(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(1つの光電変換部に対して複数の電荷蓄積部を設けて増幅トランジスタを直列接続する例)
2.第2の実施の形態(1つの光電変換部に対して複数の電荷蓄積部を設けて増幅トランジスタを並列接続する例)
3.第3の実施の形態(1つの光電変換部に対して複数の電荷蓄積部を設けてリセットトランジスタを配置した例)
4.第4の実施の形態(1つの光電変換部に対して複数の電荷蓄積部を設けて浮遊拡散層を互いに分離した例)
5.第5の実施の形態(1つの光電変換部に対して複数の電荷蓄積部を設けて浮遊拡散層およびn
+層を分離した例)
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成例]
図1は、実施の形態における撮像素子100の一構成例を示すブロック図である。この撮像素子100は、撮像装置などにおいて画像を撮像するために用いられる。撮像素子100は、行走査回路110と、画素アレイ部120と、複数のA/D変換部130と、複数の積算回路140と、複数のレジスタ150と、出力回路160とを備える。
【0020】
画素アレイ部120は、2次元格子上に配列された複数の画素回路200を備える。以下、画素アレイ部120において、所定の方向(例えば、水平方向)に配列された画素回路200の各々を「画素行」と称し、その画素行に垂直な方向に配列された画素回路200の各々を「画素列」と称する。それぞれの画素行内の画素回路200の個数はm(mは整数)個であり、それぞれの画素列内の画素回路200の個数はn(nは整数)個である。
【0021】
以下、画素行が配列された方向(水平方向)に沿った軸をY軸とし、画素列が配列された方向(垂直方向)に沿った軸をX軸とする。また、これらのX軸およびY軸に垂直な軸をZ軸とする。
【0022】
また、画素アレイ部120には、水平信号線119−1乃至119−nと、垂直信号線129−1乃至129−mとが配線される。水平信号線119−i(iは、1乃至nの整数)は、i行目の画素行内の画素回路200のそれぞれと、行走査回路110とに接続される。また、水平信号線119−j(jは、1乃至mの整数)は、j行目の画素行内の画素回路200のそれぞれと、A/D変換部130とに接続される。
【0023】
画素回路200は、行走査回路110の制御に従って、画素回路200内に入射された光を、アナログの電気信号に変換するものである。この画素回路200のそれぞれは、1つの光電変換部と、複数の浮遊拡散層とを備える。画素回路200ごとの浮遊拡散層の個数はk(kは2以上の整数)個とする。言い換えれば、1つの光電変換部に対応する浮遊拡散層はk個である。これらの浮遊拡散層により、1つの画素回路200について、k個の信号電圧が生成される。画素回路200は、行走査回路110の制御に従って、それらの信号電圧をA/D変換部130に垂直信号線119−jを介して順に出力する。
【0024】
行走査回路110は、画素行を順に選択(すなわち、走査)して、選択した画素行内の画素回路200のそれぞれに信号電圧を出力させるものである。この行走査回路110には、タイミング信号が入力される。このタイミング信号は、水平同期クロック信号および露光タイミング信号を含む。ここで、水平同期クロック信号は、画素行を選択(走査)するタイミングを示すクロック信号である。また、露光タイミング信号は、露光期間の開始および終了のタイミングを示す信号である。これらのタイミング信号は、例えば、画像を撮像するための所定の操作(シャッターボタンの押下など)が行われたときに生成される。
【0025】
行走査回路110は、露光期間の開始時に、画素回路200内の浮遊拡散層の電荷を排出させて、その信号電圧を初期値にリセットする。そして、露光期間が経過すると、行走査回路110は、水平同期クロック信号に同期して、行選択信号SEL_R1乃至SEL_Rnを順に生成する。行選択信号SEL_Riは、i行目の画素行を選択するための信号であり、例えば、ローレベルにすることによりアサートされ、ハイレベルにすることによりネゲートされる。アサートする期間は、例えば、水平同期クロック信号の周期(以下「水平同期クロック周期」と称する。)に設定される。行走査回路110は、生成した行選択信号SEL_Riを信号線119−iを介して、i番目の画素行に供給する。なお、行走査回路110は、ハイレベルにより行選択信号SEL_Riをアサートし、ローレベルによりネゲートしてもよい。
【0026】
また、行走査回路110は、k個の浮遊拡散層を順に選択するためのFD選択信号SEL_F1乃至SEL_Fkを画素回路200ごとに生成する。行走査回路110は、生成したFD選択信号SEL_F1乃至Fkを水平信号線119−iを介して、i番目の画素行内の画素回路200の各々に供給する。これらのFD選択信号SEL_F1乃至SEL_Fkの制御内容の詳細については後述する。
【0027】
A/D変換部130は、アナログの電気信号をデジタル信号に変換するものである。A/D変換により、信号電圧が、フォトン数を示すデジタル信号に置き換えられる。画素からの信号電圧は離散化されており、撮像素子100は、A/D変換部130により、容易にフォトン数を計測することができる。このA/D変換部130は、画素列ごとに設けられる。A/D変換部130は、画素列から順に出力されたk個の電気信号のそれぞれをデジタル信号に変換して、積算回路140に供給する。k個の電気信号は順に出力されるため、1画素当たりの電気信号がk個に増加しても、A/D変換部130は、それらを順にA/D変換するだけでよく、A/D変換部130に特別な回路構成は必要とされない。
【0028】
積算回路140は、k個のデジタル信号のそれぞれの値を加算(積算)するものである。積算回路140は、画素列ごとに設けられる。積算回路140は、A/D変換部130からの加算値を示す信号を、画素信号としてレジスタ150に保持させる。この加算値は、画素ごとのフォトン数を示す。なお、積算回路140は、特許請求の範囲に記載の加算回路の一例である。
