(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の真空包装機の一実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示したように、真空包装機10は、ハウジング11の上部に食材、調理物等の被包装物を収納する包装袋を収容するチャンバ12と、チャンバ12内にて包装袋の開口部周縁を密封する加熱封止装置(封止装置)20と、ハウジング11の下部にてチャンバ12内を脱気して負圧化させる油回転真空ポンプ30とを備えている。
【0013】
図1及び
図2に示したように、チャンバ12は上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベース13と、チャンバベース13の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル板よりなるチャンバカバー14とから構成される耐圧容器である。チャンバカバー14は、前端側が上下に移動可能となるように、後端部がハウジング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。
【0014】
図1に示したように、チャンバ12の前部には加熱封止装置20が設けられている。加熱封止装置20はチャンバ12内に収容した熱溶着可能な包装袋の先端開口周縁部を密封するものである。なお、包装袋は内側に融点の低い材質を採用した二層構造の熱可塑性樹脂製フィルムを用いたものである。加熱封止装置20は包装袋の先端開口部周縁を狭圧して保持する下側及び上側狭圧ブロック21,22とを備えている。下側狭圧ブロック21はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース13の前部に着脱可能かつ上下に移動可能に設けられている。下側狭圧ブロック21の上面にはニクロム素材よりなる帯板状をしたヒータ23が設けられている。上側狭圧ブロック22は弾性変形可能なシリコン製のブロック体よりなり、下側狭圧ブロック21の上側に対向する位置にて、チャンバカバー14の下面前部に設けられている。
【0015】
図1及び
図2に示したように、チャンバベース13の前部には下側狭圧ブロック21を上下に昇降させる左右一対の昇降機構24(図では右側のみを示す)が設けられている。昇降機構24はチャンバベース13の前部の底壁を貫通する左右一対の支持軸25を備えている。これら支持軸25はチャンバベース13の前部にて下側狭圧ブロック21を上下動可能に支持するものである。これら支持軸25は先端部が下側狭圧ブロック21の下部に挿入されており、支持軸25は上下方向の中間部がチャンバベース13の下面前部に設けた左右一対の昇降シリンダ26により上下に移動可能に支持されている。支持軸25の中間部には昇降シリンダ26内にて鍔部26aが設けられており、鍔部26aは昇降シリンダ26内を上部空間26bと下部空間26cとに気密に区画している。昇降シリンダ26の上部空間26bには支持軸25の外周にばね(付勢手段)26dが介装されており、ばね26dは鍔部26aを介して支持軸25を下方に付勢している。
【0016】
図1及び
図2に示したように、ハウジング11内には油循環式の油回転真空ポンプ30が設けられており、油回転真空ポンプ30は油によりロータ、ステータ、翼板等の部品の間の気密及び無効空間の減少を図っている容積位相式真空ポンプである。具体的には、油を満たした円筒形のステータ中に電動モータにより回転するロータと、該ロータに放射状に設けられた各ロータ溝内でラジアル方向へ移動可能に組み込まれてステータの内周面に接する複数の翼板とを有し、円筒形のステータ内とロータと翼板とにより形成される各空間が油により気密にされた状態で、ロータの回転によってその容積を変化させ、空気を吸込口から吸入して吐出口から排出するものである。
【0017】
図2に示したように、ハウジング11内には油回転真空ポンプ30とチャンバ12とを接続する吸気管31が設けられており、吸気管31にはこれを開閉する真空弁32が設けられている。吸気管31は本願請求の範囲に記載の真空引き回路を構成する。吸気管31にはチャンバ12と真空弁32との間に大気を導入する大気導入管33が接続されている。大気導入管33は第1管部33aと、第1管部33aから分岐した第2管部33bとからなり、第1及び第2管部33a、33bにはこれらを開閉する第1及び第2大気導入弁34,35が設けられている。第1管部33aは第2管部33bより径が太く形成されており、第1大気導入弁34を開放したときにはチャンバ12内に速く大気が導入され、第2大気導入弁35を開放したときには、チャンバ12内にゆっくりと大気が導入される。大気導入管33(特に第2管部33b)と吸気管31の一部とで本願請求の範囲に記載の大気導入回路を構成する。
【0018】
第2管部33bには真空検出管36が接続されており、真空検出管36にはチャンバ12の圧力を検出する真空計37が設けられている。チャンバ12内を油回転真空ポンプ30により脱気していないときには、真空計37により検出されるチャンバ12内の圧力は大気圧と同じ101kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ12内を油回転真空ポンプ30により脱気して負圧化させ、真空計37により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。なお、以後の説明では、圧力の表示をするときには、(abs)の表記を省略して説明する。
