(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0012】
なお、本明細書中において特に断りのない限り、「正面」とは、
図1において遊技機200が配置されている面であって遊技する側から見た面を意味する。また、「側面」とは、遊技機島1の「正面」に対して横方向から見た面を意味する。また、「上」、「下」、「左」、「右」とは、「正面」から遊技機島1を見た場合の上、下、左、右を意味する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機島1の一例を示す。
遊技機島1は、遊技ホールのフロア上に構築されたフレーム100と、複数の遊技機200と、遊技媒体循環機構とを有する。遊技機200は、多数背中合わせにされ、表裏面に沿って配列され、フレーム100に収容される。以下、遊技機200をパチンコ機とし、遊技媒体を遊技球(パチンコ球)として説明する。
ここで、遊技機200が配列される方向(配列方向)を「長手方向」という。また、長手方向と直交する水平方向を「短手方向」という。
【0014】
フレーム100は、上から幕板101と、収納枠102と、膳板(天板ともいう)103と、腰板104と、巾木(図示省略)とを有する。収納枠102には、遊技機200が収納される。膳板103の上方には、遊技機200が載置される。ここで、遊技機島1の正面側の幕板101と背面側の幕板101との間の空間を上部スペースという場合がある。また、膳板103より下方の空間で、かつ、正面側の腰板104と背面側の腰板104との間の空間を下部スペースという場合がある。
【0015】
遊技媒体循環機構は、下部タンク7と、アウト球投入樋8と、アウト球誘導樋8aと、島上樋9と、揚送研磨装置10とを有する。
【0016】
下部タンク7は、下部スペースに設けられる。遊技機200で使用された遊技球(これを、「アウト球」という)は、アウト球投入樋8を介して下部タンク7に投入される。下部タンク7に投入されたアウト球は、アウト球誘導樋8aを介して、遊技機島1の中央へ移送される。島上樋9は、上部スペースに設けられる。
【0017】
揚送研磨装置10は、遊技球と研磨材とを攪拌しながら遊技球の研磨と揚送とを行うように構成されている。研磨材は、樹脂製の粒であって、多孔質を有し、遊技球との攪拌により遊技球の汚れを除去し得るものである。
【0018】
図2は、揚送研磨装置10の斜視図である。
図3は、揚送研磨装置10の正面図である。
図4は、揚送研磨装置10の側面図である。
図2〜
図4に示すように、揚送研磨装置10は、本体2と、島上タンク3と、加湿手段11とを有し、遊技機島1の中央部に設けられる。揚送研磨装置10は、遊技機島1の中央に移送された遊技球を、加湿手段11により水で湿らせた研磨材と撹拌して研磨しながら揚送し、揚送した遊技球を島上タンク3に貯留する。島上タンク3に貯留された遊技球は、島上樋9を介して各遊技機200に流下される。以上のように、遊技媒体循環機構は、遊技機島1の内部で遊技球を循環して遊技球の再利用が可能に構成される。
【0019】
本体2は、遊技ホールの所定位置に固定されたベース4と、ベース4に立設された支柱5とを有する。島上タンク3は、支柱5の上部に設けられる。後述する縦樋59が支柱5の機能を有する。後述するように、縦樋59は、研磨材を分別する機能と、研磨材を貯留する機能とを有する。
【0020】
加湿手段11は、研磨材に汚れを付着させないように構成されている。研磨材に汚れが付着する主な原因は、揚送される間において研磨材が乾いているためである。研磨材に汚れを付着させない手段として、例えば、1)遊技球を研磨する前に研磨材を水で湿らせておく手段;2)遊技球を研磨しているときに研磨材を水で湿らせる手段;3)後述の移送手段40を水で湿らせる手段がある。なお、1)及び2)の手段を、研磨材を水で直接的に湿らせる手段という場合がある。また、3)の手段を、研磨材を水で間接的に湿らせる手段という場合がある。実施形態では、加湿手段11は、1)の遊技球を研磨する前に研磨材を水で湿らせる手段であるものとし、加湿手段11の詳細については後述する。
【0021】
揚送研磨装置10は、さらに、遊技球と研磨材とが合流する合流部31と、合流部31から島上タンク3の上方まで略J字状に延設された円筒状の筒体30と、合流部31で合流された遊技球と研磨材とを筒体30の内部で攪拌しながら揚送する移送手段40と、移送手段40で揚送された遊技球と研磨材とを分離する分離手段50と、分離手段50で分離された研磨材を回収する分離用通路53と、分離用通路53で回収された研磨材を揚送研磨装置10の上部から下部に導くための経路である縦樋59と、集塵ノズル56と、塵埃等を集塵ノズル56を通じて吸引する集塵装置57と、集塵ノズル56と集塵装置57とを連結する集塵ホース55と、縦樋59の下部から合流部31へ研磨材を導く戻し通路60と、を有する。
【0022】
揚送研磨装置10は、さらに、分離用通路53で回収された研磨材を縦樋59の上部に導く漏斗体70を有する。漏斗体70は、分離用通路53の下方の位置となるように、縦樋59の上部に接続されて設けられる。漏斗体70は、上面に設けられた開口によって分離用通路53から落下する研磨材を回収する。縦樋59は、上部に設けられた分別手段52と、下部に設けられた研磨材ストック54とを有する。分別手段52は、漏斗体70によって回収された研磨材から塵埃等を分別する。研磨材ストック54は、分別手段52によって分別された塵埃等が除去された研磨材を貯留する。ここで、塵埃等は、粉状となった研磨材や塵埃を意味する。塵埃は、分離手段50に排出された汚れ成分を含むものとする。縦樋59に漏斗体70が接続されることで形成された経路と移送手段40とは、設置される遊技機200の高さの範囲を含む設置可能範囲において、遊技機200の配列方向と直交する水平方向に重なるように配置される。
【0023】
移送手段40は、下部において混合された遊技球と研磨材とを、上部に設けられた島上タンク3に向けて揚送する。移送手段40は、筒体30の中に挿通された螺旋状のスクリュー部材41(
図2参照)と、スクリュー部材41を筒体30の中で回転させるモータ42とを含んで構成される。スクリュー部材41を所定方向に回転させることで遊技球と研磨材とが合流部31から島上タンク3の上方へ向かって攪拌されながら搬送され、この間に遊技球が研磨材によって研磨される。
【0024】
移送された遊技球と研磨材は、筒体30の上端から分離手段50へと流出する。分離手段50に流出するとき、遊技球に付着された汚れ成分が研磨材により離される。離された汚れ成分は、研磨材に付着しようとする。研磨材と遊技球とを混ぜ合わせたときに生じる摩擦熱等により、筒体30の内部の湿度は低下し、研磨材が分離手段50に流出されるまで、研磨材の水分は失われていく。しかし、水分を失っても、最小限の水分を残すように加湿手段11により研磨材を水で湿らせているので、汚れ成分が研磨材に付着することがない。すなわち、汚れ成分は、遊技球及び研磨材から離された状態で筒体30から分離手段50に排出される。
