(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出部が検出した前記内腔領域に基づいて、前記管腔の内部に設定した視点から前記組織ボリュームデータを投影した投影像を、所定の表示部に表示する画像データとして生成する画像生成部、
を更に備える、請求項1に記載の超音波診断装置。
前記画像生成部は、前記組織ボリュームデータから前記内腔領域を除去したデータから前記管腔の中心線を抽出し、当該中心線に沿って視点を移動させた複数の投影像を、前記所定の表示部に動画表示する画像データ群として生成する、請求項2に記載の超音波診断装置。
前記取得部は、前記組織ボリュームデータと前記流体ボリュームデータとが異なる時期に個別に連続収集された場合、データが収集された被検体の生体信号を用いて、同一時相の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを取得し、
前記検出部は、前記同一時相の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを用いて、前記内腔領域の検出を行なう、請求項1に記載の超音波診断装置。
前記取得部は、前記組織ボリュームデータとして、超音波診断装置とは異なる種類の医用画像診断装置により前記領域を3次元撮影して生成された組織ボリュームデータを取得し、
前記検出部は、前記流体ボリュームデータと前記組織ボリュームデータとの位置合わせを行なった後に、前記組織ボリュームデータに含まれる管腔の内腔領域を検出する、請求項1に記載の超音波診断装置。
前記画像生成部は、前記擬似ボリュームデータから前記管腔の中心線を抽出し、当該中心線に沿って視点を移動させた複数の投影像を、前記所定の表示部に動画表示する画像データ群として生成する、請求項8に記載の超音波診断装置。
前記検出部は、更に、前記内腔領域の中心線に直交する複数の断面それぞれにおける当該内腔領域の面積を算出し、算出した面積が周囲の断面で算出された面積と比較して異なる断面を、異常断面として検出する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に例示するように、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0012】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0013】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0014】
ここで、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、一列に配置された複数の圧電振動子により、被検体Pを2次元で走査するとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブである。或いは、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2Dプローブである。なお、2Dプローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することも可能である。
【0015】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0016】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0017】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。具体的には、第1の実施形態に係る装置本体10は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。以下、3次元の超音波画像データを「ボリュームデータ」と記載する。
【0018】
装置本体10は、
図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像メモリ15と、制御部16と、内部記憶部17とを有する。
【0019】
送受信部11は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0020】
なお、送受信部11は、後述する制御部16の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0021】
また、送受信部11は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0022】
第1の実施形態に係る送受信部11は、被検体Pを3次元走査するために、超音波プローブ1から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、第1の実施形態に係る送受信部11は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0023】
なお、送受信部11からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0024】
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0025】
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。本実施形態の移動体は、管腔内を流動する血液等の流体である。
【0026】
なお、第1の実施形態に係るBモード処理部12及びドプラ処理部13は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部12は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部13は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
【0027】
画像生成部14は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせた画像である。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
【0028】
ここで、画像生成部14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部14は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部14は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部14は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0029】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部14が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。また、3次元Bモードデータ及び3次元Bモードデータは、ボリュームデータとも呼ばれる。
【0030】
