(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記エッチング液供給工程は、上記一体回転工程と並行して、回転している上記基板の周縁部の表面に上記エッチング液を供給する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板周縁処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板周縁処理装置の構成を説明するための断面図である。この基板周縁処理装置は、ほぼ円形の基板である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面(この実施形態では上面)の周縁部および端面に形成されている薄膜を除去することができるものである。この基板処理周縁装置は、ウエハWをその裏面を下方に向けてほぼ水平に保持するとともに、この保持したウエハWのほぼ中心を通る鉛直軸線回りに回転するスピンチャック1を処理カップ(図示せず)の中に備えている。
【0016】
スピンチャック1は、モータ等を含む回転駆動機構2の駆動軸である回転軸3に結合されて回転されるようになっている。この回転軸3は、中空軸とされていて、その内部には、純水またはエッチング液を供給することができる処理液供給管4が挿通されている。この処理液供給管4の上端には、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面中央に近接した位置に吐出口5aを有する中心軸ノズル(固定ノズル)5が結合されており、この中心軸ノズル5の吐出口5aから、ウエハWの下面の中央に向けて、純水またはエッチング液を供給できる。
【0017】
処理液供給管4には、純水供給源に接続された純水供給バルブ6またはエッチング液供給源に接続されたエッチング液供給バルブ7を介して、純水またはエッチング液が所要のタイミングで供給されるようになっている。
エッチング液には、ウエハWの周縁部の表面から除去しようとする薄膜の種類に応じた種類のものが適用される。たとえば、ウエハWの周縁部の表面から銅薄膜等の金属膜を除去するときには、たとえば、塩酸と過酸化水素水との混合液、フッ酸と過酸化水素水との混合液、または硝酸がエッチング液として用いられる。また、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜またはシリコン酸化膜をウエハWから除去するときには、たとえば、フッ酸と硝酸との混合液がエッチング液として用いられる。さらに、ウエハW上の酸化膜または窒化膜を除去するときには、たとえば、DHF(希フッ酸)や50%フッ酸などのフッ酸類がエッチング液として用いられる。
【0018】
処理液供給管4と回転軸3との間の空間は、プロセスガス供給路8とされており、このプロセスガス供給路8は、中心軸ノズル5の周囲において、ウエハWの下方の空間と連通している。プロセスガス供給路8には、プロセスガス供給源からのプロセスガス(たとえば、窒素等の不活性ガス)が、プロセスガス供給バルブ9を介して供給されるようになっている。
【0019】
スピンチャック1の上方には、スピンチャック1に保持されたウエハWに対向する円盤状の遮断板10が水平に設けられている。この遮断板10は、ウエハWの上面のほぼ全域を覆うことができる大きさに形成されていて、遮断板昇降駆動機構11によって、スピンチャック1に対して昇降させることができる。また、遮断板10は、遮断板回転駆動機構としてのモータ12によって、スピンチャック1の回転軸線と同一回転軸線上で回転させることができるようになっている。
【0020】
モータ12は、この実施形態では、中空のモータで構成されており、このモータ12によって回転駆動される回転軸13の下端に遮断板10が結合されている。
回転軸13は、中空軸とされていて、その内部には、中心軸ノズル14が挿通されている。この中心軸ノズル14には、純水供給源からの純水を純水供給バルブ15を介して供給することができ、薬液(たとえばエッチング液)液供給源からの薬液を薬液供給バルブ16を介して供給できるようになっている。中心軸ノズル14の下端は、遮断板10の中央に形成された貫通孔17に入り込んで、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面の中央(回転中心)に臨んでいる。
【0021】
中空軸である回転軸13と中心軸ノズル14との間の隙間は、プロセスガス供給路18を形成しており、このプロセスガス供給路18は、遮断板10の貫通孔17から、ウエハWの上面の中央付近に臨んでいる。プロセスガス供給路18には、プロセスガス供給源からのプロセスガス(窒素ガス等の不活性ガス)が、プロセスガス供給バルブ19を介して供給できるようになっている。
【0022】
モータ12を収容したハウジング20内には、回転軸13を軸支する軸受け21と、遮断板10の内部空間にプロセスガスを供給するためのプロセスガス供給機構22とが設けられている。プロセスガス供給機構22は、回転軸13の外周面に対向するラビリンス面を内周面に有する筒状ラビリンス部材23と、このラビリンス部材23に形成されたプロセスガス供給口23aに結合されたプロセスガス導入口24とを有している。
【0023】
ラビリンス部材23のラビリンス面において、プロセスガス供給口23aに対応する位置には、環状溝23bが形成されている。この環状溝23bの上下のラビリンス部には、シールガス導入口25から供給されるシールガスが供給されるようになっている。
プロセスガス導入口24には、プロセスガス供給源から、プロセスガス供給バルブ26を介して、プロセスガス(窒素ガス等の不活性ガス)が供給され、シールガス導入口25には、シールガス供給源から、シールガス供給バルブ27を介して、シールガス(乾燥空気等)が供給される。
【0024】
ラビリンス部材23の下端付近の内部雰囲気は、吸引口28から吸引されて排気されるようになっていて、プロセスガスまたはシールガスが処理室内に漏れることがないようになっている。
回転軸13は、内軸13Aと、これを取り囲む外軸13Bとの二重軸構造となっており、内軸13Aの下端付近に形成された外向きのフランジ29によって、外軸13B下端が支持されている。外軸13Bには、ラビリンス部材23の環状溝23bに対向する位置に開口するとともに、その肉厚内で軸方向に延びたプロセスガス通路30が形成されている。このプロセスガス通路30は、フランジ29に形成された貫通孔および遮断板10の上蓋部31に形成された貫通孔を経て、遮断板10の内部空間と連通している。
【0025】
プロセスガス導入口24から供給されるプロセスガスは、ラビリンス部材23のラビリンス面において、シールガスによってシールされた状態で、回転軸13のプロセスガス通路30に導かれることになる。
遮断板10は、円板形状の上蓋部31と、この上蓋部31の周縁部においてその下面に結合された円筒状の環状部材32と、この環状部材32の内方において、上蓋部31に下方から結合された円板状の中央板33とを備えている。上蓋部31、環状部材32および中央板33によって、遮断板10の内部にはガス空間34が区画されている。このガス空間34には、プロセスガス通路30からのプロセスガスが導かれる。
【0026】
中央板33と環状部材32の内壁面との間には微少な隙間(スリット)が全周にわたって形成されており、この隙間が、環状部材32の下端の内周縁に向かってプロセスガスを吐出するガスノズル35を形成している。
図2は、環状部材32の近傍の構成を説明するための拡大断面図である。処理対象のウエハWは、スピンチャック1に備えられた複数本(たとえば3本)のチャックピン41によって挟持されている。チャックピン41は、ウエハWの下面の周縁部を支持する支持部42と、ウエハWの端面に当接して、このウエハWの水平移動を規制するガイドピン43とを備えている。
【0027】
