【文献】
Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition,2001年,Vol.32,No.1,p19−25
【文献】
Alimentary Pharmacology and Therapeutics,2004年,Vol.20,No.Suppl.1,p185−192
【文献】
American Journal of Clinical Nutrition,2000年,Vol.72,No.1,p5−14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)非新生児のヒトにとって有効な量の少なくとも1つの特異的結合分子またはその断片、ここで、前記特異的結合分子は、病原性構成要素の1つまたは混合物を接種したメンドリの卵から調製された乾燥免疫全卵におけるポリクローナル免疫グロブリンY(IgY)抗体である、および
b)ウシ初乳を含む担体マトリクス、を含む、非新生児のヒトにおける下痢および腸感染症の治療のための経口医薬組成物であって、
ここで、前記IgY抗体は、非定型の下痢、非定型の小児の下痢、旅行者下痢、ロタウイルス下痢、毒素介在性下痢、コレラ、C・ディフィシル感染症、赤痢、腸チフスの治療または予防に、あるいは胃腸管内細菌叢の管理にとって有効な量で存在する、
経口医薬組成物。
前記更なる病原体がカンピロバクター・ジェジュニ、サルモネラ、サルモネラ・エンテリカ・セロバー・ティフィ、志賀赤痢菌、プレジオモナス・シゲロイデス、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管凝集性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、腸管出血性大腸菌、クロストリジウム・ディフィシル、エルシニア・エンテロコリチカ、コレラ菌O1、コレラ菌O139、非O1コレラ菌、ビブリオ・パラヘモリティカス、エロモナス・ハイドロフィラ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ、ガルドネレラ属、淋菌、クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ属、膣トリコモナス、ヘルペスウイルス1型、ヘルペスウイルス2型、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラシローシスおよびカンジダ・クルセイ、A群黄色ブドウ球菌、ノロウイルス、カリチウイルス、腸内アデノウイルス、サイトメガロウイルス、アストロウイルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌、淋菌、帯状ヘルペスウイルス、フサリウム属およびアカントアメーバ属からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
前記組成物が、非定型の下痢、旅行者下痢、ロタウイルス下痢、毒素介在性下痢、コレラ、クロストリジウム・ディフィシル感染症、赤痢、または腸チフスの治療または予防に有効な量を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
(a)少なくとも1つの特異的結合分子またはその断片を得ること、ここで、前記特異的結合分子は、病原性構成要素の1つまたは混合物を接種したメンドリの卵において調製されたポリクローナル免疫グロブリンY(IgY)抗体である、と、
(b)ウシ初乳を含む少なくとも1つの担体マトリクスを得ることと、
(c)前記担体マトリクスの固体形態および前記特異的結合分子またはその断片の固体形態を調製することと、
(d)前記担体マトリクスの固体形態と前記特異的結合分子またはその断片の固体形態を混合すること、
を含む、
非新生児のヒトにおける下痢および腸感染症を治療するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の経口医薬組成物を調製する方法。
前記組成物は、前記IgY抗体の混合物を、非新生児のヒトにおける非定型の下痢、非定型の小児の下痢、旅行者下痢、ロタウイルス下痢、毒素介在性下痢、コレラ、C・ディフィシル感染症、赤痢、又は腸チフスの治療又は予防にとって有効な量で含有する、請求項20に記載の方法。
特別食の必要性が生じる疾患であって、小児の下痢、クローン病および潰瘍性大腸炎からなる群から選択される疾患に罹患する、栄養組成物を必要とする非新生児のヒト対象に投与するための栄養組成物として有用な請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
非定型の下痢、非定型の小児の下痢、旅行者下痢、ロタウイルス下痢、毒素介在性下痢、コレラ、C・ディフィシル感染症、赤痢、腸チフス、消化性潰瘍の治療または予防のため、あるいは胃腸管内細菌叢の管理のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
本明細書で使用される「予防」、「予防する」、「予防すること」、「予防法」という用語は、疾患状態または状況の臨床徴候の開始前に開始し、そのような疾患状態または状況の臨床徴候を予防し、または軽減させるようにする、一連の措置(例えば、本開示の化合物または医薬組成物の投与)を指す。このような予防することおよび抑制することは、有用であるために、絶対的である必要はない。
【0034】
本明細書に使用される「治療」、「治療する」および「治療すること」という用語は、疾患状態または状況の臨床徴候の開始後に開始され、そのような疾患状態または状況の臨床徴候を排除し、または軽減させるようにする、一連の措置(例えば、化合物または医薬組成物の投与)を指す。このような治療することは、有用であるために絶対的である必要はない。
【0035】
本明細書に使用される「治療の必要がある」という用語は、患者が治療を必要とするまたは治療から恩恵を受けるという介護者による判断を指す。この判断は、介護者の専門分野にある種々の要因に基づいてなされるが、それは本開示の方法、化合物または医薬組成物により治療可能となる状態の結果として、患者が病的な状態にある、または病的な状態になるという知識を含む。
【0036】
本明細書に使用される「予防を必要とする」という用語は、患者が予防を必要とするか、または予防から恩恵を受けるという介護者による判断を指す。この判断は、介護者の専門分野にある種々の因子に基づいてなされるが、それは本開示の方法、化合物または医薬組成物により予防可能となる状態の結果として、患者が病的な状態にある、または病的な状態になるという知識を含む。
【0037】
本明細書に使用される「個体(個人)」、「対象」または「患者」という用語は、鳥類または哺乳類動物、例えば、マウス、ドブネズミ、コットンラット、アレチネズミ、テンジクネズミ、ハムスター、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマまたは霊長類およびヒトを含む任意の動物を指す。この用語は、雄または雌あるいは両方を示し、または雄または雌を除外し得る。一態様において、患者は成人のヒトである。別の態様において、患者は非新生児のヒト乳児である。別の態様において、患者はヒト幼児、小児または若年者である。
【0038】
「新生児(neonate)」または新生児(newborn)という用語は、誕生後28日までの乳児を指す。用語「非新生児」は28日齢以降の動物を指す。
【0039】
本明細書に使用される「有効量」という用語は、単独で、あるいは医薬組成物の一部として、疾患状態または状況の任意の症状、状況または特徴における任意の検出可能なプラスの効果を有することができる、物質の量を指す。このような効果は、有益であるために絶対的である必要はない。
【0040】
本明細書に使用される「含む」という用語は、範囲が非制限であり、追加の要素が、記載のものに加えて可能であるとして企図され、この用語は、この語のいかなる出現時も、「を含むがそれに限定されない」と読み取ることができる。
【0041】
「免疫化する」、「能動的に免疫化する」、「能動的に免疫化すること」および「能動的な免疫化」という用語は、対象を抗原、例えばウイルスまたは細菌になどであるがそれらに限定されない微生物由来の抗原に曝露することにより対象を意図的に免疫化することを意味し、このような曝露は、対象を無傷の生物、減弱した生物、生物の一部、生物に存在する1つ以上の抗原またはそれらの組み合わせに曝露することにより実施され得る。
【0042】
「受動的に免疫化する」、「受動的に免疫化すること」および「受動的な免疫化」という用語は、例えばウイルスまたは細菌などであるがそれらに限定されない微生物由来の抗原に対する抗体を、対象内の生物に対する免疫反応を必ずしも誘起しないで対象に提供することを意味する。受動免疫化は即時の防御を提供するが、結果として対象はメモリー細胞を発現しない。
【0043】
本明細書に使用される「受動免疫」という用語は対象へ抗体を移すことにより獲得された人工的に得た免疫を指す。「卵」または「卵生成物」という用語はそれぞれトリ由来の殻付き卵(従来のもの、免疫化されたものまたはそれ以外のもの)またはそれ由来の任意の生成物もしくはそれ由来の一部を意味する。
【0044】
「免疫卵」または「免疫卵生成物」という用語はそれぞれ、免疫状態に維持された卵産生動物から得られた全卵またそれ由来の任意の生成物もしくはそれ由来の一部を意味する。
【0045】
「抗原」という用語は、生物、特に動物の免疫反応を誘発することができる実体またはその一部を指す。この用語は、免疫原および抗原性または抗原性決定因子に関与するその領域を含む。
【0046】
「ポリクローナル抗体」という用語は、抗原またはその抗原機能性誘導体で免疫化された動物の血清由来の抗体分子の異種集団である抗体を指す。ポリクローナル抗体の生成のために、種々の宿主動物が、抗原を注入されることにより免疫化され得る。種々のアジュバントを使用し、宿主の種に応じて免疫反応を増大させ得る。
【0047】
「モノクローナル抗体」という用語は当技術分野で十分に認識されており、実験室で単一クローンから大量生成され、1つの抗原のみを認識する抗体を指す。モノクローナル抗体は一般に、通常短命の抗体産生B細胞をがん細胞などの増殖の速い細胞(「不死細胞」呼ばれることがある)に融合させることにより作製される。得られたハイブリッド細胞すなわちハイブリドーマは、急速に増殖し、多量の抗体を生成するクローンを作製する。「モノクローナル抗体」は特定の抗原またはエピトープに向けられる実質的に均質な抗体集団である。これらは培養中の連続細胞株により抗体分子を生成させるために提供される任意の技法により得ることができる。モノクローナル抗体は当業者が公知の方法により得られ得る。例えば、Kohler, et al., Nature 256:495-497, 1975および米国特許第4376110号を参照のこと。
【0048】
「結晶性」という用語は、バッチ式結晶化などの結晶化により精製されているモノクローナル抗体などの抗体を指す。結晶性抗体を使用して、少量の高濃度の形態を生成することができる(Yang et al., 2003,Crystallline antibodies for subcutaneous delivery. PNAS 100(12):6934-6939)。
【0049】
「非定型の下痢」という用語は、下痢の原因物質が診断されていないことを意味する。
【0050】
「抗体断片」という用語は、特定の抗原に結合し、複合体を形成することにより抗体のように作用する合成の、または遺伝子操作されたタンパク質を包含する。例えば、抗体断片は、単離された断片である、重鎖および軽鎖の可変領域かならなる「Fv」断片、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより結合されている組み換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFVタンパク質」)および超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位を含む。抗体断片は、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、Fv、sFvなどの抗体の一部を含む。構造に関わらず、抗体断片は無傷の抗体により認識されるのと同じ抗原と結合する。
【0051】
「伝達因子」という用語は、アミノ酸からなる5000ダルトンの免疫分子を指し、抗原特異的細胞介在性免疫、原発性遅延型過敏反応およびリンホカインの生成、ならびに抗原自体への結合を生じる。(Kirkpatrick 1993, Structural nature and functions of transfer factors. Ann. N.Y. Acad. Sci. 685:362-368)。
【0052】
「可変性リンパ球受容体」という用語は、ヤツメウナギおよびメクラウナギなどの無顎脊椎動物で発見されたリンパ球由来の分子を指す。これらの動物は、少数の遺伝子のみから生成される、抗体に対して同様の方法および同じ特異性で病原性抗原に結合する、さまざまな可変性リンパ球受容体を有する。(Alder et al., 2005, Diversity and function of adaptive immune receptors in a jawless vertebrate. Science, 310(5756):1970-1973)。
【0053】
「細胞受容体」という用語は、B細胞受容体のリガンド結合部分である、1つのアイソタイプの膜結合免疫グロブリン分子を指す(例えば、IgD、IgM、IgE)。不可欠な膜ドメインの存在を除いて、これらは分泌形態と同一である。
【0054】
「特異的結合」という用語は、抗体、抗体断片、可変性リンパ球受容体または伝達因子などの特異的標的化免疫因子としても知られる特異的結合分子の特徴に関連して、異なる抗原の均一混合物中に存在する特定の抗原と優先的に結合する能力を指す。特定の実施形態において、特異的結合の相互作用は、いくつかの実施形態では約10〜100倍超(例えば、約1000〜または10000倍以上)で、検体中の望ましい抗原と望ましくない抗原(例えば、「標的」および「非標的」抗原)との間で区別を行う。いくつかの実施形態において、特異的結合分子は、非共有エピトープと比較した場合、微生物の異なる種または株で共有されたエピトープと特異的に結合することができる。特定の実施形態において、抗体および抗原が抗体−抗原複合体で特異的に結合される場合のこれらの間の親和性は、10
-6M未満、10
-7M未満、10
-8M未満、10
-9M未満、10
-10M未満、10
-11M未満または約10
-12M未満のK
D(解離定数)を特徴とする。
【0055】
「先天性免疫系」、または非特異的免疫系という用語は、非特異的に他の生物による感染から宿主を防御する細胞、分子の構成要素および機構を指す。先天性免疫系の細胞および分子の構成要素は、一般的方法において病原体を認識し、反応するが、適応免疫系と異なり、対象に長期持続のまたは保護免疫を与えない。先天性免疫系は感染に対して即時の防御を提供する。脊椎動物は、第2の保護層である適応免疫系を有し、それは先天的反応により活性化される。
【0056】
「適応免疫系」という用語は、抗原を認識し、反応し、例えば病原体の増殖を排除し、中和しまたは予防する、高度に特定化された、全身性の細胞およびプロセスを指す。その系は、体細胞高頻度変異(加速された体細胞変異のプロセス)およびV(D)J組み換え(抗原受容体遺伝子セグメントの不可逆的遺伝子組み換え)により高度に適応性がある。適応免疫は、獲得免疫とも呼ばれ、免疫記憶を生成する。適応免疫反応は、病原体および抗原特異的であり、曝露と最大反応との間に時間差がある。適応免疫反応は、最初に抗原に曝露される際、感作されたリンパ球が免疫エフェクター細胞に分化するか、または増幅され、より迅速な反応を高めることにより同じ抗原への2回目の曝露に反応するメモリー細胞の拡大プールを形成するかのいずれかといったクローン性認識の原理に基づいている。
【0057】
「動物」という用語は、動物界の定義を指す。
【0058】
全ての代名詞は最も広義の意味を与えることを意図する。他に明記されない限り、雌の代名詞は雄を包含し、雄の代名詞は雌を包含し、単数代名詞は複数を包含し、複数代名詞は単数を包含する。
【0059】
本明細書で使用される数の範囲は、特に開示されているかどうかに関わらず、各数およびその範囲内に含まれる数の部分集合を含むことを意図する。さらに、これらの数の範囲は、その範囲のいずれの数または部分集合の数に関する特許請求をも支持するとして解釈されるものとする。例えば、1〜10の開示は、2〜8、3〜7、5〜6、1〜9、3.6〜4.6、3.5〜9.9などの範囲を支持するとして解釈されるものとする。
【0060】
本明細書に引用される全ての特許、特許公報および査読済みの刊行物(すなわち、参照文献)は、個々の参照文献が特定的におよび個々に参照により組み込まれているように示されているのと同程度に参照により明確に組み込まれる。本開示と組み込まれた参照文献との間に食い違いがある場合は、本開示が優先される。
【0061】
本開示は望ましくない菌株または病原性微生物の管理に有用な組成物および方法を提供する。
【0062】
