特許第6122020号(P6122020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6122020電気機械用ロータおよびそのアセンブリ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122020
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】電気機械用ロータおよびそのアセンブリ方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20170417BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H02K1/27 501C
   H02K1/27 501A
   H02K15/03 Z
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-535224(P2014-535224)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-510380(P2015-510380A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】IB2012055661
(87)【国際公開番号】WO2013057673
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】BO2011A000587
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506102307
【氏名又は名称】スパル オートモーティブ ソチエタ レスポンサビリタ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ デ フィリッピス
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第2110308(DE,A1)
【文献】 実開昭59−025973(JP,U)
【文献】 特開2008−301679(JP,A)
【文献】 特開2004−328963(JP,A)
【文献】 特開平05−219668(JP,A)
【文献】 特表2008−545364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械用ロータであって、
主軸線(R)を有する積層コア(2)と、前記主軸線(R)に沿って延びる複数の半径方向座(4)を画定する複数の磁極(3a、3b)とを備え、および、前記座(4)の各々は第1の磁極(3a)および第2の磁極(3b)によって画定されており、
前記ロータは、
前記座(4)内に挿入されている複数の磁石(5)と、前記座(4)内に前記磁石(5)を固定するためのばね(10)とを備
前記ばね(10)は、前記座(4)を画定する前記第2の磁極(3b)に向けて前記磁石(5)の各々を押すために、前記磁石(5)の各々と、前記座(4)を画定する前記第1の磁極(3b)との間で作用する、電気機械用ロータにおいて、
前記ばね(10)は、第1の磁極(3a)にまたがった形に位置づけられており、各々のばね(10)は互いに隣接する2つの前記磁石(5)を押し、前記磁石(5)に対して前記ばね(10)とは反対側に位置している、各々の第2の磁極(3b)の面に対し前記磁石(5)を押し付けることを特徴とする
電気機械用ロータ。
【請求項2】
前記第1の磁極(3a)は、前記座(4)を画定する第1の面(6)を有し、および、前記第2の磁極(3b)は、前記座(4)を画定する第2の面(7)を有し、前記第1および第2の面(6、7)は互いに平行であり、および、前記ばね(10)は対応する前記磁石(5)を前記第2の面(7)に対して押し付けることを特徴とする請求項1に記載の電気機械用ロータ。
【請求項3】
前記ばね(10)は複数のばね(10)を備え、および、前記ばね(10)の少なくとも1つは、前記座(4)を画定する前記第2の磁極(3b)に向かって前記磁石(5)の各々を押すために、各々の第1の磁極(3a)に対応していることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機械用ロータ。
【請求項4】
前記ばね(10)は、2つの互いに平行な突起(13、14)がそれから延びる基部長さ部分(12)を有する複数のばね(10)を備え、および、前記突起(13、14)は第1の直線状の長さ部分(15)と、少なくとも1つの弾性的に屈曲する波状の長さ部分(16)とを有し、および、前記ばね(10)の各々は、対応する第1の磁極(3a)上に嵌合されており、および、前記突起(13、14)の前記波状の長さ部分(16)は、互いに隣接している2つの前記座(4)の前記磁石(5)に対して作用することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項5】
前記突起(13、14)は前記主軸線(R)に対して平行に延び、および、前記主軸線(R)に一致する軸線を有する円筒形表面にしたがって位置合わせされていることを特徴とする請求項4に記載の電気機械用ロータ。
【請求項6】
