(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂(a1)を含有してなる樹脂粒子(A1)及び結晶性樹脂(a2)を含有してなる樹脂粒子(A2)が水性媒体中に分散されてなる水性分散液(W)中に、樹脂(b)、(b)の前駆体(b0)、及びそれらの有機溶剤溶液から選ばれる1種以上を含有してなる油性液(O)を分散させ、(b0)又はその有機溶剤溶液を用いる場合には、更に(b0)から(b)を生成させ、(W)中で、(b)を含有してなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A1)が付着され、(B)の内部に(A2)を含有した構造を有する樹脂粒子(C)の製造方法であって、(a1)の酸価が10〜300mgKOH/g、(a2)の酸価が0〜50mgKOH/gであり、かつ[(a2)の酸価/(a1)の酸価]が0〜1である樹脂粒子(C)の製造方法。
(O)が、重量平均分子量が1,000以下の有機酸(c1)及び重量平均分子量が1,000以下の第3級アミン(c2)を含有し、(O)の酸価が1〜50mgKOH/g、全アミン価が1〜50mgKOH/gであり、(O)の酸価と全アミン価の差の絶対値が20以下であり、かつ[(O)の酸価/(O)の全アミン価]が0.1〜7である請求項1に記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
(a1)が、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
(a2)が、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
(b)が、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
(C)の重量に基づく(A1)の含有率が0.1〜50重量%、(A2)の含有率が0.1〜50重量%及び(B)の含有率が50〜99.9重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
(α)が、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有し、かつ(β)が活性水素基含有化合物(β1)である請求項8に記載の樹脂粒子(C)の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を詳述する。
本発明における樹脂粒子(A1)は、樹脂(a1)を含有してなる。(a1)としては、水性分散液(W)を形成し得る樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えばビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂(a1)としては、上記樹脂の2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子が得られやすいという観点から、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの併用であり、更に好ましいのは、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びそれらの併用である。
【0008】
ビニル樹脂としては、重合性二重結合を有する単量体を単独重合又は共重合した重合体である。重合性二重結合を有する単量体としては、以下の(1)〜(9)が挙げられる。
【0009】
(1)重合性二重結合を有する炭化水素:
(1−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
(1−1−1)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);炭素数4〜30のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(1−1−2)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
(1−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
【0010】
(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
【0011】
(3)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(1)〜(3)で表される化合物;及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
【0012】
O−(R
1O)
mSO
3H
|
CH
2=CHCH
2OCH
2CHCH
2O−Ar−R
2 (1)
CH=CH−CH
3
|
R
3−Ar−O−(R
1O)
nSO
3H (2)
CH
2COOR
4
|
HOSO
2CHCOOCH
2CH(OH)CH
2OCH
2CH=CH
2 (3)
式中、R
1は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R
1Oは単独でも2種以上を併用したものでもよく、2種以上を併用した場合は、結合形式はランダムでもブロックでもよい;R
2及びR
3は、それぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基;m及びnは、それぞれ独立に1〜50の数;Arはベンゼン環;R
4は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を表す。
【0013】
(4)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
【0014】
(5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
【0015】
(6)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
(6−1)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(6−2)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(6−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(6−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
【0016】
(7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−グリシジルスチレン等。
【0017】
(8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
【0018】
(9)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
(9−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(9−2)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(9−3)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(9−4)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
【0019】
ビニル樹脂のうち、ビニルモノマーを共重合したポリマー(ビニルモノマーの共重合体)としては、上記(1)〜(9)の任意のモノマー同士を、2元又はそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが用いられ、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体及びスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0020】
樹脂(a1)は、水性媒体中で樹脂粒子(A1)形成することが必要であることから、少なくとも樹脂粒子(C)を形成する条件下(通常5〜90℃)で水性媒体に完全に溶解していないことが必要である。そのため、ビニル樹脂が共重合体である場合には、ビニル樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることが更に好ましい。疎水性モノマーの比率が、10重量%以下になるとビニル樹脂が水溶性になりやすく、樹脂粒子(C)の粒径均一性が損なわれることがある。
ここで、親水性モノマーとは、25℃の水100gに100g以上溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、親水性モノマー以外のモノマーを意味する。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸、その酸無水物又は低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)エステルとの重縮合物などが挙げられる。重縮合反応には、公知の重縮合触媒等が使用できる。
ポリオールとしては、ジオール(10)及び3〜8価又はそれ以上のポリオール(11)が挙げられる。
ポリカルボン酸、その酸無水物又は低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(12)、3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(13)、これらの酸無水物及び低級アルキルエステルが挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0022】
ジオール(10)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);数平均分子量(以下Mnと略記する)=106〜10,000のアルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);Mn=100〜10,000の前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物(付加モル数2〜100)[例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)10モル付加物等];炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等]付加物(付加モル数2〜100)(例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);重量平均分子量(以下Mwと略記する)=100〜5,000のポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);Mw=1,000〜20,000のポリブタジエンジオール等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物であり、更に好ましいのはビスフェノール類のAO付加物、及びビスフェノール類のAO付加物とアルキレングリコールとの混合物である。
【0023】
3〜8価又はそれ以上のポリオール(11)としては、3〜8価又はそれ以上の炭素数3〜10の脂肪族多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトール等);炭素数25〜50のトリスフェノールのAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(例えばトリスフェノール・EO2〜4モル付加物及びトリスフェノールPA・PO2〜4モル付加物等);重合度3〜50のノボラック樹脂(例えばフェノールノボラック及びクレゾールノボラック等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(フェノールノボラックPO2モル付加物及びフェノールノボラックEO4モル付加物);炭素数6〜30のポリフェノール(例えばピロガロール、フロログルシノール及び1,2,4−ベンゼントリオール等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(ピロガロールEO4モル付加物);及び重合度20〜2,000のアクリルポリオール{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有する単量体[例えばスチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等]との共重合物等}等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいのはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0024】
ジカルボン酸(12)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸及びメサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えばダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えばアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルケンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましいのは芳香族ジカルボン酸である。
3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(13)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えばトリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸(12)又は3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(13)の酸無水物としては、トリメリット酸無水物及びピロメリット酸無水物等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等が挙げられる。
【0025】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(14)と活性水素含有化合物{水、ポリオール[前記ジオール(10)(ヒドロキシル基以外の官能基を有するジオールを含む)、及び3〜8価又はそれ以上のポリオール(11)]、ポリカルボン酸[ジカルボン酸(12)、及び3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(13)]、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン(15)、ポリチオール(16)及びこれらの併用等}の重付加物、並びにポリイソシアネート(14)と活性水素含有化合物を反応させてなる末端イソシアネート基プレポリマーと、前記プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級及び/又は2級モノアミン(17)とを反応させて得られる、アミノ基含有ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
