(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、本発明の下記の詳細な説明および説明に含まれる実施例の参照により、より容易に理解され得る。
【0020】
本発明の化合物、組成物、物品、システム、デバイスおよび/または方法が、開示および記載される前に、これらは、特に断らない限り、特定の合成方法に限定されず、または、特に断らない限り、特定の試薬に限定されず、例えば、当然、変更してもよいことが理解されるべきである。本願明細書で使用される専門用語は、具体的な態様を説明する目的のみであり、限定的ではないと理解されるべきである。本発明の実施または試験には、本願明細書に記載するものと類似または等価の任意の方法および材料を、使用することができるが、例となる方法および材料については以下に記載される。
【0021】
本願明細書で言及される全ての刊行物は、前記刊行物が引用されることに関する方法および/または材料を開示および記載することについて、参照により本願明細書に組み込まれる。本願明細書に記載の刊行物は、本願の出願日前のこの開示についてのみ提供される。本願明細書のいかなる刊行物も、本発明が、先発明によりこのような開示よりも以前の日付を主張する権利がないと認めるものとして解釈すべきではない。さらに、本願明細書において提供される刊行日は、実際の刊行日と異なり得る。前記実際の刊行日は、独自の確認を必要とし得る。
【0022】
A.定義
本願明細書で使用するとき、化合物、例えば、有機化合物についての命名は、命名に関する、普通名詞、IUPAC、IUBMBまたはCASの推奨を使用して与えられ得る。1つ以上の立体化学特性が存在する場合、立体化学に関するCahn−Ingold−Prelog法が、立体化学優先順位、E/Z規格等を命名するのに使用され得る。命名法を使用する化合物構造の体系の縮小化または市販のソフトウェア、例えば、ChemDraw(商標)(Cambridgesoft Corporation、USA)のいずれかにより名称を与えられた場合、当業者は、化合物の構造を容易に確認し得る。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」および「the」は、特に断らない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「官能基(a functional group)」、「アルキル(an alkyl)」または「残基(a residue)」への言及は、2つ以上のこのような官能基、アルキルまたは残基等の混合物を含む。
【0024】
本願明細書において、範囲は、「約」一方の特定の値からおよび/または「約」他方の特定の値までと表現され得る。このような範囲が表現される場合、更なる態様は、前記一方の特定の値からおよび/または前記他方の特定の値を含む。同様に、先行する「約」の使用により近似値として値が表現される場合、前記特定の値は、更なる態様を形成することが理解されるであろう。前記範囲の各終点は、前記他方の終点に関連しておよび前記他方の終点とは無関係である両方において重要であることが、さらに理解されるであろう。本願明細書に開示の値の数値が存在し、各値も、この値自体に加えて、「約」この特定の値として開示されることも理解される。例えば、前記値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13および14も開示される。
【0025】
本明細書および結びの特許請求の範囲における、組成物における特定の要素または成分の重量部への言及は、重量部が表現される、前記組成物または物品における、前記要素または成分と、任意の他の要素または成分との間の重量関係を意味する。このため、2重量部の成分Xと、5重量部の成分Yとを含む化合物において、XおよびYは、2:5の重量比で存在し、更なる成分が前記化合物に存在するかどうかに関係なく、このような比で存在する。
【0026】
成分の重量パーセント(wt%)は、特に反対のことが示さない限り、前記成分が含まれる製剤または組成物の総重量に基づいている。
【0027】
本願明細書で使用するとき、「LSD」の用語は、LSD1およびLSD2のいずれかまたは両方を、総称的に意味する。
【0028】
本願明細書で使用するとき、「LSD1」および「リジン特異的脱メチル化酵素1」の用語は、互換的に使用されることができ、KDM1A遺伝子によりコードされるヒストン脱メチル化酵素を意味する。前記KDM1A遺伝子は、Entrez Gene細胞遺伝学的バンド、Ensembl細胞遺伝学的バンドおよびHGNC細胞遺伝学的バンドにより記載されるように、1p36.12の遺伝子マップ遺伝子座を有する。前記LSD1の用語は、約92903Daの分子量を有する852個のアミノ酸を有する、天然タンパク質を意味し、フラビンモノアミンオキシダーゼファミリーの一員である。前記LSD1の用語は、当業者により使用される時、LSD1、KDM1;RP1−184J9.1;AOF2;BHC110;KIAA0601;LSD1;BRAF35−HDAC複合タンパク質BHC110;FAD結合タンパク質BRAF35−HDAC複合体、110kDaサブユニット;アミンオキシダーゼ(フラビン含有)ドメイン2;リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素1;リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素1A;フラビン含有アミンオキシダーゼドメイン含有タンパク質2;リジン(K)特異的脱メチル化酵素1;アミンオキシダーゼ(フラビン含有)ドメイン2;およびFAD結合タンパク質BRAF35−HDAC複合体、110kDaサブユニットとして、このような代替的な命名により言及される、タンパク質、遺伝子産物および/または遺伝子を含む。
【0029】
本願明細書で使用するとき、「LSD2」および「リジン特異的脱メチル化酵素2」の用語は、互換的に使用されることができ、KDM1B遺伝子によりコードされるヒストン脱メチル化酵素を意味する。前記KDM1B遺伝子は、Entrez Gene細胞遺伝学的バンド、Ensembl細胞遺伝学的バンドおよびHGNC細胞遺伝学的バンドにより記載されるように、6p22.3の遺伝子マップ遺伝子座を有する。前記LSD21の用語は、約92098Daの分子量を有する822個のアミノ酸を有する、天然タンパク質を意味し、フラビンモノアミンオキシダーゼファミリーの一員である。前記LSD2の用語は、当業者により使用される時、LSD2、AOF1;FLJ33898;FLJ34109;FLJ43328;C6orf193;DKFZp686I0412;OTTHUMP00000179125;bA204B7.3;dJ298J15.2;フラビン含有アミンオキシダーゼドメイン含有タンパク質1;リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素2;リジン(K)特異的脱メチル化酵素1B;アミンオキシダーゼ(フラビン含有)ドメイン1;アミンオキシダーゼ、フラビン含有1;リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素2;6番染色体オープン・リーディング・フレーム193;およびリジン特異的ヒストン脱メチル化酵素1Bとして、このような代替的な命名により言及される、タンパク質、遺伝子産物および/または遺伝子を含む。
【0030】
本願明細書で使用するとき、「ヒストン脱メチル化酵素」の用語は、ヒストンタンパク質からメチル基を除去する酵素群を意味する。前記用語は、ヒストンリジン脱メチル化酵素、すなわち、ヒストンにおけるリジン残基からメチル基を除去する酵素と、ヒストンアルギニン脱メチル化酵素、すなわち、ヒストンにおけるアルギニン残基からメチル基を除去する酵素との両方を含む。
【0031】
本願明細書で使用するとき、「ヒストンリジン脱メチル化酵素」または「リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素」の用語は、互換的に使用されることができ、両方とも、ヒストンタンパク質のリジン残基からメチル基を除去する酵素群を意味する。前記ヒストンリジン脱メチル化酵素は、下記の具体的な種類:LSD1、LSD2、JMJD2A、JMJD2B、JMJD2CおよびJMJD2Dを含む酵素群である。
【0032】
本願明細書で使用するとき、「任意の」または「場合により」の用語は、次に記載される事象または状況が、起こり得るか、または、起こり得ないことを意味し、前記記載が、前記事象または状況が起こる例と、起こらない例とを含むことを意味する。
【0033】
本願明細書で使用するとき、「対象」の用語は、脊椎動物、例えば、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類または両生類であり得る。このため、本願明細書に開示の方法の対象は、ヒト、非ヒトの霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、げっ歯類であり得る。前記用語は、具体的な年齢または性別を意味しない。このため、成体および新生児の対象ならびに胎児、雄または雌にも及ぶことが意図される。一態様では、前記対象は、哺乳類である。患者は、疾患または障害を患う対象を意味する。「患者」の用語は、ヒトおよび脊椎動物の対象を含む。本開示の方法の一部の態様では、前記対象は、前記投与工程前に、ヒストンリジン脱メチル化酵素の機能不全に関連する制御されない細胞増殖の障害の処置の必要性を診断されている。本開示の方法の一部の態様では、前記対象は、前記投与工程前に、ヒストンリジン脱メチル化酵素の阻害の必要性を診断されている。
【0034】
本願明細書で使用するとき、「処置」の用語は、疾患、病状または障害を治療、改善、安定または予防をする意図による、患者の医学的管理を意味する。この用語は、能動的な処置、すなわち、前記疾患、病状または障害の改善を特に目指した処置を含み、原因処置、すなわち、前記関連する疾患、病状または障害の原因の除去を目指した処置も含む。加えて、この用語は、緩和処置、すなわち、前記疾患、病状または障害の治療よりむしろ兆候の軽減のために設計された処置;予防的処置、すなわち、前記関連する疾患、病状または障害の進行を最小化または部分的もしくは完全に阻害することを対象にした処置;ならびに支持的処置、すなわち、前記関連する疾患、病状または障害の改善を対象にした、補助的な別の特定の治療に使用される処置を含む。種々の態様において、前記用語は、対象、例えば、哺乳類(例えば、ヒト)の任意の処置におよび、(i)前記疾患にかかりやすくあり得るが、未だ前記疾患を有すると診断されていない対象に起こる疾患を予防すること;(ii)前記疾患を防止すること、すなわち、前記疾患の進行を止めること;または(iii)前記疾患を軽減すること、すなわち、前記疾患を抑制させることを含む。一態様では、前記対象は、哺乳類、例えば、霊長類である。更なる態様では、前記対象は、ヒトである。前記「対象」の用語は、飼育動物(例えば、ネコ、イヌ等)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)および実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ミバエ、ゼブラフィッシュ等)も含む。
【0035】
本願明細書で使用するとき、「予防する」または「予防すること」の用語は、起こらないようにすること、回避すること、取り除くこと、未然に防ぐこと、停止させること、または、何かが起こるのを妨げることを意味する。本願明細書で、低減、防止または予防が使用される場合、特に断らない限り、他の2つの語の使用も、明示的に開示されていると理解される。
【0036】
本願明細書で使用するとき、「診断される」の用語は、熟練者、例えば、医師による健康診断に供され、本願明細書に開示の化合物、組成物または方法により診断または処置され得る症状を有することを発見されることを意味する。例えば、「制御されない細胞増殖の障害と診断される」ことは、熟練者、例えば、医師による健康診断に供され、ヒストンリジン脱メチル化酵素を阻害し得る化合物または組成物により診断または処置され得る症状を有することを発見されることを意味する。更なる例として、「ヒストン脱メチル化酵素の阻害の必要性を有すると診断される」は、熟練者、例えば、医師による健康診断に供され、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全を特徴とする症状を有することを発見されることを意味する。このような診断は、障害、例えば、本願明細書に記載の、障害、例えば制御されない細胞増殖の障害、癌等に関連し得る。例えば、「ヒストン脱メチル化酵素活性の阻害の必要性を有すると診断される」の用語は、熟練者、例えば、医師による健康診断に供され、ヒストン脱メチル化酵素活性の阻害により診断または処置され得る症状を有することを発見されることを意味する。例えば、「ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する制御されない細胞増殖の1つ以上の障害の処置の必要性を有すると診断される」は、熟練者、例えば、医師による健康診断に供され、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する制御されない細胞増殖の1つ以上の障害を有することを発見されることを意味する。
【0037】
本願明細書で使用するとき、「障害の処置の必要性があると特定される」の表現等は、前記障害の処置の必要性に基づく、対象の選択を意味する。例えば、対象は、熟練者による早期の診断に基づく障害(例えば、ヒストン脱メチル化酵素活性の機能不全に関連する障害)の処置の必要性を有すると特定され、この後、前記障害についての処置に供され得る。一態様では、前記特定は、前記診断を行った人物とは異なる人物により行われ得ることが検討される。更なる態様では、前記投与は、前記投与を連続して行う者により行われ得ることが検討される。
【0038】
本願明細書で使用するとき、「投与すること」および「投与」の用語は、医薬調製物を対象に提供する任意の方法を意味する。このような方法は、当業者に周知であり、制限されず、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、口腔投与、尿道内投与および非経口投与、例えば、注射、例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与および皮下投与を含む。投与は、連続的でもあることもできるし、または、断続的でもあることもできる。種々の態様において、調製物は、治療的に投与され得る;すなわち、既存の疾患または症状を処置するのに投与され得る。更なる種々の態様では、調製物は、予防的に投与され得る;すなわち、疾患または症状の予防のために投与され得る。
【0039】
本願明細書で使用するとき、「接触させること」の用語は、開示の化合物と、細胞、標的の受容体または他の生物学的実体とを、直接的に:すなわち、前記標的自体と相互作用することによる、または、間接的に;すなわち、前記標的の活性が依存している別の分子、補助因子、因子またはタンパク質と相互作用することによる、いずれかで、前記化合物が、前記標的(例えば、受容体、細胞等)の活性に影響を及ぼし得る、このような方法で結合することを意味する。
【0040】
本願明細書で使用するとき、「有効量」および「効果的な量」の用語は、所望の結果を達成する、または、望ましくない症状に効果を有するのに十分な量を意味する。例えば、「治療上有効量」は、所望の治療結果を達成する、または、望ましくない兆候に効果を有するのに十分であるが、一般的に、有害な副作用を引き起こすのに不十分な量を意味する。任意の具体的な患者に関する具体的な治療的に有効な投与レベルは、各種の要因、例えば、処置される前記障害および前記障害の重症度;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身状態、性別および食事;前記投与の時間:前記投与の経路;前記使用される具体的な化合物の排出速度;処置の期間;前記使用される具体的な化合物との組み合わせまたは同時に使用される薬剤ならびに医療分野で周知の同種の要因により決まるであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なものより低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで、用量を徐々に増加させることは、当該分野における技術内で十分である。必要であれば、有効な1日の投与が、投与の目的のために複数回の投与に分割され得る。この結果として、1回の投与の組成物は、このような量または1日の用量を構成するこの約数を含み得る。前記用量は、任意の禁忌の事象において、個々の医師により調節され得る。用量は、1日または数日間、毎日の1回以上の用量の投与で変化し、投与され得る。ガイダンスが、医薬品の所定の分類に適した用量に関する文献に見出され得る。更なる種々の態様では、調製物は、「予防的に有効量」、すなわち、疾患または症状の予防に効果的な量で投与され得る。
【0041】
本願明細書で使用するとき、「EC
50」は、生物学的工程または工程の要素、例えば、タンパク質、サブユニット、細胞小器官、リボヌクレオタンパク質等の50%のアゴニズムまたは活性化に必要な物質(例えば、化合物または薬剤)の濃度を意味することを目的とする。一態様では、EC
50は、本願明細書の他の場所でさらに規定されるように、インビボにおける50%のアゴニズムまたは活性化に必要な物質の濃度を意味し得る。更なる態様では、EC
50は、ベースラインと最大応答との間の半分の応答を起こさせる、アゴニストまたは活性剤の濃度を意味する。
【0042】
本願明細書で使用するとき、「IC
50」は、生物学的工程または工程の要素、例えば、タンパク質、サブユニット、細胞小器官、リボヌクレオタンパク質等の50%の阻害に必要な物質(例えば、化合物または薬剤)の濃度を意味することを目的とする。例えば、IC
50は、本願明細書の他の場所でさらに規定されるように、インビボにおける50%の阻害またはインビトロで測定される前記阻害に必要な物質の濃度を意味し得る。または、IC
50は、物質の最大半量(50%)の阻害濃度(IC)を意味する。前記阻害は、細胞株、例えば、AN3 CA、BT−20、BT−549、HCT 116、HER218、MCF7、MDA−MB−231、MDA−MB−235、MDA−MB−435S、MDA−MB−468、PANC−1、PC−3、SK−N−MC、T−47DおよびU−87 MGにおいて測定され得る。なお更なる態様では、前記阻害は、細胞株、例えば、変異型または野生型の哺乳類のヒストン脱メチル化酵素、例えば、LSD1またはLSD2で遺伝子導入されたHEK−293またはHelaにおいて測定される。
【0043】
「医薬として許容される」の用語は、生物学的または他に望ましくなくはない、すなわち、許容され得ないレベルの望ましくない生物学的作用の原因とならず、または、有毒な方法で相互作用しない材料を説明する。
【0044】
本願明細書で使用するとき、「安定的」の用語は、この製造、検出、ある態様では、本願明細書に開示の1つ以上の目的についてのこの回収、精製および使用を可能にする条件に供された際に、実質的に変化しない化合物を意味する。
【0045】
本願明細書で使用するとき、「誘導体」の用語は、親化合物(例えば、本願明細書に開示の化合物)の化学構造から派生した化学構造を有する化合物を意味し、前記化学構造は、本願明細書に開示のものと十分類似し、この類似性に基づいて、請求された化合物と同一または類似の活性および有用性を示し、または、前駆体として、請求された化合物と同一または類似の活性および実用性を誘導することを、当業者により予測されるであろう。典型的な誘導体としては、親化合物の塩、エステル、アミド、エステルもしくはアミドの塩およびN−酸化物があげられる。
【0046】
本願明細書で使用するとき、「医薬として許容される担体」の用語は、無菌の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンおよび、使用の直前に無菌の注射溶液または分散液内において再構成するための無菌の粉末を意味する。適切な水性もしくは非水性の担体、希釈剤、溶媒または媒体としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、カルボキシメチルセルロースおよびこれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)ならびに注射可能な有機エステル、例えば、エチルオレエートがあげられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用により、分散液の場合、必要な粒径の維持により、および、界面活性剤の使用により維持され得る。これらの組成物は、補助剤、例えば、防腐剤、潤滑剤、乳化剤および分散剤も含み得る。微生物活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の含有により確保され得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含むことが望ましくもあり得る。注射可能な医薬品形態の持続的吸収は、例えば、吸収を遅延するアンモニウムモノステアレートおよびゼラチンの薬剤の含有により、ほぼもたらされ得る。注射可能な徐放性製剤の形態は、生分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)における、薬剤のマイクロカプセルマトリクスを形成することにより製造される。ポリマーに対する薬剤の比および使用される具体的なポリマーの性質に応じて、薬剤放出の速度が、制御され得る。徐放性製剤の注射製剤は、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに前記薬剤を封入することによっても調製される。前記注射製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通したろ過により、または、使用直前に、無菌水または他の無菌の注射可能な媒体に溶解または分散可能な、無菌の固体状の組成物の形態に無菌の薬剤を包含することにより、滅菌され得る。適切な不活性の担体は、糖、例えば、ラクトースを含み得る。望ましくは、前記活性成分の粒子の少なくとも95重量%が、0.01から10マイクロメートルの範囲における有効粒径を有する。
【0047】
本明細書および結びの特許請求の範囲で使用するとき、化学種の残基は、前記化学種からこの部分が実際に得られるかどうかに関わらず、特定の反応スキームにおける前記化学種の得られた生成物または後の製剤または化学製品である、部分を意味する。したがって、ポリエステルにおけるエチレングリコール残基は、エチレングリコールが前記ポリエステルを調製するのに使用されたかどうかに関わらず、前記ポリエステルにおける、1つ以上の−OCH
2CH
2O−ユニットを意味する。同様に、ポリエステルにおけるセバシン酸残基は、前記残基が、前記ポリエステルを取得するためにセバシン酸またはこのエステルを反応させることにより取得されるかどうかに関わらず、前記ポリエステルにおける、1つ以上の−CO(CH
2)
8CO−部分を意味する。
【0048】
本願明細書で使用するとき、「置換される」の用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが検討される。幅広い態様において、前記許容される置換基としては、有機化合物の非環式および環状、分岐鎖状および非分岐鎖状、炭素環式および複素環式ならびに芳香族および非芳香族の置換基があげられる。実例となる置換基としては、例えば、以下に記載のものがあげられる。前記許容される置換基は、1つ以上で、適切な有機化合物にとって同一または異なり得る。この開示の目的に関して、ヘテロ原子、例えば、窒素は、水素置換基および/または、前記ヘテロ原子の価数を満たす、本願明細書に記載の任意の許容される置換基を有し得る。この開示は、有機化合物の許容される置換基による任意の方法に限定されることを意図していない。また、「置換」または「で置換されている」の用語は、このような置換が、置換されている原子と前記置換基との許可される価数に基づいていており、前記置換が、安定した化合物、例えば、転位、環化、脱離等による変換を同時に受けない化合物をもたらす、黙示的な条件を含む。ある態様では、明確に反対のことを示さない限り、個々の置換基が、場合により、さらに置換され得る(すなわち、さらに置換されるか、または、置換されない)ことも検討される。
【0049】
種々の用語の規定において、本願明細書では、「A
1」、「A
2」、「A
3」および「A
4」が、代表的な種々の特定の置換基に、総称の記号として使用される。これらの記号は、本願明細書に開示のものに限定されない、任意の置換基であり得る。前記記号が、一例におけるある置換基であると規定される場合、前記記号は、別の例では、一部の他の置換基として規定され得る。
【0050】
本願明細書で使用するとき、「アルキル」の用語は、1から24個の炭素原子の分岐鎖状または非分岐鎖状の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。前記アルキル基は、環状であることもできるし、または、非環式であることもできる。前記アルキル基は、分岐鎖状であることもできるし、非分岐鎖状であることもできる。前記アルキル基は、置換されていることもできるし、非置換であることもできる。例えば、前記アルキル基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソまたはチオールで置換され得る。「低級アルキル」基は、1から6個(例えば、1から4個)の炭素原子を含むアルキル基である。
【0051】
例えば、「C1−C3アルキル」基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびシクロプロピルまたはこれらの一部から選択され得る。ある態様では、前記「C1−C3アルキル」基は、場合により、さらに置換され得る。更なる例としては、「C1−C4アルキル」基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチルおよびシクロブチルまたはこれらの一部から選択され得る。ある態様では、前記「C1−C4アルキル」基は、場合により、さらに置換され得る。更なる例としては、「C1−C6アルキル」基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、ネオヘキサンおよびシクロヘキサンまたはこれらの一部から選択され得る。ある態様では、前記「C1−C6アルキル」基は、場合により、さらに置換され得る。更なる例としては、「C1−C8アルキル」基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、ネオヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタンおよびシクロオクタンまたはこれらの一部から選択され得る。ある態様では、前記「C1−C8アルキル」基は、場合により、さらに置換され得る。更なる例としては、「C1−C12アルキル」基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、ネオヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、シクロノナン、デカン、シクロデカン、ウンデカン、シクロウンデカン、ドデカンおよびシクロドデカンまたはこれらの一部から選択され得る。ある態様では、前記「C1−C12アルキル」基は、場合により、さらに置換され得る。
【0052】
本明細書全体を通して、「アルキル」は、一般的に、非置換のアルキル基および置換されているアルキル基の両方を意味するのに使用されるが、置換されているアルキル基も、本願明細書において、前記アルキル基における具体的な置換基を特定することにより、具体的に言及される。例えば、「ハロゲン化アルキル」または「ハロアルキル」の用語は、1つ以上のハロゲン化物、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素で置換されているアルキル基を具体的に意味する。「アルコキシアルキル」の用語は、以下に記載の1つ以上のアルコキシ基で置換されているアルキル基を具体的に意味する。「アルキルアミノ」の用語は、以下に記載の1つ以上のアミノ基等で置換されているアルキル基を具体的に意味する。一例において「アルキル」が使用され、別に、例えば、「アルキルアルコール」の具体的な用語が使用される場合、前記「アルキル」の用語が、例えば、「アルキルアルコール」等の具体的な用語も意味しないことを示唆することを意味しない。
【0053】
この実務は、本願明細書に記載の他の基にも使用される。すなわち、例えば、「シクロアルキル」の用語は、非置換および置換されているシクロアルキル部分の両方を意味するが、さらに本願明細書において、前記置換されている部分が、具体的に特定され得る、例えば、具体的な置換されているシクロアルキルは、例えば、「アルキルシクロアルキル」と言及され得る。同様に、置換されているアルコキシは、例えば、「ハロゲン化アルコキシ」と、具体的に言及され得る。具体的な置換されているアルケニルは、例えば、「アルケニルアルコール」等であり得る。改めて、一般的な用語、例えば、「シクロアルキル」および具体的な用語、例えば、「アルキルシクロアルキル」を使用する実務は、前記一般的な用語が、前記具体的な用語を含まないことも示唆することを意味しない。
【0054】
本願明細書で使用するとき、「シクロアルキル」の用語は、少なくとも3つの炭素原子から構成される、非芳香族性炭素ベースの環である。シクロアルキル基としては、例えば、制限されず、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル等があげられる。「ヘテロシクロアルキル」の用語は、上記規定のシクロアルキル基の一種であり、前記「シクロアルキル」の用語の意味内に含まれ、前記環の少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、制限されず、窒素、酸素、硫黄またはリンで置き替えられている。前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換されていることもできるし、または、非置換であることもできる。前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換され得る。
【0055】
本願明細書で使用するとき、「ポリアルキレン基」の用語は、互いに結合した2つ以上のCH
2基を有する基である。前記ポリアルキレン基は、式−(CH
2)
a−で表されることができ、「a」は、2から500の整数である。
【0056】
本願明細書で使用するとき、「アルコキシ」および「アルコキシル」の用語は、エーテル結合により結合されているアルキル基またはシクロアルキル基を意味する、すなわち、「アルコキシ」基は、−OA
1と規定されることができ、A
1は、上記規定のアルキルまたはシクロアルキルである。「アルコキシ」は、このようにアルコキシ基のポリマーも含む、すなわち、アルコキシは、ポリエーテル、例えば、−OA
1−OA
2または−OA
1−(OA
2)
a−OA
3であることができ、「a」は、1から200の整数であり、A
1、A
2およびA
3は、アルキルおよび/またはシクロアルキルの基である。
【0057】
本願明細書で使用するとき、「アルケニル」の用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。非対称な構造、例えば、(A
1A
2)C=C(A
3A
4)は、EおよびZの異性体両方を含むことを意図する。このことは、非対称なアルケンが存在する、本願明細書における構造式において推定され得るか、または、結合記号C=Cにより明確に示され得る。前記アルケニル基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換され得る。
【0058】
