(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122103
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】製紙における脱水、シート湿潤ウエブ強度および湿潤強度を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
D21H 17/69 20060101AFI20170417BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
D21H17/69
B01D21/01 107B
B01D21/01 101A
B01D21/01 107A
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-512774(P2015-512774)
(86)(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公表番号】特表2015-524026(P2015-524026A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】US2013041043
(87)【国際公開番号】WO2013173399
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】201210150534.3
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507248837
【氏名又は名称】ナルコ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ユイリン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ラオ チーン ローン
(72)【発明者】
【氏名】チュヨン ウェイグオ
【審査官】
阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0226433(US,A1)
【文献】
特開2010−138516(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/100996(WO,A1)
【文献】
特開2004−302304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 17/00− 17/70
D21H 21/00− 23/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填剤を含む製紙法であって、以下の工程、
充填剤粒子の水性分散液、少なくとも1種の脱水助剤およびセルロース繊維原料を準備する工程、
第1の凝集剤を、充填剤粒子の水性分散液に、該充填剤粒子の有意な凝集を引き起こすことなく、該分散液中に均一に混合するのに十分な量で加える工程、
第2の凝集剤を、該分散液に、該第1の凝集剤を加えた後に、該第1の凝集剤の存在の下で、該充填剤粒子の凝集を開始するのに十分な量で加える工程、該第2の凝集剤は、該第1の凝集剤と反対の電荷である、
該充填剤粒子を、上記の紙の繊維原料と混合する工程、
上記の混合液を、合成脱水添加剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の脱水助剤で処理する工程、および
該混合液から紙マットを形成する工程、
を含んでなり、
該紙の繊維原料は、複数の繊維および水を含んでおり、かつ前記の充填剤の予備凝集は、該紙マットにおける該脱水助剤の性能を高め、
該脱水助剤が、Nalco 63700(Nalco Company(Naperville、イリノイ州))であり、該脱水助剤は、米国特許出願公開第2005/0161181号明細書の例2に記載されたグリオキシル化アクリルアミド/DADMAC共重合体組成物である、
方法。
【請求項2】
脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度および充填剤保持力が、予備凝集プロセスおよび脱水助剤の一方のみが適用された場合に、予備凝集プロセスおよび脱水助剤によって与えられる、脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度および充填剤保持力の向上の合計よりも、より大きな量で向上される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記充填剤が、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、および水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
