ホルダ5に保持された試料容器17内の試料を検出する液面検出器16aと、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、サンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16bとを備えている。
【0016】
また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14aと、反応容器3内に吐出された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子20とを備えている。
【0017】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15aとを備えている。また、反応容器3内の試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子21と、反応容器3に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル12とを備えている。
【0018】
そして、測定部13は、反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部40に出力する。
【0019】
駆動部27は、試料容器ホルダ5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、洗浄ノズル12を上下移動する機構を備えている。また、分注ユニット18を吸引及び吐出駆動する機構を備えている。
【0020】
分析制御部28は、駆動部27の各機構を制御する制御回路を備え、分析部26の試料容器ホルダ5、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、洗浄ノズル12、及び分注ユニット18等の各ユニットを作動させる。
【0021】
分注モニタ部30は、分析部26のサンプル分注プローブ16が試料の吸引、試料の吐出、又は洗浄液の吐出を行っているときに圧力検出器19で検出された圧力及び予め設定された第1の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、サンプル分注プローブ16に詰まりが生じて異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16の警告情報をシステム制御部70に出力する。
【0022】
また、異常な状態であると判定した後にサンプル分注プローブ16が試料の吸引、試料の吐出、又は洗浄液の吐出を行っているときに圧力検出器19で検出された圧力及び第2の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。そして、サンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16の異常情報をシステム制御部70に出力する。
【0023】
図1に示したデータ処理部40は、分析部26の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部41と、演算部41で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部42とを備えている。
【0024】
演算部41は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを検査項目毎に生成し、生成した検量データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部42に保存する。
【0025】
また、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部42から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部42に保存する。
【0026】
データ記憶部42は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部41から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部41から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0027】
出力部50は、データ処理部40の演算部41から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、演算部41から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0028】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部41から出力された検量データや分析データを表示する。また、各検査項目の分析用として反応容器3内に吐出させる試料量及び試薬量等の分析パラメータの設定を行う分析パラメータ設定画面等を表示する。また、分析モニタ部30より出力され、システム制御部70から供給されるサンプル分注プローブ16の警告情報や異常情報を表示する。
【0029】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータ、試薬情報等を設定するための入力を行う。
【0030】
システム制御部70は、CPU及び記憶回路を備え、操作部60からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータ等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部28、分注モニタ部30、データ処理部40、及び出力部50を統括してシステム全体を制御する。また、分析モニタ部30から出力される警告情報や異常情報を出力部50の表示部52に表示出力させる。