本願明細書で使用するとき、「シクロアルケニル」の用語は、少なくとも3つの炭素原子から構成され、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、すなわち、C=Cを含む、非芳香族性炭素ベースの環である。シクロアルケニル基としては、例えば、制限されず、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボルネニル等があげられる。「ヘテロシクロアルケニル」の用語は、上記規定のシクロアルケニル基の一種であり、「シクロアルケニル」の用語の意味内に含まれ、前記環の少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、制限されず、窒素、酸素、硫黄またはリンで置き替えられている。前記シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換されていることもできるし、非置換であることもできる。前記シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換され得る。
【0059】
本願明細書で使用するとき、「アルキニル」の用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。前記アルキニル基は、非置換であることもできるし、または、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換されていることもできる。
【0060】
本願明細書で使用するとき、「シクロアルキニル」の用語は、少なくとも7つの炭素原子から構成され、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む、非芳香族性炭素ベースの環である。シクロアルキニル基としては、例えば、制限されず、シクロヘプチニル、シクロオクチニル、シクロノニニル等があげられる。「ヘテロシクロアルキニル」の用語は、上記規定のシクロアルケニル基の一種であり、「シクロアルキニル」の用語の意味内に含まれ、前記環の少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、制限されず、窒素、酸素、硫黄またはリンで置き替えられている。前記シクロアルキニル基およびヘテロシクロアルキニル基は、置換されていることもできるし、または、非置換であることもできる。前記シクロアルキニル基およびヘテロシクロアルキニル基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換され得る。
【0061】
本願明細書で使用するとき、「アリール」の用語は、任意の炭素ベースの芳香族基、例えば、制限されず、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼン等を含む基である。前記「アリール」の用語は、前記芳香族基の環内に包含された少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含む基として規定される、「ヘテロアリール」も含む。ヘテロ原子としては、例えば、制限されず、窒素、酸素、硫黄およびリンがあげられる。同様に、「アリール」の用語にも含まれる「非ヘテロアリール」の用語は、ヘテロ原子を含まない芳香族基を含む基を規定する。前記アリール基は、置換されていることもできるし、非置換であることもできる。前記アリール基は、本願明細書に記載の1つ以上の基、例えば、制限されず、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、ニトリル、スルホンアミドまたはチオールで置換され得る。「ビアリール」の用語は、特定の種類のアリール基であり、「アリール」の定義に含まれる。ビアリールは、縮合環構造により互いに結合されている2つのアリール基、例えば、ナフタレン、または、1つ以上の炭素−炭素結合を介して付着される2つのアリール基、例えば、ビフェニルを意味する。
【0062】
本願明細書で使用するとき、「アルデヒド」の用語は、式−C(O)Hで表される。この明細書全体を通して、「C(O)」は、カルボニル基、すなわち、C=Oに関する、略記法である。
【0063】
本願明細書で使用するとき、「アミン」または「アミノ」の用語は、式−NA
1A
2で表され、A
1およびA
2は、独立して、水素または、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールもしくはヘテロアリールであり得る。
【0064】
本願明細書で使用するとき、「アルキルアミノ」の用語は、式−NH(−アルキル)で表され、アルキルは、本願明細書に記載のものである。代表的な例としては、制限されず、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、(sec−ブチル)アミノ基、(tert−ブチル)アミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、(tert−ペンチル)アミノ基、ヘキシルアミノ基等があげられる。
【0065】
本願明細書で使用するとき、「ジアルキルアミノ」の用語は、式−N(−アルキル)
2で表され、アルキルは、本願明細書に記載のものである。代表的な例としては、制限されず、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジ(tert−ペンチル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基等があげられる。
【0066】
本願明細書で使用するとき、「カルボン酸」の用語は、式−C(O)OHで表される。
【0067】
本願明細書で使用するとき、「エステル」の用語は、式−OC(O)A
1または−C(O)OA
1で表され、A
1は、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であり得る。本願明細書で使用するとき、「ポリエステル」の用語は、式−(A
1O(O)C−A
2−C(O)O)
a−または−(A
1O(O)C−A
2−OC(O))
a−で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であることができ、「a」は、1から500の整数である。「ポリエステル」は、少なくとも2つのカルボン酸基を有する化合物と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物との間での反応により産生される基を説明するのに使用される用語である。
【0068】
本願明細書で使用するとき、「エーテル」の用語は、式A
1OA
2で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であり得る。本願明細書で使用するとき、「ポリエーテル」の用語は、式−(A
1O−A
2O)
a−で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であることができ、「a」は、1から500の整数である。ポリエーテル基としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリブチレンオキシドがあげられる。
【0069】
本願明細書で使用するとき、「ハロゲン」、「ハロゲン化物」および「ハロ」の用語は、ハロゲンである、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。種々の態様において、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され得ることも検討される。例えば、ハロゲンは、フルオロ、クロロおよびブロモから選択され得る。更なる例として、ハロゲンは、フルオロおよびクロロから選択され得る。更なる例として、ハロゲンは、クロロおよびブロモから選択され得る。更なる例として、ハロゲンは、ブロモおよびヨードから選択され得る。更なる例として、ハロゲンは、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され得る。一態様では、ハロゲンは、フルオロであり得る。更なる態様では、ハロゲンは、クロロであり得る。なお更なる態様では、ハロゲンは、ブロモである。なお更なる態様では、ハロゲンは、ヨードである。
【0070】
ある態様では、擬ハロゲン(例えば、トリフレート、メシレート、トシレート、ブロシレート等)が、ハロゲンに代えて使用され得ることも検討される。例えば、ある態様では、ハロゲンは、擬ハロゲンで置き替えられ得る。更なる例としては、擬ハロゲンは、トリフレート、メシレート、トシレートおよびブロシレートから選択され得る。一態様では、擬ハロゲンは、トリフレートである。更なる態様では、擬ハロゲンは、メシレートである。更なる態様では、擬ハロゲンは、トシレートである。更なる態様では、擬ハロゲンは、ブロシレートである。
【0071】
本願明細書で使用するとき、「複素環」は、少なくとも1つの環員が炭素以外である、単一および複数の環状芳香族または非芳香族環系を意味する。複素環としては、アゼチジン、ジオキサン、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾール、オキサゾール、例えば、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾール、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラジン、例えば、1,2,4,5−テトラジン、テトラゾール、例えば、1,2,3,4−テトラゾール、1,2,4,5−テトラゾール、チアジアゾール、例えば、1,2,3−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾールおよび1,3,4−チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、例えば、1,3,5−トリアジンおよび1,2,4−トリアジン、トリアゾール、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール等があげられる。
【0072】
本願明細書で使用するとき、「ヒドロキシル」の用語は、式−OHで表される。
【0073】
本願明細書で使用するとき、「ケトン」の用語は、式A
1C(O)A
2で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であり得る。
【0074】
本願明細書で使用するとき、「アジド」の用語は、式−N
3で表される。
【0075】
本願明細書で使用するとき、「ニトロ」の用語は、式−NO
2で表される。
【0076】
本願明細書で使用するとき、「ニトリル」の用語は、式−CNで表される。
【0077】
本願明細書で使用するとき、「シリル」の用語は、式−SiA
1A
2A
3で表され、A
1、A
2およびA
3は、独立して、水素または、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールもしくはヘテロアリールの基であり得る。
【0078】
本願明細書で使用するとき、「スルホ−オキソ」の用語は、式−S(O)A
1、−S(O)
2A
1、−OS(O)
2A
1または−OS(O)
2OA
1で表され、A
1は、水素または、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールもしくはヘテロアリールの基であり得る。この明細書全体を通して、「S(O)」は、S=Oに関する略記法である。本願明細書において、「スルホニル」の用語は、式−S(O)
2A
1で表されるスルホ−オキソ基を意味するのに使用され、A
1は、水素または、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールもしくはヘテロアリールの基であり得る。本願明細書で使用するとき、「スルホン」の用語は、式A
1S(O)
2A
2で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であり得る。本願明細書で使用するとき、「スルホキシド」の用語は、式A
1S(O)A
2で表され、A
1およびA
2は、独立して、本願明細書に記載の、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリールの基であり得る。
【0079】
本願明細書で使用するとき、「チオール」の用語は、式−SHで表される。
【0080】
本願明細書で使用するとき、「R
1」、「R
2」、「R
3」、「R
n」(nは、整数である。)は、独立して、上記列記された1つ以上の基を有し得る。例えば、R
1が、直鎖状のアルキル基である場合、前記アルキル基の水素原子の1つは、場合により、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロゲン化物等で置換され得る。選択された前記基に応じて、第1の基が、第2の基内に包含され、または、前記第1の基が、前記第2の基に吊り下げられ(付着され)得る。例えば、「アミノ基を含むアルキル基」の表現に関して、前記アミノ基は、前記アルキル基の骨格内に包含され得る。または、前記アミノ基は、前記アルキル基の骨格に付着され得る。選択される前記基の性質は、前記第1の基が前記第2の基に埋め込まれるか、または、付着されるかを決定するであろう。
【0081】
本願明細書で記載するとき、本発明の化合物は、「場合により置換されている」部分を含んでもよい。一般的には、「場合により」の用語により前置きされているか、または、前置きされていない「置換されている」の用語は、指定された部分の1つ以上の水素が、適切な置換基で置き替えられていることを意味する。特に断らない限り、「場合により置換されている」基は、前記基の各置換可能な位置に適切な置換基を有し得る。任意の所定の構造における2つ以上の位置が、規定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、前記置換基は、全ての位置で同一でも異なってもよい。この発明により想起される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定または化学的に実現可能な化合物の構成をもたらすものである。ある態様では、はっきりと反対のことを示さない限り、個々の置換基が、場合により、さらに置換され得る(すなわち、さらに置換されているか、または、置換されない)ことも検討される。
【0082】
「場合により置換されている」基の置換可能な炭素原子における適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;−(CH
2)
0−4R°;−(CH
2)
0−4OR°;−O(CH
2)
0−4R°、−O(CH
2)
0−4C(O)OR°;−(CH
2)
0−4CH(OR°)
2;−(CH
2)
0−4SR°;R°で置換されてもよい−(CH
2)
0−4Ph;R°で置換されてもよい−(CH
2)
0−4O(CH
2)
0−1Ph;R°で置換されてもよい−CH=CHPh;R°で置換されてもよい−(CH
2)
0−4O(CH
2)
0−1−ピリジル;−NO
2;−CN;−N
3;−(CH
2)
0−4N(R°)
2;−(CH
2)
0−4N(R°)C(O)R°;−N(R°)C(S)R°;−(CH
2)
0−4N(R°)C(O)NR°
2;−N(R°)C(S)NR°
2;−(CH
2)
0−4N(R°)C(O)OR°;−N(R°)N(R°)C(O)R°;−N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;−N(R°)N(R°)C(O)OR°;−(CH
2)
0−4C(O)R°;−C(S)R°;−(CH
2)
0−4C(O)OR°;−(CH
2)
0−4C(O)SR°;−(CH
2)
0−4C(O)OSiR°
3;−(CH
2)
0−4OC(O)R°;−OC(O)(CH
2)
0−4SR−、SC(S)SR°;−(CH
2)
0−4SC(O)R°;−(CH
2)
0−4C(O)NR°
2;−C(S)NR°
2;−C(S)SR°;−SC(S)SR°;−(CH
2)
0−4OC(O)NR°
2;−C(O)N(OR°)R°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CH
2C(O)R°;−C(NOR°)R°;−(CH
2)
0−4SSR°;−(CH
2)
0−4S(O)
2R°;−(CH
2)
0−4S(O)
2OR°;−(CH
2)
0−4OS(O)
2R°;−S(O)
2NR°
2;−(CH
2)
0−4S(O)R°;−N(R°)S(O)
2NR°
2;−N(R°)S(O)
2R°;−N(OR°)R°;−C(NH)NR°
2;−P(O)
2R°;−P(O)R°
2;−OP(O)R°
2;−OP(O)(OR°)
2;SiR°
3;−(C
1−4直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン)O−N(R°)
2;または−(C
1−4直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン)C(O)O−N(R°)
2であり、各R°は、以下に規定のように置換されてもよく、独立して、水素、C
1−6脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0−1Ph、−CH
2−(5−6員ヘテロアリール環)または5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環または、上記規定に関わらず、この介在原子によりまとめられて、3−12員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有し、以下に規定のように置換されていてもよいアリールモノ−もしくはビシクロ環を形成する、独立して存在する2つのR°である。
【0083】
R°(または、独立して存在する2つのR°を、この介在原子でまとめることにより形成される環)における適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン、−(CH
2)
0−2R
●、−(ハロR
●)、−(CH
2)
0−2OH、−(CH
2)
0−2OR
●、−(CH
2)
0−2CH(OR
●)
2;−O(ハロR
●)、−CN、−N
3、−(CH
2)
0−2C(O)R
●、−(CH
2)
0−2C(O)OH、−(CH
2)
0−2C(O)OR
●、−(CH
2)
0−2SR
●、−(CH
2)
0−2SH、−(CH
2)
0−2NH
2、−(CH
2)
0−2NHR
●、−(CH
2)
0−2NR
●2、−NO
2、−SiR
●3、−OSiR
●3、−C(O)SR
●、−(C
1−4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン)C(O)OR
●または−SSR
●であり、各R
●は、非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1−4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0−1Phまたは5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環である。R°の飽和炭素原子における適切な二価の置換基としては、=Oおよび=Sがあげられる。
【0084】
「場合により置換されている」基の飽和炭素原子における適切な二価の置換基としては、下記:=O、=S、=NNR
*2、=NNHC(O)R
*、=NNHC(O)OR
*、=NNHS(O)
2R
*、=NR
*、=NOR
*、−O(C(R
*2))
2−3O−または−S(C(R
*2))
2−3S−があげられ、R
*は、それぞれ独立して、水素、以下に規定のように置換されていてもよいC
1−6脂肪族、または、非置換の5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。「場合により置換されている」基の近隣の置換可能な炭素に結合される適切な二価の置換基としては、−O(CR
*2)
2−3O−があげられ、R
*は、それぞれ独立して、水素、以下に規定のように置換されていてもよいC
1−6脂肪族、または、非置換の5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。
【0085】
R
*の脂肪族基における適切な置換基としては、ハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2または−NO
2があげられ、各R
●は、非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1−4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0−1Phまたは5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0086】
「場合により置換されている」基の置換可能な窒素における適切な置換基としては、−R
†、−NR
†2、−C(O)R
†、−C(O)OR
†、−C(O)C(O)R
†、−C(O)CH
2C(O)R
†、−S(O)
2R
†、−S(O)
2NR
†2、−C(S)NR
†2、−C(NH)NR
†2または−N(R
†)S(O)
2R
†があげられ、各R
†は、独立して、水素、以下に規定のように置換されていてもよいC
1−6脂肪族、非置換の−OPhまたは非置換の5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環または、上記定義に関わらず、この介在原子によりまとめられて、非置換の3−12員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリールモノ−もしくはビシクロ環を形成する、独立して存在する2つのR
†である。
【0087】
R
†の脂肪族基における適切な置換基は、独立して、ハロゲン、−R
●、−(ハロR
●)、−OH、−OR
●、−O(ハロR
●)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR
●、−NH
2、−NHR
●、−NR
●2または−NO
2であり、各R
●は、非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C
1−4脂肪族、−CH
2Ph、−O(CH
2)
0−1Phまたは5−6員の飽和、部分的に不飽和もしくは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0−4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0088】
「脱離基」の用語は、これと結合電子とをまとめる安定的な種として置き替えられ得る、電子吸引能を有する原子(または原子群)を意味する。適切な脱離基としては、例えば、ハロゲン化物−例えば、クロロ、ブロモおよびヨード−ならびに擬ハロゲン化物(スルホネートエステル)−例えば、トリフレート、メシレート、トシレートおよびブロシレートがあげられる。ヒドロキシル部分が、Mitsunobu反応により脱離基に変換され得ることも検討される。
【0089】
「加水分解性基」および「加水分解性部分」の用語は、例えば、塩基性または酸性条件下において、加水分解を受けることが可能な官能基を意味する。加水分解性残基としては、例えば、制限されず、酸ハロゲン化物、活性化カルボン酸および、当該分野において公知の種々の保護基(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene,P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience,1999を参照のこと。)があげられる。
【0090】
「保護基」の用語は、特定の化合物の保護された誘導体を生じる、化合物の1つ以上の官能基を保護する基を意味する。保護され得る官能基は、例として、アミノ基、ヒドロキシル基等を含む。保護基は、当業者に周知であり、例えば、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley,New York,1999およびこれに引用される参考文献に記載されている。
【0091】
「アミノ−保護基」の用語は、アミノ基での望ましくない反応を防止するのに適切な保護基を意味し、制限されず、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリチル(Tr)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ホルミル、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−フルオロベンジル、p−クロロベンジル、p−ブロモベンジル、ジフェニルメチル、ナフチルメチル、テトラヒドロピラン(THP)等があげられる。
【0092】
「ヒドロキシル−保護基」の用語は、ヒドロキシル基での望ましくない反応を防止するのに適切な保護基を意味する。代表的なヒドロキシル−保護基としては、制限されず、シリル基、例えば、トリ(1−6C)−アルキルシリル基、例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)等;エステル(アシル基)、例えば、(1−6C)−アルカノイル基、例えば、ホルミル、アセチル等;アリールメチル基、例えば、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)、テトラヒドロピラン(THP)、メトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、ベンジルオキシメチル(BOM)等があげられる。
【0093】
「有機残基」の用語は、炭素含有残基、すなわち、少なくとも1つの炭素原子を含む残基を規定し、制限されず、上記規定の炭素含有基、残基または基があげられる。有機残基は、種々のヘテロ原子を含み得るか、または、ヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン等により別の分子に結合され得る。有機残基としては、例えば、制限されず、アルキルもしくは置換アルキル、アルコキシもしくは置換アルコキシ、一置換もしくは二置換のアミノ、アミド基等があげられる。有機残基は、好ましくは、1から18個の炭素原子、1から15個の炭素原子、1から12個の炭素原子、1から8個の炭素原子、1から6個の炭素原子または1から4個の炭素原子を含み得る。更なる態様では、有機残基は、2から18個の炭素原子、2から15個の炭素原子、2から12個の炭素原子、2から8個の炭素原子、2から4個の炭素原子または2から4個の炭素原子を含み得る。
【0094】
前記「残基」の非常に近い同義語は、本明細書および結びの特許請求の範囲において使用されるように、「基」の用語であり、分子がどのようにして調製されるかに関わらず、本願明細書に記載の分子のフラグメント、基または基礎構造を意味する。例えば、特定の化合物における2,4−チアゾリジンジオン基は、チアゾリジンジオンが前記化合物を調製するのに使用されるかどうかに関わらず、化学構造:
【0095】
【化1】
を有する。一部の実施形態では、前記基(例えば、アルキル)は、1つ以上の「置換される基」が、これに結合されていることにより、さらに修飾され得る(すなわち、置換アルキル)。所定の基における原子の数は、本願明細書の他の場所でこれと反対のことが示されない限り、本発明では重要ではない。
【0096】
用語として規定され、本願明細書で使用される「有機基」は、1つ以上の炭素原子を含む。有機基は、例えば、1−26個の炭素原子、1−18個の炭素原子、1−12個の炭素原子、1−8個の炭素原子、1−6個の炭素原子または1−4個の炭素原子を有し得る。更なる態様では、有機基は、例えば、2−26個の炭素原子、2−18個の炭素原子、2−12個の炭素原子、2−8個の炭素原子、2−6個の炭素原子または2−4個の炭素原子を有し得る。有機基は、前記有機基における少なくとも一部の炭素原子に結合されている水素を有することがよくある。無機原子を含まない有機基の一例は、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル基である。一部の実施形態では、有機基は、これにまたはこの中に結合される1−10個の無機ヘテロ原子、例えば、ハロゲン、酸素、硫黄、窒素、リン等を含み得る。有機基としては、例えば、制限されず、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルオキシ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、チオハロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、複素環または置換複素環基があげられ、前記用語は、本願明細書の他の場所で規定される。ヘテロ原子を含む有機基の2、3の非限定的な例としては、アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、アセトキシ基、ジメチルアミノ基等があげられる。
【0097】
用語として規定され、本願明細書で使用される「無機基」は、炭素原子を含まず、このため、炭素以外の原子のみを含む。無機基は、水素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、セレンならびにハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される、原子の結合された組み合わせを含む。前記原子は、個別に存在し得るか、または、この化学的に安定な組み合わせで互いに結合され得る。無機基は、10個以下または好ましくは、1から6個または1から4個の、互いに結合された上記列記の無機原子を有する。無機基としては、例えば、制限されず、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、チオール、サルフェート、ホスフェートおよび例えば、一般的に公知の無機基があげられる。前記無機基は、周期表の金属元素(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属)と、この中で結合されていないが、このような金属イオンは、アニオン性無機基、例えば、サルフェート、ホスフェートまたはアニオン様無機基についての、医薬として許容されるカチオンとして機能することもある。無機基は、本願明細書の他の場所で特に断らない限り、半金属元素、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、スズ、鉛もしくはテルルまたは希ガスの元素を含まない。
【0098】
本願明細書に記載の化合物は、1つ以上の二重結合を含み得るため、潜在的に、シス/トランス(E/Z)異性体ならびに他の構造異性体を生じる。反対の記載がない限り、本発明は、全てのこのような可能性のある異性体ならびにこのような異性体の混合物を含む。
【0099】
反対の記載がない限り、実線だけでなく、楔線または破線として示される化学結合を有する式は、各可能性のある異性体、例えば、各鏡像異性体およびジアステレオマーならびに異性体の混合物、例えば、ラセミまたはスカレミックの混合物を検討する。本願明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得るため、潜在的に、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じる。反対の記載がない限り、本発明は、全てのこのような可能性のあるジアステレオマーおよびこのラセミ混合物、この実質的に純粋な分割鏡像異性体、全ての可能性のある幾何異性体ならびにこの医薬として許容される塩を含む。立体異性体の混合物および単離された特定の立体異性体も含まれる。このような化合物を調製するのに使用される一連の合成手順中、または、当業者に公知のラセミ化または異性化の手順を使用することにおいて、このような手順の生成物は、立体異性体の混合物であり得る。