紙の繊維がセルロース繊維である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第2の凝集剤を添加した後に、前記分散液に剪断を掛けて、10〜200μの範囲の所定の塊径を得る工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1の凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合体である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第2の凝集剤が、アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEM)との共重合体からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第2の凝集剤が、硫酸ジメチル、塩化メチル、塩化ベンジル、およびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれる塩で作られる第四級アンモニウム塩の形態である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1の凝集剤の前記充填剤に対する比が、充填剤のトン当たりに凝集剤が0.2〜4kgの範囲であり、かつ前記第2の凝集剤の前記充填剤に対する比が、充填剤のトン当たりに凝集剤が0.2〜4kgの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記脱水助剤および前記第2の凝集剤が、同じ電荷を帯びている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記充填剤が、アニオン性に分散されており、かつ前記第1の凝集剤の添加の前に、低分子量のカチオン性凝固剤が前記分散液に、そのアニオン性の電荷の少なくとも一部を中性化するように加えられる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記第1の凝集剤がアニオン性の凝集剤であり、前記第2の凝集剤がカチオン性の凝集剤であり、かつ両方の凝集剤が少なくとも1000000の分子量を有する、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年3月19日に出願された米国特許出願番号第12/727,299号の部分継続出願である。
連邦政府委託研究開発に関する申告
適用なし
本発明の背景
本発明は、製紙工程にける、脱水効率を向上させる、シートの湿潤ウエブ強度を増加させる、シート湿潤強度を増加させる、および充填剤の保持力を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、製紙プロセスにおいては、スラリーの脱水および湿潤もしくは乾燥シート強度の向上を援けるために、ウエットエンドにおいて、化学薬品が添加される。製紙プロセスのウエットエンドとは、繊維が、水中にスラリーの形態で分散される、製紙プロセスの段階を表している。繊維−水スラリーは、次いで水切りおよび脱水工程を経て、湿潤ウエブに形成される。この湿式形成工程後の固形分含有量は、約50%である。湿潤ウエブは、更に乾燥されて、そして紙マットの乾燥シートが形成される。紙マットは、水および固形分および通常は4〜8%の水を含んでいる。紙マットの固形分は、繊維(典型的にはセルロース系繊維)を含んでおり、そしてまた充填剤を含む可能性もある。
【0003】
充填剤は、製紙プロセスの間に紙マットに加えられる無機(mineral)粒子であり、結果として得られる紙の不透明性および光反射特性を高める。充填剤の幾つかの例が、米国特許第7,211,608号明細書中に開示されている。充填剤としては、不透明性または白色度を増加させ、あるいは紙もしくは板紙シートのコストを低下させるために用いられる、無機および有機の粒子もしくは顔料が挙げられる。充填剤の幾つかの例としては、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、顔料、例えば炭酸カルシウムなどの、1種もしくは2種以上が挙げられる。
【0004】
炭酸カルシウム充填剤には、2つの形態、GCC(粉砕炭酸カルシウム)およびPCC(沈降炭酸カルシウム)がある。GCCは、天然由来の炭酸カルシウム岩石であり、そしてPCCは合成によって生成された炭酸カルシウムである。PCCはより大きな比表面積を有しているので、PCCはより大きな光散乱能力を有しており、そして結果として得られる紙に、より良好な光学的性質を与える。しかしながら、同じ理由により、PCCが充填された紙は、GCCが充填された紙よりも、乾燥強度、湿潤強度および湿潤ウエブ強度が弱い。充填剤は、通常は、繊維よりもずっと小さく、従って、充填剤は、繊維よりもずっと大きな比表面積を有している。人々が見出したシート中の充填剤含有量を増加させることの難題の1つは、高い充填剤含有量は、ウエットエンド化学薬品、例えば脱水助剤の効率を低下させることである。本発明は、新規な充填剤の予備凝集を提供するものであり、それによって充填剤表面上へのウエットエンド化学薬品の吸着を低減させ、そのために、ウエットエンド化学薬品、例えば脱水助剤の効率を向上させる。
【0005】
紙の湿潤ウエブ強度は、未だ乾燥されていないシートの引張強度である。紙の湿潤ウエブ強度が増加すれば、機械の操業性を向上させ、そして紙の破断と機械の停止時間を減少させるので、紙の湿潤ウエブ強度は、紙の製造者にとって極めて重要である。紙のウエブ湿潤強度は、紙マットの絡み合った繊維の間に形成された結合の数および強度の関数である。より大きな表面積を備えた充填材粒子は、それらの繊維に固定される傾向が強く、そしてそれらの結合の数および強度を妨げる。そのより大きな表面積のために、PCC充填剤は、GCCよりも、それらの結合をより妨げる。
