【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ここで参照がなされるべき添付の独立請求項において定義される場合の金属粉末の製造のための方法を提供する。本発明の好ましい又は有利な特徴は、従属する様々な従属請求項に記載される。
【0009】
従って、第1の態様において、金属粉末の製造のための方法は、カソード及びアノードを、電解セル内の溶融塩と接触する状態で配置するステップと、複数の非金属粒子を含む一定体積の供給原料を電解セル内に配置するステップと、前記一定体積の供給原料中での溶融塩の流れをもたらすステップと、供給原料が金属に還元されるように、カソードとアノードとの間に電位を加えるステップと、を含んでもよい。
【0010】
第2の態様において、金属粉末の製造のための方法は、カソード及びアノードを、電解セル内の溶融塩と接触する状態で配置するステップであって、カソードの上面が、複数の非金属粒子を含む供給原料を支持し、アノードの下面が、供給原料及びカソードから垂直方向に離間されている、ステップと、供給原料が金属に還元されるように、カソードとアノードとの間に電位を加えるステップと、を含んでもよい。
【0011】
第3の態様において、金属粉末の製造のための方法は、カソード及びアノードを、電解セル内の溶融塩と接触する状態で配置するステップであって、カソードの上面が、複数の別々の非金属粒子を含む自由流動供給原料を支持し、アノードの下面が、供給原料及びカソードから垂直方向に離間されている、ステップと、供給原料が複数の別々の金属粒子に還元されるように、カソードとアノードとの間に電位を加えるステップと、を含んでもよい。
【0012】
金属粉末の製造のための方法は、これらの態様の2つ以上に記載される特徴の組み合わせを含んでもよい。以下の好ましい又は有利な特徴は、上述した態様のいずれかと共に使用されてもよい。好ましい及び有利な特徴は、任意の順列又は組み合わせで組み合わされてもよい。
【0013】
供給原料は、供給原料材料の複数の分離された別々の粒子を含む自由流動粉末であることが好ましい。供給原料として自由流動粒子、例えば自由流動粉末粒子を使用することによって、還元前に粉末状非金属供給原料を多孔質プリフォーム又は前駆体に形成する必要があった先行技術による電気分解方法を越えるかなりの利点が提供され得る。供給原料中の個々の粒子は、金属の個々の粒子に還元されることが好ましい。分離された粒子間の合金化は、実質的に起こらないことが好ましい。還元中、隣接する供給原料粒子間の焼結は、実質的に起こらないことが好ましい。
【0014】
先行技術では、粉末は、酸化物材料のペレット(各ペレットは、多数の個々の酸化物粒子の圧密により形成される)を金属のペレットに還元することにより形成された。次いで、これらの金属ペレットを粉砕して金属粉末を形成していた。本発明者らは、以前の知識に反して、供給原料材料の別々の粒子を含む供給原料を、金属材料の別々の粒子を含む粉末に還元することが可能であると断定した。(以前、必須であると理解されていた)供給原料プリフォームを調製するステップが除外されるだけでなく、商業的に使用可能な金属粉末を形成するために還元ペレットを粉砕する必要もない。
【0015】
有利には、供給原料は、天然に存在する砂若しくは細礫であってもよく、又は天然に存在する砂若しくは極細礫に由来する自由流動粒子を含んでもよい。砂又は礫は、選鉱された砂又は礫であってもよい。砂及び礫は、粒子全体としての又は粒子中の結晶子としての1つ以上の金属鉱石鉱物を含んでもよい。そのような鉱物は、本発明によるプロセスを用いて、金属構成成分を抽出することにより還元されてもよい。例えば、供給原料は、天然に存在するルチル砂に由来してもよい。ルチルは、最も一般的な、天然に存在する二酸化チタン多形である。