【0100】
多くの有機化合物は、平面偏光の面を回転させる能力を有する光学活性型で存在する。光学活性化合物の説明において、DおよびLまたはRおよびSの接頭辞は、このキラル中心についての分子の絶対配置を意味するのに使用される。dならびに/または(+)および(−)の接頭辞は、前記化合物による平面偏光の回転のサインを命名するのに使用される。(−)またはlは、前記化合物が反時計回りであることを意味する。(+)またはdの接頭辞の化合物は、時計回りである。所定の化学構造に関して、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、これらが、互いに重ねあわせることができる鏡像でないこと以外は同一である。特定の立体異性体は、鏡像異性体とも呼ばれ得る。このような異性体の混合物は、エナンチオマ混合物と呼ばれることがよくある。鏡像異性体の50:50の混合物は、ラセミ混合物と呼ばれる。本願明細書に記載の多くの化合物は、1つ以上のキラル中心を有し得るため、種々の鏡像異性体型で存在し得る。必要であれば、キラル炭素は、アスタリスク(
*)で指定され得る。前記キラル炭素への結合が、前記開示の式における直線として表される場合、前記キラル炭素の(R)および(S)の両方の構成、したがって、両方の鏡像異性体およびこの混合物が、前記式内に包含することが理解される。当該分野において使用されるように、キラル炭素についての絶対配置を特定するのが望ましい場合、前記キラル炭素への結合の一方は、楔型として表され得る(平面上の原子への結合)。他方は、一続きまたは楔型の短い平行線として表され得る(前記平面下の原子への結合)。Cahn−Inglod−Prelog法が、キラル炭素に対する(R)または(S)構成を選定するのに使用され得る。
【0101】
本願明細書に記載の化合物は、この天然同位体存在度および非天然存在度の両方での原子を含む。本開示の化合物は、記載されたものと同一であるが、1つ以上の原子が、典型的に天然に見出される原子数または質量数とは異なる原子数または質量数を有する原子により置き替えられている点で、同位体的に標識され、または、同位体的に置換されている化合物であり得る。本発明の化合物に包含され得る同位体としては、例えば、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
35S、
18Fおよび
36Clがあげられる。化合物は、さらに、前述の同位体および/または、本発明の範囲内である他の原子の他の同位体を含む、このプロドラッグ、前記化合物または前記プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。本発明の特定の同位体的に標識された化合物、例えば、放射性同位体、例えば、
3Hおよび
14Cが包含されているものが、薬剤および/または基質組織分散アッセイに有用である。トリチウム化、すなわち、
3Hおよび炭素−14、すなわち、
14Cの同位体は、この調製の容易さおよび検出性のために特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、
2Hは、より高い代謝安定性、例えば、向上したインビボにおける半減期または低減された用量要求による特定の治療的利点を与えることができ、したがって、一部の状況において好ましくあり得る。本発明の同位体的に標識された化合物およびこのプロドラッグは、一般的に、以下の手順を行い、同位体的に標識されていない試薬を、容易に入手できる同位体的に標識された試薬に置き替えることにより調製され得る。
【0102】
本発明に記載の化合物は、溶媒和物として存在し得る。一部の場合には、前記溶媒和物を調製するのに使用される溶媒は、水溶液である。この場合、前記溶媒和物は、しばしば、水和物と呼ばれる。前記化合物は、水和物として存在し得る。前記水和物は、例えば、溶媒または水溶液からの結晶化により取得され得る。これに関連して、1、2、3または任意の数の溶媒和物または水分子が、本発明に基づく化合物と組み合わさって、溶媒和物および水和物を形成し得る。反対の記載がない限り、本発明は、全てのこのような可能性のある溶媒和物を含む。
【0103】
「共結晶」の用語は、非共有の相互作用によるこの安定性を有する、2つ以上の分子の物理的な関連を意味する。この分子複合体の1つ以上の成分は、結晶格子における安定な枠組みを提供する。ある例では、ゲスト分子が酸無水物または溶媒和物として前記結晶格子に包含される。例えば、「Crystal Engineering of the Composition of Pharmaceutical Phases.Do Pharmaceutical Co−crystals Represent a New Path to Improved Medicines?」Almarasson,O.,et.al.,The Royal Society of Chemistry,1889−1896,2004を参照のこと。共結晶としては、例えば、p−トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸があげられる。
【0104】
本願明細書に記載の特定の化合物は、互変異性体の平衡として存在し得ることも理解される。例えば、α−水素を有するケトンは、ケト型およびエノール型の平衡で存在し得る。
【0106】
同様に、N−水素を有するアミドは、アミド型およびイミド酸型の平衡で存在し得る。反対の記載がない限り、本発明は、全てのこのような可能性のある互変異性体を含む。
【0107】
化学物質が、多形体または変形と呼ばれる様式の異なる状態で存在する固形物を形成するのは公知である。前記多形物質の種々の変形は、この物理的特性において大きく異なり得る。本発明に基づく化合物は、特定の変形が準安定であることを可能にする、種々の多形体で存在し得る。反対の記載がない限り、本発明は、全てのこのような可能性のある多形体を含む。
【0108】
一部の態様では、化合物の化学構造は、式:
【0109】
【化3】
により表され得る。前記式は、式:
【0110】
【化4】
と同等であると理解される。
【0111】
前記式中、nは、典型的には、整数である。すなわち、R
nは、5つの独立した置換基、R
n(a)、R
n(b)、R
n(c)、R
n(d)、R
n(e)を表すと理解される。「独立した置換基」は、各R置換基が、独立して規定され得ることを意味する。例えば、R
n(a)が、ハロゲンである一例では、この場合、R
n(b)は、この例において、必ずしもハロゲンである必要はない。
【0112】
本願明細書に開示の特定の材料、化合物、組成物および成分は、商業的に取得され得るか、または、当業者に一般的に公知の技術を使用して容易に合成され得る。例えば、本開示の化合物および組成物を調製するのに使用される開始材料および試薬は、商業的な供給元、例えば、Sigma−Aldrich Chemical Co.,(Milwaukee、WI.)、Acros Organics(Morris Plains、NJ)、Fisher Scientific(Pittsburgh、PA.)もしくはSigma(St.Louis、MO.)のいずれかから入手できるか、または、参考文献、例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes 1−40(John Wiley and Sons,1991);March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition);および、Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)に説明される手順に従って、当業者に公知の方法により調製される。
【0113】
明確に記載しない限り、本願明細書で説明される任意の方法は、この工程が特定の順序で行われることが必要であると解釈されることを全く意図しない。したがって、方法の請求項が、この工程を続ける順序を実際に言及していないか、または、前記請求項もしくは説明において、前記工程が特定の順序に限定されることが特に記載されていない場合、いずれの態様においても、順序が推測されることを全く意図しない。これは、解釈のための任意の可能性のある表現されていない基礎、例えば、工程または操作フローの配列に関する論理;文法構成もしくは句読点から生じる平易な意味および本明細書に記載の実施形態の数もしくは種類を維持する。
【0114】
本発明の組成物および本願明細書に開示の方法内で使用されるこの組成物を調製するのに使用される成分が開示される。これらおよび他の材料が、本願明細書に開示され、これらの材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、群等が開示される場合、個別の様々な個々のおよび集合的な組み合わせならびにこれらの化合物の順列における具体的な言及は、はっきりと開示されないが、それぞれは、本願明細書において具体的に検討され、記載されると理解される。例えば、特定の化合物が開示および記載され、前記化合物を含む数多くの分子についてなされ得る数多くの変形が記載される場合、反対に記載されない限り可能である、前記化合物および前記変形のそれぞれおよび全ての組み合わせおよび順列が具体的に検討される。このため、分子A、BおよびCの分類が開示され、分子D、EおよびFならびに分子の組み合わせの一例であるA−Dが開示される、この場合、それぞれが個々に言及されなくても、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが開示されていると見なされると意味すると、それぞれが個々におよび集合的に検討される。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせも開示される。このため、例えば、A−E、B−FおよびC−Eの部分群が、開示されていると見なされる。この概念は、この出願の全ての態様、例えば、制限されず、本発明の組成物を製造する方法および同組成物を使用する方法における工程に適用する。したがって、行われ得る各種の更なる工程が存在する場合、これらの更なる工程のそれぞれは、本発明の方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで行われ得ることが理解される。
【0115】
本願明細書に開示の組成物が、特定の機能を有することが理解される。本願明細書では、本開示の機能に実行するための特定の構造的要求が開示される。本開示の構造に関連する同一の機能を実行し得る各種の構造が存在すること、および、これらの構造が典型的に同一の結果を達成するであろうことが理解される。
【0116】
B.化合物
一態様では、本発明は、ヒストン脱メチル化酵素の阻害剤として有用な化合物に関する。更なる態様では、前記化合物は、リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素(「LSD」)の阻害剤として有用である。さらに、一態様では、本発明の化合物は、制御されない細胞増殖の障害の処置に有用である。更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、癌または腫瘍である。なお更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、本願明細書にさらに記載のように、LSD機能不全に関連する。
【0117】
各開示の誘導体は、場合によりさらに置換され得ることが検討される。任意の1つ以上の誘導体が、場合により、本発明から省略され得ることも検討される。開示の化合物が本開示の方法により提供され得ることが理解される。本開示の化合物が本開示の使用方法に使用され得ることも理解される。
【0118】
1.化学構造
一態様では、本発明は、式(I):
【0119】
【化5】
で表される化学構造を有する化合物または、この医薬として許容される塩に関する。式中、mは、0または1であり;nは、0から3の整数であり;zは、NおよびCHから独立して選択され;R
1は、ハロ、C1−C3ハロアルキルおよびC1−C3ポリハロアルキルから選択され;R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、C2−C6アルカルコキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル、C1−C6ポリハロアルキルおよびC1−C6ハロアルキルから選択され;R
5は、NR
6R
7、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキルおよびCyから選択され、および、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、C2−C6アルカルコキシ、C1−C6アルキルアルコール、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル、C1−C6ポリハロアルキル、C1−C6ハロアルキル、C3−C6シクロアルキルおよびCyから独立して選択される0−3個の基で置換され;Cyは、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、オキサゾリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、オキサジナニル(oxazinanyl)、モルホリニル、ヘキサヒドロフィリミジニルおよびヘキサヒドロピリダジニルから選択されるヘテロシクロアルキルであり;ならびに、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキルおよびC3−C6ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0121】
【化6】
C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキルおよびCyから選択され、R
8a、R
8b、R
8c、R
8dおよびR
8eは、それぞれ独立して、水素、ハロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、C2−C6アルコキシアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3ハロアルキルおよびC1−C3ポリハロアルキルおよびC1−C6アルキルから選択され、ならびに、R
9a、R
9b、R
9cおよびR
9dは、それぞれ独立して、水素、アミノ、ハロ、ヒドロキシル、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3ハロアルキル、C1−C3ポリハロアルキル、アジリジニル、アゼチジニルおよびピロリジニルから選択される。
【0123】
【化7】
からなる群から選択される化合物または、この医薬として許容される塩を提供する。
【0124】
さらに他の実施形態では、本発明は、式:
【0125】
【化8】
で表される化学構造を有する化合物または、この医薬として許容される塩を提供する。
【0126】
さらに他の実施形態では、本発明は、式:
【0127】
【化9】
で表される化学構造を有する化合物または、この医薬として許容される塩を提供する。
【0128】
さらに他の実施形態では、本発明は、式:
【0129】
【化10】
で表される化学構造を有する化合物または、この医薬として許容される塩を提供する。
【0130】
本発明は、治療上有効量の本発明のいずれかの化合物および、医薬として許容される担体を含む医薬組成物も提供する。
【0131】
本発明は、哺乳類における制御されない細胞増殖の障害の処置をするための方法であって、有効量の本発明のいずれかの化合物を、前記哺乳類に投与する工程を含む方法も提供する。
【0132】
本発明は、哺乳類におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させるための方法であって、有効量の本発明のいずれかの化合物を、前記哺乳類に投与する工程を含む方法を提供する。
【0133】
2.ヒストン脱メチル化酵素活性の阻害
一態様では、本開示の化合物は、LSDタンパク質の活性の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD1タンパク質の活性の選択的な阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD2タンパク質の活性の選択的な阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD脱メチル化酵素の活性を阻害する。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSDのFADドメインへの結合を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、Lys4部位でのヒストン3(H3)のLSD媒介性脱メチル化の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、H3K3m1およびH3K4me2のLSD媒介性脱メチル化の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、H3K9me2およびH3K9me1のLSD媒介性脱メチル化の阻害を示す。
【0134】
なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD1脱メチル化酵素の活性を阻害する。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD1のFADドメインへの結合を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、Lys4部位でのヒストン3(H3)のLSD1媒介性脱メチル化の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、H3K3m1およびH3K4me2のLSD1媒介性脱メチル化の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、H3K9me2およびH3K9me1のLSD1媒介性脱メチル化の阻害を示す。
【0135】
なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD2脱メチル化酵素の活性を阻害する。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD2のFADドメインへの結合を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、Lys4部位でのヒストン3(H3)のLSD2媒介性脱メチル化の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、H3K3m1およびH3K4me2のLSD2媒介性脱メチル化の阻害を示す。
【0136】
更なる態様では、本開示の化合物は、1つ以上のHDAC1/2、CoREST、CtBP1、BRAF35およびBHC80タンパク質を含む複合体とのLSDの相互作用の妨害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、HDAC1/2、CoREST、CtBP1、BRAF35およびBHC80タンパク質から選択される1つ以上のタンパク質へのLSD1の結合を妨害する。なお更なる態様では、本開示の化合物は、G9a、NSD3、HDAC1/2、CoREST、CtBP1、BRAF35およびBHC80タンパク質から選択される1つ以上のタンパク質へのLSD2の結合を妨害する。
【0137】
LSD活性の阻害は、当業者に公知の、各種のインビトロ法およびインビボ法の両方により測定され得る。例えば、酵素活性は、インビトロ酵素アッセイ系において測定され得る。種々の態様では、LSD1またはLSD2のいずれかの酵素活性は、分光光度アッセイにおいて測定され得る。要約すると、前記アッセイは、LSD1またはLSD2が、まず、ヒストンH3のN末端尾部の最初の21個のアミノ酸に対応するペプチドにおけるリジン4の脱メチル化中に、H
2O
2を産生する、多段階酵素反応に基づいている。西洋ワサビペルオキシダーゼの存在下において、前記産生されたH
2O
2が、ADHPと反応して、530−540nmの励起波長および585−595nmの発光波長で分析され得る、非常に蛍光性の化合物であるレゾルフィンを産生する。前記アッセイは、天然源(例えば、組織または培養細胞)から精製され、組換え的に発現されたタンパク質として単離され、または、全細胞抽出物における未精製のタンパク質としてのいずれかの、LSD1またはLSD2酵素源を必要とする。一態様では、本開示の化合物は、約300μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満または約100nM未満のEMSAアッセイにおけるIC
50での、LSDタンパク質活性の阻害を示す。更なる態様では、本開示の化合物は、約300μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満または約100nM未満のEMSAアッセイにおけるIC
50での、LSD1タンパク質活性の阻害を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、約300μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満または約100nM未満のEMSAアッセイにおけるIC
50での、LSD2タンパク質活性の阻害を示す。
【0138】
一態様では、本開示の化合物は、LSDに選択的である。更なる態様では、LSD活性の選択的阻害は、酵素アッセイを使用して測定される。種々の更なる態様では、前記化合物は、MAO Aおよび/またはMAO Bに関するIC
50未満のIC
50を有する酵素アッセイにおいて、LSD活性を阻害する。すなわち、開示の化合物は、MAO Aおよび/またはMAO Bと比較して、LSDタンパク質に関する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSDを阻害し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSDを阻害し得る。
【0139】
一態様では、本開示の化合物は、LSD1に選択的である。更なる態様では、LSD1活性の選択的阻害は、酵素アッセイを使用して測定される。種々の更なる態様では、前記化合物は、1つ以上のLSD2、MAO AおよびMAO Bに関するIC
50未満のIC
50を有する酵素アッセイにおいて、LSD1活性を阻害する。すなわち、開示の化合物は、1つ以上のLSD2、MAO AおよびMAO Bと比較して、LSD1タンパク質に関する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、LSD2に関するこれの約5倍未満、LSD2に関するこれの約10倍未満、LSD2に関するこれの約20倍未満、LSD2に関するこれの約30倍未満またはLSD2に関するこれの約50倍未満の、IC
50でLSD1を阻害し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSD1を阻害し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSD1を阻害し得る。
【0140】
一態様では、本開示の化合物は、LSD2に選択的である。更なる態様では、LSD2活性の選択的阻害は、酵素アッセイを使用して測定される。種々の更なる態様では、前記化合物は、1つ以上のLSD1、MAO AおよびMAO Bに関するIC
50未満のIC
50を有する酵素アッセイにおいて、LSD2活性を阻害する。すなわち、開示の化合物は、1つ以上のLSD1、MAO AおよびMAO Bと比較して、LSD2タンパク質に関する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、LSD1に関するこれの約5倍未満、LSD1に関するこれの約10倍未満、LSD1に関するこれの約20倍未満、LSD1に関するこれの約30倍未満またはLSD1に関するこれの約50倍未満の、IC
50でLSD2を阻害し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSD2を阻害し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、IC
50でLSD2を阻害し得る。
【0141】
種々の態様では、本開示の化合物は、LSDタンパク質への結合を示す。更なる態様では、本開示の化合物は、LSDタンパク質のFADドメインへの結合を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD1タンパク質への結合を示す。なお更なる態様では、本開示の化合物は、LSD2タンパク質への結合を示す。LSDタンパク質、例えば、LSD1タンパク質に対する開示の化合物の結合親和性は、当業者に公知の種々の方法で測定され得る。一態様では、本開示の化合物は、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満または約100nM未満の、K
DでLSDタンパク質への結合を示す。更なる態様では、前記K
Dは、SPR法を使用して測定される。なお更なる態様では、前記結合は、LSD1タンパク質を使用して測定される。なお更なる態様では、前記結合は、LSD2タンパク質を使用して測定される。
【0142】
種々の更なる態様では、LSDへの前記結合は、選択的である。更なる態様では、本開示の化合物は、MAO Aおよび/またはMAO BのK
D未満の、LSD結合に関するK
Dを示す。すなわち、開示の化合物は、MAO Aおよび/またはMAO Bタンパク質と比較して、前記LSDタンパク質に対する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSDに結合し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSDに結合し得る。
【0143】
種々の更なる態様では、LSD1への前記結合は、選択的である。更なる態様では、本開示の化合物は、1つ以上のLSD2、MAO AおよびMAO Bに関するK
D未満の、LSD1結合に関するK
Dを示す。すなわち、開示の化合物は、1つ以上のLSD2、MAO AおよびMAO Bタンパク質と比較して、前記LSD1タンパク質に対する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、LSD2に関するこれの約5倍未満、LSD2に関するこれの約10倍未満、LSD2に関するこれの約20倍未満、LSD2に関するこれの約30倍未満またはLSD2に関するこれの約50倍未満の、K
DでLSD1に結合し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSD1に結合し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSD1に結合し得る。
【0144】
種々の更なる態様では、LSD2への前記結合は、選択的である。更なる態様では、本開示の化合物は、1つ以上のLSD1、MAO AおよびMAO Bに関するK
D未満の、LSD2結合に関するK
Dを示す。すなわち、開示の化合物は、1つ以上のLSD1、MAO AおよびMAO Bタンパク質と比較して、前記LSD2タンパク質に対する選択性を有し得る。例えば、一態様では、開示の化合物は、LSD1に関するこれの約5倍未満、LSD1に関するこれの約10倍未満、LSD1に関するこれの約20倍未満、LSD1に関するこれの約30倍未満またはLSD1に関するこれの約50倍未満の、K
DでLSD2に結合し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Aに関するこれの約5倍未満、MAO Aに関するこれの約10倍未満、MAO Aに関するこれの約20倍未満、MAO Aに関するこれの約30倍未満、MAO Aに関するこれの約50倍未満、MAO Aに関するこれの約100倍未満、MAO Aに関するこれの約250倍未満、MAO Aに関するこれの約500倍未満、MAO Aに関するこれの約1000倍未満およびMAO Aに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSD2に結合し得る。更なる態様では、開示の化合物は、MAO Bに関するこれの約5倍未満、MAO Bに関するこれの約10倍未満、MAO Bに関するこれの約20倍未満、MAO Bに関するこれの約30倍未満、MAO Bに関するこれの約50倍未満、MAO Bに関するこれの約100倍未満、MAO Bに関するこれの約250倍未満、MAO Bに関するこれの約500倍未満、MAO Bに関するこれの約1000倍未満およびMAO Bに関するこれの約1000倍未満より大きい、K
DでLSD2に結合し得る。
【0145】
または、STATタンパク質の活性の阻害は、細胞ベースのアッセイにおいて測定され得る。当業者に公知のLSDタンパク質活性の阻害の測定に適した各種の細胞ベースのアッセイが存在する。例えば、細胞増殖阻害または細胞停止が、機能不全活性を有するLSDタンパク質を有する細胞、永久細胞株または初代細胞培養のいずれかを使用して測定され得る。更なる態様では、前記LSDタンパク質は、LSD1である。なお更なる態様では、前記LSDタンパク質は、LSD2である。なお更なる態様では、前記LSDタンパク質の機能不全は、前記LSDタンパク質が機能獲得型変異を獲得しているものである。または、前記LSDタンパク質の機能不全は、持続的または本質的な活性の表現型を有する。例えば、前記LSDタンパク質は、上流制御タンパク質における機能不全による、持続的または本質的な活性を有し得る。更なる態様では、前記LSDタンパク質は、LSD遺伝子の転写および/または翻訳の制御における機能不全のために、過剰発現される。更なる態様では、活性な癌遺伝子を抱える細胞は、LSDの機能不全に関連する。
【0146】
一態様では、本開示の化合物および開示の製造方法の生成物は、細胞増殖を阻害する。なお更なる態様では、本開示の化合物および開示の方法の生成物は、インビトロアッセイ系における細胞増殖を阻害する。なお更なる態様では、前記インビトロアッセイ系は、乳ガン、卵巣癌、精巣癌、肺ガン、肝臓癌、前立腺癌、膵臓癌および肉腫から選択される癌または腫瘍から派生した細胞株を使用する。なお更なる態様では、前記細胞株は、ヒトの供給源から派生される。なお更なる態様では、本開示の化合物は、持続的に活性なLSDタンパク質による細胞における細胞増殖を阻害する。なお更なる態様では、前記細胞株は、活性化されたLSDタンパク質を有する。なお更なる態様では、前記細胞株は、AN3 CA、BT−20、BT−549、HCT 116、HER218、MCF7、MDA−MB−231、MDA−MB−235、MDA−MB−435S、MDA−MB−468、PANC−1、PC−3、SK−N−MC、T−47DおよびU−87 MGから選択される。一態様では、本開示の化合物は、約500μM未満、約250μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満および約1nM未満の、IC
50でインビトロ細胞ベースのアッセイにおける細胞増殖活性の阻害を示す。
【0147】