また、前記ジオール(10)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(10’)を構成単位としてもよい。
ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0026】
ポリイソシアネート(14)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0027】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物、;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物]のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)}、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ポリイソシアネート及び環状脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
環状脂肪族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0029】
ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
【0030】
ポリイソシアネート(14)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ポリイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0031】
ポリアミン(15)としては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、鎖状脂肪族ポリアミン、これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体及び環状脂肪族ポリアミン等が挙げられる。
【0032】
鎖状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
【0033】
鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体としては、ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン及びメチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。
【0034】
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ポリアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
【0035】
芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)としては、非置換芳香族ポリアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン、電子吸引基(Cl、Br、I及びF等のハロゲン原子;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;及びニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン及び2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン等が使用できる。
【0036】
非置換芳香族ポリアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
電子吸引基(Cl、Br、I及びF等のハロゲン原子;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;及びニトロ基等)を有する芳香族ポリアミンとしては、メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)及び4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等が挙げられる。
【0039】
2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンとしては、上記非置換芳香族ポリアミン、アルキル基を有する芳香族ポリアミン及び電子吸引基を有する芳香族ポリアミンの−NH
2の一部又は全部が−NH−R’(R’はアルキル基であり、例えばメチル基及びエチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基)で置換されたもの[例えば4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン及び1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等]、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン及びポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン:ポリエーテルポリアミン:及びポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等が挙げられる。
【0040】
ポリチオール(16)としては、炭素数2〜36のアルカンジチオール(エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)等が挙げられる。
【0041】
1級及び/又は2級モノアミン(17)としては、炭素数2〜24のアルキルアミン(エチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエチルアミン及びn−ブチル−n−ドデシルアミン等)等が挙げられる。
【0042】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素含有化合物{水、前記ジオール(10)、ジカルボン酸(12)、ポリアミン(15)及びポリチオール(16)等}との重付加物、及びポリエポキシド(18)とジカルボン酸(12)の酸無水物との硬化物等が挙げられる。
【0043】
本発明に用いるポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいのは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、更に好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造が密になり硬化物の耐水性、耐薬品性及び機械的強度等の物性が向上し、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
【0044】
ポリエポキシド(18)の具体例としては、芳香族ポリエポキシ化合物及び脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体、芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン及びアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0045】
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
また、前記芳香族ポリエポキシ化合物としては、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応により得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル体が挙げられる。
【0046】
脂肪族ポリエポキシ化合物としては、鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物及び環状脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
【0047】
鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミン等が挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル及びグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体等も挙げられる。
【0048】
環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
また、環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、前記芳香族ポリエポキシド化合物の水添化物も挙げられる。
【0049】
ポリアミド樹脂としては、ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体及びポリカルボン酸とポリアミンの重縮合体等が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、脂肪族ポリイミド樹脂(脂肪族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンとから得られる重合体等)及び芳香族ポリイミド樹脂(芳香族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミン又は芳香族ジアミンとから得られる重合体等)等が挙げられる。
ケイ素樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合等を有する重合体(ポリシロキサン、ポリカルボシラン及びポリシラザン等)等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノール類(フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、リグニン、レゾルシン及びカテコール等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びフルフラール等)との縮合により得られる重合体等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる重合体等が挙げられる。
ユリア樹脂としては、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合により得られる重合体等が挙げられる。
アニリン樹脂としては、アニリンとアルデヒド類とを酸性下で重合して得られる重合体等が挙げられる。
アイオノマー樹脂としては、重合性二重結合を有する単量体(α−オレフィン及びスチレン系単量体等)とα,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸及びマレイン酸モノエチルエステル等)との共重合体で共重合体中のカルボン酸の一部又は全部がカルボン酸塩(カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩等)であるもの等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)と、ホスゲン又は炭酸ジエステル等との縮合物等が挙げられる。
【0050】
樹脂(a1)の酸価は、10〜300(mgKOH/g)であり、樹脂粒子(A1)の粒径均一性、粒子安定性の観点から、好ましくは15〜280(mgKOH/g)、更に好ましくは20〜250(mgKOH/g)である。酸価が300(mgKOH/g)を超えると、樹脂(a1)が水性媒体に完全に溶解することがあり、樹脂粒子(A1)を形成することが困難になる。酸価が10(mgKOH/g)未満であると、樹脂粒子(A1)が樹脂粒子(B)の表面に付着せず樹脂粒子(B)の内部に混入し、樹脂粒子(B)を形成することが困難となる。
本発明における酸価は、以下の方法で測定することができる。なお、以下に示した溶剤は一例であり、下記溶剤でサンプルの溶解が困難な場合は、サンプルを溶解可能な溶剤に適宜変更してもよい。
<酸価の測定方法>
サンプル1gを、トルエン/アセトン/メタノール混合溶剤[75/12.5/12.5(重量比)]100mlに溶解させ、0.1Nの水酸化カリウム/メタノール溶液で滴定し、下記式から酸価を算出する。
酸価=5.61×(滴下量[ml])×(0.1Nの水酸化カリウム/メタノール溶液
の力価)/(サンプル重量[g])
【0051】
樹脂(a1)は、結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であってもよい。なお、本発明における「結晶性」とは、樹脂の軟化点(℃)(以下Tmと略記する)と融解熱の最大ピーク温度(℃)(以下Taと略記する)との比(Tm/Ta)が0.8〜1.55であり、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを意味する。また、「非結晶性」とは、樹脂の(Tm/Ta)が1.55より大きいものを意味する。
なお、樹脂が結晶性樹脂と非結晶性樹脂のブロック体であっても、DSCにおいて、明確な吸熱ピークを有し、(Tm/Ta)が0.8〜1.55である場合は、これも結晶性樹脂とする。
【0052】
Tm、Taは、以下の方法で測定することができる。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をTmとする。
<Taの測定方法>
示差走査熱量計{例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]}を用いて測定する。
Taの測定に供する樹脂は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20〜100℃にある吸熱ピーク温度をTa’とする。複数ある場合は最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’ (℃)とする。最後に試料を(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次いで、前記樹脂を、DSCにより降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速
度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の吸熱ピーク温度(Ta)(℃)とする。
【0053】
樹脂(a1)が非結晶性樹脂の場合、ガラス転移温度(以下Tgと略記する)は、樹脂粒子(C)の粒径均一性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、好ましくは0〜300℃であり、更に好ましくは20〜250℃、特に好ましくは50〜200℃である。
(a1)のTgは、以下の方法で測定することができる。
<(a1)のTgの測定方法>
Tgは、非結晶性樹脂に特有の物性であり、融解熱の最大ピーク温度とは区別される。(B)のTgは、前記の(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)の測定と同様の方法
