(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を含む構造化プレミックスは、液体組成物内に構造化網状組織を形成させることにより、液体組成物を構造化する。そのような水性構造化プレミックスは、以前は構造剤を構造剤の融点以上の温度でエマルジョン化し、温度を下げ、構造剤を結晶化させて作製されてきた。理論に束縛されるものではないが、このような方法で作製された構造剤の小さな結晶は、融合して構造化網状組織を形成すると考えられている。網状組織の形成は、組成物の疎水性−親水性バランス、又はイオン強度を変えるような、液体組成物の組成のばらつきによって影響を受けると考えられている。ある種の成分の濃度のばらつきから生じる構造の有効性におけるばらつきを補うために、構造剤をより多く加えて、望ましい最低粘度と構造化のレベルを確保しなければならない。
【0013】
驚くべきことに、プレミックスを高温で維持する追加の製造工程によって、結晶が成長し、長い糸状物質を形成することが発見された。これらの長い糸状物質を含む得られた構造化プレミックスは、特に低剪断における粘度を増加するのにより効果的である。糸状物質は、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を含む細長い構造体であり、原子間力顕微鏡法で測定された際のアスペクト比(幅に対する軸長さの比)が10:1を超えるのが好ましい。また、長い糸状物質は、構造化プレミックスが液体組成物に添加された際に、構造化網状組織をより作りやすく、かつ液体組成物の成分内訳のばらつきに対して影響を受けにくくすると考えられる。ゆえに、長い糸状物質を含む本発明の構造化プレミックスは、液体組成物と混合した後、粘度レベルを高く維持するので、液体組成物を構造化するのに特に有用である。
【0014】
得られた構造化プレミックスは、より高い低剪断粘度を提供するので、構造化プレミックスはまた、香料マイクロカプセルなどの固体微粒子、及び芳香剤液滴、他の油分などの液滴を含む、液体組成物内の懸濁した粒子又は液滴においても効果的である。
【0015】
本発明の構造化プレミックスは、液体組成物を構造化させるのに、より効果的である。したがって、望ましい構造化レベルを供給するために添加する必要がある構造化プレミックスが、より少なくなる。したがって、構造化プレミックスにより液体組成物に導入される水が少なくなる。それゆえ、本発明の構造化プレミックスは、例えば、水溶性フィルムに封入して単位用量物品を形成するための低水分液体組成物に特に好ましい。
【0016】
本明細書で定義されるとき、構成成分を「本質的に含まない」とは、構成成分が、プレミックス、又は組成物それぞれの15重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5%重量未満、更により好ましくは2重量%未満のレベルで存在することを意味する。構成成分を「本質的に含まない」とは、より好ましくは、この構成成分が、対応するプレミックス、又は組成物に全く存在していないことを意味する。
【0017】
本明細書で定義されるとき、「安定した」とは、米国特許公開第2008/0263780 A1号に記載されるFloc Formation Testを用いて測定されるとき、約2週間、好ましくは4週間、より好ましくは少なくとも約1ヶ月間、又は更により好ましくは少なくとも4ヶ月間、25℃に維持されたプレミックスに対して、可視的な相分離が観察されないことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される全ての%、比率及び割合は、特に規定が無い限り、対応するプレミックス、又は組成物の重量%による。平均値は全て、特に明確に断らない限りは、対応するプレミックス、組成物又はその成分の「重量」に基づいて計算したものである。
【0019】
特記しない限り、全ての構成要素、プレミックス、又は組成物の濃度は、当該構成要素、プレミックス、又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成要素又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0020】
全ての測定は、特に指示されない限り、25℃で実施される。
【0021】
水性構造化プレミックス:
本発明の水性構造化プレミックスは、全ての他の成分の重量%を考慮した後の、構造化プレミックスの残部を形成する水分を含む。水分は、好ましくは水性構造化プレミックスの45重量%〜97重量%、より好ましくは55重量%〜93重量%、更により好ましくは65重量%〜87重量%の濃度で存在する。
【0022】
非高分子、結晶質、及びヒドロキシル機能構造剤は、水中内に懸濁される。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル機能構造剤は、結晶化可能なグリセリドを含む。好ましくは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤は、硬化ヒマシ油(一般的に「HCO」と略記される)若しくはその誘導体を含む、又は構成される。
【0023】
本発明の水性構造化プレミックスは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を糸状物質の形態で含む。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤は、好ましくは水性構造化プレミックスの2重量%〜10重量%、より好ましくは3重量%〜8重量%、更により好ましくは4重量%〜6重量%の濃度で存在する。
【0024】