更に、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、「3次元のBモード画像データや3次元のドプラ画像データ」を「3次元の超音波画像データであるボリュームデータ」として生成する。以下では、3次元のBモード画像データをBモードボリュームデータと記載し、3次元のドプラ画像データをドプラボリュームデータと記載する。Bモードボリュームデータは、超音波により3次元走査された領域内の組織形状を示す組織ボリュームデータとなる。また、ドプラボリュームデータは、超音波により3次元走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示す流体ボリュームデータとなる。
【0031】
更に、画像生成部14は、ボリュームデータをモニタ2にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行なう処理がある。
【0032】
また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。例えば、画像生成部14は、ボリュームレンダリング処理として、透視投影(Perspective Projection)法を行なうことで、フライスルー表示用の仮想内視鏡(VE)画像を生成することができる。
【0033】
ここで、ドプラデータを用いた画像の表示方法について説明する。ドプラデータを用いた画像の表示方法は、一般的には、カラードプラ法(CDI:Color Doppler Imaging)とパワードプラ法(PDI:Power Doppler Imaging)とに大別される。カラードプラ法では、画像生成部14は、血流の方向及び血流の速度の大きさに応じて色相を変化させたカラードプラ画像データを生成する。例えば、画像生成部14は、超音波プローブ1に向かってくる方向の血流を、血流の速度の大きさに応じて赤系色(赤から黄)の色相を割り当て、超音波プローブ1から遠ざかる方向の血流を、血流の速度の大きさに応じて青系色(青から青緑)の色相を割り当てたカラードプラ画像データを生成する。なお、カラードプラ法では、画像生成部14は、速度情報に分散情報を組み合わせた速度―分散表示を行なうためのカラードプラ画像データを生成する場合もある。
【0034】
また、パワードプラ法では、画像生成部14は、ドプラ信号の強度であるパワーの値に応じて、例えば、赤色系の色相や明度、或いは、彩度を変化させたパワー画像データを生成する。
【0035】
3次元走査でカラードプラ法を行なう場合、画像生成部14は、3次元ドプラデータからドプラボリュームデータとして、カラードプラボリュームデータを生成する。また、3次元走査でパワードプラ法を行なう場合、画像生成部14は、3次元ドプラデータからドプラボリュームデータとして、ドプラ信号の強度であるパワーの値を3次元空間上にマッピングしたパワーボリュームデータを生成する。また、3次元走査が時系列に沿って繰り返し行なわれる場合、画像生成部14は、カラードプラボリュームデータやパワーボリュームデータを時系列に沿って順次生成する。
【0036】
なお、カラードプラ法では、血流が存在する範囲の検出精度が、血流方向と超音波プローブ1との相対位置に依存する。具体的には、カラードプラ法では、超音波ビームの方向と直交する方向の血流の検出精度が低下する。一方、パワードプラ法では、血流の方向や速度に関する情報を検出できないが、血流が存在する範囲を、血流方向と超音波プローブ1との相対位置に依存することなく、検出することができる。
【0037】
また、ドプラ画像データは、通常、Bモード画像データに重畳されて、モニタ2に出力される。送受信部11は、2次元走査や3次元走査において、1本の走査線で1回超音波ビームの送受信を行なうBモード用のスキャンと、1本の走査線で複数回超音波ビームの送受信を行なうドプラモード用のスキャンとを並行して行なう。ドプラ処理部13は、同一走査線の複数の反射波データに対して、MTIフィルタ処理、自己相関演算処理、速度・分散・パワー推定処理を行なうことで、ドプラデータを生成する。
【0038】
図1に示す画像メモリ15は、画像生成部14が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ15は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ15が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部14を経由して表示用の超音波画像データとなる。
【0039】
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部の装置へ転送することができる。
【0040】
制御部16は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部16は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部17から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像生成部14の処理を制御する。また、制御部16は、画像メモリ15や内部記憶部17が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ2にて表示するように制御する。なお、
図1に示すように、第1の実施形態に係る制御部16は、取得部16a及び検出部16bを有する。取得部16a及び検出部16bについては、後に詳述する。
【0041】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、流体で満たされた管腔を含む領域の3次元走査を行なってBモードボリュームデータを生成する。流体で満たされた管腔としては、血管や、胆管、リンパ腺等がある。そして、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、Bモードボリュームデータを用いて、管腔の内壁を観察するための各種画像データを生成する。例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、管腔の中心線(芯線)に沿って、管腔の中心線(芯線)に沿って視点を移動して視点位置が異なるVE画像を順次生成表示することで、管腔のフライスルー表示を行なう。フライスルー表示を行なうことで、操作者は、被検体Pに内視鏡を挿入したり、血管内超音波検査(IVUS:intravascular ultrasound)において振動子カテーテルを被検体Pの血管に挿入したりすることなく、管腔を内側から観察することができる。ここで、管腔のフライスルー表示を行なう場合、管腔の内壁が、レンダリング対象であるクリップ領域となる。
【0042】
しかし、Bモードの画像は、X線CT画像やMRI画像等の他の医用画像と比較して、構造物間の輪郭がぼやける傾向が強い。このため、管腔の太さがある程度以上でなければ、プログラムを用いた自動処理によりBモードボリュームデータから管腔の内腔領域を検出することが困難であった。特に、拍動による動きが激しい血管の場合、血管の輪郭は、更に、ぼやけることが多い。このため、現状では、管腔の太さがある程度以上でなければ、クリップ領域を検出できなかった。このようなことから、従来の超音波診断装置におけるフライスルー表示は、ある程度の太さを持つ管状組織に限られており、細い管状組織に適用することが困難であった。
【0043】
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、管腔の内腔領域を容易に検出するために、以下に説明する取得部16a及び検出部16bの処理が行なわれる。
【0044】
