特許第6122118号(P6122118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

特許6122118ピラゾールカルボン酸誘導体を調製するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122118
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ピラゾールカルボン酸誘導体を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/14 20060101AFI20170417BHJP
   C07C 281/02 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   C07D231/14
   C07C281/02CSP
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-526975(P2015-526975)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-530371(P2015-530371A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2013066953
(87)【国際公開番号】WO2014027009
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年6月10日
(31)【優先権主張番号】12180802.6
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ブリス,フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】グレープケ・ツビンデン,カトリン
(72)【発明者】
【氏名】コーナー,マティアス
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/117264(WO,A1)
【文献】 Hanzlowsky, A. et al.,J. Heterocyclic Chem.,2003年,vol.40,p.487-498
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化16】

(式中、RはC1−7−アルキルを表し、Rは場合によりハロゲン又はC1−4−アルコキシで置換されたC1−7−アルキルを表す)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を調製するための方法であって、
以下の工程:
a)式(II):
【化17】

(式中、RはC1−7−アルキルを表し、Xはハロゲンを表す)で示されるオキソアセタートを、式(III):
【化18】

(式中、Rは上記の通りであり、R及びRはC1−7−アルキルを表す)で示されるアクリラートと、塩基の存在下反応させ、式(IV):
【化19】

(式中、R、R、R及びRは上記の通りである)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを形成する工程;
b)式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを、式(V):
【化20】

(式中、Rは上記の通りであり、Rはアミノ保護基を表す)で示されるN−保護ヒドラジン誘導体とカップリングさせ、式(VI):
【化21】

(式中、R、R、R及びRは上記の通りである)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを形成する工程;
c)式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを、酸性条件下で閉環し、式(VII):
【化22】

(式中、R、R、及びRは上記の通りである)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを形成する工程並びに;
d)式(VII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを、塩基で3−位において加水分解し、式(I)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を形成する工程、を含む方法。
【請求項2】
工程a)及び工程b)が結合され、式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを単離しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)で用いられる塩基が、触媒量の4-(ジメチルアミノ)ピリジンと組み合わせたC1−4−トリアルキルアミンから、又はピリジンから選択することができる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)が、-20℃と40℃の間の反応温度で、非プロトン性有機溶媒、又はそれらの混合物中で行われる、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
工程b)で用いられる式(V)で示されるN−保護ヒドラジン誘導体が、N−Boc−N−メチルヒドラジン、N−Boc−N−エチルヒドラジン、N−Boc−N−n−プロピルヒドラジン、N−Cbz−N−メチルヒドラジン、N−Fmoc−N−メチルヒドラジン、N−Moz−N−メチルヒドラジン、N−Troc−N−メチルヒドラジン、N−Teoc−N−メチルヒドラジン、N−Adoc−N−メチルヒドラジン、N−ホルミル−N−メチルヒドラジン、N−アセチル−N−メチルヒドラジン、N−シクロブトキシカルボニル−N−メチルヒドラジンから選択することができる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
工程b)が、−10℃と60℃の間の反応温度で、極性の非プロトン性若しくはプロトン性有機溶媒、若しくはそれらの混合物中で行われ、又は、もしも工程a)及びb)が結合されるならば、工程b)が−10℃と60℃間の反応温度で、極性の非プロトン性有機溶媒、若しくはそれらの混合物中で行われる、請求項1、2又は5に記載の方法。
【請求項7】
工程b)が、式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルのアミノ保護基に影響を及ぼすことができない、酸の存在下で行われる、請求項1、2、5又は6に記載の方法。
【請求項8】
工程c)における閉環が、0℃と60℃の間の反応温度で、極性溶媒、又はそれらの混合物中で、無機酸、有機酸又はルイス酸を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程d)におけるエステル加水分解に用いられる塩基が、水酸化アルカリの又は炭酸水素アルカリの水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程d)におけるエステル加水分解が、−20℃と80℃の間の反応温度で行われる、請求項1又は9に記載の方法。
【請求項11】
、R、R、R及びRがC1−4−アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
がBocである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
Xが塩素である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
式(VI):
【化23】