【0016】
供給原料は、粉砕した岩石、例えば粉砕した鉱石に由来する粒子を含んでもよい。供給原料は、粉砕したスラグ、例えば鉱物砂又は鉱石を加熱することにより形成されたスラグに由来する粒子を含んでもよい。
【0017】
有利には、供給原料は、天然に存在する鉱物を含んでもよい。例えば、供給原料は、ルチル又はイルメナイト等の、天然に存在する砂を含んでもよい。それらの天然砂は多数の粒子を含み、前記粒子のそれぞれは異なる組成を有し得る。それらの砂はまた、異なる鉱物タイプの多数の結晶粒を含んでもよい。
【0018】
有利には、供給原料は、第1の組成を有する第1の非金属粒子と、第2の組成を有する第2の非金属粒子とを含んでもよい。次いで、第1の非金属粒子が、第1の金属組成を有する第1の金属粒子に還元され、第2の非金属粒子が、第2の金属組成を有する第2の金属粒子に還元されるような条件下で、供給原料を還元してもよい。先行技術では、異なる組成の金属酸化物粒子をブレンドし、プリフォームに形成し、還元する実験が説明されている。得られた金属生成物は合金である。それ故、異なる組成の粒子を含む微粒子供給原料を還元した結果は合金であろうことが予想される。驚くべきことに、異なる組成を有する多数の粒子を含む供給原料を、分離された個々の粒子間の合金化を一見起こすことなく、異なる組成の多数の粒子を含む金属粉末に還元することが可能であることが証明された。この方法で自由流動供給原料を還元することが可能であることには、相当な利益が存在し得る。例えば、本発明は、鉱石及び砂中に見出されるような天然に存在する鉱物の直接還元による金属の生産を、実用的及び経済的の両方で実行可能にすることができる。
【0019】
砂は、異なる組成を有する2つを超える粒子から構成され得るため、異なる粒子のそれぞれが個々に金属に還元されるような還元が起こり得る。それ故、有利な実施形態では、供給原料は、第nの組成を有する第nの非金属粒子を更に含み、この第nの非金属粒子は、第nの金属組成を有する第nの金属粒子に還元されると言うことができる。用語「n」は、任意の整数であってもよい。
【0020】
チタンは、天然に存在する多くの鉱物中に存在する元素である。それ故、供給原料は、高い割合のチタンを有利に含むことができ、従って得られた還元金属は、高い割合のチタンを含むことができる。
【0021】
微粒子材料を粒子サイズに従って分類するための多数の異なる基準が存在する。ウェントワース区分(Wentworth scale)では、例えば、砂は、直径62.5マイクロメートル〜125マイクロメートル(極細粒砂)、直径125マイクロメートル〜250マイクロメートル(細粒砂)、直径250マイクロメートル〜500マイクロメートル(中粒砂)、直径500マイクロメートル〜1mm(粗粒砂)及び直径1mm〜2mm(極粗粒砂)の範囲に分類される。微細礫は、直径2mm〜直径4mmの範囲の粒子として定義される。材料の粒子、特に砂の粒子は、完全な球形であることは殆どない。実際には、個々の粒子は、異なる長さ、幅及び厚さを有し得る。しかしながら、利便性のために、粒子サイズは通常、単一の直径として示され、前記直径は、粒子が過度に高いアスペクト比を有さない限り、ほぼ正確である。砂及び礫は、本発明の目的のために、単一の平均粒子サイズにより記述され得る。
【0022】
本発明の実施形態で使用するのに好適な供給原料は、実質的に、直径62.5マイクロメートル〜4mmの自由流動粒子を含むことが好ましい。供給原料は、ウェントワース区分で砂として分類されるであろうサイズの自由流動粒子を含むことが特に好ましい。供給原料は、ウェントワース区分で細粒砂又は中粒砂として分類されるであろうサイズの自由流動粒子を含むことが特に好ましい。
【0023】
