(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122017
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】眼内レンズ手術システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-534574(P2014-534574)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公表番号】特表2014-531287(P2014-531287A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2012054413
(87)【国際公開番号】WO2013052238
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】13/252,548
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダウナー
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−513955(JP,A)
【文献】
特表2012−505066(JP,A)
【文献】
特表2010−512840(JP,A)
【文献】
特表2011−502012(JP,A)
【文献】
特表2007−526091(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/028873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ挿入カートリッジと、
前記眼内レンズ挿入カートリッジを通して眼内レンズを前進させるように構成された眼内レンズ挿入工具と係合するようになっている眼内レンズインタフェースと、
前記眼内レンズ挿入カートリッジに取外し可能に取り付けられたブラケットであって、前記眼内レンズ挿入カートリッジに対して前記眼内レンズインタフェースの少なくとも一部を繋止するために該ブラケットと前記眼内レンズ挿入カートリッジとの間に空洞を形成するように構成されたブラケットと
を具備する、システム。
【請求項2】
前記空洞が、前記眼内レンズインタフェースと前記ブラケットと前記眼内レンズ挿入カートリッジとの間の摩擦によって前記眼内レンズインタフェースを所定の位置に保持するような大きさで作られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記眼内レンズ挿入カートリッジが、前記空洞の一部を画定する突起を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記眼内レンズインタフェースが、眼内レンズ挿入工具との係合の間、前記空洞を通って前進せしめられることを抑制する戻り止めを具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブラケットが、摩擦嵌合によって前記眼内レンズ挿入カートリッジに取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブラケットが、先端が切られたV字形状の本体を具備し、該V字形状の本体が、前記眼内レンズ挿入カートリッジと係合する羽部を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記V字形状の本体の先端が切られた部分が、前記眼内レンズインタフェースを繋止するための前記空洞の一部を画定する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
器具であって、
眼内レンズ挿入カートリッジの一般的な外形に倣った形状を有し且つ前記眼内レンズ挿入カートリッジから取外し可能である本体であって、前記眼内レンズ挿入カートリッジを通して眼内レンズを前進させるように構成された眼内レンズ挿入工具と係合するようになっている眼内レンズインタフェースの少なくとも一部を前記眼内レンズ挿入カートリッジに対して繋止するために該本体と前記眼内レンズ挿入カートリッジとの間に空洞を形成するように構成された本体と、
当該器具を眼内レンズ挿入カートリッジに取外し可能に取り付けるようになっている少なくとも一つの係合構造と
を具備する、器具。
【請求項9】
前記本体は、前記眼内レンズインタフェースが、眼内レンズ挿入工具との係合の間、前記空洞を通って前進せしめられることを抑制する戻り止めを具備する、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記係合構造が、前記眼内レンズ挿入カートリッジに取外し可能に取り付けられるように、前記眼内レンズ挿入カートリッジとの摩擦嵌合を形成するようになっている、請求項8に記載の器具。