【0029】
レジスタ150は、画素信号を保持するものである。このレジスタ150は、画素列ごとに設けられる。
【0030】
出力回路160は、水平同期信号に同期して、画素行内の画素信号の各々を順に読み出して出力するものである。m×n個の画素回路200のそれぞれについて画素信号が生成されるため、m×n個の画素信号が出力される。これらの画素信号からなる画像は、撮像装置においてメモリなどに記録される。
【0031】
[画素回路の構成例]
図2は、第1の実施の形態における画素回路200の平面図の一例を示す図である。この画素回路200は、1つの光電変換部と、FD列310、320、330および340と、行選択トランジスタとを備える。なお、同図において、光電変換部および選択トランジスタは省略されている。
【0032】
FD列310は、Y軸方向(画素列の方向)に沿って配列された複数の浮遊拡散層を含む。
図2において点線で囲まれた領域は、浮遊拡散層が形成された領域を示す。FD列320、330および340は、FD列310と同様の構成である。FD列310、320、330および340のそれぞれは、例えば、5個の浮遊拡散層を含む。5個の浮遊拡散層を含む列が4列あるため、1つの光電変換部に対して設けられる浮遊拡散層は20個である。
【0033】
例えば、250個の電荷を蓄積することができる浮遊拡散層を20個備えた画素は、5000個の電荷を蓄積することができる。蓄積可能な電荷量が大きくなるため、1つの光電変換部に対して浮遊拡散層を複数設けた撮像素子100では、1つの光電変換部に対して1つの浮遊拡散層を設ける場合よりも、ダイナミックレンジが広くなる。なお、1つの光電変換部に対して設けられる浮遊拡散層は、2個以上であればよく、20個に限定されない。
【0034】
FD列310とFD列320との間には、不純物濃度が比較的高いn型半導体からなるn
+層240が配置され、FD列310およびFD列320は、そのn
+層240に接続される。また、FD列330とFD列340との間にも、n
+層240が配置され、FD列330およびFD列340は、そのn
+層240に接続される。浮遊拡散層のリセット時においては、浮遊拡散層に蓄積された電荷が、これらのn
+層240へ排出される。なお、n
+層240は、特許請求の範囲に記載の電荷排出層の一例である。
【0035】
また、FD列のそれぞれとn
+層240との間には、浮遊拡散層とn
+層240との接続部分を避けて、Y軸方向に沿って線状に溝が形成された素子分離領域270が配置されている。この素子分離領域270には、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)が形成される。
【0036】
図3は、第1の実施の形態における画素回路200の垂直(Y軸)方向に沿った断面図の一例を示す図である。具体的には、
図3は、画素回路200内の行選択トランジスタ210と、
図2におけるY−Y'線に沿ったFD列310の断面とを示す。
【0037】
この行選択トランジスタ210は、行選択信号SEL_R1に従って、行内の画素回路200により生成された電圧をA/D変換部130へ出力する。例えば、p型のMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタが行選択トランジスタ210として用いられる。行選択トランジスタ210のゲートには行選択信号SEL_R1が入力され、ソースはFD列310に接続され、ドレインはA/D変換部130に接続される。行選択信号SEL_Riがローレベルである場合に、行選択トランジスタ210はオン状態に移行し、FD列310により生成された信号電圧をA/D変換部130へ出力する。
【0038】
FD列310、320、330および340は、対向する2つの平面を有する光電変換部上に形成される。この光電変換部の一方の平面は画素回路200内に入射された光を受光するための受光面として用いられ、他方の平面は電極を配置するための電極面として用いられる。これらの平面は、例えば、Z軸に対して垂直となるように配置される。
【0039】
光電変換部は、p型半導体からなるp層と221不純物濃度が比較的低いn型半導体からなるn
−層222とを含む。p層221は、光電変換部の受光面側に配置される。例えば、不純物濃度が比較的高いp型半導体からなるp−ウェル層が、p層221として用いられる。
【0040】
p層221の電極面側には、不純物濃度が比較的低いn型半導体からなるn
−層222が形成される。p層221に光が入射されると、光起電力効果により、p層221およびn
−層222に、電荷を有する電子および正孔が生成される。すなわち、p層221およびn
−層222は、光を電荷に変換するフォトダイオードとして機能する。
【0041】
n
−層222の電極面側には、不純物濃度が比較的高いp型半導体からなる複数のp
+層と、不純物濃度が比較的高いn型半導体からなる複数の浮遊拡散層(n
+層)とが形成される。p
+層の個数をs+1(sは、2以上の整数)とすると、浮遊拡散層の個数は、それより1つ少ないs個である。これらのp
+層および浮遊拡散層は、Y軸方向に沿って、交互に配列される。s=5である場合、p
+層231乃至236と、浮遊拡散層241乃至245とが配列される。この配列において、奇数番目のp
+層(231、233および235)は、行選択トランジスタ210のソースに接続される。また、偶数番目のp
+層(232、234および236)は、電源電位Vddより低い基準電位に接続される。
【0042】
浮遊拡散層241乃至245は、フォトダイオード(p層221およびn