【0031】
次に、図2乃至図4を参照して、分析部26の試料の分注に関わるサンプル分注プローブ16、分注ユニット18、及び圧力検出器19、並びに分注モニタ部30の構成について詳細に説明する。
【0032】
図3は、サンプル分注プローブ16、分注ユニット18、圧力検出器19、及び分注モニタ部30の構成の一例を示した図である。このサンプル分注プローブ16は、一端に試料の吸引及び吐出を行う開口を有し、他端部が分注ユニット18との間を連通しているチューブ22の一端部に接続されている。そして、サンプル分注アーム10を駆動する駆動部27により移動する。
【0033】
そして、サンプル分注プローブ16は、全血の遠心分離により上層に位置する血漿又は血清を含む上層試料及び下層に位置する赤血球、白血球及び血小板等の有形成分を含む下層試料を収容する採血管などの試料容器17から、各検査項目の分析用として設定された試料量に対応する量の上層試料や下層試料を吸引する。そして、設定された試料量の試料を反応容器3内に吐出する。
【0034】
分注ユニット18は、一端部がチューブ22の他端部に接続されたシリンジ181と、シリンジ181の他端部に設けた開口に勘合するプランジャ182と、サンプル分注プローブ16、チューブ22、及びシリンジ181の各内部に充填されている例えば純水等の液状の圧力伝達媒体を貯留するタンク183とにより構成される。また、タンク183に貯留された圧力伝達媒体をシリンジ181内に供給するポンプ184と、シリンジ181とポンプ184の間を連通している流路を開閉する開閉弁185とにより構成される。
【0035】
そして、試料の分注における吸引では、シリンジ181とポンプ184の間の流路が分析制御部28により駆動制御される開閉弁185で閉鎖された状態で、駆動部27がプランジャ182を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、サンプル分注プローブ16は試料容器17内の試料を吸引する。また吐出では、駆動部27がプランジャ182を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、サンプル分注プローブ16は吸引した試料を反応容器3内へ吐出する。
【0036】
また、各試料の分注終了毎の洗浄では、シリンジ181とポンプ184の間の流路が開閉弁185で開放された状態で、駆動部27がポンプ184を洗浄駆動することにより、サンプル分注プローブ16は、ポンプ184から供給されるタンク183内の洗浄液としての圧力伝達媒体を洗浄槽16b内へ吐出する。
【0037】
圧力検出器19は、圧力伝達媒体が充填されたチューブ22内の流路の圧力を大気の圧力を基準として測定する圧力センサ191と、この圧力センサ191の信号を増幅するアンプ192と、アンプ192で増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換器193とを備えている。そして、チューブ22内の圧力を測定することにより、試料の吸引、試料の吐出又は洗浄液の吐出が行われているときのサンプル分注プローブ16内の圧力を検出する。そして、検出した圧力のデータを分注モニタ部30へ出力する。
【0038】
分注モニタ部30は、分析部26のサンプル分注プローブ16内の圧力を検出した圧力検出器19から出力される圧力データを収集する収集部31と、サンプル分注プローブ16の状態を判定するための分注する試料の種別、及び試料の吸引量又は洗浄液の吐出量に応じて設定された第1乃至第3の閾値を保存する閾値記憶部32とを備えている。また、収集部31で収集された圧力データ及び閾値記憶部32に保存された第1乃至第3の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する判定部33を備えている。
【0039】
そして、サンプル分注プローブ16が上層試料を吸引しているとき、圧力検出器19により検出された圧力並びに各第1及び第2の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。また、サンプル分注プローブ16が洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力並びに第3の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。また、上層試料よりも吸引抵抗の大きい下層試料を分注した後にサンプル分注プローブ16が洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力並びに各第1及び第2の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。
【0040】
収集部31は、サンプル分注プローブ16が上層試料を吸引しているときの吸引量に応じて予め設定されたタイミングで圧力検出器19からの圧力データを収集する。また、サンプル分注プローブ16が上層試料を分注した後に行われる洗浄液を吐出しているときの吐出量に応じて予め設定されたタイミングで圧力検出器19からの圧力データを収集する。また、サンプル分注プローブ16が下層試料を分注した後に行われる洗浄液を吐出しているときの吐出量に応じて予め設定されたタイミングで圧力検出器19からの圧力データを収集する。
【0041】
閾値記憶部32には、各検査項目の分析用として設定される試料量に基づいてサンプル分注プローブ16が吸引する上層試料の吸引量に応じて設定された複数の第1の閾値が保存されている。また、第1の閾値に基づいて詰まりが生じて異常な状態であると判定された後に吸引する上層試料の吸引量に応じて設定された複数の第2の閾値が保存されている。また、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定された後に吐出する洗浄液の吐出量に応じて設定された第3の閾値が保存されている。