【請求項11】
前記本体が、先端が切られたV字形状の本体を具備し、該V字形状の本体が、前記眼内レンズ挿入カートリッジと係合する羽部を有する、請求項8に記載の器具。
【請求項12】
前記V字形状の本体の先端が切られた部分が、前記眼内レンズインタフェースを繋止するための前記空洞の一部を画定する、請求項11に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、視覚手術に関し、より具体的には患者の水晶体の置換のための手術に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の眼は、最も簡単な表現において、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過させ且つ屈折させて、水晶体によって眼の背面の網膜上に像を結像することによって視力を提供するように機能する。結像された像の質は、眼の大きさ、形状及び長さ、並びに角膜及び水晶体の形状及び透明度を含む多くの要因に依存する。
【0003】
外傷、加齢又は病気によって水晶体の透明度が低下すると、網膜に透過されうる光が減少するので、視力が悪化する。眼の水晶体におけるこの欠陥は、医学的には白内障として知られている。この疾患についての治療法は、典型的には、手術で水晶体を取り除いて、眼内レンズ(IOL)と称されることが多い人工的な水晶体を移植することである。
【発明の概要】
【0004】
一つの一般的な実施例では、眼内レンズ(IOL)手術のためのシステムは、IOL挿入カートリッジと、IOL挿入カートリッジを通してIOLを前進させるためにIOLレンズと係合するようになっているIOLインタフェースとを含む。システムは、IOL挿入カートリッジに取外し可能に取り付けられたブラケットであって、IOL挿入カートリッジに対してIOLインタフェースを繋止することを容易にするブラケットも含むことができる。
【0005】
所定の実施例では、ブラケットはIOLインタフェースの少なくとも一部を繋止するためにブラケットとIOL挿入カートリッジとの間に空洞を形成する。空洞は、例えば、IOLインタフェースとブラケットとIOL挿入カートリッジとの間の摩擦によってイIOLンタフェースを所定の位置に保持するような大きさで作られる。IOL挿入カートリッジは、空洞の一部を形成する突起も含むことができる。
【0006】
特定の実施例では、ブラケットは、IOL挿入工具との係合の間、IOLインタフェースが空洞を通って前進せしめられることを抑制する戻り止めを含む。さらに、戻り止めは、システムからIOLインタフェースを取り除くことを支援すべく、IOLインタフェースにエネルギーを蓄えるために使用されてもよい。
【0007】
ブラケットは、例えば、摩擦嵌合によってIOL挿入カートリッジに取り付けられる。所定の実施例では、例えば、ブラケットは先端が切られたV字形状の本体を含み、V字形状の本体は、IOL挿入カートリッジと係合する羽部を有する。加えて、V字形状の本体の先端が切られた部分は、IOLインタフェースを繋止するための空洞の一部を形成することができる。
【0008】
別の一般的な実施例では、IOL手術システムを使用するための工程が、IOL挿入カートリッジとIOLインタフェースと取外し可能なブラケットとを含む組立体を位置的に固定するステップと、組立体からIOLインタフェースを取り除くステップとを含む。工程は、IOL挿入カートリッジからブラケットを取り外すステップも含むことができる。
【0009】
追加的な一般的な実施例では、IOL手術システムを作るための工程が、IOLインタフェースをIOL挿入カートリッジに対して繋止することを容易にするブラケットにIOL挿入カートリッジを取外し可能に取り付けるステップと、IOLインタフェースをブラケットに係合させるステップとを含む。
【0010】
様々な実施例が一つ以上の特徴を含むことができる。例えば、IOL手術のためのシステムは、IOLインタフェースがIOL挿入カートリッジと同一場所に配設されることを可能とし、このことは、比較的小さいことが多いIOLインタフェースがなくなるのを防止することを補助する。別の例として、システムは、IOLインタフェースが、安定した態様で、IOL挿入カートリッジに対して位置付けられることを可能とする。このため、典型的にはIOLインタフェースよりもかなり大きく、ひいては(手又は工具によって)把持しやすいIOL挿入カートリッジを把持することによって、IOLインタフェースを制御することができる。さらに、IOLインタフェースが典型的には大きさが小さいので、手術グローブを介してIOLインタフェースを手で把持することは、特にグローブを濡れている場合、困難なことがある。加えて、このことは、取扱い作業を排除し、別個の組立装置が必要とされない。更なる例として、IOLインタフェースは、IOL挿入工具との係合のために容易に与えられ、このことは係合工程を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、眼内レンズ手術のための例示的なシステムの分解図である。