において、「吸発熱量」と「温度」とのグラフの最大ピーク温度以下でのベースラインの延長線と、最大ピークの立ち上がり部分から最大ピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点に対応する温度を(B)のTgとする。
【0054】
樹脂(a1)が結晶性樹脂の場合、Tmは、樹脂粒子(C)の低温定着性、保存時の耐熱性の観点から、好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃である。
【0055】
樹脂粒子(C)を作製する温度よりTg(樹脂(a1)が非結晶性の場合)、又はTm(樹脂(a1)が結晶性の場合)が低いと、(C)同士が合一するのを防止したり、分裂を防止したりする効果が小さくなり、(C)の体積平均粒径の均一性を高める効果が小さくなる。
【0056】
樹脂粒子(A1)が水や分散時に用いる溶剤に対して、溶解したり、膨潤したりするのを低減する観点から、樹脂(a1)のMn、溶解性パラメーター(以下SP値と略記する)、結晶性、架橋点間分子量等を適宜調整するのが好ましい。
【0057】
樹脂(a1)のMnは、好ましくは200〜500万であり、更に好ましくは2,000〜500,000である。
本発明における樹脂のMn、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、
18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、
1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0058】
樹脂(a1)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm
3)
1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
【0059】
樹脂粒子(C)の、耐熱性、耐水性、耐薬品性、粒径の均一性等を向上させたい場合には、樹脂(a1)に架橋構造を導入させてもよい。かかる架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。(a1)に架橋構造を導入する場合の架橋点間分子量は、好ましくは30以上であり、更に好ましくは50以上である。
【0060】
本発明における樹脂粒子(A2)は、結晶性樹脂(a2)を含有してなる。(a2)としては、水性分散液を形成しうる結晶性樹脂であればいかなる結晶性樹脂であってもよく、例えば結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリイミド樹脂及び結晶性ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。結晶性樹脂(a2)としては、上記樹脂の2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、シャープメルト性の樹脂粒子(C)が得られやすいという観点から、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂及びそれらの併用である。
【0061】
結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリイミド樹脂、結晶性ポリカーボネート樹脂結晶性樹脂としては、樹脂(a1)として例示したポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のうち、結晶性を有するものが挙げられる。
【0062】
結晶性樹脂(a2)の酸価は、0〜50(mgKOH/g)であり、樹脂粒子(A2)の粒径均一性、粒子安定性の観点から、好ましくは0〜45(mgKOH/g)、更に好ましくは0〜40(mgKOH/g)である。酸価が50を超えると、結晶性樹脂(a2)が油性液(O)と混合されないことがあり、樹脂粒子(B)の内部に(A2)を含有させることが困難になる。
【0063】
(a2)の酸価と(a1)の酸価の比[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は、0〜1であり、(B)の表面に(A1)が付着され、(B)の内部に(A2)を含有させる観点から、好ましくは0〜0.95、更に好ましくは0〜0.9である。[(a2)の酸価/(a1)の酸価]が1より大きいと、(B)の表面に(A1)と(A2)が共に付着したり、(B)の内部に(A1)と(A2)が共に含有されてしまうことがある。
なお、「(B)の内部に(A2)を含有させる」とは、(B)の表面に(A2)が存在せず、(A2)のすべてが(B)の中に存在することを意味する。
(B)の表面に(A1)と(A2)が共に付着すると、樹脂粒子(C)の低温定着性、保存時の耐熱性が不良となる。また、(B)の内部に(A1)と(A2)が共に含有すると、(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が大きくなり、耐熱保存安定性が不良になる。
【0064】
(a2)が(B)の内部に含有していることは、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察できる。
即ち、(C)をショ糖飽和水溶液(67重量%溶液)中に分散させ、−100℃で凍結させた後、クライオミクロトームにて肉厚約1000オングストロームにスライスし、四酸化ルテニウムにて(C)を染色した後、透過型電子顕微鏡により倍率10,000倍で樹脂粒子断面を撮影することで判別できる。
なお、TEM画像の観察上、樹脂(b)と結晶性樹脂(a2)の判別が困難な場合は、上記方法により得られた樹脂粒子断面を、組成マッピング可能な各種装置(例えばエネルギー分散型X線分光装置:EDX、電子エネルギー損失分光装置:EELS等)によりマッピングを行い、解析により得られた組成分布画像から(a2)の存在位置を特定することができる。
【0065】
結晶性樹脂(a2)の融点(Tm)は、樹脂粒子(C)の低温定着性、保存時の耐熱性の観点から、好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃である。
【0066】
樹脂粒子(A2)が水や分散時に用いる溶剤に対して、溶解したり、膨潤したりするのを低減する観点から、結晶性樹脂(a2)のMn、SP値を適宜調整するのが好ましい。
【0067】
結晶性樹脂(a2)のMnは、好ましくは200〜200万であり、更に好ましくは500〜500,000である。
【0068】
結晶性樹脂(a2)のSP値は、好ましくは6〜18(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは7〜14(cal/cm
3)
1/2である。
【0069】
樹脂粒子(A1)の体積平均粒径は、通常、樹脂粒子(B)の体積平均粒径よりも小さくなり、樹脂粒子(C)の粒径均一性の観点から、[(A1)の体積平均粒径/(B)の体積平均粒径]は好ましくは0.001〜0.3であり、更に好ましくは0.003〜0.25である。
【0070】
樹脂粒子(A1)の体積平均粒径は、所望の粒径の樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。
(A1)の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜30μmであり、更に好ましくは0.01〜20μm、特に好ましくは0.02〜10μm、最も好ましくは0.04〜10μmである。なお、(A1)の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」「(株)堀場製作所製」やコールターカウンター「マルチサイザーIII」」(コールター社製)等で測定することができる。
【0071】
本発明の樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A1)が付着され、(B)の内部に(A2)を含有する構造を有する。
水性分散液(W)中で(b)を含有してなる樹脂粒子(B)が形成される際に、(A1)を(B)の表面に吸着させることで、樹脂粒子(B)同士又は樹脂粒子(C)同士が合一するのを防ぎ、また、高剪断条件下で(C)が分裂され難くする。このことにより、(C)の体積平均粒径を一定の範囲に収斂させ、(C)の体積平均粒径の均一性を高める効果を発揮する。そのため、(A1)は、分散する際の温度において、剪断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解又は膨潤しにくいこと、油性液(O)に溶解や膨潤しにくいことが好ましい特性として挙げられる。
【0072】
本発明における樹脂粒子(B)は、樹脂(b)を含有してなる。(b)としては、樹脂(a1)として例示したものと同様のものであって、(a1)、結晶性樹脂(a2)と組成が異なるものが挙げられる。(b)のうち好ましいのは、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂であり、更に好ましいのは、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用である。
【0073】
樹脂(b)のMn、Tm、Tg、SP値は、用途によって好ましい範囲に適宜調整することができる。
例えば、樹脂粒子(C)をスラッシュ成形用樹脂、粉体塗料として用いる場合、(b)のMnは、好ましくは2,000〜50万であり、更に好ましくは4,000〜20万である。(b)のTmは、好ましくは0〜200℃であり、更に好ましくは35〜150℃である。(b)のTgは、好ましくは−60〜100℃であり、更に好ましくは−30〜60℃である。(b)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm
3)
1/2である。
(C)を液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機の標準粒子として用いる場合、(b)のMnは、好ましくは2万〜1,000万であり、更に好ましくは4万〜200万である。(b)のTmは、好ましくは40〜300℃であり、更に好ましくは70〜250℃である。(b)のTgは、好ましくは−0〜250℃であり、更に好ましくは50〜200℃である。(b)のSP値は、好ましくは8〜18(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは9〜14である。
(C)を電子写真、静電記録、静電印刷等に使用されるトナーとして用いる場合、(b)のMnは、好ましくは1,000〜500万であり、更に好ましくは2,000〜50万である。(b)のTmは、好ましくは20〜300℃であり、更に好ましくは80〜250℃である。(b)のTgは、好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは40〜200℃である。(b)のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは9〜14(cal/cm
3)
1/2である。
【0074】
樹脂(b)の前駆体(b0)としては、化学反応により樹脂(b)になり得るものであれば特に限定されず、(b)が、ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂である場合、(b0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが挙げられる。
(b)がビニル樹脂である場合、(b0)としては、前記の単量体(1)〜(9)が挙げられる。
(b0)のうち、生産性の観点から好ましいのは、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせである。
【0075】
前駆体(b0)として、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いる場合の、(α)が有する「反応性基」とは、硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。この場合、前駆体(b0)を反応させて(b)を形成する方法としては、(α)及び(β)を後述する水性分散液(W)中に分散して、加熱により(α)と(β)を反応させて(b)を形成させる方法等が挙げられる。
【0076】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、以下の〔1〕及び〔2〕等が挙げられる。
〔1〕(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、(β)が活性水素基含有化合物(β1)である組み合わせ。
〔2〕(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)である組み合わせ。
前記組合せ〔1〕において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)及び酸ハライド基(α1e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α1a)、(α1b)及び(α1c)であり、更に好ましいのは(α1a)及び(α1b)である。
ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
前記ブロック化剤としては、オキシム類(アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等);ラクタム類(γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム及びγ−バレロラクタム等);炭素数1〜20の脂肪族アルコール類(エタノール、メタノール及びオクタノール等);フェノール類(フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等);活性メチレン化合物(アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等);塩基性窒素含有化合物(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいのはオキシム類であり、更に好ましいのはメチルエチルケトオキシムである。
【0077】
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(αx)、(αy)及び(αz)であり、更に好ましいのは(αx)及び(αz)である。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド及びポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、ジオール(1)とジカルボン酸(2)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(1)とジイソシアネート(4)の重付加物及びポリエステル(αx)とジイソシアネート(4)の重付加物等が挙げられる。
【0078】
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等に反応性基を含有させる方法としては、
〔1〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法。
〔2〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、更に残存した前記官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法。