(式中、R及びRはC1−7−アルキルを表し、Rは場合によりハロゲン又はC1−4−アルコキシで置換されたC1−7−アルキルを表し、Rはアミノ保護基を表す)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステル。
【請求項15】
、R及びRがC1−4−アルキルであり、RがBoc、Fmoc、Cbz、Moz、アセチル又はホルミルから選択されるアミノ保護基である、請求項14に記載のヒドラジノメチレンコハク酸エステル。
【請求項16】
及びRがメチル又はエチルであり、Rがメチル、エチル又はn−プロピルであり、RがBocである、請求項14に記載のヒドラジノメチレンコハク酸エステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】

(式中、RはC1−7−アルキルを表し、Rは場合によりハロゲン又はC1−4−アルコキシで置換されたC1−7−アルキルを表す)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を調製するための新規な方法に関する。
【0002】
式(I)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体は、薬理活性成分の調製における基本単位として、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、特にPDE10阻害剤として作用する化合物用に用いることができる。PDE10阻害剤は、統合失調症のような精神病性障害を処置する潜在能力を有する(国際特許公開公報WO2011/117264)。
【背景技術】
【0003】
式(I)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体への合成的アプローチは、Hanzlowsky et al, J. Heterocyclic Chem. 2003, 40(3), 487-489 に開示された方法を適用する国際特許公開公報WO2011/117264のスキーム3に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、記載された酸触媒環縮合条件下、所望の異性体に加えて、望まないN−1置換異性体も相当量形成された。多くの場合、特に大スケールにおいて、この望まない異性体は、反応混合物中で主生成物であり、最大70:30までの割合で望まない異性体が優勢であり、結果として望まない異性体の単離収率は約30%、所望の異性体は約25%となる。
【0005】
【化2】
【0006】
望まない異性体からの所望の異性体の分離は、例えば、上述した例では、クロマトグラフィー技術を適用することによってのみ達成することができた。このような方法は、経済的及び生態学上の条件のため、工業スケールの合成では望まれていない。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、式(I)で示される所望のピラゾールカルボン酸誘導体への、より選択的でより大規模に実現可能なアクセスを許す合成的アプローチを見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、以下に説明するように、本発明の方法により達成することができた。
【0009】
式(I):
【化3】

(式中、RはC1−7−アルキルを表し、Rは場合によりハロゲン又はC1−4−アルコキシで置換されたC1−7−アルキルを表す)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を調製するためのこの方法は、
以下の工程:
a)式(II):
【化4】

(式中、RはC1−7−アルキルを表し、Xはハロゲンを表す)で示されるオキソアセタートを、式(III):
【化5】

(式中、Rは上記の通りであり、R及びRはC1−7−アルキルを表す)で示されるアクリラートと、塩基の存在下反応させ、式(IV):
【化6】

(式中、R、R、R及びRは上記の通りである)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを形成する工程;
b)式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを、式(V):
【化7】

(式中、Rは上記の通りであり、Rはアミノ保護基を表す)で示されるN−保護ヒドラジン誘導体とカップリングさせ、式(VI):
【化8】

(式中、R、R、R及びRは上記の通りである)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを形成する工程;
c)式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを、酸性条件下で閉環し、式(VII):
【化9】

