特許第6122134号(P6122134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6122134化粧品組成物及びメラニン合成を抑制するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122134
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】化粧品組成物及びメラニン合成を抑制するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20170417BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170417BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20170417BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/34
   A61K8/67
   A61Q19/02
【請求項の数】28
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-542056(P2015-542056)
(86)(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公表番号】特表2015-537007(P2015-537007A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2014036285
(87)【国際公開番号】WO2014179520
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】61/817,961
(32)【優先日】2013年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオ ティモシー ラフリン ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】トモヒロ ハコザキ
(72)【発明者】
【氏名】シュウヘイ タナカ
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−063140(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/068195(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0206373(US,A1)
【文献】 EMERGING SKIN LIGHTENING INGREDIENTS,FutureDerm,2012年12月27日,[retreaved on 2016-03-23],Retreaved from the Internet:<URL:https://www.futurederm.com/emerging-skin-lightening-ingredients/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンと、
b.ヘキシルデカノールと、
c.ビサボロールと、及び
d.バチルアルコールとを含む、化粧品組成物。
【請求項2】
メラニン合成を減らす方法であって、
a.メラニンを減らすことが必要なケラチン性組織の標的部位を識別するステップと、及び
b.前記ケラチン性組織の前記標的部位に、有効な量の化粧品組成物を局所的に塗布するステップとを含み、該化粧品組成物は、
i.N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンと、
ii.ヘキシルデカノールと、
iii.ビサボロールと、及び
iv.バチルアルコールとを含む、方法。
【請求項3】
前記組成物が、ビタミンB化合物を更に含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記ビタミンB化合物がナイアシンアミドを含む、請求項3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記ナイアシンアミドは、前記化粧品組成物の、11重量%未満の濃度である、請求項4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記ヘキシルデカノールは、前記化粧品組成物の、0.01重量%〜8重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%の濃度である、請求項1および3〜5のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記バチルアルコールは、前記化粧品組成物の、0.03重量%〜5重量%、好ましくは0.03重量%〜2重量%の濃度である、請求項1および3〜6のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記ビサボロールは、前記化粧品組成物の、0.003重量%〜2重量%の濃度である、請求項1および3〜7のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、前記化粧品組成物の、0.01重量%〜2重量%の濃度である、請求項1および3〜8のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記化粧品組成物が、紫外線活性物質を更に含む、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記化粧品組成物が、グリセリンを更に含む、請求項1および3〜10のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記化粧品組成物が、ヒドロキシ桂皮酸、イノシトール、カンゾウ抽出物、グリチルレチン酸、グラブリジン、ビタミンEのコハク酸塩、サリチル酸、カラフトコンブ抽出物、ベンガルボダイジュ抽出物、N−アセチルグルコサミン、及びそれらの組み合わせよりなる群から選択される物質を更に含む、請求項1および3〜11のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記化粧品組成物は、油中水型乳液、水中油型乳液、又はシリコーン中水型乳液の形で提供される、請求項1および3〜12のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
前記化粧品組成物がパッケージで提供され、該パッケージが、前記化粧品組成物を適用するためのレジメンの指示書を更に含む、請求項1および3〜13のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
前記適用のレジメンは、少なくとも毎日1回である、請求項14に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記組成物が、ビタミンB化合物を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記ビタミンB化合物がナイアシンアミドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ナイアシンアミドは、前記化粧品組成物の、11重量%未満の濃度である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヘキシルデカノールは、前記化粧品組成物の、0.01重量%〜8重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%の濃度である、請求項2および16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記バチルアルコールは、前記化粧品組成物の、0.03重量%〜5重量%、好ましくは0.03重量%〜2重量%の濃度である、請求項2および16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ビサボロールは、前記化粧品組成物の、0.003重量%〜2重量%の濃度である、請求項2および16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、前記化粧品組成物の、0.01重量%〜2重量%の濃度である、請求項2および16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記化粧品組成物が、紫外線活性物質を更に含む、請求項2および16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化粧品組成物が、グリセリンを更に含む、請求項2および16〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化粧品組成物が、ヒドロキシ桂皮酸、イノシトール、カンゾウ抽出物、グリチルレチン酸、グラブリジン、ビタミンEのコハク酸塩、サリチル酸、カラフトコンブ抽出物、ベンガルボダイジュ抽出物、N−アセチルグルコサミン、及びそれらの組み合わせよりなる群から選択される物質を更に含む、請求項2および16〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記化粧品組成物は、油中水型乳液、水中油型乳液、又はシリコーン中水型乳液の形で提供される、請求項2および16〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化粧品組成物がパッケージで提供され、該パッケージが、前記化粧品組成物を適用するためのレジメンの指示書を更に含む、請求項2および16〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記適用のレジメンは、少なくとも毎日1回である、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、バチルアルコールと、ビサボロールと、ヘキシルデカノールと、及びウンデシレノイルフェニルアラニンと、を含む化粧品組成物、及び当該組成物に関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者はしばしば、手の届く価格の、安全で、安定的な、そして、常用していると消費者の目に見える肌の美白を実現し得るような、肌の美白化製品を望むことがある。この点に関して、消費者は、肌の色を薄くする及び/又は、肌にできる点状のもの、又はしみを最小にするための肌の美白化製品を望む場合がある。例えば、消費者は、ホルモンの乱れ又は紫外線のような環境ストレス源によってもたらされる肌の色の乱れに対処するために、肌の美白剤を望む場合がある。