【0019】
吸気管31には油回転真空ポンプ30と真空弁32との間から分岐したシリンダ管38が昇降シリンダ26の上部空間26bに接続されており、シリンダ管38にはこれを開閉するシリンダ弁39が設けられている。
【0020】
ハウジング11の前面には真空包装機10の操作をするための操作パネル40が設けられている。
図3に示したように、操作パネル40には真空包装機10を作動させる各種スイッチ41が設けられており、また、チャンバ12内の真空度及び各種プログラムを表示する表示パネル42が設けられている。
【0021】
真空包装機10は制御装置50を備えており、
図4に示したように、この制御装置50はヒータ23と、油回転真空ポンプ30と、真空弁32と、第1及び第2大気導入弁34,35と、真空計37と、シリンダ弁39と操作パネル40とに接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、ROMにチャンバ12内の被包装物を真空包装をするための各種真空包装プログラムを備えており、操作パネル40により各種真空包装プログラムを実行させたときには、真空計37の検出に基づいてヒータ23と、油回転真空ポンプ30と、真空弁32と、第1及び第2大気導入弁34,35と、シリンダ弁39との作動を制御し、チャンバ12内の被包装物を真空包装する。
【0022】
また、制御装置50は、ROMに油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除く水抜き運転プログラムを有しており、水抜き運転プログラムは真空弁32を開放するとともに油回転真空ポンプ30を作動させて、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を加熱気化させる暖機工程と、暖機工程後に油回転真空ポンプ30を作動させた状態で第2大気導入弁35を開放して、暖機工程を行ったときに気化させた水を排気とともに放出する換気工程と、を交互に実行するものである。なお、換気工程の際に大気を導入する大気導入管33の第2管部33bの先端の空気導入口を油回転真空ポンプ30の排熱を取り込むことができる位置に設けたときには、換気工程により導入した外気により油温が低下するのを抑えることができ、水抜きの効率をさらに高くすることができる。
【0023】
水抜き運転プログラムを詳述すると、先ず、暖機工程は油回転真空ポンプ30を作動させてチャンバ12を脱気して負圧化させながら、油回転真空ポンプ30の油の温度を上昇させ、油に含まれる水の温度も上昇させる。油回転真空ポンプ30を作動させてチャンバ12を脱気して負圧化させることで、油回転真空ポンプ30内も負圧化された状態となり、油に含まれる水も蒸発しやすくなる。
【0024】
換気工程は、暖機工程後に油回転真空ポンプ30を作動させた状態で第2大気導入弁35を開放して、大気導入管33の第2管部33bから油回転真空ポンプ30に外気を導入して気化した水を排気とともに放出させるものである。なお、換気工程中に、チャンバカバー14が開かないように、大気導入管33の第2管部33bは油回転真空ポンプ30を作動させた状態でチャンバ12内の圧力を5〜40kPa(真空度を60%〜95%)程度に維持できる径となっている。
【0025】
また、制御装置50は、水抜き運転プログラムを実行したときに、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間を算出する算出プログラム(算出手段)をROMに有している。算出プログラムは、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が所定の圧力範囲(例えば5kPaから1kPa(真空度では95%から99%))を通過する計測時間(ta)に基づいて、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tを算出するものである。詳述すると、油回転真空ポンプ30の油に水が含まれた状態では、油回転真空ポンプ30の真空引きする能力が低下するので、暖機工程中に真空計37により検出した圧力が所定の圧力範囲(例えば5kPaから1kPa(真空度では95%から99%))を通過する時間(ta)は油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない状態で同様に計測した時間(tb)と比較して長くなる。時間(ta)から時間(tb)を除した時間が油回転真空ポンプ30の油に混入した水に起因して長くなった時間である。また、暖機工程と換気工程との1サイクルを実行したときに取り除ける水は略一定であり、この水量に起因して暖機工程中に同様に計測した時間を短縮させることができる時間(tc)も一定である。これらから、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tは、
T(s)=(ta−tb)/tc×(暖機工程と換気工程との1サイクルに要する時間)
として算出される。制御装置50はこの算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示パネル42に表示させる。
【0026】