前記第1の磁極(3a)の各々は、前記ばね(10)に係合するための手段(11)を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項7】
ばね(10)に係合するための手段(11)は、前記第1の磁極(3a)の面(6)上の溝(11)の形状であり、および、前記突起(13、14)は前記溝(11)の中に挿入されており、および、前記波状の長さ部分(16)は、隣接した前記座(4)と対向する凸状部分を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の電気機械用ロータ。
【請求項8】
前記溝(11)は前記主軸線(R)に対して平行に延び、および、前記主軸線(R)に一致する軸線を有する円筒形表面上に位置していることを特徴とする請求項7に記載の電気機械用ロータ。
【請求項9】
前記磁石(5)は平行六面体の形状であり、および、関連した前記座(4)の対応する互いに平行な面(6、7)に面する1対の互いに平行な面(8、9)を有し、および、前記ばね(10)は、前記座(4)を画定する対応する前記第2の磁極(3b)の前記面(7)に対して前記磁石(5)の面(9)を押し付けるための形状にされていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項10】
前記ばね(10)は、強磁性体材料で作られている複数のばね(10)を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項11】
前記ばね(10)は、金属ストリップで作られている複数のばね(10)を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項12】
前記ばね(10)は、ばね用ワイヤで作られている複数のばね(10)を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気機械用ロータ。
【請求項13】
前記第1の磁極(3a)の各々にまたがって前記ばねを配置する段階と、
前記座(4)に各々の磁石(5)を配置する段階と、
前記座(4)内に前記磁石(5)を挿入する段階
とを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の電気機械用ロータをアセンブリする方法。
【請求項14】
前記挿入段階は全ての前記磁石(5)に関して同時に生じることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
穴(21)を使用して前記第1の磁極(3a)および第2の磁極(3b)を相対的に固定する段階を含み、および、前記挿入段階は1回毎に1つの前記磁石(5)を生じさせることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械用ロータ、特に、永久磁石を有するロータと、関連した座(seat)の中に磁石を固定するシステムとに関する。本発明は、さらに、このロータをアセンブリするための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
特にブラシレスモータで使用される、既知のタイプの永久磁石を有するモータのロータは、通常は、積層コア、すなわち、薄い金属積層構造のパック(pack)で作られておりかつモータの回転軸に一致する主軸線を有するコアから成る。
【0003】
このロータは、一般的に、磁石と駆動軸をべつべつに収容するために、複数の縦方向スロットと中央穴とを有し、これらは主軸線に対して平行に延びる。
【0004】
このスロットは、積層コア内に、ロータの磁極を形成する一種のセグメント構造を形成し、および、駆動軸の穴を包囲する積層コアの中央部分に連結されたままである各セグメントが、互いに隣接した2つのスロットを隔てる。
【0005】
磁石はロータの軸線に沿って延び、および、磁石は、一般的に(接触要素を除く)ロータの外側表面上に開いている関連したスロットの外側端部において、それぞれの接触要素の一部分に対して、一般的に、半径方向に配置され、構成されている。
【0006】
このタイプのロータに関する共通の問題点が、関連したスロット内に磁石を固定する方法に関係している。
【0007】
磁石は、モータの適正な電磁的動作のために、かつ、モータの動作中に振動を生じさせないように、スロット内の正確な位置に取り付けられなければならない。
【0008】
本発明に関する基準モータ、すなわち、半径方向に配置された磁石を有するモータでは、1つの従来技術の解決策が、関連した座の中に磁石を接着する。接着剤が表面上に付与された磁石が、その関連したスロットの中に挿入され、および、特殊な器具によって、接着剤が硬化するまで外側の接触要素に対して当接した状態に保持される。
【0009】
異なる具体例では、磁石が器具によってスロット内の所定位置に保持され、これと同時に、ロータが、プラスチックが注入される型の中に挿入される。このようにして、磁石は積層物と共に同時にプレスされて、プラスチックによって所定位置に保持される。
【0010】
上述した従来技術の解決策は、そのアセンブリの複雑性のために比較的に高コストである。
【0011】
最も一般的に使用されている別の具体例では、各々の磁石が、磁石と積層コアの中央部分との間に挿入されている半径方向押圧ばねによって、接触要素に対して当接させられた状態に保持される。