【0003】
少なくともいくつかの肌の美白剤は、肌の色が濃くなることに関わる1つ又は複数のステップを標的にして、又は当該ステップに影響を及ぼして作用する。人間の肌の色は、多くのメラニン形成細胞が存在し得る、肌の最も外側の層(すなわち表皮)に部分的に起因する。メラニンすなわち暗い茶色/黒色、又は明るい赤黄色の色素の合成は、チロシナーゼ酵素が関わる複雑なプロセスであり、メラニン形成細胞のメラニン小体内で起こり得る。これらのメラニン小体は、メラニン形成細胞からケラチン生成細胞に運ばれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肌の色素に、特定の個々の成分が及ぼし得る効果については、ある程度の研究がなされてきたが、成分を組み合わせた場合に、その組み合わせが肌の色の見た目に果たし得る役割については、成分の濃度、比率、及び/又は組み合わせの違いが、肌の色素にどう影響し得るかを含めて、それほど研究されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
局所塗布に好適な化粧品組成物が提供される。いくつかの例においては、当該化粧品組成物は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン、ヘキシルデカノール、ビサボロール、及びバチルアルコールを含む。
【0006】
メラニンの合成を減少させるための方法も提供される。いくつかの例においては、当該方法は、メラニンを減らすことが必要なケラチン性組織の標的部位を識別するステップと、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンと、ヘキシルデカノールと、ビサボロールと、バチルアルコールと、を含む、有効な量の化粧品組成物を、前記ケラチン性組織の前記標的部位に局所的に塗布するステップと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
すべてのパーセンテージは、特に他にことわらない限り、組成物の重量を基準にした重量パーセントである。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。全ての数範囲は、より狭い範囲を包含し、表現された上方及び下方範囲の限界値は互換可能であって、明示されていない範囲を更に作成する。有効数字の数は、指示されている量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、約25℃及び周囲条件で行われると理解され、ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%という条件を意味する。
【0008】
「化粧品組成物」とは、哺乳類のケラチン性組織上に局所的に塗布するのに好適な組成物を意味する。
【0009】
「誘導体」は、所与の化学物質の、アミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、及び/又はアルコール誘導体を含むが、それらに限定されない。
【0010】
「有効な量」は、1つ又は複数の生物学的効果をも誘発するのに十分な量を意味する。生物学的効果の非限定的な例としては、肌の色の変化、及び/又は(生体外又は生体内での)メラニン合成の減少のような、メラニン合成の変化が含まれる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「抽出物」は以下の手順で得られ得る成分を意味する:乾燥した植物原料(茎部、樹皮、葉等)の指示された部分を、円すい形ガラス製の濾過浸出器に入れる。指示されたパーセンテージの抽出溶媒を、植物原料1部に対して抽出溶媒2部の重量比で加える。抽出溶媒の指示されたパーセンテージが100%未満の場合、残りの溶媒は水である(例えば、95%のエタノールに5%の水、50%のエタノールに50%の水等)。約16〜24時間、抽出をする。濾過液を回収し、得られる濾過液が、植物の追加的抽出物を実質的に含まなくなるまで、上記のプロセスを繰り返す。濾過液を合わせて、減圧下で蒸発乾燥し、得られた抽出物を、摂氏4度未満で窒素雰囲気下に保管する。
【0012】
「色素沈着過剰」は、本明細書で使用するとき、色素沈着が、隣接する皮膚の区域の色素沈着よりも大きい、皮膚の区域を指す(例えば、色素しみ、加齢しみなど)。
【0013】
「肌の状態を改善する」「肌の状態の改善」は、肌の見た目及び触った感じに、視覚的に及び/又は触覚的に知覚可能な好転、利点をもたらすことを意味する。もたらされ得る効果は、次のうち1つ以上を包含し得るがそれらに限定されない:しわ及び粗く深い線、小じわ、裂け目、こぶ、並びに大きな毛穴の外観を軽減すること;ケラチン性組織を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層、並びに適用可能な場合は、爪及び毛幹のケラチン層を形成して、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を軽減すること)、真皮−表皮界面のよれを増やすこと(乳頭間隆起としても知られる);肌の美白;例えば機能的皮膚エラスチンの損失、損傷、及び/又は不活性化に起因し、その結果として弾力線維症、弛み、変形による皮膚又は毛髪の反跳低下のような症状をもたらす皮膚又は毛髪の弾性損失を防止すること;セルライトの減少;皮膚、毛髪、又は爪の変色、例えば目の下のくま、しみ(例えば、一様でない赤色化、例えば酒さによるもの)、血色の悪さ、色素沈着過剰によって引き起こされる変色、等を改変すること。
【0014】
「ケラチン性組織」とは、皮膚、毛髪、爪、及び角皮を含むが、これらに限定されない哺乳類の最も外側の保護カバーとして配置されるケラチン含有層を指す。
【0015】
「血色の悪さ」は、典型的には皮膚の加齢に伴うタンパク質グリケーション及びリポフスチンの蓄積又は末梢血流の減少などのプロセスにより変色するような(例えば、黄色くなる)皮膚構成成分の減少、損傷、変化及び/又は異常の結果として生じる青白い皮膚状態、及び黄色い皮膚状態などを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「塩」とは、これらに限定されないが、所与の化学物質のナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マンガン、銅、及び/又はマグネシウム塩が挙げられる。
【0017】
「皮膚の老化徴候」としては、ケラチン組織の老化による外面の可視的及び触知的に認知可能な兆候、並びにあらゆるマクロ的又はミクロ的な影響が挙げられるが、これらに限定されない。これらの兆候は、限定するものではないが、しわ及び大きな深いしわ、小じわ、縦じわ、陥没、隆起、大きな毛穴、キメの粗さ又は肌荒れなどの、肌の繊維組織が不連続的になること;肌の弾力が失われること;変色(目の下のクマなど)すること;シミ;皮膚が黄ばむこと;加齢によるシミ及びそばかすのように皮膚の領域に色素が沈着すること;角化症;異常な分化;過剰な角質化;弾力線維症;コラーゲンの分解、並びに角質層、真皮、表皮、血管系(例えば、末梢血管拡張又はクモ状血管)及び皮膚下の(特に皮膚に近接する)組織(例えば、脂肪及び/又は筋肉)におけるその他の組織構造の変化などの進行により表れる。
【0018】
「スキンケア用活性物質」は、肌につけると、肌に利益又は改善をもたらす化学物質を意味する。スキンケア用活性物質は、肌への適用に対してのみでなく、毛髪、爪、及びその他のケラチン性組織に対してもまた有用であると理解すべきである。
【0019】
驚くべきことには、バチルアルコール、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを組み合わせると、相乗的にメラニンの合成を抑制するように作用し得るということがわかった。また、バチルアルコール、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールの相乗的な組み合わせは、ナイアシンアミドのような、その他の既知のスキンケア用活性物質を含んでいてよく、それでもなお相乗効果を発揮するということもわかった。理論に縛られずに言えば、バチルアルコール、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを含む新規の化粧品組成物は、ケラチン性組織に局所的に塗布されると、メラニンの合成を減少させると考えられる。そのような化粧品組成物は、例えば、肌の色のばらつき(例えば、色素沈着過剰)に対処するため、肌の色を美白化するため、老化の兆候を好転させるため、及び/又は肌の状態を改善するために用いられ得る。
【0020】
驚くべきことには、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを組み合わせると、相乗的にメラニンの合成を抑制するように作用し得るということもわかった。理論に縛られずに言えば、メラニン合成の抑制は、表皮のより上層のメラニンのレベルを下げることにつながり得ると考えられる。