また、制御装置50は水抜き運転プログラムを実行したときには、暖機工程を実行する度に上記の算出プログラムを実行し、暖機工程を実行する度に算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示パネル42に表示させる。また、水抜き運転プログラムを実行したときには、制御装置50は、暖機工程を実行したときに真空計37により検出した圧力が、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの圧力と同じ圧力となったときに、油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれたと検知している。詳述すると、制御装置50は、暖機工程を実行したときに、所定時間として30秒経過後に真空計37により検出した圧力が、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの圧力と同じ圧力として0.5kPa(真空度では99.5%)となったときに、油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれたと検知している。
【0027】
また、制御装置50は、他に算出プログラムを有しており、この算出プログラムは、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が所定値(例えば1kPa(真空度では99%))となるまでの時間(ta)に基づいて、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tを算出するものである。詳述すると、油回転真空ポンプ30の油に水が含まれた状態では、油回転真空ポンプ30の真空引きする能力が低下するので、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が所定値(例えば1kPa(真空度では99%))となるまでの時間(ta)は油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない状態で同様に計測した時間(tb)と比較して長くなる。時間(ta)から時間(tb)を除した時間が油回転真空ポンプ30の油に混入した水に起因して長くなった時間である。また、暖機工程と換気工程との1サイクルを実行したときに取り除ける水は略一定であり、この水量に起因して暖機工程中に同様に計測した時間を短縮させることができる時間(tc)も一定である。これらから、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tは、
T(s)=(ta−tb)/tc×(暖機工程と換気工程との1サイクルに要する時間)
として算出される。
【0028】
また、制御装置50は、さらに他に算出プログラムを有しており、この算出プログラムは、暖機工程を実行したときに、所定時間後に真空計37により検出した圧力(Pa)に基づいて、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tを算出するものである。詳述すると、油回転真空ポンプ30の油に水が含まれた状態では、油回転真空ポンプ30の真空引きする能力が低下するので、暖機工程を実行したときに、所定時間後に真空計37により検出した圧力(Pa)は油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない状態で同様に検出した圧力(Pb)と比較して高くなる。圧力(Pa)から圧力(Pb)を除した圧力が油回転真空ポンプ30の油に混入した水に起因して高くなった圧力である。また、暖機工程と換気工程との1サイクルを実行したときに取り除ける水は略一定であり、この水量に起因して暖機工程中に同様に計測した圧力を低下させることができる圧力(Pc)も一定である。これらから、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tは、
T(s)=(Pa−Pb)/Pc×(暖機工程と換気工程との1サイクルに要する時間)
として算出される。
【0029】
上記のように構成した真空包装機10においては、包装袋の先端開口部周縁が下側狭圧ブロック21の上側に載るように包装袋をチャンバベース13に載置し、チャンバカバー14によりチャンバベース13の上面開口を塞ぐ。操作パネル40を操作して真空包装プログラムを実行させると、制御装置50は全ての弁32,34,35及び39が閉止された状態から、真空弁32を開放するとともに油回転真空ポンプ30を作動させてチャンバ12内を脱気して負圧化させる。真空計37により検出されるチャンバ12内の圧力が所定の圧力として0.5kPa(真空度が99.5%)となると、制御装置50はシリンダ弁39を開放して左右の昇降シリンダ26の上部空間26b内を負圧化させることで左右の支持軸25を上昇させ、下側狭圧ブロック21を上昇位置まで上昇させて上側狭圧ブロック22に押圧させる。この状態にて、制御装置50は図示しない電源からヒータ23に通電させて発熱させると、下側及び上側狭圧ブロック21,22に狭圧されて保持された包装袋の先端開口部周縁は熱溶着されて密封される。その後、制御装置50は油回転真空ポンプ30の作動を停止させるとともに、第2大気導入弁35と第1大気導入弁34とを順に開放させることにより、チャンバ12内に大気を導入して、チャンバ12内を大気圧に戻すとともに、昇降シリンダ26の上部空間26bに大気を導入することによって、支持軸25をばね26dにより下降させ、下側狭圧ブロック21を下降位置に戻す。
【0030】