(式中、R、R、及びRは上記の通りである)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを形成する工程並びに;
d)式(VII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを、塩基で3−位において加水分解し、式(I)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を形成する工程、を含む。
【0010】
特段の断りがない限り、以下の定義は本発明のこの明細書の記述に用いられた各種用語の意味及び範囲を説明し、定義するために与えられている。
【0011】
用語C1−7−アルキルは、単独で又は他の基と共に使われ、分岐鎖又は直鎖の1〜7個の炭素原子の1価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びへプチル並びにその異性体のような基により例示されることができる。
【0012】
同様に、用語C1−4−アルキルは、単独で又は他の基と共に使われ、分岐鎖又は直鎖の1〜4個の炭素原子の1価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル又はt−ブチルのような基により例示されることができる。
【0013】
用語C1−4−アルコキシは、酸素基に結合した上記で定義した通りのC1−4−アルキル基を表す。この用語は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ又はt−ブトキシのような基により例示されることができる。
【0014】
用語「アミノ保護基」は、アミノ基の反応性を妨げるために慣習的に用いられる酸又はルイス酸に敏感な置換基を意味する。適切な酸又はルイス酸に敏感なアミノ保護基は、Green T., "Protective Groups in Organic Synthesis", 4thEd. by Wiley Interscience, 2007, Chapter 7, 696 ff. に記載されている。適切なR用のアミノ保護基は、それゆえに、Boc(t−ブトキシカルボニル)、Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、Moz(p−メトキシベンジルカルボニル)、Troc(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)、Teoc(2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル)、Adoc(アダマントキシカルボニル)、ホルミル、アセチル又はシクロブトキシカルボニルから選択することができる。より具体的には、Bocが用いられる。
【0015】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を、特にフッ素、塩素又は臭素を意味する。
【0016】
式(IV)及び(VI)で示される化合物の図形表示において、波線は結合する二重結合を介した、2つの可能な異性体、E−及びZ−の存在を示す。この場合、上記表示は、単一の異性体又はそれらの混合物として、E−又はZ−異性体の両方を意味する。
【0017】
工程a
工程a)は、式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを形成するために、式(II)で示されるオキソアセタートを式(III)で示されるアクリラートと反応させることを必要とする。
【0018】
式(II)で示されるオキソアセタート類及び式(III)で示されるアクリラート類は両方とも、市販されているか当技術分野で知られた方法により合成することができる出発化合物である。
【0019】
2−クロロ−2−オキソ酢酸エチル(X=Cl及びR=エチル)並びに3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(R、R=メチル及びR=エチル)は、出発原料としてとくに有用である。
【0020】
反応は、理想的には触媒量の4−(ジメチルアミノ)−ピリジンと組み合わせたC1−4−トリアルキルアミンから又はピリジンから選択することができる、塩基の存在下で行われる。特に有用なC1−4−トリアルキルアミンは、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンである。
【0021】
一般に、反応は、−20℃と40℃の間の、特に−5℃と30℃の間の反応温度で、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、tert−ブチルメチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン又はそれらの混合物等の非プロトン性有機溶媒中で行われる。
【0022】
式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルは、当業者に知られた方法を用いて反応混合物から単離することができるが、本発明のある特定な実施態様においては、式(IV)で示されるコハク酸エステルは単離されず、即ち合成工程a)及びb)は結合される。
【0023】
工程b)
工程b)は、式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを形成するために、式(IV)で示されるアミノメチレンコハク酸エステルを式(V)で示されるN−保護ヒドラジン誘導体とカップリングさせることを必要とする。
【0024】
式(V)で示されるN−保護ヒドラジン誘導体は、市販されているか又は当技術分野で知られた方法、例えば国際特許公開公報WO2011/140425 若しくは Park et al.による European Journal of Organic Chemistry 2010, pages 3815-3822 に記載された方法、若しくは当業者に知られた類似の方法により合成することができる
【0025】
上記に述べた通り、一度工程a)が完結すると、工程a)の反応生成物を単離することなく工程b)を追加することができる。
【0026】
上記で述べた通りのアミノ保護基Rの定義に従って、式(V)で示される適切な保護ヒドラジン誘導体は、N−Boc−N−メチルヒドラジン、N−Boc−N−エチルヒドラジン、N−Boc−N−n−プロピルヒドラジン、N−Cbz−N−メチルヒドラジン、N−Fmoc−N−メチルヒドラジン、N−Moz−N−メチルヒドラジン、N−Troc−N−メチルヒドラジン、N−Teoc−N−メチルヒドラジン、N−Adoc−N−メチルヒドラジン、N−ホルミル−N−メチルヒドラジン、N−アセチル−N−メチルヒドラジン、N−シクロブトキシカルボニル−N−メチルヒドラジンから選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
特に、N−Boc−N−メチルヒドラジンが用いられる。
【0028】
反応は、−10℃と60℃の間の、特に0℃と40℃の間の反応温度で、2−メチルテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸、又はそれらの混合物等の極性の非プロトン性又はプロトン性有機溶媒中で行うことができる。
【0029】
もしも、工程a)及びb)が結合されるならば、反応は、−10℃と60℃の間の、特に0℃と40℃の間の反応温度で、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、又はそれらの混合物等の極性の非プロトン性有機溶媒中で行うことができる。
【0030】
有利に、リン酸又は酢酸等のアミノ保護基に影響を及ぼすことができない触媒量又は化学量論量の酸を加えることができる。
【0031】
反応混合物は、反応を完結させるために、10℃と50℃の間の、特に15℃と35℃の間の温度で、真空で濃縮することができる。
【0032】
結果として生じる式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルは、反応混合物の濃縮後に結晶の形態で得ることができる。
【0033】
更なる精製は、メタノール等の低級脂肪族アルコール中で結晶残留物を溶解し、そして結晶化させるために水を加えるか、又はtert−ブチルメチルエーテル等の有機溶媒から再結晶化させることにより達成することができる。
【0034】
式(VI):
【化10】