環状部材32は、ガイドピン43よりもウエハWの回転半径方向内方に位置しており、スピンチャック1に保持されたウエハWの上方側において、このウエハWの上面の周縁部に対向している。より具体的には、環状部材32は、ウエハWの上面の周縁部の表面に対向するウエハ対向面45と、このウエハ対向面45の内周縁においてウエハWの表面に向かって突出したガイドエッジ部46と、このガイドエッジ部46の内周縁から鉛直上方(ウエハWの表面から離れる方向)に向かって立ち上がった内壁面47と、ウエハ対向面45の外周縁から鉛直上方に立ち上がった外壁面48とを有している。ガイドエッジ部46は、環状部材32の内壁面47の下端において全周に渡って形成されており、円環状の凸条をなしている。
【0028】
ウエハ対向面45とウエハWの周縁部との間の隙間には、エッチング液の液膜50が形成され、この液膜50はウエハ対向面45に接触するとともに、ガイドエッジ部46によって、ウエハWの内方への移動が規制されることになる。
一方、中央板33は、ウエハWに対向する表面である下面の外周縁に半径方向外方に開放された環状の溝(座繰り部)51を有し、さらに、ウエハWに対向していない上面側の周縁部にC面取り部52を有している。C面取り部52は、ガス空間34からガスノズル35へと供給されるプロセスガスの流路を絞り、ガスノズル35から環状部材32の内壁面47に沿って、ウエハWの上面に向かう鉛直下方に向けてプロセスガスを勢いよく吹き出させる。すなわち、プロセスガスは、環状部材32の内壁面47によって、ウエハWに向かう下方へと方向を変え、ガスノズル35から、内壁面47に沿って、ウエハWの上面に向けて吹き出される。
【0029】
環状部材32において、環状溝51に対向する位置には、内壁面47において開口するとともに外壁面48にも開口して、環状溝51内の空間と遮断板10の外部の空間とを連通させるガス抜き路49が形成されている。このガス抜き路49は、微小な直径(たとえば、直径0.5mm)の丸穴であって、環状部材32の周方向に等角度間隔で複数個(たとえば、5度間隔で72個)形成されている。このガス抜き路49の働きにより、ウエハ対向面45とウエハWの周縁部の表面との間にエッチング液の液膜50が形成されている場合であっても、遮断板10とウエハWの上面との間の空間40と、遮断板10の外部空間との間の気圧差が解消される。
【0030】
一方、ウエハ対向面45の内周縁に形成されたガイドエッジ部46は、ウエハWの回転半径方向外方側にエッチング液規制面46aを有している。このエッチング液規制面46aは、ウエハWから離れるに従って外方側へと向かう傾斜面(逆円錐面)をなしている。このエッチング液規制面46aは、エッチング液の液膜50の形状に沿い、液膜50がウエハWの中央領域へと侵入することを確実に防止する。
【0031】
環状部材32の内壁面47は、ウエハWの上面の周縁部の処理対象領域(ウエハWの外周端から3〜5mm内側迄の領域)の内周縁よりも若干外側(たとえば、0.1〜数mm外側。ただし、エッチング液の種類やウエハWの表面状態によって異なる。)に配置されることが好ましい。すなわち、環状部材32の内周縁は、ウエハWの直径よりも短い直径の円形をなすが、さらに、ウエハWの上面の周縁部の処理対象領域の内周縁がなす円の直径よりも若干大きな直径の円形をなしていることが好ましい。
【0032】
ウエハ対向面45とウエハWの周縁部の表面との間の間隔は、エッチング液の種類やウエハWの表面状態にもよるが、たとえば、0.3〜5mm程度とすることが好ましい。
また、ガイドエッジ部46の下端(ウエハWに最も近接する部位)とウエハWの表面との間の間隔は、エッチング液の種類やウエハWの表面状態によって異なるが、たとえば、0.1〜3mm程度とすることが好ましい。
【0033】
環状部材32の内壁面47に対して内側に隣接して形成される環状溝51は、ウエハWの表面から離れる方向に窪んだ溝であって、その溝の幅は1mm以上とすることが好ましい。
図1に示されているように、スピンチャック1には、円盤状のスピンベース441と、このスピンベース441上に立設されたチャックピン41を作動させるためのチャックピン駆動機構44が備えられている。このチャックピン駆動機構44は、たとえば、スピンベース441の内部に設けられたリンク機構442と、このリンク機構442を駆動する駆動機構443とを含む。この駆動機構443は、回転軸3とともに回転する回転側駆動力伝達部材444と、この回転側駆動力伝達部材444の外周側に軸受け445を介して結合された固定側駆動力伝達部材446と、この固定側駆動力伝達部材446を昇降させるためのチャックピン駆動用昇降駆動機構447とを備えている。
【0034】
チャックピン駆動用昇降駆動機構447によって固定側駆動力伝達部材446を昇降させると、これとともに回転側駆動力伝達部材444が昇降し、この昇降運動がリンク機構442に伝達されて、チャックピン41の動作に変換される。これにより、チャックピン駆動用昇降駆動機構447を作動させることによって、チャックピン41によってウエハWを挟持させたり、その挟持を解除したりすることができる。固定側駆動力伝達部材446と回転側駆動力伝達部材444とが軸受け445を介して結合されているので、スピンチャック1の回転中であっても、チャックピン41によるウエハWの挟持を解除したり緩めたりして、ウエハWの挟持位置を変更することができる。
【0035】
処理対象のウエハWをスピンチャック1に導入するときには、遮断板昇降駆動機構11の働きにより、遮断板10はスピンチャック1から上方に離れた退避位置に退避させられている。この状態で、図示しない基板搬送ロボットにより、未処理のウエハWがスピンチャック1に受渡される。その後、チャックピン駆動機構44の働きにより、ウエハWがチャックピン41によって挟持される。
【0036】
その後、遮断板昇降駆動機構11の働きによって、遮断板10がスピンチャック1に向かって下降させられ、中央板33がウエハWの中央領域に近接して位置し、かつ、環状部材32がウエハWの周縁部の表面に近接した状態とされる。この際、ウエハW上面とウエハ対向面45との間隔は、たとえば0.5mmとする。この状態で、回転駆動機構2によってスピンチャック1が回転駆動され、モータ12によって遮断板10が回転駆動される。このとき、スピンチャック1および遮断板10は、同期回転するように、すなわち、同じ方向にほぼ同じ回転速度で回転するように、回転駆動機構2およびモータ12が制御される。
【0037】
この状態で、エッチング液供給バルブ7が開かれることによって、ウエハWの裏面中央に向けて、中心軸ノズル5からエッチング液が供給される。このエッチング液は、遠心力を受けて、ウエハWの下面を伝ってその周端面に至り、この周端面を回り込んでウエハWの上面の周縁部に至る。
そして、
図2に示されているように、環状部材32のウエハ対向面45とウエハWの周縁部の表面との間の隙間に液膜50を形成する。この液膜50は、ウエハ対向面45に接触し、さらにガイドエッジ部46のエッチング液規制面46aに接触する。ガイドエッジ部46の内方側はウエハWの表面に対してほぼ垂直に立ち上がった内壁面47に連なっているから、エッチング液の液膜50は環状部材32の内壁面47から大きくウエハWの内方の領域に入り込むことはできない。これにより、ウエハWの上面の周縁部におけるエッチング幅を高精度で制御することができる。
【0038】
一方、プロセスガス供給バルブ19およびプロセスガス供給バルブ26のうちの一方または両方が開かれて、ガス空間34およびウエハWの上面空間40から環状溝51へとプロセスガスが供給される。このプロセスガスの圧力により、エッチング液の液膜50がウエハWの内方の領域へと侵入することを確実に防止できる。環状部材32よりも内方の空間は、液膜50によって密閉されているが、環状溝51内の空間と遮断板10の外部空間とはガス抜き路49を介して連通しているので、遮断板10の内外の圧力差に起因して、液膜50がいずれかの位置で破れてしまったりすることはない。
【0039】