本発明の一実施形態は、担体マトリクス内で封入され、または組み込まれる標的化抗体系配合物を作製する方法に基づいており、ここで、抗体は関連の標的抗原の複数の集合に対する交差反応の制御形態を使用し、担体マトリクスは抗体の効果を高める支持体および補因子を含有する。このような抗体/マトリクス配合物の用途には、正確なまたは特別な原因物質ではないが、原因物質の部類が知られており、もしくは疑われる条件下、または複数の(混合された)原因物質が活性である状況下において広域の治療介入を提供することを含み得る。
【0063】
このように抗体を使用する新規な手法、つまり、抗体の特異性および交差反応性の属性をともに生かし、次いでさらに、担体マトリクス内の構成要素を利用し、多成分のその場での免疫反応を生成する方法が開発された。本実施形態において、抗体を、構造的に関連する抗原集団を表すいくつかの密接に関連するエピトープ全てに結合するよう設計する。これらの抗原は、他の点では著しく異なり得、多様な供給源、生物または菌株由来であってよい。
【0064】
本発明の一実施形態は、担体マトリクス内の特異的結合分子(免疫因子、例えば抗体)の方法を含み、ここで、特異的結合分子は関連抗原の部類に特異性を有し、その部類のメンバーの異なる出現に対して特異的に交差反応する。抗原供給源である生物または病原体に関わらず、関連の標的抗原集団にある程度の構造的類似性が存在する。構造の類似性は、「交差反応」として知られる現象(目的の抗原以外の抗原への反応性分子の立体的結合)を生じ得る。交差反応は多くの場合、意図したものではなく、ほとんどの場合、間違いおよび非特異性の原因と見なされる。しかし、本実施形態において、交差反応の範囲および程度を種々の手段で制御し、所望の特徴を得るようにその発現を制限し、導く。
【0065】
この治療は患者に受動免疫を与える。この治療の性質により、これに関連する危険因子が、抗体が得られた供給源からの食物を摂取する場合と同程度となる(例えば、危険因子が、卵および一杯の牛乳を摂取した場合と類似するであろう)。これは現在利用可能な代替介入より毒性が少ない有効な治療法である。
【0066】
本発明は、外来源の(治療される動物と異なる動物から得られた構成要素を含有する)担体マトリクスと外来源の(治療される動物と異なる動物から得られた免疫因子を得たまたはこれに対応する)特に標的化された免疫因子を併せて利用し、効果的な複数のパラメーターの免疫を、それを必要とする対象に輸送および導入することができる画期的な発見に基づいている。
【0067】
一態様において、本開示は、a)動物から得られ、抗原に特異的に結合し、免疫グロブリン、抗体、ペプチド、可変性リンパ球受容体、伝達因子およびその混合物から選択される、非新生児のヒト有効量の少なくとも1つの特異的結合分子またはその断片、およびb)、非ヒト動物から得られ、酵素、ラクトフェリン、トランスフェリン、非特異的免疫グロブリン、サイトカイン、白血球細胞、補体構成要素、インターフェロンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される少なくとも2つの構成要素を含む担体マトリクスであって、前記少なくとも1つの特異的結合分子および前記担体マトリクスの少なくとも2つの構成要素が異なる動物から得られる担体マトリクスを含む組成物を提供する。
【0068】
別の態様において、本開示は、a)特異的抗原に結合する動物由来の、免疫グロブリン、抗体、ペプチド、可変性リンパ球受容体、伝達因子およびその混合物から選択される少なくとも1つの特異的結合分子またはその断片を得、b)非ヒト動物から得られ、酵素、ラクトフェリン、トランスフェリン、非特異的免疫グロブリン、サイトカイン、白血球細胞、補体構成要素、インターフェロンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される少なくとも2つの構成要素を含む少なくとも1つの担体マトリクスを得、(c)固体形態の担体マトリクスおよび固体形態の特異的結合分子またはその断片を調製し、(d)固体形態の担体マトリクスと固体形態の特異的結合分子またはその断片を混合することを含む組成物を調製する方法を提供する。
【0069】
さらに別の態様において、本開示の組成物は微生物感染症の治療または予防に有用である。各実施形態において、微生物感染症はカンピロバクター・ジェジュニ、サルモネラ、サルモネラ・エンテリカ・セロバー・ティフィ、志賀赤痢菌、プレジオモナス・シゲロイデス、大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管凝集性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌および腸管出血性大腸菌、クロストリジウム・ディフィシル、エルシニア・エンテロコリチカ、コレラ菌O1、コレラ菌O139、非O1コレラ菌、ビブリオ・パラヘモリティカス、エロモナス・ハイドロフィラ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、腸肝ヘリコバクター、ヘリコバクター・ピロリ、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ、ロタウイルス、コロナウイルス、ノロウイルス、カリチウイルス、腸内アデノウイルス、サイトメガロウイルスおよびアストロウイルスにより引き起こされるものを含む。各実施形態において、組成物は非定型の下痢、旅行者下痢、ロタウイルス下痢、毒素介在性下痢、コレラ、C.ディフィシル感染症、赤痢、腸チフス、消化性潰瘍、膣炎などの状態の治療または予防に、あるいは胃腸管内細菌叢の管理に有用である。
【0070】
特定の実施形態において、本開示の組成物および方法を下痢の治療または予防に使用する。多数の下痢を引き起こす、ウイルス、細菌、寄生虫および原生動物を含む生物がある。例えばインドにおける細菌感染症のおもな原因には大腸菌属、腸管毒素原性大腸菌、腸管付着性大腸菌、アエロモナス属(Auromonas spp.)、カンピロバクター・ジェジュニ、シゲラ属、ビブリオ属、コレラ菌O1、ビブリオ・パラヘモリティカス、サルモネラ属、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよびエルシニア・エンテロコリチカがある。二次的原因には、クロストリジウム・ディフィシル(毒素AまたはB)がある。ウイルス性下痢の主因は、ロタウイルスによる感染であるが、カリチウイルス、アストロウイルス、ノーウォークウイルスおよびアデノウイルスも下痢を引き起こすことが知られている。ウイルス性下痢の二次原因には、腸内アデノウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびウイルス性肝炎がある。(John B. Sullivan and Gary R. Krieger, Clinical Environmental Health and Toxic Exposures, 2
nd Ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2001,page 1040)。
【0071】
流行に地域的および季節的な違いがあることも知られている。例えば、インドのプラナムにおいて、ある研究ではロタウイルスが小児の下痢の症例の平均15〜25%の原因であったと報告された。腸管毒素原性大腸菌は、下痢の症例全体の10〜20%の原因であり、腸管病原性大腸菌は症例の約1〜5%を引き起こした。カンピロバクター・ジェジュニ感染は約10〜15%を引き起こし、志賀赤痢菌は小児の下痢の症例の推定5〜15%を引き起こした。コレラ菌は、症例の約5〜10%を引き起こした。サルモネラ(非腸チフス性)は症例の約1〜5%を引き起こした。原生動物感染は、おもにクリプトスポリジウム(5〜15%)により引き起こされた。症例の約20〜30%に病原性の原因が示されなかった。(Fricker, Children in the Tropics, Putting an end to diarrheal diseases, 1993-No. 204: 1-66)。
【0072】
インド内の異なる地域では、小児の下痢の細菌性の症例は、異なる流行度の異なる病原体によるものである。例えば、インドのオリッサでの研究では、866の培養陽性検体のうち、大腸菌属(75.5%)、病原性大腸菌(13.2%)、エロモナス属(2%)、シゲラ属(4.5%)、コレラ菌O1(17.3%)、コレラ菌O139(1%)およびサルモネラ属(0.7%)が見つかった。find-health-articles.com/rec_pub_18806340-incidence。
【0073】
多種多様な病因により、非定型の下痢を治療する有効な、広域の、経済的および安全な方法が望まれている。小児の下痢の症例の大部分が細菌およびウイルス感染により引き起こされるようであるが、抗生物質および抗ウイルス剤に対する代替物が望まれている。
【0074】
A.組成物
本開示の一態様は、微生物叢の治療、予防または管理に有用な組成物を含む。各実施形態において、組成物は、特に胃腸管の病原性感染症の治療に有用である。
【0075】
各実施形態において、本開示は、
a)動物から得られ、抗原に特異的に結合する、免疫グロブリン、抗体、ペプリド、可変性リンパ球受容体、伝達因子およびその混合物から選択される、非新生児有効量の少なくとも1つの特異的結合分子またはその断片、
b)非ヒト動物から得られ、酵素、ラクトフェリン、トランスフェリン、非特異的免疫グロブリン、サイトカイン、白血球細胞、補体構成要素、インターフェロンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される少なくとも2つの構成要素を含む担体マトリクスであって、前記少なくとも1つの特異的結合分子および前記担体マトリクスの少なくとも2つの構成要素が異なる動物から得られる担体マトリクス
を含む組成物を提供する。
【0076】
特異的結合分子
本開示の組成物および方法は、動物から得られ、抗原に特異的に結合する特異的結合分子またはその断片を提供する。特異的結合分子は、抗体、抗体断片、ペプチド、可変性リンパ球受容体、伝達因子およびその混合物を含む。
【0077】
抗体
抗体、免疫グロブリンおよび他の生物学的免疫因子(抗体と総称する)は、天然およびその合成の類似体ともに、既知のヒトおよび動物の治療薬である。
【0078】
抗体は、抗体上の抗原結合部位と抗原性決定因子またはエピトープと呼ばれる抗原の一部との間で(非共有力を介して)結合することにより作用する。抗体は高度な特異性を有することができる。例えば、モノクローナル抗体の分野では、主に、よりいっそう特異的および正確な結合特性を生成するという推進力のもとで、開発が進んでいる。しかし、この高い特異性によって、機能的に同一である物質または抗原が免疫試薬または免疫治療薬に同一に反応しないという過度に限定された結合属性を生じ得る。一方で、通常結合特異性の獲得の間違いまたは失敗とみなされる交差反応は、抗原と、類似しているが異なる抗原に対して生成される抗体との間の反応である。制御された交差反応は、抗体の結合範囲を広げるため、前向きに使用され得る。
【0079】
本開示の一実施形態は、担体マトリクス内で封入され、または組み込まれる標的化抗体系配合物を作製する方法に基づいており、ここで、抗体は関連の標的抗原の複数の集合に対する交差反応の制御形態を使用し、担体マトリクスは抗体の効果を高める支持体および補因子を含有する。このような抗体/マトリクス配合物の用途には、正確なまたは特別な原因物質ではないが、原因物質の部類が知られており、もしくは疑われる条件下、または複数の(混合された)原因物質が活性である状況下において広域の治療介入を提供することを含み得る。このように抗体を使用する新規な手法、つまり、抗体の特異性および交差反応性の属性をともに生かし、次いでさらに、担体マトリクス内の構成要素を利用し、多成分のその場での免疫反応を生成する方法が開発された。本実施形態において、抗体を、構造的に関連する抗原集団を表すいくつかの密接に関連するエピトープ全てに結合するよう設計する。これらの抗原は、他の点では著しく異なり得、多様な供給源、生物または菌株由来であってよい。
【0080】
本開示の目的において、抗体は、任意の動物由来のモノクローナル、ポリクローナル、断片、キメラ体、ヒト化または任意の他の形態のいずれかであってよく、抗体は任意のアイソタイプ、例えばIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM(有胎盤動物)、IgY(ニワトリ)などのものであってよく、二特異的もしくは二官能性または多特異的もしくは多官能性抗体またはその断片であってよい。各実施形態において、特異的結合分子は、哺乳類動物のモノクローナル抗体、哺乳類動物のポリクローナル抗体、およびトリのポリクローナル抗体の3つの主要分類の1つ、またはこれら由来の、病原性構成要素に結合する能力を保有する断片から選択することができる。
【0081】
本発明の一実施形態は、広域治療剤の生成における、その使用である。この種の反応性配合物を生成する一方法は、適切に免疫化された動物から得られたポリクローナル抗体の生成を含み、ここで、そのような抗体はその後担体マトリクスに封入される。ポリクローナル抗体(または抗血清)は異なるB細胞株由来の抗体である。これらは典型的に、免疫化された動物の血清、母乳、初乳、卵または生体液から一緒に得られる。これらは特定の抗原、または一連の異なるエピトープを認識する抗原群に対して分泌された免疫グロブリン分子の混合物である。単一の抗原に対する多数の抗体(異なるエピトープに結合)または交差反応により多数の抗原に結合する単一の抗体に対する多数抗体を有することが可能である。ポリクローナル抗体は、標的構成要素由来の抗原をワクチン接種または接種されている動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ブタ、ウサギ、ニワトリ、アヒル、ガチョウまたはシチメンチョウから得ることができる。抗体は、例えば接種された動物により生成され、またはその動物に由来する組織、血清、母乳または卵から得ることができる。これは、同一の一特異性であり、単一の親細胞の全てのクローンである1種類の免疫細胞型により生成される、モノクローナル抗体では対照的である。
【0082】
本発明に使用される抗体は、血清、血漿、初乳、母乳、卵または他の適切な生体由来液から、または細胞培養培地、上清などから回収し得る。本発明に使用される抗体は、分離、血漿交換、乾燥法、凍結乾燥、低温殺菌および保存法を含むがそれらに限定されない、配合物の調製および使用に適切な任意の方法で処理することができる。本発明に使用される抗体は最終的な目的用途に応じて種々の方法で処理、濃縮、分離または精製し得る。
【0083】
抗体の混合物を種々の実施形態に適切なものに変更させることにより、本開示は、コレラ、C.ディフィシル、赤痢、サルモネラ・ティフィ(腸チフス)およびヘリコバクター・ピロリ(消化性潰瘍)などの他の胃腸管感染症の治療または予防に適切な組成物および方法を提供する。
【0084】
一実施形態において、抗体は、例えば関連抗原、および場合によりアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射により動物内で産生させることが好ましい。一態様において、関連抗原(特に、合成ペプチドを使用する場合)を免疫化する種に免疫原性であるタンパク質に複合体化することが有用であり得る。例えば、抗原を、二官能性または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介したコンジュゲート)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介した)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl
2またはRN=C=NR(RおよびRは異なるアルキル基である)を使用してキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリンまたはダイズトリプシン阻害因子に複合体化することができる。本明細書に記載のように、動物を抗原、免疫原性複合体または誘導体に対して免疫化する。他の実施形態において、抗体は、例えばファージディスプレイライブラリーにおいて得られ、またはヒト化もしくはキメラ抗体として調製されるような、合成または半合成であってよい。
【0085】
鳥類(産卵鶏など)は、これまでこのような生成に使用されている哺乳類動物と比較し抗体産生体として費用効果が高い。トリ抗体は、哺乳類動物の抗体を超えるいくつかの生化学的利点を有する。哺乳類動物と鳥類との間の免疫学的な違いは、免疫アッセイの感度の向上およびバックグラウンドの低下、ならびに哺乳類動物対象に投与した場合の特異性が高く、相補的免疫作用がない。哺乳類動物の抗体とは対照に、トリ抗体は一次または従来の経路を介したヒト補体系を活性化しないだけでなく、リウマチ因子、ヒト抗マウスIgG抗体、ブドウ球菌プロテインAまたはGあるいは細菌およびヒトFc受容体と反応しない。しかし、トリ抗体は非炎症性代替経路を活性化し得る。したがって、トリ抗体は、哺乳類動物の抗体を超える多くの利点が得られる。
【0086】