【0012】
こうしたばねは単一であるか(各磁石毎に1つ)、または、単一の環状要素の形に一体化されている。
【0013】
この解決策では、主な欠点が、磁石の場合に、対応するばねが、磁石を挿入するための機械的な寸法公差を原因として、完全な半径方向ではない方向に磁石を押すことがあり、この結果として、磁石が、用意された接触要素の1つだけにしか当接せず、すなわち、スロットを画定するセグメントの1つだけにしか当接しないということである。
【0014】
場合によっては、磁石によって安定化されておらず、かつ、したがってモータの動作中に振動するセグメントが存在することがある。
【0015】
さらに、磁石は、接触要素の接触表面の減少の故に、その接触要素を削り取ることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の主要な技術的目的は、上述の欠点がない電気機械用モータを提供することである。
【0017】
本発明の別の意図が、相対的に経済的でありかつアセンブリが容易であるロータを提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の意図が、使用時に機械的振動の危険性がないロータを提供することである。
【0019】
上述の目的と意図は、請求項第1項に定義されている特徴を有する電気機械用モータによって実質的に達成される。
【0020】
添付図面に示されている電気機械用モータの好ましい非限定的な実施形態に関して、本発明のさらに別の特徴と利点が後述の詳細な説明においてより明瞭である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明による8極ロータの第1の実施形態の部分分解略斜視図である。
図2図2は、図1のロータの拡大された詳細部分の略斜視図である。
図3図3は、図2の詳細部分の断面III−IIIである。
図4図4は、上記図面に示されているロータの略斜視図である。
図5図5は、本発明によるロータの第2の実施形態の詳細部分の略斜視図である。
図6図6は、本発明による8極ロータの第3の実施形態の部分分解略斜視図である。
図7図7は、図6のロータの詳細部分の略斜視図である。
図8図8は、本発明による8極ロータの第3の実施形態の部分分解略斜視図である。
図9図9は、図8のロータの詳細部分の略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面、特に図1図6図8とを参照すると、番号1が、本発明による電気機械用ロータを示す。
【0023】
ロータ1は、主軸線Rを有する積層構造の積層コアまたはパック2と、複数の座4を画定する複数の磁極3a、3bとを備える。
【0024】
磁極または歯状突起(tooth)3a、3bが、積層コア2の中央核(central nucleus)から半径方向に延びるセグメントの形である。
【0025】
座4も、主軸線Rに沿って(長さにおいて)半径方向に延び、かつ、第1の磁極3aによって、および、第2の磁極3bによって、各々が画定されている。
【0026】
ロータ1は、示されている具体例では8つの磁石5を備え、これらの磁石の各々は、対応する座4の中に挿入されている。
【0027】
ロータ1は、座4を画定する第2の磁極3bに向けて各磁石5を押すために、各々の磁石5と、関連した座4を画定する第1の磁極3aとの間で作用する、座4内に磁石5を固定する弾性手段を備える。
【0028】
図示されているように、各々の第1の磁極3aは、隣接する座4を画定する、平らであることが有利な2つの面6を有し、および、各々の第2の磁極3bは、隣接する座4を画定する、平らであることが有利な2つの面7を有する。
【0029】
言い換えると、各々の座4は、第1の磁極3aの平らな面6と第2の磁極の平らな面7とによって画定されている。
【0030】
座4の場合には、座を画定する面6、7は、互いに反対側に位置し、および、互いに平行であり、したがって、弾性手段は、第1の磁極3aからの対応する磁石5を第2の磁極の平らな面7に対して押し付ける。
【0031】
磁石5は平行六面体の形状であり、および、1対の互いに平行な平らな面8、9を有する。磁石5が、さらに、滑らかに研磨された外側表面を有することが好ましい。
【0032】
添付図面における番号8が、磁極3aに面する磁石5の面を示し、および、番号9が、磁極3b、特に、関連した面6と面7とに面する、磁石5の面を示す。
【0033】
弾性手段は、関連した座4を画定する対応する第2の磁極3bの平らな面7に対して磁石5の平らな面9を押し付けるような形状にされている。
【0034】
図示されている好ましい実施形態では、上述の弾性手段は複数のばね10を備える。
【0035】
一般的に、ばね10はフォーク(fork)形であり、および、1つおきの歯状突起上に挿入され、すなわち、単なる例示として示されている添付図面では、磁極3a上に挿入される。
【0036】
各々のばね10は、互いに隣接する2つの磁石5を押し、これらの磁石5を、より詳細に後述するように、磁石5に対してばね10とは反対側に位置している歯状突起3bの面7に対して押し付ける。
【0037】
このようにして、各々の強磁性体の歯状突起または磁極3a、3bは、それを取り囲む磁石5によって静止状態に保持される。