【0021】
以下の表1は、本明細書に開示するメラニン合成アッセイを用いて、さまざまな試験条件がメラニンの合成に及ぼす効果を示す。試料1は、0.1%のビサボロール(「Bis」と示す)を含んでいた。試料2は、0.1%のビサボロールと、0.00056%のヘキシルデカノール(「HD」と示す)と、0.00056%のナイアシンアミド(「Nia」と示す)とを含んでいた。試料3は、0.1%のビサボロールと、0.00011%のウンデシレノイルフェニルアラニン(「UP」と示す)と、0.00056%のナイアシンアミドとを含んでいた。試料4は、0.00056%のヘキシルデカノールと、0.00011%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、0.00056%のナイアシンアミドとを含んでいた。試料5は、0.1%のビサボロールと、0.00056%のヘキシルデカノールと、0.00011%のウンデシレノイルフェニルアラニンとを含んでいた。試料6は、0.1%のビサボロールと、0.00056%のヘキシルデカノールと、0.00011%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、0.00056%のナイアシンアミドとを含んでいた。
【0022】
【表1】
【0023】
試料1と試料4とを比べると、ビサボロールは単独では、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせを含んでいた試料4と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らしてはいなかった。試料2と試料4とを比べると、ビサボロール、ヘキシルデカノール、及びナイアシンアミドの組み合わせは、試料4と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らしてはいなかった。試料3と試料4とを比べると、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせは、試料4と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らしていなかった。
【0024】
予想しなかったことに、試料5のように、ビサボロールをウンデシレノイルフェニルアラニン及びヘキシルデカノールと組み合わせると、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせを含んでいた試料4と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らすことが観察された。試料6と試料4とを比べると、試料6のようにナイアシンアミドをビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールの組み合わせに添加すると、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせを含んでいた試料4と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減少させた。これらの予想外の結果が示唆するのは、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを含む化粧品組成物は、ケラチン性組織に局所的に塗布するとメラニンの生成を減らすことができる場合があるということである。これらの結果はまた、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールの相乗的組み合わせは、ナイアシンアミドを含んでよく、それでもなお相乗的効果をもたらし得るということも示唆している。
【0025】
以下の表2は、本明細書に開示するメラニン合成アッセイを用いて、さまざまな他の試験条件がメラニンの合成に及ぼす影響を示す。試料7は、ベクター対照例であり、ジメチルスルホキシドを含んでいた。試料8は、0.03%のバチルアルコール(「Bat」と示す)を含んでいた。試料9は、0.0005%のヘキシルデカノールと、0.0001%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、及び0.0005%のナイアシンアミドとを含んでいた。試料10は、0.03%のバチルアルコールと、0.0005%のヘキシルデカノールと、0.0001%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、及び0.0005%のナイアシンアミドとを含んでいた。試料11は、0.003%のビサボロールと、同ヘキシルデカノールと、0.0001%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、0.0005%のナイアシンアミドとを含んでいた。試料12は、0.03%のバチルアルコールと、0.003%のビサボロールと、0.0005%のヘキシルデカノールと、0.0001%のウンデシレノイルフェニルアラニンと、及び0.0005%のナイアシンアミドとを含んでいた。
【0026】
【表2】
【0027】
試料9と試料7とを比べると、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせを、ベクターのみの対照例と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成に有意な差は見られなかった。試料8と試料9とを比べると、バチルアルコール単独では、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせを含む試料9と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らしてはいなかった。試料10と試料9とを比べると、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドを含む組み合わせにバチルアルコールを加えても、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドを含む試料9と比べて、B16−F1マウス黒色腫細胞からのメラニンの生成を有意に減らしてはいなかった。
【0028】
試料11と試料9とを比べると、ビサボロール、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせは、ビサボロールを含まない試料9と比べて、B16−41マウス黒色腫細胞からのメラニン生成を有意に減少させていた。試料12と試料9とを比べると、バチルアルコール、ビサボロール、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせは、試料9と比べて、B16−41マウス黒色腫細胞からのメラニン生成を有意に減少させていた。興味深いことに、ビサボロール、ヘキシルデカノール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びナイアシンアミドの組み合わせにバチルアルコールを加えることで、B16−41マウス黒色腫細胞からのメラニン生成が有意に減少した(試料12と試料11とを比較せよ)。これらの結果がしさするのは、バチルアルコール、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを含む化粧品組成物は、メラニン合成を抑制又は減少させることができ得るということである。またこれらのデータが示唆しているのは、局所的にケラチン性組織に塗布した場合に、メラニンの生成を更に減少させるために、ナイアシンアミド、ビサボロール、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びヘキシルデカノールを含む化粧品組成物にバチルアルコールを加えてよいということである。
【0029】
化粧品組成物
化粧品組成物は、哺乳類のケラチン性組織、特にヒトの皮膚に塗布することができる。化粧品組成物はさまざまな形をとり得る。例えば、そうした形態の非限定的な例をいくつか挙げると、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、化粧水、スティック、ペンシル、スプレー、エアゾル、軟膏、クレンジング洗剤液およびクレンジング棒状固形物、シャンプー及びヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、髭剃りクリーム、ティッシュ、細片、パッチ、電気駆動パッチ、創傷被覆材及び粘着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔面及び皮膚マスク、化粧品(例えば、ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウ)等が含まれる。
【0030】
化粧品組成物は、バチルアルコールを含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.5重量%のバチルアルコールを含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.03重量%〜約2重量%のバチルアルコールを含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.03重量%〜約1重量%のバチルアルコールを含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.03重量%〜約2重量%のバチルアルコールを含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.03重量%〜約5重量%のバチルアルコールを含み得る。