平均粒子サイズは、多数の異なる技術、例えば篩分け、レーザー回折、動的光散乱又は画像解析によって決定することができる。砂のサンプルの平均粒子サイズの正確な値は、平均値を決定するのに使用される測定技術に僅かに応じて異なり得るが、実際には、値は、粒子が過度に高いアスペクト比を有さない限り、同一のオーダーのものであろう。例えば、当業者は、同一の砂が、篩分けによって分析された場合、1.9mmの平均粒径を有し得るが、画像解析等の異なる技術によって分析された場合、2.1mmの平均粒径を有すると見出される場合があることを理解するであろう。
【0024】
供給原料を構成している粒子は、10mm未満、例えば5mm未満の平均粒径を有することが好ましく、平均粒径は、10マイクロメートル〜5mm、より好ましくは20マイクロメートル〜4mm、又は60マイクロメートル〜3mmであることが好ましい。特に好ましい供給原料は、60マイクロメートル〜2mm、好ましくは100マイクロメートル〜1.75mm、例えば250マイクロメートル〜1.5mmの平均粒径を有し得る。
【0025】
平均粒径は、レーザー回折によって決定されることが好ましい。例えば、平均粒子サイズは、Malvern Mastersizer Hydro 2000MUのような分析器によって決定されてもよい。
【0026】
供給原料中の粒子サイズの範囲を特定することが望ましい可能性がある。直径が広範囲に亘って異なる粒子を含む供給原料は、大部分の粒子が実質的に同一の粒子サイズを有する供給原料よりも密に詰め込まれることができる。これは、より小さい粒子が、隣接するより大きい粒子の間の隙間を満たすためであり得る。一定体積の供給原料は、溶融塩が供給原料によって形成された層中を自由に流れるための十分な開放空間又は空隙率を有することが望ましい可能性がある。供給原料が過度に密に詰め込まれた場合、供給原料中の溶融塩の流路が阻害され得る。
【0027】
粒子サイズの範囲は、レーザー回折によって決定されてもよい。例えば、粒子サイズの範囲は、Malvern Mastersizer Hydro 2000MUのような分析器によって決定されてもよい。
【0028】
供給原料のサイズ範囲は、篩分けのプロセスによって選択されることが好都合であり得る。篩分けによる粒子のサイズ範囲又はサイズ画分の選択は、周知である。供給原料は、篩分けにより決定して、63マイクロメートル〜1mmのサイズ範囲内の自由流動粒子を含むことが好ましい。供給原料は、篩分けにより決定して、150マイクロメートル〜212マイクロメートルのサイズ範囲内の自由流動粒子を含むことが特に好ましい可能性がある。
【0029】
微粒子固体又は粉末の粒子密度、即ち真の密度は、材料の固有の物理的特性である。これは、粉末を構成している個々の粒子の密度(単位体積当たりの質量)である。対照的に、嵩密度は、特定の媒体(通常、空気)中での大量の粉末の平均密度の尺度である。
【0030】
粒子密度の測定は、多数の標準的な方法にて行うことができ、前記方法の殆どが一般にアルキメデスの原理に基づいている。最も広く使用されている方法は、既知の容積の容器(比重瓶)内に粉末を配置し、秤量することを含む。次いで、粉末が溶解しない、既知の密度の流体を比重瓶に満たす。粉末の体積は、比重瓶により示される容積と、加えられた液体の体積(即ち、置き換えられた空気の体積)との間の差により決定される。
【0031】
嵩密度は、粉末状材料又は微粒子材料の固有の特性ではなく、材料の取り扱い方法に応じて変化し得る特性である。
【0032】
嵩密度は、材料の多数の粒子の質量を、前記粒子が占める全体積で除算したものとして定義される。全体積は、粒子体積、粒子間空隙体積及び内部細孔体積を含む。
【0033】
乾燥嵩密度=粉末の質量/全体としての体積
【0034】
【数1】
【0035】