【
図3】
図3は、眼内レンズ手術のためのシステムを使用するための例示的な工程を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、眼内レンズ手術のためのシステムを作るための例示的な工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な実施例の詳細及び特徴が図面とともに以下の説明によって伝えられる。
図1は、眼内レンズ(IOL)手術のための例示的なシステム100を示す。システム100は、IOL挿入カートリッジ110、IOLインタフェース120及び取外し可能なブラケット130を含む。
【0013】
IOL挿入カートリッジ110は患者の眼内へのIOLの挿入を容易にする。IOL挿入カートリッジ110は、本体112と、本体の中を通る通路114とを含む。シリコーン、ソフトアクリル、ハイドロゲル又は他の適切な材料から作られうる折り畳み式IOLが、手術の間、眼内への挿入に備えて、通路114を通して移動せしめられる。
【0014】
示されるように、通路114は、IOLの折り畳みを補助する非対称のボアを有する。普通のIOLは、直径約6mmであり、最大約13mmの支持部(haptic)を有する。しかしながら、手術の切開創は典型的にははるかに小さい(例えば幅が2〜3mm)。このため、IOLは、典型的には、切開創を通した挿入の前に折り畳まれる。また、特定の実施例では、通路114は、IOLの折り畳みを補助すべく、その長さに沿って(例えば円形又は楕円形のボアに向かって)先細になる。このため、IOLは、通路114を通して前進せしめられるにつれて、通路の形状によって折り畳まれる。通路の端部(例えば注入点)には、典型的には、比較的小さい直径の注入ノズルがあり、レンズは注入ノズルを通って眼内に前進せしめられる。
【0015】
IOL挿入カートリッジ110は、本体112から延在する一対の突起119も含む。突起119は概してIOLインタフェース120の設置及び繋止を補助することができる。示された実施例では、突起119は一対の平行な脚であり、一対の平行な脚は、これらの間にIOLインタフェースが設置されることを可能とすべく、互いから十分に離間される。このため、突起119はIOLインタフェースの設置、整列及び繋止を補助することができる。
【0016】
IOL挿入カートリッジ110は更に側部116a、116bを含む。側部116a、116bは、IOL挿入カートリッジ110、ひいてはシステム100の(工具又は手による)把持を補助することができる。IOL挿入カートリッジの一方の端部において、側部116a、116bは羽部117を形成すべく外側に向かって先細になり、羽部117は、下記により詳細に論じられるように、取外し可能なブラケット130をIOL挿入カートリッジに繋止するのに使用される。羽部117は戻り止め118を含み、戻り止め118は取外し可能なブラケット130を羽部117上に位置付けることを補助することができる。
【0017】
所定の実施例では、IOL挿入カートリッジ110は、ポリプロピレンのような任意の適切な熱可塑性物質から単一部材として成形される。特定の実施例では、熱可塑性物質は潤滑強化剤を含有してもよい。
【0018】
IOLインタフェース120は、IOL挿入カートリッジ110を通してIOLを前進させるためのIOLとの接合に関与する。この実施例では、IOLインタフェース120は、概して円筒形状を有する本体122と、第1端部124aと、第2端部124bとを含む。第1端部124aはポート126を含み、IOL挿入工具がポート126を通して挿入されうる。IOLインタフェース120は、例えば、摩擦嵌合によってIOL挿入工具と係合する。第2端部126aは閉じていてもよい。IOLインタフェース120は、市販の射出成形用のエラストマー、ポリマー(例えばポリプロピレン若しくはスチレン)又はその他の適切な材料から作られうる。特定の実施例では、IOLインタフェースは直径約2〜3mmである。
【0019】
取外し可能なブラケット130は、IOL挿入カートリッジ110に取外し可能に取り付けられ且つIOL挿入カートリッジ110に対してIOLインタフェース120を繋止するようになっている。この実施例では、取外し可能なブラケット130は、先端が切られた(truncated)V字形状を有する本体132を含む。V字形状の端部はIOL挿入カートリッジ110に支持面を提供すべく平らにされている。羽部134はV字形状の端部に結合される。羽部134はIOL挿入カートリッジ110の羽部117を受容すべく互いから離間される。羽部134の各々はタブ135を含む。タブ135は空洞を形成し、IOL供給カートリッジの羽部117は空洞内に収まり、タブ135は羽部117に摩擦嵌合を提供するように本体132の平らな部分から離間される。
