特許第6122046号(P6122046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

特許6122046加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置
<>
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000002
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000003
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000004
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000005
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000006
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000007
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000008
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000009
  • 特許6122046-加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122046
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】加工サイクルの部分修正が可能な数値制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4068 20060101AFI20170417BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20170417BHJP
   G05B 19/4069 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G05B19/4068
   G05B19/4093 H
   G05B19/4069
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-14917(P2015-14917)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-139349(P2016-139349A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】出口 裕二
(72)【発明者】
【氏名】江頭 彰
(72)【発明者】
【氏名】前田 英朗
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−175129(JP,A)
【文献】 特開平04−307605(JP,A)
【文献】 特開平07−311612(JP,A)
【文献】 特開平08−057747(JP,A)
【文献】 特開平01−166205(JP,A)
【文献】 特開2005−108077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18−19/416,19/42−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムの加工サイクル生成指令に従って複数のブロックから構成される加工サイクルを生成し、該加工サイクルを実行することにより工作機械を制御する数値制御装置において、
前記加工サイクルの前記ブロックの中で修正するブロックを選択する修正ブロック選択手段と、
前記修正ブロック選択手段で選択されたブロックに対して修正を行い、該修正に基づいて前記ブロックの修正情報を生成するブロック修正手段と、
前記ブロックの修正情報を記憶する修正情報記憶手段と、を有し、
前記修正情報記憶手段に記憶された前記ブロックの修正情報に基づいて、前記加工サイクルを生成し、前記加工サイクルを実行する、
ことを特徴とする数値制御装置。
【請求項2】
前記修正ブロック選択手段は、
前記加工サイクルに基づいた加工経路が描画された画面から前記修正するブロックを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記修正ブロック選択手段は、
前記加工サイクルの実行中にシングルブロック停止した前記ブロックを前記修正するブロックとして選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記ブロック修正手段は、
手動運転で教示された座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記ブロック修正手段は、
前記加工サイクルに基づいた加工経路が描画された画面上で指定した座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項6】
前記ブロック修正手段は、
キー入力により取得した座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項7】
前記ブロック修正手段は、
キー入力により取得した切削条件の入力値に基づいて前記選択されたブロックの切削条件を修正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置。
【請求項8】