取得部16aは、超音波により3次元走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示す流体ボリュームデータを取得する。そして、検出部16bは、流体情報を用いて領域内で流体が存在する領域を検出し、当該検出した領域を用いて、画像処理対象のボリュームデータにおける管腔の内腔領域を検出する。第1の実施形態では、取得部16aは、更に、画像処理対象のボリュームデータとして、領域内の組織形状を示す組織ボリュームデータを取得する。具体的には、第1の実施形態では、取得部16aは、組織ボリュームデータとして、上記の領域を超音波により3次元走査して生成された組織ボリュームデータを取得する。すなわち、第1の実施形態に係る取得部16aは、超音波により3次元走査された領域内の組織形状を示す組織ボリュームデータと、超音波により3次元走査された当該領域内を流動する流体に関する流体情報を示す流体ボリュームデータとを取得する。そして、第1の実施形態に係る検出部16bは、流体ボリュームデータの流体情報を用いて領域内で流体が存在する領域を検出する。そして、検出部16bは、検出した領域を用いて、組織ボリュームデータに含まれる管腔の内腔領域を検出する。
【0045】
すなわち、第1の実施形態では、管腔の内壁を観察するために、Bモード用のスキャンとともに、ドプラモード用のスキャンも行なう。具体的には、第1の実施形態では、同一の領域に対して、Bモード用のスキャンとドプラモード用のスキャンとを行なう。より具体的には、第1の実施形態では、操作者は、観察対象となる管腔を含む領域の3次元走査が可能な位置に超音波プローブ1を被検体Pに当接する。そして、操作者は、Bモード用の3次元走査とドプラモード用の3次元走査とを並行して行なう指示を行なう。これにより、送受信部11は、Bモード用の3次元の反射波データ及びドプラモード用の3次元の反射波データを生成する。Bモード処理部12は、Bモード用の3次元の反射波データから、3次元Bモードデータを生成し、ドプラ処理部13は、ドプラモード用の3次元の反射波データから3次元ドプラデータを生成する。そして、画像生成部14は、3次元BモードデータからBモードボリュームデータを生成し、3次元ドプラデータからドプラボリュームデータを生成する。
【0046】
ここで、上述したように、血流等の流体が存在する範囲の検出精度は、CDIよりPDIの方が高い。このため、操作者は、ドプラボリュームデータとして、パワーボリュームデータを収集するように指示する。すなわち、画像生成部14は、パワーボリュームデータを生成する。なお、第1の実施形態は、例えば、管腔の走行方向により、血流が存在する範囲の検出精度が低下しないと判断されるならば、カラードプラボリュームデータを収集する場合であっても良い。
【0047】
第1の実施形態では、3次元走査を1回行なって、同一時相のBモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを1つずつ生成する。取得部16aは、画像メモリ15に格納された同一時相のBモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを取得し、検出部16bに送信する。
【0048】
なお、第1の実施形態では、3次元走査を複数回行なって、Bモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを時系列に沿って複数生成する場合であっても良い。かかる場合、例えば、操作者は、収集された複数のBモードボリュームデータそれぞれのMPR画像を参照して、観察に適したBモードボリュームデータを指定する。取得部16aは、操作者が指定したBモードボリュームデータと、当該Bモードボリュームデータと同時に収集されたパワーボリュームデータとを取得し、検出部16bに送信する。
【0049】
そして、検出部16bは、上述したように、流体ボリュームデータの流体情報を用いて領域内で流体が存在する領域を検出し、当該検出した領域を用いて、組織ボリュームデータに含まれる管腔の内腔領域を検出する。第1の実施形態では、検出部16bは、パワーボリュームデータにおいて、パワーが検出されたことで、輝度値が割り当てられたボクセルの位置情報を用いて流体が存在する領域を検出する。
【0050】
すなわち、パワーボリュームデータは、流体が存在する位置に対応するボクセルに、流体情報の1つであるパワー値に応じた色を描出するための値が付与されたデータである。検出部16bは、パワーボリュームデータから流体が存在する領域を検出することができる。また、Bモードボリュームデータとパワーボリュームデータとは、同一の座標系を用いて生成されている。すなわち、パワーボリュームデータから検出される「流体が存在する領域の座標」は、Bモードボリュームデータにおいて「流体が存在する領域の座標」となる。ここで、流体が存在する領域は、管腔の内腔を流動する流体が存在する領域であり、Bモードボリュームデータに含まれる管腔の内腔領域となる。以下、
図2〜
図5を用いて、検出部16bの処理について説明する。
図2〜5は、第1の実施形態に係る検出部を説明するための図である。
【0051】
検出部16bは、
図2に例示するパワーボリュームデータ100内で「流体が存在する領域」である流体領域110を検出する。具体的には、検出部16bは、流体領域110の輪郭を形成するボクセルの座標を検出する。以下、検出部16bが行なう処理の具体例について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0052】
図3に例示する処理では、検出部16bは、レンダリングの手法の1つであるサーフィスレンダリングを用いて流体領域110の表面の座標を検出する。サーフィスレンダリングとは、視点方向からボリュームデータを見た場合に、最初にボリュームに視線が当たったボクセルのみを投影するレンダリング手法である。すなわち、複数の視点からサーフィスレンダリングを行なうことで、ボリューム内に存在する物体の表面の位置を取得することができる。
【0053】
検出部16bは、パワーボリュームデータ100に対して、複数の視点を設定し、各視点からパワーボリュームデータ100の中心や重心に向かう方向の視線方向を設定する。そして、検出部16bは、
図3に示すように、複数の視点それぞれでサーフィスレンダリングを行なった結果から、流体領域110の表面の座標を検出する。なお、パワーボリュームデータ100に対するサーフィスレンダリング処理は、検出部16bが行なっても良いし、検出部16bの制御により画像生成部14が行なっても良い。
【0054】
また、
図4に例示する処理では、検出部16bは、レンダリングの手法の1つであるMPRを用いて流体領域110の表面の座標を検出する。すなわち、検出部16bは、パワーボリュームデータ100に対して、平行する複数断面を設定する。設定された複数断面により、パワーボリュームデータ100から再構成された複数のMPR画像それぞれには、
図4に例示するように、流体領域110の輪郭が描出される。検出部16bは、各MPR画像の流体領域110の輪郭を検出し、MPR画像ごとに検出した輪郭を結合することで、流体領域110の表面の座標を検出する。なお、パワーボリュームデータ100に対するMPR処理は、検出部16bが行なっても良いし、検出部16bの制御により画像生成部14が行なっても良い。
【0055】
また、流体領域110の検出処理は、
図3や
図4で説明した方法以外にも、例えば、領域拡張法等、様々な方法を用いることができる。
【0056】
そして、検出部16bは、