バチルアルコールは次のような化学式で表され得る:
【0031】
【化1】
【0032】
化粧品組成物は、ビサボロールをも含んでいてもよい。ビサボロールは、香水、シャンプー、石鹸、及び化粧品のような消費者製品に、芳香成分として既に用いられている。ビサボロールは、抗炎症性を有するものともされており、既に、抗炎症性の有効成分として、組成物に含まれている。
【0033】
ビサボロールは、天然由来のもの、又は合成されたものであってよい。また、天然由来及び合成由来のものの混合物を含んでいてよい。ビサボロールは、化粧品組成物に、例えば、そのままの純粋な形で、塩として、抽出物として、または他の任意の形で加えられてよい。ビサボロールは、例えば、「α−ビサボロール」を含み、このα−ビサボロールには、(+)−α−ビサボロール、(−)−α−ビサボロール、(+)−エピ−α−ビサボロール、(−)−エピ−α−ビサボロール、及びそれらの組み合わせを含む。化粧品組成物は、化粧品組成物の、少なくとも0.003重量%のビサボロールを含み得る。化粧品組成物は、化粧品組成物の、約0.003重量%〜約1重量%、約0.1重量%〜約1重量%、約0.003重量%〜約2重量%、約0.1重量%〜約2重量%、又は0.003重量%〜5重量%のビサボロールを含み得る。
【0034】
ビサボロールは、以下のような化学式で表現され得る:
【0035】
【化2】
【0036】
化粧品組成物は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン(すなわちウンデシレノイルフェニルアラニン)も含み得る。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、SEPPIC社により商業的に利用可能であり、Sepiwhite(登録商標)の名前で販売されている。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、N−アシルフェニルアラニン誘導体という大きなクラスに属する物質であり、就寝前に肌のトーンを整えるために局所的に用いる製剤として知られている。化粧品組成物は、化粧品組成物の、少なくとも約0.0001重量%又はそれよりも多くのN−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンを含み得る。化粧品組成物は、化粧品組成物の、約0.0001重量%〜約1重量%、約0.0001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約5重量%、又は約0.01重量%〜約2重量%のN−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンを含み得る。
【0037】
N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、以下のような化学式で表現され得る:
【0038】
【化3】
【0039】
化粧品組成物は、2−ヘキシル−1−デカノール(すなわち「ヘキシルデカノール」)を含み得る。本明細書で説明される化粧品組成物は、そのヘキシルデカノールの濃度が、化粧品組成物の0.0005重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、8重量%、10重量%、又は12重量%より大きくてよく、及び/又は化粧品組成物の20重量%、18重量%、16重量%、15重量%、又は14重量%より小さくてよい。いくつかの例においては、本明細書で説明される化粧品組成物は、そのヘキシルデカノールの濃度が、化粧品組成物の約0.01重量%〜約8重量%、約0.05重量%〜約5重量%、又は約0.01重量%〜約8重量%であってよい。ヘキシルデカノールは、以下のような化学式で表現され得る:
【0040】
【化4】
【0041】
化粧品組成物は、ビタミンB化合物を含み得る。本明細書で使用される場合、ビタミンB化合物は、B1化合物と、B2化合物と、ナイアシンアミドのようなB3化合物と、パンテノール又は「プロ−B5」、パントテン酸、及びパントテニルのようなB5化合物と、ピロキシジン、ピリドキサル、ピリドキサミン、カルニチン、チアミン、及びリボフラビンのようなB6化合物とを含む。いくつかの実施形態においては、ビタミンB化合物は、以下のような化学式で表現されるB3化合物である:
【0042】
【化5】
式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前述のいずれかの塩である。いくつかの例においては、化粧品組成物のビタミンB化合物の濃度は、当該化粧品組成物の0.0005重量%、0.00056重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、又は5重量%より高く、及び/又は11重量%、10重量%、8重量%、又は6重量%未満であり得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、そのビタミンB化合物の濃度が、当該化粧品組成物の約0.0005重量%、0.00056重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、又は5重量%より高く、及び/又は約11重量%、10重量%、8重量%、又は6重量%未満であり得る。
【0043】
ナイアシンアミドを局所的に塗布することは、化粧品によるスキンケア上の多様な利点と関連し得る。これらの利点には、次のものが含まれ得る:i)皮膚内のニコチンアミド補酵素が年齢と共に枯渇しているのを正常化すること、ii)表皮のセラミド合成を増加する方向で調節することと同時に表皮にバリア効果をもたらすこと、iii)紫外線の照射によるダメージに対する保護をもたらすこと、iv)メラニン小体がメラニン形成細胞からケラチン生成細胞に運ばれるのを抑制し(それにより、潜在的には、肌のトーンを整える利益をもたらし)、皮脂の生成を減少させること。ある例においては、それゆえに、加齢/光によりダメージを受けた肌を改善するために、ナイアシンアミドを化粧品組成物に含めることが望ましい。
【0044】
また、化粧品組成物は、1種類又は複数の保湿剤も含み得る。保湿剤のいくつかの非限定的な例としては、ソルビトール、ハチミツ、プロピレングリコール、及びグリセリンが含まれる。例えば、グリセリンは、室温で液体の、水混和性のある、小さな極性のある分子である。内因性のグリセリンは、皮膚水分量の重要な一部分を構成していると考えられ、グリセリンを含有しているコスメティック製品を局所的に塗布することは、バリア機能の改善、ケラチン生成細胞の増殖と関連するバイオマーカーの誘導及び創傷治癒、メラニンレベルの低下、表皮の厚みの増加、及び肌の見た目の全般的改善と関連し得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、1種類又は複数の保湿剤を、化粧品組成物の、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%より高い濃度、及び/又は30重量%、25重量%、又は20重量%未満の濃度で含み得る。いくつかの例においては、化粧品組成物は、1種類又は複数の保湿剤を、化粧品組成物の、約4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%より高い濃度、及び/又は約30重量%、25重量%、又は20重量%未満の濃度で含み得る。
【0045】
化粧品組成物は、ヒドロキシ桂皮酸、イノシトール、カンゾウ抽出物、グリチルレチン酸、グラブリジン、ビタミンEのコハク酸塩、サリチル酸、カラフトコンブ抽出物、ベンガルボダイジュ抽出物、N−アセチルグルコサミン、及びそれらの組み合わせも含み得る。
【0046】
他の成分
既に説明した成分に加えて、本明細書で説明される化粧品組成物は、1種類又は複数の他の成分も含み得る。化粧品組成物に一般に用いられる他の成分(例えば、スキンケア用活性物質)の非限定的な例、スキンケア用活性物質識別する方法、及び/又は化粧品組成物を処方する方法が、米国特許出願公開第2002/0022040号、同2003/0049212号、同2007/0196344号、同2008/0181956号、同2010/00092408号、同2008/0206373号、同2010/0239510号、同2010/0189669号、同2011/0262025号、同2011/0097286号、同2012/0197016号、同2012/0128683号、同2012/0148515号、同2012/0156146号、及び同2013/0022557号、並びに米国特許第5,939,082号、同5,872,112号、同6,492,326号、同6,696,049号、同6,524,598号、同5,972,359号、及び同6,174,533号に記載されている。
【0047】
例えば、化粧品組成物は、約1重量%〜約95重量%の水を含み得る。化粧品組成物は、約1重量%〜約95重量%の1つ以上の油を含んでもよい。化粧品組成物は、約0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%,80%、85%、又は90%〜約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は3%の前記1つ以上の油を含んでもよい。油は、水又は水溶性溶剤に好適ではない物質を可溶化、分散、又は担持するために使用してもよい。好適な油としては、シリコーン、炭化水素、エステル、アミド、エーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。油は室温で流体であり得る。油は、揮発性又は不揮発性であってもよい。「不揮発性」とは、25℃において約0.03kPa(0.2mmHg)以下の蒸気圧を示す物質、及び/又は1気圧で少なくとも約300℃の沸点を有する物質を意味する。「揮発性」とは、物質が20℃において少なくとも約0.03kPa(0.2mmHg)の蒸気圧を示すことを意味する。揮発性油は、重くてベトベトしたフィルムが望ましくない場合に、より軽い感触をもたらすために使用され得る。化粧品組成物が乳液の形態であるとき、油は典型的に、油相と関連付けられる担体である。化粧品組成物は、油中水型乳液、水中油型乳液、又はシリコーン中水型乳液の形であってもよい。