好ましい実施形態において、特異的分子は、病原性構成要素の1つまたは混合物を接種したメンドリの卵で調製したポリクローナル抗体である。特異的抗原の種々の製剤も接種に使用することができる。接種後、メンドリは卵黄に相当量の特異的IgY免疫グロブリンならびにアルブミンに少量のIgMおよびIgA免疫グロブリンを含有する卵を産生する。それゆえ、卵は、多量の、経済的に生成された、特異性が高く、安定した抗体の優れた供給源である。一実施形態において、トリ抗体を生成するためにニワトリを使用するが、別法としてシチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ダチョウを使用し得る。一態様において、本明細書に記載のように、メンドリに当技術分野で公知の任意の方法により接種する。例えば、抗原を筋肉内または皮下注射することができる。注射に好ましいトリの筋肉は胸の筋である。使用することができる他の投与方法には、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、皮内注射、肛門座剤、エアロゾルまたは経口投与がある。
【0087】
特異的な免疫状態は、固定の時間間隔で適切な用量の免疫化および繰り返しのブースター投与により標的動物内で誘発および維持されることが好ましい。時間間隔は、1〜12カ月にわたり1〜8週間の間隔が好ましい。用量は抗原約0.01〜5ミリグラムを選択する。一態様において、用量は、接種当たり抗原0.01mg〜1.0mg、好ましくはメンドリの接種当たり抗原100mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mgまたは750mgである。ワクチン接種の総回数は12カ月間で1、2、3、4、5または6回から選択することができる。典型的に、一回目の接種を1日目に行い、10日目および20日目にブースターワクチン接種を行う。メンドリは、例えばELISA法により、卵内の特異的抗体濃度または力価をモニタリングすることにより、必要な場合は再度ワクチン接種することができる。メンドリの典型的な皮下用量を、約0.2〜1.0mL、0.3〜0.7mLまたは0.5mLから選択する。しかし、ブースター投与は免疫寛容を生じないことが必然となる。このような方法は当技術分野で周知である。
【0088】
一次免疫の筋肉内注射およびブースター注入の静脈内注射などの他の接種維持法、または方法の組み合わせを使用することが可能である。さらなる方法には、マイクロ封入された、および液状免疫原の同時投与、または一次免疫の筋肉内注射および経口投与あるいはマイクロ封入された手段による非経口投与によるブースター投与がある。一次免疫およびブースター免疫のいくつかの組み合わせが当業者に知られている。
【0089】
医薬担体としても知られるアジュバントまたはその機能的等価物を、動物の特異的免疫反応を高めるために免疫溶液/ワクチン組成物に含むことができる。多くのアジュバントが報告されており、マウス、ラット、ウサギおよびニワトリなどの実験動物における抗体の生成に使用されている。このような設定では、主な目的が強い抗体反応を得るためであるので、副作用の許容量はむしろ高い。
【0090】
本開示に属するアジュバントは、その由来、すなわち鉱物生成物、細菌生成物、植物生成物、合成生成物または宿主生成物であるかにより分類し得る。この分類における第1の群は、アルミニウム化合物などの鉱物アジュバントである。アルミニウム塩とともに析出した抗原、または予め形成されたアルミニウム化合物と混合し、またはこれに吸着させた抗原が動物およびヒトの免疫反応を増強させるため広く使用されている。一実施形態において、免疫組成物のアジュバントは細菌由来である。細菌由来のアジュバントを精製し、合成(例えばムラミルジペプチド、脂質A)することができ、宿主メディエーターをクローン化されている(インターロイキン1および2)。細菌由来の活性構成要素のいくつかのアジュバントの公知の化学精製物には百日咳菌、結核菌、リポ多糖、フロイント完全アジュバント(FCA)およびフロイント不完全アジュバント(ディフコ・ラボラトリーズ、ミシガン州デトロイト)ならびにメルクアジュバント65(メルク・アンド・カンパニー社、ニュージャージー州ラーウェイ)がある。特定の態様において、フロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントを本開示の免疫組成物に使用する。さらに、本発明において適切なアジュバントは、例えばタイターマックスクラシカルアジュバント(シグマ−アルドリッチ)、ISCOMS、クイルA、ALUN(米国特許第58767号および同第5554372号を参照)、脂質A誘導体、コレラ毒素誘導体、HSP誘導体、LPS誘導体、合成ペプチドマトリクス、GMDPなどであり、かつ免疫刺激剤と組み合わせる(米国特許第5876735号)。百日咳が、T−リンパ球集団での作用を介して細胞介在性免疫を調節する性質により本発明においてアジュバントとして注目されている。フロイント完全アジュバントは、ほとんどの実験的な試験における標準物質である。鉱物油を、急速な異化作用から抗原を保護するためにワクチン組成物に添加することができる。
【0091】
他の多くの種類の物質を本開示の免疫原性または免疫組成物のアジュバントとして使用することができる。これらの物質には、サポニンなどの植物生成物、キチンなどの動物生成物、および多くの合成化学物質がある。
【0092】
筋肉内経路により免疫化されたニワトリは、免疫後28日までに特異抗体濃度の高い卵を産生することができ、200日以上の間、特異抗体を生成し続け、例えば4〜5週間未満の短期間で利用可能な抗体製剤を作製することができる。卵は、最大約50〜約100mg/卵の濃度のIgY抗体を含有する。100mg以上の精製されたIgYを単一の卵から得ることができる。1つの卵黄中の抗原特異的抗体の割合は、最大約2%〜10%であり得る。(daSilva et al., IgY: A promising antibody for use in immunodiagnostic and in immunotherapy. Veterinary Immunol. Immunopath., 135(2010):173-180)。
高産卵種のニワトリ1羽で1カ月当たりおよそ20個の卵を産生することができる。卵の重さは、約33〜約77グラムであり、それは殻のために全卵の約10.5%である。卵黄は全卵の約31%の重量である。乾燥させると、約1kgの乾燥全卵粉末を72個の卵から生成することができる。それゆえ、この計算では、1つの卵はで約13.9gの乾燥全卵を得ることができる。別の態様において、1つの免疫卵で10g〜約15gの乾燥全卵を得ることができる。別の態様において、本開示の免疫卵は40〜55mL/卵であり、卵当たりの総IgYは約1〜2mg/mLである。別の態様において、本開示の免疫卵は、卵当たり、特異的IgYを約0.01mg/mL〜0.05mg/mL含有する。それゆえ、加工後の一態様において、乾燥全免疫卵1つに、総IgYが約80〜110mg、および例えば、混合抗原製剤で免疫化したニワトリから、総混合抗原特異的IgYが約6〜10mg含有される。
【0093】
ワクチンが卵産生動物において免疫反応を誘起したかについて、免疫学の当業者が公知の多くの方法により決定することができる。これらの例として、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、刺激抗原に対する抗体の有無に関する試験、宿主由来の免疫細胞の抗原に反応する能力を評価するために設計された試験がある。免疫反応の誘発に必要な免疫原の最小用量は、アジュバントの種類および使用する(1つまたは複数の)免疫原の配合物、ならびに宿主として使用される卵産生動物の種類を含む、使用されるワクチン接種法に依存する。
【0094】
一実施形態において、卵の商業生産に適したメンドリをポリクローナル抗体の生成に使用する。卵産生に適したニワトリの任意の品種を使用することができる。例えば、ロードアイランドレッド、白色レグホン、褐色レグホン、ローマンブラウン種のメンドリ、伴性ハイブリッド交差のものまたは大きい卵径、高容量の卵の産生、扱いやすさに適した他の品種を選択することができる。一態様において、ヒナの時にニワトリに、標準的な疾患について接種を行う(例えば、サルモネラ、トリインフルエンザまたはニューキャッスルウイルスなど)。一態様において、任意の週齢のニワトリに接種することができる。約15〜19週齢のおよそ卵産生齢に達するメンドリまたはその前後に予め選択されたメンドリに、一定の継続した産生の流れとなるよう最終生成物の量および時期により予め決定されたスケジュールで接種する。典型的には、約2〜4週間の適切な隔離および馴化期間の後に、各群を、種々の抗原または抗体が望まれる特異的抗原を含む免疫組成物を使用した接種プログラムを行う。
【0095】
一実施形態において、卵を、接種したニワトリから回収し、全卵として処理する。各卵をバッチで調製するため十分に回収されるまで冷蔵状態下において保存する。所定のニワトリ群からの各バッチの卵を割り、殻から内容物を分離し、混合し、好ましくはニワトリ由来の病原性微生物からの汚染の可能性を除外するため殺菌する。
【0096】
一態様において、免疫卵生成物を殺菌する。卵生成物を衛生施設で処理する。殻付き卵を、自動装置で飼育室から取り出し、殻を洗浄し、消毒し、卵を割ることにより免疫卵生成物に処理する。場合により、卵白を卵黄から分離する。液状の卵生成物を場合により濾過し、場合により他の成分と混合した後、追加の処理の前に冷蔵する。次いで、得られた卵生成物液を、殺菌など致死処理を行い、または乾燥形態に加熱する。米国では、1970年連邦卵検査法(EPIA)により、消費用に配布する全ての卵製品を殺菌することが要求される。
【0097】
殺菌後、卵内容物全体を、大気または熱風を使用する噴霧乾燥、熱乾燥、フリーズドライまたは凍結乾燥などの標準的な商業的な方法を使用して乾燥させる。一態様において、殺菌した液状卵を乾燥させる適切な方法により、卵中の抗体および分子構成要素への損傷を最小限にし、栄養価の高い、受動保護を付与することができる生成物が得られる。
【0098】
一態様において、乾燥卵を試験し、全体の力価または抗体濃度を決定する。ELISA、FIA(蛍光免疫法)、RIA(放射免疫測定法)などの標準的な試験方法を使用する。別の態様において、バッチを、他の平均産生レベルのニワトリ群のバッチと混和し、標準化された抗体量を含有するロットとする。特異的ポリクローナル抗体を含有する乾燥卵を、本開示の組成物に配合する前に、室温で気密容器に保存することができる。各実施形態において、乾燥卵材料を全卵として使用し、分離しない。各実施形態において、全乾燥卵材料は、特異的IgYを少なくとも5mg/卵含有する。
【0099】
別の実施形態においては、IgYを単離する。IgY単離の第1のステップは、リポタンパク質から水溶性タンパク質を分離することである。水溶性タンパク質は卵黄の総タンパク質の42.4%を成す(Osuga et al., "Egg Proteins: In Food Proteins, J. R. Whitaker and S. R. Tannenbaum eds., AVI Pub. Co., Westport, Conn. (1977))。
【0100】
多くの方法が卵黄から免疫グロブリンの単離および精製に使用されている(Martin et al., Can J. Biochem. Physiol. 35:241 (1957); Martin et al., Can. J. Biochem Physiol. 36:153 (1958); Jensenius et al., J. Immunol. Methods 46:63 (1981); Bade et al., J. Immunol. Methods 72:421 (1984); Polson et al., Immunol. Invest. 14:323 (1985); Hassl et al., J. Immunol. Methods 110:225 (1988))。Hattaら(Agric. Biol. Chem. 54:2531 (1990))は、食物グレードの天然のガム(例えば、カラギーナン)を使用し、析出物として卵黄リポタンパク質を取り除き、卵黄から水溶性画分においてIgYを回収した。ニワトリ卵黄から抗体を回収する方法は、当技術分野で周知である。いくつかの方法を卵黄からIgYの抽出に使用することができ、市販の抽出キットが利用可能である(van Regenmortel, M. H. V. (1993). Eggs as protein and antibody factories. In Proceedings of the European Symposium on the Quality of Poultry Meat, pp. 257-263. Tours, France: INRA)。
【0101】
別の実施形態において、立体特異的結合分子は、病原性構成要素に特異的なモノクローナル抗体であり得る。
【0102】
モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature.256:495 (1975)によって初めて報告されたハイブリドーマ法を使用して作製することができ、または組み換えDNA法(米国特許第4816567号)により作製することができる。ハイブリドーマ法において、マウスまたはハムスターなどの他の適切な宿主動物を上記のように免疫化し、免疫化に使用される特異的にタンパク質に結合する抗体を成生する、または生成することができるリンパ球を誘起する。別法として、リンパ球を体外で免疫化することができる。免疫後、リンパ球を単離して、次いでポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して骨髄腫細胞株と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, ρp.59-103 (Academic Press, 1986))。
【0103】
ハイブリドーマ細胞が成長する培養培地を、抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の生成についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により生成されたモノクローナル抗体の結合特異性を放射免疫測定法(RIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの免疫沈降法により、または体外での結合アッセイにより決定する。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem.. 107:220 (1980)に記載されたスキャチャード解析によって決定することができる。
【0104】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体を、例えばアフィニティークロマトグラフィー(例えば、タンパク質Aまたはタンパク質G−セファロースを使用)またはイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などの従来の抗体精製方法により、培養培地、腹水または血清から適切に分離する。
【0105】
モノクローナル抗体をコードするDNAは容易に単離され、従来の方法を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)配列を決定する。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として機能する。単離されると、DNAを発現ベクターに入れることができ、次いで、このベクターを大腸菌、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、またはそれ以外では抗体タンパク質を生成しない骨髄腫細胞などの宿主細胞に形質移入し、組み換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌内での組み換え発現に関する総括記事には、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262 (1993) and Pluckthun. Immunol. Revs. 130:151-188 (1992)がある。
【0106】
さらなる実施形態において、モノクローナル抗体または抗体断片をMcCafferty et al,. Nature. 348:552-554 (1990)に記載の技法を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson et al.Nature.352:624-628 (1991)およびMarks et al.,.J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリーを使用しての、それぞれマウスおよびヒト抗体の単離を報告している。続く刊行物では、鎖シャフリングによる(Marks et al., Bio/Technology. 10:779-783 (1992))ならびに非常に大きなファージライブラリーを構築する方法として感染の組み合わせおよび体内での組み換え(Waterhouse et al., Nuc. Acids. Res.21 :2265-2266 (1993))による高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生成について記載している。従って、これらの技法は、モノクローナル抗体の単離のためのこれまでのモノクローナル抗体のハイブリドーマ技法に対する実行可能な代替法となる。