【0020】
取外し可能なブラケット130は戻り止め136も含み、戻り止め136は使用中にIOLインタフェース120の移動を妨げる。示された実施例では、戻り止め136は本体132の先端が切られた部分から延在し且つ突起137を含む。突起137は、IOLインタフェース120の端部124bと相互作用するような大きさで作られる。
【0021】
取外し可能なフレーム130は、プラスチック(例えばスチレン、ポリプロピレン若しくは他の市販の射出成形用ポリマー)、金属(例えばチタン、ステンレス鋼若しくはアルミニウム)又はその他の適切な材料から構成されうる。示された実施例では、取外し可能なブラケット130は、幅が(すなわち本体112の長手方向において)約3mmであり、厚みが1mmである。しかしながら、取外し可能なブラケット130は特定の大きさで作られてもよい。例えば、取外し可能なブラケット120は所望の用途に応じて特定の大きさで作られてもよい。さらに、取外し可能なブラケット130は他の形状を有してもよい。例えば、先端が切られたV字形状の代わりに、取外し可能なブラケット130は正方形形状又は長方形形状を有してもよい。このため、取外し可能なブラケット130は、様々なIOLカートリッジ設計と協働するように適切な大きさで作られて構成されうる。
【0022】
図2A及び
図2Bは組立状態におけるシステム100を示す。
図2Aにおいて最もよく示されるように、IOL挿入カートリッジ110は、羽部134の間であり且つ本体132の平らな部分とタブ135との間に羽部117が挿入されることによって、取外し可能なブラケット130と係合された。羽部117は例えば摩擦嵌合によって所定の位置に保持される。加えて、IOLインタフェース120は、本体132の先端が切られた部分と、突起119と、本体112の一部との間に形成された空洞に捕捉されることによってシステム100と係合された。IOLインタフェース120は摩擦嵌合によって空洞内に保持されうる。
【0023】
図2Bに最もよく示されるように、IOLインタフェース120の端部124bは、IOL挿入カートリッジ110に沿って特定の位置を超えて移動することが戻り止め136の突起137によって抑制される。このことは、IOLインタフェース120が、組立及び/又は使用中に、IOL挿入カートリッジ110と取外し可能なブラケット130との間に形成された空洞を通って摺動することを防止することができる。加えて、タブ135は、取外し可能なブラケット130が本体112の長手方向に沿って摺動することを防止すべく戻り止め118に当接し、このことは、取外し可能なブラケット130をIOL挿入カートリッジ110に繋止するように据え付けることを補助することができる。
【0024】
所定の操作モードでは、システム100は、組み立てられ且つ殺菌された状態で、手術場所(例えば病院)に到着する。システム100は、その後、(工具又は手によって)位置的に固定され、IOL挿入カートリッジ100を通してIOLを前進させるのに使用される工具がIOLインタフェース120と係合される。例えば、IOL挿入工具がIOLインタフェース120のポート126内に挿入され、挿入によって二つの部品の間に摩擦嵌合が形成される。
【0025】
IOL挿入工具は、例えば、外殻及びプランジャーを含むプランジャー型のシステムである。外殻は、外殻の中を通る通路を有し、プランジャーは通路内を移動するようになっており、プランジャーの移動によってIOLが移動せしめられる。外殻及びプランジャーは例えば概して円筒形状を有する。プランジャーシステムは、プラスチック、金属又はその他の適切な材料から作られうる。例示的なIOL挿入工具が、郵便番号76134、テキサス州フォートワース、サウスフリーウェイ6201のアルコンラボラトリーズ社(Alcon Laboratories Inc.)によって生産されたMonarch(登録商標)ハンドピースである。しかしながら、IOL挿入工具の他のタイプが使用されてもよい。
【0026】
挿入工具がIOLインタフェース120に係合される間、戻り止め136はIOLインタフェース120が空洞の外に前進せしめられることを防止することができる。さらに、戻り止め136は、システム100からIOLインタフェースを取り除くことを補助すべく、IOLインタフェース120にエネルギーを蓄えることを補助することができる。
【0027】