【0038】
ばね10の位置決めをさらに詳細に観察すると、各々の磁極3aは、関連した弾性手段のための係合手段、すなわち、ばね10のための係合手段を有することに留意されたい。
【0039】
さらに具体的に述べれば、ばね10のための係合手段は、磁極3aの面6上の溝11の形態である。
【0040】
溝11は、主軸線Rに対して平行に延び、および、磁極3aの場合には、主軸線に一致する軸線を有する円筒形表面にしたがって位置合わせされている。
【0041】
ばね10は、溝11を完全に満たすように、磁石5を挿入した後に関連した溝11の中に押し込まれる形状にされており、および、ばね10が強磁性体材料で作られていることが好ましいので、磁気回路を最適化する。
【0042】
したがって、一般的に、この弾性手段は複数のばね10を備え、各々のばね10は、関連した座4を画定する磁極3bに向かって対応する磁石5を押すために、磁極3aに関連付けられている。
【0043】
特に、図3図4図5図7、および、図9を参照すると、本発明によるロータ1のためのばね10が、より詳細に示されている。
【0044】
ばね10は、溝11の内側に係合するように設計されている、2つの実質的に互いに平行な突起(prong)13、14がそれから延びる、基部長さ部分(base stretch)12を有する。
【0045】
この基部長さ部分12は、磁極3aを把持するために、かつ、突起13、14を所定位置に保持するように協働するように、曲線状であることが好ましい。
【0046】
さらに、基部長さ部分12は、ロータ1と同中心である周縁部に沿って延びる。
【0047】
溝13、14は、主軸線Rに対して平行に延び、かつ、主軸線Rに一致する軸線を有する円筒形表面に沿って位置合わせされている。
【0048】
突起13、14は、第1の直線状の長さ部分15と、少なくとも、第2の弾性的に屈曲する波状の長さ部分16とを有する。
【0049】
この波状の長さ部分16は、対応する座4に各々が対向しかつ座4の内側に突き出している、磁極3aに関して互いに反対側に位置した凸状部分(convexity)を有する。
【0050】
この突起13、14の波状の長さ部分16は、互いに隣接した2つの座4の中に挿入された磁石5に作用する。
【0051】
この突起13、14の直線状の長さ部分15は、ばね10がロータ内に配置され終わった後に、その関連した磁極3a上において、後で座4の内側に押される磁石5を配置することが可能であるように、最初の数ミリメートルに関して座4内にばね10の一部分を受け入れない。
【0052】
磁石5とその関連の座4は、およそ10分の1ミリメートルの非常に小さい組立許容誤差を有し、したがって、座4の開口部における磁石5の適正な位置決めのために、ばね10の一部分が存在しないことが重要である。
【0053】
座4内に磁石5を挿入した後に、ばね10は、(磁石を押すために突き出す凸状部分16のわずかな部分を除いて)関連した溝11内で完全に延ばされ、および、磁気回路の完成を可能にする。
【0054】
好ましくは、約100−300ワットの出力と、20mmまでの長さと100mmまでの直径とを有する積層パックを有するロータとを有するモータのためのものであることが意図されている、図1から図4に示されている第1の実施形態では、ばね用ワイヤで作られておりかつ各突起13、14のための単一の波状長さ部分16を有するばね10で十分である。
【0055】
図5に示されているように、約100mmまでの、したがって、ロータ1の同一の直径に場合に、より重い磁石5を伴っている、好ましくは、より長いモータのためのものであることが意図されている第2の実施形態では、ばね10の突起13、14の各々が、第1の波状長さ部分16から延びる第2の波状長さ部分17を有する。
【0056】
この第2の波状長さ部分17は、対応する磁石5上に押圧作用を加えるために、各々が磁石5のための対応する座4に向かって面しておりかつ座4の内側に突き出している、互いに反対側に位置した凸状部を有する。
【0057】
鋼製ばね用ワイヤが上記実施形態のために使用されることが好ましい。
【0058】
ばね10の突起13、14、特に、直線状の長さ部分15が、座4を妨害しないように、そのワイヤの直径が、関連した溝11の深さより小さい。
【0059】
第3の実施形態では、20mmまでの積層パック長さと100mmよりも大きくまたは著しく大きい直径とを有するロータに対して適合させられていることが好ましく、したがって磁石5が上述の解決策よりも大きい半径方向の長さを有する、図6図7に示されている第3の実施形態では、ばね10は、磁石5上に対して適切な押圧作用を加えるように適切な形に形成されている金属ストリップで作られている。
【0060】
この金属ストリップで作られているばね10の形状は、ワイヤで作られているばね10の形状に一致し、すなわち、ばね10は、頭部または基部部分12と、基部12から互いに平行に突き出る2つの突起13、14とを有する。
【0061】
ばね10は、実質的にロータの全長にわたって延び、および、対応する歯状突起3aの長さと同じ大きさの長さを有する。
【0062】
金属ストリップの幅は、磁石5に加えられるべき力とその磁石の重量とに基づいて選択される。
【0063】