【0107】
抗体をコードするDNAを修飾し、例えば同種のマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメイン(C
HおよびC
L)に置き換えることにより(米国特許第4816567号およびMorrison, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984))、または免疫グロブリンをコードする配列と非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)をコードする配列の全てもしくは一部を融合することにより、キメラもしくは融合抗体ポリペプチドを生成することができる。非免疫グロブリンポリペプチド配列を抗体の定常ドメインの代わりに置き換え、または抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置き換え、抗原に特異性を有する1つの抗原結合部位および異なる抗原に特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作製することができる。
【0108】
特異的結合タンパク質を調製する免疫用の抗原
免疫化のために選択される抗原は、細菌、ウイルス、原生動物、真菌、寄生虫、細胞または動物の免疫系が反応する任意の他の物質であってよい。一態様において、抗原の免疫原性はアジュバントの使用により強化される。
【0109】
一態様において、動物に、病原性構成要素、抗原またはワクチン組成物、接種剤もしくはワクチン中の免疫原を接種する。一態様において、病原性構成要素または特異的抗原は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)などの市販の供給源より得られまたはこれに由来するものであってよい。別の態様において、病原性構成要素を野生型株から単離することができる。別の態様において、病原性構成要素または望ましくない菌株が混合抗原製剤に存在する。任意の抗原または種々の望ましくは菌株または病原性構成要素由来の抗原の組み合わせを免疫組成物に使用することができる。
【0110】
一態様において、接種剤、抗原または免疫原を通常若しくは保存された構成要素または標的化抗原集団の領域に選択する一方で、可変性または特徴のある構成要素または関連抗原の集団の個々のメンバーの領域は無視する。この方法には、所望のエピトープに交差反応するが、他のエピトープに反応しない抗体の生成を誘起する特徴を有する適切な免疫原の生成および抗体の生成を生じるように、生成される細胞または生物のその免疫原への接種または曝露を含み、得られた抗体は投与に適した担体マトリクス内に封入される。この種の配合物を、本方法により生成された抗体の混合物を使用し、広範囲の2つ以上の標的抗原集団を得るよう開発することができる。例えば、関連のない2つの抗原集団が疾患または状態に関連があり、この疾患または状態に対処する単一の製剤を作成することが望ましい場合、2つの抗体、免疫グロブリンまたは生物学的免疫因子の混合物を、同時に2つの広域の反応性ドメインを提供する本方法を使用して調製することができる。本実施形態の一例は、構造的に関連のある毒素の集団に特異的に反応する抗毒素抗体の生成に関する。
【0111】
一実施形態において、この手法を使用し、任意のグラム陰性菌(大腸菌、サルモネラ、赤痢菌および他の腸内細菌科、シュードモナス属、モラクセラ、ヘリコバクター、ステノトロホモナス属など)由来のリポ多糖(LPS)(内毒素)に対する広域反応性抗体、または例えばAB5毒素(カンピロバクター・エンテロトキシン、コレラ毒素、易熱性毒素(LTおよびLT−II)(大腸菌)、百日咳毒素、志賀毒素(赤痢菌)、志賀様毒素(またはベロ毒素)など)に対する広域反応性抗体を作製する。
【0112】
好ましい態様において、これらの例の抗毒素抗体は、毒素の由来である菌株に関わらず効果を有する。別の態様において、生成された抗体は、標的毒素の生物学的活性を中和し、または不活性化することができる中和抗体である。このような広域の中和抗体を使用し、原因となる生物の知識を必要とせず、症状を媒介する毒素が標的となる集団の1つである(これらの例では、AB5またはLPS)病原例において(例えば特定の種類の下痢)介入することができる。さらに、臨床的有効量の抗AB5抗体および抗LPS抗体をともに含有する混合物を調製する場合、配合物を使用して、活性毒素がAB5またはLPSあるいは両方のいずれかである症例に介入することができる。
【0113】
本方法を、任意の数の(本例では)毒素集団を含み、かつ他の毒素様反応(例えばウイルス毒素様現象)のメディエーターに対する広域中和抗体を含むよう拡大し、症状および病原が感染原因の知識を有さず管理され、または多数の感染原因がある下痢(に対する本例では)広域に適用可能な介入を行うことができる。一態様において、本開示は担体マトリクス内で組み合わされた抗毒素抗体の相乗的な組み合わせを含む組成物を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物をコレラ毒素(コレラ菌)、大腸菌(毒素原性大腸菌(ETEC)など)、赤痢菌、サルモネラ、カンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシル、寄生虫(例えば、ジアルジア、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム、シクロスポラ)および下痢ウイルス(例えば、ロタウイルス)を含むがそれらに限定されない種々の病原または物質に使用する。
【0115】
胃腸管に侵入後、大腸菌などの細菌を含むがそれに限定されない多くの病原体は、上皮、粘膜または他の組織に結合(付着)し、腸壁などの胃腸管組織に埋め込まれる。胃腸管の組織に結合後、病原体は複製し、生成により直接または免疫系作用による病原細胞の溶解の増加により間接的のいずれかで毒素濃度を増加させる。胃腸管組織に結合する病原体の能力を阻害することより、病変および他の症状を生じるのに十分な大きさのコロニーを形成する前に、病原体のより有効な可動化、消化および排泄が促進される。アドヘシン、カドヘリン、毛様体、線毛および/またはウイルス付着構造を含むがそれらに限定されない胃腸管に付着させるために使用される病原体の受容体およびリガンドのクラスを遮断することにより、胃腸管組織への付着を予防し、または最小限にすることができ、最終的にこの作用様式を利用する病原体由来の病因を実質的に減少させる。
【0116】
種々の実施形態において、病原体は、ヒトもしくは家畜の腸もしくは胃腸管の、胃腸炎を生じる病原体の1つまたは組み合わせから選択される。種々の態様において、病原体はカンピロバクター・ジェジュニ、サルモネラ、サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・エンテリカ・セロバー・ティフィ、志賀赤痢菌、プレジオモナス・シゲロイデス、大腸菌、(腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EaggEC)、腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)および腸管出血性大腸菌(EHEC)など)、エルシニア・エンテロコリチカ、コレラ菌O1、コレラ菌O139、非O1コレラ菌、ビブリオ・パラヘモリティカス、エロモナス・ハイドロフィラ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ディフィシル、腸肝ヘリコバクター(ヘリコバクター・ピロリなど)、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ、ロタウイルス、コロナウイルス、ノロウイルス、カリチウイルス、腸内アデノウイルス、サイトメガロウイルスおよびアストロウイルスからなる群から選択される。別の態様において、病原体関連毒素は内毒素または外毒素を含む。別の態様において、病原体関連付着要素は、アドヘシン、カドヘリン、毛様体、線毛、ウイルス付着構造またはその組み合わせを含む。
【0117】
種々の特定の態様において、病原性構成要素、免疫原または抗原は、例えばロタウイルス、コロナウイルス、クロストリジウム・パーフリンジェンスC型、大腸菌(細胞性)、大腸菌の腸管毒素原性株および腸管毒素、K99、K88、987PまたはF41線毛付着因子抗原を有する任意の細菌、大腸菌およびサルモネラ・ティフィムリウム(一般にグラム陰性菌)により生じる内毒素(またはLPS)由来であってよい。具体的な態様において、メンドリに、1、2、3、4、5、6、7または8あるいは多数の病原性微生物由来の抗原または毒素を接種する。
【0118】
一態様において、免疫反応は抗原供給源とワクチン接種した動物の免疫系との間の距離がより大きい場合により強力となる。
【0119】
特定の実施形態において、ニワトリの第1群に第1の混合抗原性製剤を1つ接種する。一態様において、ニワトリの第2群に第1に比べ異なる抗原セットを含有する第2の混合抗原性製剤を接種する。別の態様において、ニワトリの第3群に第3の混合抗原性製剤を接種する。さらなる態様において、ニワトリの第4群に、第4の混合抗原性製剤を接種する。本発明の範囲を限定する意味はないが、抗原の過負荷を避けるため、異なる群を異なる抗原で免疫化することが有利であると考えられる。
【0120】
各群からの卵を回収し、場合により特異的および/または総IgYに関して力価を測定し、場合により単離および/または精製し、かつ個別に処理し、乾燥粉末を調製する。別の態様において、第1および第2、第1、第2および第3、または第1、第2、第3および第4群から得た乾燥粉末卵を混和し、または担体マトリクスルでパッケージし、本開示の組成物を調製する。一態様において、第1の抗原性製剤は、ウシロタウイルス(血清型G6およびG10)、ウシコロナウイルス、K99線毛付着因子を有する大腸菌の腸管毒素原性株およびクロストリジウム・パーフリンジェンスC型を含む。混合抗原性製剤は、場合によりアジュバント付加し、免疫反応を高めることができる。
【0121】
別の態様において、第2の抗原性製剤は、クロストリジウム・パーフリンジェンスC型および易熱性毒素を生成する、またはK99、K88、987PまたはF41付着因子を有する大腸菌の腸管毒素原性株により生成されるβ毒素を含む。
【0122】
一態様において、第3の抗原性製剤は大腸菌およびサルモネラ・ティフィムリウムを含む。JVACは大腸菌およびサルモネラ・ティフィムリウムにより生じる内毒素中毒症の出現および重症度を低下させる。通常、これらの内毒素は、内毒素中毒症と関連する大腸菌性乳房炎および他のグラム陰性疾患に関連している。
【0123】
別の態様において、抗原を当技術分野で公知の任意の手段により調製することができる。例えば、野生型供給源、例えば、大腸菌性下痢に罹患する動物由来の細胞である。単離された細胞を、例えばトリプチケースソイブロス(TSB)で37℃にて一晩培養し、遠心分離により濃縮することができる。得られたペレットを0.4%ホルムアルデヒドのPBS緩衝液で再懸濁し、不活性化するために37℃にてインキュベーションすることができる。ホルムアルデヒドを遠心分離により除去することができる。ペレットをPBSに再懸濁し、抗原として使用することができる。一態様において、抗原を、接種の前に等量のアジュバントで乳化する。
【0124】
別の実施形態において、抗原は、結膜炎を生じるこのような病原性生物から選択される。公知の原因となる病原体は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2008/0031903号、Gambottoらにおいて記載されている。
【0125】
流行性角結膜炎(EKC)は、世界中で認められる眼の衰弱性感染疾患である。この疾患は、おもにアデノウイルスの特に血清型8、19および37により引き起こされる。血清型3、4および11もEKC流行病のいくつかに関連付けられた。この疾患は全ての年齢群で罹患し、伝染性が高く、学校、学校、スイミングプール、小児科部門およびキャンプにおいて急速に広がる。治療は、現在有効な治療がないため対症的である。有効な抗ウイルス局所剤の開発は、疾患を治療および流行を予防するため望まれている。
【0126】
結膜炎も、黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌、淋菌、クラミジア・トラコマチス、アデノウイルス、単純ヘルペス、帯状ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、フザリウム属、カンジダ属およびアカントアメーバ属を含むがそれらに限定されない多くの追加の細菌物質、ウイルス物質、真菌物質および原生動物物質により引き起こされ得る。アデノウイルス感染症などの特定のウイルス感染症をシドフォビルなどの抗ウイルス薬剤で治療することができる。通常、薬剤は、シドフォビルに関連する眼球および腎臓の副作用などの副作用を有する。他に、安定性、生成の費用などの薬剤の物流による問題が生じる。そのため、眼の感染症の治療のための安価な、入手しやすい、良好に容認され、安定した薬剤が望まれている。
【0127】
一態様において、本開示は、結膜炎または伝染性結膜炎の治療のための、以下に記載の担体マトリクスと組み合わせた、これらの病原体に対するポリクローナル抗体を含む組成物を提供する。抗体を本明細書に記載のように生成する。
【0128】
別の実施形態において、抗原は膣炎を引き起こす病原性生物から選択される。感染は細菌性、真菌性(イースト)または寄生虫性であり得る。細菌性膣炎は、例えば、ガルドネレラ属、淋菌、クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ属、カンピロバクター・ジェジュニにより引き起こされ得る。寄生虫性膣炎は、例えば、膣トリコモナスにより引き起こされ得る。ウイルス性膣炎は、ヘルペスウイルス1型または2型により引き起こされ得る。カンジダ膣炎は、イースト状真菌のカンジダにより引き起こされる。イースト状真菌の170種以上が報告されている。C.アルビカンスは、女性の85〜90%におけるカンジダ膣炎の最も頻度の高い原因因子である。C.カンジダ・グラブラタ(5〜10%)、C.トロピカリス(3〜5%)、C.パラプシローシス(3〜5%)およびC.クルセイ(1〜3%)もまた他のカンジダ株の中で臨床的に重要である。これらの病原体のうちのいずれも本明細書に記載のポリクローナル抗体生成の抗原供給源として選択することができる。
【0129】
カンジダ外陰腟炎は多くの場合、抗生物質、コルチコステロイド 、細胞増殖抑制剤、経口避妊薬、放射線治療の長期および未制御の使用、重篤な感染疾患、内分泌障害、免疫不全状態などの多くの感染しやすくする因子により引き起こされる。広域抗生物質の処方は、病原性細菌だけでなく、膣粘膜の腐生菌、つまり乳酸杆菌およびビフィズス菌も抑制する。結果として、膣のpHは上昇し(アルカリの範囲に移動し)、自己洗浄の過程に混乱が生じる。加えて、カンジダは栄養物質として一部の抗生物質を使用することができる。したがって、カンジダの活性した異常繁殖に好ましい状態が女性の生殖器で生じる。一態様において、本開示は、以下に記載の担体マトリクスと組み合わせた、記載の1つ以上の病原体に対するポリクローナル抗体を含む、膣炎の治療のための組成物を提供する。
【0130】
特定の態様において、担体マトリクス内に特異的ポリクローナル抗体の混合物を含む本開示の組成物は、細菌性、ウイルス性、真菌性または寄生虫性膣炎を治療する広域の方法を提供する。別の態様において、本開示の組成物を非定型の膣炎を治療するため、それを必要とする対象に使用することができる。
【0131】
他の特異的結合分子
本開示の組成物および方法は、伝達因子、可変性リンパ球受容体および細胞受容体を含む他の特異的結合分子を含む。伝達因子は、アミノ酸からなるおよそ5000ダルトンの免疫分子であり、抗原特異的細胞介在性免疫、原発性遅延型過敏反応およびリンホカインの生成ならびに抗原自体への結合を生じさせる。(Kirkpatrick 1993, Structural nature and functions of transfer factors. Ann. N.Y. Acad. Sci. 685:362-368.)。可変性リンパ球受容体は、ヤツメウナギおよびメクラウナギなどの無顎脊椎動物に発見されたリンパ球由来分子である。これらの動物は、少数の遺伝子のみから生成され、抗体と同様に病原性抗原に結合する、同程度の特異性を有する、様々な可変性リンパ球受容体を有する。(Alder et al., 2005, Diversity and function of adaptive immune receptors in a jawless vertebrate. Science, 310(5756):1970-1973)。
【0132】
担体マトリクス
本開示は、対象に病原性感染症の治療または予防のための組成物を提供する。組成物は、担体マトリクスと組み合わされた、ポリクローナル抗体などの特異的結合分子を含む。本発明の範囲を制限する意味はないが、担体マトリクスは二重の目的のために機能する。第1に、目的の機能的環境において、例えば、経口投与時、非新生児の対象の胃腸管内で抗体を保護し、さらに構成要素、例えば先天性免疫系の構成要素を提供し、感染症の管理において、抗体と相乗的に反応するようにさせる。