前記ブロックの修正情報は前記ブロックを識別するブロック識別情報を有し、
前記加工サイクル生成指令の引数として前記ブロック識別情報に基づく前記ブロックの修正情報を直接指令する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の数値制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置に関し、特に加工サイクルにおいて加工部品に応じて工具経路(切削条件)を部分的に修正することが可能な数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置は、加工プログラムに含まれる加工サイクル生成指令に基づいて加工サイクルを生成して実行する機能を備えている。このような機能により生成された加工サイクルに従って、数値制御装置はサイクル動作するように工具の駆動軸を制御するが、工具のサイクル動作の一部において、加工精度の改善などを目的として部分的な修正を行う必要が生じる場合がある。
【0003】
従来、このような加工サイクルの部分修正を加工プログラムに反映する場合、図9に示すように、加工サイクルをISOコードプログラムに変換した上で、変換したプログラムの修正したいブロックをサーチして、そのブロックを直接編集していた。
【0004】
加工サイクルに係る従来技術として、特許文献1には、加工サイクルを実行中に切削条件(主軸回転数や送り速度、切込み量)を変更して記憶させ、次回以降の実行時にその切削条件に置き換えて加工サイクルを実行する数値制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−175129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な数値制御装置が備えた加工サイクル機能は、加工サイクルが数値制御のシステムソフトウェアに組み込まれており、該加工サイクル機能により加工形状に基づいて加工サイクルが生成されて出力されることが原因で、オペレータが部分修正を加工サイクルに直接適用することができない。そのため、上述した従来手法では、加工サイクルの一部の工具経路を修正するときには、一旦、ISOコードプログラムに置きかえて、そのプログラムを直接編集していたが、置き換えられたISOコードプログラムから修正するブロックを特定しなければならず、オペレータの負担となると共に、誤修正などが発生しやすいという課題があった。
【0007】
一方で、特許文献1の技術は、加工サイクルの実行中に切削条件を変更することができるため従来手法の問題はある程度軽減できるものの、この技術を用いて主軸回転数や送り速度を変更したとしても工具経路は変更されず、また、切込み量を変更することで工具経路の変更をしたとしても、特許文献1の技術では、変更箇所以降の工具経路を加工プログラムで指令される本来の工具経路から変更されてしまい、工具経路の一部のみにスポットで変更を加えることはできないという課題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、加工サイクルにおいて加工部品に応じて工具経路を部分的に修正したい場合、ISOコードプログラムに展開して直接編集することなく修正部分を指定して修正することが可能な数値制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、加工プログラムの加工サイクル生成指令に従って複数のブロックから構成される加工サイクルを生成し、該加工サイクルを実行することにより工作機械を制御する数値制御装置において、前記加工サイクルの前記ブロックの中で修正するブロックを選択する修正ブロック選択手段と、前記修正ブロック選択手段で選択されたブロックに対して修正を行い、該修正に基づいて前記ブロックの修正情報を生成するブロック修正手段と、前記ブロックの修正情報を記憶する修正情報記憶手段と、を有し、前記修正情報記憶手段に記憶された前記ブロックの修正情報に基づいて、前記加工サイクルを生成し、前記加工サイクルを実行する、ことを特徴とする数値制御装置である。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、前記修正ブロック選択手段は、前記加工サイクルに基づいた加工経路が描画された画面から前記修正するブロックを選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置である。
【0011】
本願の請求項3に係る発明は、前記修正ブロック選択手段は、前記加工サイクルの実行中にシングルブロック停止した前記ブロックを前記修正するブロックとして選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置である。
【0012】
本願の請求項4に係る発明は、前記ブロック修正手段は、手動運転で教示された座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置である。
【0013】
本願の請求項5に係る発明は、前記ブロック修正手段は、前記加工サイクルに基づいた加工経路が描画された画面上で指定した座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置である。
【0014】
本願の請求項6に係る発明は、前記ブロック修正手段は、キー入力により取得した座標値に基づいて前記選択されたブロックの終点座標値を修正する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置である。