この状態で所定時間にわたってウエハWの周縁部の表面のエッチング処理が行われると、エッチング液供給バルブ7が閉じられ、遮断板昇降駆動機構11によって遮断板10が所定の高さ(たとえばウエハ対向面45とウエハW上面との間隔が50mmとなる位置)まで上昇される。その後、純水供給バルブ6が開かれるとともに、プロセスガス供給バルブ26が閉じられて、純水供給バルブ15が開かれる。これにより、ウエハWの上面および下面に純水が供給されて、ウエハWを水洗する純水リンス処理が行われる。
【0040】
その後、純水供給バルブ6および15が閉じられ、再び遮断板昇降駆動機構11によって遮断板10が下降されてウエハW上面に近接される(たとえばウエハ対向面45とウエハW上面との間隔が0.3mmとなる位置)。この状態で、スピンチャック1が高速回転駆動されて、ウエハW上の水分を遠心力により振り切って取り除くための乾燥処理が行われる。
【0041】
プロセスガス供給バルブ9および19は、ウエハWの処理中、終始開成状態とされて、ウエハWの上面および下面を不活性ガス雰囲気に保持する。シールガス供給バルブ27も同様に、ウエハWの処理中、終始開成状態とされ、プロセスガスの流路の内外における雰囲気の流通を阻止する。
以上のように、この実施形態によれば、ウエハWの周縁部におけるエッチング液の液膜50が、環状部材32によって、ウエハWの内方の領域に侵入しないように確実に規制される。これにより、ウエハWの周縁部におけるエッチング幅を精度よく制御することができ、ウエハWの周縁部に対して、良好な処理を施すことができる。
【0042】
図3は、この発明の第2の実施形態に係る基板周縁処理装置の構成を説明するための断面図である。この
図3において、上述の
図1に示された各部に対応する部分には、
図1の場合と同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、スピンチャック1のスピンベース441には、遮断板60を受け止めて保持するためのレシーブピン61が、周方向に間隔を開けて複数本(たとえば等角度間隔で3本)設けられている。遮断板60は、ウエハWよりも大きな外径を有する板状体で構成されており、その周縁部に、レシーブピン61と嵌まり合う複数の貫通孔62が周方向に間隔を開けて複数個形成されている。遮断板60は、レシーブピン61のショルダ部61aに貫通孔62の周縁部の下面が支持されることによって、スピンベース441上に保持され、かつこのスピンベース441とともに回転駆動される。レシーブピン61によって保持された状態の遮断板60は、その下面63がスピンチャック1に保持されたウエハWの上面にごく近接して位置している。
【0043】
遮断板60は、中央に貫通孔64を有し、ウエハWの上面の周縁部に対応する位置に環状部65を一体的に有している。この環状部65に対して内側に隣接する位置には、ウエハWから離れる方向に窪む環状溝66が、全周に渡って穿設されている。遮断板60の環状部65以外の部分は、環状部65によって囲まれる空間を実質的に閉塞する蓋部をなしている。
【0044】
環状部65は、ウエハWの周縁部に対向するウエハ対向面67と、このウエハ対向面67の内周縁においてウエハWの上面に近接するように突出したガイドエッジ部68と、このガイドエッジ部68からウエハWに対して離れる鉛直上方に向かって立ち上がった内壁面69と、ウエハ対向面67の回転半径方向外方側周縁から立ち上がった外壁面70とを有している。ウエハ対向面67の内周縁は、ウエハWの直径よりも小さな直径の円形をなしている。また、この内周縁がなす円形は、ウエハWの上面の周縁部の処理対象領域の内周縁よりも若干大きい。
【0045】
遮断板60の上面には、貫通孔64に連通する内部空間を有するフランジパイプ71が結合されており、さらに、このフランジパイプ71の上端に、中央に貫通孔を有する遮断板フランジ72が結合されている。この遮断板フランジ72の中央の貫通孔およびフランジパイプ71の内部空間を貫通し、さらに貫通孔64に達するように、中心軸ノズル75が配置されている。
【0046】
中心軸ノズル75は、処理液供給管76およびプロセスガス供給管77の2重管とされており、処理液供給管76から、ウエハWの上面に処理液(純水または薬液)を供給することができ、処理液供給管76とプロセスガス供給管77との間の空間から、プロセスガスを、ウエハWの上面と遮断板60との間の空間に供給することができる。このプロセスガスは、ウエハWの上面を伝ってその半径方向外方側へと向かい、環状部65の内壁面69にぶつかり、この内壁面69に沿って、ウエハWの上面に向かって下降することになる。
【0047】
上述の第1の実施形態の場合と同様に、環状部65には、内壁面69と外壁面70との間を連通させるガス抜き路80が、周方向に間隔を開けて多数形成されている。
遮断板フランジ72の上面には、遮断側ラビリンス部材73が固定されており、この遮断側ラビリンス部材73には、ノズル側ラビリンス部材74が、非接触状態で結合されている。そして、遮断側ラビリンス部材73とノズル側ラビリンス部材74との間の空間には、シールガス(パージガス)が供給されるようになっている。
【0048】
ノズル側ラビリンス部材74は、非回転状態に保持されるノズル保持部78に固定されている。このノズル保持部78は、ノズル昇降駆動機構79によって昇降されるようになっている。
一方、遮断板60を昇降するために、遮断板用ハンド81と、この遮断板用ハンド81を昇降するための遮断板昇降駆動機構82とが備えられている。遮断板用ハンド81は、フランジパイプ71を貫通させる貫通孔と、遮断板フランジ72の周縁部に形成された複数の貫通孔72aにそれぞれ嵌まり合う複数のハンドピン83とを備えている。
【0049】
この構成により、遮断板昇降駆動機構82によって遮断板用ハンド81を昇降させることで、遮断板60をスピンチャック1の上方に退避させたり、スピンチャック1に備えられたレシーブピン61と係合させたりすることができる。
この基板周縁処理装置では、遮断板60がスピンチャック1からの回転力を受けて、このスピンチャック1とともに回転することになるが、ウエハWの上面の周縁部の処理に関しては、上述の第1の実施形態の場合とほぼ同様である。
【0050】
すなわち、中心軸ノズル5からウエハWの下面中央に向かって供給されたエッチング液は、遠心力によって半径方向外方側へと向かい、ウエハWの周端面を回り込んでその上面部の周縁へと至る。このエッチング液は、ウエハWの上面の周縁部と環状部65のウエハ対向面67との間の隙間に液膜を形成する。この液膜は、ウエハ対向面67に接触し、さらにガイドエッジ部68に接触する。これによって、エッチング処理幅が精密に制御された状態で、ウエハWの上面の周縁部のエッチング処理が進行する。
【0051】
一方、プロセスガス供給管77からウエハWの上方の空間に供給されたプロセスガスは、環状部65の内方に形成された環状溝の内壁面69にぶつかり、この内壁面69に沿って下方に向かう気流を形成する。これにより、エッチング液がウエハWの内方の領域へと侵入することを確実に防止することができる。
また、環状部65には環状溝66内の空間と遮断板60の外方の空間とを連通させるガス抜き路80が形成されているから、環状部65の内外における気圧差が大きくなることがない。これにより、ウエハWの上面の周縁部に形成されたエッチング液の液膜がいずれかの箇所において破れるおそれはない。
【0052】
図4は、この発明の第3の実施形態に係る基板周縁処理装置の構成を説明するための断面図である。この
図4において、上述の
図1に示された部分と同一の機能を有する各部には
図1の場合と同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、遮断板10の上蓋部31には、環状部材32の上方に対応する周縁部に、全周にわたる断面が漏斗状の液受け溝85が形成されている。この液受け溝85の底部には、たとえば、周方向に適当な間隔をあけて開口(吐出口)が形成されており、この開口は、環状部材32に鉛直方向に沿って形成された複数の処理液供給路86とそれぞれ連通している。すなわち、処理液供給路86は、環状部材32の周方向に沿って、たとえば、等角度間隔で複数個(たとえば、5度間隔で72個)形成されている。