【0025】
分離手段50は、研磨材は通すが遊技球は通さない大きさの隙間や穴部などを有し、下方に傾斜する通路で構成される。ここでは、分離手段50は、通路の長手方向に沿って細長い複数の隙間が形成された簀の子51を有する。なお、分離手段50は、研磨材と遊技球とを分離する機能を備えたものであればどのような構成でもかまわない。
【0026】
研磨材から分離された遊技球は、島上タンク3の貯留タンクへと落下して貯留される。研磨材は分離手段50の隙間から下方へ落下して分離用通路53の上部へ流入し、その中を落下する。
【0027】
分離用通路53は、具体的には
図2に示すように、2つの傾斜樋53a、53bを有する。傾斜樋53aと傾斜樋53bとは、下方傾斜通路50aの下方に設けられている。傾斜樋53aと、傾斜樋53bとは、傾斜方向が互いに反対方向となるように遊技機島1の長手方向に一定間隔をおいて設けられている。これにより、分離手段50の隙間から下方へ落下した研磨材及び汚れ成分は、傾斜樋53a、53bの上面に落下し、傾斜面を通って端部から下方に落下する。また、傾斜樋53aと、傾斜樋53bとは、傾斜樋53bの端部から落下する研磨材を傾斜樋53aが受け止めるようにして互い違いに設けられている。また、傾斜樋53aは端部から落下する研磨材が、漏斗体70の上面に設けられた開口に到達可能なような位置に備えられている。漏斗体70は、縦樋59の上部に、漏斗体70と縦樋59との間を研磨材が連通可能に接続されている。漏斗体70の上面に設けられた開口に落下した研磨材は、縦樋59の上部に導かれる。
【0028】
集塵ノズル56の基端部は、
図2、
図3に示すように、集塵ホース55に接続され、集塵装置57は、塵埃等を分別手段52内の空気と共に集塵ノズル56と集塵ホース55とを通じて吸引する。吸引した中の塵埃等は集塵装置57の貯留部(図示省略)に貯留される。
【0029】
集塵ノズル56に吸い込まれずに分別手段52を落下し、研磨材ストック54に貯留された研磨材は、戻し通路60から合流部31へ導かれ、合流部31で遊技球と合流されて再使用される。研磨材ストック54は、分別手段52(分離用通路53)から落下した研磨材を戻し通路60を経由して合流部31に移送する移送手段としての機能を有する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、戻し通路60は、下方に傾斜して配置されている。戻し通路60の上端口は、研磨材ストック54に連通している。戻し通路60の下端口は、移送手段40を臨んで開放されている。戻し通路60は、移送手段40に対し複数の遊技機200の配列方向に少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、膳板103の下方に配置されている。なお、戻し通路60を分別手段52及び研磨材ストック54を含むものとして構成してもよい。
【0031】
戻し通路60の中間部には水供給手段20が設けられている。戻し通路60は、研磨材を分離手段50(分離用通路53、分別手段52、研磨材ストック54)から水供給手段20を経由して移送手段40に導くように構成されている。
【0032】
水供給手段20を経由することにより、移送手段40に導かれる研磨材を必ず水で湿らせることができ、湿らせた研磨材により、アウト球を研磨することが可能となる。
【0033】
戻し通路60は、研磨材を移送手段40の下部(始端部)に導く。その結果、研磨材により遊技球を、移送手段40の下部(始端部)から上部(終端部)までの長い区間にわたって研磨することが可能となり、装置の研磨能力を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、研磨材を導く位置は、移送手段40の始端部に限らず、移送手段40の始端部から終端部までの区間のいずれかの他の部分であってもよい。それにより、戻し通路60や水供給手段20などを設計するときの自由度を高めることが可能となる。
【0035】
また、戻し通路60は、研磨材を移送手段40の始端部及び他の部分(例えば、中間部)に導いてもよい。湿らせた研磨材を始端部ばかりでなく、他の部位に導くことを通して、噴霧される水として用いられるアルカリ電解水の、後述する説明において述べたような浸透、剥離効果、石鹸効果、殺菌効果、及び、防錆効果を高めることが可能となる。
【0036】
戻し通路60の底面には、排出口部58が設けられている。排出口部58は、塵埃等は通るが研磨材は通らない程度の隙間を有する。排出口部58は集塵ホース55に接続され、集塵装置57は、戻し通路60内の空気と共に塵埃等を排出口部58と集塵ホース55とを通じて吸引する。吸引された塵埃等は、集塵装置57の貯留部(図示省略)に貯留される。
【0037】
移送手段40は、実施形態における「第1移送手段」の一例である。研磨材ストック54は、実施形態における「第2移送手段」の一例である。分離手段50は、実施形態における「分離手段」の一例である。戻し通路60は、実施形態における「戻し通路」の一例である。
【0038】
ここで、下方領域を膳板103の下方の領域とし、上方領域を分離手段50を除く領域であって膳板103の上方の領域として、揚送研磨装置10の構成についてより具体的に説明する。揚送研磨装置10は、下方領域において遊技球(アウト球)と研磨材とを混合して分離手段50に向けて揚送する。分離手段50は、研磨後の遊技球と研磨材とを分離する。揚送研磨装置10は、上方領域において、分離手段50により分離された研磨材と研磨により生じた塵埃等を分別し、下方領域に研磨材を戻す。以下、このような揚送研磨装置10の構成について、下方領域、分離手段50、及び、上方領域に分けて説明する。
【0039】
[下方領域]
(戻し通路60)
図1〜
図3に示すように、戻し通路60の始端部は、遊技機島1の長手方向の成分と短手方向の成分とを有する斜め方向に、研磨材ストック54の下端に連通している。そして、移送手段40と戻し通路60とは、複数の遊技機200の配列方向に少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、戻し通路60は、前述したように、膳板103の下方に配置されている。具体的には、移送手段40と戻し通路60とは、遊技機島1の長手方向に重なるように配置され、かつ、戻し通路60は、膳板103の下端部より下方に配置されている。膳板103の上方には、遊技機200の遊技機の高さの範囲を含む設置可能範囲が設定される。
【0040】