等が挙げられる。
前記〔1〕の方法では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー及びイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー等が得られる。
構成成分の比率は、例えば水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
前記〔2〕の方法では、前記方法〔1〕で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキシドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。
官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1であり、更に好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0079】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、好ましくは1個以上であり、更に好ましくは平均1.5〜3個、特に好ましくは平均1.8〜2.5個である。前記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。
反応性基含有プレポリマー(α)のMnは、好ましくは500〜30,000であり、更に好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは200Pa・s以下であり、更に好ましくは100Pa・s以下である。200Pa・s以下にすることで、粒度分布の狭い樹脂粒子(X)が得られる点で好ましい。
【0080】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいジアミン(β1a)、ジオール(β1b)、ジメルカプタン(β1c)及び水等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(β1a)、(β1b)及び水であり、更に好ましいのは(β1a)及び水であり、特に好ましいのは、ブロック化されたポリアミン類及び水である。
(β1a)としては、前記ポリアミン(15)のうち、ジアミンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。(β1a)として好ましいのは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物である。
【0081】
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物及びオキサゾリジン化合物等が挙げられる。
【0082】
ジオール(β1b)としては、前記ジオール(10)と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ジメルカプタン(β1c)としては、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0083】
必要により、活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(A)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びフェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン及びラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等);及びモノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0084】
前記組合せ〔2〕における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α2a)、(α2b)及び(α2e)であり、更に好ましいのは(α2b)である。
アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが挙げられる。
【0085】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ジイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)及びポリ酸ハライド(β2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは(β2a)及び(β2b)であり、更に好ましいのは(β2a)である。
【0086】
ジイソシアネート(β2a)としては、前記ポリイソシアネート(14)のうち、ジイソシアネートとして例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0087】
ジエポキシド(β2b)としては、前記ポリエポキシド(18)のうち、ジエポキシドとして例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0088】
ジカルボン酸(β2c)としては、前記ジカルボン酸(12)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0089】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、好ましくは1/2〜2/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水である場合は、水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0090】
(b)が結晶性ビニル樹脂であり、前記単量体(1)〜(9)を(b0)として用いた場合、(b0)から(b)を生成させる方法としては、例えば、油溶性開始剤及び単量体を含有する油相を、水性分散体(W)中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法等が挙げられる。
【0091】
前記油溶性開始剤としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)、油溶性アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
【0092】
油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I):
アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド及びクメンパーオキサイド等。
【0093】
油溶性アゾ系重合開始剤(II):
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等。
【0094】
非水系レドックス系重合開始剤(III):
ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル及び過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、3級アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素及びジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用したもの。
【0095】
本発明における水性分散液(W)は、樹脂粒子(A1)及び樹脂粒子(A2)が水性媒体中に分散されてなる。
水性媒体としては、水を必須構成成分とする液体であれば制限なく使用でき、水に界面活性剤を含有させた水溶液等が挙げられる。
【0096】
水性媒体中に樹脂粒子(A1)及び樹脂粒子(A2)を分散させて水性分散液(W)を作製する方法としては、特に制限はないが、以下の〔1〕〜〔9〕が挙げられる。
〔1〕(a1)、(a2)がビニル樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等の重合反応により、水性媒体中で(a1)、(a2)を分散させて(W)を作製する方法。
〔2〕(a1)、(a2)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして(W)を作製する方法。
〔3〕(a1)、(a2)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
〔4〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作製した(a1)、(a2)を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分球することによって (A1)、(A2)を得た後、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させる方法。
〔5〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作製した(a1)、(a2)を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより(A1)、(A2)を得た後、(A1)、(A2)を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔6〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作製した(a1)、(a2)を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又はあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液 を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して(A1)、(A2)を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔7〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作製した(a1)、(a2)を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法。
〔8〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作製した(a1)、(a2)を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
〔9〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)で親水性モノマーを導入して作製した親水性基含有樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、水性媒体中に自己乳化させ、これを加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法。
【0097】
上記〔1〕〜〔8〕の方法において、併用する乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。また、乳化又は分散の助剤として有機溶剤、可塑剤等を併用することができる。
【0098】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤等が挙げられる。なお、界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
【0099】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、炭素数8〜24のアルキル基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩(ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等)、アシル化アミノ酸塩(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等)等が挙げられる。
【0100】
カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型及びアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、3級アミン類と4級化剤[ハロゲン化アルキル(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等)、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート及びエチレンオキサイド等]との反応で得られる化合物等が使用でき、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。アミン塩型カチオン界面活性剤としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。2級アミン塩型のものとしては、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0101】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(炭素数10〜18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウム型カルボキシベタイン(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)]、スルホベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシエチルスルホベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン等)、ジメチルアルキル(炭素数10〜18)ジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0102】
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールエチレンオキサイド付加物(付加モル数1〜30)、高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)、脂肪酸(炭素数8〜18)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルエチレンオキシド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等が挙げられる。
多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸(炭素数10〜18)アルカノールアミド等が挙げられる。
【0103】
水溶性ポリマーとしては、セルロース化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びこれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)重合体(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物及びアクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及び水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール及びポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