【0048】
好適な油としては揮発性油が挙げられる。当該揮発性油は、摂氏25度での粘度が、約0.5〜5mm2/s(0.5〜5センチストーク)であってよい。揮発性油は、皮膚に塗布した後に化粧品組成物がより急速に乾燥するのを促進するために使用され得る。不揮発性油もまた、化粧品組成物に用いるのに好適である。不揮発性油は、皮膚を軟化させる性質及び保護性のためにしばしば用いられる。
【0049】
好適なシリコーン油としては、ポリシロキサンが挙げられる。ポリシロキサンは、摂氏25度での粘度が、約0.5〜約1,000,000mm2/s(約0.5〜約1,000,000センチストークス)であってよい。このようなポリシロキサンは、以下の一般化学式で表すことができる:
3SiO[R2SiO]xSiR3
(式中、Rは、独立して、水素又はC1〜30直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルキル、フェニル又はアリール、トリアルキルシロキシから選択され;xは、所望の分子量を得るために選択された0〜約10,000の整数である。)Rの非限定的な例は、水素、メチル、及びエチルを含む。市販のポリシロキサンとしては、ジメチコーンとしても既知である、ポリジメチルシロキサンが挙げられ、その例としては、Shin−Etsu社から販売されているDM−Fluidシリーズ、Momentive Performance Materials Inc.から販売されているVicasil(登録商標)シリーズ、及びDow Corning社から販売されるDow Corning(登録商標)200シリーズが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンの具体例としては、Dow Corning(登録商標)200流体(Xiameter(登録商標)PMX−200シリコーン流体としても市販)の粘度が0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500、100,000、及び300,000mm2/s(0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500、100,000、及び300,000センチストークス)のものが挙げられる。
【0050】
好適なジメチコンとしては、以下の化学式で表されるものが含まれる:
3SiO[R2SiO]x[RR’SiO]ySiR3
式中、R及びR’は、それぞれ独立して、水素又はC1〜30直鎖若しくは分岐鎖飽和若しくは不飽和アルキル、アリール若しくはトリアルキルシロキシであり、x及びyは、それぞれ、所望の分子量を得るために選択される1〜1,000,000の整数である。ジメチコンの非制限的例としては、フェニルジメチコン(Botanigenics,Inc.のBotansil(商標)PD−151)、ジフェニルジメチコン(Shin−Etsu社のKF−53及びKF−54)、フェニルトリメチコン(Dow Corning社の556コスメチックグレードフルイド)、又はトリメチルシロキシフェニルジメチコン(Wacker−BelsilのPDM−20、PDM−200、又はPDM−1000)が挙げられる。他の非制限的例としては、少なくともR’が脂肪族アルキル(例えば、C12〜22)であるアルキルジメチコンが挙げられる。好適なアルキルジメチコンは、R’がC16直鎖であり、Rがメチルである、セチルジメチコンである。セチルジメチコンは、2502コスメチック・フルイドとしてDow Corning社から、又はAbil Wax 9801若しくは9814としてEvonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。
【0051】
環状シリコーンは、当該化粧品組成物中で使用することができるシリコーン油の一種である。このようなシリコーンは、次のような一般式を有する:
【0052】
【化6】
(式中、Rは、独立して、水素又はC1〜30直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルキル、フェニル又はアリール、トリアルキルシロキシから選択され、n=3〜8であり、これらの混合物である。)一般的に、nが4、5及び/又は6である、シクロメチコンの混合物が使用される。市販の好適なシクロメチコンとしては、Dow Corning社の、UP−1001 Ultra Pure Fluid(すなわち、n=4)、Dow Corning社の、XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=5)、Dow Corning社の、XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=6)、Dow Corning社の、245流体(すなわち、n=4及び5)、及びDow Corning社の345流体(すなわち、n=4、5及び6)が挙げられる。
【0053】
好適な炭化水素油としては、直鎖、分枝鎖、又は環状アルカン及びアルケンが挙げられる。鎖長は、揮発性等の所望の機能特徴に基づいて選択されてもよい。好適な揮発性炭化水素は、6〜20の炭素原子、又は8〜16の炭素原子を有してもよい。
【0054】
他の好適な油としては、エステルが挙げられる。当該好適なエステルは通常、少なくとも10個の炭素原子を含み得る。これらのエステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、並びにジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。このエステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合など)のような他の相溶性のある官能基を含むか、又はこのヒドロカルビルラジカル自身に共有結合させて有していてよい。エステルの例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、C12〜15安息香酸アルキル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、それらに限定されない。他の好適なエステルは、Personal Care Product Councilの、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第13版(2010年)の「エステル」の機能カテゴリに更に記載されている。化粧品組成物で用いるのに好適な他のエステルとしては、多価アルコールエステル及びグリセリドとして知られているものが挙げられる。
【0055】
他の好適な油としては、アミドが挙げられる。アミドとしては、25℃で液体であり、水に不溶性である、アミド官能基を有する化合物が挙げられる。好適なアミドとしては、N−アセチル−N−ブチルアミノプロピオネート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシナート、及びN,N,−ジエチルトルアミドが挙げられる。他の好適なアミドは、米国特許第6,872,401号に開示されている。
【0056】
他の好適な油としては、エーテルが挙げられる。好適なエーテルとしては、多価アルコールの飽和及び不飽和脂肪エーテル、並びにそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。エーテルの例として挙げられるのは、ポリプロピレングリコールのC4〜20アルキルエーテル、及びジ−C8〜30アルキルエーテルである。これらの物質の好適な例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
化粧品組成物は、乳化剤を含んでいてよい。乳化剤は、化粧品組成物が乳液の形態である時、又は不混和性物質が混合されている場合、特に好適である。化粧品組成物は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、又は1%〜約20%、10%、5%、3%、2%、又は1%の乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、双極性イオン、又は陽イオン性であってよい。乳化剤の非限定的な例を開示したものには、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,2010 Annual Ed.M.C.Publishing Co.発行、がある。他の好適な乳化剤は、Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第13版、(2006年)の「界面活性剤−乳化剤」の機能カテゴリに更に記載されている。
【0058】
好適な乳化剤として、次の種類のエーテル及びエステル、すなわち、ポリグリコールと脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールと脂肪酸のエステル、ポリグリコールと脂肪族アルコールのグリコシル化エーテル、ポリグリコールと脂肪酸のグリコシル化エステル、C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールのエステル、オキシアルキレン改質C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、スクロース又はグルコースを含むC12〜30脂肪族アルコールエーテル、スクロースとC12〜30脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシ化ソルビタンのエーテル、ポリグリコールとコレステロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシ化エーテルのエステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