一旦IOL挿入工具がIOLインタフェース120と係合されると、IOLインタフェース120はシステム100から取り除かれうる。特に、IOLインタフェース120は、IOL挿入カートリッジ110と取外し可能なブラケット130との間に形成された空洞から取り出されうる。取外し可能なブラケット130は、その後、IOL挿入カートリッジから取り外されうる。例えば、取外し可能なブラケット130は、羽部117と羽部134との間の摩擦嵌合が解放されるように、IOL挿入カートリッジ110の長手方向の軸線に対して摺動される。その後、取外し可能なブラケット130は廃棄されうる。IOLインタフェース120は、IOLを眼内への挿入のためにIOL挿入カートリッジ110を通して前進させるのに使用されうる。
【0028】
システム100は様々な特徴を提供する。例えば、システム100は、IOLインタフェース120がIOL挿入カートリッジ110と同一の場所に配設されることを可能とする。IOLインタフェース120の大きさが小さいので、IOL挿入カートリッジ110と同一の場所に配設されることは、IOLインタフェース120がなくなるのを防止することを支援することができる。別の例として、システム100は、IOLインタフェース120が、安定した態様で、IOL挿入カートリッジ110に対して位置付けられることを可能とする。このため、典型的にはIOLインタフェース120よりもかなり大きく、ひいては(手又は工具によって)把持しやすいIOL挿入カートリッジ110を把持することによって、IOLインタフェース120を制御することができる。
【0029】
さらに、IOLインタフェース120がいくつかの例では大きさが小さいので、IOLインタフェース120を手で把持することは、特に手術用グローブを着用している間、困難なことがある。この困難は、グローブが濡れている場合、更に悪化しうる。
【0030】
加えて、IOLインタフェース120をIOL挿入カートリッジ110と同一場所に配設することは取扱い作業を排除し、IOLインタフェース120を取り扱うための別個の組立装置が必要とされない。更なる例として、IOLインタフェース120は、IOL挿入工具との係合のために容易に与えられ、このことは係合工程を容易にすることができる。さらに、この提供は極めて直感的であり、このことは精神的な負担を軽減することができる。別の例として、取外し可能なブラケット130は、一旦IOLインタフェース120がシステム100から取り除かれると、IOL挿入カートリッジ110から容易に取り外される。さらに、IOLインタフェース120は、梱包スペースを比較的小さい量だけ増大しつつ、実装されることができる。さらに、追加の梱包は必要とされない。
【0031】
図1及び
図2がIOL手術システム100の例示的な一つの実施例を示すが、他の実施例が、より少ない、追加の、及び/又は異なる部品の構成を含んでもよい。いくつかの実施例では、例えば、IOL挿入カートリッジ110は羽部117を含まなくてもよい。このため、いくつかの実施例では、取外し可能なブラケット130は、異なる技術によってIOL挿入カートリッジ110と係合してもよい。例えば、取外し可能なブラケット130はIOL挿入カートリッジ110の側部及び/又は頂部及び/又は底部と係合してもよい。
【0032】
加えて、いくつかの例では、通路114は他の形態を有してもよい。例えば、いくつかの実施例では、通路114は、円形形状、楕円形状、又は他の所望の若しくは適切な断面形状を有してもよい。また、いくつかの実施例では、IOL挿入カートリッジ110は突起119を含まなくてもよい。このため、IOLインタフェース120は他の態様ではシステム100に繋止されてもよい。例えば、IOLインタフェース120が配置される空洞が本体112と本体132との間に形成されてもよい。特定の実施例では、IOLインタフェース120は主に取外し可能なブラケット130と係合されてもよい。
【0033】
図3は、IOL手術のためのシステムを使用するための例示的な工程300を示す。例えば、工程300は、例えば、システム100と同様のシステムを使用して行われる。
【0034】
工程300は、IOL挿入カートリッジと、IOLインタフェースと、IOL挿入カートリッジに対してIOLインタフェースを安定に保持する取外し可能なブラケットとを含む組立体を位置的に固定することを要請する(操作304)。例えば、いくつかの例では、組立体は(例えば工具又は手による)把持によって位置的に固定される。
【0035】
工程300は、IOL挿入工具をIOLインタフェースと係合させることも要請する(操作308)。例えば、IOL挿入工具はIOLインタフェースの一部の中に挿入され、挿入によって摩擦嵌合が二つの部品間に形成される。
【0036】
加えて、工程300は、IOLインタフェースを組立体から取り除くことを要請する(操作312)。例えば、IOLインタフェースは、IOL挿入カートリッジと取外し可能なブラケットとの間に形成された空洞から取り出される。
【0037】
工程300は、取外し可能なブラケットをIOL挿入カートリッジから取り外すことを更に要請する(操作316)。例えば、取外し可能なブラケットは、二つの部品間の摩擦嵌合が解放されるように、IOL挿入カートリッジに対して摺動される。いくつかの例では、解放された取外し可能なブラケットは廃棄される。