-層222)において生成された電荷を蓄積するものである。これらの浮遊拡散層241乃至245は、それぞれ一定の静電容量Cを有し、Q=CVの関係に基づいて、蓄積した電荷量Qに応じた信号電圧Vを生成する。また、これらの浮遊拡散層241乃至245の電極面側のそれぞれの表面には、ゲート絶縁膜251乃至255が形成され、それらの絶縁膜のそれぞれにゲート端子が形成される。それらのゲート端子にFD選択信号SEL_F1乃至SEL_F5が入力される。
【0043】
この浮遊拡散層241の両隣のp
+層231および232とn
−層222とは、そのn
−層222を基板とし、p
+層231をドレインとし、p
+層232をソースとするp型MOSトランジスタとして機能する。つまり、浮遊拡散層241は、電極面側を上方として、p型MOSトランジスタのゲートの下の基板中に形成されている。言い換えれば、浮遊拡散層241は、p型MOSトランジスタのソースおよびドレインの間に形成されている。
【0044】
同様に、浮遊拡散層242、243、244および245の各々の両隣のp
+層とn
−層222とは、それぞれp型MOSトランジスタとして機能する。これらのp型MOSトランジスタのバックゲートには、浮遊拡散層241乃至245により生成された信号電圧が印加される。なお、浮遊拡散層241乃至245は、特許請求の範囲に記載の電荷蓄積部の一例である。
【0045】
この構成により、FD列310において、電源電位Vddおよび基準電位の間においてドレインおよびソースが並列に接続された5つのp型MOSトランジスタが形成される。これらのp型MOSトランジスタのゲートにローレベルのFD選択信号が入力されると、p型MOSトランジスタは浮遊拡散層に蓄積された電荷を
図2に例示したn
+層240へ排出させる。これにより、浮遊拡散層の電荷量は、初期値にリセットされる。
【0046】
また、ローレベルより高いミドルレベルのFD選択信号が入力された場合、これらのp型MOSトランジスタはオン状態(導通状態)に遷移する。また、FD選択信号がミドルレベルである場合、p型MOSトランジスタのゲート−ソース間電圧の閾値が、バックゲートに印加された信号電圧に応じて変化する。このように、バックゲートに印加された電圧に応じてMOSトランジスタの閾値が変化する効果は、バックゲート効果または基板バイアス効果と呼ばれる。
【0047】
p型MOSトランジスタは、その閾値の変化量に応じた電圧、すなわち増幅された信号電圧を行選択トランジスタ210へ出力する。このように、浮遊拡散層をソースおよびドレインの間に配置し、その浮遊拡散層で生成された信号電圧に応じて閾値が変わるトランジスタは、閾値変調型トランジスタと呼ばれる。
【0048】
この閾値変調型トランジスタでは、浮遊拡散層が、ゲート下の基板中の容量のみで構成されるため、一般的なCMOS(Complementary MOS)イメージセンサよりも、浮遊拡散層の静電容量Cを大幅に低減することができる。このため、変換効率を高くすることができる。静電容量Cを小さくするとダイナミックレンジが低下するが、その分、浮遊拡散層の個数を増加することにより、必要なダイナミックレンジを確保することができる。
【0049】
また、ミドルレベルより高いハイレベルのFD選択信号が入力された場合、p型MOSトランジスタはオフ状態(非導通)に移行し、電荷の蓄積のみが行われる。このように、ローレベル、ミドルレベルおよびハイレベルの3つの値により駆動するトランジスタは、3値駆動トランジスタと呼ばれる。
【0050】
なお、信号電圧を増幅するトランジスタとしてp型MOSトランジスタを用いる構成としているが、この構成に限定されない。例えば、p型MOSトランジスタの代わりにn型MOSトランジスタを、信号電圧を増幅するトランジスタとして使用してもよい。また、信号電圧を増幅するトランジスタとして閾値変調型トランジスタを用いているが、この構成に限定されない。例えば、閾値変調型トランジスタ以外のトランジスタを、信号電圧を増幅するトランジスタとして使用してもよい。この場合には、増幅トランジスタのゲートに信号電圧が印加される。
【0051】
図4は、第1の実施の形態における画素回路200の水平(X軸)方向に沿った断面図の一例を示す図である。
図4におけるaは、
図2におけるX1−X1'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。
【0052】
n
―層222の電極面側において、FD列310、320、330および340のそれぞれにおける浮遊拡散層244が形成される。これらの浮遊拡散層244の電極面側には、ゲート絶縁膜254が形成される。
【0053】
また、1列目のFD列310の浮遊拡散層244と2列目のFD列320の浮遊拡散層244との間には、p型半導体からなるp層260が形成される。そのp層260の電極面側には、不純物濃度が比較的高いn型半導体からなるn
+層240が形成される。このn
+層240には、電源電位Vddが印加される。また、3列目のFD列330の浮遊拡散層244と4列目のFD列320の浮遊拡散層244との間にも、p型半導体からなるp層260が形成され、そのp層260の電極面側にn
+層240が形成される。
【0054】
また、2列目のFD列320における浮遊拡散層244と、3列目FD列の330における浮遊拡散層244との間には、素子分離領域270が形成される。また、画素回路200のX軸方向における両端にも、素子分離領域270が形成される。
【0055】
図4におけるbは、
図2におけるX2−X2'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。n
―層222の電極面側において、FD列310、320、330および340のそれぞれのゲート絶縁膜254が形成される。
【0056】
FD列310のゲート絶縁膜254とFD列320のゲート絶縁膜254との間には、p層260およびn
+層240が形成される。p層260およびn