【0053】
処理液供給路86は、ウエハ対向面45において開口した吐出口(たとえば、直径0.5mmの丸穴)を有しており、このウエハ対向面45とウエハWの上面の周縁部との間に、ウエハWの上面に対してほぼ垂直な方向からエッチング液を供給する。これにより、ウエハ対向面45に接触するエッチング液の液膜が、ウエハWの上面の周縁部に形成される。 液受け溝85には、遮断板10の回転軸線に対して近接/離反変位可能に設けられた移動ノズル88から、エッチング液が連続的にまたは間欠的に供給されるようになっている。移動ノズル88には、エッチング液供給源からのエッチング液が、エッチング液供給バルブ89を介して供給できるようになっている。なお、この実施形態においても、ウエハWの下方の中心軸ノズル5からウエハW下面へのエッチング液の供給は行われており、したがって、ウエハW下面のエッチング処理は行われている。
【0054】
このような構成により、上述の第1の実施形態の場合と同様にして、ウエハWの周縁部のエッチング処理、ウエハWの上下面の純水リンス処理、およびウエハWの上下面の乾燥処理を行うことができる。
ただし、この実施形態の構成の場合には、ウエハWの上面の周縁部をエッチング処理する工程において、ウエハWの下方に向けられた中心軸ノズル5からのエッチング液の供給は必ずしも必要ではない。すなわち、ウエハWの下面をエッチング処理する必要のない場合には、中心軸ノズル5からのエッチング液の供給は行わないようにしてもよい。
【0055】
中心軸ノズル5からのエッチング液の供給を行わない場合には、遠心力によって、エッチング液をウエハWの周端面まで移送する必要がないので、スピンチャック1および遮断板10の回転速度は、第1の実施形態の場合に比較して低速でたりる。
さらに、この実施形態の構成では、スピンチャック1を実質的に静止状態に保持したままでウエハWの周縁部のエッチング処理を行うことができる。
【0056】
すなわち、スピンチャック1の回転を停止させた状態で遮断板10を低速で回転させる。この状態で、移動ノズル88からエッチング液を吐出させると、吐出されたエッチング液が液受け溝85に受けられて、この液受け溝85の全周に渡ってエッチング液が供給され、さらに処理液供給路86からウエハWの上面の周縁部にエッチング液が供給される。そして、必要量だけエッチング液を供給した後にバルブ89を閉成して供給を停止させ、遮断板10の回転を停止させる。これにより、この周縁部の表面の全周に渡ってエッチング液を液盛りすることができる。この液盛り状態を所定時間だけ(たとえば5〜40秒)保持して、ウエハWの周縁部に対して選択的なエッチング処理を施すことができる。このような液盛り処理では、エッチング液の消費量を著しく削減することができる。液盛りされたエッチング液は、環状部材32のウエハ対向面45に接触する液膜を形成する。この液膜のウエハWの内方への移動は、ガイドエッジ部46によって確実に規制されることになる。
【0057】
なお、液盛り処理をする場合でも、必要に応じて、移動ノズル88から液受け溝85に対して、エッチング液を連続的にまたは間欠的に供給するようにしてもよい。また、ウエハWの周縁部に液盛りされたエッチング液が遠心力によってウエハW外に排出されない程度の速度で、スピンチャック1を低速回転させてもよい。
なお、上述の説明では、スピンチャック1の回転を停止させつつ遮断板10を低速で回転させた状態で、エッチング液を供給しているが、これに限らず、エッチング液の供給を、スピンチャック1および遮断板10を互いに異なる低い速度で回転させた状態で行ってもよいし、遮断板10の回転を静止させつつスピンチャック1を低速で回転させた状態で行ってもよい。あるいは、スピンチャック1および遮断板10をともに回転を停止させておき、移動ノズル88を液受け溝85の全周に沿って移動させつつ、エッチング液を供給してもよい。いずれの場合でも、ウエハW上面周縁部の全周に渡ってエッチング液を液盛りすることができる。
【0058】
なお、ここでいうスピンチャック1や遮断板10の「低速」な回転とは、ウエハW上面の周縁部から外方にエッチング液がこぼれ出ない程度の回転速度をいい、たとえば、60rpm以下の回転速度が好ましい。
以上のように、環状部材32のウエハ対向面45をウエハW上面周縁部に近接させた状態でウエハW上面周縁部にエッチング液を供給すれば、ウエハ対向面45とウエハW上面周縁部との隙間にエッチング液が安定して保持され、エッチング液を多く消費せずにエッチング処理を良好に行うことができる。
【0059】
なお、エッチング液をウエハWの上面の周縁部に液盛りして処理した後には、上述の第1の実施形態に関連して説明したのと同様にして、ウエハWの水洗および乾燥処理が行われる。
図5は、ウエハWの表面の周縁部においてエッチング液の液膜を制御する環状部材の種々の形態を説明するための部分拡大断面図である。
図5(f)には、
図1および
図2に示された第1の実施形態の場合と同様な構成例が示されており、
図5(d)には
図3に示された第2の実施形態の場合と同様な構成が示されている。図中、符号Eはエッチング液を示す。
【0060】
図5(a)は、環状部材の最も基本的な形態であり、ウエハWの直径よりも小さな直径の内周縁を有するとともに、ウエハWの上面の周縁部に対向するウエハ対向面45を有する環状部材が示されている。ウエハ対向面45の内周縁にはガイドエッジ部が設けられていない。ガイドエッジ部がなくとも、エッチング液Eの液膜は、環状部材の内壁面47よりも若干内方に入り込んだ位置で規制され、ウエハWの内方の領域に侵入することが抑制される。また、ウエハ対向面45は、エッチング液Eの液膜に接触し、液密状態を形成する。
【0061】
この
図5(a)の構成を発展させて、蓋部90を一体的に設けたのが
図5(b)の構成例である。蓋部90を設けることによって、環状部材の内方の領域において、ウエハWの中央領域(デバイス形成領域)に周囲からの液滴が環状部材を超えて飛散したりミストが付着したりすることがなくなる。
図5(b)の形態をさらに発展させて、環状部材の内壁面47に対して内方側に隣接する位置に環状溝51を形成した構成が
図5(c)に示されている。
図5(d)の構成は、この
図5(c)の構成をさらに発展させた形態であり、ガイドエッジ部46を設けることによって、エッチング液Eの液膜のウエハWの内方領域への侵入を確実に制御している。
【0062】
この
図5(d)の形態をさらに発展させると、環状部材の内壁面47に対してガスを供給し、ガスノズル35から、内壁面47に沿ってウエハWの表面へとガスを吹き出させる
図5(e)の形態が得られる。この構成では、環状部材の内部を陽圧にできるので、エッチング液Eの液膜を精度よく制御できる。
さらに、
図5(e)の構成を変形して、中央板33の下面の外周縁に座繰り部を形成して、環状部材の内壁面47との間に環状溝51を形成することにより、
図5(f)の構成が得られる。
図5(e)の形態と
図5(f)の形態とを比較すれば、
図5(e)の形態では、環状部材の内壁面47に対して内方側に隣接する位置に環状溝が設けられていないため、エッチング液Eの液膜の制御能力において、
図5(f)の構成の方が勝っているといえる。
【0063】
なお、
図5(g)に示すように、環状部材のウエハ対向面45の外周縁は、ウエハWの外周縁よりも外方に位置していてもよい。ウエハ対向面45は、ウエハWの外周縁よりも外方にまで延びて形成されていてもよい。このような構成を採用すれば、ウエハWの下面から供給されるエッチング液EをウエハWの周端面において良好に捕獲することができ、ウエハWの上面の周縁部に良好な液膜を確実に形成することができる。
【0064】
図6は、環状部材の内壁面の形状に関する変形例を示す断面図である。