この真空包装機10においては、水分の多い食材や調理物を真空包装すると、油回転真空ポンプ30の油に水が混入し、油回転真空ポンプ30によりチャンバ12内の圧力を所定の圧力として0.5kPa(真空度が99.5%)まで負圧化させることができないことがある。油回転真空ポンプ30の油に水が混入したことで、チャンバ12内の圧力が0.5kPaまで真空引きできなくなったときには、操作パネル40の暖機運転のスイッチ41をオンして水抜き運転プログラムを実行させる。
【0031】
制御装置50は、水抜き運転プログラムを開始すると、各弁34,35及び39を閉止させた状態で、真空弁32を開放するとともに油回転真空ポンプ30を作動させることにより暖機工程を開始する。油回転真空ポンプ30の作動により、チャンバ12内は脱気して負圧化され、油回転真空ポンプ30の油の温度は上昇し、油に含まれる水は温度が上昇して気化する。制御装置50は、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が所定の圧力範囲(例えば5kPaから1kPa(真空度では95%から99%))を通過する時間(ta)を、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの時間(tb)と比較し、暖機工程と換気工程との1サイクルを実行したときに取り除ける水によって暖機工程を実行したときに減少させることができる時間(tc)から、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tを算出する。制御装置50は、算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示パネル42に表示させる。
【0032】
所定時間経過後、制御装置50は、第2大気導入弁35を開放することにより換気工程を開始する。第2大気導入弁35を開放したことで、チャンバ12を真空引きして負圧化している油回転真空ポンプ30に大気導入管33の第2管部33bから外気が導入され、暖機工程を行ったときに気化させた水が排気とともに放出される。大気導入管33の第2管部33bは細い径であるので、チャンバ12内の圧力は大気が導入されても5kPa(真空度は95%)程度を維持し、チャンバカバー14が開放されない。
【0033】
換気工程開始から所定時間経過後、制御装置50は、第2大気導入弁35を閉止することで換気工程を終了し、再び上述した暖機工程を開始する。なお、制御装置50は暖機工程を実行する度に、算出プログラムを実行して油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間を算出し、新たに算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示パネル42に表示させる。
【0034】
また、制御装置50は、暖機工程を実行したときに、所定時間として30秒経過後に真空計37により検出した圧力が、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの圧力と同じ圧力として0.5kPa(真空度では99.5%)となったか否かを判定し、0.5kPa(真空度では99.5%)となっていなければ油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれていないと判断して、水抜き運転プログラムを継続させるように制御する。
【0035】
暖機工程と換気工程とを交互に繰り返し実行させることで、油回転真空ポンプ30の油に混入した水が徐々に取り除かれる。制御装置50は、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が、0.5kPa(真空度では99.5%)となったか否かを判定し、0.5kPaとなっていれば油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれたと判断して、水抜き運転プログラムを終了させる。制御装置50は、水抜き運転プログラムが終了した後で、水抜き運転プログラムを実行した時間を表示パネル42に表示させる。
【0036】
上記のように構成した真空包装機10においては、油回転真空ポンプ30の水抜き運転プログラムは、真空弁32を開放するとともに油回転真空ポンプ30を作動させて、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を加熱気化させる暖機工程と、暖機工程後に油回転真空ポンプ30を作動させた状態で大気導入弁35を開放して、暖機工程を行ったときに気化させた水を排気とともに放出する換気工程と、を交互に実行するようにしたものである。この油回転真空ポンプ30の水抜き運転は、暖機工程によって気化させた水を暖機工程のときに排気とともに僅かに放出させるだけでなく、暖機工程によって気化させた水を換気工程の際に排気とともに積極的に放出することができ、従来の暖機工程だけの水抜きと比べて、油回転真空ポンプ30の油から効率的に水を取り除くことができるようになり、水抜き運転の時間を従来の暖機工程だけのときと比べて1/2〜1/3に短縮できるようになった。
【0037】