【0133】
「担体マトリクス」または保護的/反応性マトリクスという用語は、その場での免疫型応答、カスケードまたは反応を伝搬、促進、支持または高めるために必要な要素を供給するように、適切な比率および濃度の任意の基質、化合物、配合物または要素を含有する補足的化合物(天然または合成に関わらず)、補因子または他の構成要素を指す。これらの要素は、種々に切断および突然変異反応、アセンブリおよび複合体の形成、機能の枯渇および吸着を促進し、不可欠の要素、生物製剤または化合物を供給し、活性要素または構成要素のための保護機能を提供し得る。担体マトリクスは、標的化抗原に特異的であってもなくてもよい、内在性抗体(免疫因子)を含有しても、しなくてもよい。
【0134】
一実施形態において、担体マトリクスは、非ヒト哺乳類動物由来の血清、血漿、初乳、母乳、唾液、リンパ液、粘膜または涙液から選択され、またはこれらに由来する。
【0135】
天然に生じる担体マトリクスの一例は初乳である。初乳は、特にその成分を非常に濃縮された少量の形態で胃腸管に、および胃腸管を通して新生児に送達するため、哺乳類動物において自然に発達してきた。初乳つまり「最初の母乳」は、分娩直後に哺乳類動物により生成される。抗体および補因子が母体から新生児に移り、病原体に対する最初の防御を提供する。成長因子もまた、消化管の発達および修復を刺激する。
【0136】
初乳は、多くの免疫相補性因子を含有する。これらには、インターフェロン、免疫グロブリン(IgGおよび分泌型IgAを含む)、多形核白血球、マクロファージおよびリンパ球を含む。初乳はまた、T細胞活性因子である、高プロリンポリペプチドまたはPRPを含有する。初乳は、母乳と比較し免疫グロブリン量が高いことが知られている。初乳は、哺乳類動物においてIgA、IgGおよびIgMなどの抗体を含有することが知られている。IgAは、腸上皮を通して吸収、血液を通して移動し、他の1型粘膜表面に分泌される。ウシ初乳は、免疫グロブリンが6%〜20%の範囲であり、おもにIgG
1およびIgG
2であることが知られている。一態様において、全ウシ初乳を担体マトリクスとして使用する。
【0137】
初乳はまた、腸環境を調節するのに役立ち、その環境を外来性病原体にとって好適でないものとする。初乳は、細菌およびウイルスが複製に必要な鉄を獲得することを防ぐ鉄結合タンパク質であるラクトフェリンを含有する。初乳はまた、特定のプロバイオティクス株を選択的に繁殖させ、それが次いで感染を回避するのに役立つ。これは、天然の2つの主要な成長因子である、トランスフォーミング増殖因子(TGF)αおよびβの唯一の供給源であり、ならびにインスリン成長因子1および2の供給源でもある。これらの因子は、組織の修復および発達を促進する。初乳はまた、腸壁細胞の増殖および拡大を刺激する肝細胞増殖因子の供給源である。初乳は、胃腸管環境内で担体マトリクスとして作用するよう自然に設計されている。担体マトリクスの合成版も本開示に含まれる。天然および合成構成要素の両方から構成される担体マトリクスも本開示内に含まれる。
【0138】
初乳は、タンパク質、ビタミンAおよび塩化ナトリウムが非常に豊富であるが、通常の母乳に比べて、より少量の炭水化物、脂質およびカリウムを含有する。初乳の最も適切な生物活性構成要素は、成長因子および抗菌因子である。初乳の抗体は、受動免疫を提供し、成長因子は消化管の発達を刺激する。これらは新生児に移り、病原体に対して最初の防御となる。母体からの受動免疫が新生児に移動する。
【0139】
新生児は、非常に小さな消化系を有し、初乳は非常に濃縮された少量の形態で栄養を送達する。新生児の胃腸管は、特に初乳からの免疫の受動的移動を受け入れようとする。出生時の胃内pHは、胃に残留した羊水により6〜8の範囲で変動する。その後、胃内pHは24〜48時間でpH1.5〜3に低下する。それゆえ、新生児の胃腸管の状態は受動免疫をもたらす。さらに、新生児および早産児の胃内容排出時間が延長され、6〜8カ月齢で成人値に到達する。初乳の抗体および補因子は、特定の状況下(例えば、授乳)において、受容者に受動免疫を提供し、これは特に新生児に当てはまる。非新生の乳児、小児、若年者および健常成人の胃腸管は、免疫グロブリンの経口投与に対し、より適さない環境となる。
【0140】
初乳の他の免疫構成要素は、先天性免疫系の主な構成要素、例えばラクトフェリン、トランスフェリン、リゾチーム、ラクトペルオキシダーゼ、補体因子および高プロリンポリペプチド(PRP)を含む。インターロイキン、腫瘍壊死因子、ケモカイン等を含む、多くのサイトカイン(免疫系の機能を制御する小さなメッセンジャーペプチド)も初乳に見出される。初乳はまた、多くの成長因子、例えばインスリン様成長因子IおよびII、トランスフォーミング増殖因子α、β1およびβ2、線維芽細胞増殖因子、上皮成長因子、顆粒球マクロファージ刺激成長因子、血小板由来成長因子、血管内皮成長因子およびコロニー刺激因子−Iを含有する。
【0141】
一態様において、担体マトリクスは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上または6つ以上あるいは7つ以上の初乳の非免疫グロブリン構成要素からなる。別の態様において、担体マトリクスは免疫グロブリンの大部分を除去するよう処理されている初乳を含む。各実施形態において、担体マトリクスは、酵素、ラクトフェリン、トランスフェリン、非特異的免疫グロブリン、補体系の構成要素、サイトカイン、白血球、補体構成要素、インターフェロンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される、非ヒト動物から得た少なくとも2つの構成要素を含み、少なくとも1つの特異的結合分子および担体マトリクスの少なくとも2つの構成要素は異なる動物から得られる。
【0142】
別の態様において、マトリクスは、リゾチーム、ホスホリパーゼ、デフェンシン、オプソニン、高プロリンポリペプチド(PRP)、β−リジン、ラクトフェリン、トランスフェリン、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロン、TNF−α、フィブロネクチン、高プロリンポリペプチド、インスリン成長因子1型、インスリン成長因子2型、血小板由来成長因子、上皮成長因子、線維芽血小板細胞増殖因子、トランスフォーミング成長因子α、トランスフォーミング成長因子β、神経成長因子、レプチン、白血球、白血球細胞、食細胞、マクロファージ、単球、好中球、多核白血球および樹状細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞、デフェンシンを含むカチオンタンパク質、エラスターゼを含むタンパク質分解酵素、カテプシンG、ミエロペルオキシダーゼ、NADPHオキシダーゼ構成要素またはその組み合わせから選択される2つ以上の物質からなる。別の態様において、マトリクスは先天性免疫系由来の物質の混合物を含む。好ましい態様において、担体マトリクスは非高度免疫ウシ初乳からなる。
【0143】
ウシ初乳は、誕生した子ウシのためにウシにより生成される。多くの乳牛の群れにおいて、子ウシは授乳を認められず、むしろボトルの後はバケツから初乳およびその後母乳が与えられる。初乳は回収され、市販用に加工される。初乳を含む種々の組成物および初乳を調製する方法は、その内容全体を参照により組み込まれる、米国特許第5,846,569号、同第6,410,058号、同第6,475,511および同第6,521,277号に開示されている。ウシの乾燥初乳は市販されている。特定の一態様において、担体マトリクスは市販のウシの乾燥初乳である。
【0144】
家畜の管理者/育種家は、通常動物の初乳をとっておく。自身の家屋で生成された初乳は他の供給源由来の初乳に比べ優れているとされ、それは家屋に発生する病原体にすでに曝露された(したがって抗体が作製された)動物により生成されるためである。一般に、関連病原体に曝露された動物由来の初乳は免疫特性に優れているだろう。
【0145】
ウシ初乳およびその構成要素は、ラクトースまたは他の構成要素に対する不忍容またはアレルギーの状況を除き、ヒトが摂取するには安全である。牧草を与えたウシ由来のウシ初乳は、大腸菌、クリプトスポリジウム・パルバム、フレクスナー赤痢菌、サルモネラ、ブドウ球菌属およびロタウイルスを含む多くのヒト病原体に特異的な免疫グロブリンを、これらの病原体への自然の曝露に依存して含有する。抗生物質の開発前では、初乳は、感染と戦うために使用された免疫グロブリンのおもな供給源であった。
【0146】
高度免疫の初乳は、ウシを特異的な病原体で免疫化することにより天然のウシ初乳の効力を増強する試みを表す。この手法は、抗体が特異的な病原体または元の抗原投与で使用される抗原に対して生成されるので、有望である。しかし、抗原への異なる応答、生物学的多様性、および初乳の生産量の低さにより、初乳の臨床的および商業的有用性が制限されている。
【0147】
一態様において、本開示は、高度免疫の初乳ではない、すなわち病原性もしくは標的抗原構成要素に特異的な抗体の測定可能なもしくはかなりの量を含有していない初乳を含む組成物を提供する。別の態様において、本開示は、担体マトリクスが特異的または非特異的のいずれの抗体のかなりの量をも含まない先天性免疫系の種々の構成要素を含有する組成物を提供する。
【0148】
一実施形態において、初乳は、例えば、バッチ式またはカラムフォーマットのアフィニティ樹脂(例えば、タンパク質Gもしくはタンパク質Aセファロースまたはタンパク質Aもしくはタンパク質Gアガロース)に抗体を吸着させることにより、免疫グロブリンの大部分を除去するよう処理し、さらなる処理のために溶出液を保持することができる。免疫グロブリンを、セファデックスG−200のゲル濾過クロマトグラフィーまたはDEAEセファデックスA−25イオン交換クロマトグラフィーにより除去することもできる。(Lloyd and Soulsby, Immunology, The role of IgA immunoglobulin in the passive transfer of protection to Taenia taeniaeformis in the mouse. 34, 939-945)。これらの加工は、当技術分野で公知の種々の方法および技術によりカラムまたはバッチ式フォーマットで行うことができる。
【0149】
特定の一実施形態において、担体マトリクスは初乳を含む。一態様において、市販の初乳を支持/反応性マトリクスとして使用する。好ましい態様において、市販のウシ初乳は、最初の搾取した初乳のみから生成される、凝集され、インスタント化され、殺菌された、全乳製の、全初乳粉末である。別の態様において、初乳は低圧および低温で処理され、生物活性を最大限に維持するため間接的蒸気を使用して噴霧乾燥される。別の態様において、市販の初乳は抗生物質非含有源由来である。別の態様において、初乳に微生物分析を行い、陰性または種々の病原体に対して許容水準以下であることを認める。種々の他の態様において、初乳を硝酸塩、アフラトキシン、ニトロフラン、ダイオキシン、メラミンおよび重金属などの他の汚染物質に関してアッセイし、陰性であり、または特定の水準以下であることを認める。
【0150】
一実施形態において、本発明はいくつかの高度免疫供給源の初乳からなり得、それぞれが異なる集団またはクラスの抗原を標的とし、初乳は混合されて、広域の抗体配合物を提供する。
【0151】
別の実施形態において、担体マトリクスは、涙液、鼻腔のまたは気管支の粘膜、子宮頸部の粘膜、精漿、汗、血漿または唾液などの、再構築された、または人工の粘膜分泌物からなる。体液は、種々の量のいくつかの構成要素を含有することが知られている(Schenkels et al., Biochemical composition of human saliva in relation to other fluids, Crit. Rev. Oral Biol. Med., 1995, 6(2):161-175)。唾液は、ムチン、酸性PRP、α−アミラーゼ、塩基性PRP、塩基性PRG、分泌型IgA、シスタチン、スタテリン、IgG、耳下腺外糖タンパク質(EP−GP)、VEGh(リポカリン)、ヒスタチン、リゾチーム、カリクレイン、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、ハプトコリン、β‐ミクロセミノタンパク質、IgM、アルブミンおよびZn−α2−糖タンパク質を含有する。一態様において、担体マトリクスは、体液の構成要素のうちの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上または7つ以上を含む。
【0152】
涙つまり涙液は、唾液と同じ構成要素の多くを有し、特に高濃度の分泌型IgA、VEGh、リゾチームおよびラクトフェリンを有する。一態様において、当技術分野で公知のように、主要成分として塩化ナトリウムなどの塩を含有する人工の涙液、またはヒドロキシエチルセルロース、コンドロイチン硫酸またはヒアルロン酸あるいはキサンタンガム(米国特許第7875271号、参照により本明細書に組み込まれる)を含有する点眼剤に、本明細書に記載のように、精製ポリクローナル抗体のための担体マトリクスとして記載され、使用される体液の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上の構成要素を添加する。一態様において、組成物を、伝染性結膜炎などの眼の微生物感染症の治療に使用することができ得る。
【0153】
子宮頸部の粘膜は、ムチン、α−アミラーゼ、リゾチーム、ラクトペルオキシダーゼ、アルブミンおよびβ‐ミクロセミノタンパク質を含有する。マトリクスは、本開示の方法により調製された、抗細菌性または抗真菌性ポリクローナル抗体などの立体特異的結合分子を有する組成物の担体マトリクスとして上記の構成要素の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上の組み合わせにより形成される。
【0154】
一態様において、本開示は、水を固定することができる、または水中で膨張可能でき、浸透剤としてセルロースと組み合わせたカルボキシメチルデンプンを含有することができ、水と接触した場合ほぼ即時にゲルを形成し、容易に膣用途に適用可能であるガムを含む組成物を提供する。本開示の抗体/マトリクス組成物を含む錠剤は例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4808415号に記載のカルボキシメチルデンプンおよびセルロースを含むことができ得る。具体的な態様において、抗細菌性および抗真菌性ポリクローナル抗体をマトリクス内で組み合わせ、配合し、膣症の広域治療を提供する。一態様において、組成物をトリコモナス感染症などの膣細菌性感染症またはカンジダ感染症などの真菌性膣症を治療するために使用する。
【0155】
唾液は口腔に存在する粘膜分泌物であり、唾液腺により生成される。唾液は、組織の被覆、潤滑、加湿および歯の再石灰化などの保護機能を果たす。唾液はまた、免疫学的活性、抗細菌、抗ウイルスおよび抗真菌活性を有する宿主の防御機能を果たす。唾液はまた、消化酵素、食塊形成および味覚を有する消化活性を行う。唾液は、ヒスタミンおよび唾液に特有の酸性高プロリンタンパク質などの種々のタンパク質を含有する。唾液はまた、リゾチーム、ムチン、スタテリンおよび免疫グロブリンなどの他の体液に存在するタンパク質を含有する。唾液は、血漿由来のアルブミンおよびZn−α−2−糖タンパク質などのタンパク質を含有する。ウシの唾液の治療的価値については公知である(Varshney et al., 1997, Therapeutic value of bovine saliva in wound healing: a histomorphological study., Indian J. Biol. May 1997, 35(5):535-7)。一態様において、唾液の構成要素は、例えば練り歯磨きまたはマウスウォッシュあるいは経口粘膜投与のための他の製剤に有用であり得る。
【0156】
気管支粘膜は、ムチン、α−アミラーゼ、塩基性高プロリンポリペプチド(PRP)、シスタチン、スタテリン、EP−GP、リゾチーム、β‐ミクロセミノタンパク質およびアルブミンを含有する。一態様において、本開示は、立体特異的結合分子および唾液または気管支分泌物の構成要素のうちの2つ以上、3つ以上、4つ以上を含む担体マトリクスを含む組成物を提供する。一態様において、担体マトリクスを有する組成物は、本開示において調製された抗A型ブドウ球菌ポリクローナル抗体などの立体特異的結合分子とともに乾燥フォーマットでパッケージされる。一態様において、乾燥配合物は、例えば生理食塩液で再構成され、連鎖球菌性咽喉炎の治療のための喉スプレーとして投与される。
【0157】
他の担体マトリクスを、例えばエアロゾル化した(吸入の)、眼の、局所のまたは他の製剤用の他の使用環境で機能するよう調製することができる。
【0158】
特定の実施形態において、特異的結合分子および担体マトリクスは、異なる種から得られる。さらなる態様において、特異的結合分子および担体マトリクスはともに非ヒト種から得られる。別の態様において、特異的結合分子は、非ヒト哺乳類動物から得られる。別の態様において、担体マトリクスは非ヒト哺乳類動物から得られる。