【0038】
工程300がIOL手術のためのシステムを使用するための工程の一つの例を示すが、IOL手術システムを使用するための他の工程が、より少ない、追加の、及び/又は異なる操作の構成を含んでもよい。例えば、工程は、取外し可能なブラケットを取り外すことを含まなくてもよい。更なる例として、工程は、IOLをIOL挿入カートリッジを通して前進させるべくIOLインタフェースを使用することを含んでもよい。追加の例として、工程は、IOLインタフェースを取り除くためのエネルギーを蓄えるべく、IOLインタフェースを戻り止めに対して前進させることを含んでもよい。
【0039】
図4は、IOL手術のためのシステムを作るための例示的な工程400を示す。いくつかの例では、工程400はシステム100と同様のシステムを形成するのに使用される。
【0040】
工程404は、IOLインタフェースと係合するようになっているブラケットを位置的に固定することを要請する(操作404)。ブラケットは例えば工具又は手作業によって固定される。
【0041】
工程400は、IOL挿入カートリッジをブラケットに取外し可能に取り付けることも要請する(操作408)。例えば、取外し可能な取付は摩擦嵌合である。
【0042】
工程400はIOLインタフェースをブラケットと係合させることを更に要請する(操作412)。例えば、いくつかの例では、IOLインタフェースは、ブラケットと付属のIOL挿入カートリッジとの間に形成された空洞内に挿入されることによってブラケットと係合される。IOLインタフェースは摩擦嵌合によって空洞内に保持される。
【0043】
工程400がIOL手術のためのシステムを作るための工程の一つの例を示すが、IOL手術システムを作るための他の工程が、より少ない、追加の、及び/又は異なる操作の構成を含んでもよい。所定の実施例では、例えば、工程は、IOL挿入カートリッジを位置的に固定することと、ブラケットをIOL挿入カートリッジに取外し可能に取り付けることとを含んでもよい。加えて、いくつかの実施例では、IOLインタフェースはブラケットがIOL挿入カートリッジと係合される前にブラケットと係合される。殺菌又は梱包のような他の操作が特定の実施例において行われてもよい。
【0044】
本明細書において論じられ且つ言及された様々な実施例は、単なる例証目的で使用されてきた。実施例は、本開示の原理及び実施用途を説明し、且つ、考えられる特定の使用に適した様々な修正を有する様々な実施例について当業者が本開示を理解することができるように選択され且つ記載された。このため、部品の実際の物理的形態は変化してもよい。例えば、部品の言及された大きさ及び部品の互いに対する示された大きさは用途に基づいて変化してもよい。さらに、一つ以上の部品の形状が用途に応じて変化してもよい。このため、説明のための実施例は、部品の物理的な大きさ、形状及び関係のみを定義するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施例のみを記載する目的で使用され、限定することは意図されていない。本明細書において使用されるような単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明確に反対のことを示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、用語「具備する」及び/又は「具備している」は、本明細書において使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は部品の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品及び/又はひいては群の存在又は付加を排除しないことが理解されるだろう。
【0046】
以下の請求項における対応する構造、材料、行為、及び全ての機能プラス手段又はステップの要素の均等物が、具体的に請求された他の請求項の要素と組み合わせて機能を行うための任意の構造、材料又は行為を含むことが意図されている。本実施例の説明が、例証及び説明の目的で与えられてきたが、開示された形態における実施例に限定されることは意図されていない。本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変更が当業者に明らかであるだろう。
【0047】
多数の実施例がIOL手術システム及びIOL手術方法について記載され、いくつかの他の実施例が言及され又は示唆されてきた。さらに、当業者は、様々な付加、削除、修正及び置換が、それでもなおIOL手術システム及びIOL手術方法を提供しつつ、これら実施例になされうることに容易に気付くであろう。このため、保護される対象の範囲は、一つ以上の実施例の一つ以上の概念を含みうる以下の請求項に基づいて判断されるべきである。