図6(a)に示す例では、内壁面47は、ウエハWの上面から離れるに従ってウエハWの内方へと向かう傾斜面(円錐面)をなしている。
図6(b)の例では、内壁面47は、ウエハWの上面から離れるに従ってウエハWの外方側へと向かう傾斜面(逆円錐面)をなしている。
【0065】
図6(c)の構成では、内壁面47は、ウエハWの上面からほぼ垂直に立ち上がる垂直立ち上がり面47aと、この垂直立ち上がり面47aの上端縁に連なり、ウエハWの上面から離れるに従ってウエハWの内方へと向かう傾斜面47bとを有する屈曲面となっている。
環状部材の内壁面47を、
図6(a)の形態の傾斜面とすると、ウエハWの内方へと向かうエッチング液Eは、この傾斜した内壁面47に沿ってウエハWの表面から離れようとするが、このようなエッチング液Eの内壁面47に沿う移動は重力によって妨げられる。あるいは、とくに環状部材が回転している場合には、エッチング液Eの内壁面47に沿う移動は、遠心力によって妨げられる。そのため、エッチング液Eの液膜を、ウエハ対向面の下方に確実に制御して、ウエハWの内方へとエッチング液Eが到達することを確実に防止できる。
【0066】
図7は、環状部材のウエハ対向面の形状の変形例を示す断面図である。
図7(a)の例では、ウエハ対向面45は、ウエハWの内方に向かうに従ってウエハWの上面へと近接していく傾斜面(逆円錐面)を形成している。
また、
図7(b)の例では、ウエハ対向面45は、ウエハWの内方に向かうに従ってウエハWの上面に接近するように湾曲した湾曲面となっている。
【0067】
さらに、
図7(c)の例では、ウエハ対向面45は、外周側に設けられ、ウエハWの上面とほぼ平行な外周側平行部45aと、この外周側平行部45aよりも内方に設けられ、外周側平行部45aよりもウエハWの上面に近接し、ウエハWの上面と平行な内周側平行部45bと、この内周側平行部45bと外周側平行部45aとを結合する傾斜部45cとを有する屈曲面から形成されている。傾斜部45cは、ウエハWの内方に向かうに従ってウエハWに接近していく傾斜面(逆円錐面)をなしている。
【0068】
図7(a)(b)(c)のいずれの構成においても、ウエハ対向面45とウエハWの上面との間の距離は、ウエハWの内方に向かうに従って短くなっている。ウエハ対向面45をこのような形状とすることによって、エッチング液Eの液膜をさらに良好に制御することができ、エッチング液EがウエハWの内方領域へと侵入することを確実に防止できる。また、ウエハ対向面45とウエハWの上面との間にエッチング液を呼び込みやすくなるから、液密状態を良好に形成することができる。
【0069】
図8は、環状部材のウエハ対向面45に設けられたガイドエッジ部46の変形例を示す断面図である。
図8(a)の例は、ガイドエッジ部46においてウエハWの内方側の側面を、ウエハWの表面から離れるに従ってウエハWの内方に向かう傾斜面(円錐面)とする一方、ガイドエッジ部46においてウエハWの外方側の側面を、ウエハWの表面から離れるに従ってウエハWの外方に向かう傾斜面(逆円錐面)とした例である。
【0070】
図8(b)の例は、ガイドエッジ部46を断面において断面がほぼ矩形形状の凸条とし、エッチング液規制面46aを、ウエハWの上面にほぼ垂直な円筒面とした例である。
図8(c)の例は、エッチング液規制面46aを、傾斜面(円錐面)ではなく、断面において曲面をなす湾曲面とした例である。
さらに、
図8(d)の例は、エッチング液規制面46aをウエハWの外方側に後退させることによって、ガイドエッジ部46の下端にウエハWに対向するウエハ対向部46bを設け、このウエハ対向部46bにおいて開口する液抜き路95を環状部材に形成した例である。この液抜き路95は、環状部材の外壁面48において開口している。
【0071】
たとえば、環状部材が遮断板10とともに回転される場合、液抜き路95内のエッチング液Eに遠心力が作用し、これによって、ガイドエッジ部46のウエハ対向部46bからエッチング液Eが吸い上げられて、液抜き路95を通り、環状部材の外方側へと排出される。これにより、環状部材よりも内方側へとエッチング液Eが侵入することをさらに確実に防止できる。
【0072】
図8(e)の例では、液抜き路95がガス抜き路49と合流している。すなわち、プロセスガスが環状部材の内方に供給される場合、プロセスガスがガス抜き路49を通って環状部材の外方へと排出されるが、このときに生じるエジェクタ効果によって、ウエハ対向部46bからエッチング液Eを吸い上げて、排出することができる。
図9は、ウエハWの上面の周縁部にエッチング液を供給するための形態例を示す図解的な断面図である。
図9(a)には、
図1および
図3に示された例が示されている。すなわち、ウエハWの下面の中央に向けてエッチング液Eが供給され、このエッチング液Eは、遠心力によってウエハWの外方へと導かれ、その周端面を回り込んでウエハWの上面の周縁部へと至る。
【0073】
図9(b)は、ウエハWの下方(すなわち、スピンチャック1の下方)に設けられたノズル100から、ウエハWの下面の周縁部に向けてエッチング液Eを供給する例が示されている。この場合にも、ウエハWの下面で遠心力を受けたエッチング液Eが、ウエハWの周端面を回り込んで、その上面の周縁部へと至る。
図9(b)の例では、エッチング液Eが、ウエハWの下方から、ウエハWの外方に向かう傾斜角度(たとえば、10〜45度、好ましくは30度)でノズル100の吐出口から吐出されて、その角度でウエハWの下面に入射する例が示されている。
【0074】
図9(c)の例では、環状部材32よりもウエハWの外方側において、ウエハWの上方に設けられたノズル101から、ウエハWの上面に、その上方からエッチング液Eを供給する例が示されている。この場合、環状部材32は、その外壁面48が、ウエハWの周端面よりも十分に内方に位置していることが好ましい。このような構成でも、環状部材32によってエッチング液Eの液膜がウエハWの中央領域に侵入することを防止できる。
【0075】
図9(d)の例では、環状部材32の外壁面48に向けて、ノズル102からエッチング液Eが供給される例が示されている。この場合、供給されたエッチング液Eは、環状部材32の外壁面48を伝って、ウエハWの上面の周縁部に供給される。外壁面48を伝って流下するエッチング液EをウエハWの周縁部に良好に導くために、ウエハ対向面45は、ウエハWの内方に向かうに従ってウエハWの上面に接近する傾斜面とされることが好ましい。
【0076】
図9(e)の例は、遮断板10内にエッチング液供給路105を設け、このエッチング液供給路105を環状部材32のウエハ対向面45において開口する吐出口に連通させた例である。この構成により、ウエハWの上面の周縁部に直接的にエッチング液Eを供給できる。
図9(e)の例では、エッチング液供給路105は、環状部材32内において、ウエハ対向面45に向かうに従って外方に向かうように傾斜しており、ウエハWの上面の周縁部に、ウエハWの外方に向かって傾斜する方向からエッチング液Eを供給するように構成されている。
【0077】
図9(f)の例は、
図4に示された構成と同様であり、環状部材32の上部に、エッチング液Eを受ける液受け部107が設けられており、この液受け部107に、エッチング液供給ノズル108から、連続的にまたは間欠的にエッチング液が供給されるようになっている。液受け部107は、ウエハ対向面45に開口した吐出口と連通している。
図9(g)の例では、環状部材32の外壁面48に開口する液受け部110が設けられていて、この液受け部110に対して、ノズル111からのエッチング液Eが側方から供給される。液受け部110は、環状部材32の内部に形成された液供給路112と連通しており、この液供給路112は、ウエハ対向面45において開口している。
【0078】