油回転真空ポンプ30の水抜き運転プログラムは、暖機工程と換気工程とを交互に実行するようにしたものであり、暖機工程を実行したときに、真空計37により検出した圧力が所定の圧力範囲(例えば5kPaから1kPa(真空度では95%から99%))を通過する時間(ta)を、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの時間(tb)と比較し、暖機工程と換気工程との1サイクルを実行したときに取り除ける水によって暖機工程を実行したときに減少させることができる時間(tc)から、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間Tを算出し、この算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示パネル42に表示するようにした。これにより、油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くまで水抜き運転プログラムを実行させることができ、また、表示パネル42に水抜き運転プログラムが終了するまでの時間が表示されることで、作業者は真空包装機10を真空包装に使用できない間を把握でき、作業者が真空包装機を使用できない時間を他の作業に当てることができるようになった。また、表示パネル42に、水抜き運転プログラムを開始してからの経過時間を表示するようにしてもよく、このようにしたときには、真空包装機10を水抜き運転させていることにより、真空包装ができない状態であることを他の作業者に知らせることができる。なお、上述した他の算出プログラムをしたときにも、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
また、制御装置50は、水抜き運転プログラムを実行しているときには、暖機工程を実行する度に算出プログラムにより油回転真空ポンプ30の油に混入した水を取り除くのに要する時間を新たに算出し、この算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示した。これにより、暖機工程と換気工程とを交互に実行する水抜き運転プログラムの開始当初に予測した終了するまでの時間が気温等の諸条件により変わることがあるが、暖機工程の度に予測時間を算出した時間から水抜き運転プログラムが終了するまでの時間を表示したので、水抜き運転プログラムが終了する正確な時間を知ることができるようになった。
【0039】
水抜き運転プログラムを実行したときには、暖機工程を実行したときに真空計37により検出した圧力が油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの圧力と同じ圧力となったときに、油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれたことを検知した。このようにしたことで、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない状態まで確実に水を取り除くことができるようになった。なお、真空計37により検出した圧力が所定の圧力範囲(例えば5kPaから1kPa(真空度では95%から99%))を通過する時間が、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの時間と同じとなったとき、真空計37により検出した圧力が所定値(例えば1kPa(真空度では99%))となるまでの時間を、油回転真空ポンプ30の油に水が混入していない条件で暖機工程を実行したときの時間と同じとなったときに、油回転真空ポンプ30の油に混入した水が取り除かれたことを検知してもよい。
【0040】
制御装置50は、水抜き運転プログラムが終了した後で、水抜き運転プログラムを実行した時間を表示するようにした。これにより、水抜き運転プログラムを実行した時間から油回転真空ポンプ30の油に混入した水の量を把握することができるようになった。
【0041】
上記のように構成した真空包装機10においては、換気工程を実行したときに第2大気導入弁35を開放することにより大気導入管33の第2管部33bから油回転真空ポンプ30に大気を導入するようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、換気工程を実行したときに第1大気導入弁34を開放することにより大気導入管33の第1管部33aから油回転真空ポンプ30に大気を導入するようにしてもよい。この場合には、チャンバ12内の圧力を上述したように5〜40kPa(真空度を60%〜95%)程度に維持できるように、第1大気導入弁34の開度を調整可能としてもよい。
【0042】
上記のように構成した真空包装機10においては、チャンバベース13の前部には下側狭圧ブロック21の前側にて水平方向に延出して包装袋内に窒素ガスを導入する窒素ガス導入管15が設けられている。なお、窒素ガス導入管15には基端側に窒素ガスボンベ(図示しない)から導出した窒素ガス供給管(図示しない)が接続されている。窒素ガス導入管15は、
図5(a)に示したように、先端開口より少し基端側の下部に孔部15aを形成した。このようにしたことで、チャンバ12内を脱気して負圧化した後で、チャンバ12内に大気を導入したときに、窒素ガス導入管15の先端開口から空気が入る勢いを低下させ、包装袋から溢れ出た食材が窒素ガス導入管15内に流入しにくくなった。また、
図5(b)に示したように、窒素ガス導入管15は先端開口側が下向きとなるようにしてもよく、このようにしたときにも、包装袋から溢れ出た食材が窒素ガス導入管15内に流入しにくくなった。なお、
図5(a)の窒素ガス導入管15の先端開口に逆止弁を設けてもよく、このようにしたときにも、食材が窒素ガス導入管15に流入するのを防ぐことができる。