一態様では、本開示の化合物および開示の製造方法の生成物は、細胞遊走を阻害する。なお更なる態様では、本開示の化合物および開示の方法の生成物は、インビトロアッセイ系における細胞遊走を阻害する。なお更なる態様では、前記インビトロアッセイ系は、乳ガン、卵巣癌、精巣癌、肺ガン、肝臓癌、前立腺癌、膵臓癌および肉腫から選択される癌または腫瘍から派生した細胞株を使用する。なお更なる態様では、前記細胞株は、ヒトの供給源から派生される。なお更なる態様では、本開示の化合物は、持続的に活性なLSDタンパク質による細胞における細胞増殖を阻害する。なお更なる態様では、前記細胞株は、活性化されたLSDタンパク質を有する。なお更なる態様では、前記細胞株は、AN3 CA、BT−20、BT−549、HCT 116、HER218、MCF7、MDA−MB−231、MDA−MB−235、MDA−MB−435S、MDA−MB−468、PANC−1、PC−3、SK−N−MC、T−47DおよびU−87 MGから選択される。一態様では、本開示の化合物は、約300μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約500nM未満または約100nM未満の、IC
50でインビトロ細胞ベースのアッセイにおける細胞遊走の阻害を示す。
【0148】
C.化合物の製造方法
一態様では、本発明は、LSDの阻害剤として有用な化合物を製造する方法に関する。更なる態様では、開示の製造方法の生成物は、LSD活性の修飾薬である。なお更なる態様では、開示の製造方法の生成物は、STATタンパク質に結合し、LSD活性をネガティブに調節する。一態様では、前記化合物は、サブタイプ選択性を示し得る。なお更なる態様では、本開示の製造方法の生成物は、LSDタンパク質ファミリーのLSD1メンバーに対する選択性を示す。なお更なる態様では、本開示の製造方法の生成物は、LSDタンパク質ファミリーのLSD2メンバーに対する選択性を示す。
【0149】
一態様では、本発明は、ヒストン脱メチル化酵素の阻害剤として有用な化合物を製造する方法に関する。前記阻害剤は、制御されない細胞増殖の障害の処置に有用であり得る。更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、LSD1である。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、LSD2である。
【0150】
この発明の化合物は、前記文献において公知の、実験のセクションにおいて例示され、または、当業者に明らかな、他の標準的な操作に加えて、下記のスキームに示される反応を使用することにより調製され得る。明確にするために、1つの置換基を有する例は、複数の置換基が本願明細書に開示の定義に基づいて許容されることを示される。
【0151】
この発明の化合物を生成するのに使用される反応は、前記文献において、または、当業者に公知の、他の標準的な操作に加えて、下記の反応スキームに示される反応を使用することにより調製される。下記の例は、本発明がより完全に理解され得るために提供され、説明するのみであり、限定して解釈されるべきではない。
【0152】
一態様では、本開示の化合物は、本願明細書に開示の合成方法の生成物を含む。更なる態様では、本開示の化合物は、本願明細書に開示の合成方法により生成された化合物を含む。なお更なる態様では、本発明は、治療上有効量の本開示の方法の生成物および、医薬として許容される担体を含む医薬組成物を含む。なお更なる態様では、本発明は、開示の化合物のいずれかの少なくとも1つの化合物または本開示の方法の少なくとも1つの生成物を、医薬として許容される担体または希釈剤と組み合わせることを含む医薬を製造するための方法を含む。
【0153】
1.経路I
一態様では、本発明の置換された(E)−N’−(1−フェニルエチリデン)ベンゾヒドラジド類似体が、以下に示す合成スキームにより、概ね調製され得る。
【0155】
化合物は、本願明細書の他の場所での化合物の記載において示した置換基を有する、一般形式で表される。より具体的な例が、以下に説明される。
【0157】
一態様では、経路Iは、適切な置換されている酸誘導体(1.1)で始まる。適切な置換されている酸誘導体(1.1)は、商業的に入手できるか、または、当業者により容易に調製され得る。典型的な反応では、適切な塩基、例えば、カリウムカーボネートの存在下において、適切な溶媒、例えば、THF中で、1.2型のアミン誘導体に、1.1型の化合物を添加する。反応を、室温(約15−30℃)で、反応を完了するのに十分な時間、例えば、約12時間攪拌する。反応の完了後、溶媒を真空下において除去し、1.3型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0158】
一態様では、1.4型の化合物を、エステル化反応による、1.3型の化合物とアルコールとの反応により調製し得る。典型的な反応では、1.3型の化合物を、適切なアルコール性溶媒、例えば、メタノール中で、酸触媒、例えば、濃硫酸の存在下において、反応を完了するのに十分な時間、例えば、一晩(約8−18時間)、適切な温度(例えば、還流で約65℃)で加熱する。反応の完了後、溶媒を真空下において除去し、1.4型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0159】
一態様では、1.4型の化合物は、適切なヒドラジン誘導体(NH2NHR4)との反応により、1.5型の化合物を提供し得る。典型的な反応では、1.4型の化合物を、適切なヒドラジン誘導体(NH2NHR4)に添加し、適切な溶媒、例えば、メタノール中で、反応を完了するのに十分な時間(例えば、約12時間)、適切な温度(例えば、還流で約65℃)で加熱する。反応の完了後、溶媒を真空下において除去し、1.5型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0160】
一態様では、1.5型の化合物は、適切なカルボニル含有化合物(1.6)との反応により、1.7型の化合物を提供し得る。典型的な反応では、1.6型の化合物および適切なヒドラジン誘導体(1.5)を、適切な酸触媒(例えば、酢酸)の存在下において、適切な溶媒、例えば、メタノールに溶解する。混合物を、マイクロ波反応装置を使用して、反応を完了するのに十分な時間(例えば、約30分)、適切な温度、例えば、約120℃で加熱する。反応の完了および冷却後、溶媒を真空下において除去し、1.7型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0161】
2.経路II
一態様では、本発明の置換された(E)−N’−(1−フェニルエチリデン)ベンゾヒドラジド類似体が、以下に示す合成スキームにより、概ね調製され得る。
【0163】
化合物は、本願明細書の他の場所での化合物の記載において示した置換基を有する、一般形式で表される。より具体的な例が、以下に説明される。
【0165】
一態様では、経路IIは、適切な置換されている酸誘導体(2.1)で始まる。適切な置換されている酸誘導体(2.1)は、商業的に入手できるか、または、当業者により容易に調製され得る。一態様では、2.2型の化合物を、エステル化反応による、2.1型の化合物とアルコールとの反応により調製され得る。典型的な反応では、2.1型の化合物を、適切なアルコール性溶媒、例えば、メタノール中で、酸触媒、例えば、濃硫酸の存在下において、前記反応を完了するのに十分な時間、例えば、一晩(約8−18時間)、適切な温度(例えば、還流で約70℃)で加熱する。前記反応の完了後、前記溶媒を真空下において除去し、2.2型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0166】
一態様では、2.2型の化合物は、適切なヒドラジン誘導体(NH
2NHR
4)との反応により、2.3型の化合物を提供し得る。典型的な反応では、2.2型の化合物を、適切なヒドラジン誘導体(NH
2NHR
4)に添加し、適切な溶媒、例えば、メタノール中で、前記反応を完了するのに十分な時間、例えば、一晩(8−18時間)、適切な温度(例えば、還流で約70℃)で加熱する。前記反応の完了後、前記溶媒を真空下において除去し、2.3型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0167】
一態様では、2.3型の化合物は、適切なカルボニル含有化合物(2.4)との反応により、2.5型の化合物を提供するのに使用され得る。典型的な反応では、2.4型の化合物および適切なヒドラジン誘導体(2.3)を、適切な酸触媒(例えば、酢酸)の存在下において、適切な溶媒、例えば、メタノールに溶解する。前記混合物を、マイクロ波反応装置を使用して、前記反応を完了するのに十分な時間(例えば、約30分)、適切な温度、例えば、約120℃で加熱する。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を真空下において除去し、2.5型の化合物を、クロマトグラフィーにより単離および精製する。
【0168】
更なる態様では、産生された前記化合物は、ヒストン脱メチル化酵素の阻害を示す。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、ヒストン脱メチル化酵素のリジン特異的(LSD)ファミリーのメンバーである。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、LSD1である。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、LSD2である。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、細胞生存性の阻害を示す。
【0169】
更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−4M未満のIC
50での阻害を示す。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−5M未満のIC
50での阻害を示す。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−6M未満のIC
50での阻害を示す。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−7M未満のIC
50での阻害を示す。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−8M未満のIC
50での阻害を示す。なお更なる態様では、産生された前記化合物は、約1.0×10
−9M未満のIC
50での阻害を示す。
【0170】
各開示の方法は、さらに、更なる工程、操作および/または成分を含み得ることが検討される。任意の1つ以上の工程操作および/または成分が、場合により、本発明から省略され得ることも検討される。開示の方法が、本開示の化合物を提供するのに使用され得ることが理解される。本開示の方法の生成物が、本開示の使用方法に使用され得ることも理解される。
【0171】
D.医薬組成物
一態様では、本発明は、本開示の化合物を含む医薬組成物に関する。すなわち、医薬組成物は、治療上有効量の少なくとも1つの開示の化合物または少なくとも1つの開示の方法の生成物および、医薬として許容される担体を含むことを条件とされ得る。
【0172】
更なる態様では、本発明は、医薬として許容される担体と、有効量の開示の合成方法の生成物とを含む、医薬組成物に関する。更なる態様では、前記有効量は、治療上有効量である。更なる態様では、前記有効量は、予防的に有効量である。更なる態様では、前記化合物は、開示の化合物である。
【0173】
ある態様では、本開示の医薬組成物は、活性成分としての、本開示の化合物(例えば、この医薬として許容される塩)、医薬として許容される担体、および場合により、他の治療成分または補助剤を含む。本例の組成物は、経口、直腸、局所および非経口(例えば、皮下、筋肉内および静脈内)の投与に適したものを含むが、任意の所定の場合において最も適切な経路は、前記活性成分が投与される、具体的なホストならびに症状の性質および重症度により決まるであろう。前記医薬組成物は、使いやすい剤形単位で存在し、調剤学の分野において周知の方法のいずれかにより調製され得る。
【0174】
本願明細書で使用するとき、「医薬として許容される塩」の用語は、医薬として許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩を意味する。本発明の化合物が酸性である場合、この対応する塩は、医薬として許容される非毒性の塩基、例えば、無機塩基および有機塩基から、都合よく調製され得る。このような無機塩基から派生する塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(酸化第二銅および酸化第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(酸化第二マンガンおよび酸化第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩があげられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が、特に好ましい。医薬として許容される有機の非毒性塩基から派生する塩としては、一級、二級および三級のアミンならびに環状アミンおよび置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミンおよび合成された置換アミンの塩があげられる。塩が形成され得る他の医薬として許容される有機の非毒性塩基としては、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等があげられる。
【0175】
本願明細書で使用するとき、「医薬として許容される非毒性の酸」の用語としては、無機酸、有機酸およびこれらから調製された塩、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等があげられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が好ましい。
【0176】
実際には、本発明の化合物またはこの発明のこの医薬として許容される塩は、従来の医薬配合技術に基づく医薬担体との密接な混合において、活性成分として組み合わせられ得る。前記担体は、所望の投与、例えば、経口または非経口(例えば、静脈内)のための調製物の形態に応じて、幅広い各種の形態をとり得る。このため、本発明の医薬組成物は、所定量の前記活性成分をそれぞれ含む、経口投与に適した個別の単位、例えば、カプセル剤、カシェ剤、または錠剤として存在し得る。さらに、前記組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液における懸濁液として、非水性液として、水中油のエマルジョンとしてまたは油中水の液体エマルジョンとして存在し得る。上記提示の一般的な製剤に加えて、本発明の化合物および/またはこの医薬として許容される塩は、徐放の手段および/または送達装置によっても投与され得る。前記組成物は、調剤法のいずれかにより調製され得る。一般的に、このような方法は、前記活性成分を1つ以上の必要な成分を構成する担体との関連で結合させる工程を含む。一般的に、前記組成物は、前記活性成分を、液体状の担体もしくは微細化された固体状の担体または両方と、均一で密接に混合することにより調製される。次に、前記生成物が、所望の形状に都合よく成形される。
【0177】
したがって、この発明の医薬組成物は、医薬として許容される担体と、本発明の化合物または本発明の化合物の医薬として許容される塩とを含み得る。本発明の化合物またはこの医薬として許容される塩は、1つ以上の他の治療的に活性な化合物との組み合わせで、医薬組成物に含まれることもできる。
【0178】
使用される前記医薬担体は、例えば、固体状、液体状またはガス状であり得る。固体状の担体としては、例えば、ラクトース、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、マグネシウムステアレート、ステアリン酸があげられる。液体状の担体は、例えば、液糖、ピーナッツ油、オリーブ油および水である。ガス状の担体としては、例えば、二酸化炭素および窒素があげられる。
【0179】
経口剤形用の組成物の調製において、任意の使いやすい医薬媒体が、使用され得る。例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤等が、経口の液体状調製物、例えば、懸濁液、エリキシル剤、溶液を形成するのに使用され得る。一方、デンプン、糖、微結晶セルロール、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤等の担体が、経口の固体状調製物、例えば、粉末、カプセル剤および錠剤を形成するのに使用され得る。投与のこの容易性のために、錠剤およびカプセル剤が好ましい経口投与単位であるため、固体状の医薬担体が使用される。場合により、錠剤は、標準的な水性または非水性の技術により、コートされ得る。
【0180】
この発明の組成物を含む錠剤は、場合により、1つ以上の補助的な成分または補助剤と、圧縮または成形することにより調製され得る。圧縮された錠剤は、場合により、バインダー、潤滑剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合された、自由流動性型、例えば、粉末または顆粒における前記活性成分を、適切な機械で圧縮することにより調製され得る。成形された錠剤は、不活性な液体状の希釈剤で湿らせた粉末状の化合物の混合物を、適切な機械において成形することにより製造され得る。
【0181】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物(またはこの医薬として許容される塩)、医薬として許容される担体、および場合により、1つ以上の更なる治療剤または補助剤を含む。本例の組成物は、経口、直腸、局所および非経口(例えば、皮下、筋肉内および静脈内)投与に適した組成物を含むが、任意の所定の症状に最も適した経路は、前記活性成分が投与される、具体的なホストならびに前記症状の性質および重症度により決まるであろう。前記医薬組成物は、剤形単位で都合よく存在し、調剤の分野において周知の方法のいずれかにより調製され得る。
【0182】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、水における前記活性化合物の溶液または懸濁液として調製され得る。適切な界面活性剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等を含まれ得る。分散液は、グリセロール、液体状のポリエチレングリコールにおいて、およびオイルにおけるこれらの混合物においても調製され得る。さらに、保存剤が、微生物の有害な増殖を防止するために含まれ得る。
【0183】
注射剤の使用に適した本発明の医薬組成物は、無菌の水溶液または分散液を含む。さらに、前記組成物は、このような無菌の注射可能な溶液または分散液の即席の調製用の無菌の粉末の形態であり得る。全ての場合において、最終的な注射剤は、無菌であるべきであり、容易な注射のために効果的に流動的であるべきである。前記医薬組成物は、製造および保存条件下において安定であるべきである。したがって、好ましくは、微生物、例えば、細菌および真菌の汚染活動に対して保護されなければならない。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体状のポリエチレングリコール)、植物油およびこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0184】
本発明の医薬組成物は、局所用途に適した形態、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、粉剤、洗口液、うがい剤等であり得る。さらに、前記組成物は、経皮装置における使用に適した形態でもあり得る。これらの製剤は、本発明の化合物またはこの医薬として許容される塩を使用して、従来の加工方法により調製され得る。例として、クリームまたは軟膏は、親水性材料および水と、約5wt%から約10wt%の前記化合物とを混合して、所望の稠度を有するクリームまたは軟膏を製造することにより調製される。
【0185】
この発明の医薬組成物は、前記担体が固体状である、直腸投与に適した形態であり得る。前記混合物は、坐剤の投与単位を形成するのが好ましい。適切な担体としては、ココアバターおよび、当該分野において一般的に使用される他の材料があげられる。前記坐剤は、まず、前記組成物を、軟化され、または溶かされた担体と混合し、続けて、冷やして型で成形することにより、都合よく形成され得る。
【0186】
前述の担体成分に加えて、上記医薬製剤は、必要に応じて、1つ以上の更なる担体成分、例えば、希釈剤、バッファー、着香剤、バインダー、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤(例えば、抗酸化剤)等を含み得る。さらに、他の補助剤が、目的の受容者の血液と等張な製剤を提供するのに含まれ得る。本発明の化合物および/またはこの医薬として許容される塩を含む組成物は、粉末または液体濃縮物の形態にも調製され得る。
【0187】
LSDタンパク質活性の阻害またはネガティブな調節を必要とする処置症状において、適切な用量レベルは、一般的に、1日に患者の体重1kgあたりに約0.01から500mgであろう。前記用量レベルは、1回または複数回の用量で投与され得る。好ましくは、前記用量レベルは、1日あたり約0.1から約250mg/kg;より好ましくは、1日あたり0.5から100mg/kgであろう。適切な用量レベルは、1日あたり約0.01から250mg/kg、1日あたり約0.05から100mg/kgまたは1日あたり約0.1から50mg/kgであり得る。この範囲内で、前記用量は、1日あたり0.05から0.5、0.5から5.0または5.0から50mg/kgであり得る。経口投与に関して、前記組成物は、処置される患者の症候調節の用量のために、好ましくは、1.0から1000ミリグラムの活性成分、具体的には、1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。前記化合物は、1日あたり1から4回、好ましくは、1日あたり1回または2回の計画で投与され得る。この投与計画は、最適な治療応答を提供するために調節され得る。
【0188】
ただし、任意の具体的な患者に関する具体的な用量レベルは、各種の要因により決まるであろうことが理解される。このような要因としては、前記患者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事があげられる。他の要因としては、投与の時間および経路、排出速度、薬剤の組み合わせならびに、治療を受ける具体的な疾患の種類および重症度があげられる。
【0189】
本発明は、さらに、1つ以上の開示の化合物、生成物または組成物を、医薬として許容される担体または希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳類(例えば、ヒト)において、LSDタンパク質活性を、阻害またはネガティブに調節(例えば、制御されない細胞増殖またはLSD機能不全に関連する1つ以上神経変性障害の処置)をするための医薬を製造するための方法を対象にする。したがって、一態様では、本発明は、少なくとも1つの開示の化合物または少なくとも1つの開示の生成物を、医薬として許容される担体または希釈剤と組み合わせることを含む、医薬を製造するための方法に関する。
【0190】
本開示の医薬組成物は、さらに、他の治療的に活性な化合物を含み得る。前記化合物は、上記病状の処置に、通常適用される。
【0191】
本開示の組成物が、本開示の化合物から調製され得ることが理解される。本開示の組成物が、本開示の使用方法に使用され得ることも理解される。
【0192】
E.前記化合物および組成物の使用方法
本開示の化合物は、単独の薬剤として、または、式Iの化合物または他の薬剤が有用性を有する、前述の疾患、障害および症状の処置、予防、制御、緩和またはリスクの低下における、1つ以上の他の薬剤との組み合わせで使用され得る。前記薬剤同士の組み合わせは、いずれかの薬剤単独でより、安全または効果的である。前記他の薬剤は、これに一般的に使用される経路および量で、開示の化合物と同時または連続的に投与され得る。開示の化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、このような薬剤および本開示の化合物を含む剤形単位における医薬組成物が好ましい。ただし、前記組み合わせ治療は、重なり合ったスケジュールでも投与され得る。1つ以上の活性成分と開示の化合物との組み合わせが、単独の薬剤としてのいずれかより有効であろうことも想定される。
【0193】
本発明の医薬組成物および方法は、さらに、上記病状の処置に通常適用される、本願明細書に記載の他の治療的に活性な化合物を含み得る。
【0194】
1.処置方法
本願明細書に開示の化合物は、患者または対象がLSDタンパク質活性の阻害またはネガティブな調節から恩恵を受けるであろう各種の障害の処置、予防、緩和、制御またはリスクの低下をするのに有用である。一態様では、処置は、ヒストン脱メチル化活性に影響を及ぼすのに有効な程度に、LSDの選択的な阻害を含み得る。このため、障害は、ヒストン脱メチル化活性、例えば、ガン細胞における遺伝子の機能不全の後成的な調節と関連し得る。一態様では、対象における障害を処置するのに有効な用量および量での、少なくとも1つの開示の化合物;少なくとも1つの開示の医薬組成物;および/または少なくとも1つの開示の生成物を、前記対象に投与する工程を含む、対象における障害の処置または予防をする方法が提供される。
【0195】
対象における障害を処置するのに有効な用量および量での、少なくとも1つの開示の化合物;少なくとも1つの開示の医薬組成物;および/または少なくとも1つの開示の生成物を、前記対象に投与する工程を含む、対象における、LSD阻害が有益であると期待される1つ以上の障害を処置するための方法も提供される。
【0196】
一態様では、対象における障害を処置するのに有効な用量および量での、少なくとも1つの開示の化合物;少なくとも1つの開示の医薬組成物;および/または少なくとも1つの開示の生成物を、前記対象に投与することを含む、制御されない細胞増殖の障害を処置するための方法が提供される。更なる態様では、対象における障害を処置するのに有効な用量および量での、少なくとも1つの開示の化合物;少なくとも1つの開示の医薬組成物;および/または少なくとも1つの開示の生成物を、前記対象に投与することを含む、神経変性障害の処置または予防をするための方法が提供される。少なくとも1つの開示の化合物、組成物または医薬品を、哺乳類に投与する工程を含む、哺乳類における障害を処理するための方法も提供される。
【0197】
本発明は、LSD阻害が治療効果を有すると期待される患者(好ましくは、ヒト)における疾患または障害、例えば、制御されない細胞増殖(例えば、癌)および神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病を、1つ以上の開示の化合物または生成物を投与することにより処置する、記載の化学組成物の使用を対象にする。
【0198】
本願明細書に開示の化合物は、制御されない細胞増殖における各種の障害の処置、予防、緩和、制御またはリスクの低下に有用である。一態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全と関連する。更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素の機能不全は、LSDの調節異常である。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素の機能不全は、LSD1の調節異常である。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素の機能不全は、LSD2の調節異常である。
【0199】
開示の化合物、組成物または医薬品の使用方法も提供される。一態様では、前記使用方法は、障害の処置を対象にする。更なる態様では、本開示の化合物は、単独の薬剤として、または、前記化合物または他の薬剤が有用性を有する、前述の疾患、障害および症状の処置、予防、制御、緩和またはリスクの低下における、1つ以上の他の薬剤との組み合わせで使用され得る。前記薬剤同士の組み合わせは、いずれかの薬剤単独でより、安全または効果的である。前記他の薬剤は、これに一般的に使用される経路および量で、開示の化合物と同時または連続的に投与され得る。開示の化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、このような薬剤および本開示の化合物を含む剤形単位における医薬組成物が好ましい。ただし、前記組み合わせ治療は、重なり合ったスケジュールでも投与され得る。1つ以上の活性成分と開示の化合物との組み合わせが、単独の薬剤としてのいずれかより有効であろうことも想定される。
【0200】
ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する障害としては、例えば、制御されない細胞増殖の障害があげられる。なお更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、癌である。なお更なる態様では、前記癌は、白血病である。なお更なる態様では、前記癌は、肉腫である。なお更なる態様では、前記癌は、固形腫瘍である。なお更なる態様では、前記癌は、リンパ腫である。
【0201】
癌は、典型的には、制御されない細胞増殖を特徴とする、哺乳類における生理的症状を意味し、または、説明すると理解される。前記癌は、多剤抵抗性(MDR)または薬剤感受性であり得る。ガンとしては、例えば、制限されず、ガン腫、リンパ腫、芽腫、肉腫および白血病があげられる。このような癌のより具体的な例としては、乳ガン、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮細胞癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、子宮頚ガン、卵巣癌、腹膜癌、肝臓癌、例えば、肝癌、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌および甲状腺癌があげられる。
【0202】
種々の態様では、癌の更なる例は、基底細胞癌、胆道癌;骨癌;脳およびCNS癌;絨毛癌;結合組織の癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃ガン;上皮内新生物;咽頭癌、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫:メラノーマ;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(例えば、唇、舌、口および咽頭);網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌、呼吸器系の癌;肉腫:皮膚癌;胃ガン;精巣癌;子宮癌、尿路系の癌ならびに他のガン腫および肉腫である。
【0203】
更なる態様では、前記癌は、血液癌である。なお更なる態様では、前記血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ芽性白血病(CLL)、毛状細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、孤立性骨髄腫、限局性骨髄腫および髄外骨髄腫から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫および大細胞型B細胞リンパ腫から選択される。
【0204】