【0006】
また、紙の脱水効率は、ウエットエンドにおいて脱水効率が低下すると、乾燥操作でのスチームの需要が増加し、機械速度および生産効率を低下させるので、紙の製造者に極めて重大である。脱水助剤は、エネルギー消費を低減させ、機械速度および生産効率を増大させるために、脱水効率を向上させるように、広く用いられている。
【0007】
紙の湿潤強度は、シートが再湿潤された場合のシートの引張強度である。紙の湿潤強度は、重要なシートの性質の1つであるだけではなく、サイズプレスを備えた精密な製紙機械の機械操作性のためにも重要である。シートがサイズプレスの後に再湿潤されると、シートの湿潤ウエブ強度が小さい場合には、破断する傾向にある。紙の乾燥強度および湿潤ウエブ強度と同様に、紙の湿潤強度は、充填剤の繊維−繊維結合への干渉のために、シート中の充填剤含有量とともに低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、製紙プロセスにおいて、脱水効率を向上させ、シートの湿潤ウエブ強度を増加させ、シート湿潤強度を増加させ、そして充填剤の保持を高める方法ならびに組成物への明らかな必要性と有用性が存在する。この章に記載した技術は、特に断りのない限り、ここに参照したいずれかの特許、文献または他の情報が、本発明に対して「従来技術」であると自認することを意図してはいない。更に、この章は、調査がなされたこと、または、37CFRの章1.56(a)に規定された他の関連情報が存在しないことを意味すると解釈されてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の少なくとも1つの態様は、充填剤の予備凝集および脱水助剤を組み合わせることによって、向上されたシート湿潤強度もしくは湿潤ウエブ強度または向上した水切りを有する製紙方法に向けられている。本方法は、以下の工程を含んでいる:第1の凝集剤(flocculationg agent)を水性の分散液に、充填材粒子の有意な凝集を引き起こすことなく、分散液中に均一に混合するのに十分な量で加える工程、第2の凝集剤(flocculationg agent)を、この分散液に、第1の凝集剤を加えた後で、第1の凝集剤の存在下で充填材粒子の凝集が開始するのに十分な量で加える工程、第2の凝集剤は、第1の凝集剤とは反対の電荷である、充填剤粒子を、紙の繊維原料と混合する工程、この混合物を少なくとも1種の脱水助剤で処理する工程、ならびにこの混合物から幾らかの水を除去することによって紙マットを形成する工程。セルロース繊維原料は、複数のセルロース繊維および水を含んでいる。第2の凝集剤は、脱水助剤が、充填材粒子に固着することを抑制する。
【0010】
本発明の少なくとも1つの態様は、製紙プロセスによってなされる紙の脱水が、第1および第2の凝集剤ならびに脱水剤を用い、それらが別々に加えられた場合の予備凝集プロセスによって与えられる脱水の向上の合計よりも、より大きな量で増加する方法に向けられている。
【0011】
本発明の少なくとも1つの態様は、充填剤粒子が、炭酸カルシウム、有機顔料、無機顔料、粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、およびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれる1つの品目を更に含む方法に向けられている。本方法は、この分散液に剪断を掛けて、所定の塊径を得る工程を更に含むことができる。この充填剤塊は、10〜200μmのメジアン粒子径を有することができる。第1の凝集剤は、アニオン性および両性であることができる。脱水剤は、グリ
オキシル化アクリルアミド/ジアリル−ジメチル−アンモニウム−クロリド(AcAm/DADMAC)共重合体またはジアリルアミン/アクリルアミド(DAA/AcAm)共重合体またはポリビニルアミン(PVAM)樹脂であることができる。脱水助剤の紙マットの固形分に対する比率は、紙マットのトン当たりに0.3〜10kgの添加剤であることができる。第1の凝集剤は、アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウムの共重合体であることができる。脱水助剤および第2の凝集剤は、同じ電荷を有することができる。
【0012】
第2の凝集剤は、アクリルアミドと、DMAEM、DMAEA、DEAEA、DEAEMとの共重合体からなる群から選ぶことができる。第2の凝集剤は、硫酸ジメチル、塩化メチル、塩化ベンジルおよびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれた塩で作られた第四級アンモニウム塩の形態であることができる。充填剤は、アニオン性に分散されていてよく、そして低分子量のカチオン性凝固剤がその分散剤に加えられて、第1の凝集剤の添加の前に、そのアニオン性の電荷の少なくとも一部を中性化する。第2の凝集剤は、第1の凝集剤の電荷と反対の電荷を有することができる。充填剤塊は、10〜200μmのメジアン粒子径を有することができる。充填剤粒子の混合物は、炭酸カルシウム、有機顔料、無機顔料、粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、水酸化マグネシウムおよびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれた1つの品目を更に含んでいる。低分子量組成物は、カチオン性凝固剤であることができ、第1の凝集剤はアニオン性凝集剤、第2の凝集剤は、カチオン性凝集剤、そして両方の凝集剤は、少なくとも1000000の分子量を有することができる。