鉱物砂又は鉱石の凝縮物の嵩密度は、砂を構成している鉱物と、圧縮の程度とに大きく依存する。嵩密度は、注がれたままの、自由に沈降した状態で測定されるか、又は圧縮状態(沈降状態又はタッピングされた状態として既知)で測定されるかに応じて異なる値を有する。
【0036】
例えば、容器内に注がれた粉末は、特定の嵩密度を有するであろう。容器が動揺された場合、粉末粒子は移動し、通常互いにより緊密に沈降して、より高い嵩密度をもたらすであろう。この理由により、粉末の嵩密度は、通常、「自由に沈降した」(又は「注がれたままの」密度)及び「タップ」密度(タップ密度とは、通常、容器の振動を含む特定の圧縮プロセス後の粉末の嵩密度を指す)の両方として報告される。
【0037】
本明細書で使用される、一定体積のバルク供給原料とは、注がれたままの状態での一定体積の微粒子供給原料を指す。例えば、一定体積の供給原料は、注がれたままの状態にあり、圧迫されていない又は意図的に撹拌されていない一定体積の砂供給原料であり得る。前記一定体積の供給原料は、供給原料を構成している個々の各粒子と、それらの粒子間の空隙又は隙間とを含む。
【0038】
本明細書で使用される、供給原料の嵩密度とは、供給原料の全質量をその体積で除算することにより計算される密度を指す。嵩密度は、例えば、供給原料を既知の容積のレセプタクル内に、前記レセプタクルが満たされる迄注ぎ、その容積内の粒子の質量を決定し、密度を計算することにより決定され得る。
【0039】
本明細書で使用されるタップ供給原料とは、注がれた後、圧迫され、撹拌され、又は供給原料の沈降を誘導するようタッピングされた一定体積の微粒子供給原料である。タップ供給原料の体積は、タップ体積と称されるであろう。タップ密度は、粉末の質量とタップ体積とを使用して計算されるであろう。
【0040】
本明細書で使用される、(注がれたままの又はタッピングされた)供給原料の空隙率は、供給原料を構成している粒子間の自由空間である供給原料の割合を指し、バルク体積の百分率として表される。空隙率は、供給原料の密度を、供給原料材料の粒子の理論密度と比較することにより決定され得る。当業者は、異なる供給原料の空隙率を決定するための方法を知っているであろう。
【0041】
本発明者らは、供給原料の空隙率は、供給原料が個々の粒子として還元される能力に寄与し得ることに注目した。例えば、150マイクロメートル〜212マイクロメートルの粒子サイズ分布(篩分けにより決定)と、2.22gcm
−3の嵩密度(ルチル密度は4.23gcm
−3であると想定され、これは二酸化チタンの理論密度である)とを有するルチル供給原料に関する実験的還元を行った。従って、注がれたままの状態では、この供給原料は47%の空隙率を有した。この供給原料の一部分は、注がれたままの状態で好適な電解装置内に配置された際、Ti系金属の個々の粒子に還元された。対照的に、同一のルチル供給原料は、タッピングにより沈降された際、2.44gcm
−3のタップ密度と42%のタップ空隙率とを有した。この供給原料の一部分は、電解装置内に配置され、沈降され、注がれたままの供給原料と同一条件下で還元された際に、Ti系金属の焼結塊を形成した。
【0042】
それ故、本発明の任意の態様で使用するためには、供給原料は、一定体積のバルク供給原料(即ち、注がれたままの又は自由に沈降した状態での)であり、タップ供給原料ではないことが好ましい。前記一定体積のバルク供給原料は、43%超の空隙率を有して、供給原料中での溶融塩の流れを促進することが好ましい。一定体積のバルク供給原料は、44%〜54%の空隙率を有することが好ましい可能性がある。空隙率は、45%〜50%、例えば46%〜49%又は47%〜48%であることが好ましい。
【0043】