(式中、R及びRはC1−7−アルキルを表し、Rは場合によりハロゲン又はC1−4−アルコキシで置換されたC1−7−アルキルを表し、Rはアミノ保護基を表す)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステル類は、当技術分野において記載されている化合物ではなく、従って、本発明の更なる実施態様となっている。
【0035】
式(VI)で示される具体的なヒドラジノメチレンコハク酸エステル類は、式中、R、R及びRがC1−4−アルキルであり、RがBoc、Fmoc、Cbz、Moz、アセチル又はホルミルから選択されるアミノ保護基であるものである。
【0036】
式(VI)で示されるより具体的な化合物は、以下の置換パターンを含む。
【0037】
【表1】
【0038】
工程c)
工程c)は、式(VIII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを形成するために、酸性条件下で、式(VI)で示されるヒドラジノメチレンコハク酸エステルを閉環することを必要とする。
【0039】
閉環は、通常、0℃と60℃の間の、より具体的には、10℃と50℃の間の反応温度で、酢酸エチル、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸又はそれらの混合物等の極性溶媒中で、無機酸、有機酸又はルイス酸を用いて行われる。
【0040】
適切な無機酸又は有機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸である。適切なルイス酸は、例えば、ヨウ化トリメチルシリルである。通常、塩酸が用いられるが、これは、酢酸エチル等の適切な極性溶媒中で、塩化アセチルの溶液にエタノール等の低級脂肪族アルコールを加えること等により、in situで生成することもできる。
【0041】
式(VII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルは、例えば反応混合物に水を加え、それに続いて酢酸エチル等の適切な溶媒で反応生成物の抽出を行う等の、当業者に知られた方法を適用して、反応混合物から単離することができる。
【0042】
工程d
工程d)は、式(I)で示されるピラゾールカルボン酸誘導体を形成するために、式(VII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを3−位において塩基で加水分解することを必要とする。
【0043】
塩基は、一般に、水酸化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、若しくは−セシウムから選択される水酸化アルカリの又は炭酸水素ナトリウム若しくは−カリウムから選択される炭酸水素アルカリの水溶液である。特に、水酸化リチウムが用いられる。
【0044】
テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、エタノール若しくはメタノール、又はそれらの混合物のような極性の非プロトン性若しくはプロトン性溶媒は、式(VII)で示されるピラゾールジカルボン酸エステルを溶解するために用いることができる。
【0045】
加水分解は、−20℃と80℃の間の、特に−10℃と30℃の間の反応温度で行うことができる。
【0046】
反応の完結後、所望の生成物は、例えばジクロロメタン等の適切な溶媒で予め洗浄した水相を酸性化するなどの当業者に知られた方法を適用することにより、結晶の形態で単離することができる。
【実施例】
【0047】
全般的部分
すべての溶媒及び試剤は、市販の供給源から入手し、そのまま使用した。すべての反応は、TLC(薄層クロマトグラフィー、TLC plates F254, Merck)、LC(液体クロマトグラフィー)又はGC(ガスクロマトグラフィー)分析で追跡した。プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker300、400又は600MHz計器を用いて得られ、化学シフト(δppm)は内部標準としてのテトラメチルシランとの相対値として次の形式で表された:ppmでの化学シフト(ピークの形、該当する場合はカップリング定数、積分)。異性体の混合物の場合、両方のピークが、ppmでのピーク1及びピーク2の化学シフト(ピークの形、該当する場合はカップリング定数、積分、異性体)の形式で表された。NMRの略語は、以下の通りである:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;quint、五重線、sext、六重線;hept、七重線;m、多重線;br、ブロード。純度は、逆相HPLC又はGCで分析した。質量分析スペクトルは、同時に達成される(マルチモード)、ESI(エレクトロスプレーイオン化)及びAPCI(大気圧化学イオン化)用のAgilent 6520 QTOF 分光計、並びにEI(電子イオン化)モード用のAgilent 5975 計器を用いて記録された。正(標準ケース、特段の表記は行わない)又は負(neg.)に帯電したイオンのいずれかが検出された。更に用いられる略語は:IPC、内部プロセス制御;DMAP、4−(ジメチルアミノ)ピリジンである。
【0048】
(実施例1)
2−[1−ジメチルアミノ−メチリデン]−3−オキソ−コハク酸ジエチルエステル
【化11】