【0013】
本発明の詳細な説明が、以下に、図面を具体的に参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明によって作られた紙の向上した湿潤強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の定義は、本願において用いられた用語がどのように、そして特には特許請求の範囲がどのように、解釈されるかを定めるように提供される。この定義の系統化は、便宜上のためだけであり、いずれかの定義をいずれかの特定の分類に限定することを意図したものではない。
【0016】
「凝固剤」は、凝集剤(flocculant)よりもより高い電荷密度およびより低い分子量を有する物質組成物を意味しており、微細に分割され、懸濁された粒子を含む液体に加えられた場合に、イオン性の電荷の中性化の機構によって固体を不安定化し、そして凝集させる。
【0017】
「脱水助剤」は、プロセスにおけるいずれかの時点で、紙のウエブの脱水を向上させる化学薬品添加剤を意味する。このことは、材料は自由排水には影響を与えないであろうが、しかしながら真空水切りまたはプレス応答には有意な影響を有することを意味している。
【0018】
「DAA」は、ジアリルアミンを意味している。
「DADMAC」は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドを意味している。
「DMAEM」は、米国特許第5,338,816号明細書中に記載され、そして定義されているように、ジメチルアミノエチルメタクリレートを意味している。
「DMAEA」は、米国特許第5,338,816号明細書中に記載され、そして定義されているように、ジメチルアミノエチルアクリレートを意味している。
「DEAEA」は、米国特許第6,733,674号明細書中に記載され、そして定義されているように、ジエチルアミノエチルアクリレートを意味している。
「DEAEM」は、米国特許第6,733,674号明細書中に記載され、そして定義されているように、ジエチルアミノエチルメタクリレートを意味している。
【0019】
「凝集剤(Flocculant)」は、低い電荷密度および高い分子量(1000000超)を有する物質組成物を意味しており、微細に分割され、懸濁された粒子を含む液体に加えられた場合に、粒子間架橋の機構によって固体を不安定化し、そして凝集させる。
【0020】
「凝集剤(Flocculating Agent)」は、液体に加えられた場合に、液体中のコロイド状および微細に分割された懸濁された粒子を不安定化させ、そして塊に凝集させる物質組成物を意味する。
【0021】
本発明に好適な凝集剤(Flocculants)は、1000000超の、そしてしばしば5000000超の分子量を有している。
【0022】
ポリマー凝集剤(flocculantt)は、典型的には1種もしくは2種以上のカチオン性、アニオン性またはノニオン性モノマーのビニル付加重合によって、1種もしくは2種以上のカチオン性モノマーと1種もしくは2種以上のノニオン性モノマーとの共重合によって、1種もしくは2種以上のアニオン性モノマーと1種もしくは2種以上のノニオン性モノマーとの共重合によって、1種もしくは2種以上のカチオン性モノマーと1種もしくは2種以上のアニオン性モノマーおよび随意選択的な1種もしくは2種以上のオニオン性モノマーとの共重合によって、両性ポリマーを生成することによって、あるいは1種もしくは2種以上の両性イオン性モノマーおよび随意選択的に1種もしくは2種以上のノニオン性モノマーの重合によって、両性イオン性ポリマーを形成することによって、調製される。また、1種もしくは2種以上の両性イオン性モノマーおよび随意選択的な1種もしくは2種以上のノニオン性モノマーは、1種もしくは2種以上のアニオン性またはカチオン性モノマーと共重合させて、両性イオン性ポリマーにカチオン性もしくはアニオン性の電荷を与えることができる。好適な凝集剤(Flocculants)は、通常は80モル%未満、そしてしばしば40モル%未満の電荷量を有している。
【0023】
カチオン性ポリマー凝集剤(flocculants)は、カチオン性モノマーを用いて形成することができるけれども、特定のノニオン性ビニル付加ポリマーを反応させて、カチオン性に荷電したポリマーを生成させることもできる。この種類のポリマーとしては、ポリアクリルアミドのジメチルアミンおよびホルムアルデヒドとの反応によってマンニッヒ誘導体を生成させて調製されるものが挙げられる。
【0024】
同様に、アニオン性ポリマー凝集剤(flocculants)は、アニオン性モノマーを用いて形成することができるが、特定のノニオン性ビニル付加ポリマーを変性して、アニオン性に荷電したポリマーを形成させることもできる。この種類のポリマーとしては、例えば、ポリアクリルアミドの加水分解によって調製されたものが挙げられる。