戻し通路60を膳板103の下方に配置することにより、揚送研磨装置10と遊技機200とが長手方向で干渉し合うことがなくなる。その結果、遊技機200の設置スペースに影響を与えることなく、遊技機島1の長手方向の省スペース化を図ることができる。
【0041】
(合流部31)
合流部31では、複数の遊技機200で使用された遊技球と戻し通路60によって導かれた研磨材とが合流する。戻し通路60を膳板103の下方に配置する場合でも、水平方向を基準とした戻し通路60の傾斜角度は、所定の傾斜角度範囲内に設定される必要がある。ここで、所定の傾斜角度範囲は、最小角度である第1傾斜角度以上で、かつ、最大角度である第2傾斜角度未満である。第1傾斜角度は、例えば、合流部31に向けてスムーズに導かれる程度に研磨材と塵埃等の流れの確保が可能な角度として設定される。第2傾斜角度は、例えば、合流部31において研磨材の詰まりが生ずることなく、かつ、排出口部58から塵埃等の十分な排出が可能な程度に研磨材と塵埃等の流れの確保が可能な角度として設定される。
【0042】
図5は、実施形態における合流部31の正面図である。
図6は、実施形態の第1比較例における合流部31の正面図である。
図7は、実施形態の第2比較例における合流部31の正面図である。
ベース4には、固定部材62が設けられている。固定部材62は、戻し通路60の終端部と移送手段40の下部とを固定する。固定部材62は、例えば、底板62aと、底板62aの対向する辺に直交するようにベース4に対して互いに平行に立設される2枚の立設部材62bとを含んで構成される。底板62aには、研磨材が通る程度の穴部が形成されている。
【0043】
戻し通路60の終端部は、移送手段40の下部に研磨材を導くための導入口部63を有する。また、戻し通路60の天井部には、通路内に突出するように変更部材64が設けられている。具体的には、変更部材64は、戻し通路60の天井部に研磨材の流れ方向と直交すように設けられている。変更部材64は、戻し通路60により導かれた研磨材の流れを変更し、研磨材を導入口部63に導く。
【0044】
固定部材62は、導入口部63に導かれてから研磨材が底板62aの穴部に落下するように、導入口部63と底板62aの穴部とが対向配置された状態で戻し通路60を固定する。上記のように、変更部材64は、戻し通路60により導かれた研磨材の流れを、導入口部63に向かうように変更する。これにより、戻し通路60により導かれた研磨材が、導入口部63を通って移送手段40の下部に導入される。
【0045】
移送手段40は、開口部43を有する。固定部材62は、アウト球誘導樋8aを介して揚送研磨装置10側に導かれた遊技球が落下する位置に開口部43が配置されるように、移送手段40の下部を固定する。
【0046】
固定部材62における底板62aが設けられる高さ位置を下げることにより、上記の傾斜角度範囲内の傾斜角度を維持したまま戻し通路60が膳板103の下方に配置される。この際、複数の遊技機200から回収された遊技球の開口部43への導入が、遊技球の回収方向と異なる方向から移送された研磨材の導入口部63への導入を阻害しないように、開口部43と導入口部63とが設けられる。
【0047】
具体的には、
図5に示すように、導入口部63は、複数の遊技機200の配列方向に開口部43と並んで配置され、かつ、開口部43より高い位置に設けられる。戻し通路60は、変更部材64により、開口部43の上方位置に移送された研磨材の流れを変更し、導入口部63に導く。
【0048】
これに対して、
図6に示す実施形態の第1比較例では、複数の遊技機200から回収された遊技球の開口部43への導入が、研磨材の導入口部63への導入を阻害しない。しかしながら、底板62aの高さ位置が、例えば固定部材62の高さ位置と略同じである。そのため、戻し通路60を膳板103の下方に配置しようとすると、戻し通路60の傾斜角度をより小さくして研磨材の流れの勢いを低下させてしまう。
【0049】
また、
図7に示す実施形態の第2比較例のように、単純に、戻し通路60の傾斜角度を所定の傾斜角度範囲内に維持したまま、戻し通路60をより下方に配置しようとすると、遊技球の開口部43への導入が、研磨材の導入口部63への導入を阻害してしまう。
【0050】
このように、実施形態によれば、研磨材や塵埃等の流れの勢いを変更することなく、戻し通路60の傾斜角度を維持したまま、戻し通路60を膳板103の下方に配置することが可能となる。この際、開口部43での遊技球の詰まりや、導入口部63での研磨材の詰まりを生ずることがない。すなわち、移送手段40への遊技球の導入と研磨材の導入とを互いに阻害することなく、戻し通路60を膳板103の下方に配置することができるようになる。
【0051】
(加湿手段11)
図8は、加湿手段11の構成例の機能ブロック図である。
加湿手段11は、湿度センサ12と、制御手段13と、水供給手段20とを有する。
【0052】
加湿手段11は、筒体30内の湿度に基づいて、移送手段40により移送される前の研磨材に対して水を連続的にまたは間欠的に供給することを通して、研磨材を水で湿らせることにより、筒体30の内部を加湿して、筒体30内の湿度を予め定められた範囲に保つように構成されている。なお、遊技球を研磨する前(遊技球が移送手段40に導かれる直前)までに研磨材を水で湿らせておけば、加湿手段11はどのように構成されてもよい。移送手段40に導かれる直前位置に加湿手段11を配置すれば、研磨材を効果的に水で湿らせることができる。直前位置からある程度離れた位置に加湿手段11を配置すれば、有効な空きスペースに加湿手段11を配置することが可能となる。
【0053】
予め定められた範囲としては、例えば、50%〜60%であることが好ましい。その範囲とした理由は、湿度が50%未満では、研磨材に汚れ成分を付着させない効果が低くなり、また、静電気の発生を抑える効果も低くなる。さらに、湿度が60%を超えると、遊技球や研磨材の湿り気により、汚れ成分が遊技球や研磨材に付着する傾向が生じ、汚れ成分を分離させ難くなる。
【0054】
湿度センサ12は、筒体30内の湿度に対応する信号を出力する。制御手段13は、湿度センサ12から出力された信号に基づいて、筒体30内の湿度を調整するように、例えば、水供給手段20により供給される時間当たりの水の量を制御する。
【0055】
なお、湿度センサ12は、筒体30の全長にわたって複数箇所に、例えば、始端部(下端部)、中間部、及び、終端部(上端部)にそれぞれ配置されてもよい。このとき、制御手段13は、各湿度センサ12の出力信号に基づき、筒体30内の湿度を細かく調整するように水供給手段20を制御する。
【0056】
(水供給手段20)
図2及び