+層240と、それらの両隣のゲート絶縁膜254との間には、素子分離領域270が形成される。FD列330のゲート絶縁膜254とFD列340のゲート絶縁膜254との間にも、p層260およびn
+層240が形成され、それらと両隣のゲート絶縁膜254との間には、素子分離領域270が形成される。また、画素回路200のX軸方向における両端にも、素子分離領域270が形成される。
【0057】
図5は、第1の実施の形態における画素回路200の等価回路図の一例を示す図である。この画素回路200は、行選択トランジスタ210と、光電変換部223と、浮遊拡散層241乃至245と、増幅トランジスタ321乃至325とを備える。同図は、行選択トランジスタ210と、4列のFD列のうちのいずれかにおける浮遊拡散層および増幅トランジスタとを示す等価回路である。同図において、残りの3列における浮遊拡散層および増幅トランジスタは省略されている。
【0058】
行選択トランジスタ210のドレインはA/D変換部130に接続され、ソースは増幅トランジスタ321乃至325に接続される。また、行選択トランジスタ210のゲートには行選択信号SEL_R1が入力される。
【0059】
光電変換部223は、入射光を電荷に変換して浮遊拡散層241乃至245に供給する。この光電変換部223は、
図3におけるp層221およびn
−層222により構成される。
【0060】
浮遊拡散層241乃至245のそれぞれは、電荷を蓄積して、蓄積した電荷量に応じた信号電圧を生成し、その信号電圧を増幅トランジスタ321乃至325のバックゲートに印加する。
【0061】
増幅トランジスタ321乃至325の各々のドレインには基準電位が印加され、ソースは行選択トランジスタ210に接続されている。また、増幅トランジスタ321乃至325のゲートには、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F5が入力される。この増幅トランジスタ321は、
図3におけるp
+層231および232と、n
−層222とにより構成される。また、増幅トランジスタ322乃至325は、それぞれ浮遊拡散層242乃至245の両隣のp
+層とn
−層222とにより構成される。なお、行選択トランジスタ210と、増幅トランジスタ321乃至325とを含む回路は、特許請求の範囲に記載の増幅部の一例である。
【0062】
なお、
図5に例示した等価回路図の回路を実現することができるのであれば、画素回路200の構成は、
図2や
図3に例示した構成以外のものであってもよい。
【0063】
図6は、第1の実施の形態における増幅トランジスタ321の動作の一例を示す図である。増幅トランジスタ322乃至325の動作は、増幅トランジスタ321と同様である。
【0064】
増幅トランジスタ321は、FD選択信号SEL_F1がハイレベルである場合には、オフ状態に移行し、浮遊拡散層241に電荷を蓄積させる。この場合には信号電圧は出力されない。FD選択信号SEL_F1がミドルレベルである場合には、増幅トランジスタ321は、オン状態に移行し、浮遊拡散層241に蓄積された電荷量に応じた信号電圧を増幅して出力する。また、FD選択信号SEL_F1がローレベルである場合には、増幅トランジスタ321は、浮遊拡散層241に電荷を排出させてリセットを行う。
【0065】
[撮像素子の動作例]
図7は、第1の実施の形態における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。露光期間を開始するタイミングT0から、タイミングT1までの間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20の全てをローレベルにする。これにより、20個の浮遊拡散層のそれぞれが空乏化される。
【0066】
タイミングT1から、露光の終了するタイミングT11までの間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20の全てをミドルレベルにする。また、露光期間内において、行選択信号SEL_R1はハイレベルに設定(ネゲート)される。これにより、20個の浮遊拡散層に、露光量に応じた量の電荷が蓄積される。
【0067】
そして、露光期間が終了すると、行走査回路110は、行選択信号SEL_R1とFD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とを制御して、20個の浮遊拡散層の各々により生成された信号電圧を順に出力させる。具体的には、行走査回路110は、行選択信号SEL_R1を水平同期クロック周期の間においてローレベルに設定(アサ―ト)する。そして、行選択信号SEL_R1をアサートしている間において、行走査回路110は、20個の浮遊拡散層を順に出力対象として選択し、その出力対象に対応するFD選択信号のみをミドルレベルにし、それ以外のFD選択信号をハイレベルにする。これにより、出力対象の浮遊拡散層に対応する増幅トランジスタのみがオン状態となり、出力対象の信号電圧のみが出力される。
【0068】
例えば、露光が終了するタイミングT11からT12までの間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F1のみをミドルレベルにし、それ以外のFD選択信号SEL_F2乃至SEL_F20をハイレベルにする。また、タイミングT12からT13までの間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F2のみをミドルレベルにする。以降も同様に、FD選択信号SEL_F3乃至F20が、順にミドルレベルに設定される。
【0069】
このように、複数の浮遊拡散層のそれぞれの信号電圧を順に読み出すため、1つの浮遊拡散層で同一のダイナミックレンジを実現する構成と比較して、読み出す信号電圧を大幅に低電圧化することができる。
【0070】
2行目以降の露光および読出しは、