更なる態様では、前記癌は、前記脳の癌である。なお更なる態様では、前記脳の癌は、グリオーマ、髄芽腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)、聴神経腫、グリオーマ、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、頭蓋咽頭腫、脊索腫、髄芽腫、大脳神経芽腫、神経細胞腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、非定型奇形腫横紋筋腫瘍、軟骨肉腫、軟骨腫、膜連集網ガン腫、膜連集網乳頭腫、頭蓋咽頭腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、神経節細胞腫、胚細胞腫、血管芽細胞腫、血管周囲細胞腫および転移性脳腫瘍から選択される。なお更なる態様では、前記グリオーマは、上衣腫、星状細胞腫、乏突起膠腫および乏突起星細胞腫から選択される。なお更なる態様では、前記グリオーマは、若年性毛様細胞性星細胞腫、上衣下巨細胞性星細胞腫、神経節膠腫、上衣下腫、多形性黄色星状膠細胞腫、未分化星状細胞腫、多形性腫芽腫、脳幹グリオーマ、乏突起膠腫、上衣腫、乏突起星細胞腫、小脳星状細胞腫、線維形成乳児星状細胞腫、上衣下巨細胞性星細胞腫、びまん性星状細胞腫、混合性神経膠腫、視神経膠腫、神経膠腫症、多巣性神経膠腫、多中心性膠芽細胞腫多形性腫瘍、傍神経節腫および神経節膠腫から選択される。
【0205】
一態様では、前記癌は、血液、脳、尿生殖路、消化管、結腸、直腸、乳房、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓および皮膚の癌から選択される癌であり得る。更なる態様では、前記癌は、前立腺癌、多形性膠芽腫、子宮内膜癌、乳ガンおよび結腸癌から選択される。更なる態様では、前記癌は、乳房、卵巣、前立腺、頭部、首および腎臓の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、血液、脳、尿生殖路、消化管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓および皮膚の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、肺および肝臓の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、乳房、卵巣、精巣および前立腺の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、前記乳房の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記卵巣の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記前立腺の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記精巣の癌である。
【0206】
種々の態様では、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する障害は、神経変性障害を含む。更なる態様では、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病から選択される。
【0207】
前記化合物は、さらに、本願明細書に記載の疾患、障害および症状の予防、処置、制御、緩和またはリスクの低下をするための方法に有用である。前記化合物は、さらに、他の薬剤との組み合わせにおける、前述の疾患、障害および症状の予防、処置、制御、緩和またはリスクの低下をするための方法に有用である。
【0208】
本発明は、さらに、制御されない細胞増殖の障害、例えば、ガンとの関連で処置結果を改善するためのLSD阻害剤の投与を対象にする。すなわち、一態様では、本発明は、有効量および用量の、少なくとも1つの本発明の化合物を、癌治療と共に、哺乳類に投与する工程を含む、共治療法に関する。
【0209】
更なる態様では、投与は、癌治療との関連で処置結果を改善する。癌治療との関連における投与は、連続的とすることもできるし、または、断続的とすることもできる。投与は、治療と同時である必要はなく、治療前、治療中および/または治療後とすることができる。例えば、癌治療は、前記化合物の投与前1、2、3、4、5、6、7日以内または前記化合物の投与後に提供され得る。更なる例として、癌治療は、前記化合物の投与前1、2、3もしくは4週間以内または前記化合物の投与後に提供され得る。なお更なる例として、認知療法または行動療法は、投与前または前記投与された化合物の投与後で半減期の1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10倍の期間内で提供され得る。
【0210】
一態様では、本開示の化合物は、開示の化合物または他の薬剤が有用性を有し得る、疾患または症状の処置、予防、制御、緩和またはリスクの低下における、1つ以上の他の薬剤との組み合わせで使用され得る。前記薬剤同士の組み合わせは、いずれかの薬剤単独でより、安全または効果的である。このような他の薬剤は、これに一般的に使用される経路および量で、本発明の化合物と同時または連続的に投与され得る。本発明の化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、このような他の薬剤および開示の化合物を含む剤形単位における医薬組成物が好ましい。ただし、前記組み合わせ治療は、開示の化合物と1つ以上の他の薬剤とが、種々の重なり合ったスケジュールで投与される治療も含み得る。1つ以上の他の活性成分との組み合わせで使用される場合、本開示の化合物および前記他の活性成分は、それぞれが単独で使用される場合より、低い用量で使用され得ることが考えられる。
【0211】
したがって、前記医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含むものを含む。
【0212】
上記組み合わせは、開示の化合物と1つの他の活性な化合物だけでなく、2つ以上の他の活性な化合物との組み合わせを含む。同様に、開示の化合物は、開示の化合物が有用な前記疾患または症状の予防、処置、制御、緩和またはリスクの低下に使用される他の薬剤との組み合わせで使用され得る。このような他の薬剤は、これに一般的に使用される経路および量で、本発明の化合物と同時または連続的に投与され得る。本発明の化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、開示の化合物に加えて、このような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。したがって、前記医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含むものも含む。
【0213】
前記第2の活性成分に対する開示の化合物の重量比は、変動されることができ、各成分の有効量により決まるであろう。一般的に、それぞれの有効量が使用されるであろう。このため、例えば、本発明の化合物が、別の薬剤と組み合わせられる場合、前記他の薬剤に対する開示の化合物の重量比は、一般的に、約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲であろう。本発明の化合物と他の活性成分との組み合わせは、一般的に、前述の範囲内であろうが、この都度、有効量の各活性成分が、使用されるべきである。
【0214】
このような組み合わせでは、開示の化合物と他の活性な薬剤とは、別々にまたは共に投与され得る。加えて、一方の要素の投与は、他方の薬剤の投与前、投与と同時または投与に続けられ得る。
【0215】
したがって、本主題の化合物は、単独または、対象の適応症に有益であることが公知の他の薬剤、または、本開示の化合物の有効性、安全性、利便性を向上するか、または、本開示の化合物の望ましくない副作用もしくは毒性を低下させるかのいずれかをする、受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬剤との組み合わせで使用され得る。本主題の化合物および前記他の薬剤は、付随的治療または固定した組み合わせのいずれかで、共に投与され得る。
【0216】
一態様では、前記化合物は、抗ガン治療剤または他の公知の治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0217】
LSDの阻害またはネガティブな調節を必要とする症状の処置において、適切な用量レベルは、一般的に、1日に患者の体重1kgあたりに約0.01から1000mgであろう。前記用量レベルは、1回または複数回の用量で投与され得る。好ましくは、前記用量レベルは、1日あたり約0.1から約250mg/kg;より好ましくは、1日あたり約0.5から約100mg/kgであろう。適切な用量レベルは、1日あたり約0.01から250mg/kg、1日あたり約0.05から100mg/kgまたは1日あたり約0.1から50mg/kgであり得る。この範囲内で、前記用量は、1日あたり0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgであり得る。経口投与に関して、前記組成物は、処置される患者の症候調節の用量のために、好ましくは、1.0から1000ミリグラムの活性成分、具体的には、1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。前記化合物は、1日あたり1から4回、好ましくは、1日あたり1回または2回の計画で投与され得る。この投与計画は、最適な治療応答を提供するために調節され得る。ただし、任意の具体的な患者に関する投与の具体的な用量レベルおよび頻度は、変動されることができ、各種の要因、例えば、使用される具体的な化合物の活性、この化合物の代謝安定性および活性の長さ、年齢、体重、全体的な健康、性別および食事、投与の方式および時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、具体的な症状の重症度ならびに治療を受けるホストにより決まるであろうことが理解される。
【0218】
このため、一態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞を、少なくとも1つの本発明の化合物と、前記少なくとも1つの細胞におけるLSD活性応答、例えば、LSD1もしくはLSD2の調節または活性化をするのに有効な量で接触させる工程を含む、少なくとも1つの細胞におけるLSDの阻害またはネガティブに調節をするための方法に関する。更なる態様では、前記細胞は、哺乳類、例えば、ヒトである。更なる態様では、前記細胞は、前記接触工程の前に、対象から単離されている。更なる態様では、接触は、対象への投与による。
【0219】
a.制御されない細胞増殖の障害の処置
一態様では、本発明は、哺乳類における制御されない細胞増殖の障害を処置するための方法であって、有効量の、少なくとも1つの開示の化合物もしくは開示の化合物を製造する方法の生成物またはこれらの医薬として許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは多形体を、前記哺乳類に投与することにより、制御されない細胞増殖の障害を処置する工程を含む方法に関する。
【0220】
なお更なる態様では、前記有効量は、治療上有効量である。なお更なる態様では、前記有効量は、予防的に有効量である。
【0221】
更なる態様では、前記哺乳類は、ヒトである。なお更なる態様では、前記方法は、さらに、制御されない細胞増殖の障害を処置する必要のある哺乳類を特定する工程を含む。なお更なる態様では、前記哺乳類は、前記投与工程の前に、制御されない細胞増殖の障害を処置する必要があると診断されている。
【0222】
更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する。更なる態様では、ヒストン脱メチル化酵素は、リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD1である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD2である。
【0223】
更なる態様では、制御されない細胞増殖の障害は、癌である。なお更なる態様では、前記癌は、白血病である。なお更なる態様では、前記癌は、肉腫である。なお更なる態様では、前記癌は、固形腫瘍である。なお更なる態様では、前記癌は、リンパ腫である。なお更なる態様では、前記癌は、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫および大細胞型B細胞リンパ腫から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、血液、脳、尿生殖路、消化管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓および皮膚の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、肺および肝臓の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、乳房、卵巣、精巣および前立腺の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、前記乳房の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記卵巣の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記前立腺の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記精巣の癌である。
【0224】
b.ヒストン脱メチル化酵素活性の低下
一態様では、本発明は、哺乳類におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させるための方法であって、有効量の、少なくとも1つの開示の化合物もしくは開示の化合物を製造する方法の生成物またはこれらの医薬として許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは多形体またはこれらの医薬として許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは多形体を、前記哺乳類に投与することにより、前記哺乳類におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる工程を含む方法に関する。
【0225】
なお更なる態様では、前記有効量は、治療上有効量である。なお更なる態様では、前記有効量は、予防的に有効量である。
【0226】
更なる態様では、前記哺乳類は、ヒトである。なお更なる態様では、前記方法は、さらに、ヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要のある哺乳類を特定する工程を含む。なお更なる態様では、前記哺乳類は、前記投与工程の前に、ヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要があると診断されている。
【0227】
更なる態様では、ヒストン脱メチル化酵素は、リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD1である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD2である。
【0228】
更なる態様では、ヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要性は、ヒストン脱メチル化酵素の機能不全に関連する。なお更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素の機能不全は、制御されない細胞増殖の障害に関連する。なお更なる態様では、前記方法は、さらに、制御されない細胞増殖の障害を処置する必要のある哺乳類を特定する工程を含む。なお更なる態様では、前記哺乳類は、前記投与工程の前に、制御されない細胞増殖の障害を処置する必要があると診断されている。
【0229】
なお更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、癌である。なお更なる態様では、前記癌は、白血病である。なお更なる態様では、前記癌は、肉腫である。なお更なる態様では、前記癌は、固形腫瘍である。なお更なる態様では、前記癌は、リンパ腫である。なお更なる態様では、前記癌は、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫および大細胞型B細胞リンパ腫から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、血液、脳、尿生殖路、消化管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓および皮膚の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、肺および肝臓の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、乳房、卵巣、精巣および前立腺の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、前記乳房の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記卵巣の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記前立腺の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記精巣の癌である。
【0230】
c.細胞におけるヒストン脱メチル化酵素活性の低下
一態様では、本発明は、少なくとも1つの細胞におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させるための方法であって、有効量の、少なくとも1つの開示の化合物もしくは開示の化合物を製造する方法の生成物またはこれらの医薬として許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは多形体またはこれらの医薬として許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは多形体と、前記少なくとも1つの細胞を接触させることにより、前記細胞におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる工程を含む方法に関する。
【0231】
なお更なる態様では、前記有効量は、治療上有効量である。なお更なる態様では、前記有効量は、予防的に有効量である。
【0232】
更なる態様では、前記細胞は、哺乳類である。なお更なる態様では、前記細胞は、ヒトである。なお更なる態様では、接触は、哺乳類への投与による。更なる態様では、前記方法は、さらに、細胞においてヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要のある哺乳類を特定する工程を含む。なお更なる態様では、前記哺乳類は、前記投与工程の前に、ヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要があると診断されている。
【0233】
更なる態様では、前記ヒストン脱メチル化酵素は、リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD1である。なお更なる態様では、前記リジン特異的ヒストン脱メチル化酵素は、LSD2である。
【0234】
更なる態様では、細胞におけるヒストン脱メチル化酵素活性を低下させる必要性は、制御されない細胞の障害に関連する。なお更なる態様では、前記制御されない細胞増殖の障害は、癌である。なお更なる態様では、前記癌は、白血病である。なお更なる態様では、前記癌は、肉腫である。なお更なる態様では、前記癌は、固形腫瘍である。なお更なる態様では、前記癌は、リンパ腫である。なお更なる態様では、前記癌は、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫および大細胞型B細胞リンパ腫から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、血液、脳、尿生殖路、消化管、結腸、直腸、乳房、肝臓、腎臓、リンパ系、胃、肺、膵臓および皮膚の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、肺および肝臓の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、乳房、卵巣、精巣および前立腺の癌から選択される。なお更なる態様では、前記癌は、前記乳房の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記卵巣の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記前立腺の癌である。なお更なる態様では、前記癌は、前記精巣の癌である。
【0235】
2.医薬品の製造
一態様では、本発明は、治療上有効量の、開示の化合物または開示の方法の生成物を、医薬として許容される担体もしくは希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳類におけるヒストン脱メチル化酵素活性を阻害するための医薬品を製造するための方法に関する。
【実施例】
【0236】
F.実験
下記実施例は、完全な開示および、本願明細書で請求される化合物、組成物、物品、装置および/または方法を製造し、評価する方法の説明を当業者に提供するために提示され、本発明を純粋に例示することを意図しており、本発明者がこの発明として認識するものの範囲を限定することを意図しない。努力は、数値(例えば、量、温度等)に関する正確さを確保するのになされたが、一部のエラーおよび偏差が、構成されるであろう。特に断らない限り、部は、重量部であり、温度は、℃であるか、または、室温であり、圧力は、大気圧であるか、または、大気圧付近である。
【0237】
この発明の化合物を調製するための複数の方法が、下記実施例で説明される。開始材料および必須の中間体は、場合によっては、商業的に入手できるか、または、文献の手順に基づいて、もしくは、本願明細書で説明されるように調製され得る。
【0238】
本発明の下記の典型的な化合物を合成した。本発明を説明するために、本願明細書において実施例を提供する。前記実施例は、何らの方法によっても、本発明を限定して解釈してはならない。前記実施例は、典型的には、IUPACの命名法に基づいて、遊離塩基型で示される。ただし、一部の実施例では、塩型で取得し、または、単離した。
【0239】
示されるように、一部の実施例を、1つ以上の鏡像異性体またはジアステレオマーのラセミ混合物として得た。前記化合物を、個々の鏡像異性体を単離するのに、当業者により分離し得る。分離を、化合物のラセミ混合物を、鏡像異性的に純粋な化合物に結合させて、ジアステレオマー混合物を形成し、続けて、標準的な方法、例えば、分別結晶またはクロマトグラフィーにより、個々のジアステレオマーを分離することにより行い得る。前記化合物のラセミまたはジアステレオマーの混合物も、キラル固定相を使用するクロマトグラフ法により、直接分離し得る。
【0240】
1.一般的な化学材料および方法
全ての分析または無水グレートの試薬を、商業的な供給元から購入し、更なる精製をすることなく使用した。溶媒は、分析または無水グレート(Sigma−Aldrich)とした。特殊化学製品および複数の供給元から取得される成分を、最も高く提供された純度(通常、≧95%)とした。
【0241】
NMR分光法を、5mmのブロードバンドプローブを備えるVarian Unity 400機器において、標準的なパルスシーケンスを使用して行った。化学シフト(δ)が、溶媒リファレンスからの、100万分の1(ppm)のダウンフィールドで報告される。結合定数(J値)を、Hzで表現する。
【0242】
質量分析を、Finnigan LCQ Duo LCMSイオン補足エレクトロスプレー(ESI)質量分析計において行った。全ての試料を、ポジティブESI−MSにより分析し、プロトン化分子イオンの質量対電荷比(m/z)が報告される。
【0243】
マイクロ波アシスト反応を、Biotage Initiator 2.5において、種々の出力で行った。
【0244】
水素添加反応を、標準的なParr水素添加装置において行った。
【0245】
反応を、HPLCまたはTLCのいずれかによりモニターした。TLCでモニターした場合、反応は、蛍光標識を含む200μmのシリカゲルでコートされたBakerのフレキシブル裏打ちプレートにおいて分析した。調製用TLCを、蛍光(UV 254)標識を含む1000または2000μmのシリカゲル層でコートされた、20cm×20cmのAnaltech Uniplateにおいて行った。溶出混合物を、v:vとして報告する。スポットの可視化を、UV光を使用して達成した。
【0246】
フラッシュクロマトグラフィーを、適切なサイズのRedisep Rf Goldまたは標準的な順相シリカもしくは逆相C−18カラムを使用して、Teledyne lsco CombiFlash RF 200において行った。粗製化合物を、固体カートリッジ内に充填した、シリカゲル、70−230メッシュ40Å(順相用)またはセライト503(逆相用)に吸着させた。溶出混合物を、v:vとして報告する。
【0247】
2.分子モデリングおよび仮想スクリーニング法
全てのコンピュータ的研究は、LSD1の構造座標用のPDB ID 2Z5Uを使用した。仮想ドッキング法であるICM、GlideおよびGOLDのプログラムを実行した。タンパク質の構造を、0.1のRMS勾配を有するICM配位場および距離依存的誘導体電位を使用し、タンパク質における重原子を固定し続け、ヒスチジン残基を中性と見なして、3Dプロトン化、水分子の欠損およびエネルギー最小化により作製した。仮想スクリーニングの算出は、(特に断らない限り)スコアリング関数としてのICMおよびGlideのスコアそれぞれによる、デフォルトパラメータを使用した。両方の場合、FADを、配位子として規定し、活性部位領域を、LSD1との複合体において結合したFADの周囲、半径12Åの球により規定した。
【0248】
前記適用したドッキングプロトコルの正確性および有効性の確認は、FAD補助因子アデニンジヌクレオチドフラグメントおよびフラビンフラグメントならびに、ポジティブコントロールとしての公知のLSD1阻害剤(デコイセット)を使用した。2つの別々のドッキングランを、ICMおよびGlideのドッキングプログラムにより行った。GOLDドッキングを、再スコアリングに使用した。
【0249】
化合物データベースを、Ligprep 2.1.23(Schrodinger,LLC.,New York、New York)を使用して作製した。2ラウンドのVS、例えば、HTVSおよび標準的な精密(SP)ドッキングを採用した。Glideにより順位付けされた上位10000個の化合物を保存し、ICMドッキングを使用して、更なるドッキング実験に提供した。2000ヒットの最終セットを、ICMスコアに基づいて選択し、個々の化合物について、視覚的に検査して、ドッキングポーズおよび配位子とLSD1との間の相互作用を確認した。GOLDコンセンサススコアリング関数を、GlideおよびICMから選択された、これらの2000ヒットを再スコアリングするために、さらに使用した。最終的に、121個の化合物を、LSD1阻害研究用に、(可能であれば)購入し、または、合成した。
【0250】
3.MDシミュレーション法
全てのシミュレーションを、LSD1用の、AMBER ff99SB配位場(Hornak,V.,et al.Proteins 2006,65(3),712−25)、化合物12用の、一般的なAmber配位場(「gaff」;Wang,J.,et al.J Comput Chem 2004,25(9),1157−74を参照のこと。)を使用して行った。水用のTIP3P(Jorgensen,W.L.,Journal of Chemical Physics 1982,(77),4156−4163)モデルを使用した。particle−mesh Ewald法(PME)の手順(Essmann,U.,et al.Journal of Chemical Physics 1995,(103),8577−8593;Darden,T.,et al.Journal of Chemical Physics 1993,(98),10089−10092)を使用して、前記シミュレーションを、長距離の静電相互作用に近づけた。LEaPを使用して、LSD1との複合体におけるICMドッキングから生成された結合モードを、中性電荷に溶媒和化させた。前記複合体を、まず、PMEMD(Case,D.A.,et al.AMBER11,San Francisco,2010)で最小化した。最小化に続けて、9Åの非結合の相互作用カットオフを使用する、200psの緩和された分子動力学シミュレーションを、1atmの圧力を維持する定圧周期境界および2psの緩和時間による等方性位置スケーリングにより、両結合モードに関して実行した。SHAKEを、水素に関する結合を抑制するのに使用し、ランジュバン動力学を、温度を制御するのに使用して(Case,D.A.,et al.AMBER11,San Francisco,2010)、300Kを維持した。前記2つの結合モード間の比較のために、結合の相対的な自由エネルギーを、軌道内の1psまたは101psいずれかで開始する、1ps間隔での100スナップショットによる、MMPBSA.py
9を使用して予測した。
【0251】
4.仮想スクリーニングの結果
重要な構造特性を解明するLSD1の第1の結晶構造は、後の、Stavropoulos et al.(Nat Struct Mol Biol 2006,13(7):626−32;Protein Data Bank or PDB ID 2H94;http://www.wwpdb.org/を参照のこと。)、Yang et al.(Mol Cell 2006,23(3),377−87;PDB ID 2IW5)および、Chen et al.(Proc Natl Acad Sci USA 2006,103(38),13956−61;PDB ID 2HKO)によるものであった。これらの2.9Å、2.57Åおよび2.8Åの構造は、それぞれ、ヒストンH3のN末端尾部を受け入れるのに十分な空間のある、非常に負に荷電した基質結合キャビティを示す。さらに、N末端SWIRMドメインおよび、タワードメインと呼ばれるコア触媒ドメインにおける挿入を、酵素活性と補助因子、例えば、CoRESTとの相互作用に関する必要な構造モチーフとして確立した。本願明細書に記載の研究に関して、前記構造PDB ID 2Z5Uを、コンピュータ的な研究、例えば、仮想スクリーニング、ドッキングおよび分子動力学用の結合LSD1阻害剤であるトラニルシプロミンと共に使用した(Mimasu,S.,et al.Biochem Biophys Res Commun 2008,366(1),15−22)。トラニルシプロミンおよびポリアミン誘導体を除いた化学的環境を評価するために、HTVSを、組織内のライブラリと共に使用した。公的に利用可能なベンダーのライブラリからの合計約1300万個の化合物から、組織内で開発されたカスタムフィルタを使用して、前記ライブラリを精選した。リピンスキールールオブファイブに基づいて、62,000個の化合物のみが存在することを除いて、化合物をフィルタした。さらに、得られたライブラリが、約200万個の化合物の多様であるが、制御可能なセットを含むように、構造的に重複した化合物を除去した。スクリーニングの前に、生理的に関連するプロトン化状態が使用されるように、SchrodingerスイートのLigPrepモジュールおよびICM固有の3次元(3D)配位子の調製を使用して、化合物を調製した。
【0252】