【0025】
凝集剤(flocculant)は、固体の形態で、水溶液として、油中水エマルジョンとして、または水中の分散液として調製することができる。代表的なカチオン性ポリマーとしては、(メタ)アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEM)またはそれらの、硫酸ジメチル、塩化メチル、もしくは塩化ベンジルで作られる第四級アンモニウムの形態、との共重合体および三元共重合体が挙げられる。代表的なアニオン性ポリマーの例としては、アクリルアミドと、アクリル酸ナトリウムおよび/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)との共重合体または、加水分解されてアクリルアミド基の一部がアクリル酸へと変換されたアクリルアミドホモポリマーが挙げられる。
【0026】
「GCC」は、粉砕された炭酸カルシウムを意味しており、これは天然由来の炭酸カルシウム石を粉砕することによって製造される。
【0027】
「製紙プロセス」は、パルプを水と混合して、水性のセルロース系紙マットを形成する工程、マットを水切り(draining)してシートを形成する工程、およびシートを乾燥する工程を含む、パルプから紙および板紙製品を製造する方法を意味する。いずれかの好適な紙マットを用いることができることが理解されなければならない。代表的な紙マットは、例えば、バージンパルプ、再生パルプ、クラフトパルプ(漂白されたおよび非漂白の)、亜硫酸パルプ、機械パルプ、ポリマープラスチック繊維など、および前述のパルプのいずれかの組み合わせを含む水性のセルロース系スラリーを含んでいる。紙マットの形成、水切りおよび乾燥の工程は、当業者に通常知られているいずれかの方法で行うことができる。
【0028】
「PCC」は、沈降炭酸カルシウムを意味しており、これは合成的に生成される。
【0029】
「予備凝集」は、充填剤粒子の、これらの充填剤粒子の紙マット中への添加の前の、粒子凝集剤(flocculating agent)での処理による凝集体への変換を意味しており、凝集剤は、その凝集剤が形成する塊の大きさの分布および安定性を基準にして選択される。
【0030】
「PVAM」は、ポリビニルアミン樹脂を意味している。
【0031】
「操業性(Runnability)」は、紙のシートまたは紙の前駆体が、トラブルなしに、製紙プロセス中の種々の段階および数々の設備を通過する程度を意味しているが、そのようなトラブルとしては、目詰まり(jamming)、閉塞(clogging)、または設備汚損(fouling equipment)、設備損傷、ならびに/あるいは紙のシートおよび紙の前駆体を設備に通過させるのにより多くのエネルギーを要すること、が挙げられるが、それらには限定されない。
【0032】
上記の定義または本明細書中のいずれかの箇所に記述した説明が、辞書中で通常用いられる、または本明細書中に参照することによって組み入れた資料中で述べられた意味(明白な、または暗黙の)と一致しない場合には、本願明細書および特には特許請求の範囲の用語は、本明細書中の定義または説明に従って解釈され、そして通常の定義、辞書での定義、または参照することによって組み込まれた定義に従っては解釈されないと理解される。上記のことを考慮すると、用語が、辞書によって解釈されるとのみ理解され、その用語が、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 5th Edition, (2005), (Published by Wiley, John & Sons, Inc.)によって定義される場合には、この定義が、その用語が、特許請求の範囲においてどのように規定されるべきかを支配する。
【0033】
本発明の少なくとも1つの態様は、強く、高い充填剤含有量を有し、そして優れた光学的性質を有する紙の製造方法である。本発明の少なくとも1つの態様では、紙の製造方法は、充填材を準備する工程、充填材の少なくとも一部を予備凝集によって前処理して、充填材上への脱水助剤の吸着の低減をもたらす工程、および予備凝集された充填剤混合物および脱水助剤の両方を、紙マットに加える工程、を含んでいる。
【0034】
予備凝集は、材料を、それの紙原料への添加の前に、特定の剪断力の下で、2種の凝集剤によって、塊の大きさの分布および安定性を最適化するような方法で処理するプロセスである。この特定の化学的な環境および近代の高速の製紙法に存在する高い流体剪断速度は、充填剤の塊が、安定で、そして剪断抵抗性であることを必要とする。本発明に適用が可能な予備凝集法の例が、米国特許出願公開第2009/0065162号明細書および米国特許出願第12/431356号明細書中に記載されている。
【0035】
脱水助剤を紙マットに添加することは、結果として得られる紙の湿潤ウエブ強度を増加させ、または水切りを高め、または機械速度および操業性を向上させ、またはシート湿潤強度を高めることが、しばしば知られている。湿潤強度助剤、湿式ウエブ強度添加剤および水切り助剤の幾つかの例が、米国特許第7,125,469号、第7,615,135号および第7,641,776号明細書中に記載されている。
【0036】