【0159】
配合物および組成物
一実施形態において、抗体を血漿、血清または血液、初乳、卵あるいは接種動物または人工生成系(細胞培養)の他の構成要素から得た後、精製し、または処理し、初乳などの担体マトリクスに添加する。組成物は、例えば、抗体配合物の経口投与のための送達媒体として使用されることが可能である。この手法により、このような配合物のための抗体生成を確実にスケーリングする有効な方法が提供され、そうして市販用に、力価、一貫性および継続した入手可能性を制御することができる。一実施形態において、抗体を接種動物の卵から得て、精製し、または処理し、あるいは卵材料に保持し、ウシ初乳に添加することができる。
【0160】
多くの胃腸管病原体の低価格の有効な治療に対する明確な必要が存在し、経口投与抗体は、この役割を担う候補物質である。有効性が実証されているのに加え、経口投与抗体は典型的に非免疫原性である。これらの抗体は、典型的に十分に忍容性があり、副作用は報告されておらず、同等な摂取食品と比べさほど反応の違いはない。とりわけ、経口投与抗体を含有するいくつかの生成物はFDAによりGRAS(一般に安全と認識される)証明を受けている。
【0161】
本発明の一実施形態は、毒素介在性下痢を生じる未知または未診断の状態の広範囲にわたる有効な投与を可能にするため、本方法により生成された、担体マトリクス内に封入された、広域中和抗体の混合物からなる広域の治療的または予防的抗毒素配合物である。
【0162】
本発明の一実施形態は、本方法により生成された広域の抗病原体抗体の混合物を含有する、担体マトリクス内に封入された、広域の治療的または予防的抗病原体配合物である。
【0163】
本発明の一実施形態は、本方法により生成された広域の抗付着抗体の混合物を含有する、担体マトリクス内に封入された、広域の治療的または予防的抗付着配合物である。
【0164】
本発明の一実施形態は、本方法により生成された広域の抗毒素、抗病原体および抗付着抗体の混合物を含有する、担体マトリクス内に封入された、広域の治療的または予防的配合物である。
【0165】
天然の食物系生成物を使用する重大な制限の1つは、製剤が天然の過程により許される結果に制限されることである。本発明は、通常天然で獲得することができる生理学的な濃度よりもかなり高い特異的抗体および一般的な免疫因子(配合物)の濃度を選択的に添加することを可能にする。本発明はまた、標的化疾患、病原体または物質に対する特異性が大きくなるような様式で種々の因子を増量することを可能とする。
【0166】
一実施形態において、特異的結合分子を含む配合物は、乾燥固体(卵粉末)配合物である。粉末配合物を気密パケットに密封し、任意で不活性化ガスを積層する。配合物は室温、冷蔵または冷凍温度下において長期保存することができる。他の実施形態において、乾燥組成物を経口投与用に、カプセルまたは錠剤に配合する。別の実施形態において、配合物をチュアブル錠に圧縮する。
【0167】
本発明の別の実施形態は、組成物を配合するための薬学的に許容される希釈剤に関し、ここで、上記の薬学的に許容される希釈剤は、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムまたは任意の他の類似の性質の成分単独、あるいはその適切な組み合わせ;トラガカントゴム、アラビアガム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプンまたは任意の他の類似の性質の成分単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される結合剤;寒天、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲルまたは任意の他の類似の性質の成分単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される賦形剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステオロート、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたは任意の他の類似の性質の成分単独からなる群から選択される滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素または任意の他の類似の性質の成分単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される流動促進剤;スクロース、サッカリンなどまたは任意の他の類似の性質の成分単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される甘味剤;ペパーミント、サルチル酸メチル、オレンジフレーバー、バニラフレーバーまたは任意の他の薬学的に許容される香料単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される香料;アセチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルまたは任意の他の薬学的に許容される湿潤剤単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される湿潤剤;カオリン、ベントナイト粘土または任意の他の薬学的に許容される吸収剤単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される吸収剤;ワックス、パラフィンまたは任意の他の薬学的に許容される遅延剤単独、あるいはその適切な組み合わせからなる群から選択される遅延剤からなる群から選択される。
【0168】
別の態様において、非新生児のヒトの一日の用量は、特異的抗体を定量する任意の方法により標準化される。一態様において、組成物の用量を、配合物の特異的抗抗原抗体の濃度を評価するELISA法を使用して標準化する。一態様において、病原性感染症の治療に有効な経口組成物の一用量は、混合抗原特異的結合分子の約0.0001mg〜20mg、0.001mg〜15mg、0.01〜10mg、0.05〜5mg、0.1〜1mgの量で抗原特異的結合分子を含有する。
【0169】
用語「固体形態」は、特異的結合分子の乾燥形態、または担体マトリクスの乾燥形態、あるいは粉末、圧縮錠剤、トローチまたはカプセルとして乾燥特異的結合分子および担体マトリクスをともに含む固体投与剤形を指す。一態様において、固体投与剤形は経口投与を目的とする。一態様において、粉末は懸濁液のための配合物である。一態様において、粉末乾燥免疫卵および粉末乾燥初乳は気密パケットにパッケージされる。経口投与直前に、パケットの内容物をほぼ液状に懸濁するか溶解して、経口投与する。
【0170】
一態様において、組成物はまた、投与用の液体形態で提供され得る。
【0171】
一態様において、一用量は、乾燥免疫卵1g、2g、3g、4g、5g、5g、6gまたは7gおよびウシの乾燥初乳1g、2g、3g、4g、5g、5g、6gまたは7gを含有する。一態様において、乾燥投与剤形の一用量は、乾燥免疫卵生成物3gおよびウシの乾燥初乳4gを含有する。一態様において、乾燥投与剤形の一用量は、乾燥免疫卵生成物2gおよびウシの乾燥初乳4gを含有する。一態様において、乾燥投与剤形の一用量は、乾燥免疫卵生成物4gおよびウシの乾燥初乳4gを含有する。別の態様において、単回用量パケットの内容物を水約2オンスで溶解し、経口投与する。
【0172】
経口使用の配合物は、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、ポテトスターチ、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合する、トローチ、チュワブル錠剤として、またはハードゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分を水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブオイルと混合するソフトゼラチンカプセルとして調製することもできる。粉末および顆粒を、例えばミキサー、流動床装置または噴霧乾燥装置を使用して、従来の様式で、錠剤およびカプセルの項において上述の成分を使用して調製することができる。
【0173】
種々の実施形態において、本開示の配合物は従来技術に対して種々の利点を提供する。一態様において、抗原特異的IgYおよびウシ初乳の担体マトリクスを含む本開示の配合物は、目的の抗原が特定されると、約6週間以内の短期間で調製される利点を有する。これはニワトリワクチン接種プロトコールの容易な再生産性および標準化を可能にする。特定の一態様において、ニワトリの異なる群が単回の混合抗原製剤をそれぞれでワクチン接種され、次いで、病原性感染症の治療のための広域の組成物のために組み合わされる。特定の一態様において、ニワトリ3群に個別の混合抗原製剤をワクチン接種した後、プールし、原因となる微生物病原体の知識を必要とせずに非定型の下痢を治療するための広域の組成物を調製する。この方法は、組成物中の抗原特異的抗体の混合物を、所望の場合、特定の発生、地域または季節に合わせることができるという利点を有する。最終的に、各実施形態において、特異的結合分子は、迅速な調製および長期保存のために全乾燥卵から分離する必要はない。
【0174】
別の態様において、本開示の組成物は非新生児における病原性感染症の治療の経口投与に有効である。非新生児の胃腸管は、本明細書に記載のように、酸性が強く、新生児に比べ吸収が悪い。本開示の実施例において、組成物は、6ヵ月〜5歳の非新生の小児の非定型の下痢の治療に有効であった。別の態様において、本開示の組成物は成人の旅行者下痢の治療または予防に有効である。担体マトリクスは、抗原特異的結合分子と組み合わせるための保護的および反応性マトリクスである。別の態様において、本開示の組成物は投与直前に懸濁液とするための、粉末状の固体形態で提供される。一態様において、懸濁または再構築された投与剤形は、病原性感染症の症状に苦しんでいる場合であっても、幼児および小児に非常に口当たりがよいという利点を有する。これは、病原性感染に苦しむ対象により全容量が投与されやすく、かつ摂取しやすいという利点を有する。
【0175】
別の態様において、本発明の組成物を病原性感染症の治療または予防のいずれかにおいて広域の受動免疫を投与するため使用することができる。一態様において、低レベルのニワトリの免疫化が、担体マトリクスとともに投与した場合に有効な広域の配合物を得るための有効量の抗抗原特異的結合分子を有する組成物を調製するのに十分である。
【0176】
病原性感染症の治療または予防
本開示の組成物は担体マトリクス内に封入された特異的結合タンパク質を含む。組成物は経口、静脈内、頬内、鼻腔、粘膜、皮膚を含む具体的な免疫学的、もしくは生物学的または免疫学的反応特性に適した任意の方法または適切な担体マトリクス内の他の方法で投与することができる。特定の実施形態は、本開示の組成物の経口投与を含む。
【0177】
種々の実施形態において、組成物は予防用または治療用組成物として投与される。種々の態様において、組成物は薬学的に許容される担体を含む。種々の態様において、組成物はポリマー、コポリマー、リポソーム、ヒドロゲルまたはフィブリンを含まない。種々の態様において、組成物はミクロスフィアまたはマイクロカプセルを含まない。種々の態様において、組成物は免疫原または抗原を含まない、本発明の組成物は経口送達、鼻腔送達、眼科的送達、眼送達、粘膜送達またはその組み合わせを介して投与することができる。
【0178】
本発明の一実施形態は経口投与を使用する。ヒトおよび動物系において、抗体、免疫グロブリンおよび他の生物学的免疫因子の経口(摂取)投与が胃腸管系の、胃腸管系における、胃腸管系に関連したまたは胃腸管系に影響される疾患の経過、重症度および期間に測定可能な効果を有することができることが実証されている。
【0179】
広域の抗体の混合物を担体マトリクス内、例えば経口投与のための初乳に封入する。初乳は、抗体配合物に、相乗的な保護および有効な属性を与えるよう作用する。抗体の任意の組み合わせを担体内に使用することができ、抗体の組み合わせには抗病原体、抗毒素および抗付着抗体の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0180】
一態様において、本開示の組成物を、種々の病原性感染症に苦しむ患者の治療に使用する。経口投与のための組成物および配合物を、病原性感染症の治療のために2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12日間連続で1日1、2、3回または4回投与することができる。一態様において、組成物を病原性感染症の治療のために5日間で1日2回投与する。別の特定の態様において、組成物を、非新生の小児の非定型の下痢の有効な治療のためまたは非新生の小児または成人の旅行者下痢の治療において3日間連続で1日1回投与する。別の態様において、組成物を、病原性感染症の予防のために定期的に投与することができる。
【0181】
粘膜への局所投与による粘膜の病原性感染症の治療のための組成物の場合、組成物は、3〜12日間で1日2〜6回投与することができる。
【0182】
好ましい実施形態において、本開示は、非新生児ヒトにおける非定型の下痢の治療に有効な組成物を提供する。組成物は、下痢病原性の原因のいくつかを標的とした特異性の高い抗体を生成する有効なポリクローナル抗体生成法(ニワトリ接種、卵を介する抗体採集)を利用する。特定の実施形態において、組成物は、市販のウシ初乳である担体マトリクス中に特異的ポリクローナル抗体を含む。
【0183】
好ましい実施形態において、本開示は、非定型の小児の下痢の有効な治療のための経済的な組成物を提供する。組成物は、大腸菌、サルモネラ属、ロタウイルス、グラム陰性菌、病原体により生成された毒素に特異的である、おもにIgYであるポリクローナル抗体と、胃腸管の病原体付着およびコロニー化を可能にするアドヘシンの混合物を含む。
【0184】
特定の態様において、組成物は、異なる抗原または異なる混合抗原製剤を接種した3群それぞれからの当重量の乾燥免疫卵生成物を含み、特定の重量の市販の乾燥非高度免疫のウシ初乳と共パッケージされる。一態様において、各群からの乾燥免疫卵生成物を0.5〜3g、0.7〜2.0g、1.0g、1.3gまたは1.5gを単回投与パケットに添加する。好ましくは各免疫卵生成物1.0gまたは1.3gのいずれかを単回投与パケットに添加する。別の態様において、乾燥初乳1〜5g、2g〜4g、1.5g、2.0g、2.5g、3.0g、3.5g、4.0g、4.5gまたは5gを同じパケットに添加する。
【0185】
使用前に、パケットまたはサシェの内容物をおよそ2オンスの精製水または他の何らかの経口液に混合する。全体が再構成された配合物を対象に経口投与する。組成物を2〜10日間で1日1〜4回投与することができる。特定の実施形態において、組成物を3日間連続で1日1回投与する。本開示は、本開示の組成物を2、3または4日間で1日1回投与することにより非定型の小児の下痢を治療する方法を提供する。
【0186】
一態様において、本開示の組成物を抗生物質治療に対する補助療法として投与する。本態様において、組成物は、治療の最初の3日間で1日1回投与することができる。別の態様において、本開示の組成物を経口補水液(ORS)とともに投与する。別の態様において、本開示の組成物を経口亜鉛配合物と共投与する。別の態様において、本開示の組成物を、抗生物質に耐性のある特定の病原性生物の異常繁殖を防止するために、抗生物質治療に対する補助薬剤として投与する。実施例に詳述のように、本組成物および方法は、非定型の小児の下痢の症状を迅速に消散させるのに有効であり、便量、便の頻度および下痢の期間をかなり低下させ、ならびに医師が報告する健康状態をかなり改善させる。
【0187】
代替の一実施形態において、本開示の組成物は旅行者下痢の治療に使用される。旅行者下痢の開始は通常、旅行の第1週中に発生するが、旅行中のいずれの時期にもおよび帰宅後であっても発生する可能性がある。最も重要な危険の決定因子は、旅行者の行き先である。危険の高い行き先は、中南米、アフリカ、中東およびアジアの発展途上国である。特に危険が高い対象は、若年者、免疫抑制された対象、炎症性腸疾患または糖尿病を有する対象およびH−2遮断薬または制酸剤を服用している対象を含む。ほとんどの旅行者下痢の症例は、不意に始まる。病的な状態は通常、便の頻度、量および重量の増加をもたらす。便の硬さの変化も一般的である。典型的に、旅行者は、1日に4〜5回の緩いまたは水様の排便を経験する。他の通常の伴う症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹部の痙攣、膨満、熱、切迫および不快感である。
【0188】
感染物質が旅行者下痢のおもな原因である。腸病原菌が旅行者下痢の症例のおよそ80%を引き起こす。調査された国で抽出された最も一般的な原因となる物質は腸管毒素原性大腸菌(ETEC)である。ETECは水様下痢を生じ、痙攣およびグレードの低い発熱があり、または発熱がない。ETECおよび他の細菌性病原体の他に、種々のウイルス性および寄生虫性腸病原体も、可能性がある原因物質である。
【0189】