粒子のサンプルにおける粒子サイズ分布を定義する標準的な一方法は、D10、D50及びD90値を参照することである。D10は、粒子の集団の10%がその下方に存在する粒子サイズ値である。D50は、集団の50%がその下方に存在し、集団の50%がその上方に存在する粒子サイズ値である。D50は、中央値としても既知である。D90は、集団の90%がその下方に存在する粒子サイズ値である。広い粒子サイズ分布を有する供給原料サンプルは、D10〜D90値に大きい差を有するであろう。同様に、狭い粒子サイズ分布を有する供給原料サンプルは、D10〜D90に小さい差を有するであろう。
【0044】
粒子サイズ分布は、レーザー回折によって決定されてもよい。例えば、D10、D50及びD90値を含む粒子サイズ分布は、Malvern Mastersizer Hy
【0045】
任意の供給原料に関するD10は60マイクロメートルを超え、D90は3mm未満であることが好ましい可能性がある。D90は、D10
に対してさらに、200%
大きいサイズ以下、好ましくはD10
に対してさらに、150%
大きいサイズ以下、又はD10
に対してさらに、100%
大きいサイズ以下、が好ましい可能性がある。供給原料が、D90がD10
に対してさらに、75%
大きいサイズ以下、又はD10
に対してさらに、50%
大きいサイズ以下のサイズ分布を有することが有益であり得る。
【0046】
D10は、0.25〜1mmであることが好ましい。D90は、0.5mm〜3mmであることが好ましい。
【0047】
供給原料の一実施形態は、D10が1mmであり、D90が3mmである粒子の集団を有してもよい。供給原料の別の実施形態は、D10が1.5mmであり、D90が2.5mmある粒子の集団を有してもよい。供給原料の別の実施形態は、D10が250マイクロメートルであり、D90が400マイクロメートルである集団を有してもよい。別の実施形態は、D10が0.5mmであり、D90が0.75mmである集団を有してもよい。
【0048】
より開放した供給原料層の形成を可能にすることに加えて、狭い粒子サイズ分布を有する供給原料中の粒子はまた、全部がほぼ同一の速度で還元され得る。供給原料中の粒子の還元がほぼ同時に完了する場合、これは個々の粒子の焼結が有利に防止されることを助ける可能性がある。
【0049】
層中での溶融塩の流れは重要であり得るため、一定体積の供給原料から形成される層に関する空隙率を特定することが望ましい可能性がある。例えば、層が40%超の空隙率又は45%超の空隙率を有することを規定することが望ましい可能性がある。
【0050】
前記一定体積の供給原料が、好ましくは略水平方向に配置されたメッシュ上に位置し、前記供給原料中を溶融塩が流れ得ることが好ましい。例えば、前記一定体積の供給原料を保持するカソードの上面は、メッシュの形態であり又はメッシュを含んでもよい。供給原料は、供給原料の平均粒子サイズよりも小さいメッシュサイズを有する、そのようなメッシュによって保持されることが好ましい。メッシュは、供給原料集団のD10値以下のメッシュサイズを有することが特に好ましい。メッシュサイズは、D5よりも小さい可能性がある。微粒子供給原料はメッシュの表面上に支持されてもよく、次いで溶融塩がメッシュ及び供給原料層中を流れることが可能であってもよい。メッシュ中での塩の移動は、有利に、粒子を穏やかに撹拌し、個々の粒子が一緒に焼結することを防止し得る。しかしながら、供給原料を流動化させ、又は個々の粒子をメッシュから運び去る塩の移動は望ましくない。
【0051】
前記一定体積の供給原料は、好適な保持バリアによって、その縁部に保持されることが好ましい。例えば、供給原料の支持に使用されるカソードは、供給原料がカソードの上面上に支持されることを可能にする保持バリアを含んでもよい。供給原料は5mm超、好ましくは1cm超又は2cm超の深さまでカソード上に載せられることが好ましい。供給原料の深さは、還元されるべき粒子のサイズに大きく依存し得る。しかしながら、カソード上に載せられた供給原料が還元されるバッチプロセスでは、任意の特定の還元の実行又はバッチにおいて、供給原料の深さが小さくなるほど金属の生産量が低くなる。