図7において省略されている。2行目以降の露光および読出しの開始タイミングは、その1つ前の行に対して、水平同期クロック周期の分だけ遅れる。このような読出し方式は、ローリングシャッター方式と呼ばれる。なお、メカシャッタを併用することで露光のタイミングを全画素揃えることも可能である。
【0071】
なお、撮像素子100は、1つの画素回路200から画素信号を1回読み出しているが、1つの画素回路200から画素信号を時分割で複数回読み出してもよい。積算回路140が、これらの画素信号を加算することにより、さらにダイナミックレンジが向上する。
【0072】
図8は、第1の実施の形態における撮像素子100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、例えば、露光期間が終了したときに開始する。撮像素子100は、行選択信号SEL_R1乃至SEL_Rnのいずれかのみをハイレベルにして、画素行を選択する(ステップS901)。
【0073】
撮像素子100は、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20を制御して、画素内のいずれかの浮遊拡散層を選択して信号電圧を出力させる(ステップS902)。撮像素子100は、出力された信号電圧をA/D変換する(ステップS903)。そして、撮像素子100は、デジタル信号を積算する(ステップS904)。撮像素子100は、1つの画素回路200内の浮遊拡散層の個数であるk(例えば、20個)個の積算が完了したか否かを判断する(ステップS905)。積算が完了していなければ(ステップS905:No)、撮像素子100は、ステップS902に戻る。
【0074】
積算が完了したのであれば(ステップS905:Yes)、撮像素子100は、行内の各画素における積算値を示す信号を画素信号として出力する(ステップS906)。撮像素子100は、全行を選択したか否かを判断する(ステップS907)。全行を選択していなければ(ステップS907:No)、撮像素子100は、ステップS901に戻る。一方、全行を選択したのであれば(ステップS907:Yes)、撮像素子100は、画素信号を出力する動作を終了する。
【0075】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、撮像素子100は、光電変換部のそれぞれについて複数の電荷蓄積部を設けて、それらの電荷蓄積部により生成された信号電圧から画素信号を生成するため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0076】
<2.第2の実施の形態>
[撮像素子の構成例]
第1の実施の形態では、増幅トランジスタ321乃至325を並列に接続していたが、これらを直列に接続してもよい。第2の実施の形態の撮像素子100は、増幅トランジスタ321乃至325が直列に接続されている点において第1の実施の形態と異なる。
【0077】
図9は、第2の実施の形態における画素回路200の垂直方向に沿った断面図の一例を示す図である。この画素回路200は、p
+層232、233、234および235に基準電位が印加されていない点において第1の実施の形態と異なる。
【0078】
この構成により、n
−層222と、p
+層231乃至236とからなる増幅トランジスタ321乃至325の各々のソースおよびドレインが直列に接続された状態となる。
図10に例示したように、p
+層232、233、234および235に基準電位を印加する必要がないため、並列接続する第1の実施の形態と比較して、浮遊拡散層241乃至245の配線ピッチを小さくすることができる。このため、微細化が容易となる。
【0079】
図10は、第2の実施の形態における画素回路200の等価回路図の一例を示す図である。第2の実施の形態の等価回路は、増幅トランジスタ321乃至325のソースおよびドレインが、直列に接続されている点において第1の実施の形態と異なる。
【0080】
図11は、第2の実施の形態の増幅トランジスタ321の動作の一例を示す図である。第2の実施の形態の増幅トランジスタ321は、FD選択信号SEL_F1がミドルレベルまたはハイレベルであるときの動作が、第1の実施の形態と異なる。具体的には、増幅トランジスタ321は、FD選択信号SEL_F1がハイレベルおよびミドルレベルである場合にはいずれもオン状態に移行する。ただし、ハイレベルの増幅トランジスタの閾値がミドルレベルの増幅トランジスタの閾値よりも高くなるため、結果としてハイレベルの増幅トランジスタに対応する浮遊拡散層241に蓄積された電荷量に応じた信号電圧が増幅して出力される。増幅トランジスタ322乃至325の動作は、増幅トランジスタ321と同様である。
【0081】
[撮像素子の動作例]
図12は、第2の実施の形態における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0082】
露光期間が開始するタイミングT0からタイミングT1の間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20の全てをローレベルにする。これにより、20個の浮遊拡散層の全てが空乏化される。
【0083】
タイミングT1からタイミングT11までの間において、行走査回路110は、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20の全てをミドルレベルにする。また、露光期間内において、行選択信号SEL_R1はハイレベルに設定(ネゲート)される。
【0084】
そして、露光期間が終了すると、行走査回路110は、行選択信号SEL_R1を水平同期クロック周期の間においてローレベルに設定(アサ―ト)する。そして、アサートしている間において、行走査回路110は、20個の浮遊拡散層を順に出力対象として選択し、その出力対象に対応するFD選択信号のみをハイレベルにし、それ以外のFD選択信号を、ミドルレベルにする。これにより、ハイレベルの増幅トランジスタの閾値がミドルレベルの増幅トランジスタの閾値よりも高くなるため結果として、出力対象の信号電圧のみが出力される。