図3に示すように、水供給手段20は戻し通路60の途中に配置されている。水供給手段20は、戻し通路60を通る研磨材を水で湿らせるように構成されている。戻し通路60を通る研磨材の全部を水で湿らせるような構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0057】
一例としては、戻し通路60内の研磨材に水を噴霧することにより、研磨材を湿らせる構成がある。
【0058】
図9は、水供給手段20の概念図である。
図9に示すように、戻し通路60内の研磨材に水を噴霧する手段は、例えば、ノズル21、ポンプ22、タンク(水槽)23、水量センサ24を有している。ノズル21は戻し通路60の天井部に配置されている。ポンプ22は、タンク23内の水を高圧でノズル21に供給する。水量センサ24は、タンク23内の水量に応じた信号を出力する。出力された信号に基づいて、タンク23内の水量を報知する報知手段を設けてもよい。
【0059】
戻し通路60を通る研磨材の全部を水により湿らせるようにするためには、水を噴霧する範囲が戻し通路60の所定領域(全幅及び所定長)になるように構成すればよい。
【0060】
例えば、水を噴霧する範囲を戻し通路60の所定領域に広げるように構成すればよい。このとき、一度の噴霧により、所定領域内の研磨材の全部を湿らせるようにできるため、水を間欠的に噴霧すればよい。
【0061】
また、例えば、水を噴霧する範囲が戻し通路60の全幅に対して狭いとき、噴霧する方向を幅方向に沿って変えるように構成すればよい。それにより、戻し通路60の中央部を通る研磨材ばかりでなく、戻し通路60の端を通る研磨材にも水をかけることができる。
【0062】
さらに、例えば、水を噴霧する範囲が戻し通路60の所定長に対して狭いとき、水を噴霧する範囲に研磨材が長さ方向に沿って流れてくるので、水を連続的に噴霧すれば、流れてくる研磨材を湿らせることができる。
【0063】
なお、戻し通路60において、研磨材が上下に重なり合うとき、噴霧された水が研磨材間の隙間に入っていき、下側の研磨材も湿らせることができるものとする。
【0064】
噴霧される水には、8〜12のpH値を有するアルカリ電解水が用いられことが好ましい。研磨材を湿らせているアルカリ電解水は、その浸透力により、汚れと研磨材との隙間に浸透し、汚れがとりかこまれて、汚れ成分が研磨材に付着しないようになる(浸透、剥離効果)。また、汚れうちの脂質が分解して石鹸化される(石鹸効果)。さらに、アルカリ電解水が遊技球に触れることにより、遊技球が除菌される(殺菌効果)。さらに、アルカリ電解水によって遊技球が錆びることがない(防錆効果)。
【0065】
なお、アルカリ電解水のpH値を高くしていくと、それらの効果が高まるため、汚れの程度に応じたpH値のアルカリ電解水を用いればよい。8未満のpH値のアルカリ電解水では、それぞれの効果を十分に得られない傾向が生じる。12を超えるpH値のアルカリ電解水では、それぞれの効果は高まるものの、過酸化ナトリウムや過酸化水素を加える必要があるため、製造コストが一段と嵩む。
【0066】
(水量調整手段25)
水量調整手段25は、
図2における水供給手段20内に配置され、または、水供給手段20に接続されている。水量調整手段25は、例えば、戻し通路60内を流れる研磨材の量に応じて、水の量を調整するように構成されている。
【0067】
水の量を調整する手段としては、例えば、ノズルの口径を調整可能に構成するもの、あるいは、ポンプによりノズルに供給される水の圧力を調整可能に構成するものがある。ノズル口径や水圧の調整は、手動で行うようにしてもよく、自動で行うようにしてもよい。
【0068】
遊技機島1に用いられる遊技球の数量は、営業時間や営業日に応じて予測できる。そのため、研磨材の量も予測できるので、営業時間や営業日に応じて、ノズルの口径等を手動により調整すればよい。
【0069】
また、戻し通路60内を流れる研磨材の量を検出するセンサ(図示省略)を設けておき、センサにより出力される信号に基づいて、ノズルの口径等を自動調整すればよい。
【0070】
[分離手段]
図10は、分離手段50の正面図である。
分離手段50は、排出された遊技球、研磨材、及び汚れ成分をそれぞれ分離するように構成されている。分離手段50は、遊技球、研磨材、及び汚れ成分を分離できれば、どのような手段であってもよい。遊技球、研磨材、及び汚れ成分は、それらの大きさや重さが互いに異なることに基づいて、分離される。
【0071】
例えば、
図2及び
図10に示すように、分離手段50は、簀の子51、のれん51a、分別手段52、集塵ホース55、分離用通路53、分離排出口部32を有している。分離手段50は、複数の遊技機200の配列方向である第1方向に沿って下方に傾斜するように設けられた下方傾斜通路50aと、下方傾斜通路50aの下方に設けられ第1方向と反対方向の第2方向に沿って下方に傾斜するように設けられた分離用通路53とを含んで構成される。下方傾斜通路50aの上端部には、筒体30の上端から遊技球や研磨材や汚れ成分が排出される。下方傾斜通路50aは、第1方向に沿って下方に傾斜するように設けられた複数の傾斜通路を有し、各傾斜通路の間には段差が設けられている。各傾斜通路には、簀の子51が形成される。のれん51aは、例えば、各傾斜通路の間に設けられた段差位置や、各傾斜通路の中間位置に設けられる。
【0072】
簀の子51は、所定幅の隙間を空けて並べられた複数のレールを有している。複数のレールは、レールに沿って遊技球を導くとともに、隙間から研磨材及び汚れ成分を落下させるように構成されている。簀の子51の下方には、分離用通路53が設けられる。
【0073】
のれん51aは、可撓性を有する。傾斜通路により下流側に導かれる遊技球がのれん51aに当たると、のれん51aが撓み、のれん51aが表面に接触しながら遊技球は下流側に通過する。すなわち、のれん51aは、通過する遊技球の表面に付着した研磨材や塵埃等を遊技球の表面から払い落とす手段としての機能を有する。のれん51aにより払い落とされた研磨材や塵埃等は、簀の子51の隙間を通って下方に落下する。また、のれん51aは、傾斜通路により下流側に導かれる遊技球の飛び跳ねる動き等を抑制する手段としての機能を有する。また、のれん51aは、傾斜通路により下流側に導かれる遊技球を下方に押さえつけ、遊技球が上方に整列される段数の増加を抑制する手段としての機能を有する。
【0074】
以上のように、下方傾斜通路50aにおいて、遊技球と、研磨材及び汚れ成分とが分離される。下方傾斜通路50aにより分離された遊技球は、その後、島上樋9を介して複数の遊技機200に供給される。下方傾斜通路50aにより分離された研磨材及び汚れ成分は、分離用通路53に落下し、漏斗体70の上部開口71に導かれる。
【0075】
筒体30の上端部の近傍には、分離排出口部32が設けられている。分離排出口部32は、筒体30の内部で揚送された遊技球、研磨材、及び汚れ成分のうち、研磨材及び汚れ成分のみを排出する。分離排出口部32から排出された研磨材及び汚れ成分は、分離用通路53に落下し、漏斗体70の上部開口71に導かれる。