直鎖又は分枝鎖タイプのシリコーン乳化剤もまた、使用され得る。有用なポリエーテル修飾シリコーンの例としては、Shin−Etsu社からのKF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6015、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038が挙げられる。有用なシリコーン乳化剤のいくつかの例としては、ポリグリセロール化された直鎖又は分枝鎖シロキサン乳化剤があり、それにはShin Etsu社から入手できる、KF−6100、KF−6104、及びKF−6105が含まれる。
【0060】
乳化剤としては、乳化シリコーンエラストマーも挙げられる。好適な乳化シリコーンエラストマーとしては、少なくとも1種類のポリアルキルエーテル又はポリグリセロール化単位が挙げられ得る。利用可能なポリオキシアルキレン化(polyoxyalylenated)乳化性シリコーンエラストマーとしては、KSG−21、KSG−20、KSG−30、KSG−31、KSG−32、KSG−33;KSG−210(ジメチコン中に分散したジメチコン/PEG−10/15架橋ポリマー);KSG−310(PEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー);KSG−320(イソドデカン中に分散したPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー);KSG−330(トリエチルヘキサノイン中に分散したPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー)、KSG−340(PEG−10ラウリルジメチコン架橋ポリマー及びPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー)の名前でShin−Etsu Silicones社から販売されているものが挙げられる。他の乳化性シリコーンエラストマーは、Dow Corning(商標)社により供給されており、例えば、PEG−12ジメチコン架橋ポリマー(DC 9010及び9011)が挙げられる。いくつかの好適なシリコーン乳化剤の他の例がDow Corning社により販売されており、DC9010及びDC9011を含む。国際公開第2004/024798号には、ポリグリセロール化乳化シリコーンエラストマーが開示されている。このようなエラストマーには、Shin−Etsu社のKSGシリーズ、例えば、KSG−710(ジメチコンに分散したジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー)が挙げられ、あるいは、Shin−Etsu社からKSG−810、KSG−820、KSG−830、又はKSG−840として入手可能な、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン等の各種溶媒に分散したラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマーが挙げられる。
【0061】
粘度を増加させるために、化粧品組成物を濃化、凝固、又はそれに固体若しくは結晶構造を提供するために、構造化剤が使用されてもよい。構造化剤は典型的には、溶解性、分散性、及び相溶性に基づきグループ化される。水性又は水構造化剤の例は、高分子剤、天然又は構成ガム、ポリサッカライド等を含むが、それらに限定されない。化粧品組成物は、当該化粧品組成物の約0.0001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、又は1重量%、2%、3%、5%から、約25重量%、20重量%、10重量%、7重量%、5重量%、4重量%、又は2重量%までの1種以上の構造化剤を含んでもよい。
【0062】
ポリサッカライド及びガムは、いくつかの好適な水相増粘剤の例であり得る。ポリマー構造化剤の好適なクラスとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン酸ポリマー、高分子量ポリアルキルグリコール又はポリグリセリン、これらのコポリマー、これらの疎水的に修飾された誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
油性構造化剤の例としては、シリコーン及び有機系材料が挙げられる。油性構造化剤の好適な濃度範囲は、約0.01%、0.05%、0.1% 0.5%、1%、2.5%、5%、又は10%〜約30%、25%、20%、15%、10%、又は5%である。好適な油相構造化剤の例には、シリコーン系、例えば、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、油相の粘度をシリコーンが高めることができるような重合度のある直鎖シリコーンである油相構造化剤が含まれる。シリコーン構造化剤の例としては、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、及びシリコーンワックスが挙げられるが、それらに限定されない。
【0064】
好適なシリコーンエラストマーは、粉末形態であってもよく、又は揮発性若しくは不揮発性シリコーン等の溶剤、又はパラフィン系炭化水素若しくはエステル等のシリコーン相溶性媒体中で分散又は可溶化されてもよい。シリコーンエラストマー粉末の例としては、Shin−Etsu社から入手可能な、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105などの、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン架橋ポリマー、Shin−Etsu社から入手可能な、KSP−200などの、フルオロアルキル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末はフルオロ−シリコーンエラストマーである)、並びにShin−Etsu社から入手可能な、KSP−300などの、フェニル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末は、フェニル置換されたシリコーンエラストマーである);並びにDow Corning社から入手可能な、DC 9506が挙げられる。
【0065】
シリコーンエラストマー分散液の例としては、Dow Corning社から商品名DC9040又はDC9041で市販のもの、Momentive社から商品名SFE 839で市販のもの、又はShin−Etsu Silicones社から商品名KSG−15、16、18で市販のもの等、各種供給元から供給されるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。KSG−15は、INCI名シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。KSG−18は、INCI名ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(及び)ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーを有する。シリコーンエラストマーは、Grant Industries社から、Gransil(商標)として購入することもできる。Shin Etsu社から商品名KSG−41、KSG−42、KSG−43及びKSG−44で供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー等、長鎖アルキル置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。Shin Etsu社から商品名KSG−810、KSG−820、KSG−830、及びKSG−840で供給される、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー等、ポリグリセリン置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。Shin−Etsu社から、商品名KSG−310、KSG−320、KSG−330、及びKSG−340で市販のPEG−15/ラウリルジメチコン架橋ポリマー等、ポリグリコール置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。ポリグリコール置換を有する他の好適なシリコーンエラストマーとしては、Shin−Etsu社のKSG−210、すなわちジメチコン/PEG−10/15クロスポリマーのジメチコン溶液が挙げられる。
【0066】
シリコーンガムを構造化剤として用いることができる。シリコーンガムは、25℃で約500,000〜100,000,000mm2/s(500,000〜100,000,000cst)、約600,000〜20,000,000mm2/s(600,000〜20,000,000cst)、約600,000〜12,000,000mm2/s(約600,000〜12,000,000cst)の範囲の粘度を有する。好適なシリコーンゴムとしては、Wacker−Belsil社から商品名CM3092、Wacker−Belsil 1000、又はWacker−Belsil DM 3096で市販のものが挙げられる。商品名1−1254 Fluid、2−9023 Fluid、及び2−9026 FluidでDow Corning社から入手可能なジメチコノールは、特に好適なシリコーンゴムである。ジメチコノールは、多くの場合、Dow Corning 1401 Fluid、1403 Fluid及び1501 Fluidなどのように、揮発性又は不揮発性シリコーンとの混合物として市販される。