【0104】
有機溶剤としては、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)並びにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0105】
可塑剤としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル
酸ブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);リン酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル及びリン酸トリクレジール等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0106】
本発明における油性液(O)は、樹脂(b)、(b)の前駆体(b0)、及びそれらの有機溶剤溶液から選ばれる1種以上を含有してなる。
(b)又は(b0)の有機溶剤溶液を構成する有機溶剤としては、前記の有機溶剤として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0107】
本発明における油性液(O)中には、Mwが1,000以下の有機酸(c1)、及びMwが1,000以下の第3級アミン(c2)を含有させてもよい。
(c1)、(c2)のMwは、更に好ましくは900以下であり、特に好ましくは800以下、最も好ましくは700以下である。(c1)、(c2)のMwが1,000以下であれば、(C)の熱特性(耐熱性、溶融粘度等)や電気的特性が良好になる。
【0108】
有機酸(c1)としては、(O)中に均一に溶解する炭素数1〜25の脂肪族モノ又はポリカルボン酸、炭素数7〜25の芳香族モノ又はポリカルボン酸、及びそれらのポリカルボン酸の無水物等が挙げられる。なお、(c1)は2種以上を併用してもよい。
炭素数1〜25の脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等が挙げられる。
炭素数1〜25の脂肪族ポリカルボン酸としては、前記ジカルボン酸(12)及びポリカルボン酸(13)において、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸、及び炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸として例示したもののうち、炭素数が25以下のもの等が挙げられる。
炭素数7〜25の芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸及びサリチル酸等が挙げられる。
炭素数7〜25の芳香族ポリカルボン酸としては、前記ジカルボン酸(12)及びポリカルボン酸(13)のうち、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸として例示したもの等が挙げられる。
酸無水物としては、上記のポリカルボン酸の無水物等が挙げられる。
(c1)のうち、好ましいのは、炭素数1〜25の脂肪族モノカルボン酸、炭素数7〜25の芳香族モノ又はポリカルボン酸、及びその無水物であり、更に好ましいのは、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、テレフタル酸、無水フタル酸及び安息香酸である。
【0109】
第3級アミン(c2)としては、炭素数3〜25の脂肪族アミン、炭素数3〜25の複素環式アミン及び炭素数6〜25の芳香族アミン等が挙げられる。なお、(c2)は2種以上を併用してもよい。
炭素数3〜25の脂肪族アミンとしては、N−メチルジエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、トリ−n−エチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N,N―ジメチルオクチルアミン及びN,N−ジメチルプロパルギルアミン等が挙げられる。
炭素数3〜25の複素環式アミンとしては、1,4―ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、ビス(2−モルホリノエチル)エーテル等が挙げられる。
炭素数6〜25の芳香族アミンとしては、N,N−ジメチルベンジルアミン等が挙げられる。
(c2)のうち、好ましいのは、炭素数3〜25の脂肪族アミン及び複素環式アミンであり、更に好ましいのは、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4、0]ウンデセン−7、及びビス(2−モルホリノエチル)エーテルであり、特に好ましいのは、1,8−ジアザビシクロ[5,4、0]ウンデセン−7、及びビス(2−モルホリノエチル)エーテルである。
【0110】
本発明における油性液(O)の酸価及び全アミン価は、それぞれ好ましくは1〜50(mgKOH/g)であり、更に好ましくは2〜45(mgKOH/g)、特に好ましくは3〜40(mgKOH/g)、最も好ましくは4〜30(mgKOH/g)である。
(O)の酸価及び全アミン価が上記範囲であれば、(O)を水性分散液(W)中に分散させる際、(O)中に存在する(c1)、(c2)によって(O)は自己乳化性を発現し、(W)中に速やかに分散され易くなる。従って、(O)の酸価及び全アミン価のいずれかが上記範囲外である場合、(O)を安定的に(W)中に分散することが困難になる。
【0111】
(O)の酸価と全アミン価の差の絶対値は、好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下、特に好ましくは16以下、最も好ましくは15以下である。20以下であれば、樹脂粒子(A1)が樹脂粒子(B)の表面に吸着されやすくなり、かつ樹脂粒子(C)同士の合一を防ぐ効果が得られ、体積平均粒径が均一な(C)が得られやすい。
同様の理由から、(O)の[酸価/全アミン価]は、好ましくは0.1〜7であり、更に好ましくは0.12〜6.5、特に好ましくは0.15〜6.0、最も好ましくは0.18〜5.5、より最も好ましくは0.2〜5.0である。
【0112】
本発明における全アミン価は、以下の方法で測定することができる。なお、以下に示した溶剤は一例であり、下記溶剤でサンプルの溶解が困難な場合は、サンプルを溶解可能な溶剤に適宜変更してもよい。
<全アミン価の測定方法>
サンプル1gをジメチルホルムアミド50mlに溶解し、0.01Nの塩酸/メタノール溶液で滴定し、下記式から全アミン価を算出する。
全アミン価=0.561×(滴下量[ml])×(0.01Nの塩酸/メタノール溶液の力価)/(サンプル重量[g])
【0113】
(O)中の(c1)の含有率は、上記の(O)の酸価、及び[酸価/全アミン価]を満たすような範囲であればよく、(O)の重量に基づき、好ましくは0.01〜5重量%であり、更に好ましくは0.02〜4.5重量%、特に好ましくは0.03〜4重量%、最も好ましくは0.05〜3重量%である。
(c1)の含有率が0.01重量%以上であれば、樹脂粒子(A1)が樹脂粒子(B)の表面に十分に吸着され、5重量%以下であれば樹脂粒子(C)中の(c1)の残存量が少なくなり、(C)の熱特性(耐熱性、溶融粘度等)や電気的特性が良好になる。
【0114】
上記の(O)の全アミン価、酸価と全アミン価の差の絶対値、及び[酸価/全アミン価]は、上記のいかなるアミンでも調整可能であるが、第3級アミン(c2)の含有率を調整することで調整するのが好ましい。
(c2)は、特に(b)又は(b0)として、例えばイソシアネート基やエポキシ基等の活性水素と反応性を有する官能基を含有するものを使用する場合、副反応を伴わずに(O)の全アミン価の調整が可能であり、更に(b0)の反応において触媒効果を得ることができる。また(c2)は化学的特性が安定であることから、(c2)の構造を選択することにより、適正量を樹脂粒子(C)中に残存させることが可能であり、樹脂粒子(C)の表面特性(親水性、親油性、電気的特性等)を制御することができる。
【0115】
樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜300μmであり。更に好ましくは0.5〜250μm、特に好ましくは1〜200μmである。
【0116】
樹脂粒子(C)中の(c1)、(c2)のそれぞれの残存率は、好ましくは10〜1,000ppmであり、更に好ましくは12〜900ppm、特に好ましくは15〜700ppm、最も好ましくは20〜600ppm、より最も好ましくは30〜500ppmである。上記範囲内であれば、(C)の熱特性(耐熱性、溶融粘度等)や電気的特性が良好になる。
【0117】
樹脂粒子(C)中の(c1)、(c2)の残存率は、(C)を溶剤に溶解し、上記の方法で酸価又は全アミン価を測定する方法や、ガスクロマトグラフによって測定することができる。
【0118】
ガスクロマトグラフで(C)中の(c1)、(c2)の残存率を測定する際の、測定条件の一例を以下に示す。
機種:「 GC2010」[(株)島津製作所製]
カラム:「DB−5」(5重量%フェニルメチルポリシロキサン、内径0.25mm、
長さ30m)[(株)島津製作所製]
溶離液:ジメチルホルムアミド
流速:40.5ml/min
検出器温度:250℃
注入量:1μl
【0119】
(C)中の(c1)及び(c2)の残存率は、(c1)、(c2)の種類により変化し、また(C)の造粒後の脱揮、洗浄操作により制御することができる。例えば(c2)の残存率を低く抑えたい場合、(c2)として低沸点のトリエチルアミンや、SP値の高いトリエタノールアミン等を使用することができる。樹脂粒子(C)の機能付与、あるいは(b0)の反応触媒としての効果を発現すべく、(C)中の(c2)の残存率を高めたい場合には、逆に高沸点、低SP値の(c2)を使用することができる。
【0120】
本発明における、水性分散液(W)中に油性液(O)を分散させる方法としては特に制限はなく、例えば、分散機を用いて(W)中に(O)を分散させる方法が挙げられる。
分散機としては、一般に乳化機や分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えばバッチ式乳化機{「ホモジナイザー」(IKA社製)、「ポリトロン」(キネマティカ社製)及び「TKオートホモミキサー」[プライミクス(株)製]等}、連続式乳化機{「エバラマイルダー」[(株)荏原製作所製]、「TKフィルミックス」、「TKパイプラインホモミキサー」[プライミクス(株)製]、「コロイドミル」[神鋼パンテック(株)製]、「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」[サンテック(株)製]、「キャピトロン」(ユーロテック社製)及び「ファインフローミル」[太平洋機工(株)製]等}、高圧乳化機{「マイクロフルイダイザー」[みずほ工業(株)製]、「ナノマイザー」[エス・ジーエンジニアリング(株)製]及び「APVガウリン」(ガウリン社製)等}、膜乳化機{「膜乳化機」[冷化工業(株)製]等}、振動式乳化機{「バイブロミキサー」[冷化工業(株)製]等}、超音波乳化機{「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等}等が挙げられる。
【0121】
水性分散液(W)中に油性液(O)を分散する際の(O)の粘度は、樹脂粒子(C)の粒径均一性の観点から、好ましくは10〜5万mPa・sであり、更に好ましくは100〜1万mPa・sである。
(O)の粘度は、(W)中に(O)を分散する温度における粘度であり、B型粘度型で測定することができる。
【0122】
水性分散液(W)中に油性液(O)を分散させる際の温度は、好ましくは0〜150℃であり(加圧下)、更に好ましくは5〜98℃である。(O)の分散体の粘度が高い場合は、高温にして(O)の粘度を上記の好ましい範囲まで低下させて、分散を行うのが好ましい。
【0123】
樹脂(b)100重量部に対する水性媒体の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部であり、更に好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上では(b)の分散状態が良好である。2,000重量部以下であると経済的である。
【0124】
樹脂粒子(C)は、樹脂(a1)からなる樹脂粒子(A1)、結晶性樹脂(a2)からなる樹脂粒子(A2)の水性分散液(W)中に、樹脂(b)、樹脂(b)の溶剤溶液、樹脂(b)の前駆体(b0)、又は前駆体(b0)の溶剤溶液を分散させ、前駆体(b0)の場合は前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)を形成して、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A1)が付着してなる構造の樹脂粒子(C)の水性樹脂分散体を形成させた後、水性樹脂分散体から水性媒体を除去することにより得られる。水性媒体を除去する方法としては、
〔1〕(C)の水性樹脂分散体を減圧下又は常圧下で乾燥する方法
〔2〕(C)の水性樹脂分散体を遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
〔3〕(C)の水性樹脂分散体を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)
等が挙げられる。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0125】
樹脂粒子(C)は、実質的に小樹脂粒子(A1)と大樹脂粒子(B)から構成され、(A1)が(B)の表面に付着した形で存在する。両粒子の付着力を強めたい場合には、水性媒体中に分散した際に、(A1)と(B)が正負逆の電荷を持つようにしたり、(A1)と(B)が同一の電荷持つ場合には、界面活性剤(S)又は水溶性ポリマー(T)のうち(A1)及び(B)と逆電荷を持つものを使用したり、樹脂(a)と樹脂(b)のSP値差を2以下にしたりすることが有効である。
【0126】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、保存安定性等の観点から、(C)は、0.1〜50重量%の(A1)と50〜99.9重量%の(B)からなるのが好ましく、0.2〜40重量%の(A1)と60〜99.8重量%の(B)からなるのがさらに好ましい。
【0127】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性、保存安定性等の観点からは、樹脂粒子(B)の表面の5%以上が樹脂粒子(A1)で覆われているのが好ましく、(B)の表面の10%以上が(A1)で覆われているのが更に好ましい。なお、表面被覆率は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)=(A1)に覆われている部分の面積/[(A1)に覆われている部分の面積+(B)が露出している部分の面積]×100
【0128】
粒径均一性の観点から、樹脂粒子(C)の体積分布の変動係数は、30%以下であるのが好ましく、0.1〜15%であるのが更に好ましい。また、粒径均一性から、樹脂粒子(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]は、1.0〜1.5であるのが好ましく、1.0〜1.45であるのがさらに好ましい。