上述の実施形態と同様の仕方で、突起13、14は、第1の直線状の長さ部分15と、少なくとも、第2の弾性的に屈曲する波状長さ部分16とを有する。
【0064】
この波状長さ部分16は、対応する座4に各々が対向しかつ座4の内側に突き出している、互いに反対側に位置した凸状部分を有する。
【0065】
この突起13、14の波状の長さ部分16は、互いに隣接した2つの座4の中に挿入された磁石5上に作用する。
【0066】
この突起13、14の直線状の長さ部分15は、ばね10がロータ内に配置され終わった後に、その関連した磁極3a上において、後で座4の内側に押される磁石5を配置することが可能であるように、最初の数ミリメートルに関して座4内にばね10の一部分を受け入れない。
【0067】
代替案としては、図示されていない実施形態では、金属ストリップのばねが、適切に寸法決定され、ワイヤから作られており、かつ、磁極3aに沿って半径方向に互いに間隔を置かれている、上述したタイプの2つ以上のばね10によって置き換えられる。
【0068】
図8に示されているように、第4の実施形態では、約100mmまでかつこれより長い、かつ、100mmまでかつこれより大きい直径を有する、したがって、より重い磁石を伴っている、より長いモータの場合に、ばね10の突起13、14は、第1の波状長さ部分16から延びる複数の波状の長部分18、19、20を有する。
【0069】
この追加の波状長さ部分18、19、20は、対応する磁石5に対して押圧作用を加えるために、磁石5のための対応する座4に各々が対向しておりかつ座4の内側に突き出している、互いに反対側に位置した凸状部分を有する。
【0070】
金属ストリップで作られているばね10さえ、磁石5をその対応する座の中に挿入する前に(対応する座4の開口部における)磁石5の適正な位置決めを可能にする、初期直線状長さ部分15を有するということを理解されたい。
【0071】
異なるばね10の波状長さ部分16、17、18、19、20が、ばね10に当接する磁石5の表面に対して垂直な押圧力を、対応する磁石5上に及ぼすように適切に形成されている。
【0072】
この押圧力は、磁石5の反対側の面9と、ばね10がそれに押し当てられて支持される磁極の面7との間の接線方向の力に一致する。
【0073】
有利なことに、ばね10は、上述したように、強磁性体材料で作られており、および、したがって、隣接する磁石を短絡しないように、かつ、電磁流量を損失しないように、従来技術の解決策で使用される非磁性材料で作られているばねよりも安価である。
【0074】
ばね10のために磁性材料を使用することが、ばね10の座の空気中に存在するであろう流れの分散を実質的に排除することを可能にする。
【0075】
実際には、ばね10は、対応する磁極3bの隣りに各々の磁石5を動かすために、溝11を通過する円周に対して接線方向に各々の磁石5を押す。座4内に磁石5を保持する摩擦力が積層物パック2の鉄の上に位置する磁石の面9の全体において発生させられるように、磁石5を押す力は、磁石5に対して垂直方向に作用する。
【0076】
対応する磁石上にばね10の力を均一に分散させるために、ばね10は、対応する磁石5の(半径方向の長さ部分に関して)中間区域上に実質的に位置させられている。
【0077】
本発明では、ばね10は屈曲して、可塑的に変形し、磁石5が配置され終わった後に、磁石5を磁極3bの面7に対して押し付けるのに十分でありかつ使用中の磁石の熱膨張に対応するのに適している、弾性特性を維持する。
【0078】
有利なことに、弾性特性の一部分の損失が、磁石5の押圧に対して許容可能でありかつ適している予荷重値(preload value)を有する、ばね10の適正な寸法決定を可能にする。
【0079】
特に図1図2図6図8とを参照すると、積層コア2は、軸線Rに沿って延びる磁極3a、3b内の複数の穴21を有するということに留意されたい。
【0080】
これらの穴21の目的は重量削減であり、および、これらの穴21は、モータのアセンブリ中にロータ1を移動させる器具ための、ロータ内の係合手段を画定する。
【0081】
積層物のパック2を伴う、ロータ1をアセンブリするための好ましい方法が、ばね10のすべてを関連した磁極3aにまたがった形に位置させる段階と、磁石5のすべてを同時に挿入する段階とを含む。
【0082】
代替案としては、1回毎に1つの磁石5が挿入される場合には、磁極3a、3bは、上述の穴21に係合する複数のピンを備えている器具(図示されていない)を使用して、相反した交互の位置に維持される。
【0083】
特に図2を参照すると、積層コア2が、磁極3の外側周縁端部において磁石5に作用する歯状突起22を有することに留意されたい。これらの歯状突起22は軸線Rに沿って縦方向に延び、および、磁石5を位置決めするための半径方向基準を画定する。有利なことに、磁石5は、上記の歯状突起22によってではなく、磁石5の面9と磁極3bの面7との間の摩擦によって、上述したように、関連した座4内に保持されている。
【符号の説明】
【0084】
1 ロータ
2 積層コア
3a、3b 磁極
4 座
5 磁石
10 ばね
11 溝
12 基部長さ部分
13、14 溝
15 直線状の長さ部分
16 波状の長さ部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9