【0067】
構造化剤の他の非限定的な例としては、シリコーンワックスがある。シリコーンワックスは、アルキルシリコーンワックスと称されてもよく、それらは、室温で半固体又は固体であり得る。用語「アルキルシリコーンワックス」は、シロキサンに半固体又は固体特性を付与する置換長鎖アルキル(C16〜30など)を有する、ポリジメチルシロキサンを意味する。このようなシリコーンワックスの例としては、Evonik Goldschmidt GmbHから商品名Abil Wax 9800で購入可能な、あるいはDow Corning社から商品名2503で購入可能なステアリルジメチコンが挙げられる。他の例としては、ビス−ステアリルジメチコン(Gransil Industries社から商品名Gransil A−18で購入可能)、ベヘニルジメチコン又はベヘノキシジメチコンが挙げられる。
【0068】
他の好適な構造化剤としては、ポリアミド及びポリシリコーン−ポリアミドコポリマーが挙げられる。米国特許出願公開第2004/0170586号に記載のポリシリコーン−ポリアミドコポリマーが好適である。
【0069】
他の構造剤は、動物性、植物性、又はミネラルワックス等、1つ以上の天然又は合成ワックスであってもよい。好適なシリコーンワックスは、米国特許第5,413,781号、及び同第5,725,845号に開示されており、更には、アルキルメチルポリシロキサン、C10〜C60アルキルジメチコン、及びこれらの混合物も含まれる。
【0070】
他の構造化剤としては、天然又は合成モンモリロナイト鉱物、シリカ、ケイ酸塩、シリカケイ酸塩、及びアルカリ金属又はこれらのアルカリ土類金属誘導体が挙げられる。
【0071】
化粧品組成物は、1種類又は複数の紫外線活性物質を選択的に含み得る。本明細書で使用するとき、「紫外線活性物質」とは、日焼け止め剤及び物理的日焼け防止剤の両方を包含する。好適な紫外線活性物質は、有機又は無機であってよい。いくつかの好適な紫外線活性物質が、the Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版(2010年)の中の「日焼け止め剤」の機能カテゴリに挙げられている。好適な紫外線活性物質は、米国(例えば、21 CFR part 352、米国官報68 41386、米国官報70 72449又は米国官報71 42405)、欧州(欧州議会規則第1223/2009号;Annex VI)、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド又はカナダにおける規制当局により定義又は提案されているものを含む。いくつかの例においては、化粧品組成物は、化粧品組成物の約0.01重量%〜約20重量%の紫外線活性物質を含み得る。化粧品組成物は、十分な量の1種類又は複数の紫外線活性物質を含んでよく、太陽光線保護指数は少なくとも約15、30、45、又は50となる。SPF試験は、当該技術分野で一般的なものであり、かつ周知のものである。好適なSPF試験は、21 C.F.R.352,Subpart Dに規定されている。
【0072】
いくつかの好適な紫外線活性物質としては、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(すなわち、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン)(PARSOL(登録商標)1789としてDSMから市販)、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及び2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。いくつかの他の好適な紫外線活性物質としては、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCXとしてDSM社より市販)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン(benzonphenone)−3(即ち、オキシベンゾン(oxybeznone))、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシ−プロピル))アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−サリチラート、グリセリル−p−アミノ安息香酸、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチル酸エステル、アントラニル酸メチル、p−ジメチル−アミノ安息香酸又はアミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾオキサゾイン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0073】
特に好適な紫外線活性物質は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ−フェノン、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
いくつかの他の好適な紫外線活性物質としては、4−メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000としてDSM社より又はEusolex 6300としてMerck社より市販)、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(即ち、ビスオクトリゾール、なお、Tinosorb(登録商標)MとしてBASF社より市販)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(即ち、ベモトリジノール、なおTinosorb(登録商標)SとしてBASF社より市販)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム(即ち、ビスジスリゾールジナトリウム、なお、Neo Heliopan(登録商標)APとしてSymrise社より市販)、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T 150としてBASF社より市販)、ドロメトリゾール−トリシロキサン(Mexoryl XLとしてL’Orealより販売)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(即ち、ベンゾフェノン−9、なお、Uvinul(登録商標)DS 49としてBASF社より市販)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul(登録商標)A PlusとしてBASF社より市販)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(即ち、イスコトリジノール、なお、Uvasorb(登録商標)HEBとして3V Sigma社より市販)、ポリシリコーン−15(即ち、DSM社より市販のPARSOL(登録商標)SLX)、及びイソアミルp−メトキシシンナメート(即ち、アミロキサート、なお、Neo Heliopan(登録商標)E 1000としてSymrise社より市販)が挙げられる。
【0075】
化粧品組成物は、一般に、化粧品組成物を製造する技術分野において既知であるもののような従来の方法によって調製される。かかる方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用等を用いて、又はそれらを用いずに、1つ又はそれ以上の工程で、成分を比較的均一な状態になるまで混合する工程を伴う。一般に、乳液は、最初に水相物質を脂肪相物質とは別個に混合し、その後2相を適宜組み合わせて、所望の連続層を得ることにより調製される。化粧品組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性等)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。化粧品組成物は、治療期間の間十分な量の化粧品組成物を保存するように寸法設定されたパッケージ中で提供されてもよい。パッケージの寸法、形状、及びデザインは幅広く様々であり得る。ある特定のパッケージの例は、米国デザイン特許第D570,707号、同第D391,162号、同第D516,436号、同第D535,191号、同第D542,660号、同第D547,193号、同第D547,661号、同第D558,591号、同第D563,221号、米国特許公開第2009/0017080号、同第2007/0205226号、及び同第2007/0040306号に記載されている。
【0076】
メラニン合成アッセイ