(C)の体積平均粒径は、用途により異なるが、一般的には0.1〜300μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは250μm、特に好ましくは200μmであり、下限は、さらに好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μmである。
なお、体積平均粒径及び個数平均粒径は、コールターカウンターで同時に測定することができる。
【0129】
本発明の樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(A1)と樹脂粒子(B)の粒径、及び、(A1)による(B)表面の被覆率を変えることで粒子表面に所望の凹凸を付与することができる。粉体流動性を向上させたい場合には、(C)のBET値比表面積が0.5〜5.0m
2/gであるのが好ましい。BET比表面積は、比表面積計、例えばQUANTASORB(ユアサアイオニクス製)を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1vol%、検量ガス:窒素)することができる。
同様に粉体流動性の観点から、(C)の表面平均中心線粗さRaが0.01〜0.8μmであるのが好ましい。Raは、粗さ曲線とその中心線との偏差の絶対値を算術平均した値のことであり、例えば、走査型プローブ顕微鏡システム(東陽テクニカ製)で測定することができる。
【0130】
樹脂粒子(C)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましい。その場合、粒子(A1)及び粒子(B)も球状であるのが好ましい。(C)はWadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましい。なお、Wadell実用球形度は、粒子の投影面積に等しい面積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小面積の円との直径の比から求められる。粒子の投影像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影することができる。
【0131】
樹脂粒子(B)の水性樹脂分散体は、水性樹脂分散体中において、互いに付着している樹脂粒子(A1)と樹脂粒子(B)を脱離させた後、該水性樹脂分散体から(A1)を分離除去したり、又は水性樹脂分散体中において、(B)を溶解させることなく(A1)を溶解させたりして得られる。(A1)の溶解物は必要に応じて分離除去しても良い。
さらに、この水性樹脂分散体から水性媒体を除去することにより樹脂粒子(B)が得られる。水性媒体の除去方法としては、樹脂粒子(C)の場合と同様の方法が例示される。
水性樹脂分散体中において、付着している樹脂粒子(A1)と樹脂粒子(B)を脱離させる方法としては、
〔1〕水性樹脂分散体を超音波処理する方法
〔2〕水性樹脂分散体を大量の水又はメタノール、エタノールもしくはアセトン等の水溶性の有機溶剤で希釈し、撹拌により剪断を与える方法
〔3〕水性樹脂分散体に酸、アルカリ又は無機塩類等を添加し、撹拌により剪断を与える方法
〔4〕水性樹脂分散体を加熱し、撹拌により剪断を与える方法
〔5〕水性樹脂分散体が溶剤を含む場合[樹脂(a)の溶剤溶液及び/又は樹脂(b)溶剤溶液が水性媒体中に分散されている場合や、水性媒体中に溶剤が溶解している場合]に、脱溶剤を行う方法
等が挙げられる。
【0132】
水性樹脂分散体中において、樹脂粒子(A1)を溶解させる方法としては、
〔1〕樹脂(a1)がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性樹脂分散体中に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、DBU等のアルカリ又はそれらの水溶液を加える方法
〔2〕樹脂(a1)が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性官能基を有する樹脂(一般に塩基性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性樹脂分散体中 に塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸又はそれらの水溶液を加える方法
〔3〕樹脂(a1)が、特定の有機溶剤に溶解する場合{一般に樹脂(a)と有機溶剤のSP値の差が2.5以下であるのが好ましい}に、水性樹脂分散体中に特定の有機溶剤を加える方法
等が挙げられる。
【0133】
水性樹脂分散体から樹脂粒子(A1)又はその溶解物を分離除去する方法としては、
〔1〕一定の目開きを有する濾紙、濾布、メッシュ等を用いて濾過し、樹脂粒子(B)のみを濾別する方法
〔2〕遠心分離により樹脂粒子(B)のみを沈降させ、上澄み中に含まれる樹脂粒子(A1)又はその溶解物を除去する方法
等が挙げられる。
【0134】
本発明の樹脂粒子(B)は、樹脂粒子(A1)の樹脂粒子(B)に対する粒径比、及び、水性樹脂分散体中における(A1)による(B)表面の被覆率、水性樹脂分散体中における(B)/水性媒体界面上で(A1)が(B)側に埋め込まれている深さ、を変えることで粒子表面を平滑にしたり、粒子表面に所望の凹凸を付与したりすることができる。
(A1)による(B)表面の被覆率や(A1)が(B)側に埋め込まれている深さは、以下のような方法で制御することができる。
〔1〕水性樹脂分散体を製造する際に、(A1)と(B)が正負逆の電荷を持つようにすると被覆率、深さが大きくなる。この場合、(A1)、(B)各々の電荷を大きくするほど、被覆率、深さが大きくなる。
〔2〕水性樹脂分散体を製造する際に、(A1)と(B)が同極性(どちらも正、又はどちらも負)の電荷を持つようにすると、被覆率は下がり、深さが小さくなる傾向にある。この場合、一般に界面活性剤及び/又は水溶性ポリマー[特に(A1)及び(B)と逆電荷を有するもの]を使用すると被覆率が上がる。また、水溶性ポリマーを使用する場合には、水溶性ポリマーの分子量が大きいほど深さが小さくなる。
〔3〕水性樹脂分散体を製造する際に、樹脂(a1)がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性媒体のpHが低いほど被覆率、深さが大きくなる。逆に、pHを高くするほど被覆率、深さが小さくなる。
〔4〕水性樹脂分散体を製造する際に、樹脂(a1)が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性官能基を有する樹脂(一般に塩基性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性媒体のpHが高いほど被覆率、深さが大きくなる。逆に、pHを低くするほど被覆率、深さが小さくなる。
〔5〕樹脂(a1)と樹脂(b)のSP値差を小さくするほど被覆率、深さが大きくなる。
【0135】
得られる樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、用いられる用途により異なるが、好ましくは0.1〜300μmであり、更に好ましくは0.5〜250μm、特に好ましくは1〜200μmである。また、(B)の粒径均一性から、(B)の[体積平均粒径/個数平均粒径]は、1.0〜1.5であるのが好ましく、1.0〜1.45がさらに好ましい。
【0136】
(B)の粉体流動性を向上させたい場合には、樹脂粒子(B)のBET値比表面積が0.5〜5.0m
2/gであるのが好ましく、表面平均中心線粗さRaが0.01〜0.8μmであるのが好ましい。
樹脂粒子(B)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましく、Wadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましく、より好ましくは0.90〜1.00である。
【0137】
本発明のトナーは、本発明の樹脂粒子(C)を含有してなる。本発明のトナーには、本発明の(C)の他に、着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有させることができる。
上記の着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等は、樹脂粒子(C)を製造する際に、あらかじめ樹脂粒子(A1)、(A2)、水性分散液(W)、又は油性液(O)中に含有させておいてもよく、樹脂粒子(C)を製造した後、(C)と混合してもよい。
【0138】
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21、77及び114等)、ピグメントイエロー(12、14、17及び83等)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17、49、128、5、13、22及び48・2等)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25、94、60及び15・3等)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末、マグネタイト、ヘマタイト並びにフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0139】
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス(例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックス等)、炭素数30〜50の脂肪族アルコール(例えばトリアコンタノール等)、炭素数30〜50の脂肪酸(例えばトリアコンタンカルボン酸等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、ポリメチレン(例えばサゾールワックス等のフィシャートロプシュワックス等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸カルシウム等)及び脂肪酸エステル(ベヘニン酸ベヘニル等)等が挙げられる。
【0140】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0141】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム及び炭酸バリウム等が挙げられる。
【0142】
トナーを構成する各成分の含有率は、以下の通りである。
本発明のトナーバインダーの含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは30〜97重量%であり、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜92重量%である。
着色剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜60重量%であり、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
【0143】
トナーは、必要に応じて、キャリアー粒子[鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等]と混合して、電気的潜像の現像剤として用いることができる。また、キャリアー粒子の替わりに、帯電ブレード等と摩擦させて、電気的潜像を形成させることもでき、電気的潜像は、公知の熱ロール定着方法等によって、支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着される。
【0144】
トナーの体積平均粒径は、好ましくは0.1〜100μmであり、更に好ましくは0.5〜70μm、特に好ましくは1〜50μmである。
なお、トナーの体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
【実施例】
【0145】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0146】
<製造例1>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱水装置を備えた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物218重量部、ビスフェノールA・PO3モル付加物537重量部、テレフタル酸213重量部、アジピン酸47重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、0.0004MPaの減圧下で5時間脱水反応を行った。次いで180℃に冷却し、無水トリメリット酸43重量部を投入し、常圧、同温度で2時間反応を行い、ポリエステル樹脂(b−1)を得た。(b−1)のTg:44℃、Mn:2,700、Mw:6,500、酸価:25(mgKOH/g)であった。
【0147】
<製造例2>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱水装置を備えた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物681重量部、ビスフェノールA・PO2モル付加物81重量部、テレフタル酸275重量部、アジピン酸7重量部、無水トリメリット酸22重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、0.0004MPaの減圧下で5時間脱水反応を行い、ポリエステル樹脂(b−2)を得た。(b−2)のTg:54℃、Mn:2,200、Mw:9,500、酸価:0.8、水酸基価:53(mgKOH/g)であった。
【0148】
<製造例3>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐加圧反応装置に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(b−2)432重量部、IPDI68重量部、酢酸エチル500重量部を投入し、密閉下、100℃で5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b0−2)の酢酸エチル溶液を得た。(b0−2)の酢酸エチル溶液のNCO含量は0.8重量%であった。
【0149】
<製造例4>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、水944重量部、メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]6重量部、スチレン70重量部、メタクリル酸69重量部、アクリル酸ブチル92重量部、過硫酸アンモニウム0.5重量部を投入し、25℃で400回転/分で15分間撹拌した。次いで75℃に昇温して同温度で5時間反応させ、更に1重量%過硫酸アンモニウム水溶液15重量部加え、75℃で5時間熟成し、ビニル樹脂(a1−1)の水性分散液[樹脂粒子分散液(A1−1)]を得た。(a1−1)の酸価は188(mgKOH/g)、(A1−1)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.15μmであった。
【0150】