【0085】
このように、第2の実施の形態によれば、増幅トランジスタの各々を直列に接続するため、配線数を低減することができる。これにより、撮像素子100の微細化が容易となる。
【0086】
<3.第3実施の形態>
[撮像素子の構成例]
第1の実施の形態では、3値駆動の増幅トランジスタ321乃至325が信号電圧の増幅とともにリセットを行っていたが、3値駆動トランジスタでは、浮遊拡散層を完全に空乏化することができないことがある。第3の実施の形態の撮像素子100は、浮遊拡散層を完全に空乏化するリセットトランジスタをさらに備える点において第1の実施の形態と異なる。
【0087】
図13は、第3の実施の形態における画素回路200の平面図の一例を示す図である。第3の実施の形態の画素回路200は、n
+層240の周囲のp層260および素子分離領域270の電極面側に、絶縁膜を介してリセット端子256および257がさらに形成されている点において第1の実施の形態と異なる。
【0088】
図14は、第3の実施の形態における画素回路200の水平(X軸)方向に沿った断面図の一例を示す図である。
図14におけるaは、
図13におけるX1−X1'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。
図14のaに示すように、p層260の電極面側に、リセット端子256および257が形成されている。これらのリセット端子には、リセット信号RSTが入力される。このリセット信号RSTは、蓄積された電荷量の初期化、すなわちリセットをするタイミングを制御する信号である。例えば、リセット信号RSTには、リセットを行う期間においてハイレベルが設定され、そうでない期間にローレベルが設定される。
【0089】
リセット端子256および257が設けられたp層260と、そのp層260に隣接するn
+層240および浮遊拡散層244とは、p層260を基板とし、n
+層240および浮遊拡散層244をソースおよびドレインとするn型MOSトランジスタとして動作する。このn型MOSトランジスタは、リセット信号RSTがハイレベルの場合に、オン状態に移行して浮遊拡散層241乃至245に蓄積された電荷をn
+層240に排出させる。一方、リセット信号RSTがローレベルの場合にn型MOSトランジスタは、オフ状態に移行する。
【0090】
図14におけるbは、
図13におけるX2−X2'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。
図14のbに示すように、素子分離領域270の電極面側に、絶縁膜を介してリセット端子256および257が形成されている。
【0091】
図15は、第3の実施の形態における画素回路200の等価回路図の一例を示す図である。第3の実施の形態の画素回路200は、リセットトランジスタ326をさらに備える点において第1の実施の形態と異なる。例えば、n型MOSトランジスタがリセットトランジスタ326として用いられる。リセットトランジスタ326のソースは、浮遊拡散層241乃至245に接続され、ゲートにはリセット信号RSTが入力され、ドレインには電源電位Vddが印加される。リセットトランジスタ326は、
図14におけるp層260と、n
+層240と、浮遊拡散層241乃至245とから構成される。
【0092】
[撮像素子の動作例]
図16は、第3の実施の形態における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0093】
第3の実施の形態における行選択信号SEL_R1と、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とについての制御は、第1の実施の形態と同様である。
【0094】
リセット信号RSTは、露光開始時のタイミングT0からT1までの間において、行走査回路110によりハイレベルに設定され、タイミングT1以降においてローレベルに設定される。これにより、露光開始時に、浮遊拡散層の全てがリセットされる。
【0095】
なお、第3の実施の形態では3値駆動のトランジスタを増幅トランジスタ321乃至325として用いる構成としているが、2値駆動のトランジスタを増幅トランジスタ321乃至325として用いてもよい。この場合、増幅トランジスタ321乃至325は、例えば、対応するFD選択信号がハイレベルおよびローレベルの一方であればオン状態となり、他方であればオフ状態となる。
【0096】
このように本技術の第3の実施の形態によれば、撮像素子100は、蓄積された電荷を排出させるリセットトランジスタを備えるため、浮遊拡散層を完全空乏化することができる。
【0097】
[変形例]
第3の実施の形態では、増幅トランジスタが並列に接続された撮像素子100にリセットトランジスタをさらに設けていたが、増幅トランジスタが直列に接続された撮像素子100にリセットトランジスタを設けてもよい。変形例の撮像素子100は、増幅トランジスタが直列に接続されている点において第3の実施の形態と異なる。
【0098】
[画素回路の構成例]
図17は、第3の実施の形態の変形例における画素回路200の等価回路図の一例を示す図である。変形例の画素回路200の等価回路は、増幅トランジスタ321乃至325が直列に接続されている点において第3の実施の形態と異なる。
【0099】
[撮像素子の動作例]
図18は、第3の実施の形態の変形例における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。変形例の行選択信号SEL_R1と、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とについての制御は、第2の実施の形態と同様である。変形例のリセット信号RSTについての制御は、第3の実施の形態と同様である。