図9(h)の例では、環状部材32内には、ウエハ対向面45に開口するエッチング液供給路115が設けられているとともに、同じくウエハ対向面45において開口する排液路116が形成されている。この構成により、エッチング液供給路115からウエハ対向面45とウエハWの上面の周縁部との間にエッチング液Eを供給し、かつ、排液路116からエッチング液Eを排出することにより、エッチング液Eを循環させながら、ウエハWの上面の周縁部におけるエッチング処理を行うことができる。これにより、ウエハWの上面の周縁部には常に新しいエッチング液が供給されるので、エッチング処理速度を向上することができる。
【0079】
ウエハWを静止状態に保持して、ウエハWの上面の周縁部にエッチング液Eを液盛りして、その部分のエッチング処理を行うときには、
図9(c)(d)(e)(f)(g)(h)のいずれかの形態で、エッチング液Eの供給を行うことが好ましい。
また、ウエハWを回転させて処理するときには、
図9(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)の形態をとる場合に、二点鎖線矢印で示すように、ウエハWの下面中央に向けてのエッチング液Eの供給を併せて行うこととすれば、ウエハWの下面に対する処理も同時に行うことができる。
【0080】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、ガスノズル35は、全周にわたって連続した円形のスリット開口を有しているが、ウエハWの回転軸を中心として周方向に間隔をあけて(たとえば等角度間隔で)複数個形成された複数のガス吐出口を有するものであってもよい。また、そのガスの吐出口の形状は、丸穴であってもよいし、円弧状の長穴であってもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、ウエハWの上面の周縁部を処理するときには、ウエハWの上面の中央部への処理液の供給をしないようにしているが、ウエハWの上面の周縁部の処理中に、純水供給バルブ15を開いて、ウエハWの中央領域を純水でカバーし、エッチング液から保護するようにしてもよい。ウエハWの中央領域の保護の目的のためには、純水のほかにも、炭酸水、水素水、還元水、イオン水または磁気水などのエッチング保護液を用いることができる。
【0082】
ただし、ウエハWの中央領域に供給されたエッチング保護液は、ウエハWの周縁部のエッチング液と混合し、このエッチング液を希釈するから、エッチング液の消費量を削減するためには、エッチング保護液を用いないことが好ましい。
また、上記の実施形態では、ウエハWの周端面を挟持する構成のスピンチャック1を例示したが、ウエハWの下面を吸着して保持するバキュームチャックや、ウエハWの端面に当接するとともにその状態で回転することによってウエハWを回転させるローラ式のチャックを採用してもよい。あるいは、ウエハWを回転させることのない場合には、ウエハWを空間移動のみさせる保持手段、あるいは、地面に対して固定された複数のピンなどでウエハW下面を保持する固定式保持手段を採用してもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、円形の基板である半導体ウエハを処理する例について説明したが、とくに、基板上にエッチング液を液盛りして処理するプロセスを採用する場合には、液晶表示装置用ガラス基板等の角形基板に対しても、この発明を適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0084】
この明細書に実質的に記載された特徴を以下に記す。
1.基板(W)の周縁部の表面にエッチング液を供給して、この周縁部の表面の不要物をエッチング除去する基板周縁処理装置であって、上記基板の周縁部にエッチング液を供給するエッチング液供給手段(5,85,86,88,100,101,102,105,108,107,110,112)と、上記基板の周縁部の表面に対して、この周縁部の表面に形成された上記エッチング液の液膜に接触することができる所定の隙間をもって近接するように配置され、基板の外周縁上またはそれよりも内側に内周縁を有し、基板の周縁部の表面におけるエッチング液による処理幅を規定する環状部材(32,65)とを含むことを特徴とする基板周縁処理装置。なお、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下同じ。
【0085】
この構成によれば、基板の周縁部の表面に対して、所定の隙間をもって環状部材が配置され、この環状部材は、基板の外周縁上またはそれよりも内側に内周縁を有していて、基板の周縁部の表面におけるエッチング処理幅を規定する。すなわち、エッチング液供給手段から供給されたエッチング液は、基板の表面の周縁部に液膜を形成するが、この液膜に環状部材が接触することによって、環状部材の内周縁付近でエッチング液が規制され、エッチング液が基板の内方の領域に侵入することを抑制できる。このようにして、基板の周縁部を良好な精度の処理幅でエッチング処理することができる。
【0086】
上記基板は半導体ウエハ等のほぼ円形の基板であってもよいし、液晶表示装置用ガラス基板のような角形の基板であってもよい。
環状部材の内周縁は、基板の外周縁に対応する形状を有することになるから、ほぼ円形の基板を処理するときにはほぼ円形形状を有し、角形の基板を処理するときには角形の形状を有することになる。
2.上記基板を一方表面側から保持する基板保持手段(1)をさらに備え、上記環状部材は、上記基板の他方表面側に配置されている、項1記載の基板周縁処理装置。
【0087】
この構成によれば、基板保持手段によって基板を一方表面側から保持する一方で、環状部材を他方表面側に配置して基板の周縁部を処理することができる。
たとえば、上記基板保持手段は、基板を下方から保持するものであって、上記環状部材が基板の上面側に近接して配置されるようになっていてもよい。
3.上記基板を静止状態(非回転状態または低速回転(遠心力によりエッチング液が基板外に飛び出さない速さ)状態)に保持しつつ、上記エッチング液供給手段から基板の周縁部にエッチング液が供給されるようになっている、項1または2記載の基板周縁処理装置。
【0088】
この場合、基板の周縁部にエッチング液を液盛りして、この液盛りされたエッチング液によって、基板表面の周縁部の不要物をエッチング除去することができる。液盛りされたエッチング液の液膜は、環状部材の働きにより、基板の内方へと侵入することが抑制されるので、良好な精度でエッチング幅を規定することができる。
基板上にエッチング液を液盛りしてその周縁部の処理を行うことにより、エッチング液の消費量を著しく削減することができる。とくに、環状部材の働きにより、環状部材と基板表面の周縁部との隙間にエッチング液が安定して保持されるので、エッチング液が基板の内方へ侵入したり外方へこぼれ出てしまったりすることを抑制し、さらにエッチング液の消費量を著しく削減することができる。
【0089】
なお、基板の静止状態とは、基板が回転または移動していない状態および実質的にこれと等価な状態をいう。たとえば、基板が回転していない状態と等価な状態とは、基板上に液盛りされたエッチング液が遠心力によって基板外に飛び出さない程度の低速で回転されている状態を含む。また、基板が移動していない状態と等価な状態とは、基板上に液盛りされたエッチング液が慣性によって基板外にこぼれない程度の低加速で空間移動(垂直方向、水平方向、または斜め方向の移動を含む)されている状態を含む。
4.上記基板は、ほぼ円形の基板であり、この基板を回転させる基板回転手段(1,2)をさらに含み、上記環状部材の内周縁は、基板の直径以下の内径を有する円形形状を有している、項1または2記載の基板周縁処理装置。
【0090】
この構成では、基板がほぼ円形の基板であって、この基板が基板回転手段によって回転される。たとえば、基板回転手段は、基板を保持する基板保持手段(1)と、この基板保持手段を回転させる回転駆動機構(2)とを含むものであってもよい。