一態様において、本開示の組成物を、旅行者下痢の抗生物質治療に対する代替または補助剤として3日間連続で1日1回、対象に投与する。限定された現場試験の証拠により、最初の投与の24または48時間以内に下痢の症状の改善が示唆されている。代替として、1日目に本開示の組成物を1日2回投与し、その後、2および3日目は単回投与する。一態様において、本開示の組成物を旅行者下痢の予防のために、一日または週間の交互スケジュールまたは減量のスケジュールで投与する。
【0190】
別の代替の実施形態において、本開示の組成物を、対象の胃腸管内細菌叢の管理のための「プレバイオティック」として、例えばプロバイオティックの投与前に使用する。本明細書で使用される「プレバイオティック」は、対象の健康状態および健康に有益となる、胃腸管内細菌叢の組成および/または活性の双方において、特定の変化を可能とする組成物を指す。一態様において、組成物は、1つ以上の望ましくない細菌株を減少または排除するように胃腸管内細菌叢を管理するために有用である。一態様において、抗抗原性免疫グロブリン組成物を1つ以上の望ましくない細菌株を減少または排除するように胃腸管内細菌叢を管理するために適合させる。別の態様において、組成物を従来のプレバイオティクスに対する補助剤として使用する。さらなる態様において、本開示の組成物はさらに可溶性線維を含む。さらなる態様において、組成物を細菌叢の管理のために単独で使用する。
【0191】
別の態様において、本開示は、本開示の組成物を投与して、1つ以上の望ましくない細菌株を減少または排除し、その後1つ以上の望ましい細菌株を導入するためにプロバイオティックを投与するステップを含む、対象の胃腸管内細菌叢を管理するため方法を提供する。別の態様において、本開示の組成物を、抗生物質に耐性のある具体的な病原生物の異常繁殖を防止するために、抗生物質治療に対する補助剤として投与する。
【実施例】
【0192】
実施例1.下痢の治療のための組成物
下痢は、細菌性、ウイルス性、原生動物性および寄生虫性感染症を含む広い範囲の原因の症状である。細菌性下痢は、大腸菌、サルモネラ、コレラ菌およびパラヘモリティカス、赤痢菌、カンピロバクター、エルシニアなどの種々の形態を含む複数の生物体により誘発される。ウイルス性小児の下痢は多くの場合、ロタウイルスにより引き起こされるが、いくつかの他のウイルスにより引き起こされ得る。
【0193】
下痢には、その原因となる複数の生物体が存在することが知られている。これらの原因となる生物を、構造的に関連のある毒素を生成する共通の集団に体系化することができ、それらに対して、臨床的に有効な力価を有する配合物に混合すると、毒素介在性下痢に対する、広域の生物に依存しない治療介入として使用することができる、一連の広域の中和抗体を作製することができる。
【0194】
簡潔に述べると、下痢の原因となる生物に特異的な抗体を、ニワトリに抗原を接種することにより生成する。免疫卵を回収し、全卵を殺菌し、噴霧乾燥させ、粉末形態を得る。市販のウシ初乳を粉末形態に混合する。2つの粉末を順次単回投与パケットに添加し、密封し、経口配合物のための乾燥形態で配布する。投与前に、粉末経口配合物を、経口摂取の前に少量の水と混合させる。
【0195】
この治療は、本明細書の実施例に実証されるように、患者に受動免疫を付与する。この治療の性質により、関連の危険因子が、抗体が得られた供給源由来の食物を摂取する場合と同等となる(例えば、危険因子が卵および一杯の牛乳を摂取する場合と同様となる)。これは、現在市販の代替医薬品に比べ、毒性が低い有効な治療法である。
【0196】
実施例1A.ニワトリを個々に5つの大腸菌株、すなわち大腸菌線毛付着抗原F41、97P、F19およびK99を含有する4つのATCC株および母乳由来の1つの野生型大腸菌株に由来する精製抗原を接種した。各ニワトリは1つの抗原のみを接種した。ニワトリに3週間で週1回接種した。フロイントのアジュバントを1回目の接種に使用し、その後、2回目および3回目の接種にフロイント不完全アジュバントを使用した。左と右の胸部の2回の注射を接種毎に使用した。卵を個々に保管し、卵を回収し、瞬間殺菌して、噴霧乾燥させた。5つの抗体製剤のそれぞれを等重量部で混合した。乾燥卵粉末抗大腸菌抗体製剤を約2年間冷凍保存した。
【0197】
2つ目のニワトリ群にロタウイルス、コロナウイルスおよび大腸菌抗原を含有する混合抗原製剤を接種した。上記と同じ接種、回収および卵処理プロトコールを使用した。乾燥卵粉末抗下痢抗体製剤を1.5年冷凍保存した。ELISA法を使用して、抗体製剤を特徴づけた。
【0198】
乾燥抗大腸菌抗体製剤および乾燥抗下痢抗体製剤各1グラムを、単回投与パケット中の市販の乾燥高脂肪ウシ初乳3グラムまたは4グラムに添加した。
【0199】
実施例1B.3つのニワトリ群を個々に異なる混合抗原製剤、すなわちロタウイルス(血清型G6およびG10)、コロナウイルス、K99線毛付着因子を有する腸管毒素原性大腸菌株およびクロストリジウム・パーフリンジェンスC毒素型およびアジュバントを含有する第1の抗原製剤;K99、K88、987PまたはF41線毛付着因子を有する大腸菌の腸管毒素原性株を含有する第2の製剤;および種々の大腸菌内毒素およびアジュバントを含有する第3の混合抗原のそれぞれ1つを接種した。3群それぞれは単一の混合抗原製剤のみを投与した。卵を回収し、洗浄し、割卵し、殺菌し、噴霧乾燥または熱乾燥させ、3つの乾燥免疫卵生成物を作製した。乾燥卵生成物を任意で特異的IgY活性についてELISA法により評価した。等重量の3つの乾燥免疫卵生成物それぞれを単回投与パケット内で乾燥初乳3gまたは4gと混合した。以下に記載のように、2g、3gまたは4gのいずれかの乾燥免疫卵生成物の混合重量を単回パケット毎に使用した。一態様において、市販の乾燥初乳はワクチンの抗原に対する特異的活性を示さなかった。
【0200】
実施例1C.ニワトリのIgY生成のための免疫化
【0201】
以下の免疫プロトコールをガルス・イムノテック社のプロトコールから適合させ、IgYポリクローナル抗体の生成に利用することができる。数個の卵を任意で基準対照として使用するため免疫化の前に回収する。ウシまたはブタの混合抗原製剤を使用する場合、投与前に1:2、1:4、1:8または1:16に希釈する。0日目に、ニワトリにフロイント完全アジュバントとともに0.02〜0.5mgの抗原を注射する。注射はメンドリの胸部の複数の部位に皮下または筋肉注射のいずれかであってよい。抗原/アジュバント混合物の総量は約1mLであり、アジュバントの体積は総体積の1/2〜2/3とすることができる。免疫化は典型的にフロイント不完全アジュバントを使用して、抗原の初回量の約半分で14、21および28日目に繰り返す。典型的に、特異的抗体は約30日目に卵において検出することができる。長期の抗体生成において、メンドリを数カ月毎に追加免疫する。卵をIgYの処理および/または精製前に冷蔵保存することができる。一態様において、卵を処理または精製前に1カ月まで、または2カ月まで冷蔵保存で保持することができる。別の態様において、IgYをアヒル、ガチョウ、ダチョウ、ウズラまたはシチメンチョウの卵に適切な抗原量を使用して同様に生成させることができる。
【0202】
実施例2.クロストリジウム・ディフィシルの摂取抗体治療
一実施形態において、本発明の方法および組成物は、ほとんどの人々に自然に存在する細菌であるクロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)の治療に使用される。C.ディフィシルの集合体レベルは、腸の他の天然の細菌叢による制御下において維持される。患者は多くの場合、別の医学的状態のために投与された抗生物質が腸の天然の細菌叢を枯渇させC.ディフィシル集合体を無制御に増殖させる場合にC.ディフィシル感染症を発症する。C.ディフィシルの多くの株が特定化された抗生物質により治療することができるが、増加し続ける多数のC.ディフィシル株が抗生物質治療に耐性をもつ。これにより患者において長期にわたり回復が困難になり、ある特定の状況では生命を危険にさらすことにもなり得る。受動免疫を与える、摂取した抗体でC.ディフィシル集合体を中和する方法は、C.ディフィシル集合体レベルを制御し、天然の細菌叢のバランスを復元することを可能にする。
【0203】
ロタウイルスおよびグラム陰性菌により引き起こされる抗下痢配合物の例のように、C.ディフィシルまたはその毒素に特異的に結合するために配合された担体マトリクスで封入された抗体は有効な治療手法である。この配合物を、進行中の感染症の治療、またはこのような感染症の発生を防止するためのいずれにおいても使用することができる。それゆえ、治療は、単独で、または抗生物質と同時に投与することができる。この治療は、C.ディフィシルの発現から患者を回復させる利点だけでなく、予防としてC.ディフィシルの発症の危険が高い患者に投与することもできる。
【0204】
C.ディフィシルを中和する抗体を担体マトリクス(腸内の抗体を「活性化させる」目的の、ならびに有用な二次免疫、防御または栄養を与えるタンパク質および酵素の混合物)で摂取する。一実施形態において、抗体は動物に抗原または混合抗原製剤に含有され得る、またはされることがない場合がある抗原の組み合わせ(可能性としてより強力な免疫反応を誘起するアジュバントと混合)を注射または接種により生成する。
【0205】
一態様において、抗原は、C.ディフィシル抗原または毒素から得られ、またはこれに由来する。別の態様において、抗原の組み合わせは、C.ディフィシル由来の複数の抗原または毒素の1つおよび1つ以上の追加のウイルス性抗原を含有する。別の態様において、抗原の組み合わせは、C.ディフィシル由来の1つ以上の抗原または毒素、および1つ以上の追加の細菌性抗原または毒素を含有する。別の態様において、抗原の組み合わせは、C.ディフィシル由来の1つ以上の抗原、および1つ以上の追加の原生動物性抗原を含有する。別の態様において、抗原の組み合わせは、C.ディフィシル由来の1つ以上の抗原、および1つ以上の追加の真菌性抗原を含有する。
【0206】
次いで、抗体は、母乳、卵または初乳など、動物または動物の例えば血清、血漿から直接得られた動物生成物から得られ、単離されまたは由来する。特定の態様において、メンドリに抗原、抗原の組み合わせまたはワクチンを接種し、抗体は全卵または卵黄から得られ、あるいは接種したニワトリの全卵または卵黄に由来し、または精製される。別の態様において、抗体はポリクローナル抗体である。
【0207】
この組成物はC.ディフィシル感染症の治療に役立ち、またはC.ディフィシル感染に対して予防することを目的とする。例えば、物質は、担体マトリクス(例えば、初乳)内に封入したC.ディフィシルに特異的に標的とした抗体からなる。採取した後、抗体を粉末化することができる。担体マトリクスも粉末化することができる。次いで、2つの粉末を完全に混合するか、または単回パケットもしくはバイアルに個別に添加し、乾燥形態で配布する。好ましい投与方法において、物質を摂取により経口投与する。摂取するため、粉末物質を摂取直前に水、牛乳、ジュースまたは電解質液などの少量の液体と混合し、医師により指示されたように服用する。他の送達方法もまた企図される。
【0208】
C.ディフィシル感染症の現在の治療は、抗生物質治療に焦点をおいている。しかし、強力な抗生物質が感染症の原因であったり、抗生物質の耐性が発生している場合、現在利用可能な代替の治療はほとんどない。本実施形態は、毒性抗体物質よりむしろ天然の免疫機構を利用することによりC.ディフィシルを中和することを模索している。本実施形態は、腸内に天然に発生する細菌叢を増殖させる一方でC.ディフィシル集合体レベルを低下させることを可能にする利点を有する。
【0209】
抗体の効力を高めるための担体マトリクス内に封入された抗体の組み合わせは、どのC.ディフィシル疾患治療にも現在使用されていない。本発明の方法は患者に受動免疫を付与する。この治療の性質により、関連の危険因子が、抗体が得られた供給源由来の食物を摂取する場合と同等となる(例えば、危険因子が卵および一杯の牛乳を摂取する場合と同様となる)。これは現在利用可能な代替医薬品より毒性が少ない有効な治療法である。
【0210】
一態様において、選択された抗体を得、精製し、単離し、粉末形態に調製する。別の態様において、選択された抗体は精製または単離されず、全生成物として処理される。例えば、接種したニワトリから得た全卵の内容物を処理し、例えば殺菌し、追加の精製ステップなく粉末形態に調製する。活性化酵素/タンパク質混合物(例えば、初乳など)も粉末形態に調製する。2つの粉末を完全に混合し、経口配合物のための乾燥形態で配布する。投与前、粉末化した経口配合物を摂取前に少量の水と混合させる。
【0211】
この治療は患者に受動免疫を付与する。この治療の性質により、関連の危険因子が、抗体が得られた供給源由来の食物を摂取する場合と同等となる(例えば、危険因子が卵および一杯の牛乳を摂取する場合と同様となる)。これは現在利用可能な代替医薬品より毒性が少ない有効な治療法である。
【0212】
実施例3.ヘリコバクター・ピロリの摂取抗体治療
ヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ)は、胃領域に生息し得るグラム陰性菌である。一般に、H.ピロリは、十二指腸潰瘍および胃潰瘍と、ならびに可能性として胃がんと関連すると考えられている。H.ピロリは、より中性pH環境を有する上皮細胞表面の粘膜層に潜伏することにより胃内腔の酸性環境を回避することができる。H.ピロリは、膜関連脂質または上皮細胞の炭水化物に結合するためにアドヘシンを生成することができる。胃領域内のH.ピロリのコロニー化は胃の長期にわたる炎症である慢性胃炎を生じ得る。消化性潰瘍のおもな原因はH.ピロリ感染である。
【0213】
ヘリコバクター・ピロリに対して選択される抗体を得、粉末形態に調製する。活性化する酵素/タンパク質混合物(例えば、初乳など)も粉末形態に調製する。2つの粉末を完全に混合するか、または単回パケットもしくはバイアルに個別に添加し、経口配合物のための乾燥形態で配布する。投与前、粉末化した経口配合物を摂取前に少量の水と混合させる。
この治療は患者に受動免疫を付与する。治療の性質により、関連の危険因子が、抗体が得られた供給源由来の食物を摂取する場合と同等となる(例えば、危険因子が卵および一杯の牛乳を摂取する場合と同様となる)。これは現在利用可能な代替医薬品より毒性が少ない有効な治療法である。
【0214】
実施例4.臨床試験、非定型の下痢における有効性
下痢の有効な広域の治療は、原因となる生物が広範囲であり、治療方法を方向づけるための診断試験の利用可能性が制限されていることにより大きな課題である。重度の下痢の症例の現在の標準的な介入には、どこでも広く用いられている抗生物質および経口補水塩(ORS)の投与が挙げられる。しかし、この手法は、効力が限定されていることが示されており、抗生物質耐性菌株の発達を増長させている。
【0215】
実施例4A.現場試験(試験)1および2
【0216】
臨床試験を行い、非定型の下痢の治療または消散を促進させる際の実施例1Aの配合物の忍容性および有効性を評価した。第1の一般、単一施設非比較試験に、6カ月〜5歳の男女の小児下痢の小児患者合計63名が参加した。試験は、抗生物質およびORSを投与される、実施例1Aの経口配合物を服用する試験群Aである「試験1」と、抗生物質およびORSのみを服用する対照群Bの臨床転帰を比較する。第2の試験群AAである「試験2」の、異なる季節条件下において実施例1Aの配合物を試験するための追試試験に33名の患者が参加した。
【0217】
全ての参加した小児患者は、主治医による評価により、5ポイントスケール(表1参照)で「重篤な」または「重度の」下痢特性(レベル4または5)を示した。小児の下痢の原因となる物質または病因に関して診断上の区別をしなかった。米のとぎ汁様便、または血便の患者は除外した。さらに、牛乳、ニワトリまたは卵製品にアレルギーのあることが知られている患者は除外した。
【表1】
【0218】
参加した小児(n=63)を2群、すなわち実験試験群1、「A群」(参加した小児34名;実験完了29名)、陰性対照群、「B群」(参加した小児29名;実験完了28名)および試験群2、「AA群」(参加31名)に分けた。第2の対照群である、抗生物質およびORSを摂取する「BB群」はAA群と同時に陰性対照として使用されたが、結果は図から削除した。
【0219】
各試験群は、卵粉末2gと初乳4gの混合物を水で混合したものを3日間連続で1日1回経口投与した。各群を観察し、5日間のデータを回収する。A群は、抗生物質および経口補水補充剤(ORS)の標準的な投与計画に加え、実施例1からの組成物を主治医が決定したように摂取した。B群は抗生物質およびORSの標準的な投与計画で治療される。季節性を試験するために試験群1と試験群2との間に6カ月間の時間枠がとられた。実験はともに同じ試験施設で行われた。各群において、抗生物質およびORSの処方は、担当の小児科医により個別に決定された(表2)。
【表2】
【0220】
実施例1Aからの組成物を5グラムの粉末単回投与サシェにパッケージした。組成物を、1つのパケットをおよそ2オンスの飲料水で再懸濁して経口投与した。患者は、一回に、再懸濁が完了直後に、懸濁液全てを飲むことを要求され、このプロトコールを全ての症例に行った。
【0221】