【0100】
このように、変形例によれば、増幅トランジスタが直列に接続された撮像素子100にリセットトランジスタを形成するため、微細化が容易であり、また、浮遊拡散層を完全空乏化することができる。
【0101】
<4.第4実施の形態>
[画素回路の構成例]
第1の実施の形態では、素子分離領域270にSTI(Shallow Trench Isolation)を形成して浮遊拡散層を分離していた。第4の実施の形態の撮像素子100は、この素子分離領域に、絶縁層を介して電極を埋め込んだ点において第1の実施の形態と異なる。
【0102】
図19は、第4の実施の形態における画素回路200の平面図の一例を示す図である。第4の実施の形態の画素回路200は、素子分離領域270の代わりに素子分離領域280を設けた点において第1の実施の形態と異なる。素子分離領域280は、二酸化ケイ素(SiO
2)などの絶縁層を介して電極を埋め込んだ領域である。
【0103】
図20は、第4の実施の形態における画素回路200の水平(X軸)方向に沿った断面図の一例を示す図である。
図20におけるaは、
図20におけるX1−X1'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。
図20におけるbは、
図19におけるX2−X2'線に沿った画素回路200の断面図の一例である。
図20に示すように、素子分離領域280には、絶縁層を介して電極が埋め込まれている。また、その素子分離領域280には、行走査回路110により生成された素子分離制御信号ISOが入力される。この素子分離制御信号ISOは、素子分離領域280に対向する領域をピンニング状態にするか否かを制御する信号である。例えば、離制御信号ISOには、ピンニング状態にする場合にローレベル(例えば負バイアス)が設定され、そうでない場合にハイレベル(例えば、グランド)が設定される。
【0104】
素子分離制御信号ISOがローレベルである場合、素子分離領域280は、フェルミ電位が固定されたピンニング状態となる。これにより、素子分離領域280に対向する領域がピンニング状態になり、素子分離領域まわりの欠陥からの暗電流や白点の発生を抑制することができる。一方、素子分離制御信号ISOがハイレベルである場合、ピンニングが解除される。
【0105】
[撮像素子の動作例]
図21は、第4の実施の形態における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。第4の実施の形態における行選択信号SEL_R1と、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とについての制御は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
素子分離制御信号ISOは、タイミングT0からT11までの露光期間において、ローレベルに設定される。これにより、電荷を蓄積している間において、素子分離領域280に対向する領域がピンニング状態になり、素子分離領域まわりの欠陥からの暗電流や白点の発生を抑制することができる。ただし、読み出し期間中において素子分離領域280に対向する領域をピンニング状態にすると増幅トランジスタにとってはリークパスになるので読み出し期間中においてはピンニング状態にするのを避けなければならない。そこで、読出しが開始されるタイミングT11以降において、素子分離制御信号ISOは、ハイレベルに設定される。
【0107】
このように第4の実施の形態によれば、露光期間においてのみ素子分離領域280に対向する領域がピンニング状態になるため、素子分離領域まわりの欠陥からの暗電流や白点の発生を抑制することができる。
【0108】
[変形例]
第4の実施の形態では、増幅トランジスタが並列接続された撮像素子100に素子分離領域を設けていたが、増幅トランジスタが直列接続された撮像素子100に素子分離領域を設けてもよい。変形例の撮像素子は、増幅トランジスタが直列に接続されている点において第4の実施の形態と異なる。
【0109】
[撮像素子の動作例]
図22は、第4の実施の形態の変形例における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。変形例の行選択信号SEL_R1と、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とについての制御は、第2の実施の形態と同様である。変形例の素子分離制御信号ISOについての制御は、第4の実施の形態と同様である。
【0110】
このように、変形例によれば、増幅トランジスタが直列に接続された撮像素子100に素子分離領域を設けたため、微細化が容易である。また、露光期間においてのみ素子分離領域280に対向する領域がピンニング状態になり、素子分離領域まわりの欠陥からの暗電流や白点の発生を抑制することができる。
【0111】
<5.第5実施の形態>
[画素回路の構成例]
第4の実施の形態では、素子分離領域280は、n
+層240と、FD列内の浮遊拡散層との接続部分を避けて形成されていた。しかし、n
+層240と浮遊拡散層との接続部分を避けずに素子分離領域280を設ける方が、素子分離領域の形成が容易である。第5の実施の形態の撮像素子100は、n
+層240と浮遊拡散層との接続部分を避けずに素子分離領域280を設けた点において第4の実施の形態と異なる。
【0112】
図23は、第5の実施の形態における画素回路200の平面図の一例を示す図である。第5の実施の形態の画素回路200は、FD列310、320、330および340と、n
+層240との間に、n
+層240と浮遊拡散層との接続部分も含めて、素子分離領域280が設けられている点において第4の実施の形態と異なる。