この糸状物質は、幅が10〜50nmであることが好ましい。少なくとも数にして15%の糸状物質が、10μmより長い長さを有する。好ましくは、少なくとも数にして15%の糸状物質が、10μm超、かつ25μm未満の長さを有する。そのような長い糸状物質によって、構造が改善されることがわかっている。そのような長い糸状物質の割合が増加することでまた、水性構造化プレミックスの構造の有効性も増大する。好ましくは少なくとも数にして25%、好ましくは35%の糸状物質が、10μmより長い長さを有する。好ましくは少なくとも数にして25%、好ましくは35%の糸状物質が、10μmより長く、かつ25μm未満の長さを有する。好ましくは少なくとも数にして10%、好ましくは15%、更に好ましくは20%の糸状物質が、14μmより長い長さを有する。好ましくは少なくとも数にして10%、好ましくは15%、更に好ましくは20%の糸状物質が、14μmより長く、かつ25μm未満の長さを有する。糸状物質の長さが長いほど、構造化は効率的に行われ、粘度も付与される。
【0025】
上記のように、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤は、硬化ヒマシ油であることが好ましい。ヒマシ油は、主にリシノール酸を含むが、オレイン酸及びリノール酸も含むトリグリセリド植物油である。水素化の際、これはヒマシワックスになるが、さもなければ水素化ヒマシ油として既知である。水素化ヒマシ油は、ヒマシ油の少なくとも85重量%のリシノール酸を含み得る。好ましくは、水素化ヒマシ油は、グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート(CAS 139−44−6)を含む。好ましい実施形態において、水素化ヒマシ油は、水素化ヒマシ油の少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも95重量%のグリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレートを含む。しかしながら、水素化ヒマシ油組成物は、他の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖エステルも含み得る。好ましい実施形態では、硬化ヒマシ油はASTM D3418、又はISO 11357の方法で測定された場合、45℃〜95℃の範囲にある融点を有する。この硬化ヒマシ油は、低い残留不飽和度を有し得、及びエトキシ化が融点温度を望ましくない程度まで低下させる傾向があるので、一般的にはエトキシ化しない。低い残留不飽和度とは、本明細書において、20以下、好ましくは10以下、より好ましくは3以下のヨウ素価を意味する。当業者であれば、一般に既知の技法を用いたヨウ素価の測定方法を認識するであろう。
【0026】
本発明の水性構造化プレミックスは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の乳化を改善し、得られた液滴を安定化するために、乳化剤として加えられる界面活性剤を含むのが好ましい。添加される際、この界面活性剤は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c)より高い濃度で添加されるのが好ましい。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が水相でこれらのミセルを含有して乳化される際、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の一部がミセルに移動して、ミセルによって安定化される液滴を形成する。界面活性剤は、水性構造化プレミックス中に、水性構造化プレミックスの1%〜45%、好ましくは4%〜37%、より好ましくは9%〜29%の量で存在する。界面活性剤の重量%は、界面活性剤アニオンの重量%を基準として測定されている。すなわち、対イオンを除外している。25重量%を超えて、アニオン性界面活性剤の構造化プレミックスを用いるときには、好ましくは、水に加えて有機溶媒を用いて、その界面活性剤を希薄にする必要がある。
【0027】
洗浄性界面活性剤、すなわち、硬い表面や布地に対して洗浄効果をもたらす界面活性剤が好ましい。例えば、洗浄性界面活性剤は、処理表面や基材から油汚れや泥/粘土汚れを除去することができる。例えば、洗浄性界面活性剤は洗濯サイクルにおいて、布地洗浄効果を提供する。この界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性イオン性界面活性剤を含む群から選択され得る。任意の適した界面活性剤が使用され得るが、アニオン性界面活性剤が好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。pHによって、アニオン性界面活性剤の酸形態、又は塩の形態が使用され得る。しかし、アニオン性界面活性剤が酸の形態で使用され得る際には、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が添加される前に、そのアニオン性界面活性剤が中和されているほうが好ましい。
【0028】
好ましいスルホネート洗浄界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホネート、好ましくはC
10〜13アルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。適したアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖状アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することによって得ることができ、好ましくはそのようにして得られ、適したLABとしては、Sasolより商標名Isochem(登録商標)で供給されているもの、又はPetresaより商標名Petrelab(登録商標)で供給されているものなどの、低級2−フェニルLABが挙げられ、Sasolより商標名Hyblene(登録商標)で供給されているものなどの、高級2−フェニルLABが挙げられる。適したアニオン性洗浄界面活性剤は、DETAL触媒方法によって得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路もまた適する場合がある。