2−クロロ−2−オキソ酢酸エチル(99g、725mmol)を2−メチルテトラヒドロフラン(800ml)に溶解し、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(1.25g、10.0mmol)を加えた。混合物を−5℃に冷却し、2−メチルテトラヒドロフラン(70ml)中のトリエチルアミン(76.2g、753mmol)及び(E)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(106g、740mmol)の溶液を滴下ロートにより加えた。混合物を約0℃で3時間攪拌した。その後、5%(m/m)塩化ナトリウム水溶液(250mL)を加え、混合物を真空で濃縮し、2−メチルテトラヒドロフランを除去した。酢酸エチル(800ml)及び5%(m/m)塩化ナトリウム水溶液(250mL)を加え、有機相を5%(m/m)塩化ナトリウム水溶液(4×250mL)で洗浄し、集めた水層を酢酸エチル(2×300mL)で再抽出し、集めた有機抽出物を真空で濃縮した。残留物をシリカゲル(500g、酢酸エチル/n−ヘプタン 3:2(v/v)で溶離)で濾過し、集めた濾液を真空で濃縮し、146gの粗生成物がオレンジ色の油状物として与えられた。粗生成物を室温でtert−ブチルメチルエーテル(1L)中に溶解し、1℃に冷却した。結晶化が約13℃で開始した。懸濁物を濾過し、少量の冷tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、表題化合物116.6gが淡黄色の結晶として与えられた(66%、HPLC純度99.9%)。
MS (GC-スプリット): m/z = 243 [M]+. 1H NMR (CDCl3, 600 MHz); δ 1.26 (t, J= 7.1 Hz, 3H), 1.36 (t, J= 7.1 Hz, 3H), 3.03 (s, 3H), 3.36 (s, 3H), 4.17 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.30 (q, J= 7.1 Hz, 2H), 7.85 (s, 1H)。 生成物は単一の異性体として単離された。
【0049】
(実施例2)
2−(N’−tert−ブトキシカルボニル−N’−メチルヒドラジノメチレン)−3−オキソ−コハク酸ジ−エチルエステル
【化12】