次に、LSD1上の3つの異なる部位;アミンオキシダーゼドメインに位置するFAD部位ならびに、このポケットのアデニンジヌクレオチドおよびフラビンフラグメントに対して、調製された配位子をドッキングさせた。前記ICMおよびGlideの両方で使用されたドッキングプロトコルを、正確性を確認するために、前記FAD、アデニンジヌクレオチド、フラビンフラグメントおよび公知のLSD1阻害剤に関して実行した。前記ドッキングアルゴリズムの順位付けに加えて、前記ドッキング結果の視覚的な検査を、結合部位、適切なポーズおよび配向性を評価するのに使用した。これらを基に、ICMおよびGlideに由来するスコアリング関数は、使用された前記デコイセットの上位2%内の既知の阻害剤を正確に特定可能であった。GOLDを、再スコアリングするのに使用し、前記GOLDの適合度関数は、類似のエンリッチメントを産生した。
【0253】
仮想スクリーニングを、前記確立されたドッキングプロトコルおよび前記200万個の化合物データベースを使用して、LSD1のFAD結合ポケットに対してセットした。上位10,000個の化合物を、更なる分析のために、ICMおよびGlideのスコアリング関数の両方から選択した。少数の同一の化合物を、前記2つのアルゴリズム間で同様にスコアした。この重複性を除去した。さらに、視覚的な検査を、類似の化合物を除去し、最終的な選択の多様性を向上するために行った。視覚的な分析によっても、LSD1のFAD結合ポケット内の重要な相互作用を特定した。これらは、Ser289、Arg310およびArg316と結合する水素、Val590およびLeu625とのファンデルワールス相互作用ならびにTrp756とのΠ相互作用を含む。さらに、ヒドロキシルおよび疎水性電子吸引基を有する化合物は、前記最初のドッキング結果において、向上したエンリッチメントを示すと見なした。前記LSD1のFAD結合ポケットは、前記タンパク質内部において、深く狭い凹部であり、疎水性アミノ酸残基に取り囲まれている。このため、前記化合物の疎水特性は、前記活性部位内での前記化合物のランダムウォークにおいて重要な役割を果たし得る。
【0254】
上記選択基準に基づいて、121個の構造的に区別できる化合物を取得し、LSD1に対する生化学的スクリーニングに提供した。実験セクションで説明したように、前記生化学的アッセイは、ペプチド基質の酸化的脱メチル化から生じたH
2O
2を測定する。前記121個の化合物から、前記生化学的アッセイにおいて強力な活性を示した一連の関連する化合物を特定した。一連の化合物のドッキングスコア、順位および付随する生化学的アッセイ結果を表1、2および6−9に表す。
【0255】
仮想スクリーニング法を使用して発見された表1における10個の活性な化合物(ならびに、生化学的および細胞のデータを提供する関連する表、表6、8および9)、例えば、化合物1、2、4および5は、LSD1のFAD結合部位内において、類似の結合モードを示した。さらに、前記化合物1、2、4および5のドッキングスコアを、観察された生化学的活性に十分に関連付けた。これらの結果は、LSD1のアミンオキシダーゼドメインにおけるアデニンジブクレオチドポケットを標的とする、改善された阻害剤が利用できることを示唆した。
【0256】
前記Glideスコアは、予測的であり、p−OHまたはm−Clアリール置換を有する化合物(化合物1および5)に十分関連付けた。前記疎水性電子吸引基、例えば、−Clが許容されることは、これらの研究から明らかである。一方、小さなアルキル置換基、例えば、メチル(例えば、化合物8)または縮合ビシクロ含有化合物10は、より低い活性を有する。前記第2の部位への任意の供与基、具体的には、−OCH
3官能基の導入は、Gly314のH結合相互作用の欠損により、活性を失った(例えば、化合物6)。前記化合物6の生化学的活性の欠損は、ICMおよびGlideが、それぞれ、−18.39および−6.63kcal/molのエネルギーを提供した、ドッキングスコアから非常に予測された。次のドッキング分析では、更なるベンゾヒドラジンの一連の化合物を、仮想ヒット化合物9に例示されるように、ヒドラジン−Cメチルまたはアリール 4−置換スルホン含有化合物に関して特定した。前記化合物9は、19nMのIC
50を有する、強力なLSD1阻害活性を示した。前記化合物9の低いドッキングスコアは、主に、2−OHアリール環部位におけるシフトによる。スルホン/モルホリン置換基を有する化合物9を、ある程度、この化学的安定性のために、更なる最適化のための骨格として選択した。
【0257】
前記スルホン/モルホリンを有する化合物12の結合モードを、ICMから予測されるドッキングポーズにより、
図1に示す。このモデルにおいて、フェノール基は、残基Ser289、Gly314およびArg316から構成されるポケットに十分適合する。中心のカルボニル基は、Arg310のアミノ基との強力なH結合相互作用に関与するのが明らかである。前記モルホリンの酸素は、Val590とのH結合相互作用を示す。これらのセットの水素結合相互作用は、GlideおよびGOLDのドッキング実験によっても観察された。更なる実験は、Trp756残基とのΠ−Π相互作用に関与する、前記モルホリン置換されたアリール環を示した。一方、前記モルホリンの酸素は、Val590とのH結合を保持した。
【0258】
化学的な最適化は、化合物12のいずれかの側における、ヘテロアリール環を含む化合物の設計にも注目した。各種の化学的に納得のいく骨格を生成したこれらの結果を使用するコンピュータモデルから、置換されたピリジンを、Ser289、Gly314およびArg316、周囲の残基および同一の特性との相互作用が可能な適切な部分と特定した。代表例は、化合物24であり、強力なLSD1活性(28nM)を有し、化合物12のこれと類似の結合モードも示した(
図2を参照のこと。)。
【0259】
代表的な化合物の多くは、前記シリーズの代謝安定性を向上する、C−アルキルヒドラジンを含む。ただし、化合物21のエチル基等のより嵩高い基は、化合物12および21の種々の生化学的活性において例示されているように、前記結合ポケットに十分受け入れられていない。メチルスルホンでのアリール置換(化合物25)およびモルホリン環で置換されたアリール(化合物12)は、化合物11と比較した場合、おおよそ一桁の生化学的有効性を向上させた。モルホリン環のみの付加が、化合物23で説明されているように、一部の生化学的活性を維持する。前記スルホノ−モルホリンをスルホノ−N−ジメチルで置き替えることも、化合物18で説明されているように、生化学的活性を維持した。さらに、2−OH基のクロロでの置き替えは、十分に受け入れられないことが見出され、活性の著しい低下を、化合物12と16との間で示した。化合物24の結果は、置換されたピリジンの使用が、前記酵素に受け入れられるが、種々の他の置換および複素環は、一般的に、化合物13、14、15、17、19、20および22で説明するように、生化学的活性の低下をもたらしたことを示唆する。
【0260】
表2の代表的な化合物の多くは、前記シリーズの代謝安定性を向上する、C−アルキルヒドラジンを含んだ。ただし、化合物21のエチル基等のより嵩高い基は、化合物12および21の種々の生化学的活性において説明するように、前記結合ポケットに十分に収容されない。メチルスルホンでのアリール置換(例えば、化合物25)およびモルホリン環で置換されたアリール(化合物12)は、化合物11と比較した場合、おおよそ一桁の生化学的有効性を向上させた。複素環、例えば、モルホリン環の付加は、化合物23で説明したように、生化学的活性を維持する。前記スルホノ−モルホリンをスルホノ−N−ジメチルで置き替えることも、化合物18で説明したように、生化学的活性を維持した。さらに、2−OH基のクロロでの置き替えは、化合物12と16との間における活性の著しい低下により、受け入れられないことが見出された。上記のように、化合物24は、置換されたピリジンの使用が、前記酵素に受け入れられることを示唆する。更なる分析は、化合物12のヒドロキシルが、生化学的活性を向上させるのに関連することを示唆する。例えば、この置換基が塩素で置換された場合(化合物16)、活性が低下した。
【0261】
【表1】
【0262】
【表2】
【0263】
5.分子動力学シミュレーション結果
分子動力学(「MD」)シミュレーションを、化合物12の前記2つの異なるドッキングポーズを使用して実行し、一方のドッキングポーズが他方より優先するかどうかを決定した。これらのデータは、合成された化合物により得られた結果において、どの相互作用が役割を果たすかについて、より良好な情報を提供し得る。前記ドッキングの結果は、化合物12による、より高く順位付けられたポーズが、前記ジヌクレオチド結合ポケットに、このヒドロキシル部分を介した、Ser289またはArg316との直接的なH結合相互作用により結合したことを示す(結合モード1、
図3および表3を参照のこと。)。しかしながら、化合物12のモルホリン環により、好ましくスコアされた別のポーズが、Ser289およびArg316と相互作用する(結合モード2、
図3および表3を参照のこと。)。
【0264】
前記AMBERスイートを使用するMDを、両方の予測される結合モードに関する結合エネルギーを評価するのに使用した。結合モード1に関するシミュレーションは、化合物12とArg316との間のΠ共役電子相互作用および前記ヒドロキシルとSer289との間の水素結合に関する電位を示した。結合モード2の分析は、Arg310およびArg316とのより好ましい水素結合による、化合物12とTrp756との間の可能性のあるΠ−Π相互作用を示した。さらに、結合モード1は、Val590との水素結合を有すると予測される。一方、結合モード2は、前記クロロ基に作用するファンデルワールス相互作用を有する。シミュレーションの最後の100psのMMPBSA分析は、結合モード2が、約−40.8kcal/molの結合自由エネルギーを有すると予測された。前記自由エネルギーは、結合モード1に関する、約−21.0よりほぼ20kcal/mol好ましい。前記最初の100psのシミュレーションは、前記算出された結合自由エネルギーが好ましくないように、おそらくある程度、複合体の平衡を反映する。この発見は、前記ドッキング工程中の結合ポーズの順位付けとは対照的である。この差は、前記ドッキングプロトコルのスピードを向上するのに使用される硬い構造およびMDに使用される柔軟な構造により、ドッキングおよびMD中における、タンパク質の構造の差から生じる可能性がある。
【0265】
【表3】
【0266】
6.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ベンゾヒドラジドの調製
【0267】
【化15】
【0268】
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(100mg、0.586mmol)およびベンゾヒドラジド(80mg、0.586mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(90mg)を得た。
【0269】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ 7.95(m,2H)、7.67−7.62(m,2H)、7.56(m,2H)、7.35(dd,1H,J=2.4 & 8.8Hz)、6.95(d,1H,J=8.4Hz)、3.35(s,3H).ESI−MS:289.0[M+H]
+.
【0270】
7.(E)−N’−(1−(2,6−ジヒドロキシフェニル)エチリデン)ベンゾヒドラジドの調製
【0271】
【化16】
【0272】
1−(2,6−ジヒドロキシフェニル)エタノン(100mg、0.657mmol)およびベンゾヒドラジド(89mg、0.657mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(100mg)を得た。
【0273】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 7.59(m,2H)、7.49(m,1H)、7.39(m,2H)、7.11(t,1H,J=8.0Hz)、6.45(m,2H)、2.35(s,3H).ESI−MS:271.1[M+H]
+.
【0274】
8.3−(モルホリノスルホニル)安息香酸の調製
【0275】
【化17】
【0276】
3−(クロロスルホニル)安息香酸(250mg、1.133mmol)を、THF(5mL)におけるカリウムカーボネート(313mg、2.266mmol)の存在下において、モルホリン(99mg、1.133mmol)に、室温で添加した。反応混合物を、rtで12時間攪拌した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として表題の化合物(160mg)を得た。
【0277】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.34(m,1H)、8.32(d,1H,J=8.0Hz)、7.99(m,1H)、7.76(t,1H,J=8.0Hz)、3.70(m,4H)、2.98(m,4H).ESI−MS:272.0[M+H]
+.
【0278】
9.メチル−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾエートの調製
【0279】
【化18】
【0280】
3−(モルホリノスルホニル)安息香酸(100mg、0.369mmol)を、触媒的な濃H
2SO
4の存在下において、メタノール中に65℃で一晩還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、オフホワイト色の固形物として表題の化合物を収集した(60mg)。
【0281】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.38(t,1H,J=1.6Hz)、8.27(m,1H)、7.92(m,1H)、7.64(t,1H,J=8.0Hz)、3.95(s,3H)、3.73(m,4H)、3.00(m,4H).ESI−MS:286.1[M+H]
+.
【0282】
10.3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0283】
【化19】
【0284】
メチル−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾエート(120mg、0.421mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(17.52mg、0.547mmol)に添加し、65℃で12時間還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応が完了し、前記反応混合物を冷却すると、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、オフホワイト色の固形物として表題の化合物を収集した(90mg)。
【0285】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.16(m,1H)、8.12(m,1H)、8.04(m,1H)、7.85(m,1H)、7.63(t,1H,J=8.0Hz)、4.19(m,2H)、3.71(m,4H)、2.97(m,4H).ESI−MS:286.1[M+H]
+.
【0286】
11.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0287】
【化20】
【0288】
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(20mg、0.117mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(33.5mg、0.117mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(16mg)を得た。
【0289】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.26(m,1H)、8.17(d,1H,J=8.0Hz)、7.92(d,1H,J=8.0Hz)、7.72(t,1H,J=8.0Hz)、7.48(d,1H,J=2.0Hz)、7.22(m,1H)、6.91(d,1H,J=8.8Hz)、3.72(m,4H)、3.01(m,4H)、2.43(s,3H).ESI−MS:438.1[M+H]
+.
【0290】
12.(E)−N’−(1−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0291】
【化21】
【0292】
1−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)エタノン(20mg、0.116mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(33.1mg、0.116mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(22mg)を得た。
【0293】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.43(s,1H)、8.37(m,1H)、8.16(m,1H)、7.87(d,1H,J=7.2Hz)、7.65(m,1H)、7.41(m,1H)、7.10(t,1H,J=8.0Hz)、3.71(m,4H)、2.95(m,4H)、2.38(s,3H).ESI−MS:440.1[M+H]
+.
【0294】
13.(E)−N’−(1−(2−クロロピリジン−4−イル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0295】
【化22】
【0296】
1−(2−クロロピリジン−4−イル)エタノン(20mg、0.129mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(36.7mg、0.129mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、60%の収率で表題の化合物を得た。
【0297】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.43(m,1H)、8.39(m,2H)、8.15(d,1H,J=8.0Hz)、7.93(d,1H,J=7.6Hz)、7.70(t,1H,J=7.6Hz)、7.52(m,1H)、3.73(m,4H)、3.02(m,4H)、2.35(s,3H).ESI−MS:423.1[M+H]
+.
【0298】
14.(E)−N’−(1−(2,5−ジクロロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0299】
【化23】
【0300】
1−(2,5−ジクロロフェニル)エタノン(20mg、0.106mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(30.2mg、0.106mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、10mgの収量で表題の化合物を得た。
【0301】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.29(m,1H)、8.09(m,1H)、7.81(m,1H)、7.57(m,1H)、7.40(m,1H)、7.26(m,2H)、3.52(m,4H)、2.91(m,4H)、2.28(s,3H).ESI−MS:456.1[M+H]
+.
【0302】
15.メチル 4−ヒドラジニル−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾエートの調製
【0303】
【化24】
【0304】
メチル 4−フルオロ−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾエート(30mg、0.099mmol)を、メタノール(8mL)におけるヒドラジン(4.44mg、0.138mmol)に添加し、65℃で5時間還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応および冷却が完了すると、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(20mg)。
【0305】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.15(d,1H,J=2.0Hz)、8.03(dd,1H,J=2.4 & 9.2Hz)、7.48(d,1H,J=9.2Hz)、3.86(s,3H)、3.67(m,4H)、3.04(m,4H).ESI−MS:316.1[M+H]
+.
【0306】
16.メチル−4−フルオロ−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾエートの調製
【0307】
【化25】
【0308】
4−フルオロ−3−(モルホリノスルホニル)安息香酸(50mg、0.173mmol)を、濃硫酸(1.117mg、8.64μmol)の存在下において、メタノール(8mL)中に70℃で、一晩還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(20mg)。
【0309】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.42(dd,1H,J=2.0 & 6.4Hz)、8.33(m,1H)、7.49(t,1H,J=8.8Hz)、3.94(s,3H)、3.71(m,4H)、3.16(m,4H).
【0310】
17.メチル 3−ブロモ−4−クロロベンゾエートの調製
【0311】
【化26】
【0312】
3−ブロモ−4−クロロ安息香酸(200mg、0.849mmol)を、濃硫酸(5.49mg、0.042mmol)の存在下において、メタノール(10mL)中に70℃で、一晩還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(130mg)。
【0313】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.29(d,1H,J=2.0Hz)、7.91(dd,1H,J=2.0 & 8.4Hz)、7.52(d,1H,J=8.4Hz)、3.92(s,3H).ESI−MS:250.9[M+H]
+.
【0314】
18.メチル 3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンゾエートの調製
【0315】
【化27】
【0316】
3−(N,N−ジメチルスルファモイル)安息香酸(200mg、0.872mmol)を、濃硫酸(5.64mg、0.044mmol)の存在下において、メタノール(10mL)中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(125mg)。
【0317】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.42(s,1H)、8.27(d,1H,J=8.0Hz)、7.97(d,1H,J=7.2Hz)、7.65(t,1H,J=8.0Hz)、3.96(s,3H)、2.74(s,6H).ESI−MS:244.0[M+H]
+.
【0318】
19.3−ブロモ−4−クロロベンゾヒドラジドの調製
【0319】
【化28】
【0320】
メチル 3−ブロモ−4−クロロベンゾエート(120mg、0.481mmol)を、メタノール(8mL)におけるヒドラジン(23.12mg、0.721mmol)に添加し、70℃で12時間還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(30mg)。
【0321】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.02(d,1H,J=1.6Hz)、7.60(dd,1H,J=2.0 & 8.0Hz)、7.52(d,1H,J=8.0Hz).ESI−MS:250.9[M+H]
+.
【0322】
20.3−(ヒドラジンカルボニル)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミドの調製
【0323】
【化29】
【0324】
メチル 3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンゾエート(150mg、0.617mmol)を、メタノール(10mL)におけるヒドラジン(29.6mg、0.925mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(60mg)。
【0325】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.11(s,1H)、8.01(d,1H,J=8.4Hz)、7.92(d,1H,J=8.0Hz)、7.65(t,1H,J=8.0Hz)、2.73(s,6H).ESI−MS:244.0[M+H]
+.
【0326】
21.(E)−3−ブロモ−4−クロロ−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ベンゾヒドラジドの調製
【0327】
【化30】
【0328】
3−ブロモ−4−クロロベンゾヒドラジド(30mg、0.120mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(20.51mg、0.120mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、表題の化合物を得た(15mg)。
【0329】
1H NMR(400MHz,acetone−d
6):δ 8.30(s,1H)、7.98(d,1H,J=8.4Hz)、7.73(d,1H,J=8.4Hz)、7.61(d,1H,J=2.4Hz)、7.29(dd,1H,J=2.4 & 8.4Hz)、6.93(d,1H,J=8.8Hz)、2.55(s,3H).ESI−MS:402.9[M+H]
+.
【0330】
22.(E)−3−(2−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジンカルボニル)−N,N−ジメチルベンゼンスルホン−アミドの調製
【0331】
【化31】
【0332】
3−(ヒドラジンカルボニル)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(50mg、0.206mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(35.1mg、0.206mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(15mg)。
【0333】
1H NMR(400MHz,acetone−d
6):δ 8.29(m,2H)、8.01(d,1H,J=8.4Hz)、7.83(t,1H,J=8.4Hz)、7.62(d,1H,J=2.4Hz)、7.32(dd,1H,J=2.4 & 8.8Hz)、6.96(d,1H,J=8.8Hz)、2.73(s,6H)、2.58(s,3H).ESI−MS:396.0[M+H]
+.
【0334】
23.5−ブロモ−6−クロロニコチノヒドラジドの調製
【0335】
【化32】
【0336】
メチル 5−ブロモ−6−クロロニコチネート(100mg、0.399mmol)を、メタノール(8mL)におけるヒドラジン(19.19mg、0.599mmol)に添加し、70℃で一晩加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応が完了すると、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(20mg)。
【0337】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.33(d,1H,J=2.4Hz)、8.01(d,1H,J=2.4Hz).
【0338】
24.(E)−5−ブロモ−6−クロロ−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ニコチノヒドラジドの調製
【0339】
【化33】
【0340】
5−ブロモ−6−クロロニコチノヒドラジド(15mg、0.060mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(10.22mg、0.060mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(8mg)。
【0341】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ 8.39(d,1H,J=2.4Hz)、8.28(s,1H)、7.63(d,1H,J=2.4Hz)、7.32(dd,1H,J=2.4 & 8.8Hz)、7.06(d,1H,J=6.8Hz)、6.92(d,1H,J=9.2Hz)、6.81(d,1H,J=6.8Hz)、2.47(s,3H).ESI−MS:404.0[M+H]
+.
【0342】
25.メチル−5−クロロニコチネートの調製
【0343】
【化34】
【0344】
5−クロロニコチン酸(200mg、1.269mmol)を、濃硫酸(8.20mg、0.063mmol)の存在下において、メタノール(10mL)中に70℃で、一晩還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(120mg)。
【0345】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.07(d,1H,J=1.6Hz)、8.72(d,1H,J=2.0Hz)、8.26(m,1H)、3.95(s,1H).
【0346】
26.メチル−5−クロロニコチネートの調製
【0347】
【化35】
【0348】
5−クロロニコチン酸(200mg、1.269mmol)を、濃硫酸(8.20mg、0.063mmol)の存在下において、メタノール(8mL)中に70℃で、一晩還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(120mg)。
【0349】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.07(d,1H,J=1.6Hz)、8.72(d,1H,J=2.0Hz)、8.26(m,1H)、3.95(s,1H).
【0350】
27.5−クロロニコチノヒドラジドの調製
【0351】
【化36】
ヒドラジン(17.93mg、0.560mmol)を、メタノール(8mL)にメチル−5−クロロニコチネート(80mg、0.466mmol)に添加し、70℃で一晩加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、表題の化合物を得た(40mg)。
【0352】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.85(d,1H,J=2.0Hz)、8.70(d,1H,J=2.4Hz)、8.22(t,1H,J=2.0Hz).ESI−MS:172.0[M+H]
+.
【0353】
28.(E)−5−クロロ−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ニコチノヒドラジドの調製
【0354】
【化37】
【0355】
5−クロロニコチノヒドラジド(30mg、0.175mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(29.8mg、0.175mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(20mg)。
【0356】
1H NMR(400MHz,acetone−d
6):δ 9.06(s,1H)、8.77(s,1H)、8.37(s,1H)、7.62(d,1H,J=2.8Hz)、7.31(dd,1H,J=2.0 & 8.4Hz)、6.95(d,1H,J=8.8Hz)、2.58(s,3H).ESI−MS:324.0[M+H]
+.