【0042】
また、閾値記憶部32には、サンプル分注プローブ16が下層試料を分注した後に1回目に吐出する洗浄液の吐出量に応じて予め設定された第1の閾値が保存されている。また、洗浄液の第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定された後に2回目に吐出する洗浄液の吐出量に応じて予め設定された第2の閾値が保存されている。
【0043】
上層試料吸引時の判定に用いられる第1の閾値は、試料の吸引量毎に設定され、詰まりの原因となる不溶物を含まない血清又は血漿の上層試料及び詰まりの原因となる不溶物を含む上層試料を分注させたときの圧力と分注精度の関係を吸引量毎の実験から求めることにより得られたものである。
【0044】
判定部33は、整備されたサンプル分注プローブ16が上層試料を吸引しているとき、圧力検出器19により検出された圧力及び上層試料の吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。そして、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16の警告情報をシステム制御部70に出力する。警告したサンプル分注プローブ16から不溶部を除去するために所定量の洗浄液が吐出される。また、正常な状態であると判定した場合、判定した後の上層試料の吸引時に吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定する。
【0045】
しかしながら、異常な状態であると判定された後の所定量の洗浄液だけではサンプル分注プローブ16に不溶物の一部が残留することが原因であると推定される、洗浄液を吐出した後の分注では設定された試料量の試料を精度よく分注できない問題が発生することがある。この事態に備えて、第2の閾値が用いられる。
【0046】
上層試料吸引時の判定に用いられる第2の閾値は、試料の吸引量毎に設定され、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定され、洗浄液を吐出した後に上層試料を吸引しているときの圧力とその試料の分注精度との関係を、吸引量毎に実験から求めることにより得られたものである。そして、第1及び第2の閾値を用いて判定するときの試料の吸引量が同じ量である場合、第1の閾値よりも大きい圧力値になるように第2の閾値を設定する。
【0047】
このように、第2の閾値を設定し、設定した第2の閾値に基づいて判定することにより、詰まりの原因としてサンプル分注プローブ16に残留する不溶物を精度よく検出することができる。
【0048】
判定部33は、第1の閾値に基づく詰まりの判定により、サンプル分注プローブ16が洗浄液を吐出した後に上層試料を吸引しているとき、圧力検出器19により検出された圧力及び吸引量に応じて設定された第2の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。そして、正常な状態であると判定した場合、判定した後の上層試料の吸引時に吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定する。また、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16から不溶部を除去することができないと判断して以降の分注を停止させるサンプル分注プローブ16の異常情報をシステム制御部70に出力する。
【0049】
上層試料分注後の洗浄時の判定に用いられる第3の閾値は、第1の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定された後に所定量の洗浄液を吐出しているときの圧力と、洗浄液を吐出した後に分注される試料の分注精度との関係を実験から求めることにより得られたものである。
【0050】
判定部33は、第1の閾値に基づく詰まりの判定により、サンプル分注プローブ16が洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力と洗浄液の吐出量に応じて設定された第3の閾値に基づいて正常な状態であるか否かを判定する。そして、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16から不溶部を除去することができないと判断して以降の試料の分注を停止させるサンプル分注プローブ16の異常情報をシステム制御部70に出力する。
【0051】
下層試料分注後の1回目の洗浄時に用いられる第1の閾値は、下層試料を分注させた後に1回目の洗浄液を吐出しているときの圧力と1回目の洗浄液を吐出した後に例えば不溶物を含まない上層試料を分注させたときの分注精度の関係を実験から求めることにより得られたものである。また、2回目の洗浄時に用いられる第2の閾値は、下層試料を分注させた後に2回目の洗浄液を吐出しているときの圧力と2回目の洗浄液を吐出した後に不溶物を含まない上層試料を分注させたときの分注精度の関係を実験から求めることにより得られたものである。そして、第1及び第2の閾値を用いて判定するときの洗浄液の吐出量が同じ量である場合、第1の閾値よりも小さい圧力値になるように第2の閾値を設定する。
【0052】
判定部33は、サンプル分注プローブ16が下層試料を分注した後に1回目の洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力及び洗浄液の吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて正常な状態であるか否かを判定する。そして、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16から2回目の洗浄液が吐出される。また、正常な状態であると判定した場合、判定した後に分注される試料が上層試料である場合には吸引時に吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定し、判定した後の試料が下層試料である場合には分注後の1回目の洗浄時に第1の閾値に基づいて判定する。