上記環状部材は、基板の回転と同期して(すなわち基板と回転方向および回転速度が同じであるように)回転駆動されることが好ましいが、この環状部材は、静止状態に保たれてもよいし、基板の回転速度とは異なる回転速度で回転されてもよい。また、上記環状部材が基板の回転と同期して回転駆動される場合には、上記回転駆動機構とは別の回転駆動機構によって環状部材が同期回転されてもよいし、あるいは、基板保持手段上に環状部材が載置されることにより、基板保持手段および環状部材がともに上記回転駆動機構によって回転されるようにしてもよい。
5.上記基板回転手段によって基板を回転状態としつつ、上記エッチング液供給手段から基板の周縁部にエッチング液が供給されるようになっている、項4記載の基板周縁処理装置。
【0091】
この構成によれば、基板が回転状態とされ、エッチング液供給手段から基板の周縁部にエッチング液が供給される。このとき、基板の周縁部にはエッチング液の液膜が形成されるが、環状部材の働きにより、このエッチング液の液膜が基板の内方の領域へと侵入することが抑制される。
6.上記環状部材は、上記内周縁から外方に延び、基板の周縁部の表面に対向する基板対向面(45,67)を有している、項1ないし5のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0092】
この構成によれば、エッチング液の液膜を基板対向面に接触させることができ、この基板対向面と基板の周縁部の表面との間に液膜を存在させることができる。これによって、基板の周縁部の表面の全域にわたってエッチング液の安定な液膜を確実に形成することができるので、より安定で均一なエッチング処理が可能になる。
7.上記基板対向面が、基板の周縁部の表面とほぼ平行な面である、項6記載の基板周縁処理装置。
【0093】
この構成により、さらに安定したエッチング液の液膜を形成することができる。
8.上記基板対向面は、上記内周縁に向かうに従って基板との間隔が減少するように傾斜した傾斜面である、項6記載の基板周縁処理装置。
上記傾斜面は平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。上記環状部材がほぼ円形の内周縁を有する場合には、上記傾斜面は円錐面であってもよいし、円錐面に対して凹状または凸状に湾曲した湾曲面であってもよい。
【0094】
この構成によれば、基板対向面が基板の内方に向かうに従って基板に近接していく形状の傾斜面であるから、基板対向面と上記基板の周縁部の表面との隙間にエッチング液を確実に導くことができるとともに、基板の内方の領域へのエッチング液の侵入をより効果的に防止することができる。
9.上記基板対向面の外周縁は、基板の外周縁よりも外方に位置している、項6ないし8のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0095】
この構成によれば、たとえばエッチング液を上記基板の周縁部の表面とは反対側の基板表面から供給する場合に、基板の端面から回り込んだエッチング液を基板対向面によって良好に捕獲し、この基板対向面と上記基板の周縁部の表面との隙間に導くことができる。
たとえば、基板をほぼ水平に保持してその中心を通る回転軸線まわりに回転させるとともに、基板の上面側に上記環状部材を配置する構成をとる場合に、基板の下面側にエッチング液を供給すると、このエッチング液は遠心力を受け、基板の下面を伝い、その端面から基板上面の周縁部へと回り込む。このとき、基板対向面の外周縁が基板の外周縁よりも外方に位置していれば、基板の端面を回り込んだエッチング液を良好に捕獲することができ、基板上面の周縁部に確実に導くことができる。
10.上記環状部材は、上記基板対向面から基板に向かって突出し、基板内方に向かうエッチング液を規制する凸部(46,68)を有している、項6ないし9のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0096】
上記凸部は、上記環状部材の内周縁に沿って、基板の周縁部の全周にわたって連続した凸条であることが好ましい。
この構成によれば、凸部の働きにより、エッチング液の液膜が基板の内方の領域へと侵入することをより確実に防止できる。これによって、エッチング幅精度をさらに向上することができる。
11.上記凸部は、基板表面から離れるに従って基板の外方側へと向かう傾斜面からなるエッチング液規制面(46a)を、上記環状部材の外方側に有している、項10記載の基板周縁処理装置。
【0097】
上記凸部において基板の外方側に傾斜面からなるエッチング規制面を形成していることにより、このエッチング規制面がエッチング液の液滴の形状に沿う。これにより、エッチング液が基板の内方の領域に至ることをより確実に防止できる。
12.上記環状部材は、上記基板対向面において開口するとともに、当該環状部材の外方の空間と連通した液排出路(95)を有している、項6ないし11のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0098】
この構成によれば、基板対向面と基板の周縁部の表面との間のエッチング液を、液排出路を介して環状部材の外方の空間へと排出することができる。
たとえば、基板および環状部材を回転させながら基板の周縁部の表面を処理するときには、液排出路内に入り込んだエッチング液に対して作用する遠心力を利用して、基板対向面と基板との間の液膜を形成するエッチング液を吸い出すことができる。そこで、基板対向面と基板との間にエッチング液を連続的にまたは間欠的に供給しながらエッチング処理を行えば、基板対向面と基板との間の余剰分のエッチング液が液排出路を介して排出されるので、液膜に対して新たなエッチング液を供給することができる。これによって、エッチング液のエッチング能力を維持することができるので、処理時間を短縮することができる。
【0099】
なお、上記液排出路は、環状部材の内周縁近傍で開口するように形成されることが好ましい。また、上記液排出路は、上記凸部において、基板に対向する表面に開口するように形成されてもよい。さらには、液排出路によるエッチング液の排出を促すために、環状部材の回転速度を基板保持部材の回転速度よりも大きくするのが好ましい。
13.上記エッチング液供給手段は、上記環状部材に形成され、上記基板対向面において開口する吐出口を有する液吐出路(86,105)を含むものである、項6ないし12のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0100】
この構成によれば、基板対向面と基板表面の周縁部との間に直接的に確実にエッチング液を供給できる。
14.上記エッチング液供給手段は、上記基板対向面に開口する吐出口と、この吐出口と連通した液受け部(85,107)と、この液受け部にエッチング液を供給するノズル(88,108)とを含む、項6ないし13のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0101】
この構成により、ノズルから液受け部にエッチング液を供給することにより、基板対向面と基板の周縁部の表面との間にエッチング液を直接的に供給できる。また、たとえば、環状部材が回転する場合であっても、簡単な構成でエッチング液を供給することができる。
15.上記環状部材は、上記基板対向面が基板に対して上方から対向するように設けられており、上記液受け部は、上記環状部材の上面に形成されている、項14記載の基板周縁処理装置。
16.上記エッチング液供給手段は、上記周縁部の表面を含む基板の表面とは反対側の面に向けてエッチング液を供給するノズル(5,100)を含む、項1ないし12のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0102】
この構成によれば、処理対象領域である基板の周縁部の表面とは反対側の表面からエッチング液が供給され、このエッチング液が基板の端面を回り込んで上記周縁部の表面へと導かれ、ここに上記環状部材と協働して安定した液膜を形成することができる。