【0052】
高価値金属を生産可能な、天然に存在する砂及び酸化物鉱石中に見出すことができる鉱物の例には、ルチル、イルメナイト、鋭錐石及び白チタン石(チタンの場合)、灰重石(タングステン)、錫石(錫)、モナズ石(セリウム、ランタン、トリウム)、ジルコン(ジルコニウム、ハフニウム及びケイ素)、輝コバルト鉱(コバルト)、クロム鉄鉱(クロム)、ベルトランダイト及び緑柱石(ベリリウム、アルミニウム、ケイ素)、ウラナイト及び瀝青ウラン鉱(ウラン)、石英(ケイ素)、輝水鉛鉱(モリブデン及びレニウム)、並びに輝安鉱(アンチモン)が挙げられる。これらの鉱物の1つ以上は、本発明で使用される供給原料の構成成分として好適であり得る。この鉱物のリストは、排他的ではない。本発明は、例えば上記に列挙されていない1つ以上の鉱物を含む材料、例えば砂又は粉砕した鉱石の粒子を還元するのに使用されてもよい。
【0053】
有利には、供給原料を構成している粒子は、多孔性を実質的に有さなくてもよい。先行技術による電気分解方法は、多孔質供給原料を使用していた。多くの粉末供給原料を構成している実質的に全ての結晶粒又は粒子、例えば天然に存在する殆どの砂又は粉砕鉱石に由来する粉末状供給原料は、完全に緻密であり得る。本明細書で使用される、完全に緻密という用語は、多孔性を実質的に有さないことを意味する。
【0054】
供給原料を構成している粒子は、3.5g/cm
3〜7.5g/cm
3、好ましくは3.75g/cm
3〜7.0g/cm
3、例えば4.0g/cm
3〜6.5g/cm
3、又は4.2g/cm
3〜6.0g/cm
3の絶対密度を有し得る。金属、特に重金属の鉱物及び酸化物の多くは、高い密度を有する。天然に存在する、チタン、ジルコニウム及び鉄を含む鉱物の多くは、このカテゴリーに属する。
【0055】
いくつかの重元素、例えばU、Th又はTaを含む鉱物は、7.5g/cm
3超の密度を有し得る。例えば、瀝青ウラン鉱及びウラナイトは、11g/cm
3迄の密度を有し得る。本発明の実施形態は、そのような高い密度の鉱物を含む粒子の還元に使用することができる。同様に、より軽い元素、例えばSiを含む鉱物は、3.5g/cm
3未満の密度を有し得る。例えば、シリカは約2.6g/cm
3の密度を有し得る。本発明の実施形態は、そのような低い密度の鉱物を含む粒子の還元に使用することができる。
【0056】
供給原料は、人工鉱物又は人造鉱物を含んでもよい。例えば、チタン粉末を生成するために、供給原料は合成ルチル材料から完全に又は部分的に形成されてもよい。合成ルチルを形成する一方法は、イルメナイトの処理によるものであってもよい。
【0057】
イルメナイトは、FeTiO
3の公称組成を有する鉱物である。天然イルメナイト粒子の還元は、フェロチタン合金粉末を提供し得る。しかしながら、イルメナイトは、鉄成分を除去することにより処理されて、公称組成TiO
2の合成ルチルを形成し得ることが既知である。このような合成ルチルは、顔料産業での使用のために生成される。合成ルチルを生成するためのイルメナイトの処理方法は、概して酸又はアルカリ中で浸出させて、不純物と、鉄等の不必要な元素とを除去することを含む。合成ルチルを生成するそのような方法は、当技術分野にて周知である。実際には、イルメナイトを処理して合成ルチルを生成するための最も一般的な商業的プロセスは、Becherプロセス、Beniliteプロセス、Austpacプロセス及びIshiharaプロセスである。
【0058】