<製造例5>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、脱溶剤装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール「HS 2H−200S」[水酸基価:56(mgKOH/g)、豊国製油(株)製]166重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸25重量部、イソホロンジイソシアネート59重量部、アセトン250重量部を、窒素を導入しながら投入した。次いで50℃に昇温し、24時間かけてウレタン化反応を行い、ポリウレタン樹脂(a1−2)のアセトン溶液を得た。次いでポリウレタン樹脂(a1−2)のアセトン溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン8重量部を加え、撹拌下の水1,000重量部に注ぎ乳化させた後アセトンを除去し、樹脂粒子分散液(A1−2)を得た。(a1−2)の酸価は46(mgKOH/g)、(A1−2)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.11μmであった。
【0151】
<製造例6>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱水装置を備えた反応容器に、プロピレングリコール353重量部、テレフタル酸697重量部、アジピン酸2重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、0.0004MPaの減圧下で5時間脱水反応を行った。次いで180℃に冷却し、無水トリメリット酸32重量部を投入し、常圧、同温度で2時間反応を行い、ポリエステル樹脂(a1−3)を得た。(a1−3)の酸価は21(mgKOH/g)であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、(a1−3)250重量部、メチルエチルケトン250重量部を投入した後、80℃に昇温して(a1−3)を溶解させた。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン5重量部を加え、撹拌下の水1,000重量部中に注ぎ乳化させた後、メチルエチルケトンを除去し、樹脂粒子分散液(A1−3)を得た。(A1−3)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
【0152】
<製造例7>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、水944重量部、メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]6重量部、スチレン57重量部、メタクリル酸104重量部、アクリル酸ブチル70重量部、過硫酸アンモニウム0.5重量部を投入し、25℃で400回転/分で15分間撹拌した。次いで75℃に昇温して同温度で5時間反応させ、更に1重量%過硫酸アンモニウム水溶液15重量部加え、75℃で5時間熟成し、ビニル樹脂(a1−4)の水性分散液[樹脂粒子分散液(A1−4)]を得た。(a1−4)の酸価は283(mgKOH/g)、(A1−4)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.16μmであった。
【0153】
<製造例8>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、1,4−ブタンジオール321重量部、ドデカン二酸805重量部及び縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1重量部を投入し、常圧、220℃で10時間反応した後、0.0013〜0.0020MPaの減圧下で5時間反応させた。次いで、180℃に冷却し、無水トリメリット酸26重量部を加え、常圧密閉下で2時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂(a2−1)を得た。(a2−1)の酸価は15(mgKOH/g)であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、(a2−1)250重量部、メチルエチルケトン250重量部を投入した後、80℃に昇温して(a2−1)を溶解させた。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン7重量部を加え、撹拌下の水1,000重量部中に注ぎ乳化させた後、メチルエチルケトンを除去し、樹脂粒子分散液(A2−1)を得た。(A2−1)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.19μmであった。
【0154】
<製造例9>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール「HS 2H−350S」、[水酸基価:32(mgKOH/g)、豊国製油(株)製]235重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート15重量部を、窒素を導入しながら投入した。次いで80℃に昇温し、同温度で8時間反応させ結晶性ポリウレタン樹脂(a2−2)を得た。(a2−2)の酸価は0(mgKOH/g)であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、(a2−2)250重量部、アセトン250重量部を投入した後、80℃に昇温して(a2−2)を溶解させた。次いで40℃に冷却し、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液「エレミノールMON7」[三洋化成工業(株)製]180重量部を、撹拌下の水910重量部に注ぎ、TKオートホモミキサー[プライミクス(株)製]を使用して、回転数8,000rpmで3分間分散した後アセトンを除去し、樹脂粒子分散液(A2−2)を得た。(A2−2)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.12μmであった。
【0155】
<製造例10>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、脱溶剤装置、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応容器に、トルエン500重量部を投入し、別のガラス製ビーカーに、トルエン350重量部、ベヘニルアクリレート「ブレンマーVA」[日油(株)製]128重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20重量部、メタクリル酸2重量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7.5重量部を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。
反応容器の気相部の窒素置換を行った後、密閉下80℃ので2時間かけて滴下ロートから単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、結晶性ビニル樹脂(a2−3)を得た。(a2−3)の酸価は8(mgKOH/g)であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、(a2−3)250重量部、アセトン250重量部を投入した後80℃に昇温して(a2−2)を溶解させた。次いで40℃に冷却し、「エレミノールMON7」180重量部を、撹拌下の水910重量部に注ぎ、TKオートホモミキサーを使用し、回転数8,000rpmで3分間分散した後アセトンを除去し、樹脂粒子分散液(A2−3)を得た。(A2−3)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.22μmであった。
【0156】
<製造例11>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、1,4−ブタンジオール321重量部、ドデカン二酸805重量部及び縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1重量部を投入し、常圧、220℃で10時間反応した後、0.0013〜0.0020MPaの減圧下で5時間反応させた。次いで、180℃に冷却し、無水トリメリット酸66重量部を加え、常圧密閉下で2時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂(a2−4)を得た。(a2−4)の酸価は38(mgKOH/g)であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、(a2−4)250重量部、メチルエチルケトン250重量部を投入した後、80℃に昇温して(a2−4)を溶解させた。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン18重量部を加え、撹拌下の水1,000重量部中に注ぎ乳化させた後、メチルエチルケトンを除去し、樹脂粒子分散液(A2−4)を得た。(A2−4)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は、0.13μmであった。
【0157】
<比較製造例1>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、脱溶剤装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール「HS 2H−100S」[水酸基価:112(mgKOH/g)、豊国製油(株)製]149重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸35重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート66重量部、アセトン250重量部、窒素を導入しながら投入した。次いで50℃に昇温し、24時間かけてウレタン化反応を行い、比較の結晶性ポリウレタン樹脂(a’2−1)のアセトン溶液を得た。次いで(a’2−1)のアセトン溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン12重量部を加え、撹拌下の水1,000部に注ぎ乳化させた後アセトンを除去し、比較の樹脂粒子分散液(A’2−1)を得た。(a’2−1)の酸価は60(mgKOH/g)であった。(A’2−1)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.12μmであった。
【0158】
<比較製造例2>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂(a2−1)250重量部、酢酸エチル1,000重量部を投入した後70℃に昇温して(a2−1)を溶解させた。次いで25℃に冷却して樹脂粒子を晶析させ、樹脂粒子油性分散液(A22−1)を得た。(A22−1)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.78μmであった。
【0159】
<製造例12>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、水955重量部、製造例4で得られた樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部、製造例8で得られた樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部、「エレミノールMON7」100重量部を投入し、乳白色の液体である水性分散液(W−1)を得た。(W−1)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.08であった。
【0160】
<製造例13>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を、製造例9で得られた樹脂粒子分散液(A2−2)180重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−2)を得た。(W−2)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0であった。
【0161】
<製造例14>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を、製造例10で得られた樹脂粒子分散液(A2−3)180重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−3)を得た。(W−3)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.04であった。
【0162】
<製造例15>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を、製造例5で得られた樹脂粒子分散液(A1−2)60重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−4)を得た。(W−4)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.33であった。
【0163】
<製造例16>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を製造例6で得られた樹脂粒子分散液(A1−3)60重量部に、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を製造例10で得られた樹脂粒子分散液(A2−3)180重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−5)を得た。(W−5)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.38であった。
【0164】
<製造例17>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を、製造例7で得られた樹脂粒子分散液(A1−3)60重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−6)を得た。(W−6)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.71であった。
【0165】
<製造例18>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を、製造例7で得られた樹脂粒子分散液(A1−4)60重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−7)を得た。(W−7)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.05であった。
【0166】
<製造例19>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を製造例11で得られた樹脂粒子分散液(A2−4)180重量部に、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を製造例5で得られた樹脂粒子分散液(A1−2)60重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、水性分散液(W−8)を得た。(W−8)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は0.83であった。