【0053】
また、判定部33は、サンプル分注プローブ16が2回目の洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力及び洗浄液の吐出量に応じて設定された第2の閾値に基づいて正常な状態であるか否かを判定する。そして、正常な状態であると判定した場合、判定した後の試料が上層試料である場合には吸引時に吸引量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定し、判定した後の試料が下層試料である場合には分注後の1回目の洗浄時に第1の閾値に基づいて判定する。また、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16から不溶部を除去することができないと判断して以降の試料の分注を停止させるサンプル分注プローブ16の異常情報をシステム制御部70に出力する。
【0054】
システム制御部70では、判定部33からのサンプル分注プローブ16の警告情報に基づいて、サンプル分注プローブ16の警告情報を出力部50に出力させると共に分析制御部28にサンプル分注プローブ16に試料の分注を停止させ、洗浄液を吐出させて洗浄を行わせる。また、判定部33からの異常情報に基づいて、サンプル分注プローブ16の異常情報を出力部50に出力させると共に分析制御部28に以降の試料の分注を停止させる。
【0055】
なお、サンプル分注プローブ16が吐出する上層試料の吐出量に応じて第1の閾値及びこの第1の閾値と試料の吐出量が同じである場合に第1の閾値よりも小さい圧力値となる第2の閾値を設定し、サンプル分注プローブ16が上層試料を吐出しているとき、判定部33は圧力検出器19により検出された圧力及び上層試料の吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて正常な状態であるか否かを判定する。そして、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16によりは不溶部を除去するために所定量の洗浄液を吐出させる。また、正常な状態であると判定した場合、判定した後の上層試料の吐出時に吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定する。次いで、第1の閾値に基づく異常の判定により洗浄液を吐出した後にサンプル分注プローブ16が上層試料を吐出しているとき、圧力検出器19により検出された圧力及び上層試料の吐出量に応じて設定された第2の閾値に基づいて正常な状態であるか否かを判定する。そして、異常な状態であると判定した場合、サンプル分注プローブ16から不溶部を除去することができないと判断して以降の試料の分注を停止させる。また、正常な状態であると判定した場合、判定した後の上層試料の吐出時に吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて判定して実施するようにしてもよい。
【0056】
図4は、サンプル分注プローブ16が試料を吸引しているときに圧力検出器19により検出される圧力の変化の一例を示した図である。この圧力の変化は、横軸を時間の単位とし縦軸を圧力の単位とする座標上に3種類の第1乃至第3の曲線W1乃至W3で表される。そして、サンプル分注プローブ16が吸引する上層試料の吸引量に対応する第1及び第2の閾値L1,L2が設定されている。そして、第2の閾値L2は、第1の閾値L1が用いられるときの試料の吸引量と同じである場合、第1の閾値L1よりも大きい圧力値となるように設定されている。
【0057】
第1の曲線W1は、整備されたサンプル分注プローブ16が詰まりの原因となる不溶物を含まない上層試料を所定量吸引しているときの圧力の変化を示している。このように、試料の吸引が開始されてから圧力が少し低下するものの、タイミングTgで収集される圧力データが第1の閾値L1よりも大きい圧力値を示しているため、判定部33はサンプル分注プローブ16が正常な状態であると判定する。
【0058】
第2の曲線W2は、整備されたサンプル分注プローブ16が詰まりの原因となる不溶物を含む上層試料を第1の曲線W1の場合と同じ量吸引しているときの圧力の変化を示している。このように、試料の吸引が開始されてから圧力が第1の曲線W1の場合よりも大きく低下し、タイミングTgで収集される圧力データが第1の閾値L1よりも小さい圧力値を示しているため、判定部33はサンプル分注プローブ16に詰まりが生じて異常な状態であると判定する。
【0059】
第3の曲線W3は、詰まりを生じていると判定されたサンプル分注プローブ16が所定量の洗浄液を吐出した後に不溶物を含まない上層試料を第1の曲線W1の場合と同じ量吸引しているときの圧力の変化を示している。このように、試料の吸引が開始されてから圧力が第2の曲線W2の場合よりも圧力の低下が少ないものの、第1の曲線W1の場合よりも大きく低下していることから、サンプル分注プローブ16に不溶物の一部が残留して吸引抵抗が大きくなっていることが推測される。そして、タイミングTgで収集される圧力データが第1の閾値L1よりも大きな圧力値を示し、且つ第2の閾値L2よりも小さな圧力値を示しているため、判定部33はサンプル分注プローブ16に第2の曲線W2の場合よりも程度の低い詰まりが生じて異常な状態であると判定する。
【0060】
このように、第1の閾値L1を用いて異常な状態であると判定されたサンプル分注プローブ16から洗浄液を吐出させて洗浄を行った後に試料の分注が行われるとき、第2の閾値L2を用いて判定することにより、第1の閾値L1では正常な状態であると判定されるサンプル分注プローブ16の詰まりの原因として残留する不溶物を検出して異常な状態であると判定することができる。