合成ルチルは、化学的浸出により生成される多孔質粒子である。化学的浸出は、還元金属粒子の多孔率の制御を容易にする上で特に有利であり得る。合成ルチルを使用してチタンを形成する。合成的に生成された他の材料を使用して、他の金属粉末を形成してもよい。
【0059】
供給原料は、多孔質粒子を含んでもよい。いくつかの天然砂及び鉱石は、いくつかの人工鉱物と同様、多孔質である。還元粒子の多孔性の程度は、供給原料の多孔性の程度に影響され得る。多孔質金属粒子を含む、又は多孔質金属粒子からなる粉末を形成することは有利であり得る。
【0060】
多結晶固体の一部を形成している個々の結晶は、多くの場合、結晶子又は結晶粒と称される。各結晶子内では、原子は規則的な秩序パターンで配列されている。隣接する結晶子間の界面(結晶子界面又は結晶粒界)は、無秩序である。供給原料を構成している粒子は結晶質であり、10マイクロメートル超、より好ましくは25マイクロメートル超の平均結晶子サイズを有することが好ましい。化学的に精製された「合成」酸化物のような多くの化学的化合物は、化学的沈殿又は化学的凝縮等のプロセスによって形成される。形成された粒子は何百マイクロメートルもの直径を有し得るが、それらの合成材料の結晶子サイズは、一般に、数十ナノメートルのオーダーのものである。しかしながら、結晶子サイズは、有意により大きい、例えば数十又は数百マイクロメートルのオーダーのものが有利であり得る。
【0061】
結晶子間の界面は非常に不完全な構造を有するため、これらの界面において拡散がより容易に発生する。供給原料粒子が微細な結晶子構造を有する場合、その粒子中の結晶子界面の体積は、粒子がより粗い結晶子構造を有した場合よりも大きいであろう。拡散は、例えば電気還元中、供給原料中の隣接する粒子間の焼結の程度を制御する因子の1つである。従って、より大きい結晶子サイズを有する粉末状材料が関与する電気還元反応は、供給原料が微細な結晶子サイズを有する場合と比較して、より制御可能であり得る。供給原料の個々の粒子は、結晶子サイズが例えば平均で粒子サイズの1/10、1/4又は1/2よりも大きい等、粒子サイズと同等の大きさを有し、又は粒子サイズと同等の大きさに近づく傾向がある場合、一緒に焼結される傾向が低くなり(自由流動金属粉末生成物を生成し)得る。
【0062】
有利には、供給原料は、質量に基づいて、第1の金属元素がより高い割合を占める組成を有する、粒子の第1の組と、質量に基づいて、第2の金属元素がより高い割合を占める組成を有する、粒子の第2の組と、を含んでもよい。供給原料は、本発明を具体化する方法を用いて、粒子の第1の組と粒子の第2の組との間で合金化が起こらないように還元されることが好ましい。還元された材料の個々の結晶粒が不可逆的に互いに結合しないように、溶融塩の温度、及び還元時間等のパラメータを制御することができる。
【0063】
先行技術による電気分解方法は、微粒子供給原料から成形及び焼結され、個々にカソードに結合されるプリフォームの使用を教示している。粉末状供給原料がその未加工形態で使用される場合、各粉末粒子がカソードの一部分に接触し得ることを確実にすることは実際的ではないであろう。本発明の実施形態では、平均直径を有する供給原料粒子は、供給原料の平均粒径の10〜500倍の深さまで、表面上に載せられ、又は微細なメッシュバスケット内に負荷されることが好ましい。例えば、供給原料は、平均供給原料粒径の10〜500倍の深さまでカソードの上面上に載せられてもよい。
【0064】
還元時間は、金属生成物の個々の粒子の焼結を制限又は防止するように、出来る限り短いことが有利である。有利には、還元時間は、100時間よりも短く、好ましくは60時間よりも短く、又は50時間よりも短くてもよい。還元時間は、40時間よりも短いことが特に好ましい。
【0065】
塩の温度は、金属生成物の個々の粒子の焼結を制限又は防止するように、出来る限り低いことが有利である。還元中の溶融塩の温度は、1100℃未満、例えば1000℃未満、又は950℃未満、又は900℃未満に維持されることが好ましい。