【0076】
分別手段52は、落下する研磨材及び汚れ成分をそれぞれ分けるように構成されている。分別手段52の一例として、汚れ成分が研磨材に比べ極めて軽いことに基づいて、汚れ成分を集塵することにより、汚れ成分と研磨材とを分ける。汚れ成分の集塵は、落下する研磨材及び汚れ成分のうちから、汚れ成分のみを吸い込むことにより行われ、また、汚れ成分のみを吹き飛ばすことにより行われる。
図2に示す分別手段52は、汚れ成分を吸い込むタイプのものである。
【0077】
図2に示すように、簀の子51により遊技球から分離された研磨材及び汚れ成分は、分別手段52の入口(
図2では、分別手段52の上端)に導かれる。分離用通路53と分別手段52との間には、集塵ホース55が配置されていて、汚れ成分は集塵ホース55に吸い込まれ、研磨材のみが研磨材ストック54に導かれる。
【0078】
研磨材と汚れ成分とから分離された遊技球は遊技機200に送られ、遊技に用いられる。遊技球と汚れ成分とから分離された研磨材は、移送手段40に導かれ、遊技球の研磨に用いられる。遊技球と研磨材とから分離された汚れ成分は、分別手段52により集塵され、遊技機や筒体30に送られないようにされる。
【0079】
[上方領域]
分離手段50により分離された研磨材は、上方領域に導かれる。すなわち、分離手段50により分離された研磨材は、上記のように、分離用通路53を介して、漏斗体70の上面に設けられた上部開口71に落下し、縦樋59の上部に導かれる。この実施形態の揚送研磨装置10は、以下のように構成することで、上方領域において、遊技機200の設置可能範囲を大きく確保し、島上タンク3の短手方向の厚みを小さくすることができる。
【0080】
図11は、漏斗体70が設けられている位置の周辺を拡大して示す斜視図である。
図12は、漏斗体70と、縦樋59との接続形態を示す斜視図である。
【0081】
図11に示すように、漏斗体70は、縦樋59の上部に接続されている。漏斗体70と縦樋59との接続部には開口61を有する。漏斗体70から開口61を介して研磨材が縦樋59の上部に導かれる。移送手段40は、漏斗体70と長手方向に重なるように設けられ、縦樋59と短手方向に重なるように設けられる。
【0082】
(漏斗体)
漏斗体70は、上部開口71、下部開口72を備える中空の容器により構成される。漏斗体70は、分離用通路53から落下する研磨材を上部開口71から回収し、回収した研磨材を下部開口72から分別手段52に渡す。
【0083】
上部開口71は、上端部に研磨材を回収するための上方を向いた開口である。漏斗体70及び/又は分離用通路53は、上部開口71が分離用通路53から落下する研磨材を効率よく回収可能となるような位置に設置される。上部開口71の短手方向の幅はなるべく小さいように構成される。上部開口71の短手方向の幅は、例えば、筒体30の短手方向の幅(直径)と同じ幅とすることができる。
【0084】
下部開口72は、分別手段52と連通するための開口である。下部開口72は、漏斗体70の分別手段52と対向する側面の少なくとも一部に設けられる。また、下部開口72は、該側面のうち分別手段52と対向する部分の少なくとも一部に設けられる。下部開口72に対向する分別手段52の部分が開口していることで、下部開口72と、分別手段52とが連通する。
【0085】
漏斗体70は、上部開口71から下端部73に向かって水平方向の断面の大きさが鉛直下方に向かって減少していく漏斗形状を有する。漏斗体70は、具体的には、上部開口71を上面とする直方体形状を有する直方体部70a、長手方向の少なくとも一方の側面を斜面とすることで漏斗形状をなす第1の漏斗部70b、短手方向の側面のうちの一方の側面を斜面とすることで漏斗形状をなす第2の漏斗部70cが上から下に順に形成される形状を有する。
【0086】
(漏斗部)
漏斗体70は、前述のように、直方体部70a、第1の漏斗部70b、第2の漏斗部70cから構成されている。第1の漏斗部70bにおいて水平方向の断面の長手方向の幅が鉛直下方に向かって一定割合で減少する。この減少によって、第1の漏斗部70bの下端における長手方向の幅は、上部開口71の長手方向の幅の3分の1程度となる。この幅は、第2の漏斗部70cの長手方向の幅となる。さらに、漏斗体70は、第2の漏斗部70cにおいて水平方向の断面の短手方向の幅が鉛直下方に向かって一定割合で減少する。この減少によって、第1の漏斗部70bの下端における短手方向の幅はほぼ0となる。
【0087】
(第1の漏斗部)
第1の漏斗部70bは、第1の傾斜面70dを有する。第1の傾斜面70dは、第1の漏斗部70bの側面を構成する、長手方向に傾斜する面である。第1の傾斜面70dは、傾斜面が斜め上を向くように形成されている。傾斜樋53bから上部開口71に落下した研磨材の一部は、この第1の傾斜面70dにおいて反射し第2の漏斗部70cに落下する。
【0088】
(第2の漏斗部)
第2の漏斗部70cは、第2の傾斜面70eを有する。第2の傾斜面70eは、第2の漏斗部70cの側面を構成する、短手方向に傾斜する面である。第2の傾斜面70eは、傾斜面が斜め上を向くように、かつ、下部開口72を有する接続面74と対向するように形成されている。第1の漏斗部70bを通って第2の漏斗部70cに落下した研磨材は、第2の傾斜面70eによって、接続面74に向かう方向に反射する。研磨材は、第2の傾斜面70eで反射することで、下部開口72に導かれる。
【0089】
図12に示すように、接続面74は、漏斗体70の側面のうち縦樋59の側面に接続される面である。接続面74は第2の漏斗部70cを形成する側面のうち、第2の傾斜面70eの逆側の面である。接続面74の少なくとも一部には下部開口72が設けられている。下部開口72は、接続面74の全面に形成されていてもよい。下部開口72が接続面74の全面に形成される場合、下部開口72は、鉛直方向に細長い長方形状となる。
【0090】
漏斗体70は、研磨材を下部開口72に導くという観点からは第2の漏斗部70c(第2の傾斜面70e)を少なくとも有して構成されるが、第2の漏斗部70cの長手方向の幅を狭くし、かつ上部開口71の開口面積を大きく確保する観点から、さらに第1の漏斗部70b(第1の傾斜面70d)を有する構成とすることができる。第1の漏斗部70bは、上部開口71の開口面積を大きく確保できるような傾斜成分を有する曲面を有して構成されてもよい。また、第2の漏斗部70cは、研磨材を下部開口72に導くような傾斜成分を有する曲面を有して構成されてもよい。また、漏斗体70は、開口面積を大きく確保できるような傾斜成分と、研磨材を下部開口72に導くような傾斜成分とを有する連続した曲面部を有して構成されてもよい。
【0091】