図5に例示するように、検出した流体領域110の表面(輪郭)の座標を、取得部16aから受信したBモードボリュームデータ200における内腔領域210の表面(輪郭)の座標として検出する。内腔領域210の表面は、内腔領域210の内壁となる。検出部16bは、内腔領域210の表面をクリップ領域として設定する。なお、検出部16bは、ノイズ低減等を目的として、検出した流体領域110の表面や、内腔領域210の表面に対して平滑化フィルタ処理等の後処理を行なっても良い。
【0057】
そして、画像生成部14は、検出部16bが検出した内腔領域の表面を処理対象として、組織ボリュームデータ(Bモードボリュームデータ)からモニタ2に表示する画像データを生成する。
図6、
図7A、
図7B及び
図7Cは、第1の実施形態に係る画像生成部を説明するための図である。
【0058】
画像生成部14は、検出部16bが検出した内腔領域に基づいて、管腔の内部に設定した視点から組織ボリュームデータを投影した投影像を、モニタ2に表示する画像データとして生成する。具体的には、画像生成部14は、組織ボリュームデータから内腔領域を除去したデータから管腔の中心線を抽出し、当該中心線に沿って視点を移動させた複数の投影像を、モニタ2に動画表示する画像データ群として生成する。例えば、画像生成部14は、
図6に示すように、内腔領域210の中心線211を抽出する。そして、画像生成部14は、
図6に示すように、中心線211に沿って設定された視点を用いて、クリップ領域(内腔領域210の輪郭)からVE画像を生成する。画像生成部14は、中心線211に沿って視点を移動することで、フライスルー表示用のVE画像を順次生成する。
【0059】
或いは、例えば、画像生成部14は、
図7Aに示すように、中心線211に直交する断面により、内腔領域210を切断したMPR画像データAを生成する。或いは、例えば、画像生成部14は、
図7Bに示すように、中心線211全てを含む断面(曲面)により、内腔領域210を切断したCurved MPR画像データBを生成する。
【0060】
或いは、例えば、画像生成部14は、
図7Cに示すように、中心線211全てを含む断面と内腔領域210の輪郭とが交わる曲線Cにより、内腔領域210を切り開いた展開画像データDを生成する。
図7A、
図7B及び
図7Cに例示する画像データをモニタ2で参照することでも、操作者は、内腔領域210の内壁の形状を観察することができる。
【0061】
次に、
図8を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図8に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、3次元の走査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、3次元の走査開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、超音波診断装置は、3次元の走査開始要求を受け付けるまで待機する。
【0063】
一方、3次元の走査開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、制御部16の制御により、超音波プローブ1は、超音波の3次元走査を行ない、送受信部11は、3次元の反射波データを収集する(ステップS102)。なお、超音波プローブ1は、Bモード用の3次元走査と、ドプラモード用の3次元走査とを並行して行なう。また、送受信部11は、Bモード用の3次元反射波データと、ドプラモード用の3次元反射波データとを生成する。
【0064】
そして、画像生成部14は、Bモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを生成する(ステップS103)。そして、取得部16aは、Bモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを取得し(ステップS104)、検出部16bに転送する。
【0065】
そして、検出部16bは、パワーボリュームデータを用いて、管腔の内腔領域の表面であるクリップ領域を検出し(ステップS105)、Bモードボリュームデータにクリップ領域を設定する(ステップS106)。
【0066】
そして、画像生成部14は、クリップ領域を用いて、Bモードボリュームデータから表示用の画像データを生成する(ステップS107)。そして、制御部16の制御により、モニタ2は、画像データを表示し(ステップS108)、処理を終了する。
【0067】
上述したように、第1の実施形態では、管腔内壁の観察を行なうために必要となるBモードボリュームデータのクリップ領域の検出処理を、Bモードのボリュームデータと同一領域のドプラボリュームデータを用いて行なう。すなわち、第1の実施形態では、ドプラモードにより流体を検出できる箇所であれば、管腔の太さに依存することなく、クリップ領域を高精度に検出することができる。従って、第1の実施形態では、管腔の内腔領域を容易に検出することができる。
【0068】
また、第1の実施形態では、管腔の太さに依存することなく、クリップ領域を高精度に検出することができるので、例えば、フライスルー表示等を利用した血管狭窄探索の適用範囲を拡げることができる。また、クリップ領域を検出するために、造影剤を用いる手法もあるが、第1の実施形態では、造影剤を用いることなく、クリップ領域を高精度に検出できるので、被検体Pに対する負担を軽減することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとが異なる時期に個別に連続収集される場合について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図であり、
図10は、第2の実施形態に係る取得部及び検出部を説明するための図である。
【0070】
ここで、ドプラモードのデータ収集は、Bモードのデータ収集と比較して、計算量が多くなる。このため、ドプラモードの画像データの時間分解能や空間分解能を向上するためには、超音波プローブ1の位置を固定したままで、Bモードのデータ収集と、ドプラモードのデータ収集とを個別に行なうことが望ましい。しかし、異なる時期に収集されたドプラボリュームデータを用いてBモードボリュームデータのクリップ領域を検出するには、検出対象となる2つのボリュームデータが同一時相で収集されたデータであることが必要である。
【0071】
このため、
図9に例示するように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、
図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の構成を有する装置本体10に、心電計4が接続される点が異なる。心電計4は、データが収集される被検体P(3次元走査される被検体P)の生体信号として、被検体Pの心電波形(ECG: Electrocardiogram)を取得する。心電計4は、取得した心電波形を装置本体10に送信する。
【0072】
第2の実施形態に係る取得部16aは、組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとが異なる時期に個別に連続収集された場合、データが収集された被検体P(3次元走査された被検体P)の生体信号を用いて、同一時相の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを取得する。そして、検出部16bは、同一心位相の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを用いて、第1の実施形態で説明した処理により、内腔領域の検出を行なう。