【0066】
供給原料は、前記供給原料を構成している粒子の平均直径よりも僅かに小さい平均直径を有する金属粉末を回収できるように、個々の粒子間の焼結を実質的に起こさずに還元され得ることが有利である。金属粒子が、一般に、供給原料粒子よりも僅かに小さい理由は、供給原料粒子が酸素又は硫黄等の非金属元素を含むセラミック構造を有する傾向がある一方、還元粒子はこれらの非金属元素の多くが除去された金属構造を有することである。
【0067】
還元された供給原料は、個々の金属粒子からなる脆い塊を形成し得る。有利には、そのような脆い塊は容易に砕けて、自由流動金属粉末を形成することができる。金属粉末を形成している実質的に全部の粒子が、供給原料の非金属粒子に対応することが好ましい。
【0068】
上述した本発明の様々な実施形態による方法は、1種又は複数の金属酸化物の粒子を含む固体供給原料の還元による金属粉末の生産に特に好適であり得る。純金属酸化物を還元することによって純金属粉末が形成される可能性があり、混合された金属酸化物の粒子を含む供給原料を還元することによって合金粉末及び金属間化合物が形成される可能性がある。本発明を具体化するプロセスによって形成される金属粉末は、5000ppm未満、好ましくは4000ppm未満、又は3,500ppm未満の酸素含有率を有することが好ましい。
【0069】
いくつかの還元プロセスは、プロセスで使用される溶融塩又は電解液が、還元される金属酸化物又は化合物よりも安定な酸化物を形成する金属種(反応性金属)を含むときのみに動作する可能性がある。こうした情報は、熱力学的データ、特にギブスの自由エネルギーデータの形態で容易に入手可能であり、標準エリンガム図又はプリドミナンス図又はギブスの自由エネルギー図から便利に求められる場合がある。酸化物安定性に対する熱力学的データ及びエリンガム図は、電気化学者及び抽出冶金学者によって入手可能であり、及び理解される(この場合の当業者はこうしたデータ及び情報に習熟しているであろう)。
【0070】
従って、電解還元プロセスのための好ましい電解液は、カルシウム塩を含む可能性がある。カルシウムは殆どの他の金属よりも安定な酸化物を形成し、従って、酸化カルシウムよりも安定ではないあらゆる金属酸化物の還元を容易にするように作用する可能性がある。他の場合、他の反応性金属を含有する塩が用いられてもよい。例えば、本明細書に記載の本発明のあらゆる態様に係る還元プロセスは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はイットリウムを含む塩を用いて行われてもよい。塩化物又は他の塩の混合物を含む塩化物又は他の塩が用いられてもよい。
【0071】
適切な電解液を選択することによって、殆どあらゆる金属酸化物粒子を、本明細書に記載の方法及び装置を用いて還元することができる可能性がある。そのような酸化物の1つ以上を含む、天然に存在する鉱物も、還元することができる。特に、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウムを含むランタニドの酸化物は、好ましくは塩化カルシウムを含む溶融塩を用いて、還元される可能性がある。
【0072】
当業者はその中で特定の金属酸化物を還元するのに適切な電解液を選択することができ、多くの場合、塩化カルシウムを含む電解液が好適であろう。
【0073】
還元は、FFC Cambridgeプロセス又はBHP Polarプロセス、及び特許文献3に記載されているプロセスのような電気分解又は電解脱酸プロセスによって行われることが好ましい。
【0074】
本発明の特定の実施形態
以下、添付の図面を参照して、本発明の特定の実施形態を説明する。