【0357】
29.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)プロピリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0358】
【化38】
【0359】
3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(40mg、0.140mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オン(25.9mg、0.140mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(20mg)。
【0360】
1H NMR(400MHz,acetone−d
6):δ 8.26(m,2H)、8.00(d,1H,J=7.6Hz)、7.84(t,1H,J=8.0Hz)、7.64(d,1H,J=2.4Hz)、7.33(m,1H)、6.98(d,1H,J=9.2Hz)、3.69(m,4H)、3.10(q,2H,J=7.6Hz)、2.99(m,4H)、1.26(t,3H,J=7.6Hz).ESI−MS:452.1[M+H]
+.
【0361】
30.(E)−3−(モルホリノスルホニル)−N’−(1−(ピリジン−3−イル)エチリデン)ベンゾヒドラジドの調製
【0362】
【化39】
【0363】
3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(40mg、0.140mmol)および1−(ピリジン−3−イル)エタノン(16.98mg、0.140mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(15mg)。
【0364】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.53(bs,1H)、8.87(s,1H)、8.59(m,1H)、8.39(m,1H)、8.17(m,1H)、7.98(m,1H)、7.89(d,1H,J=8.0Hz)、7.67(t,1H,J=8.0Hz)、7.32(m,1H)、3.70(m,4H)、3.00(m,4H)、2.39(s,3H).ESI−MS:389.0[M+H]
+.
【0365】
31.3−モルホリノベンゾヒドラジドの調製
【0366】
【化40】
【0367】
メチル−3−モルホリノベンゾエート(100mg、0.452mmol)を、メタノール(10mL)におけるヒドラジン(14.48mg、0.452mmol)に添加し、65℃で12時間還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。カラムクロマトグラフィー(2% CH3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として表題の化合物を得た(52mg)。
【0368】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ 9.69(s,1H)、7.35(s,1H)、7.27(m,2H)、7.07(m,1H)、4.45(bs,2H)、3.74(m,4H)、3.14(m,4H).ESI−MS:222.1[M+H]
+.
【0369】
32.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−モルホリノベンゾヒドラジドの調製
【0370】
【化41】
【0371】
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(40mg、0.234mmol)および3−モルホリノベンゾヒドラジド(51.9mg、0.234mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(60mg)を得た。
【0372】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ 7.65(d,1H,J=2.4Hz)、7.42−7.32(m,4H)、7.20(m,1H)、6.94(d,1H,J=8.8Hz)、3.77(m,4H)、3.19(m,4H)、2.48(s,3H).ESI−MS:374.1[M+H]
+.
【0373】
33.5−(メチルスルホニル)ニコチノヒドラジドの調製
【0374】
【化42】
【0375】
メチル 5−(メチルスルホニル)ニコチネート(100mg、0.465mmol)を、メタノール(10mL)におけるヒドラジン(17.87mg、0.558mmol)に添加し、70℃で12時間還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として表題の化合物(83mg、収率80%)を得た。
【0376】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 9.20(d,1H,J=2.0Hz)、9.17(d,1H,J=2.0Hz)、8.61(s,1H)、3.11(s,3H).ESI−MS:216.1[M+H]
+.
【0377】
34.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−5−(メチルスルホニル)ニコチノヒドラジドの調製
【0378】
【化43】
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(50mg、0.293mmol)および5−(メチルスルホニル)ニコチノヒドラジド(63.1mg、0.293mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(4mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物(70mg、収率63.0%)を得た。
【0379】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ 11.86(s,1H)、9.37(s,1H)、9.27(s,1H)、8.76(s,1H)、7.68(s,1H)、7.36(d,1H,J=8.8Hz)、6.97(d,1H,J=8.8Hz)、3.42(s,3H)、2.53(s,3H).ESI−MS:368.8[M+H]
+.
【0380】
35.3−(メチルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0381】
【化44】
【0382】
メチル 3−(メチルスルホニル)ベンゾエート(100mg、0.467mmol)を、メタノール(10mL)におけるヒドラジン(22.44mg、0.700mmol)に添加し、70℃で12時間還流した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として表題の化合物(80mg、収率80%)を得た。
【0383】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 8.28(s,1H)、8.07(d,1H,J=7.6Hz)、8.01(d,1H,J=7.6Hz)、7.62(t,1H,J=7.6Hz)、3.04(s,3H).ESI−MS:215.1[M+H]
+.
【0384】
36.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(メチルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0385】
【化45】
【0386】
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(55mg、0.322mmol)および3−(メチルスルホニル)ベンゾヒドラジド(69.1mg、0.322mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(5mL)に溶解した。前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。前記反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了および冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として表題の化合物を得た(75mg、収率63.4%)。
【0387】
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 8.49(s,1H)、8.26(d,1H,J=8.4Hz)、8.18(d,1H,J=7.6Hz)、7.80(t,1H,J=7.6Hz)、7.60(d,1H,J=2.4Hz)、7.27(m,1H)、6.93(d,1H,J=8.8Hz)、3.19(s,3H)、2.49(s,3H).ESI−MS:367.8[M+H]
+.
【0388】
37.3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)安息香酸の調製
【0389】
【化46】
【0390】
4−メチルピペリジン(180mg、1.813mmol)を、カリウムカーボネート(251mg、1.813mmol)の存在下において、THF(容量:5ml)中に室温で、3−(クロロスルホニル)安息香酸(200mg、0.906mmol)に添加した。前記反応混合物を、室温で12時間攪拌した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として表題の化合物を得た。
【0391】
1H NMR(CD
3OD,400MHz):δ 8.32(m,1H)、8.27(m,1H)、7.96(m,1H)、7.72(t,1H,J=8.0Hz)、3.72(m,2H)、2.27(m,2H)、1.68(m,2H)、1.29(m,1H)、1.21(m,2H)、0.88(d,3H,J=6.4Hz).ESI−MS:284.1[M+H]+。
【0392】
38.メチル 3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾエートの調製
【0393】
【化47】
【0394】
3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)安息香酸(120mg、0.424mmol)を、濃硫酸(2.74mg、0.021mmol)の存在下において、メタノール中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、メチル 3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾエートを得た(100mg、0.319mmol、収率75%)。
【0395】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.39(m,1H)、8.25(m,1H)、7.94(m,1H)、7.62(t,1H,J=7.6Hz)、3.95(s,3H)、3.77(m,2H)、2.25(m,2H)、1.67(m,2H)、1.29(m,3H)、0.90(d,3H,J=4.8Hz).ESI−MS:298.1[M+H]+。
【0396】
39.2−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0397】
【化48】
【0398】
ヒドラジン(22.46mg、0.701mmol)を、メタノールにおけるメチル 2−(モルホリノスルホニル)ベンゾエート(100mg、0.350mmol)に添加し、70℃で12時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、固形物として、表題の化合物である2−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(40mg、0.129mmol、収率36.8%)を得た。
【0399】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.86(m,1H)、7.66−7.56(m,2H)、7.52(dd,1H,J=1.2 & 7.6Hz)、7.40(m,1H)、4.09(m,2H)、3.70(m,4H)、3.15(m,4H).ESI−MS:286.1[M+H]+。
【0400】
40.3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0401】
【化49】
【0402】
メチル 3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾエート(100mg、0.336mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(21.55mg、0.673mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジドを収集した(70mg、0.217mmol、収率64.4%)。
【0403】
1H NMR(CD3OD,400MHz):δ 8.16(m,1H)、8.05(m,1H)、7.91(m,1H)、7.70(t,1H,J=7.6Hz)、3.74(m,2H)、2.28(m,2H)、1.69(m,2H)、1.32−1.16(m,3H)、0.90(d,3H,J=6.0Hz).ESI−MS:298.1[M+H]+。
【0404】
41.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0405】
【化50】
【0406】
3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジド(70mg、0.235mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(40.2mg、0.235mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−((4−メチルピペリジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジド(15mg、0.032mmol、収率13.60%)を得た。
【0407】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.11(m,2H)、7.81(m,1H)、7.59(m,1H)、7.39(m,1H)、7.19(m,1H)、6.89(m,1H)、3.69(m,2H)、2.41(m,2H)、2.24(m,2H)、1.63(m,2H)、1.24(m,4H)、0.87(d,3H,J=4.4Hz).Mass[M+H]+:450.2。
【0408】
42.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0409】
【化51】
【0410】
1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)エタノン(20mg、0.116mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(33.1mg、0.116mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(10mg、0.022mmol、収率19.22%)を得た。
【0411】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.26(m,1H)、8.09(m,1H)、7.80(d,1H,J=7.6Hz)、7.58(t,1H,J=7.6Hz)、7.37(m,1H)、7.21(m,1H)、6.95(m,1H)、3.61(m,4H)、2.90(m,4H)、2.29(s,3H).Mass[M+H]+:440.1。
【0412】
43.メチル 3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾエートの調製
【0413】
【化52】
【0414】
3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)安息香酸(200mg、0.783mmol)を、濃硫酸(5.06mg、0.039mmol)の存在下において、メタノール中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、メチル 3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾエートを得た(150mg、0.535mmol、収率68.3%)。
【0415】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.47(m,1H)、8.25(d,1H,J=7.6Hz)、8.02(dt,1H,J=1.2 & 8.0Hz)、7.63(t,1H,J=7.6Hz)、3.96(s,3H)、3.27(m,4H)、1.77(m,4H).Mass[M+H]+:270.1。
【0416】
44.メチル 3−(N−メチルスルファモイル)ベンゾエートの調製
【0417】
【化53】
【0418】
3−(N−メチルスルファモイル)安息香酸(200mg、0.929mmol)を、濃硫酸(6.01mg、0.046mmol)の存在下において、メタノール中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、メチル 3−(N−メチルスルファモイル)ベンゾエートを得た(120mg、0.497mmol、収率53.5%)。
【0419】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.51(m,1H)、8.25(m,1H)、8.06(dt,1H,J=1.2 & 8.0Hz)、7.63(t,1H,J=7.6Hz)、3.96(s,3H)、2.69(s,3H).Mass[M+H]+:230.1。
【0420】
45.3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0421】
【化54】
【0422】
メチル 3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾエート(150mg、0.557mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(35.7mg、1.114mmol)に添加し、65℃で12時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジドを収集した(110mg、0.396mmol、収率71.1%)。
【0423】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.18(m,1H)、8.03(d,1H,J=7.6Hz)、7.97(d,1H,J=8.0Hz)、7.78(bs,1H)、7.63(t,1H,J=7.6Hz)、4.17(bs,2H)、3.25(m,4H)、1.77(m,4H).Mass[M+H]+:270.1。
【0424】
46.3−(ヒドラジンカルボニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミドの調製
【0425】
【化55】
【0426】
ヒドラジン(43.3mg、1.352mmol)を、メタノールにおけるメチル 3−(N−メチルスルファモイル)ベンゾエート(155mg、0.676mmol)に添加し、65℃で12時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、3−(ヒドラジンカルボニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミドを収集した(120mg、0.502mmol、収率74.3%)。
【0427】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.25(m,1H)、8.01(m,2H)、7.64(m,2H)、4.63(m,1H)、4.17(m,2H)、2.69(d,3H,J=5.2Hz).ESI−MS:230.0[M+H]+。
【0428】
47.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−2−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0429】
【化56】
【0430】
2−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(30mg、0.105mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(17.94mg、0.105mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−2−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(10mg、0.022mmol、収率21.28%)を得た。
【0431】
1H NMR(CD
3OD,400MHz):δ 7.95(d,1H,J=8.0Hz)、7.95−7.70(m,2H)、7.66(d,1H,J=7.6Hz)、7.56(d,1H,J=2.8Hz)、7.25(dd,1H,J=2.8 & 8.8Hz)、6.91(d,1H,J=8.4Hz)、3.66(m,4H)、3.2(m,4H)、2.36(s,3H).Mass[M+H]+:438.1。
【0432】
48.(E)−3−(2−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジンカルボニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミドの調製
【0433】
【化57】
【0434】
3−(ヒドラジンカルボニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミド(120mg、0.523mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(89mg、0.523mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−3−(2−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジンカルボニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミド(75mg、0.192mmol、収率36.8%)を得た。
【0435】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.21(m,1H)、8.06(m,1H)、7.95(d,1H,J=7.6Hz)、7.59(t,1H,J=8.0Hz)、7.39(d,1H,J=2.4Hz)、7.18(m,1H)、6.90(d,1H,J=8.0Hz)、2.56(s,3H)、2.36(s,3H).Mass[M+H]+:382.1。
【0436】
49.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0437】
【化58】
【0438】
3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジド(105mg、0.390mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(66.5mg、0.390mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジド(70mg、0.163mmol、収率41.7%)を得た。
【0439】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.18(m,1H)、8.13(m,1H)、7.95(d,1H,J=7.6Hz)、7.65(t,1H,J=7.6Hz)、7.41(m,1H)、7.21(m,1H)、6.93(d,1H,J=8.8Hz)、3.23(m,4H)、2.39(s,3H)、1.75(m,4H).Mass[M+H]+:422.1。
【0440】
50.メチル−3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾエートの調製
【0441】
【化59】
【0442】
3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)安息香酸(100mg、0.392mmol)を、濃硫酸(2.53mg、0.020mmol)の存在下において、メタノール(5mL)中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、メチル−3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾエートを得た(99mg、0.353mmol、収率90%)。
【0443】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.58(m,2H)、7.36(t,1H,J=8.0Hz)、7.09(m,1H)、3.91(s,3H)、3.89(m,4H)、3.11(m,4H).Mass[M+H]+:270.1。
【0444】
51.3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾヒドラジドの調製
【0445】
【化60】
【0446】
メチル−3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾエート(95mg、0.353mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(22.61mg、0.705mmol)に添加し、65℃で12時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィー(2% CH3OH/CH2Cl2)により、化合物を精製して、固形物として、表題の化合物である3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾヒドラジド(32mg、0.109mmol、収率31.0%)を収集した。
【0447】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.34(m,1H)、7.29(t,1H,J=8.4Hz)、7.18(d,1H,J=7.6Hz)、6.70(dd,1H,J=4.8 & 8.0Hz)、3.85(m,4H)、3.05(m,4H).Mass[M+H]+:270.1。
【0448】
52.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾヒドラジドの調製
【0449】
【化61】
【0450】
3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾヒドラジド(30mg、0.111mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(19.00mg、0.111mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、表題の化合物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンゾヒドラジド(15mg、0.035mmol、収率31.3%)を得た。
【0451】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ 7.65(d,1H,J=2.0Hz)、7.47(m,1H)、7.41(t,1H,J=7.6Hz)、7.36−7.27(m,3H)、6.94(d,1H,J=8.8Hz)、3.87(m,4H)、3.17(m,4H)、2.48(s,3H).Mass[M+H]+:422.2。
【0452】
53.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ニトロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0453】
【化62】
【0454】
1−(5−クロロ−2−ニトロフェニル)エタノン(30mg、0.150mmol)および3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(42.9mg、0.150mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、生成物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ニトロフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(15mg、0.030mmol、収率20.09%)を得た。
【0455】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.20(m,1H)、8.07(m,1H)、7.88(m,1H)、7.66(m,1H)、7.51(m,2H)、7.39(m,1H)、3.69(m,4H)、2.99(m,4H)、2.29(s,3H).Mass[M+H]+:468.0。
【0456】
54.メチル 3−スルファモイルベンゾエートの調製
【0457】
【化63】
【0458】
3−スルファモイル安息香酸(150mg、0.746mmol)を、濃硫酸(4.82mg、0.037mmol)の存在下において、メタノール(5mL)中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、固形物として、メチル−3−スルファモイルベンゾエート(115mg、0.524mmol、収率70.2%)を得た。
【0459】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.53(m,1H)、8.18(d,1H,J=8.0Hz)、8.08(d,1H,J=7.6Hz)、7.57(t,1H,J=8.0Hz)、3.92(s,3H).Mass[M+H]+:216.0。
【0460】
55.メチル 4−(モルホリノスルホニル)ベンゾエートの調製
【0461】
【化64】
【0462】
4−(モルホリノスルホニル)安息香酸(150mg、0.553mmol)を、濃硫酸(3.57mg、0.028mmol)の存在下において、メタノール中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物を精製して、メチル 4−(モルホリノスルホニル)ベンゾエートを得た(135mg、0.464mmol、収率84%)。
【0463】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.21(m,2H)、7.82(m,2H)、3.97(s,3H)、3.4(m,4H)、3.02(m,4H).Mass[M+H]+:286.0。
【0464】
56.3−(ヒドラジンカルボニル)ベンゼンスルホンアミドの調製
【0465】
【化65】
【0466】
メチル 3−スルファモイルベンゾエート(110mg、0.511mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(32.8mg、1.022mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィー(5% メタノール/DCM)により、化合物を精製して、白色の固形物として、3−(ヒドラジンカルボニル)ベンゼンスルホンアミド(57mg、0.260mmol、収率50.8%)を収集した。
【0467】
1H NMR(CD3OD,400MHz):δ 8.32(m,1H)、8.04(d,1H,J=7.6Hz)、7.97(d,1H,J=7.6Hz)、7.63(t,1H,J=8.0Hz).Mass[M+H]+:216.0。
【0468】
57.4−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0469】
【化66】
【0470】
メチル 4−(モルホリノスルホニル)ベンゾエート(135mg、0.473mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(30.3mg、0.946mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィー(3% メタノール/DCM)により、化合物を精製して、白色の固形物として、4−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(102mg、0.350mmol、収率74.0%)を収集した。
【0471】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.94(m,2H)、7.79(m,2H)、3.72(m,4H)、2.99(m,4H).Mass[M+H]+:286.0。
【0472】
58.(E)−3−(2−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジンカルボニル)ベンゼンスルホンアミドの調製
【0473】
【化67】
【0474】
3−(ヒドラジンカルボニル)ベンゼンスルホンアミド(50mg、0.232mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(39.6mg、0.232mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、生成物である(E)−3−(2−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジンカルボニル)ベンゼンスルホンアミド(36mg、0.094mmol、収率40.4%)を得た。
【0475】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ 8.34(s,1H)、8.15(d,1H,J=7.6Hz)、8.02(d,1H,J=7.6Hz)、7.73(t,1H,J=8.0Hz)、7.64(m,1H)、7.51(bs,2H)、7.32(dd,1H,J=2.4 & 8.4Hz)、6.92(d,1H,J=8.4Hz)、2.49(s,3H).Mass[M+H]+:368.0。
【0476】
59.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン−4−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0477】
【化68】
【0478】