【0113】
図24は、第5の実施の形態における画素回路200の水平(X軸)方向に沿った断面図の一例を示す図である。同図は、
図23におけるX1−X1'線に沿った画素回路200の断面を示す。同図に示すように、n
+層240と、浮遊拡散層244との間には、素子分離領域280が設けられている。ただし、n
+層240と、浮遊拡散層244とを常に分離したままだと、浮遊拡散層244に蓄積された電荷がn
+層240へ排出されなくなる。このため、リセット時には、素子分離領域280の絶縁状態を解除する必要がある。
【0114】
[撮像素子の動作例]
図25は、第5の実施の形態における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。第5の実施の形態の素子分離制御信号ISOは、露光開始時におけるタイミングT0からT1までの間においてハイレベルに設定される。これにより、素子分離領域280が縦型トランジスタとして機能し、浮遊拡散層に蓄積された電荷が、素子分離領域280を介してn
+層240へ排出される。
【0115】
また、タイミングT1からタイミングT11までの期間において、素子分離制御信号ISOはローレベルに設定され、タイミングT11以降は、ミドルレベルに設定される。
【0116】
このように、第5の実施の形態によれば、撮像素子100は、リセット時に素子分離領域280の絶縁状態を解除するため、n
+層240と浮遊拡散層との接続部分を避けずに素子分離領域280を設けることができる。
【0117】
[変形例]
第5の実施の形態では、増幅トランジスタが並列接続された撮像素子100に素子分離領域280を設けていたが、増幅トランジスタが直列接続された撮像素子100に素子分離領域280を設けてもよい。変形例の撮像素子100は、増幅トランジスタが直列に接続されている点において第5の実施の形態と異なる。
【0118】
[撮像素子の動作例]
図26は、第5の実施の形態の変形例における画素回路200の制御の一例を示すタイミングチャートである。変形例の行選択信号SEL_R1と、FD選択信号SEL_F1乃至SEL_F20とについての制御は、第2の実施の形態と同様である。変形例の素子分離制御信号ISOについての制御は、第5の実施の形態と同様である。
【0119】
このように、変形例によれば、増幅トランジスタが直列接続された撮像素子100においてリセット時に素子分離領域280が縦型トランジスタとして機能するため、微細化が容易となる。また、浮遊拡散層との接続部分を避けずに素子分離領域280を設けることができる。
【0120】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0121】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0122】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)入射光を電荷に変換する光電変換部と、
前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部と、
前記複数の電荷蓄積部の各々に蓄積された前記電荷の量に応じた信号電圧を順に増幅して出力する増幅部と
をそれぞれが備える複数の画素を具備する撮像素子。
(2)前記増幅部は、前記複数の電荷蓄積部の各々について前記信号電圧を増幅して出力する増幅トランジスタを備え、
前記増幅トランジスタの各々は、電源電位と基準電位との間において直列に接続されている前記(1)記載の撮像素子。
(3)前記増幅部は、前記複数の電荷蓄積部の各々について前記信号電圧を増幅して出力する増幅トランジスタを備え、
前記増幅トランジスタの各々は、電源電位と基準電位との間において並列に接続されている前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)前記増幅部は、前記複数の電荷接続部の各々について前記信号電圧を増幅して出力する増幅トランジスタを備え、
前記増幅トランジスタは、当該増幅トランジスタを制御する制御信号が第1の電位である場合には前記電荷蓄積部に蓄積された前記電荷を排出させ、前記制御信号が第2の電位である場合には前記信号電圧を増幅して出力し、前記制御信号が第3の電位である場合には前記信号電圧を出力しない前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5)前記複数の電荷蓄積部に蓄積された前記電荷を排出させるリセットトランジスタをさらに具備する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)前記増幅部は、前記複数の電荷接続部の各々について前記信号電圧を増幅して出力する増幅トランジスタを備え、
前記増幅トランジスタの各々は、ゲート、ソースおよびドレインを備え、
前記複数の電荷蓄積部の各々は、当該電荷蓄積部に対応する前記増幅トランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの間に形成される前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)所定の導通期間において導通状態に移行し、前記導通期間に該当しない非導通期間において非導通状態に移行する素子分離領域と、
前記素子分離領域を介して前記複数の電荷蓄積部に接続された電荷排出層とを具備し、
前記複数の電荷蓄積部は、前記導通期間において前記素子分離領域を介して前記電荷排出層へ前記蓄積した電荷を排出する前記(1)から(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8)前記出力された信号電圧の各々を加算して当該加算した値を加算値として生成する加算部をさらに具備する
前記(1)から(7)のいずれかに記載の撮像素子。