【0061】
以下、図1乃至図5を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0062】
図5は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。表示部52の分析パラメータ設定画面で検査項目Aに試料量VAが設定され、検査項目Bに試料量VBが設定される。そして、検査項目Aの分析を行う上層試料P1を収容する試料容器17及び検査項目Bの分析を行う上層試料P2を収容する試料容器17が試料容器ホルダ5に保持される。そして、操作部60から測定開始の操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0063】
システム制御部70は、分析制御部28、分注モニタ部30、データ処理部40、及び出力部50に分析を指示する。分析制御部28は、駆動部27を制御して分析部26の各分析ユニットを作動させる。分析部26のサンプル分注プローブ16は、試料容器17内の上層試料P1の吸引が可能な吸引位置へ移動する。次いで、試料容器17内の検査項目Aを分析するための上層試料P1を吸引する(ステップS2)。
【0064】
分注モニタ部30の収集部31は、サンプル分注プローブ16が上層試料P1を吸引しているとき、圧力検出器19から出力される圧力データを収集して判定部33に出力する(ステップS3)。
【0065】
判定部33は、検査項目Aの試料の種別(上層試料)及び試料量VAの吸引量に応じて設定された第1の閾値を閾値記憶部32から読み出す。そして、読み出した第1の閾値及び収集部31により収集された圧力データに基づいて、サンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。
【0066】
そして、収集された圧力データが第1の閾値よりも小さい圧力値である場合(ステップS4のいいえ)、サンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定する。また、収集された圧力データが第1の閾値以上の圧力値である場合(ステップS4のはい)、サンプル分注プローブ16が正常な状態であると判定し、ステップS10へ移行する。
【0067】
ステップS4の「いいえ」の後に、判定部33は警告情報をシステム制御部70に出力する。システム制御部70は判定部33からの警告情報に基づいて、サンプル分注プローブ16の警告情報を出力部50に出力させると共に分析制御部28に上層試料P1の分注を停止させ、サンプル分注プローブ16の洗浄を行わせる。
【0068】
このように、第1の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態である場合には試料の分注を停止させて洗浄を行わせることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0069】
サンプル分注プローブ16は、上層試料P1の分注を停止した後、洗浄槽16bへ移動して上層試料P1を吐出した後に洗浄液を吐出する。次いで、試料容器17内の上層試料P2の吸引が可能な吸引位置へ移動し、検査項目Bを分析するための上層試料P2を吸引する(ステップS5)。
【0070】
収集部31は、サンプル分注プローブ16が上層試料P2を吸引しているとき、圧力検出器19から出力される圧力データを所定のタイミングで収集して判定部33に出力する(ステップS6)。
【0071】
判定部33は、検査項目Bの試料の種別(上層試料)及び試料量VBの吸引量に応じて設定された第2の閾値を閾値記憶部32から読み出す。そして、読み出した第2の閾値及び収集部31により収集された圧力データに基づいて、サンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。
【0072】
そして、収集された圧力データが第2の閾値よりも小さい圧力値である場合(ステップS7のいいえ)、サンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定する。また、収集された圧力データが第2の閾値以上の圧力値である場合(ステップS7のはい)、サンプル分注プローブ16が正常な状態であると判定し、ステップS17へ移行する。
【0073】
ステップS7の「いいえ」の後に、判定部33は異常情報をシステム制御部70に出力する。システム制御部70は分析制御部28に以降の試料の分注を停止させると共に出力部50にサンプル分注プローブ16の異常情報を出力させる。サンプル分注プローブ16は、上層試料P2の分注を停止する(ステップS8)。
【0074】
出力部50は、例えばサンプル分注プローブ16に詰まりが生じて以降の分注が不可能であることを示す異常情報を出力する(ステップS9)。
【0075】
このように、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定されたた場合、洗浄液を吐出した後の試料の分注時に第2の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態である場合には以降の試料の分注を停止させることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0076】
ステップS4の「はい」の後に、サンプル分注プローブ16は、反応容器3へ移動して上層試料P1を吐出する(ステップS10)。
【0077】
上層試料P1の分注を終了したサンプル分注プローブ16は、洗浄槽16bへ移動して洗浄液を吐出する。洗浄液を吐出した後、サンプル分注プローブ16は試料容器17内の上層試料P2の吸引が可能な吸引位置へ移動し、検査項目Bを分析するための上層試料P2を吸引する(ステップS11)。
【0078】