【0073】
以下、第2の実施形態で行なわれる処理の一例について説明する。第2の実施形態では、超音波プローブ1は、組織ボリュームデータであるBモードボリュームデータを時系列に沿って複数ボリューム収集するために、Bモード用の3次元走査を行なう。そして、第2の実施形態では、超音波プローブ1は、流体ボリュームデータであるパワーボリュームデータを時系列に沿って複数ボリューム収集するために、ドプラモード用の3次元走査を行なう。なお、送受信部11は、最適な時間分解能及び空間分解能となるスキャンシーケンスにより、ドプラモード用の3次元走査を超音波プローブ1に実行させる。
【0074】
そして、画像生成部14は、ボリュームデータと当該ボリュームデータを生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電波形に対応付けて画像メモリ15に格納する。取得部16aは、画像メモリ15に格納されたデータを参照することで、ボリュームデータを生成するために行なわれた超音波走査時の心時相を取得することができる。
【0075】
取得部16aは、画像メモリ15から、同一の心時相のBモードボリュームデータとパワーボリュームデータとを取得する。
図10に示す一例では、取得部16aは、R波のBモードボリュームデータとパワーボリュームデータとを取得する。なお、取得部16aが取得対象とする時相は、操作者により行なわれる場合であっても、初期設定されている場合であっても良い。
【0076】
そして、検出部16bは、
図10に示すように、R波のパワーボリュームデータからクリップ領域(内腔領域の表面)を検出し、検出したクリップ領域をR波のBモードボリュームデータに設定する。そして、画像生成部14は、R波のBモードボリュームデータに設定されたクリップ領域を用いて表示用の画像データを生成する。
【0077】
なお、第2の実施形態は、ドプラモード用の3次元走査を行なった後に、Bモード用の3次元走査を行なっても良い。また、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、流体ボリュームデータとしてカラードプラボリュームデータを収集しても良い。
【0078】
また、第2の実施形態は、複数の時相(例えば、R波、P波)を対象として、同一心位相の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを取得して、各時相でクリップ領域を検出する場合であっても良い。また、第2の実施形態は、時相を判別するための生体信号として、ECGの他に、PCG(phonocardiogram)波形や呼吸信号が用いられる場合であっても良い。
【0079】
次に、
図11を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置処理例を説明するためのフローチャートである。
【0080】
図11に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、Bモードの走査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、Bモードの走査開始要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、超音波診断装置は、Bモードの走査開始要求を受け付けるまで待機する。
【0081】
一方、Bモードの走査開始要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、制御部16の制御により、超音波プローブ1は、Bモード用のスキャンシーケンスにより、超音波の3次元走査を開始し、制御部16は、心電波形の収集を開始する。そして、送受信部11は、3次元の反射波データを収集する(ステップS202)。なお、送受信部11は、Bモード用の3次元反射波データを生成する。
【0082】
そして、画像生成部14は、Bモードボリュームデータを生成し(ステップS203)、制御部16は、ドプラモードの走査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。ここで、ドプラモードの走査開始要求を受け付けない場合(ステップS204否定)、超音波診断装置は、ステップ202に戻って、Bモード用の3次元反射波データの収集を継続する。
【0083】
一方、ドプラモードの走査開始要求を受け付けた場合(ステップS204肯定)、制御部16の制御により、超音波プローブ1は、ドプラモード用のスキャンシーケンスにより、超音波の3次元走査を開始し、送受信部11は、3次元の反射波データを収集する(ステップS205)。なお、送受信部11は、ドプラモード用の3次元反射波データを生成する。
【0084】
そして、画像生成部14は、パワーボリュームデータを生成し(ステップS206)、制御部16は、クリップ領域の設定要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS207)。ここで、クリップ領域の設定要求を受け付けない場合(ステップS207否定)、超音波診断装置は、ステップ205に戻って、ドプラモード用の3次元反射波データの収集を継続する。
【0085】
一方、クリップ領域の設定要求を受け付けた場合(ステップS207肯定)、取得部16aは、同一時相のBモードボリュームデータ及びパワーボリュームデータを取得する(ステップS208)。そして、検出部16bは、パワーボリュームデータを用いて、クリップ領域を検出し(ステップS209)、Bモードボリュームデータにクリップ領域を設定する(ステップS210)。
【0086】
そして、画像生成部14は、クリップ領域を用いて、Bモードボリュームデータから表示用の画像データを生成する(ステップS211)。そして、制御部16の制御により、モニタ2は、画像データを表示し(ステップS212)、処理を終了する。
【0087】
上述したように、第2の実施形態では、所定時相のBモードボリュームデータのクリップ領域を、最適化したスキャンシーケンスにより個別に収集された所定時相のドプラボリュームデータを用いて検出することができる。従って、第2の実施形態では、クリップ領域を更に高精度に検出することができる。
【0088】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態で検出したクリップ領域を用いて、管腔の形状解析をより詳細に行なう場合について説明する。
【0089】
第3の実施形態では、取得部16aは、第1の実施形態又は第2の実施形態で説明した方法により、組織ボリュームデータ及び流体ボリュームデータを取得する。そして、第3の実施形態では、検出部16bは、第1の実施形態で説明した方法により、組織ボリュームデータのクリップ領域を検出する。そして、第3の実施形態に係る検出部16bは、上述したフライスルー表示で抽出される中心線を用いて、以下の処理を行なう。
【0090】
検出部16bは、更に、内腔領域の中心線に直交する複数の断面それぞれにおける当該内腔領域の面積を算出する。そして、検出部16bは、算出した面積が周囲の断面で算出された面積と比較して異なる断面を、異常断面として検出する。
図12は、第3の実施形態に係る検出部を説明するための図である。
【0091】
例えば、検出部16bは、