機械的な攪拌機、コンデンサー及び内部温度計を備えた1500mLジャケット制御反応フラスコ中で、2−[1−ジメチルアミノ−メタ−(Z)−イリデン]−3−オキソ−コハク酸ジエチルエステル(73.2g、301mmol)を酢酸エチル(700ml)中に溶解し、溶液を−5℃に冷却した。酢酸エチル(60mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルヒドラジン(61.5g、421mmol)の溶液を45分以内に滴下して加えた。反応混合物を−5℃で30分間攪拌した。次いで、それを真空で100mLの容量まで濃縮し、容量を一定に保ちつつ、溶媒をtert−ブチルメチルエーテル(1.6L)に交換し、結果として濃い懸濁が生じた。更にtert−ブチルメチルエーテル(400mL)を加え、懸濁液を0℃で1時間攪拌し、濾過し、沈殿物を冷tert−ブチルメチルエーテル(200mL)で洗浄した。真空で乾燥(45℃、20mbar)した後、表題化合物を無色の結晶性の固体として得た(93.2g、90%)。
MS (ESI & APCI, neg.): m/z = 343.15 [M - H]-。1H NMR (CDCl3, 600 MHz); δ 1.29 (t, J= 7.1Hz, 3H), 1.37 & 1.37 (2t, J= 7.1 Hz, 3H, 異性体), 1.48 & 1.48 (2s, 9H, 異性体), 3.23 & 3.24 (2s, 3H, 異性体), 4.22 & 4.24 (2q, J= 7.1 Hz, 2H, 異性体), 4.31 & 4.35 (2q, J= 7.1 Hz, 2H, 異性体), 8.07 & 8.12 (2d, J= 10.3 Hz & 11.6 Hz, 1H, 異性体), 11.51 & 11.53 (2br, 1H, 異性体)。単離した生成物は、(E)−及び(Z)−異性体の混合物である。
【0050】
(実施例3)
2−(N’−tert−ブトキシカルボニル−N’−メチルヒドラジノメチレン)−3−オキソ−コハク酸ジエチルエステル(短縮プロセス(telescoped process))
【化13】

プロセスバリアント(Process variant)1
機械的な攪拌機、コンデンサー、内部温度計及び不活性ガスの供給を備えた12Lジャケット制御容器中で、2−クロロ−2−オキソ酢酸エチル(192g、158mL、1.38mol)を、アルゴン下20℃で、2−メチルテトラヒドロフラン(1.34L)中に溶解した。DMAP(2.41g、19.3mmol)を固体として、澄んだ無色の溶液に加えた。混合物を内部温度2℃に冷却した。2−メチルテトラヒドロフラン(960mL)及びトリエチルアミン(154g、212mL、1.51mol)中の(E)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(179g、1.24mol)の溶液を、室温で別のフラスコ中に順次加えることで調製し、内部温度を約2℃(冷却が必要)に保つような速度で2−クロロ−2−オキソ酢酸エチル及びDMAPの溶液に加えた。混合物は濁ってきて、その後濃いどろどろの結晶状となった(まだ攪拌は可能)。2℃で30分間撹拌後、混合物を室温に暖め、濾過し、沈殿物を2−メチルテトラヒドロフラン(2L)で洗浄した。N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルヒドラジン(250g、254mL、1.66mol)を、20℃で、集めた濾液に加え、結果として生じた混合物を1時間攪拌した。その後、反応混合物を真空で濃縮し、オレンジ色の結晶残留物とした。残留物をメタノール中に溶解し(4L、暗赤色溶液)、水(4L)を加えた。生成物は自然に結晶化し、スラリーを室温で一晩攪拌した。混合物を濾過し、結晶性沈殿物を続いて水(8L)及びヘプタン(8L)で洗浄し、50℃、12mbarで一晩乾燥し、所望の生成物352gが白色粉末として与えられた(83%)。M.p. 130.2 - 131.3℃. MS (ESI & APCI, neg.): m/z = 343.15 [M - H]-. 1H NMR (CDCl3, 600 MHz); δ 1.29 (t, J= 7.1 Hz, 3H), 1.37 & 1.37 (2t, J = 7.1 Hz, 3H, 異性体), 1.48 & 1.48 (2s, 9H, 異性体), 3.23 & 3.24 (2s, 3H, 異性体), 4.22 & 4.24 (2q, J = 7.1 Hz, 2H, 異性体), 4.31 & 4.35 (2q, J= 7.1 Hz, 2H, 異性体), 8.07 & 8.12 (2d, J= 10.3 Hz & 11.6 Hz, 1H, 異性体), 11.51 & 11.53 (2br s, 1H, 異性体)。単離した生成物は、(E)−及び(Z)−異性体の混合物である。
【0051】
プロセスバリアント2
温度制御及び真空システムを備えた300L反応器に、(E)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル(10.0kg、69.8mol)、テトラヒドロフラン(80kg)、トリエチルアミン(8.6kg、85.0mol)及びDMAP(0.14kg、1.25mol)を窒素雰囲気下で充填し(charge)、結果として生じた溶液を−5〜0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(9kg)中の2−クロロ−2−オキソ酢酸エチル(11.0kg、80.6mol)の溶液を、内部温度を−5〜0℃に保つような速度で混合物に滴下して加えた(約3時間以内)。次いで、混合物を15〜25℃に暖め、40分間又はIPCが(E)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルの完全な消費を示すまで攪拌した。N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルヒドラジン(13.5kg、85.7mol)を約5分以内に混合物に加えた。溶媒を蒸発により除去し、混合物を約30〜35℃に加熱した。テトラヒドロフランの留出が止まったとき(約4時間後)、蒸発を止めた。得られた半固形物を20〜25℃に冷却した。メタノール(39.6kg)を加え、混合物を10分間攪拌した。水(110kg)を、内部温度15〜25℃で10分以内に加えた。混合物を15〜20℃で2時間攪拌し、濾過し、濾過した沈殿物を続けて水(2×25kg)及びn−ヘプタン(2×16.7kg)で洗浄した。次いで、それを50〜55℃で10時間乾燥し、表題化合物を白色固体として得た(21.0kg、85.0%、HPLC純度99.2%)。単離した生成物は、(E)−及び(Z)−異性体の混合物であり、生成物の同一性は1H NMR及びMSで確認した。
【0052】
(実施例4)
2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸ジエチルエステル
【化14】