(縦樋の構成)
縦樋59は、中空の容器により構成される。縦樋59は鉛直方向に延びる長尺形状を有する。縦樋59の形状は、具体的には、鉛直方向に延びる直方体である。縦樋59は、上面59e、側面59a〜d及び底面59f(図示せず)で直方体を形成する。縦樋59は、例えば、短手方向に平行な側面59a及び59bの幅が長手方向に平行な側面59c及び59dの幅よりも大きい。
【0092】
縦樋59は、遊技機200の設置可能範囲に設けられる。遊技機200の設置可能範囲は、設置される遊技機200の高さの範囲を含む。設置される遊技機200の高さの範囲は、具体的には、膳板103が設置されている高さから、島上タンク3の下面の高さまでの範囲をいう。
【0093】
縦樋59は、直方体を構成する底面59fの高さが、膳板103が設置高さ又はその近傍の高さとなるように、かつ上面59eの高さが、島上タンク3の下面の高さ又はその近傍の高さとなるように設置される。このことから、縦樋59の鉛直方向の長さは、膳板103と島上タンク3の下面との高さ方向の距離とほぼ等しくなる。
【0094】
(縦樋と漏斗体との接続)
図12に示すように、漏斗体70は、縦樋59の分別手段52が設けられている位置に接続される。漏斗体70は、縦樋59を形成する側面のうち長手方向に平行な側面に接続される。漏斗体70が設置される側面は、長手方向に平行な側面のうち、アウト球誘導樋8a側の側面59cとすることができる。この側面に、漏斗体70の接続面74が接することで縦樋59に漏斗体70が接続される。接続面74の鉛直方向の接続位置は、例えば、第2の漏斗部70cの上端面と縦樋59の上端面とが同一平面上となるような位置とすることができる。また、接続面74の長手方向の接続位置は、例えば、第2の漏斗部70cの側面が縦樋59の側面と同一平面上となるような位置とすることができる。漏斗体70と、縦樋59とが前記のように接続される第1の理由は、移送手段40と短手方向に重なって設けられた縦樋59に研磨材を供給するためである。第2の理由は、漏斗体70の下部において側部に縦樋59との連通口を設けることで、狭窄する部分に集中した研磨材を側部から縦樋59に供給するため、狭窄する部分、つまり第2の漏斗部70cにおける研磨材による詰まりを起きにくくすることができるからである。
【0095】
縦樋59は、接続面74が接続される部分に開口59gを有する。この開口59gと下部開口72とが連通することによって、漏斗体70で回収された研磨材が縦樋59内に導かれる。開口59gの形状は、例えば、下部開口72の形状と同一の形状を有している。
【0096】
下部開口72が接続面74の全面に形成される場合、開口59gは、下部開口72の形状と同様な鉛直方向に細長の直方形状を有する。開口59gは、例えば、側面59cの上端辺を含む角部に形成され、開口59gを塞ぐようにして接続面74が接続され、開口61が形成される。
【0097】
(縦樋と移送手段との位置関係)
移送手段40と縦樋59(分別手段52及び研磨材ストック54)とは、短手方向に少なくとも一部が重なるように配置されている。移送手段40と縦樋59とが重なる順番は、アウト球誘導樋8aが設置されている側から、移送手段40、縦樋59の順番であっても、縦樋59、移送手段40の順番であってもよいが、
図2に示すような、アウト球誘導樋8aが設置されている側から、短手方向に移送手段40、縦樋59の順番で重なるように配置されることが好ましい。その理由は、アウト球誘導樋8aの上方に、紙幣搬送手段(図示せず)が設けられる場合があるからである。また、遊技機200の設置可能範囲を広くする観点から、縦樋59の長手方向の幅が小さくなるように構成される。縦樋59の長手方向の幅は、例えば、第2の漏斗部の長手方向の幅の大きさと、筒体30の長手方向の幅(直径)の大きさとを足しあわせた幅とすることができる。
【0098】
移送手段40の長手方向の位置は、短手方向に少なくとも一部が重なるように、かつ縦樋59に接続される漏斗体70に干渉しない位置であれば、限定されるものではない。移送手段40は、例えば、縦樋59の長手方向の中心近傍を通過するように設けられる。
【0099】
(集塵ノズル)
集塵ノズル56は、
図2に示すように、縦樋59(分別手段52)の上端近傍の位置に配置されている。集塵ノズル56は、縦樋59の側壁に設けられた穴から分別手段52の内部へ突出するようにして取り付けられている。集塵ノズル56は、短手方向に平行な側面59a及び59bのうちのいずれかの側壁に設けられる。集塵ノズル56は、これらの側壁のうち、例えば、漏斗体70に近い側の側壁に設けられる。また、集塵ノズル56は、この側壁の開口59gと同じ高さの位置、又はその近傍の位置に設けられる。集塵ノズル56は、塵埃等は通るが研磨材は通らない程度の隙間を有する。
【0100】
〔作用〕
次に、揚送研磨装置10の作用について説明する。
【0101】
(移送手段と戻し通路の配置)
移送手段40と戻し通路60とは、複数の遊技機200の配列方向に少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、戻し通路60は、膳板103の下方に配置されている。戻し通路60を膳板103の下方に配置することで、揚送研磨装置10と遊技機200とが長手方向で干渉し合うことがなくなる。
【0102】
(移送手段と研磨材ストックの配置)
移送手段40と縦樋59(分別手段52及び研磨材ストック54)とは、設置可能範囲において、複数の遊技機200の配列方向と直交する水平方向に少なくとも一部が重なるように配置されている。このような移送手段40と縦樋59(研磨材ストック54)の配置によっても、揚送研磨装置10と遊技機200とが長手方向で干渉し合うことがなくなる。さらに、揚送研磨装置10の長手方向の幅を従来のものよりも小さくすることができる。これらのことにより、遊技機200の水平方向の設置可能範囲を拡げることができる。
【0103】
(移送手段と漏斗体の配置)
移送手段40と、漏斗体70とが長手方向に重なるように配置されるので、揚送研磨装置10の上部において、短手方向の幅を小さくすることができる。
【0104】
(漏斗体の形態)
漏斗体70は、第1の漏斗部70bを有して構成されるので、漏斗体70の下部において長手方向の幅を狭くしつつも上部開口71の開口面積を大きく確保することができる。また、漏斗体70は、第2の漏斗部70cを有して構成されるので、漏斗体70に回収された研磨材を、開口61を介して縦樋59に導くことができる。
【0105】
漏斗体70は、下方に向かうに従って水平断面積が減少し、下端において0となるように形成されるので、漏斗体70において研磨材を効率よく集めることができる。また、漏斗体70の下部を形成する第2の漏斗部70cに、開口61を形成する開口59gを設けたので、集められた研磨材を縦樋59に導くことができる。これにより、研磨材の回収及び縦樋59への輸送を効率よく行うことができる。