図12に示すように、画像生成部14が抽出した内腔領域210の中心線211に直交する複数の断面を設定する。例えば、検出部16bは、中心線211に沿って一定の間隔(例えば、1mm)で複数の断面を設定する。なお、間隔は、操作者により設定される場合であっても、初期設定される場合であっても良い。
【0092】
そして、検出部16bは、各断面と内腔領域210の輪郭(クリップ領域)との交線で囲まれる部分の面積を算出する。ここで、内腔領域210を血管の内腔領域とすると、検出部16bが各断面で算出した面積は、血管の内壁の断面積となる。
【0093】
例えば、狭窄部位を含む断面で算出された断面積は、周囲の断面で算出された断面積より急激に小さくなる。一方、動脈瘤のように血管に瘤がある部位を含む断面で算出された断面積は、周囲の断面で算出された断面積より大きくなる。
【0094】
そこで、検出部16bは、例えば、面積が最小となる断面や、面積が最大となる断面を異常断面として検出する。或いは、検出部16bは、検出精度を高めるため、例えば、中心線211に沿って、面積の変化量を算出し、変化量がピークとなる断面を異常断面として検出しても良い。
【0095】
或いは、検出部16bは、検出精度を更に高めるために、流体ボリュームデータの流体情報を検出用のパラメータとして用いても良い。流体ボリュームデータとしてカラードプラボリュームデータを収集している場合、検出部16bは、各断面の交線内で抽出された速度を抽出する。狭窄部位は、血管断面積が小さいために流速が早くなる傾向がある。そこで、検出部16bは、例えば、面積が所定の閾値より小さい断面の中で、流速が最大となる断面を、異常断面として検出する。
【0096】
上記の処理を行なうことで、検出部16bは、例えば、
図12に示すように、異常断面213を検出する。異常断面213は、
図12に示すように、狭窄部位212の中で、最も狭窄している部位を通る断面となる。
【0097】
そして、第3の実施形態に係る画像生成部14は、異常断面を用いて、画像処理対象のボリュームデータである組織ボリュームデータ(Bモードボリュームデータ)からモニタ2に表示する画像データを生成する。換言すると、画像生成部14は、レンダリング処理を行なうクリップ面として異常断面を用いる。以下、第3の実施形態に係る画像生成部14が生成する画像データについて、
図13〜
図15を用いて説明する。
図13〜
図15は、第3の実施形態に係る画像生成部を説明するための図である。
【0098】
図13に示す一例では、画像生成部14は、Bモードボリュームデータ200を異常断面213で切断して2つの領域に分断し、一方の領域を除去したBモードボリュームデータ201を生成する。なお、
図13に示す点214は、異常断面213と中心線211との交点である。画像生成部14は、Bモードボリュームデータ201を用いて画像データを生成する。
【0099】
例えば、画像生成部14は、
図13に示すように、Bモードボリュームデータ201の表面に位置する異常断面213のMPR画像データ215を生成する。MPR画像データ215には、
図13に示すように、異常断面213における血管の内壁とともに外壁が描出されている。MPR画像データ215を観察することで、操作者は、狭窄部位212の最も隆起した部分の形状を把握することができる。
【0100】
なお、画像生成部14は、Bモードボリュームデータ201を用いてVR画像やMIP画像を生成しても良い。また、画像生成部14は、異常断面213及び異常断面213に平行な断面で挟まれる領域のBモードボリュームデータ201を用いて、厚み付きMIP画像を生成しても良い。
【0101】
図14に示す一例では、クリップ断面である異常断面213を、点214を中心として自由回転させて、クリップ断面を変更する場合を示している。例えば、操作者は、トラックボールを操作して、
図14に示すように、異常断面213を回転した断面216をクリップ断面として設定する。例えば、断面216は、異常断面213に直交する断面である。
【0102】
画像生成部14は、
図14に示すように、Bモードボリュームデータ200を断面216で切断して2つの領域に分断し、一方の領域を除去したBモードボリュームデータ202を生成する。そして、画像生成部14は、Bモードボリュームデータ202を用いて画像データを生成する。
【0103】
例えば、画像生成部14は、
図14に示すように、Bモードボリュームデータ202の表面に位置する断面216のMPR画像データ217を生成する。MPR画像データ217には、
図14に示すように、血管の走行方向に略沿った断面216における血管の内壁とともに外壁が描出されている。MPR画像データ217を観察することで、操作者は、狭窄部位212の血管の走行方向に沿った形状を把握することができる。
【0104】
なお、画像生成部14は、Bモードボリュームデータ202を用いてVR画像やMIP画像を生成しても良い。また、画像生成部14は、断面216及び断面216に平行な断面で挟まれる領域のBモードボリュームデータ202を用いて、厚み付きMIP画像を生成しても良い。
【0105】
図15に示す一例では、検出部16bが検出した異常断面213から特定される点214を用いて、フライスルー表示を行なうための開始点が自動的に設定される場合を示している。検出部16bは、
図15に示すように、点214の近傍に位置する中心線211上の点217を、フライスルー表示を開始する視点とする。例えば、検出部16bは、中心線211に沿って、点214から3cm離れた位置の点を点217として設定する。
【0106】
画像生成部14は、点217から狭窄部位212に向かう視線方向でVE画像を生成する。更に、画像生成部14は、点217から点214に向かって視点を移動して、新規のVE画像を順次生成する。これにより、操作者は、狭窄部位212を中心にしたフライスルー表示を重点的に観察することができる。なお、第3の実施形態は、異常断面が複数検出される場合であっても良い。
【0107】
次に、
図16を用いて、第3の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る超音波診断装置処理例を説明するためのフローチャートである。なお、
図16に示すフローチャートは、クリップ領域の検出後に、クリップ面である異常断面が自動的に検出される場合を示している。しかし、第3の実施形態は、操作者が手動でクリップ面の検出要求を行なう場合であっても良い。
【0108】
図16に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、クリップ領域が検出されたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、クリップ領域が検出されていない場合(ステップS301否定)、超音波診断装置は、クリップ領域が検出されるまで待機する。
【0109】
一方、クリップ領域が検出された場合(ステップS301肯定)、検出部16bは、中心線に直交する複数の断面を設定する(ステップS302)。そして、検出部16bは、複数の断面のおけるクリップ領域の面積を算出し(ステップS303)、異常断面となるクリップ面を検出する(ステップS304)。
【0110】
そして、画像生成部14は、クリップ面を用いて、Bモードボリュームデータから表示用の画像データを生成する(ステップS305)。そして、制御部16の制御により、モニタ2は、画像データを表示し(ステップS306)、処理を終了する。
【0111】
上述したように、第3の実施形態では、クリップ領域を利用して、狭窄や血管瘤が発生している部位を異常断面として容易に検出することができる。また、第3の実施形態では、異常断面をクリップ面として用いて各種画像データを生成するので、血管等の管腔の形態異常を詳細に観察することができる。