4−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(100mg、0.350mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(59.8mg、0.350mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、生成物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン−4−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド(80mg、0.177mmol、収率50.6%)を得た。
【0479】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ 8.16(m,2H)、7.89(m,2H)、7.67(d,1H,J=2.4Hz)、7.35(dd,1H,J=2.4 & 8.8Hz)、6.95(d,1H,J=8.4Hz)、3.64(m,4H)、2.92(m,4H)、2.49(s,3H).Mass[M+H]+:438.0。
【0480】
60.3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)安息香酸の調製
【0481】
【化69】
【0482】
3−(クロロスルホニル)安息香酸(200mg、0.906mmol)を、カリウムカーボネート(251mg、1.813mmol)の存在下において、THF(容量:5ml)中に室温で、1−メチルピペラジン(100mg、0.997mmol)に添加した。前記反応混合物を、室温で12時間攪拌した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、カラムクロマトグラフィー(3% CH
3OH/CH
2Cl
2)により、化合物を精製して、固形物として、生成物である3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)安息香酸(100mg、0.320mmol、収率35.3%)を得た。
【0483】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.77(m,2H)、7.63−7.55(m,2H)、3.04(m,4H)、2.46(m 4H)、2.31(s,3H).Mass[M+H]+:285.1。
【0484】
61.メチル 3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾエートの調製
【0485】
【化70】
【0486】
3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)安息香酸(250mg、0.879mmol)を、濃硫酸(5.68mg、0.044mmol)の存在下において、メタノール中に70℃で、一晩還流した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、溶媒を、真空で除去した。粗製材料を、精製することなく、更なる反応に使用した。
【0487】
62.3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0488】
【化71】
【0489】
メチル 3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾエート(200mg、0.670mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(43.0mg、1.341mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、前記溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィー(3% メタノール/DCM)により、化合物を精製して、白色の固形物として、3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジド(125mg、0.406mmol、収率60.6%)を収集した。
【0490】
1H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ 10.08(s,1H)、8.12(m,2H)、7.84(d,1H,J=7.6Hz)、7.72(t,1H,J=7.6Hz)、4.57(m,1H)、2.88(m,4H)、2.32(m,4H)、2.10(s,3H).Mass[M+H]+:298.9。
【0491】
63.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0492】
【化72】
【0493】
3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジド(85mg、0.285mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(48.6mg、0.285mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、生成物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−((4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル)ベンゾヒドラジド(70mg、0.152mmol、収率53.4%)を得た。
【0494】
1H NMR(CD3OD,400MHz):δ 8.29(s,1H)、8.21(d,1H,J=7.2Hz)、7.99(d,1H,J=8.0Hz)、7.78(t,1H,J=7.6Hz)、7.59(d,1H,J=2.4Hz)、7.27(dd,1H,J=2.4 & 9.2Hz)、6.92(d,1H,J=8.8Hz)、3.09(m,4H)、2.54(m,4H)、2.48(s,3H)、2.28(s,3H).Mass[M+H]+:450.9。
【0495】
64.3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0496】
【化73】
【0497】
メチル 3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾエート(150mg、0.529mmol)を、メタノールにおけるヒドラジン(50.9mg、1.588mmol)に添加し、65℃で8時間還流した。冷却後、反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、溶媒を、真空で除去した。次に、フラッシュクロマトグラフィー(3% メタノール/DCM)により、化合物を精製して、白色の固形物として、3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジド(70mg、0.245mmol、収率46.2%)を収集した。
【0498】
1H NMR(CD3OD,400MHz):δ 8.17(t,1H,J=1.2Hz)、8.05(dt,1H,J=1.2 & 8.0Hz)、7.90(dt,1H,J=1.2 & 8.0Hz)、7.69(t,1H,J=7.6Hz)、2.99(m,4H)、1.62(m,4H)、1.43(m,2H).Mass[M+H]+:284.1。
【0499】
65.(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジドの調製
【0500】
【化74】
【0501】
3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジド(65mg、0.229mmol)および1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エタノン(39.1mg、0.229mmol)を、触媒としての酢酸の存在下において、メタノール(容量:4ml)に溶解した。次に、前記反応混合物を、マイクロ波照射により、120℃に30分間加熱した。反応を、TLCによりモニターした。前記反応の完了後、冷却後、前記溶媒を、真空で除去した。得られた粗製材料を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2% CH
3OH/CH
2Cl
2)により精製して、固形物として、生成物である(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)ベンゾヒドラジド(55mg、0.124mmol、収率53.9%)を得た。
【0502】
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.09(m,2H)、7.85(d,1H,J=8.0Hz)、7.62(t,1H,J=8.0Hz)、7.41(d,1H,J=2.4Hz)、7.22(d,1H,J=8.0Hz)、6.93(d,1H,J=8.8Hz)、2.97(m,4H)、2.41(s,3H)、1.61(m,4H)、1.40(m,2H).Mass[M+H]+:436.9。
【0503】
66.一般的な生化学的および細胞材料ならびに方法
LSD1活性を、Cayman Chemical Company(Ann Arbor、Michigan)から購入した、LSD1阻害剤スクリーニングアッセイキット(Cayman Chemical 商品番号700120)を使用して測定した。(バキュロウイルスに感染したBTI昆虫細胞において発現された)組換えモノアミンオキシダーゼAおよびモノアミンオキシダーゼB(それぞれ、カタログ番号M7316およびM7441)を、Sigma−Aldrich Co.LLC.(St.Louis、Missouri)から購入した。MAO−Glo(商標)アッセイキットを、Promega Corporation(Madison、Wisconsin)から購入した。ATPlite(商標)発光アッセイシステム(例えば、カタログ番号V1401)を、PerkinElmer Inc.(Waltham、Massachussetts)から購入した。
【0504】
67.細胞培養
ガン細胞株を、ATCCから得た。提供された手順に基づいて、細胞を培養した。使用した細胞株としては、以下の表4に示されるものがあった。表4に示される補足に加えて、1% ペニシリン/ストレプトマイシン(100IU/mL ペニシリンおよび100μg/mL ストレプトマイシン)も、培地に添加した。細胞を、37℃および5% CO
2で培養した。ATCCは、アメリカ培養細胞系統保存機関(Manassas、Virginia)である。
【0505】
【表4】
【0506】
68.LSD1ヒストン脱メチル化酵素アッセイ
化合物の阻害活性に関する第1のアッセイを、LSD1阻害剤スクリーニングアッセイキット(Cayman Chemical Company、Ann Arbor、Michigan;Cayman Chemical 商品番号700120)とした。要約すると、試験化合物を、100% DMSOにおいて、20×所望の試験濃度に希釈した。2.5μLの前記希釈した薬剤試料を、ブラック384ウェルプレートに添加した。LSD1酵素ストックを、アッセイバッファーで17倍に希釈した。40μLの前記希釈したLSD1酵素を、適切なウェルに添加した。前記反応混合物は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ジメチルK4ペプチド(ヒストンH3のN末端尾部の最初の21個のアミノ酸に対応)から構成された。次に、10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンを、ウェルに添加した。レゾルフィンの発生(前記反応において産生されるH
2O
2と反応することにより発生する。)を、530nmの励起波長および595nmの発光波長による、Envisionマイクロプレートリーダにおいて分析した。
【0507】
69.モノアミンオキシダーゼ(「MAO」)アッセイ
モノアミンオキシダーゼ活性の阻害を、MAO−Glo(商標)アッセイキットを使用して、製造元が提示するプロトコルに従って行った。要約すると、6.25μLの試験化合物を、384ウェルプレートの各ウェルに添加した。酵素(MAO AまたはBのいずれか)を添加し(1μgのタンパク質を含む2×バッファーにおいて、12.5μL)、5分間インキュベートした。最後に、6.25μLの4×MAO基質を、各ウェルに添加した。1時間のインキュベート後、25μLのルシフェリン検出試薬を、各ウェルに添加し、20分間インキュベートした。次に、Envisionマイクロプレートリーダにおいて、発光を測定した。各MAOアイソフォームの阻害に関するIC
50を決定するのに使用した典型的なデータを、
図4に提供する。複数の化合物に関する典型的なデータを、以下の表8にまとめる。
【0508】
70.細胞生存性アッセイ
ATPlite(商標)発光アッセイシステム(PerkinElmer Inc.、Waltham、Massachussetts)を使用し、上記および表4に記載の種々の細胞株を使用して、細胞生存性を測定した。要約すると、細胞を、96ウェルプレートに播種し、次に、種々の濃度の阻害剤(0.1% 最終DMSO濃度)で処理した。96時間のインキュベート後、ATPlite検出試薬を、前記培養ウェルに直接添加した。Envisionマイクロプレートリーダにおいて、5分後に発光を読み取った。種々の細胞株についての細胞増殖の阻害に関する典型的なIC
50データを、以下の表6、7および9に提供する。
【0509】
71.リアルタイムPCR
要約すると、T−47D細胞を、96ウェルプレートに播種し、示した濃度の阻害剤で処理した。細胞ライゼート、逆転写および単色サイバーグリーンリアルタイムPCRを、Cells−to−Ctキット(Life Technologies)を使用して行った。ヘムオキシゲナーゼ(HMOX)の転写レベルを、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)およびβ−アクチンに正規化した。リアルタイムPCRに使用したプライマーを、以下の表5に示す。HMOX発現における開示の化合物の作用に関する典型的なデータを、表6および7に提供する。
【0510】
【表5】
【0511】
72.IC
50の計算
GraphPad Prism5ソフトウェアを使用して、IC
50値を決定した。前記薬剤の各濃度に関するパーセント阻害として、前記データを、X−Yプロットとして、前記ソフトウェアに入力した。前記薬剤の濃度値を、log変換し、非線形回帰を、前記データに一致させ、IC
50値を計算するために、前記GraphPadソフトウェア内の「シグモイド曲線の用量−応答(勾配変化のある法面」オプションを使用して行った。前記報告されたIC
50値は、50%阻害が達成される薬剤の濃度である。
【0512】
73.化合物の活性
種々の生化学的および細胞の活性を調節する代表的な開示の化合物の能力を、上記アッセイを使用して決定した。この結果を、以下の表に示す。T−47D細胞を使用した、LSD1活性または細胞増殖のいずれかの阻害に関するIC
50(μM)を、表6および7に示す。さらに、ヘムオキシゲナーゼ(HMOX)発現についての代表的な化合物の作用も、表6および7に示す。コントロール化合物であるトラニルシプロミンと比較した、代表的な化合物による、モノアミンオキシダーゼA(「MAO A」)およびB(「MAO B」)の阻害に関するIC
50を、表8に示す。種々の細胞株に関する細胞増殖についての、化合物No.12(表7で使用される化合物番号を参照、または、(E)−N’−(1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)エチリデン)−3−(モルホリノスルホニル)ベンゾヒドラジド)の作用を、表9に示す。IC
50または他のアッセイ結果が「n.d.」と表される場合、示されたアッセイにおいて測定されなかった。
【0513】
化合物12を、ガン細胞株の一団における感受性を評価するのに使用した(表9)。この生存性アッセイにおける化合物12に対する細胞株感受性は、IC
50値に関して、300nM付近から3μM直下まで、1log異なった。前記代表的な化合物の中での比較に関して、IC
50値を、T−47D細胞において決定した(表6および7を参照のこと。)。ほとんど例外なく、T−47D細胞は、前記LSD1の生化学的アッセイにおいて活性であった試験化合物に対して感受性であり、前記LSD1の生化学アッセイにおいてほとんど活性を示さなかった化合物に対して、ほとんど感受性がなかったことが観察された。
【0514】
これらの化合物による細胞培養におけるLSD1阻害の更なるレベルの分析を追加するために、発現アレイ実験を、化合物12により誘導される転写変化を評価するのに行った(データを示さず)。これらのデータは、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)は、この化合物での処理後に、複数の細胞株にわたって、最も一貫して上方制御された遺伝子の1つであった。HMOX1は、プロモータにおけるH3のメチル化により制御されることが公知であるため(Krieg,A.J.,et al.Mol Cell Biol 2010,30(1),344−53)、T−47D細胞におけるHMOX1発現における前記試験化合物の作用を、測定した(表6および7を参照こと。)。前記データは、HMOX1発現の上方制御に関連する代表的な化合物が、前記LSD1アッセイおよび前記細胞生存性アッセイにおける阻害活性にも関連することを示す。
【0515】
LSD1は、モノアミンオキシダーゼファミリーの酵素に対して、高い構造相同性を有する(モノアミンオキシダーゼAおよびB;それぞれMAO AおよびBの両方に関して、17.6%;例えば、Gooden,D.M.,et al.Bioorg Med Chem Lett 2008,18(10),3047−51を参照のこと。)。MAO AまたはMAO Bのいずれかと比較したLSD1に関する、代表的な化合物の選択的活性は、LSD1を標的とする治療化合物に関する望ましい特性である。化合物1および化合物12の特異性を、本願明細書に記載のMAO生化学的アッセイにおいて試験した(表8にまとめた代表的な結果に関する
図3を参照のこと。)。このアッセイでは、前記公知のMAO阻害剤であるトラニルシプロミンは、MAO AおよびBの両方に対して活性を示した。対照的に、化合物1は、MAO Bに対して、トラニルシプロミンに匹敵する活性を示したが、MAO Aに対して活性を示さなかった。しかしながら、化合物12は、いずれのMAO酵素に対しても活性を示さなかった(>300μM)。化合物18および24も試験し、MAO AまたはBに対する活性を示さなかった。前記結果を、表8に提供する。これらの結果は、前記代表的な化合物が、前記MAO酵素について著しく低下した作用を有する、LSD1に関する特異性を有することを実証する。注目すべきは、MAO AおよびBは両方とも、FADが、Cys406およびCys397それぞれにチオエーテル結合により、前記酵素に共有結合される点において、LSD1とは異なることである(Kearney,E.B.,et al.European Journal of Biochemistry 1971,(24),321−327;および、Bach,A.W.,et al.Proc Natl Acad Sci USA 1988,(85),4934−4938)。
【0516】
【表6】
【0517】
【表7】
【0518】
【表8】
【0519】
【表9】
【0520】
74.予測的なインビボにおける抗腫瘍作用:細胞株異種移植モデル
下記実施例の本開示の化合物の前記インビボ作用は、予測的である。一般的に、クロマチンの制御を調節する薬剤、例えば、ヒストン脱メチル化酵素の阻害剤は、癌の前臨床モデルに有効性を示す。先の実施例に記載の化合物におけるインビボ作用は、当業者に公知の癌の種々の動物モデル、例えば、腫瘍異種移植モデルにおいて示されると予測される。これらのモデルは、典型的には、げっ歯類において、ほとんどの場合、マウスにおいて行われるが、本研究の目的に都合がよいのであれば、他の動物種において行ってもよい。本願明細書に開示の化合物、生成物および組成物は、当業者に公知の癌の種々の動物モデル、例えば、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて、インビボ作用を示すことが予測される。
【0521】
化合物のインビボ作用は、マウス腫瘍異種移植研究により評価され得る。1つの可能性のある研究プロトコルを、本願明細書に記載する。要約すると、細胞(100mLの培養培地において、2から5×10
6個)を、無胸腺nu/nuヌードマウス(5から6週齢、18−22g)の右後ろの脇腹に、例えば、皮下注射により皮下に移植する。本発明の試験化合物に関して、前記腫瘍異種移植研究に使用した典型的な細胞株は、AN3、CAまたはBT−20としたであろう。これらの研究に関する他の適切な細胞株は、BT−549、HCT 116、HER218、MCF7、MDA−MB−231、MDA−MB−235、MDA−MB−435S、MDA−MB−468、PANC−1、PC−3、SK−N−MC、T−47DおよびU−87 MGの細胞である。前記細胞を、本願明細書に記載のこのプロトコル用に収集する前に培養する。
【0522】
移植後に、前記動物を、処理群(例えば、媒体、ポジティブコントロールおよび種々の用量レベルの前記試験化合物)にランダム化する前に、前記腫瘍を、典型的に移植後約6−18日で、約100mm
3に増殖させる。群あたりの前記動物の数は、典型的には、8−12匹とする。研究の1日目は、前記動物が、この最初の投与を受ける日に対応する。試験化合物の有効性は、前記研究の目的に応じて、種々の長さの研究において決定され得る。典型的な研究期間は、14、21および28日間である。投与頻度(例えば、試験化合物を、毎日、1日おき、2日おきまたは他の頻度で動物に投与するかどうか)を、前記試験化合物の毒性および有効性に応じて、各研究に関して決定する。典型的な研究設計は、週末での回収による、前記試験化合物で毎日(M−F)投与することを含むであろう。前記研究全体を通して、腫瘍体積および体重を、1週間に2回測定する。前記研究の最後に、前記動物を安楽死させ、腫瘍を収集し、更なる分析のために凍結させる。または、分析のために、腫瘍を直ちに処理、例えば、緩衝ホルマリンにおいて固定し、パラフィン包埋し、ヘマトキシリン/エオシン染色および、所望の腫瘍学マーカーに関する更なる免疫組織化学的な分析用に切片を作製し得る。
【0523】
例えば、本発明の化合物またはこの医薬として許容される塩、溶媒和物、多形体、水和物および立体化学的に異性型は、このようなインビボ作用を示すと予測される。
【0524】
75.予測的なインビボにおける抗腫瘍作用:腫瘍移植片モデル
または、腫瘍外植片モデルまたは腫瘍移植片動物モデル(例えば、Rubio−Viqueira B.,et al.Clin Cancer Res.(2006)12:4652−4661;Fiebig,H.H.,Maier,A.and Burger,A.M.Eur.J.Canc.(2004)40:802−820;および、DeRose,Y.S.,et al.「Patient−derived tumor grafts authentically reflect tumor pathology,growth,metastasis and disease outcomes.」(2011)Nat.Med.,in pressを参照のこと。)における、本開示の化合物のインビボにおける有用性を評価するのが望ましくあり得る。これらのモデルは、治療的な化合物のインビボ作用についての、より高い品質の情報を提供し得る。腫瘍移植片モデルは、多くの種類の癌、例えば、ヒトの乳ガンの、腫瘍の生物学および癌が転移する方法を試験するのに、より信頼性の高いインビボモデルであると考えられる。実際の患者の腫瘍組織の免疫不全のマウスへの移植(「腫瘍移植片」と呼ばれる。)は、ヒトの腫瘍を表現型描写することおよび患者における薬剤応答を予測することに関して、細胞株の移植に超える改善を提供する(Clarke,R.Breast Cancer Res(2009)11 Suppl 3,S22;Press,J.Z.,et al.Gynecol Oncol(2008)110:56−264;Kim,M.P.,et al.Nat Protoc(2009)4:670−1680;Daniel,V.C.,et al.Cancer Res(2009)69:3364−3373;および、Ding,L.,et al.Nature(2010)464:999−1005)。
【0525】
要約すると、組織試料を、認可されたIRBプロトコルに基づいて、ユタ州のハンツマンガン病院/大学において、オンフォームドコンセントした患者から収集するであろう。試料を収集し、移植用に取得される前に、ハンツマンガン研究所の組織活用および応用コア施設により匿名化するであろう。全ての原発腫瘍は、組織収集の前に化学療法を受けていない個体に由来し、全ての転移性胸水は、化学療法、ホルモン療法および/または放射線療法で処置されている個体に由来するであろうと見込まれる。ユタ大学研究所の動物治療および利用委員会は、全てのマウスの実験を総説し、認可するであろう。実験群あたりの最も小さい3匹のマウスを使用し、メスのマウスのみを、乳ガン腫瘍に関する研究に使用するであろうことが見込まれる。新鮮または凍結させた腫瘍(約8mm
3)の1つの断片またはマトリゲルにおける約10
6個の細胞を、3−4週齢のメスのNOD/SCIDマウスのクリアな鼠径乳房脂肪体に移植する。同様に、肩甲骨間のエストロゲンペレットを、ER+の腫瘍と共に、マウスの皮下に移植する。腫瘍の増殖を、キャリパーを使用して週に1回測定する。腫瘍が約150−2,000mm
3に達する時点で、前記マウスを安楽死させ、組織断片を別のコホートのマウスに再移植し、後の使用のために凍結し、および/または、組織構造、遺伝子発現およびDNAコピー数を分析した。腫瘍体積を、式0.5×長さ×(幅)
2を使用して算出する。エストロゲン依存性を決定する実験に関して、ER
+の腫瘍を、肩甲骨間エストロゲンペレットの存在または不存在下において、および、標準的な方法に基づいて行われる卵巣を取り除く同時外科手術の有無と共に、上記のようにマウスに移植する。
【0526】
患者またはマウスから新鮮に収集された腫瘍組織を、約8mm
3片に切断し、液体窒素において、後の移植のために、95% FBSおよび5% DMSOの溶液に保存する。または、前記組織を、コラゲナーゼ溶液(2.5% FBS、10mM HEPES、10μg/mL ペニシリン−ストレプトマイシンを添加したRPMI1640培地における、1mg/mlのコラゲナーゼ[IV型、Sigma])により、250rpmで振とうしながら、37℃で40−60分間消化する。消化された組織を、細片を除去するために引張り、ヒト乳房上皮細胞(HBEC)培地(10mM HEPES、5% FBS、1mg/mL BSA、0.5μg/mL ヒドロコルチゾン、50μg mL ゲンタマイシン、1μg/mL ITS−X100を添加したDMEM F/12)において、3回洗浄する。前記ペレットを、凍結培地(HBEC培地における5% FBSおよび10% DMSO)に再懸濁させ、液体窒素において保存する。
【0527】
開示の化合物の作用を評価するために、前記動物を処理群(例えば、媒体、ポジティブコントロールおよび種々の用量レベルの前記試験化合物)にランダム化する前に、マウスにおける腫瘍を、典型的に移植後約6−18日で、約100mm
3に増殖させる。群あたりの前記動物の数は、典型的には、8−12匹とする。研究の1日目は、前記動物が、この最初の投与を受ける日に対応する。前記試験化合物の有効性は、前記研究の目的に応じて、種々の長さの研究において決定され得る。典型的な研究期間を、14、21および28日間とする。投与頻度(例えば、試験化合物を、毎日、1日おき、2日おきまたは他の頻度で動物に投与するかどうか)を、前記試験化合物の毒性および有効性に応じて、各研究に関して決定する。典型的な研究設計は、週末での回収による、前記試験化合物で毎日(M−F)投与することを含むであろう。前記研究全体を通して、腫瘍体積および体重を、1週間に2回測定する。前記研究の最後に、前記動物を安楽死させ、前記腫瘍を収集し、更なる分析のために凍結させる。または、分析のために、腫瘍を直ちに処理、例えば、緩衝化ホルマリンにおいて固定し、パラフィン包埋し、ヘマトキシリン/エオシン染色および、所望の腫瘍学マーカーに関する更なる免疫組織化学的な分析用に切片を作製し得る。
【0528】
例えば、本発明の化合物またはこの医薬として許容される塩、溶媒和物、多形体、水和物および立体化学的に異性型は、このようなインビボ作用を示すと予測される。
【0529】
76.予測的な医薬組成物の実施例
これらの実施例全体を通して使用するとき、「活性成分」は、1つ以上の本発明の化合物またはこの医薬として許容される塩、溶媒和物、多形体、水和物および立体化学的に異性型に関する。錠剤、懸濁液、注射剤および軟膏における本発明の化合物おける製剤の下記実施例が、予測される。
【0530】
本発明の製剤に関する典型的な実施例のレシピを、以下に記載する。本発明に基づいて所望の投与量における開示の化合物を使用して形成する、種々の他の剤形、例えば、充填ゼラチンカプセル剤、液体状のエマルジョン/懸濁液、軟膏、坐剤またはチュアブル錠を、本願明細書に適用し得る。適切な剤型を調製するための種々の従来の技術が、予測的な医薬組成物、例えば、本願明細書に開示のものおよび標準的な参考テキスト、例えば、英国および米国の薬局方、レミントンの薬学(Mack Publishing Co.)およびMartindale The Extra Pharmacopoeia(London The Pharmaceutical Press)におけるものを調製するのに使用され得る。
【0531】
この参考文献の開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。
【0532】
a.経口投与用の医薬組成物
下記のようにして、錠剤を調製し得る。
【0533】
【表10】
【0534】
または、約100mgの開示の化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのとうもろこしデンプン(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP25)(例えば、BASF、Ludwigshafen、Germanyから)および2mgのマグネシウムステアレートを、錠剤あたりに使用する。前記活性成分、ラクトースおよびデンプンの混合物を、水におけるPVPの5%溶液(m/m)で顆粒化する。乾燥後、顆粒を、マグネシウムステアレートと、5分間混合する。この混合物を、通常の錠剤プレス(例えば、錠剤の形状:直径8mm、曲率半径12mm)を使用して成形する。適用される成形力を、典型的に、約15kNとする。
【0535】
または、開示の化合物は、経口用途に製剤化された懸濁液において投与され得る。例えば、約100−5000mgの所望の開示の化合物、1000mgのエタノール(96%)、400mgのキサンタンゴムおよび99gの水を、攪拌により組み合わせる。約10−500mgの所望の開示の化合物の1回の用量が、10mlの経口懸濁液により提供され得る。
【0536】
これらの実施例では、活性成分は、同量の本発明に基づく化合物のいずれかと、具体的には、同量の前記例示した化合物のいずれかにより置き替えられ得る。一部の状況では、錠剤に代えて、カプセル剤、例えば、充填ゼラチンカプセル剤の使用が望ましい場合がある。錠剤またはカプセル剤の選択は、使用される具体的な開示の化合物の物理化学的な特徴により、ある程度決まるであろう。
【0537】
経口調製物を製造するための代替となる有用な担体の例は、ラクトース、ショ糖、デンプン、タルク、マグネシウムステアレート、結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グリセリン、ナトリウムアルギネート、アラビアゴム等である。これらの代替となる担体は、所望の溶解性、吸収性および製造特性に必要であれば、上記所定のものと置換され得る。
【0538】
ヒトへの使用に関する医薬組成物の使用に関する、錠剤あたりの開示の化合物の量は、適切な動物モデル、例えば、ラットおよび少なくとも1つの非げっ歯類種において取得された毒性学データおよび薬物動態データから決定され、ヒトの臨床試験データに基づいて調節される。例えば、開示の化合物は、錠剤の投与単位あたりに、約10から1000mgのレベルで存在するのが適切であり得る。
【0539】
b.注射剤用途における医薬組成物
非経口組成物を、下記のようにして調製し得る。
【0540】
【表11】
【0541】
または、静脈内注射の医薬組成物は、場合により、約15%以下のCremophor EL、および場合により、15%以下のエチルアルコール、および場合により、2当量以下の医薬として適切な酸、例えば、クエン酸または塩酸が使用される生理食塩水における、約100−5000mgの開示の化合物、15gのポリエチレングリコール400および250gの水を含む組成物で使用され得る。このような注射剤組成物の調製は、下記のようにして達成され得る:本開示の化合物および前記ポリエチレングリコール400を、攪拌しながら水に溶解させる。前記溶液を、無菌ろ過し(孔径0.22μm)、無菌条件下において、加熱滅菌した注入ボトルに充填した。前記注入ボトルを、ゴム栓で密封する。
【0542】
更なる例では、静脈内注射用の医薬組成物は、約10−500mgの開示の化合物、標準的な生理食塩水溶液、場合により15重量%以下のCremophor EL、および場合により、15重量%以下のエチルアルコール、および場合により、2当量以下の医薬として適切な酸、例えば、クエン酸または塩酸を含む組成物で使用され得る。調製は、下記のようにして達成され得る:所望の開示の化合物を、攪拌しながら、前記生理食塩水溶液に溶解する。場合により、Cremophor EL、エチルアルコールまたは酸を添加する。前記溶液を、無菌ろ過し(孔径0.22μm)、無菌条件下において、加熱滅菌した注入ボトルに充填した。前記注入ボトルを、ゴム栓で密封する。
【0543】
この実施例では、活性成分は、同量の本発明に基づく化合物のいずれかと、具体的には、同量の前記例示した化合物のいずれかにより置き替えられ得る。
【0544】
ヒトへの使用に関する医薬組成物の使用に関する、アンプルあたりの開示の化合物の量は、適切な動物モデル、例えば、ラットおよび少なくとも1つの非げっ歯類種において取得された毒性学データおよび薬物動態データから決定され、ヒトの臨床試験データに基づいて調節される。例えば、開示の化合物は、錠剤の投与単位あたりに、約10から1000mgのレベルで存在するのが適切であり得る。
【0545】
非経口の調製物に適した担体は、例えば、溶解剤またはpH調節剤としての役割を果たす、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ナトリウムカーボネート、水酸化ナトリウム等と使用され得る、水、生理食塩水溶液等である。前記非経口の調製物は、投与単位あたりに、好ましくは、50から1000mgの開示の化合物を含む。
【0546】
本発明の範囲または精神を逸脱することなく、種々の修飾および変更が、本発明になされ得ることは、当業者に明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の検討および本願明細書に開示の発明の実用化から当業者に明らかであろう。本明細書および実施例は、例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神は、下記の特許請求の範囲により示されることが意図される。