上記反対側の表面に供給されたエッチング液を上記周縁部の表面に導くためには、基板を回転させて、上記ノズルから供給されたエッチング液を遠心力により基板の端面へと導くことが好ましい。また、上記基板が円形基板の場合に、上記基板の周縁部の表面へのエッチング液の供給がより良好に行える。
17.上記ノズルは、上記反対側の面の中央部に向けてエッチング液を供給するものである、項16記載の基板周縁処理装置。
【0103】
また、上記ノズルは、上記反対側の面の周縁部付近に向けてエッチング液を供給するものであってもよい。
18.上記エッチング液供給手段は、上記環状部材の外壁面(48)に向けてエッチング液を供給するノズル(102)を含むものである、項1ないし12のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0104】
この構成によれば、環状部材の外壁面を伝ってエッチング液が基板表面の周縁部に導かれ、液膜を形成することになる。
19.上記エッチング液供給手段は、基板表面に対して垂直、または基板の外方に傾斜した方向に向かってエッチング液を吐出する吐出口(100,105)を有するものである、項1ないし18のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
20.上記環状部材は、上記内周縁から、基板の表面から遠ざかる方向に立ち上がる内壁面(47)を有している、項1ないし19のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0105】
この構成により、エッチング液の液膜が環状部材の内壁面の近傍からさらに基板の内方の領域へと侵入することを確実に防止できる。なお、上記内壁面は、鉛直に沿う面であってもよいし、水平に対して傾斜した傾斜面であってもよい。
21.上記内壁面は、基板の表面から離れるに従って基板の中央側へと向かう傾斜面である、項20記載の基板周縁処理装置。
【0106】
この構成により、エッチング液の液膜が環状部材の内壁面を超えて基板の内方側へ向かおうとすると、この液膜は環状部材の内壁面側へと導かれることになり、結果的に、基板の内方の領域に向かうことができない。したがって、エッチング液の液膜の存在範囲をより正確に制御することができる。とくに、上記環状部材が回転する場合には、内壁面を伝ってエッチング液が基板の内方に向かおうとしても、その遠心力と重力によって、エッチング液は基板の外方へと押し戻され、結果的に、基板の内方の領域にエッチング液が侵入することをより効果的に防止する。
22.上記環状部材の内側の空間を実質的に閉塞する蓋部材(31,90)をさらに含む、項1ないし21のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0107】
この構成によれば、環状部材の外方の空間に存在するエッチング液の液滴またはミストが環状部材を越えて基板の中央領域に至ることがないので、基板の中央領域に損傷を与えることなく、その周縁部の表面を良好に処理することができる。しかも、環状部材と基板の周縁の表面との間は液膜によって封止されていて、環状部材の外部の液滴またはミストが環状部材と基板の周縁部の表面との隙間を通って基板の内方の領域に至る可能性はない。よって、基板の内方の領域が確実に保護される。
【0108】
上記蓋部材は、上記環状部材と一体化されていてもよいし、上記環状部材とは別の部材であってもよい。
23.上記環状部材は、上記内周縁の内方側に隣接して形成された環状の溝(51,66)を有している、項22記載の基板周縁処理装置。
この構成によれば、エッチング液は、環状の溝を通り越して基板の中央領域に至ることはできないので、エッチング幅精度をさらに向上することができる。
24.上記環状部材の内側の空間に気体を供給する気体供給手段(18,30,77)をさらに含む、項1ないし23のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0109】
この構成により、エッチング液の液膜または液滴が基板の内方の領域に至ることをより確実に防止できる。
25.上記環状部材は、上記内周縁から、基板の表面から遠ざかる方向に立ち上がる内壁面を有しており、上記気体供給手段から供給される気体が、上記内壁面に向けて供給されるようになっている、項24記載の基板周縁処理装置。
【0110】
この構成によれば、環状部材の内壁面に向けて気体が供給されると、この気体は、その後、環状部材の内壁面を伝って基板の周縁部の表面へと向かう。これにより、エッチング液の液膜が基板の中央領域に導かれることをより確実に防止できる。
26.上記環状部材は、この環状部材の内側の空間と外側の空間とを連通させる気体流通路(49,80)を有している、項20ないし25のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0111】
この構成により、気体流通路を介して環状部材の内外で気体が流通することによって、環状部材の内外の気圧差を抑制できる。これにより、環状部材の内側の気圧が外側の気圧に比べて高くなりすぎて基板の周縁部の表面に形成されたエッチング液の液膜が破れることがなく、基板の周縁部の全周において良好なエッチング処理を行うことができる。
この構成は、特に蓋部材(項22参照)によって環状部材の内側の空間が実質的に閉塞されている場合に特に効果的である。
27.上記環状部材の内方において、基板の中央に向けてエッチング保護液を供給する保護液供給手段(14)をさらに含む、項1ないし29のいずれかに記載の基板周縁処理装置。
【0112】
この構成によれば、基板の中央部をエッチング保護液によって保護することができるので、基板の中央領域に損傷が与えられることをより確実に防止できる。
上記エッチング保護液は、たとえば、純水、炭酸水、水素水、還元水、イオン水または磁気水などであってもよい。
28.基板の周縁部の表面にエッチング液を供給して、この周縁部の表面の不要物をエッチング除去する基板周縁処理方法であって、基板を静止状態に保持して、基板の周縁部の表面にエッチング液を液盛りする工程と、基板の外周縁上またはそれよりも内側に内周縁を有する環状部材を、基板の周縁部の表面に形成された上記エッチング液の液膜に接触することができる所定の隙間をもって上記基板の周縁部の表面に対して近接配置することにより、基板の周縁部の表面における上記エッチング液による処理幅を規定する工程とを含む、基板周縁処理方法。
【0113】
この方法により、項3記載の構成と同様な効果を奏することができる。
29.基板の周縁部の表面にエッチング液を供給して、この周縁部の表面の不要物をエッチング除去する基板周縁処理方法であって、基板を回転させる基板回転工程と、この基板回転工程と並行して、回転している基板の周縁部の表面にエッチング液を供給するエッチング液供給工程と、基板の外周縁上またはそれよりも内側に内周縁を有する環状部材を、基板の周縁部の表面に形成された上記エッチング液の液膜に接触することができる所定の隙間をもって上記基板の周縁部の表面に対して近接配置することにより、基板の周縁部の表面における上記エッチング液による処理幅を規定する工程とを含む、基板周縁処理方法。
【0114】
この方法により、項5記載の構成と同様な効果を奏することができる。
30.上記エッチング液供給工程は、上記周縁部の表面を含む基板の表面とは反対側の面に向けてエッチング液を供給する工程を含む、項29記載の基板周縁処理方法。
この方法により、項16記載の構成と同様な効果を奏することができる。
31.上記環状部材の内側の空間に気体を供給する気体供給工程をさらに含む、項28ないし30のいずれかに記載の基板周縁処理方法。
【0115】
この方法により、項24記載の構成と同様な効果を奏することができる。
32.上記環状部材の内方において、基板の中央領域にエッチング保護液を供給する保護液供給工程をさらに含む、項28ないし31のいずれかに記載の基板周縁処理方法。
この方法により、項27記載の構成と同様な効果を奏することができる。