【0106】
(集塵ノズルが設けられる位置)
集塵ノズル56は、縦樋59の短手方向に平行な側面に設けられ、この側面のうち漏斗体70と縦樋59との接続部に近い側の側面に備えられる。また、集塵ノズル56は、この接続部と同じ高さ、又はその高さの近傍に設けられる。接続部には、研磨材が通過する開口61を有するので、漏斗体70の下部に集まった研磨材を、開口61を介して分別手段52で集塵することで、効率のよい集塵を行うことができる。また、漏斗体70の、縦樋59に接続する第2の漏斗部70cの水平方向断面の大きさを、上部開口71の開口面の大きさよりも小さくなるように構成した。そのため、集塵装置による塵埃等の吸引を効率よく行うことができる。
【0107】
(研磨材の収容)
揚送研磨装置10においては、研磨材は研磨に繰り返し用いられる。研磨材は、研磨材ストック54を含む、揚送研磨装置10の内部に収容されている。
【0108】
(遊技球の研磨)
揚送研磨装置10を始動すると、モータ42が回転して、移送手段40により筒体30の内部で遊技球と研磨材とが混ぜ合わされた状態で移送される。遊技球と研磨材とを混ぜ合わせているとき、研磨材に水を湿らせているため、汚れ成分が研磨材に付着しない。それにより、研磨材が汚れない。また、遊技球、研磨材及び汚れ成分が離れた状態で分離手段50に排出される。
【0109】
(分離)
遊技球、研磨材及び汚れ成分が筒体30から分離手段50に排出されると、簀の子51により遊技球と、研磨材及び汚れ成分とが分離される。さらに、分別手段52により、研磨材と汚れ成分とが分離される。それにより、分離された遊技球を遊技に用いることが可能となり、また、研磨材を研磨に再度用いることが可能となり、さらに、分離された汚れ成分を、遊技球や研磨材に接触しないように、回収することが可能となる。
【0110】
(研磨材を水で湿らせる)
分離された研磨材は、戻し通路60により水供給手段20を経由して移送手段40に導かれる。それにより、研磨材を遊技球の研磨に繰り返し用いることができる上に、研磨材を研磨に用いる度に、水供給手段20を経由しているので、確実に研磨材を水で湿らせることができる。それにより、研磨に繰り返し用いたとしても、研磨材が汚れることはなく、研磨材の洗浄回数を少なくすることが可能となる。
【0111】
(遊技球と研磨材との合流)
各遊技機で使用された遊技球は、アウト球誘導樋8aを介してアウト球として開口部43から移送手段40に導かれる。分離された研磨材は、導入口部63から移送手段40に導かれる。このとき、遊技球の開口部43への導入は、研磨材の導入口部63への導入を阻害しない。そして、移送手段40は、遊技球と研磨材とを混ぜ合わされた状態で島上タンク3に向けて揚送する。
【0112】
(遊技球の遊技利用及び回収)
また、研磨材により研磨された遊技球は、汚れ成分と離され、所定の通路を通って、各遊技機に供給され、遊技機200から再び揚送研磨装置10に回収されるが、研磨により遊技球に汚れが付着していないため、また、遊技球に遊技1回分の汚れが付着しているため、汚れを起因として、遊技に支障を来すことが回避される。
【0113】
(遊技球の再研磨)
遊技機から回収された遊技球と、戻し通路60により移送手段40に導かれ、水を湿らせた研磨材とを、筒体30の内部で混ぜ合わせることで、遊技球を研磨することが可能となる。
【0114】
(水供給手段20等の保守、点検等)
遊技機島1には、移送手段40の保守点検用の開口が設けられ、保守点検時に開けられ、通常には蓋部材(図示省略)で閉じられている。水供給手段20は、移送手段40の始端部(アウト球や研磨材が導かれる所)の近傍に配されている(
図2参照)。
【0115】
保守点検用の開口を開くと、開口を通して水供給手段20を見ることができ、移送手段40の保守点検を行う際に、一緒に、水供給手段20の保守点検(ノズル21、ポンプ22、タンク23の水量、水量センサ24等の保守点検)を行うことができる。
【0116】
以上のように、前記実施形態に係る揚送研磨装置10によれば、研磨材を研磨に繰り返し用いても汚れが付着しないので、研磨材の洗浄作業の回数を減少させることが可能となる。
【0117】
また、研磨材が研磨に用いられる前に、必ず水供給手段20を経由することにより研磨材を確実に水で湿らせるように構成することができる。さらに、分別手段52により、汚れ成分を確実に集塵することが可能となるという効果を奏する。
【0118】
(変形例)
(水供給手段20の他の例)
実施形態では、水を噴霧することにより研磨材を湿らせるように構成された水供給手段20について説明したが、これに限らない。
【0119】
次に、水供給手段20の他の例について
図13を参照して説明する。水供給手段20は、戻し通路60内の研磨材に水を滴下することにより、研磨材を湿らせるように構成されている。
【0120】
図13は、水供給手段の他の例を示す概念図である。
図13に示すように、水供給手段20は、タンク23、水量センサ24、水量調整手段25、及び、開閉器26を有している。水量調整手段25は、滴下される水の量を調整するものである。開閉器26は、流路を開閉して、水が滴下するのを許容/禁止するものである。
【0121】
戻し通路60を通る研磨材の全部を水により湿らせるようにするために、水を滴下する範囲が戻し通路60の所定領域(全幅及び所定長)になるように構成すること、また、滴下される水としてアルカリ電解水を用いることは、水を噴霧する上記実施形態と同様である。
【0122】
さらに、水供給手段20の他の例について
図14を参照して説明する。水供給手段20の他の例としては、戻し通路60内を加湿状態にすることにより、研磨材を湿らせるように構成されている。
【0123】
図14は、水供給手段20の他の例を示す概念図である。
図14に示すように、水供給手段20は、タンク23、水量センサ24、ファン27、及び、超音波発生器28を有している。この水供給手段20は、超音波発生器28の超音波振動によって水を細かく破砕し、それをファン27によって吹き出すものである。戻し通路60の壁(底壁及び側壁)には、吹き出された水の粒を通すための微細穴(図示省略)が設けられている。なお、水供給手段20としては、超音波発生器28に代えて、ヒータ(図示省略)を設け、水を加熱することにより発生させた水蒸気をファン27により吹き出させるものでもよい。
【0124】
戻し通路60を通る研磨材の全部を水により湿らせるように、戻し通路60内を加湿状態にすること、また、加湿状態を作るときの水としてアルカリ電解水を用いること、さらに、加湿状態を調整する水量調整手段を設けることは、水を噴霧する上記実施形態と同様である。
【0125】