収集部31は、サンプル分注プローブ16が上層試料P2を吸引しているとき、圧力検出器19から出力される圧力データを収集して判定部33に出力する(ステップS12)。
【0079】
判定部33は、検査項目Bの試料の種別(上層試料)及び試料量VBに応じて設定された第1の閾値を閾値記憶部32から読み出す。そして、読み出した第1の閾値及び収集部31により収集された圧力データに基づいて、サンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。
【0080】
そして、収集された圧力データが第1の閾値よりも小さい圧力値である場合(ステップS13のいいえ)、サンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定する。また、収集された圧力データが第1の閾値以上の圧力値である場合(ステップS13のはい)、サンプル分注プローブ16が正常な状態であると判定し、ステップS17へ移行する。
【0081】
ステップS13の「いいえ」の後に、判定部33は警告情報をシステム制御部70に出力する。システム制御部70は分析制御部28に上層試料P2の分注を停止させ、サンプル分注プローブ16の洗浄を行わせる。また、出力部50にサンプル分注プローブ16の警告情報を出力させる。
【0082】
このように、第1の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態である場合には試料の分注を停止させて洗浄を行わせることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0083】
サンプル分注プローブ16は、上層試料P2の分注を停止する。そして、洗浄槽16bへ移動して洗浄液を吐出する(ステップS14)。
【0084】
収集部31は、サンプル分注プローブ16が洗浄液を吐出しているとき、圧力検出器19から出力される圧力データを収集して判定部33に出力する(ステップS15)。
【0085】
判定部33は、洗浄液の吐出量に応じて設定された第3の閾値を閾値記憶部32から読み出す。そして、読み出した第3の閾値及び収集部31により収集された圧力データに基づいて、サンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定する。
【0086】
そして、収集された圧力データが第3の閾値よりも大きい圧力値である場合(ステップS16のいいえ)、サンプル分注プローブ16が異常な状態であると判定し、ステップS9へ移行する。また、収集された圧力データが第3の閾値以下の圧力値である場合(ステップS16のはい)、サンプル分注プローブ16が正常な状態であると判定し、ステップS19へ移行する。
【0087】
このように、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定されたた場合、判定された後の洗浄時に第3の閾値に基づいてサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態であると判定された場合には以降の試料の分注を停止させることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0088】
ステップS7の「はい」又はステップS13の「はい」の後に、サンプル分注プローブ16は、反応容器3へ移動して上層試料P2を吐出する(ステップS17)。
【0089】
ステップS17の後に、サンプル分注プローブ16は、洗浄槽16bへ移動して洗浄液を吐出する(ステップS18)。その後、ステップS19へ移行する。
【0090】
ステップS9、ステップS16の「はい」、又はステップS18の後に、システム制御部70が分析制御部28に指示して分析部26の各分析ユニットをホームポジションで停止させることにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS19)。
【0091】
以上述べた実施形態によれば、試料の種別、試料の吸引量又は吐出量、及び洗浄液の吐出量に応じて設定された第1の閾値に基づいて、試料の分注時にサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態であると判定された場合には試料の分注を停止させることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0092】
また、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定されたた場合、試料の種別、試料の吸引量又は吐出量、及び洗浄液の吐出量に応じて設定された第2の閾値に基づいて、洗浄液を吐出した後の試料の分注時にサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態である場合には以降の試料の分注を停止させることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0093】
更に、第1の閾値に基づいて異常な状態であると判定されたた場合、洗浄液の吐出量に応じて設定された第3の閾値に基づいて、判定された後の洗浄時にサンプル分注プローブ16が正常な状態であるか否かを判定し、異常な状態である場合には以降の試料の分注を停止させることができる。これにより、分析データの悪化を未然に防ぐことができる。
【0094】
以上により、サンプル分注プローブ16の詰まりによる分析データの悪化を防ぐことができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
3 反応容器
16 サンプル分注プローブ
17 試料容器
18 分注ユニット
19 圧力検出器
22 チューブ
26 分析部
27 駆動部
28 分析制御部
30 分注モニタ部
31 収集部
32 閾値記憶部
33 判定部
図1
図2
図3
図4
図5