【0015】
本願の請求項7に係る発明は、前記ブロック修正手段は、キー入力により取得した切削条件の入力値に基づいて前記選択されたブロックの切削条件を修正する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の数値制御装置である。
【0016】
本願の請求項8に係る発明は、前記ブロックの修正情報は前記ブロックを識別するブロック識別情報を有し、前記加工サイクル生成指令の引数として前記ブロック識別情報に基づく前記ブロックの修正情報を直接指令する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の数値制御装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、オペレータが手作業で加工サイクルをISOコードに変換する必要がなくなるため、オペレータが加工サイクルの複数ブロックから修正すべきブロックを簡単に指定・編集できるようになり、加工サイクルの経路に対する部分修正を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による加工サイクルの部分修正処理(終点座標修正)の例を示す図である。
図2】本発明による加工サイクルの部分修正処理(加工経路挿入)の例を示す図である。
図3】本発明の加工サイクルの部分修正作業の操作イメージである。
図4】本発明の一実施形態における数値制御装置の要部ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態における数値制御装置の機能ブロック図である。
図6】本発明の一実施形態における加工サイクルの部分修正処理のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態における修正情報に基づいた加工サイクルの生成/実行処理のフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態における加工サイクルの手動操作による部分修正処理のフローチャートである。
図9】従来技術における加工サイクルの部分修正方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
本発明では、以下の手段を設けることにより、加工サイクルにおいて、加工部品に応じて工具経路(切削条件)を部分的に修正したい場合、ISOコードプログラムに展開して直接編集することなく、加工シミュレーション時(加工サイクル実行時)に修正部分を指定して修正することにより、加工サイクルの工具経路として反映できる数値制御装置を提供する。
【0020】
●手段1:加工サイクルで生成される複数ブロックの中で修正するブロックを選択する修正ブロック選択手段
●手段2:修正ブロック選択手段により選択されたブロックに対して修正を行うブロック修正手段
●手段3:ブロック修正手段により修正されたブロックの修正情報を記憶する修正情報記憶手段
●手段4:修正情報記憶手段により記憶されたブロックの修正情報に基づいて加工サイクルを生成し実行する手段
【0021】
このような手段を数値制御装置に導入することで、ワークに対して繰り返し切削加工を行う加工サイクルにおいて、図1の例に示すような、角部分の仕上げ加工の負荷を少なくするための終点座標修正による工具経路(切削条件)の部分修正や、図2の例に示すような、角部分の仕上げ精度を上げることを目的とした加工経路挿入による工具経路(切削条件)の部分修正など、さまざまな部分修正を加工サイクルに反映させることができるようになる。
【0022】
本発明における、具体的な操作のイメージについて図3を用いて説明する。
<操作例>
●操作1:描画チェック画面で加工サイクルの描画を行う。
●操作2:シングルブロックで修正線分を指定してソフトキー[修正]を押下し、表示されたウィンドウの終点座標に修正する座標値を入力してソフトキー[反映]を押下する。
●操作3:修正箇所が加工サイクルに反映される。
●操作4:修正情報が追加された加工サイクル生成指令を実行したときに、修正ブロックが反映された加工サイクルが実行される。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態における数値制御装置の要部ブロック図である。
数値制御装置1は、数値制御装置1全体を制御するCPU11を有し、該CPU11には、バスを介してフラッシュROM12、DRAM13、SRAM14、軸制御回路15、PMC17、CRT/MDIユニット18が接続されている。
【0024】
フラッシュROM12には、数値制御装置1全体を制御するためのシステムプログラムが記憶されており、DRAM13には、数値制御装置1が工作機械30を制御するために用いる加工プログラムなどが記憶されている。加工プログラムは、普段は不揮発性メモリであるSRAM14に記憶されており、実行時にSRAM14から読み出されてDRAM13へ記憶される。そして、CPU11はDRAM13から加工プログラムを読み出しながら順次実行して軸制御回路15を制御し、サーボアンプ16を介して工作機械30を制御する。
【0025】
また、PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)17は、数値制御装置1に内蔵されたシーケンスプログラムで工作機械側の補助装置等を制御する。
CRT/MDIユニット18は、数値制御装置1の状態情報や加工状況に係る情報を表示する表示器21、操作者の操作を受け付けるキーボード22を備える。