【0112】
従って、第3の実施形態では、非侵襲という特性を有する超音波診断装置を用いた血管の形態異常診断における診断精度を向上し、および検査効率を向上することができる。
【0113】
なお、上記の第1〜第3の実施形態では、組織ボリュームデータとしてBモードボリュームデータを用い、流体ボリュームデータとしてパワーボリュームデータ又はカラードプラデータを用いる場合について説明した。しかし、第1〜第3の実施形態は、組織ボリュームデータとして3次元のBモードデータを用い、流体ボリュームデータとして3次元のドプラデータを用いる場合であっても良い。かかる場合、検出部16bは、3次元のドプラデータのパワー値を用いて、3次元のBモードデータにおけるクリップ領域を検出し、更に、検出したクリップ領域を用いて、Bモードボリュームデータにおけるクリップ領域を検出する。
【0114】
また、上記の第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、以下に説明する2つの変形例(第1の変形例及び第2の変形例)により行なわれても良い。
【0115】
まず、第1の変形例について説明する。上記の第1〜第3の実施形態では、画像処理対象のボリュームデータとして用いる組織ボリュームデータが、流体ボリュームデータを収集した領域を超音波により3次元走査して生成された組織ボリュームデータである場合について説明した。しかし、上記の第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、画像処理対象のボリュームデータとして用いる組織ボリュームデータが、流体ボリュームデータを収集した領域を超音波診断装置とは異なる種類の医用画像診断装置により3次元撮影して生成された組織ボリュームデータである場合にも適用できる。第1の変形例では、取得部16aは、組織ボリュームデータとして、超音波診断装置とは異なる種類の医用画像診断装置により、流体ボリュームデータを収集した領域を3次元撮影して生成された組織ボリュームデータを取得する。
【0116】
そして、第1の変形例では、検出部16bは、流体ボリュームデータと組織ボリュームデータとの位置合わせを行なった後に、組織ボリュームデータに含まれる管腔の内腔領域を検出する。
【0117】
図17は、第1の変形例を説明するための図である。例えば、取得部16aは、
図17に示すように、X線CTボリュームデータ101を取得する。取得部16aは、操作者の指示に基づいて、X線CTボリュームデータ101を、図示しないインターフェースを経由して、X線CT装置や、医用画像のデータベースから取得する。X線CTボリュームデータ101は、流体ボリュームデータを収集する領域を撮影した組織ボリュームデータである。具体的には、X線CTボリュームデータ101は、VE画像のフライスルー表示用に、操作者が指定した組織CTボリュームデータである。
【0118】
ここで、第1の変形例を行なう場合、例えば、
図17に示すように、位置センサ4及びトランスミッター5を用いた位置検出システムが用いられる。位置センサ4は、例えば、磁気センサであり、超音波プローブ1に取り付けられる。トランスミッター5は、例えば、超音波プローブ1の近傍に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
【0119】
位置センサ4は、トランスミッター5によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ4は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッター5を原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を検出部16bに送信する。ここで、位置センサ4は、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ1の3次元位置情報として、検出部16bに送信する。これにより、検出部16bは、超音波プローブ1の3次元位置情報を取得する。
【0120】
操作者は、被検体Pの管腔を含む領域でBモード用の超音波走査を行う。例えば、操作者は、まず、超音波プローブ1を用いて、
図17に示すように、断面300で被検体Pの2次元走査を行う。ここで、断面300は、例えば、3次元走査が行われる領域の中心に位置する断面として設定される。制御部16は、送受信部11を介して超音波送受信を制御する。このことから、検出部16bは、断面300の超音波プローブ1に対する相対的な位置を取得可能である。また、検出部16bは、超音波プローブ1の3次元位置情報を取得していることから、断面300の実空間における3次元位置情報を取得可能である。
【0121】
モニタ2は、
図17に示すように、断面300を2次元走査して生成された2次元のBモード画像データ301を表示する。操作者は、モニタ2に表示されたBモード画像データ301を参照しながら、VE画像の表示対象となる被検体Pの管腔が画像内の略中心に描出されるように、位置センサ4が取り付けられた超音波プローブ1を操作する。また、操作者は、被検体Pの管腔が描出されたX線CT画像データがモニタ2に表示されるように、入力装置3を介してMPR処理用の切断面の位置を調整する。これにより、モニタ2は、
図17に示すように、X線CTボリュームデータ101のMPR画像データ102を表示する。
【0122】
そして、操作者は、MPR画像データ102に描出された特徴部分と同一の特徴部分がBモード画像データ301で描出された場合、確定ボタンを押下する。また、操作者は、各画像において、特徴部分の中心位置を、マウスを用いて指定する。或いは、操作者は、各画像において、複数の特徴部分の位置を、マウスを用いて指定する。そして、操作者は、確定ボタン押下時の断面300を含む3次元領域で、流体ボリュームデータを収集するために、ドプラモードで被検体Pの3次元走査を行なう。
【0123】
これにより、画像生成部14は、流体ボリュームデータ(例えば、パワーボリュームデータ)を生成する。検出部16bは、確定ボタン押下時の各種情報を用いて、流体ボリュームデータとX線CTボリュームデータ101との位置合わせを行なう。確定ボタン押下時の各種情報とは、確定ボタン押下時のMPR画像データ102に対応する断面のX線CTボリュームデータ101における3次元位置情報と、確定ボタン押下時のBモード画像データ301に対応する断面300の実空間における3次元位置情報である。検出部16bは、超音波送受信条件及びスキャンコンバートの条件等から、断面300の実空間における3次元位置情報を、断面300の流体ボリュームデータにおける3次元位置情報に変換する。また、確定ボタン押下時の各種情報とは、MPR画像データ102及びBモード画像データ301それぞれの特徴部位の位置情報である。例えば、検出部16bは、これら各種情報を用いて、流体ボリュームデータの座標系をX線CTボリュームデータ101の座標系に変換するための変換行列を生成する。
【0124】
なお、第1の変形例では、検出部16bは、流体ボリュームデータと同一の時相で収集されたBモードボリュームデータと、他種の組織ボリュームデータとの位置合わせを、操作者が指定した3つ以上の特徴部位を用いて行なっても良い。また、検出部16bは、流体ボリュームデータと同一の時相で収集されたBモードボリュームデータと、他種の組織ボリュームデータとの位置合わせを、例えば、エッジ検出処理や、特徴点検出処理等を用いて行なっても良い。これにより、検出部16bは、流体ボリュームデータと他種の組織ボリュームデータとの位置合わせを行なうことができる。