プロセスバリアント1
機械的な攪拌機、コンデンサー、内部温度計及び不活性ガスの供給を備えた12Lジャケット制御容器に、アルゴン下20℃で、酢酸エチル(2.21kg、2.45L、25.0mol)を充填した。塩化アセチル(564g、511mL、7.11mol)を加えた(わずかに発熱性、澄んだ無色の溶液)。エタノール(656g、826mL、14.2mol)を、内部温度を20〜25℃に保つような速度で加えた(プロセス制御、強い発熱性、十分な冷却が必要)。酢酸エチル(1.05L)中の(Z)−2−((2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルヒドラジニル)メチレン)−3−オキソコハク酸ジエチル(350g、1.02mol)の懸濁液を、20℃でポンプにより、酢酸エチル/エタノール中の無水塩酸の溶液に加えた。結果として生じた白色の懸濁液は、緑がかった溶液となり、発熱はなかった。混合物を50℃で2時間攪拌した。その後、混合物を20℃に冷却し、水(6L)を加えた(わずかに発熱性、内部温度34℃、素早い相分離)。相分離後、水相を酢酸エチル(2×1L)で抽出した。集めた有機抽出物を乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空で濃縮し(ジャケット温度50℃、10mbar)、粗生成物236gを黄色の油状物として得た(99%、HPLC純度96.8%)。MS (ESI & APCI): m/z = 227.1 [M + H ]+. 1H NMR (CDCl3, 600 MHz); δ 1.34 (t, J= 7.1 Hz, 3H), 1.41 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.02 (s, 3H), 4.30 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.44 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 7.82 (s, 1H)。
【0053】
プロセスバリアント2
温度制御及び真空システムを備えた300L反応器に、エタノール中の塩化水素溶液(58.6kg、定量:38.6%m/m、620mol)を充填し、溶液を約0〜5℃に冷却した。(Z)−2−((2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルヒドラジニル)メチレン)−3−オキソコハク酸ジエチル(58.6kg、171mol)を、0〜15℃で50分以内に、分割して溶液に加えた。次いで、混合物を15〜25℃に暖め、3時間、又はIPCが出発原料の完全な消費を示すまで攪拌した。tert−ブチルメチルエーテル(87.9kg)を混合物に加え、混合物を500L反応器に移した。水(175.8kg)を、内部温度を25℃未満に保つような速度で溶液に加えた。相分離後、水層を1000L反応器に移し、それをtert−ブチルメチルエーテル(2×87.9kg)で抽出した。有機層を500L反応器に集め、続いて水(87.9kg)及び水(87.9kg)中の炭酸水素ナトリウム(4.7kg)の溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム(39.3kg)で乾燥した。混合物を濾過し、濾液を30〜55℃で真空蒸発し、表題化合物が黄色の液体として与えられた(36.7kg、95.3%、HPLC純度99.6%)。生成物の同一性は、1H NMR及びMSで確認した。
【0054】
(実施例5)
2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸4−エチルエステル
【化15】