図4に示す構成を備えた数値制御装置1上に実装される本発明の加工サイクルにおける工具経路(切削条件)の部分的修正機能の実施形態について以下で詳述する。
【0026】
図5は、本発明の一実施の形態における数値制御装置の機能ブロック図である。数値制御装置1は、数値制御装置運転部100、数値制御装置操作部200、およびプログラムメモリ300を備えている。
数値制御装置運転部100は、数値制御装置1の運転動作を制御する機能手段であり、加工サイクル指令解析部110、加工サイクル加工領域計算部120、加工サイクル工具経路作成部130、加工サイクル工具経路実行部140を備えている。
【0027】
加工サイクル指令解析部110は、プログラムメモリ300を参照して加工プログラムからブロックを読出し、該ブロックに含まれる指令を解析する。また、該指令に加工サイクル生成指令が含まれる場合には、加工サイクル加工領域計算部120に加工領域を計算するように指令する。
加工サイクル加工領域計算部120は、加工サイクル指令解析部110が読み出した加工サイクル生成指令の引数データに基づいて、加工サイクルにより形成する部品形状を計算し、計算した部品形状に基づいて加工領域を決定する。
【0028】
加工サイクル工具経路作成部130は、加工サイクル加工領域計算部120が決定した加工領域に基づいて、工具経路を1ブロック毎に作成する。本機能手段により作成される一連のブロックは、図9に示したようなISOコードプログラムとして表現することができる。
また、加工サイクル工具経路作成部130は、副機能手段として工具経路修正部132を備える。工具経路修正部132は、加工サイクル指令解析部110が読み出した加工サイクル生成指令に、ブロック修正情報を含む場合、加工サイクル工具経路作成部130が工具経路のブロックを作成する際に、ブロック修正情報が指定するブロックにおける工具経路を修正する。
【0029】
そして、加工サイクル工具経路実行部140は、加工サイクル工具経路作成部130が作成した工具経路に基づいて、工作機械30を制御し、加工サイクルによる加工を実行する。
【0030】
数値制御装置操作部200は、加工サイクル生成指令に対する部分修正を行うための機能手段であり、工具経路表示部210、修正ブロック選択部220、ブロック修正部230、ブロック修正情報記憶部240を備える。
【0031】
工具経路表示部210は、プログラムメモリ300を参照して加工プログラムを読み出して、該加工プログラムにより制御される工具の工具経路を算出し、表示器21に描画チェック画面として表示する。なお、工具経路の算出処理は、加工サイクル指令解析部110、加工サイクル加工領域計算部120、加工サイクル工具経路作成部130などが内部で実行する処理と同様のものである。
【0032】
修正ブロック選択部220は、オペレータがキーボード22などの入力装置を用いて工具経路表示部210が表示器21に表示した工具経路から選択したブロックを、修正対象となるブロックとして選択する。入力装置としてはキーボード22以外に、マウスなどのポインティングデバイスや、タッチパネルを用いるようにしてもよい。
【0033】
ブロック修正部230は、修正ブロック選択部220が選択したブロックに対してオペレータが入力した修正を受け付け、該ブロックに対する修正情報を作成する。修正の入力は、図3に示したように指定したブロックの終点座標に対する修正ウィンドウを表示して入力を受け付けるようにしてもよいし、ポインティングデバイスなどを用いて画面上の経路を直接修正するようにしてもよい。また、複数の座標を連続して入力させることにより、例えば図2に示すような、修正対象のブロックの後ろに更に複数の工具経路を挿入できるようにしてもよい。
【0034】
ブロック修正部230が作成する修正情報は、図3の「修正後の旋削荒加工サイクルのブロック」における下線部のように、修正対象のブロックのブロック番号と、1以上の座標値から構成される。座標値は、修正内容が該ブロックの終点座標の修正である場合は、(X1:○○,Z1:××)といったように1組の座標値で表現され、修正内容が該ブロックの後ろに複数の工具経路を挿入することを含む修正である場合には、(X1:○○,Z1:××,X2:△△,Z2:□□,…)といったように、連続する複数組の座標値で表現される。
【0035】
ブロック修正情報記憶部240は、ブロック修正部230により作成された修正情報を、修正対象の加工サイクル生成指令に対して挿入し、該修正した加工サイクル生成指令をプログラムメモリ300へと記憶する。修正情報を挿入する際には、図3に示すように、修正情報の座標値の部分をコメントの形式で挿入すればよい。なお、修正情報全体をコメントの形で挿入するようにしてもよい。
【0036】
図6は、描画チェック画面における修正ブロック選択部220とブロック修正部230,ブロック修正情報記憶部240が実行する処理のフローチャートである。本フローチャートは、修正対象となるブロックの終点座標を修正する場合の処理を示している。
●[ステップSA01]CRT/MDIユニット18を介して、オペレータによるブロックの指定入力を受け付ける。
●[ステップSA02]オペレータが、<修正>ソフトキーを押下したか否かを判定する。<修正>ソフトキーが押下された場合には、ステップSA01で指定されたブロックを修正ブロックとして選択してステップSA03へ進み、押下されない場合にはステップSA01へ戻る。
【0037】
●[ステップSA03]ステップSA02で選択された修正ブロックの終点座標を表示器21上のウィンドウに表示し、オペレータからの座標入力を受け付ける。
●[ステップSA04]オペレータが、<反映>ソフトキーを押下したか否かを判定する。<反映>ソフトキーが押下された場合にはステップSA05へ進み、押下されない場合にはステップSA03へ戻る。