各患者に測定される本実施例に包含されるパラメーターは、便の頻度、便の硬さおよび医師が評価した健康状態が含まれた。便の頻度は、保護者または病院が報告した24時間毎の下痢性排便の数である。便の硬さは硬さを1〜5のスケールとし、1は正常を示し、5は液状を示す。医師が評価した健康状態は、全体の状態を1〜5のスケールとし、1は健常小児の正常なパラメーターを示し、5は重症の小児を示す。
【0222】
実験に参加する医師に、6日間にわたり上記の3つのパラメーターで測定した、典型的な患者の進行の経過を提供するよう依頼した。報告された値は、各パラメーターについて、単一の予想される患者の進行の基準値に集約された。患者は、医師の経験に基づいた予想される転帰と比較した改善の観点と、同時の陰性対照に対しての双方で評価された。
【0223】
データ分析はMSエクセルおよびMatlabで行われた。統計的有意差をカイ二乗検定により算出し、p値<0.05を有意とした。結果を
図1〜3に示す。
【0224】
実施例1Aからの組成物を摂取する患者に劇的な改善が初回用量の投与の24時間以内に認められた。初回用量の投与の48時間以内に、患者は一般に正常レベルまたは正常レベル近くで安定した。
【0225】
図1に示されるように、24時間の下痢性排便の平均回数は、実施例1からの組成物の初回投与後、A群(試験1)で9から2に減少した。AA群(試験2)は10から3という同様な減少を示した。対照的に、B群(陰性対照)の下痢排便の平均回数は同じ期間で11から10に減少した。A群およびAA群(実験群1および2)の下痢排便の平均回数は、3日目以降、2回で一定したが、B群は回数が徐々に低減し、最終的に5日目までに24時間で6回の下痢排便を示した。A群において、実施例1からの組成物での治療の24時間以内に、便の頻度の割合が正常レベルに近い、2.32±2.48に戻り、これは対照集団と比較して、胃腸管の症状の期間が86%超減少した(P<0.001)。48時間以内に、便の頻度の割合は2.14±2.19に改善した。AA群では、頻度の割合は同様な安定化の割合を示し、24時間以内に2.56±0.68、および48時間以内に2.00±0.45に改善し、対照と比較して、顕著な改善を示した(P<0.001)。
【0226】
図2に示されるように、初回の便の硬さは全ての患者において液状であった。A群およびAA群の便の硬さは、実施例1からの組成物の最初の投与後24時間で正常レベル近くに改善した。対照群Bの硬さは改善したが、24時間でなお液状であり、全観察期間で症状は完全に消散しなかった。A群は48時間で、また残りの試験の間正常の便の硬さを得たが、B群は3日目までにほぼ液状の状態まで改善した。B群は最終的に6日目までに便の硬さが正常レベル近くに達したが、A群の便の硬さは3〜6日を通して正常を維持した。
【0227】
驚いたことに、実施例1Aからの組成物で治療した24時間以内に、便の硬さの割合は、軽度レベル、すなわちA群において2.05±1.02およびAA群において1.96+/−0.61に回復し、対照集団と比較して、胃腸管の症状の期間が86%超減少した(P<0.001)。48時間以内で、A群の便の硬さはさらに正常レベル近くの1.41±0.9に低下し、AA群のレベルは1.17+/−0.37であった。
【0228】
図3に示されるように、試験に参加した全ての患者は、重篤な脱水症状、嘔吐および低応答性に至るまでおよびこれらを含む、主治医により重症状態として評価された。A群およびAA群の患者は実施例1からの組成物の最初の投与後、平均の健康状態の評価レベルをおよそ2に一晩で有意に改善させた(P<0.001)。24時間で、B群の患者は重症状態のままであった。A群およびAA群の患者は48時間で、正常近くに改善し、3日目に正常の状態を得るまで改善し続けたが、B群の患者は改善はしたものの、重い病状のままであった。4〜6日を通して、A群の患者は、完全な回復を維持したが、B群の患者は直線的に改善したが、試験の終わりに中等度の病状のままであった。
【0229】
医師が報告した全体の健康状態は、A群は4.46±0.51の初期値から1.9±0.9という、この集団の正常パラメーター内と考えられるレベルまで低減し、1日のうちに健康レベル近くに戻った。AA群は4.3+/−0.46の初期レベルから2.03+/−0.49に低下するという、同様の結果を示した。これは総合的に、対照集団と比較して、病的状態の期間の86%の減少を表す(P<0.001)。48時間内に、医師が報告した健康状態は、A群において1.26±0.83、およびAA群において1.4+/−0.49にさらに改善した。
【0230】
ロタウイルスの流行の予測値に対して実験例の正規分布を確認するための検査を、一次試験評価とは独立してA群(実験群1)内でなされた。A群の実験患者29名のうち26名、およびAA群の患者31名のうち24名の便試料を回収し、定着している市販の凝集アッセイ(スライデックス・ロタキット、ビオメリュー、フランス)を使用して独立した参照試験所で試験した。A群で抽出された患者26名のうち7名がロタウイルス陽性の試験結果である(試験集団の27%)。この小児のロタウイルス感染症の患者数は、本試験で認められた下痢の症例の季節および重症度の予測した結果と一致する。AA群では、24名のうち4名が陽性の試験結果となった(試験集団の17%)。AA群のロタウイルスの流行は予測値よりわずかに低いものであった。それゆえ、実施例1Aの組成物は、ロタウイルス感染により引き起こされるものを含む非定型の下痢の治療に投与される場合、有効であるとされた。
【0231】
ロタウイルス陽性群(RV)と非ロタウイルス陽性群(非RV)との間の実施例1からの組成物に対する反応の類似性をさらに判定するため、ピアソンの積率相関係数を使用し(’’Rと表す)、その強度は、−1〜1で表される。Rの算出は、各時点の非RVとRV群の平均を使用し、6日間にわたる各群の平均値からR値を算出した。
【0232】
医師が評価した健康状態のデータセットについて、非RV群とのRV群の関連のR値は0.99029であり、2群間に非常に強い線形の従属関係と共分散を示す。非RVおよびRV患者の挙動は互いを非常に予測できるものであり、6日間の治療および観察期間にわたり治療に対して非常に類似した応答を示した。これらの結果により、ロタウイルス介在性下痢の症例において実施例1からの組成物の有効性を裏付ける(表3)。
【表3】
【0233】
本試験に参加した患者96名のうち、88名が全6日間の試験期間を完了した。表4に示されるように、A群の患者4名およびAA群の2名が、腸炎が他の状態と併発し、またはその結果であると決定された時点で内科医により参加を中止された。A群の患者1名は、保護者により実施例1からの組成物の2回目の投与後、中止するのに十分に回復したと判断された時点で実験に参加しなかった。さらにB群の患者1名は記録業務の誤りにより参加を中止された(表4)。
【表4】
【0234】
これらの結果は、実施例1からの組成物が非定型の小児の下痢の安全および効果的な治療を提供し得ることを示唆する。下痢の期間および重症度の低減は、小児の下痢に関連するかなりの疾病率および死亡率を防止し、さらに小児患者における下痢に関連した併発の発症の防止に役立つことができ得る。
【0235】
実施例1からの組成物での治療1日後、小児科医は、実験を完了している患者100%において全体の健康状態の実質的な改善を報告している。驚くべきことに、病的な状態の期間および重症度がともにかなり低下したことにより実施例1からの組成物での治療2日後の下痢の発現の期間が86%減少した。独立したロタウイルス試験によりこれらの症例における実施例1Aからの組成物の有効性を確認した。
【0236】
実施例1Aからの組成物は、非定型の下痢の治療にかなり効果的であることが示され、従来の治療のみと比較した場合、病的な状態の期間および重症度がかなり減少した。実施例1Aからの組成物は十分な忍容性があり、有害副作用が報告されていない。本試験の結果は、要求の厳しい現場環境内における小児の下痢の治療において重要な強固な改善を表す。これらの結果は、本発明の組成物が非定型の下痢の最も重度の症状から患者を保護する機構および生化学のさらなる研究の機会を与える。
【0237】
実施例4B.現場研究(試験)3
【0238】
第3の試験試行を、実験3に参加した治療患者140名および陰性対照患者30名に行った。治療群の組成物の1日の用量は、市販の下痢症または乳腺炎のワクチンの1つで個別に接種した3群のそれぞれ由来の乾燥全卵の等分の合計2gと乾燥ウシ初乳(ES204A、MS204A)4グラム、または市販の下痢症または乳腺炎のワクチンの1つで個別に接種した3群のそれぞれ由来の乾燥全卵の等重量部の合計3グラムと乾燥ウシ初乳(MS304A)4グラムのいずれかを含有した。さらに、卵を噴霧乾燥(S)または熱乾燥(T)のいずれかにより処理した。各群を米国内の地理的に異なる2つの場所(M)または(E)で飼育した。
【0239】
試験3を上記のように行い、患者を連続3日間にわたり1日1回、組成物で治療した。試験1および2と比較した試験3の平均結果を
図4〜9に示す。患者15名の小さい試験3の群を2日間1日1回、乾燥卵2gおよび初乳4gで治療し、各測定パラメーターにおいて1および2日目にかなりの改善を示した。この群は、4日目に医師が報告する健康状態、3および4日目に便の硬さにおいて評価される症状にわずかに平均の再発の効果を示した(ES204B)。しかし、これらの値は陰性対照群と比較するとそれでもなお、かなり改善していた。
【0240】
これらの結果は、全乾燥卵における抗原特異的IgY抗体である特異的結合分子、および非免疫乾燥牛初乳である担体マトリクスを含む、懸濁液用の固体配合物が経済的および効果的であることを示す。本開示のマトリクスである、乾燥ウシ初乳は容易に購入可能であり、母乳より高い濃度の種々のマトリクス構成要素を提供することができる。これは、例えば従来技術のLarssonら、米国特許第2010/0233162号の教示と対照的である。Larssonは、真菌感染症を治療および予防するためのヒト母乳内の単離されたトリ卵黄免疫グロブリン(IgY)の局所投与の方法を提供している。少なくとも、ヒト母乳の使用により、Larssonの組成物はあまり経済的ではなく、迅速な生成および保存が困難となっている。さらに、治療3日後に、本開示の組成物は、胃腸管の状態が新生児のものに比べ厳しい、非新生の乳児および小児の非定型の下痢の期間をかなり低下させることを示している。これは、新生の乳児の腸感染症の治療および予防のためのトリ抗体を使用する方法を提供している、Larssonら、米国特許第2006/0134101号と対照的である。これはまた、下痢期間がほとんどまたは全く差がなかったロタウイルスの下痢の非新生の小児の高度免疫ニワトリ卵黄免疫グロブリンの臨床試験を報告したSarkerら、2001と対照的である。(Sarker et al., 2001, Randomized, placebo-controlled, clinical trial of hyperimmunized chicken egg yolk immunoglobulin in children with rotavirus diarrhea. J. Pediatr. Gastroenterol Nutr. 32: 19-25)。
【0241】
さらに、本組成物は、抗原特異的IgYを含有する乾燥全卵を、ウシ初乳などの保護的および反応性担体マトリクスとともに、(1)経口投与の間、抗体を保護し、(2)上記の受動免疫をさらに活性化させるために利用する。これは、抗病原性細菌特異的IgYを含有する卵およびIgYを含有するヨーグルトまたはアイスクリーム形態の組成物の生成方法を提供するが、保護的および反応性担体マトリクスについて記載されていない、Leeら、米国特許第2003/0185856号と対照的である。ヨーグルトおよびアイスクリームは一般に、初乳由来のマトリクスに存在するマトリクス構成要素が十分に高い濃度ではない。
【0242】
免疫制御反応と異なり、本組成物投与の効果は一般に、最初の投与の6〜12時間以内に観察することができる。本開示の組成物は対象の免疫反応に依存することなく効果的である。
【0243】
実施例5.臨床試験、腸チフスにおける予想外の有効性
特許請求された組成物の有効性について、未知の従来の接種により生じる臨床有効性の計画外および予想外の実証を通して証明する。
【0244】
インドの一つの現場試験の間、「腸チフス」と臨床診断された少数の小児が治療の対象となった。腸チフスはサルモネラ・ティフィ(S.ティフィ)と呼ばれる細菌の1種により最も一般的に引き起こされる感染である。この疾患の下痢以外の標準的な症状は、全身感染期により引き起こされる。細菌は典型的に最初は腸に、次いで血流に移動し、リンパ節、胆嚢、肝臓、脾臓および体の他の部分に遊走することができる。これらの患者は、高熱、悪感および腹部痛ならびに特に腹部および胸部に小さな赤い点である標準的な発疹である「バラ疹」などの進行性疾患の標準的な症状を示した。
【0245】
この医療環境に典型的に見られるように、全般的な身体検査以外にこれらの患者に診断試験を行っていなかった。これらの患者は現場試験の選択基準に適合しなかったが、主治医の要望で、同情的な理由で実施例1Bの組成物を与えた。
【0246】
3つの市販のワクチンを用いたニワトリの標準的な接種プロトコールは特にサルモネラの抗原を含んでいなかったため、限られた臨床応答のみが予測された。おもな下痢の症状の緩和に関連するものとともに内毒素中和による軽度の改善が予測されたが、疾患自体の経過に対する効果は予測されなかった。
【0247】
驚くべきことに、実施例1Bの組成物を摂取した腸チフスの患者全てが24〜48時間以内に下痢の症状の劇的な改善を示した。この改善は、内毒素中和のみに予測され得るものを超えているようであった。しかし、さらに驚くべきことは、全ての症例の腸チフスの全身症状も続く24時間以内に消失し、48〜72時間の期間に正常または正常に近い状態を得た。腸チフスにおいて、症状は通常、治療により2〜4週間で改善する。
【0248】
患者は誰も、現場試験観察期間(5日間)の間、疾患の任意の逆戻りまたは再発を示さなかった。治療が完全に感染症を治癒していなかった場合、症状は急速に戻る可能性があることが十分に確立されている。
【0249】
3日間連続の1日1回の実施例1Bの組成物での治療は、著しく短期間の内に胃腸管および全身の両方に疾患の症状を(治療の標準物質と併用して)劇的に減少させるのに十分であった。反応の時間枠について、天然または「標準治療」効果のみにより説明することはできなかった。
【0250】
この予想外の有効性の源を発見する試みとして、そのロットの生成方法の全履歴を注意深く再検査した。通常であるが、任意の、市販の産卵メンドリの接種プロトコールの一部として、使用したニワトリにサルモネラワクチンを接種したことが発見された。
【0251】
ヒナの時に、トリにワクチン接種したが、配合物は、サルモネラ・ティフィに対して高い効果があることが認められた。サルモネラは、実施例1の製剤のニワトリに使用された接種プロトコールの抗原の1つではなかった。これらの腸チフス患者の本開示の組成物に対する予想外の応答は現場実験中の主治医にとって非常に驚くべきことであったと記載された。
【0252】
実施例6.卵粉末特異的IgYおよび総IgYの定量的ELISA
総IgYおよび特異的抗抗原IgYの抗体活性を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、以下に記載のように、Liou et al., 2011, J. Anim. Vet. Adv., 10(18):2349-2356の方法を修正して決定することができる。
【0253】
マイクロタイタープレートを100μLの混合抗原製剤(ウェル当たり10μg)で被覆するか、または対照ウェルとして100μLウサギ抗トリIgY抗体(10μg/mL、シグマ−アルドリッチ)で被覆するかのいずれかを行う。プレートを4℃にて一晩インキュベーションする。PBS−Tween20緩衝液で洗浄後、プレートを2%BSAでブロッキングし、4℃にて一晩インキュベーションする。次いでウェルをPBS−Tween20緩衝液で洗浄し、PBSで1回洗浄した。その後、希釈乾燥卵粉末保存物(10mg/mL)を系列的に1%BSAで希釈し、ウェル当たり100μLで試料ウェルに添加する。検量線用のウェルを、例えば0.015〜1μg/mLの濃度範囲にて、4℃で一晩インキュベーションした標準IgYの100μL系列希釈液で充填する。PBS−Tween20緩衝液で洗浄後、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗トリIgY100μLをウェルに添加し、37℃にて2時間インキュベーションする。PBS−Tween20緩衝液で洗浄後、基質としてp−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム100μLを各ウェルに添加し、37℃にて10分間反応させる。吸光度を、プレートリーダーを使用して405nmで測定する。検量線の吸光度により、特異的抗抗原IgY濃度の相対的測定値を得る。
【0254】
総IgYの測定のために、マイクロタイタープレートの各ウェルをウサギ抗トリIgY抗体(10μg/mL)で被覆する。上記のようにインキュベーションおよび洗浄後、希釈乾燥卵粉末100μLを添加し、アッセイを上記のように行う。
【0255】
本発明は上記の実施例を参照して記載されているが、修正および変更が本発明の趣旨および範囲内に包含されることが理解されるであろう。従って、本発明は以下の特許請求の範囲にのみに制限される。