以上の実施形態及び変形例において、遊技球を研磨する前に研磨材を水で湿らせておく手段について説明した。
【0126】
次に、遊技球を研磨しているときに研磨材を水で湿らせる手段の一例について
図15を参照して説明する。
【0127】
図15は、水供給手段20の他の例を示す概念図である。
図15に示すように、水供給手段20は、筒体30の内部に水を噴霧することにより、筒体30の内部を加湿するように構成されている。筒体30の内部に水を噴霧することにより、筒体30の内部の湿度を上昇させるとともに、筒体30内の研磨材を水で湿らせることができる。それにより、研磨材に汚れ成分が付着するのを防止することが可能となる。
【0128】
また、遊技球と研磨材とを混ぜ合わせたときの摩擦熱等により筒体30内の湿度が低下すると、静電気が発生し易くなって、研磨材や汚れ成分に帯電し、研磨材に汚れ成分が付着しようとするが、筒体30の内部に水を噴霧することにより、筒体30内の湿度の低下が抑えられ、静電気の発生を抑えることが可能となる。
【0129】
筒体30の始端部(下端部)及び中間部に配置された水供給手段20を
図15に示す。水供給手段20の上流側には、筒体30内の湿度に対応する信号を出力する湿度センサ12が配置されている。なお、
図15では、筒体30の始端部及び中間部に水供給手段20が一つずつ配置されたものを示したが、複数個ずつ(例えば、筒体30の周方向に所定間隔で)配置されてもよい。
【0130】
噴霧する水としてアルカリ電解水を用いること、また、噴霧する水の量を調整する水量調整手段を設けることは、上記実施形態と同様である。
【0131】
なお、遊技球を研磨しているときに研磨材を水で湿らせる水供給手段20としては、水を噴霧するものに限らず、水を滴下するものであってもよい。
【0132】
図15に示す変形例では、加湿手段11として、遊技球を研磨しているときに研磨材を水で直接的に湿らせる手段について説明したが、研磨材を水で間接的に湿らせる手段であってもよい。
【0133】
次に、研磨材を水で間接的に湿らせる手段の一例として、移送手段40を水で湿らせる手段について説明する。例えば、移送手段40は保水性を有している。それにより、移送手段40を水で湿らせることが可能となる。例えば、移送手段40において、揚送時に研磨材と接する面(搬送面)は保水性を有している。搬送面を水で湿らせておくと、揚送時に研磨材が搬送面と接することにより、研磨材を間接的に水で湿らせることが可能となる。また、移送手段40を水で湿らせることにより、筒体30の内部を加湿することができ、静電気の発生をし難くすることが可能となる。
【0134】
移送手段40を湿らせておく水としてアルカリ電解水を用いること、また、水の量を調整する水量調整手段を設けることは、上記実施形態と同様である。
【0135】
前記実施形態では、遊技球を研磨する前に研磨材を水で湿らせる水供給手段20を示した。また、
図15に示す変形例では、遊技球を研磨しているときに研磨材を水で湿らせる水供給手段20を示したが、これらの水供給手段20を組み合わせたものであってもよい。それにより、研磨材をより適時、かつ、より適所で水で湿らせることが可能となる。
【0136】
上記の実施形態又はその変形例に係る揚送研磨装置から、下記の付記1〜5に記載した構成に係る揚送研磨装置の特定が可能である。
【0137】
〔付記1〕
それぞれが膳板(103)の上方に設置され所定の方向に配列された複数の遊技機(200)で用いられた遊技媒体を研磨材と混合して移送するための揚送研磨装置(10)において、遊技媒体と研磨材とを下部から上部へ移送するための第1移送手段と、第1移送手段(40)によって上部へ移送された遊技媒体と研磨材とを分離する分離手段(50)と、分離手段(50)によって分離された研磨材を上部から下部へ移送するための第2移送手段と、第2移送手段によって下部へ移送された研磨材を第1移送手段(40)の下部に導く戻し通路(60)と、を有し、第1移送手段(40)と戻し通路(60)とは、複数の遊技機(200)の配列方向に少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、戻し通路(60)は、膳板(103)の下方に配置されている、ことを特徴とする揚送研磨装置。
【0138】
付記1に係る揚送研磨装置によると、移送手段(40)に対応する第1移送手段と戻し通路(60)とは、複数の遊技機(200)の配列方向に少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、戻し通路(60)は、膳板(103)の下方に配置されている。戻し通路(60)を膳板(103)の下方に配置することで、揚送研磨装置(10)と遊技機(200)とが長手方向で干渉し合うことがなくなる。これにより、遊技機(200)の設置スペースに影響を与えることなく、遊技機島の長手方向の省スペース化を図ることができる。第2移送手段は、縦樋(59)を少なくとも含む。
【0139】
〔付記2〕
戻し通路(60)は、その終端部に設けられ第1移送手段の下部に研磨材を導くための導入口部(63)を有し、第1移送手段は、遊技媒体を導入するための開口部(43)を有し、複数の遊技機(200)から回収された遊技媒体の開口部(43)への導入が、遊技媒体の回収方向と異なる方向から移送された研磨材の導入口部(63)への導入を阻害しないように、開口部(43)と導入口部(63)とが設けられている、ことを特徴とする前記付記1に記載の揚送研磨装置。
【0140】
〔付記3〕
導入口部(63)は、配列方向に開口部(43)と並んで配置され、かつ、開口部(43)より高い位置に設けられ、戻し通路(60)は、開口部(43)の上方位置に移送された研磨材の流れを変更し、導入口部(63)に導く変更部材(64)を有することを特徴とする前記付記2に記載の揚送研磨装置。
【0141】
〔付記4〕
変更部材(64)は、戻し通路(60)の天井部に研磨材の流れ方向と直交するように設けられていることを特徴とする前記付記3に記載の揚送研磨装置。
【0142】
付記2〜4に係る揚送研磨装置によると、研磨材や塵埃等の流れの勢いを変更することなく、戻し通路(60)の傾斜角度を維持したまま、戻し通路(60)を膳板(103)の下方に配置することが可能となる。この際、開口部(43)での遊技球の詰まりや、導入口部(63)での研磨材の詰まりを生ずることがない。すなわち、移送手段(40)への遊技球の導入と研磨材の導入とを互いに阻害することなく、戻し通路(60)を膳板(103)の下方に配置することができるようになる。
【0143】
〔付記5〕
遊技機島は、前記付記1〜前記付記4のいずれか1つに記載の揚送研磨装置を備える。
【0144】
付記5に係る遊技機島によると、前記付記1〜前記付記4に係る揚送研磨装置において述べた作用効果と同様な作用効果を有することができる。