【0038】
●[ステップSA05]ウィンドウに入力されている座標値を取得し、修正ブロックの内部修正データを作成する。
●[ステップSA06]加工サイクルの引数に修正ブロックの実行ブロック番号を挿入する。
●[ステップSA07]修正ブロックの内部修正データをコメントとして挿入してプログラムメモリ300へと記憶し、ステップSA01へ戻る。
【0039】
図7は、数値制御装置運転部100で実行される修正情報に基づいた加工サイクルの生成/実行処理のフローチャートである。
●[ステップSB01]加工サイクル指令解析部110は、加工サイクル生成指令を解析し、引数データを取得する。
●[ステップSB02]加工サイクル加工領域計算部120は、ステップSB01で取得した加工サイクル生成指令の引数データに基づいて、加工サイクルによる部品形状を計算し、計算した部品形状に基づいて加工領域を決定する。
【0040】
●[ステップSB03]加工サイクル工具経路作成部130は、ステップSB02で決定された加工領域に基づいて、工具経路を1ブロック毎に作成する。
●[ステップSB04]ステップSB03で作成されたブロックの実行ブロック番号と、ステップSB01で解析した加工サイクル生成指令に挿入されている修正情報のブロック番号が一致しているかを判定する。一致している場合には、ステップSB05へ進み、一致していない場合にはステップSB07へ進む。
【0041】
●[ステップSB05]ステップSB01で解析した加工サイクル生成指令に挿入されている修正情報から内部修正データを取得し、該内部修正データに基づいて修正ブロックを作成する。
●[ステップSB06]修正した工具経路のブロックを出力し、ステップSB08へ進む。
【0042】
●[ステップSB07]ステップSB03で作成したブロックを実行ブロックとして出力し、ステップSB08へ進む。
●[ステップSB08]加工サイクルが終了したか否かを判定する。終了していない場合には、ステップSB03へ戻り、終了している場合には加工サイクルを終了する。
【0043】
上述した実施形態では、加工シミュレーション時に描画チェック画面において修正部分を指定して修正する実施形態を説明したが、本発明の数値制御装置は、実際に加工サイクルを実行している最中に修正部分を指定して修正するように構成することも可能である。以下では、他の実施形態として加工サイクル実行時の部分修正の例を示す。
【0044】
図8は、加工プログラム実行画面における修正ブロック選択部220と(手動運転による)ブロック修正部230、ブロック修正情報記憶部240が実行する処理のフローチャートである。本フローチャートは、修正対象となるブロックの終点座標を修正する場合の処理を示している。
【0045】
●[ステップSC01]加工サイクル実行中であるか否かを判定する。加工サイクル実行中である場合にはステップSC02へ進み、そうでない場合には本ステップの判定処理を繰り返す。
●[ステップSC02]オペレータによりシングルブロック停止の指令がされたか否かを判定する。シングルブロック停止指令がされた場合にはステップSC03へ進み、そうでない場合には本ステップの判定処理を繰り返す。
【0046】
●[ステップSC03]オペレータからの手動運転操作を受け付け、工具を移動させる。
●[ステップSC04]オペレータによる手動運転操作の終了指令が入力されたか判定する。終了した場合にはステップSC05へ進み、そうでない場合にはステップSC03へ戻る。
【0047】
●[ステップSC05]手動による工具の移動(座標値)を取得し、実行ブロック数(ステップSA02で停止したブロックのブロック番号)とリンクした内部修正データを作成する。
●[ステップSC06]自動運転の再開が指令されたか否かを判定する。再開が指令された場合には自動運転を再開しステップSC07へ進み、指令されていない場合には本判定を繰り返す。
【0048】
●[ステップSC07]加工サイクルが終了したか否かを判定する。終了した場合にはステップSC08へ進み、そうでない場合にはステップSC01へ戻る。
●[ステップSC08]加工サイクル生成指令の引き数に、修正ブロックの実行ブロック番号すると共に、修正ブロックの内部修正データをコメントとして挿入してプログラムメモリ300へと記憶し、ステップSC01へ戻る。
【0049】
なお、本実施形態における数値制御装置運転部100で実行される修正情報に基づいた加工サイクルの生成/実行処理のフローチャートは、図7と同様であるから省略する。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例に限定されることなく、適宜の変更を加えることにより、その他の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 数値制御装置
11 CPU
12 フラッシュROM
13 DRAM
14 SRAM
15 軸制御回路
16 サーボアンプ
17 PMC
18 CRT/MDIユニット
21 表示器
22 キーボード
30 工作機械
100 数値制御装置運転部
110 加工サイクル指令解析部
120 加工サイクル加工領域計算部
130 加工サイクル工具経路作成部
132 工具経路修正部
140 加工サイクル工具経路実行部
200 数値制御装置操作部
210 工具経路表示部
220 修正ブロック選択部
230 ブロック修正部
240 ブロック修正情報記憶部
300 プログラムメモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9