残念ながら、多量の充填剤を紙マットに用いることからもたらされる脆弱さを補償するために、大量の脱水助剤を加えることは実用的ではない。1つの理由は、脱水助剤は、高価であり、そして大量の添加剤を用いることは、商業的に実行不可能な生産コストをもたらすためである。更に、多過ぎる脱水助剤を添加することは、製紙プロセスに悪影響を与え、そして製紙設備の種々の形態の操作性を阻害する。更には、セルロース繊維は、限定された量の脱水助剤だけを吸着することができる。このことは、どれほどの量の添加剤を用いることができるかに制限を課す。このことの1つの理由は、脱水助剤は、アニオン性の繊維/充填剤の電荷を中性化する傾向にあり、そしてそれらの電荷が中性化された場合には、それらの添加剤の更なる吸着が阻害されるためである。
【0037】
紙マットへの充填剤の添加は、脱水助剤の有効性を低下させる。充填剤は、繊維よりもずっと大きな比表面積を有しているために、製紙用スラリー中に加えられたほとんどの脱水助剤は充填剤表面へと向かい、そして従ってセルロース繊維を互いに結合するのに有効な脱水助剤は少ししかない。この効果は、PCCは、ずっと大きな表面積を有しており、そしてより多くの脱水助剤を吸着することができるので、GCCに比べてPCCの方がより激しい。
【0038】
少なくとも1つの態様では、脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度、および充填剤保持力は、以下の方法によって増加される:充填材の水性分散液が形成され、そして充填材が、紙の繊維原料へと加えられる前に予備凝集される。第1の凝集剤(flocculating agent)が、充填材粒子の有意な凝集を引き起こすことなく、この分散液中に均一に混合されるに十分な量で、この分散液中に加えられる。次いで、第2の凝集剤(flocculating agent)が、第1の凝集剤に続いて、第1の凝集剤の存在の下で、充填材の凝集を開始させるのに十分な量で加えられ、この第2の凝集剤は、第1の凝集剤と反対の電荷である。紙マットが、予備凝集された充填材を、繊維原料と混合し、そしてこの混合物を脱水助剤で処理することによって形成される。充填材の予備凝集は、脱水助剤の性能を高める。この繊維原料は、繊維、充填材および水を含んでいる。
【0039】
少なくとも1つの態様では、繊維は、主にセルロースを基にしている。少なくとも1つの態様では、凝集された分散液は、剪断を掛けられて、特に所望の粒子径を得る。
【0040】
予備処理された充填剤粒子は当技術分野で知られているが、従来技術の充填剤粒子の予備処理方法は、脱水助剤の充填剤粒子への固着に、2種の凝集剤(flocculants)で影響を与えることを指向してはいない。実際に、多くの従来技術の予備処理は、強度添加剤の充填剤粒子への固着力を増加させている。例えば、米国特許第7,211,608号明細書には、疎水性ポリマーでの充填材粒子の予備処理方法が記載されている。しかしながら、この予備処理は、脱水助剤と充填材粒子との間の固着力にはなにも作用せず、そして単に、水をはじいて、脱水助剤によって吸収される過剰の水と釣り合わさせている。対照的に、本発明は、脱水助剤と充填剤粒子との間の相互作用を低減させ、そして脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度および充填剤保持力、シート脱水および機械操業性に予期できない大きな向上をもたらす。このことは、
図1を参照することによって最もよく理解される。
【0041】
図1には、PCC充填剤を含む紙
マット(ma
t)から作られた紙は、より多くのPCC充填剤が加えられると弱くなる傾向にあることが示されている。多量のPCCが加えられた場合(20%超)には、脱水助剤の添加では、紙に、少しの湿潤強度しか付け加えない。しかしながら、脱水添加剤と組み合わされた予備凝集されたPCC充填剤から作られた紙は、湿潤強度が、予備凝集されていないPCCを10%少なく有する紙よりも強い程度に、湿潤強度を増加させる。結果として、少なくとも2つの結論に導くことができる:1)脱水助剤は、未処理の充填剤とよりも、予備凝集された充填剤との方が、シート湿潤強度もしくは湿潤ウエブ強度の増加または向上した水切りにより効果的である、そして、2)脱水助剤と充填剤予備凝集の組合わせには相乗効果があり、それがその組み合わせを、脱水助剤単独と充填剤予備凝集単独の合計の添加効果よりも優れたものとさせる。その結果、PCC充填材の予備凝集は、脱水助剤の有効性の向上に導く。
【0042】
本発明に含まれる少なくとも幾つかの充填剤は、よく知られており、そして商業的に入手可能である。それらは、不透明性または白色度を増加させ、気孔率を低下させ、または紙もしくは板紙シートの費用を低減させるのに用いられるいずれかの無機もしくは有機粒子または顔料を含んでいる。最も通常の充填剤としては、炭酸カルシウムおよび粘土がある。しかしながら、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、および水酸化マグネシウムもまた好適な充填剤である。炭酸カルシウムとしては、乾燥もしくは分散されたスラリーの形態の粉砕炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、いずれかのモルフォロジーの沈降炭酸カルシウム(PCC)、および分散されたスラリーの形態の沈降炭酸カルシウムが挙げられる。GCCまたはPCCの分散されたスラリー形態は、典型的にはポリアクリル酸ポリマー分散剤またはポリリン酸ナトリウム分散剤を用いて生成される。それらの分散剤のそれぞれは、炭酸カルシウム粒子に有意なアニオン性の電荷を与える。また、カオリン粘土スラリーは、ポリアクリル酸ポリマーまたはポリリン酸ナトリウムを用いて分散される。