プロセスバリアント1
温度計の付いた還流コンデンサー、機械的な攪拌機及び不活性ガスの供給を備えた63Lスチール/エナメル容器中で、2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸ジエチルエステル(2.84kg、12.6mol)を、室温で窒素下、テトラヒドロフラン(20.0L)及びエタノール(8.5L)の混合物中に溶解した。混合物を−5℃に冷却し、水(10.0L)中の水酸化リチウム一水和物(0.53kg、12.6mol)の溶液を、−5℃で90分以内に加えた。滴下ロートを水(1.4L)でリンスした。反応混合物を−4℃〜−6℃で95分間攪拌した。その後、−5℃〜0℃で、混合物をジクロロメタン(10.0L)及び水(10.0L)で希釈し、10分間攪拌した。有機層を分離した。水相をジクロロメタン(2×10.0L)で洗浄した。20℃〜25℃で15分以内に、水(2.0L)中の塩酸(2.75kg、定量:25%m/m、18.8mol)を添加することにより、水相をpH<2に酸性化した。結果として生じた結晶懸濁物を22℃で17時間攪拌した。次いで、結晶懸濁物をグラスフィルターロートで濾過した。フィルターケーキを続いて水(7.0L)及びn−ヘプタン(4.0L)で洗浄した。白色の結晶を50℃/<5mbarで70時間真空乾燥し、表題化合物1.99kgが白色結晶として与えられた(80%)。MS (ESI & APCI): m/z = 199.1 [M + H]+. 1H NMR (D6-DMSO, 600 MHz); δ 1.25 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 3.94 (s, 3H), 4.22 (q, J= 7.1 Hz, 2H), 7.85 (s, 1H), 14.18 (br s, 1H)。
【0055】
プロセスバリアント2
温度制御及び真空システムを備えた1000L反応器に、窒素下室温で、2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸ジエチルエステル(36.5kg、161mol)、テトラヒドロフラン(253kg)及びエタノール(20.0L)を充填した。混合物を−10〜−5℃に冷却した。別の300L反応器内で、水(135.8kg)中の水酸化リチウム一水和物(6.47kg、154mol)の溶液を5〜10℃に予備冷却し、内部温度を−10〜−5℃に保つような速度で(約3時間)、1000L反応器に滴下して加えた。混合物を−10〜−5℃で3時間又はIPCが規格(即ち、2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸ジエチルエステル<10%(HLPCによる)及び副生物2−メチル−2H−ピラゾール−3,4−ジカルボン酸<4%(HPLCによる))に合うまで、攪拌した。次いで、ジクロロメタン(190.8kg)及び水(146.8kg)を加え、混合物を20分間攪拌した。有機層を分離し、水相をジクロロメタン(2×190.8kg)で洗浄し、その後、水層をセライトの8cmプラグを通して濾過し、濾液を500L反応器に移した。それを5〜10℃に冷却し、塩酸(18%m/m)を、5〜15℃で50分以内に、pHが1〜2になるまで、滴下して加えた(約30kg)。生成物は徐々に白色固体として結晶化した。懸濁液を25〜30℃で10時間攪拌した。沈殿物を遠心分離し、水(69.4kg)及びn−ヘプタン(2×29kg)で洗浄し、40〜55℃で48時間真空乾燥し、表題化合物が白色固体として与えられた(22.2kg、69.4%、GC純度99.7%)。生成物の同一性は1H NMR及びMSで確認した。