【0125】
そして、検出部16bは、第1の実施形態で説明したように、流体ボリュームデータの流体領域を検出する。そして、検出部16bは、流体領域の3次元位置情報を、例えば、上記の変換行列を用いて、X線CTボリュームデータ101における3次元位置情報に変換する。かかる3次元位置情報は、X線CTボリュームデータ101における管腔の内腔領域となる。これにより、画像生成部14は、X線CTボリュームデータ101から、第1の実施形態で
図6を用いて説明した処理を行なって、フライスルー表示用のVE画像を生成する。なお、画像生成部14は、X線CTボリュームデータ101から、第1の実施形態で
図7A、B及びCを用いて説明した各種画像データを生成しても良い。
【0126】
また、第1の変形例でも、第2の実施形態で説明したように、他種の組織ボリュームデータ及び流体ボリュームデータが連続収集されている場合、取得部16aは、被検体Pの生体信号を用いて、同一時相の他種の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとを取得する。そして、検出部16bは、同一時相の他種の組織ボリュームデータと流体ボリュームデータとの位置合わせを行なった後、内腔領域の検出を行なう。
【0127】
また、第1の変形例でも、第3の実施形態で説明したように、検出部16bは、他種の組織ボリュームデータから、異常断面を検出しても良い。また、第1の変形例でも、第3の実施形態で説明したように、画像生成部14は、異常断面を用いて、他種の組織ボリュームデータからモニタ2に表示する画像データを生成しても良い。
【0128】
第1の変形例では、流体ボリュームデータを用いることで、例えば、非造影のX線CTボリュームデータやMRIボリュームデータの管腔の内腔領域を容易に検出することができる。
【0129】
次に、第2の変形例について、
図18等を用いて説明する説明する。
図18は、第2の変形例を説明するための図である。第2の変形例では、画像処理対象のボリュームデータとして流体ボリュームデータが用いられる。第2の変形例では、取得部16aは、流体ボリュームを取得する。そして、検出部16aは、流体ボリュームデータで検出した流体領域を、この流体ボリュームデータにおける管腔の内腔領域として検出する。
【0130】
例えば、検出部16bは、
図2に示すように、パワーボリュームデータ100の流体領域110を検出する。そして、検出部16bは、
図18の左図に示すように、流体領域110をパワーボリュームデータ100における管腔の内腔領域111として検出する。なお、
図18の左図では、パワーボリュームデータ100及び内腔領域111を2次元のデータとして示しているが、実際には、パワーボリュームデータ100及び内腔領域111は、3次元のデータである。また、
図18の左図では、輝度値が付与された流体領域110である内腔領域111をハッチングで示し、流体が存在しない領域(パワーボリュームデータ100で内腔領域111以外の領域)を白で示している。
【0131】
そして、第2の変形例では、画像生成部14は、検出部16bが検出した内腔領域を用いて、流体ボリュームデータから擬似ボリュームデータを生成する。具体的には、画像生成部14は、流体ボリュームデータから検出部16bが検出した内腔領域を除去する。更に、画像生成部14は、検出部16bが検出した内腔領域に基づいて少なくとも管腔の内壁に所定の輝度値を付与する。
【0132】
例えば、画像生成部14は、内腔領域111に輝度値「0」を付与し、パワーボリュームデータ100で内腔領域111以外の領域に輝度値「1」を付与する。これにより、画像生成部14は、内腔領域111が除去され、かつ、管腔の内壁に対応するボクセルに輝度値「1」が付与された擬似ボリュームデータ120を生成する(
図18の右図を参照)。なお、
図18の右図では、擬似ボリュームデータ120を2次元のデータとして示しているが、実際には、擬似ボリュームデータ120は、3次元のデータである。また、
図18の右図では、輝度値「1」が付与された領域、すなわち、管腔の内壁等、流体が存在しない領域を黒で示している。また、
図18の右図では、輝度値「0」を付与した領域、すなわち、除去された内腔領域111を白で示している。なお、画像生成部14は、例えば、パワーボリュームデータ100で内腔領域111以外の領域の中で、管腔の内壁及び内壁近傍のみに輝度値「1」が付与して、擬似ボリュームデータ120を生成しても良い。
【0133】
そして、画像生成部14は、管腔の内部に設定した視点から擬似ボリュームデータ120を投影した投影像(VE画像)を、モニタ2に表示する画像データとして生成する。また、画像生成部14は、擬似ボリュームデータ120から管腔の中心線を抽出する。そして、画像生成部14は、中心線に沿って視点を移動させた複数の投影像(VE画像)を、モニタ2に動画表示する画像データ群として生成する。
【0134】
なお、第2の変形例でも、第3の実施形態で説明したように、検出部16bは、画像処理対象のボリュームデータであるパワーボリュームデータ100から生成された擬似ボリュームデータ120から、異常断面を検出しても良い。また、第2の変形例でも、第3の実施形態で説明したように、画像生成部14は、異常断面を用いて、擬似ボリュームデータ120からモニタ2に表示する画像データを生成しても良い。
【0135】
第2の変形例では、管腔の内腔領域を容易に検出できるドプラボリュームデータ(流体ボリュームデータ)のみを用いて、フライスルー表示を行なうことができる。
【0136】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態、第1の変形例及び第2の変形例で説明した画像処理方法は、超音波診断装置とは独立に設置された画像処理装置により行なわれる場合であってもよい。かかる画像処理装置は、3次元のBモードデータ及び3次元のドプラデータや、Bモードボリュームデータ及びドプラボリュームデータを取得することで、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した画像処理方法を行なうことができる。また、かかる画像処理装置は、3次元のドプラデータやドプラボリュームデータと、他種組織ボリュームデータと、位置合わせ情報(例えば、変換行列)とを取得することで、第1の変形例で説明した画像処理方法を行なうことができる。また、かかる画像処理装置は、3次元のドプラデータや、ドプラボリュームデータを取得することで、第2の変形例で説明した画像処理方法を行なうことができる。
【0137】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0138】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態、第1の変形例及び第2の変形例で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0139】
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第3の実施形態、第1の変形例及び第2の変形例によれば、管腔の内腔領域を容易に検出することができる。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。