B16−F1マウス黒色腫細胞ラインが、メラニン合成を測定するためのアッセイとして用いられ得る。B16−F1細胞は、American Tissue Culture Collection,バージニア州、米国から入手できる。アッセイに使用できる細胞培養液には、500mLのDulbecco改変イーグル培地(DMEM)、50mLのウシ胎児血清(FBS)、及び5mLのペニシリン−ストレプトマイシン液を含みうる。この培地中で培養され、90%を越えるコンフルエンシーに増殖したB16−F1細胞は、メラニンを合成する。いかなる理論によっても縛られずに言えば、メラニン合成は培養液及び/又は高いコンフルエンシーへの増殖により誘導されるストレスにより刺激されると仮定される。DMEM及びFBSはAmerican Tissue culture Collectionから入手でき、ペニシリン−ストレプトマイシン液はInvitrogen,Inc.,カリフォルニア州、米国から入手できる。このアッセイで使用する機器は、Therma Scientific,マサチューセッツ州、米国によるForma Series Model 3110等のCO2インキュベーター、Hauser Scientific,ペンシルバニア州、米国によるBright Lineモデル等の血球計、及びMolecular Devices,カリフォルニア州、米国からのSpectraMax250等の紫外線可視スペクトルプレートリーダーを含む。アッセイのステップは、以下のものを含み得る:
第0日−細胞増殖。細胞培養液を摂氏37度に温め、29mLをT−150フラスコ内に配置する。T−150フラスコにおよそ1×106のB16−F1継代1マウス細胞を加え、摂氏37度、5%のCO2、90%の相対湿度で、約80%のコンフルエンシー迄、3日間インキュベートする。
第3日−96ウェルプレートの開始。第3日にT−150フラスコからの細胞をトリプシン処理し、血球計数器を使用して細胞濃度を測定する。96ウェルプレートを1ウェル当たり2,500細胞、細胞培養液100μLで開始する。プレートを摂氏37度で、5%のCO2、90%の相対湿度で、少なくとも20%〜40%のコンフルエンシー迄、2日間インキュベートする。
第5日−プレートから細胞培養液を除去し、新鮮な培養液(100μL/ウェル)で置き換える。[水又はDSMO]溶媒で希釈した[試験化合物]1μLを添加する。複数の希釈比を試験して用量応答曲線を生成してもよく、好ましくは3つのウェルを各希釈比で処理する。対照は、細胞培養培地、B16−F1細胞と、溶媒(対照#1)とを含むウェル;細胞培養培地と溶媒とを含むウェル(対照#2);並びに、細胞培養培地と、溶媒と、[試験化合物]のバックグラウンド色を制御する必要がある場合には[試験化合物]とを含む任意的なウェル(対照#3)とから構成される。
7日目−メラニン生成を測定する:細胞は集密度が約90%超の状態であるべきである。そうでない場合、このデータ点を使用しない。各ウェルに100μLの0.75%水酸化ナトリウム溶液を加える。UV−Visプレートリーダーを使用して、96ウェルプレートを410nmにて読み取り、[試験化合物]で処理されたウェルと、試験化合物で処理されなかった対照ウェルとの間で、生成されたメラニンの量を光学的に測定する。メラニンが生成されたウェルは、通常、茶色がかって見える。メラニンが殆ど生成されなかったウェルは、通常、透明から薄紫色に見える。メラニン合成阻害の百分率は、以下の式により計算する。
【0077】
【数1】
OD410は、410nmでUV〜可視光スペクトルプレートリーダーによって測定される光学密度である。
【0078】
対照#3が使用される際、メラニン合成阻害率(%)の式は、
【0079】
【数2】
【0080】
一般に上記に概略したアッセイを用いて、下記の表1に示すように、対照細胞と比較して、処理済みB16−F1細胞におけるメラニン合成が阻害された。
【0081】
使用方法
本明細書に開示される化粧品組成物は、1つ又は複数の皮膚表面及び/又は1つ又は複数の哺乳類のケラチン性組織表面に、使用者の毎日のルーティン又はレジメンの一部として塗布されてよい。更に又はあるいは、本明細書における化粧品組成物は、「必要に応じて」方式で用いてよい。いくつかの例においては、有効な量の化粧品組成物が、ケラチン性組織又は皮膚の標的部位に塗布されてよい。いくつかの例においては、化粧品組成物は、適用のレジメンを詳しく説明した説明書とともにパッケージに入れて提供され得る。
【0082】
方法は、ケラチン性組織又は皮膚の標的部位を識別するステップを含み得るが、当該標的部位には、以下のもののうち1種類又は複数のものが、前記化粧品組成物による治療対象として含まれる:加齢によるシミ、色素シミ、肌のトーンのばらつき、及び/又はメラニンを減らすことが必要な部位。前記方法は、また、前記化粧品組成物により、肌の状態を改善するために治療される対象となる皮膚表面を識別するステップも含まれていてよい。当該皮膚表面は、使用者によって識別されてもよく、又は皮膚科医、コスメティシャン、若しくはその他の個人のような第三者によって識別されてもよい。また、異なる個人の組み合わせにより識別されてもよい。識別は、例えば、寸法及び/又は色に基づいて、治療を必要とする皮膚表面の目視検査によって行われてもよい。識別はまた、カスタムメイドの画像化装置、又はSIAscope V(Astron Clinica,Ltd.,英国から入手可能)又はVISIA(登録商標)Complexion Analysisシステム(Canfield Scientific,Inc.,ニュージャージー州フェアフィールドから入手可能)等の市販の画像化装置により行われてもよい。両方の装置は、皮膚の画像を収集し、加齢によるシミを識別することが可能である。また識別は、例えば、ベース部分及び/又は加齢シミの、肌の色の情報を集めることができる色度計又は分光光度計によってなされてもよい。
【0083】
皮膚表面は、顔の皮膚表面、手及び腕の皮膚表面、足及び脚の皮膚表面、並びに頸部及び胸部の皮膚表面(例えば胸元)のような、通常は衣類によって覆われない皮膚表面を含み得る。例えば、治療のために識別された領域は、額、口の周囲、顎、眼窩周囲、鼻及び/又は頬の皮膚表面のような領域を含み得る。他の例においては、化粧品組成物は、任意の顔の肌ケア表面及び/又は当該化粧品組成物によって治療されることが必要であると識別された、任意のその他の皮膚表面に塗布され得る。いくつかの例においては、1種類又は複数のこれらの皮膚表面が、治療を必要としていると識別され得るが、1種類又は複数のこれらの皮膚表面が、前記化粧品組成物で治療されてよい。
【0084】
本方法は、前もって識別されていてもされていなくてもよい皮膚表面に組成物を塗布するステップを含み得る。前記化粧品組成物の適用のためのレジメンが多数存在する。前記化粧品組成物は、必要に応じて塗布してもよく、及び/又は1日当たり、少なくとも1回、2回、又はもっと頻繁に、治療期間中は塗布してもよい。治療期間の非限定的な例としては、約1週間〜約12週間、約4週間〜約12週間、及び/又は約4週間〜約8週間であり得る。他の例では、処理期間は、数ヶ月(すなわち3〜12ヶ月)又は数年間に及びうる。他の例では、化粧品組成物は少なくとも毎日1回、少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の治療期間にわたり塗布される。他の例では、化粧品組成物は毎日2回、少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の治療期間にわたり塗布される。他の例では、化粧品組成物は、少なくとも1つの皮膚表面領域に、少なくとも毎日1回、毎日2回、又は毎日3回、7日間、14日間、21日間、又は、28日間、又はそれより長い期間にわたり塗布され得る。1日に2回塗布される場合、1回目及び2回目の塗布は、少なくとも1〜12時間の間隔が空けられてもよい。化粧品組成物はまた、朝及び/又は就寝前である夜にも塗布され得る。治療期間は、皮膚表面に改善をもたらすのに十分な時間であるべきであるが、そうである必要はない。改善の非限定的な例としては、加齢シミが目に見えて小さくなること、加齢シミの色が薄くなること、(例えば、より明るい色になること)、メラニンレベルが低下すること、及びメラニンの均質性が改善することある。ケラチン性組織、特に顔の皮膚表面に全般的に塗布するにおいて、化粧品組成物の適用量は、塗布当たり(即ち、皮膚表面に対する1回の塗布当たり)約1〜約50μL/cm2であってもよい。
【実施例】
【0085】
本発明の多くの変形が可能であるので、以下の実施例は例示目的のみのために与えられ、本発明の限定として解釈されるべきでない。
【0086】
実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤等の微量物質は除外し得る。そのため、列挙した配合は、列挙した成分及びこのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量物質の選択は、本明細書に記載したように本発明を作るために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。
【0087】
いくつかの化粧品組成物の実施例が以下に提供される。
【0088】
【表3】
【0089】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そうしたより小さい数値限定が恰も明確に本明細書に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての最小数値限定は、このようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、全てのより高い数値限定を含む。本明細書全体を通して記載される全ての数値範囲は、このようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより広い数値範囲内の全てのより狭い数値範囲を含む。
【0090】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0091】
相互参照されるか又は関連するすべての特許又は特許出願、及び本出願に添付される出願データシートに特定されている任意の特許又は特許出願又は特許を含む、本願に引用されるすべての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0092】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。