【0029】
好ましいサルフェート洗浄界面活性剤には、アルキルサルフェート、好ましくはC
8〜18アルキルサルフェート、又は主にC
12アルキルサルフェートが含まれる。
【0030】
他の好ましいサルフェート洗浄界面活性剤は、アルキルアルコキシル化サルフェート、好ましくはアルキルエトキシ化サルフェート、好ましくはC
8〜18アルキルアルコキシル化サルフェート、好ましくはC
8〜18アルキルエトキシ化サルフェートであり、好ましくはアルキルアルコキシル化サルフェートは、0.5〜20、好ましくは0.5〜10の平均アルコキシル化度を有し、好ましくはアルキルアルコキシル化サルフェートは、0.5〜10、好ましくは0.5〜7、より好ましくは0.5〜5、及び最も好ましくは0.5〜3の平均エトキシル化度を有するC
8〜18アルキルエトキシ化サルフェートである。
【0031】
アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート及びアルキルベンゼンスルホネートは、直鎖又は分枝鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい。
【0032】
水性構造化プレミックスは、アニオン性界面活性剤に加えて、追加の界面活性剤を含んでいてもよい。特に、水性構造化プレミックスに含まれる追加の界面活性剤として、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。
【0033】
水性構造化プレミックスは、pH調整剤を更に含んでもよい。所望のpHによって、アルカリ性、あるいは酸性化試薬の無機タイプ及び有機タイプを含む、任意の既知のpH調整が使用され得る。
【0034】
pH調整剤は一般的に水性構造化プレミックスに対して0.2%〜20%の濃度で、好ましくは0.25重量%〜10重量%、更に好ましくは0.3重量%〜5.0重量%で存在する。
【0035】
無機アルカリ度源は、これらに限定されないが、水溶性アルカリ金属水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、メタ珪酸塩、及びこれらの混合物;水溶性アルカリ土類金属水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、メタ珪酸塩、及びこれらの混合物;水溶性第13族元素金属水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、メタ珪酸塩、及びこれらの混合物;並びにこれらの混合物を含む。好ましい無機アルカリ度源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びこれらの混合物であり、無機アルカリ度源が水酸化ナトリウムであるのが、最も好ましい。環境上の理由で好ましくないが、ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、及びこれらの混合物を含む水溶性リン酸塩をアルカリ度源として使用し得る。
【0036】
有機アルカリ度源は、これらに限定されないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、及びこれらの混合物を含む。他の有機アルカリ度源は、アルカノールアミン又はアルカノールアミンの混合物である。適したアルカノールアミンは、低級アルカノールモノアルカノールアミン、低級アルカノールジアルカノールアミン、及び低級アルカノールトリアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミンから選択してよい。高級なアルカノールアミンほど、分子量が大きく、本発明の目的には質量効率が低い可能性がある。質量効率の理由から、モノアルカノールアミン及びジアルカノールアミンが、好ましい。モノエタノールアミンは、特に好ましいが、トリエタノールアミンなどの更なるアルカノールアミンが、特定の実施形態では緩衝剤として有用となり得る。本明細書で使用される最も好ましいアルカノールアミンは、モノエタノールアミンである。
【0037】
無機酸性化剤は、これらに限定されないが、HF、HCl、HBr、HI、ホウ酸、リン酸、ホスホン酸、硫酸、スルホン酸、及びこれらの混合物を含む。好ましい無機酸性化剤は、ホウ酸である。
【0038】
有機酸性化剤は、これらに限定されないが、置換並びに置換、分枝、直鎖及び/又は環状C
1〜C
30カルボキシル酸、並びにこれらの混合物を含む。
【0039】
水性構造化プレミックスは、任意選択的にpH緩衝剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、pHは、5〜11、又は6〜9.5、又は7〜9のpH範囲内で維持される。理論に束縛されるものではないが、緩衝剤は、水性構造化プレミックスのpHを安定させて、それによって、HCO構造化剤の任意の潜在的な加水分解を制限すると考えられる。しかし、緩衝剤を使用しない実施例も企図され得、HCOが加水分解を起こすと、若干の12−ヒドロキシステアレートが生成され得るが、HCOに比べて劣るものの、構造化することが可能である。緩衝剤を含有する特定の好ましい実施形態では、pH緩衝剤は、構造化プレミックス中にナトリウムのような一価の無機カチオンを導入しない。好ましい緩衝剤は、ホウ酸のモノエタノールアミン塩である。しかしながら、緩衝剤が意図的に加えたナトリウム、ホウ素、又はリンをいずれも含まない実施形態も考えられる。いくつかの実施形態において、MEAで中和したホウ酸が、水性構造化プレミックスの0重量%〜5重量%、0.5重量%〜3重量%、又は0.75重量%〜1重量%の濃度で存在してもよい。