【0043】
少なくとも1つの態様では、高い充填剤含有量によって引き起こされる操業性の問題は、紙マットへの脱水助剤の添加によって改善される。脱水助剤が、操業性の問題を援けることは通常知られている。しかしながら、従来技術においては、充填剤は、脱水助剤の有効性を低下もさせるので、脱水助剤は、典型的には高い水準の充填剤と併せて用いられてはいなかった。
【0044】
理論への、そして特に特許請求の範囲への限定なしに、充填剤が脱水助剤を弱める理由は、充填剤粒子が脱水助剤を吸収して、そのような試薬のより少ない量しか、製紙プロセスを援けるようにさせないことであると信じられる。少なくとも1つの態様では、充填剤粒子の予備凝集は、脱水助剤の有効性を過度に(または全く)低下させることなく、脱水助剤の使用と共になされる。予備凝集は、脱水助剤と相互作用するのに利用できる充填剤粒子の有効な表面積を低減させ、そしてそれによって脱水助剤が、製紙プロセスを援けるのに利用可能にさせる。このことが、充填剤粒子の高い水準が、製紙プロセスに用いられることを可能にするが、しかしながらこのことは、脱水助剤がプロセスの操業性を向上させることもまた可能にする。
【0045】
少なくとも1つの態様では、脱水助剤は、充填剤を処理するために、第2凝集剤(flocculating agent)と同じ電荷を帯びている。この2つが同じ電荷を帯びている場合には、充填剤添加剤は、その表面上に、湿式強度助剤、湿式ウエブ強度添加剤または水切り助剤を吸着することが少ない。本発明に包含される脱水助剤としては、米国特許第4,605,702号明細書および米国特許出願公開第2005/0161181号明細書中に記載された物質組成物のいずれかの1つ、そして特にはそれらに記載された種々のグリ
オキシル化アクリルアミド/DADMAC共重合体組成物が挙げられる。グリ
オキシル化アクリルアミド/DADMAC共重合体組成物の例としては、Nalco 63700(Nalco Company(Naperville、イリノイ州、60563)から入手可能)がある。他の例としては、アミノ含有ポリマー、例えばジアリルアミン(Diallylamine)/アクリルアミド(DAA/AcAm)共重合体およびポリビニルアミン(PVAM)が挙げられる。
【0046】
少なくとも1つの態様では、用いられる充填剤は、PCC、GCCおよび/またはカオリン粘土である。少なくとも1つの態様では、用いられる充填剤は、ポリアクリル酸ポリマー分散剤を備えたPCC、GCCおよび/またはカオリン粘土、またはそれらの混合物である。脱水助剤の固体の紙マットに対する比率は、紙マットのトン当たりに3kgの添加剤であることができる。
【実施例】
【0047】
前述の事項は、以下の例を参照することによってよりよく理解することができ、それらは、説明の目的で提供され、そして本発明の範囲を限定することを意図してはいない。
【0048】
紙マットは、商業的な漂白された硬材乾燥ラップを崩壊させることによって調製した。充填材の予備凝集は、例えば米国特許出願第12/431,356号明細書の例14に記載された二元凝集剤(flocculants)法によって行った。PCCを紙マットに加えて、シート中の異なる充填材含有量を得た。200ppmの商業的な凝集剤(flocculant)(Nalco 61067)を歩留向上剤として用いた。手漉き紙調製の間に、3kg/トンの脱水助剤(Nalco 63700)を加えた。次いで、湿潤強度を測定した。
図1に示されているように、脱水助剤の不在は、種々のプロセス/操業性の問題を引き起こし、そのことが、紙が、損なわれた湿潤強度を有するようにさせた。充填剤の予備凝集は、幾らかの改善をもたらしたが、しかしながら、脱水と組合わせた予備凝集は、湿潤強度に有意な向上をもたらした。
【0049】
本発明は、多くの異なる形態で具体化させることができるが、ここに本発明の特に好ましい態様が詳細に記載される。この開示は、本発明の原理の例証であって、そして本発明を、例示した具体的な態様に限定することを意図してはいない。ここに言及した、またはいずれかの言及した参照文献中で言及された全ての特許、特許出願、科学的文献、およびいずれかの他の参照された資料は、それらの全体を参照することによって本明細書の内容とする。更に、本発明は、ここに記載したおよび/またはここで組み込んだ種々の態様の幾つかもしくは全ての、いずれかの可能な組み合わせを包含する。更に、本発明は、ここに記載したおよび/またはここで組み入れた種々の態様のいずれかの1つもしくは幾つかを特に排除した、いずれかの可能な組み合わせを含む。
【0050】
上記の開示は、例示であることを意図しており、そして網羅的であることを意図してはいない。本明細書は、多くの変更および代案を、当業者に示唆するであろう。それらの代案および変更の全ては、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されており、そこでは用語「含む」は、「含むが、しかしながらそれらには限定されない」を意味している。当技術分野に精通した者は、本明細書に記載された具体的な態様の他の等価物を認識することができ、その等価物もまた特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0051】