【0167】
<比較製造例3>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A1−1)60重量部を製造例5で得られた樹脂粒子分散液(A1−2)60重量部に、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を比較製造例1で得られた比較の樹脂粒子分散液(A2’−4)180重量部に変更する以外は製造例12と同様にして、比較の水性分散液(W’−5)を得た。(W’−5)の[(a2)の酸価/(a1)の酸価]は1.30である。
【0168】
<比較製造例4>
製造例12において、樹脂粒子分散液(A2−1)180重量部を使用しない以外は製造例12と同様にして、比較の水性分散液(W’−6)を得た。
【0169】
<実施例1>
ビーカーに、製造例1で得られたポリエステル樹脂(b−1)177重量部、酢酸エチル181重量部、製造例3で得られたウレタンプレポリマー(b0−2)溶液39重量部、イソホロンジアミン0.1重量部、酢酸0.5重量部及びトリエチルアミン2.8重量部を投入し、混合均一化し、油性液(O−1)400.4重量部を得た。(O−1)の酸価は11.8(mgKOH/g)、全アミン価は4.1(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は7.7、[酸価/全アミン価]は2.9であった。
油性液(O−1)400.4重量部に、製造例12で得られた水性分散液(W−1)600重量部を添加し、TKオートホモミキサーを使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散し、さらにフィルムエバポレータで減圧度0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間酢酸エチルを除去し、水性樹脂分散体を得た。
得られた水性樹脂分散体100重量部を遠心分離し、更に水60重量部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して樹脂粒子(C−1)を得た。
【0170】
<実施例2>
実施例1において、トリエチルアミン2.8重量部をビス(2−モルホリノエチル)エーテル4.1重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−2)401.7重量部を得た。(O−2)の酸価は11.8(mgKOH/g)、全アミン価は3.7(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は8.1、[酸価/全アミン価]は3.2であった。
油性液(O−2)401.7重量部に、製造例13で得られた水性分散液(W−2)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−2)を得た。
【0171】
<実施例3>
実施例1において、酢酸0.5重量部をテレフタル酸1.5重量部に、トリエチルアミン2.8重量部を1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7 6.1重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−3)404.7重量部を得た。(O−3)の酸価は13.0(mgKOH/g)、全アミン価は3.3(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は9.7、[酸価/全アミン価]は3.9であった。
(O−3)404.7重量部に、製造例14で得られた水性分散液(W−3)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−3)を得た。
【0172】
<実施例4>
実施例1において、酢酸0.5重量部をトリメリット酸0.1重量部に、トリエチルアミン2.8重量部をビス(2−モルホリノエチル)エーテル7.5重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−4)404.7重量部を得た。(O−4)の酸価は10.7(mgKOH/g)、全アミン価は8.7(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は2.0、[酸価/全アミン価]は1.2であった。
(O−4)404.7重量部に、製造例15で得られた水性分散液(W−4)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−4)を得た。
【0173】
<実施例5>
実施例1において、酢酸0.5重量部をテレフタル酸1.5重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−5)401.4重量部を得た。(O−5)の酸価は11.9(mgKOH/g)、全アミン価は3.8(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は8.1、[酸価/全アミン価]は3.1であった。
(O−5)401.4重量部に、製造例16で得られた水性分散液(W−5)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−5)を得た。
【0174】
<実施例6>
実施例1において、酢酸0.5重量部をテレフタル酸1.5重量部に、トリエチルアミン2.8重量部をビス(2−モルホリノエチル)エーテル5.0重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−6)403.3重量部を得た。(O−6)の酸価は12.2(mgKOH/g)、全アミン価は4.9(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は7.3、[酸価/全アミン価]は2.5であった。
(O−6)403.3重量部に、製造例17で得られた水性分散液(W−6)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−6)を得た。
【0175】
<実施例7>
実施例1において、酢酸0.5重量部をテレフタル酸1.5重量部に、トリエチルアミン2.8重量部をビス(2−モルホリノエチル)エーテル6.5重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−7)405.1重量部を得た。(O−7)の酸価は12.3(mgKOH/g)、全アミン価は5.6(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は6.7、[酸価/全アミン価]は2.2であった。
(O−7)405.1重量部に、製造例18で得られた水性分散液(W−7)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−7)を得た。
【0176】
<実施例8>
実施例1において、酢酸0.5重量部をトリメリット酸0.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−8)400.1重量部を得た。(O−8)の酸価は13.0(mgKOH/g)、全アミン価は4.7(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は8.3、[酸価/全アミン価]は2.8であった。
(O−8)400.1重量部に、製造例19で得られた水性分散液(W−8)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い樹脂粒子(C−8)を得た。
【0177】
<比較例1>
実施例1において、酢酸0.5重量部を0.2重量部に、トリエチルアミン2.8重量部を2.5重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、比較の油性液(O’−1)399.8重量部を得た。(O’−1)の酸価は11.1(mgKOH/g)、全アミン価は3.6(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は7.5、[酸価/全アミン価]は3.1であった。
(O’−1)399.8重量部に、比較製造例3で得られた比較の水性分散液(W’−5)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い比較の樹脂粒子(C’−1)を得た。
【0178】
<比較例2>
実施例1において、酢酸0.5重量部を0.3重量部に、トリエチルアミン2.8重量部を2.2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、比較の油性液(O’−2)399.6重量部を得た。(O’−2)の酸価は11.3(mgKOH/g)、全アミン価は3.2(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は8.1、[酸価/全アミン価]は3.5であった。
(O’−2)399.6重量部に、比較製造例4で得られた比較の水性分散液(W’−6)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い比較の樹脂粒子(C’−2)を得た。
【0179】
<比較例3>
実施例1において、酢酸0.5重量部を0.9重量部に、トリエチルアミン2.8重量部を3.2重量部に変更し、比較製造例2で得られた樹脂粒子油性分散液(A22−1)83.4重量部を追加する以外は実施例1と同様にして、比較の油性液(O’−3)483.8重量部を得た。(O’−3)の酸価は10.5(mgKOH/g)、全アミン価は3.8(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は6.7、[酸価/全アミン価]は2.8であった。
(O’−3)483.8重量部に、比較製造例4で得られた[比較の水性分散液(W’−6)]600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い比較の樹脂粒子(C’−3)を得た。
【0180】
<製造例20>
ビーカーに、カーボンブラック顔料18重量部、顔料分散剤「BYK−9076」[ビックケミー・ジャパン(株)製]2重量部及び酢酸エチル80重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、サンドミル分散機で冷却しながら4時間分散して、[顔料分散液1]を得た。
【0181】
<製造例21>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、脱溶剤装置及び滴下ロートを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、「サンワックス LEL−400」[三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後170℃に昇温した。滴下ロートに、スチレン716重量部、アクリル酸ブチル46重量部、アクリロニトリル88重量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部からなる混合溶液を投入した。170℃の反応容器に、滴下ロートから混合溶液を3時間かけて滴下し、同温度で30分間保持した後キシレンを除去し、[ワックス分散剤1]を得た。
【0182】
<製造例22>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[日本精蝋(株)製]15重量部、製造例21で得られた[ワックス分散剤1]5重量部及び酢酸エチル80重量部を投入し、撹拌下70℃に昇温して溶解させた後、サンドミル分散機で冷却しながら5時間分散して、[ワックス分散液1]を得た。
【0183】
<実施例9>
実施例1において、酢酸0.5重量部を0.9重量部に、トリエチルアミン2.8重量部を3.2重量部、酢酸エチル181重量部を85重量部に変更し、製造例20で得られた[顔料分散液1]60重量部及び製造例22で得られた[ワックス分散液1]60重量部を追加する以外は実施例1と同様にして、油性液(O−9)425.2重量部を得た。(O−9)の酸価は11.5(mgKOH/g)、全アミン価は4.3(mgKOH/g)、酸価と全アミン価の差の絶対値は7.2、[酸価/全アミン価]は2.7であった。
(O−9)425.2重量部に、製造例12で得られた水性分散液(W−1)600重量部を添加し、実施例1と同様の操作を行いトナー(T−1)を得た。
【0184】
実施例1〜8、比較例1〜3で得られた樹脂粒子(C−1)〜(C−8)、(C’−1)〜(C’−3)、実施例9で得られたトナー(T−1)の特性値を表1に示す。
また、樹脂粒子(C−1)〜(C−8)、(C’−1)〜(C’−3)、トナー(T−1)について、下記の方法で耐熱保存安定性、低温定着性、耐水接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0185】
<耐熱保存安定性の評価>
直径が約3cmの30mlのガラス製スクリュー管に、樹脂粒子(C−1)〜(C−8)、(C’−1)〜(C’−3)及びトナー(T−1)を10g採取した。このガラス製スクリュー管を45℃に温調された恒温器に15時間静置し、ブロッキングの程度により下記の基準で評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生しない
△:ブロッキングが発生するが、簡単に指などで力を加えると容易に分散する
×:ブロッキングが発生し、簡単に指などで力を加えても分散しない
【0186】
<低温定着性の評価>
樹脂粒子(C−1)〜(C−8)、(C’−1)〜(C’−3)及びトナー(T−1)に、「アエロジルR972」[日本アエロジル(株)製]を1.0重量%添加し、よく混ぜて均一にした後、この粉体を紙面上に0.6mg/cm
2となるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)1MPaの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度を測定した。コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
【0187】
<耐水接着性の評価>
リン酸亜鉛処理鋼板標準板[日本テストパネル(株)製]に、市販のコロナ帯電方式スプレーガンを用いて、膜圧が0.10〜0.15mmになるように樹脂粒子(C−1)〜(C−8)、(C’−1)〜(C’−3)を塗布し、150℃で10分間加熱後、PETフィルム(長さ10cm、幅10cm、厚さ0.5mm)を合わせ、23℃雰囲気下、プレス圧0.5MPa、プレス時間10分間の条件で貼り合わせた。その後、プレスを解き、試験片を35℃の水に2時間浸漬し、40℃で24時間乾燥した後の状態を観察し、以下の評価基準で耐水接着性を評価した。
[評価基準]
○:PETフィルムの浮き、剥がれ部分の面積が0cm
2以上3cm
2未満
△:PETフィルムの浮き、剥がれ部分の面積が3cm
2以上5cm
2未満
×:PETフィルムの浮き、剥がれ部分の面積が5cm
2以上
【0188】
【表1】
【0189】
実施例1〜4の樹脂粒子(C−1)〜(C−8)は、比較例1〜3の樹脂粒子(C’−1)〜(C’−3)と比較して、低温定着性、耐熱保存安定性、耐水接着性に優れ、粒度分布が狭く、実施例9のトナー(T−1)は、低温定着性、耐熱保存安定性に優れ、粒度分布が狭い。