本明細書に開示された全ての範囲およびパラメータは、それに含まれるいずれかのおよび全ての部分範囲、および端点の間の全ての数を包含することが理解される。例えば、提示された範囲「1〜10」は、最小値の1と最大値の10の間の(それらを含めて)いずれかのおよび全ての部分範囲、すなわち、最小値の1またはそれ以上から始まり(例えば、1〜6.1)、そして最大値の10またはそれ以下で終わる(例えば、2.3〜9.4、3〜8、4〜7)全ての部分範囲、そして最後にその範囲に含まれるそれぞれの数1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10を含むと考えなければならない。
【0052】
このことが、本発明の好ましいおよび代替の態様の説明を完成させる。当業者は、本明細書に記載された具体的な態様の他の等価物を認識することができ、その等価物は、ここに添付された特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)充填剤を含む製紙法であって、以下の工程、
充填剤粒子、少なくとも1種の脱水助剤およびセルロース繊維原料の水性分散液を準備する工程、
第1の凝集剤を、充填剤粒子の水性分散液に、該充填剤粒子の有意な凝集を引き起こすことなく、該分散液中に均一に混合するのに十分な量で加える工程、
第2の凝集剤を、該分散液に、該第1の凝集剤を加えた後に、該第1の凝集剤の存在の下で、該充填剤粒子の凝集を開始するのに十分な量で加える工程、該第2の凝集剤は、該第1の凝集剤と反対の電荷である、
該充填剤粒子を、上記の紙の繊維原料と混合する工程、
上記の混合液を、合成脱水添加剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の脱水助剤で処理する工程、および
該混合液から紙マットを形成する工程、
を含んでなり、
該紙の繊維原料は、複数の繊維および水を含んでおり、かつ前記の充填剤の予備凝集は、該紙マットにおける該脱水助剤の性能を高める、
方法。
(2)脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度および充填剤保持力が、予備凝集プロセスおよび脱水助剤が別個に適用された場合に、予備凝集プロセスおよび脱水助剤によって与えられる、脱水効率、シートの湿潤ウエブ強度、シート湿潤強度および充填剤保持力の向上の合計よりも、より大きな量で向上される、(1)記載の方法。
(3)前記充填剤が、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、および水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる、(1)記載の方法。
(4)紙の繊維がセルロース繊維である、(1)記載の方法。
(5)前記分散液に剪断を掛けて、10〜200μの範囲の所定の塊径を得る工程を更に含む、(1)記載の方法。
(6)前記第1の凝集剤が、アニオン性または両性である、(1)記載の方法。
(7)前記第1の凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合体である、(1)記載の方法。
(8)前記第2の凝集剤が、前記第1の凝集剤の電荷と反対の電荷である、(1)記載の方法。
(9)前記第2の凝集剤が、アクリルアミドと、DMAEM、DMAEA、DEAEA、DEAEMとの共重合体からなる群から選ばれる、(1)記載の方法。
(10)前記第2の凝集剤が、硫酸ジメチル、塩化メチル、塩化ベンジル、およびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれる塩で作られる第四級アンモニウム塩の形態である、(9)記載の方法。
(11)前記第1の凝集剤の前記充填剤に対する比が、充填剤のトン当たりに凝集剤が0.2〜4kgの範囲であり、かつ前記第2の凝集剤の前記充填剤に対する比が、充填剤のトン当たりに凝集剤が0.2〜4kgの範囲である、(1)記載の方法。
(12)前記脱水助剤および前記第2の凝集剤が、同じ電荷を帯びている、(1)記載の方法。
(13)前記脱水助剤が、DAA/AcAm共重合体、PVAM、ポリアクリルアミドを基にしたアルデヒド官能化ポリマーおよびそれらのいずれかの組合わせからなる群から選ばれる1種である、(1)記載の方法。
(14)脱水助剤の前記紙マットの固形分に対する比が、紙マットのトン当たりに脱水添加剤が0.3〜10kgである、(1)記載の方法。
(15)前記充填剤が、アニオン性に分散されており、かつ前記第1の凝集剤の添加の前に、低分子量のカチオン性凝固剤が前記分散液に、そのアニオン性の電荷の少なくとも一部を中性化するように加えられる、(1)記載の方法。
(16)前記低分子量の組成物が、カチオン性の凝固剤であり、前記第1の凝集剤がアニオン性の凝集剤であり、前記第2の凝集剤がカチオン性の凝集剤であり、かつ両方の凝集剤が少なくとも1000000の分子量を有する、(15)記載の方法。