【0040】
既に述べたように、トリエタノールアミン、及び/又はその他のアミンのようなアルカノールアミンは緩衝剤として使用できる。その場合は、アルカノールアミンは、最初にアニオン性界面活性剤の酸形態を中和する主要構造剤の乳化に十分な量加えられるか、アニオン性界面活性剤があらかじめ他の手段で中和されていなければならない。
【0041】
水性構造化プレミックスは、非アミノ基有機溶媒を含んでもよい。非アミノ基有機溶媒とは、アミノ基を含まない有機溶媒である。好ましい非アミノ官能性有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールを含むグリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましい非アミノ基有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、及びこれらの混合物が挙げられる。極めて好ましいものは、非アミノ基有機溶媒の混合物、特に、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールなどのジオール、及びグリセロールのうちの2つ以上の混合物である。また、プロパンジオールとジエチレングリコールの混合物も好ましい。そのような混合物はメタノール、又はエタノールを含まないほうが好ましい。
【0042】
非アミノ基有機溶媒は室温と常気圧(すなわち21℃、及び1気圧)で液体であり、かつ炭素、水素、及び酸素から構成されることが好ましい。非アミノ基有機溶媒は、構造剤用プレミックスを調製する際に存在してもよいし、又は液体組成物に直接添加されてもよい。
【0043】
水性構造化プレミックスはまた、特に使用前にプレミックスを保管することが想定されている場合は、防腐剤、又は殺生物剤を含んでもよい。
【0044】
水性構造化プレミックスを含む液体組成物:
本発明の水性構造化プレミックスは液体組成物を構造化させるのに有用である。これゆえ、液体組成物は、本発明の水性構造化プレミックスを含んでもよい。本発明の液体組成物は、水性構造化プレミックスを介して導入された、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を典型的に0.01重量%〜2重量%、好ましくは0.03重量%〜1重量%、更に好ましくは0.05重量%〜0.5重量%含む。
【0045】
液体組成物として適したものとして、洗濯洗剤組成物、及びすすぎ添加物を含む、布地処理のための製品、食器洗浄用組成物、床クリーナー、及び便器クリーナーを含む硬質表面クリーナーが挙げられる。本発明の水性構造化プレミックスは、特に液体洗剤組成物に適している。そのような液体洗剤組成物は、認識され得る洗浄効果を提供するのに十分な洗浄性界面活性剤を含む。最も好ましいのは、家庭の洗濯機などで布地を洗浄することができる、液体洗濯洗剤組成物である。
【0046】
本明細書では、「液体組成物」とは、布地又は硬質表面といった基材を濡らして処理することが可能な液体を含む任意の組成物を指す。液体組成物は、固体組成物のように組成物を最初に溶解することを必要とせずとも、分散が容易であり、及び処理される表面を均一に被覆することができる。液体組成物は、25℃で流れ得、及びほぼ水様の粘度を有する組成物を含むが、また「ジェル」組成物も含み、これはゆっくりと流れ、その形状を数秒又は数分も維持する。
【0047】
適した流体組成物は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るものであるが、組成物全体としては、錠剤又は顆粒などの、全体として非液体の製品形態は除外する。液体組成物は、好ましくは0.9〜1.3g/1cm
3、より好ましくは1.00〜1.10g/1cm
3の範囲の密度を有し、これは、任意の固形の添加物は除くが、任意の泡は、存在する場合には含む。
【0048】
好ましくは、液体組成物は、1重量%〜95重量%の水及び/又は非アミノ基有機溶媒、並びにその混合物を含む。濃縮した液体組成物については、組成物は、水及び/又は非アミノ官能性有機溶媒、並びにそれらの混合物を、好ましくは15重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%、最も好ましくは25重量%〜45重量%含む。あるいは、液体組成物は、低水分の液体組成物でもよい。そのような低水分液体組成物は、20重量%未満、好ましくは15重量%、より好ましくは10重量%の水を含んでよい。
【0049】
本発明の液体組成物は2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%の非アミノ基有機溶媒を含んでもよい。
【0050】
液体組成物は、単位用量物品を作製するために、水溶性フィルム内に封入されていてもよい。そのような単位用量物品は、本発明の液体組成物を含み、この液体組成物は低水分液体組成物であり、かつこの液体組成物は水溶性、又は分散性フィルムに封入される。
【0051】
この単位用量物品は、少なくとも1つの内部容積を完全に包囲する水溶性フィルムによって形成される1つの区画を含んでもよく、内部容積は、低水分液体組成物を含む。この単位用量物品は、任意選択的に、更に低水分液体組成物、又は固形組成物を含む追加の区画を含んでもよい。化学的に不適合性の成分を分離するという理由で、又は成分の一部分を初期又は後期に洗濯水に放出させることが望ましい場合に、複数区画の単位容量形態が望ましくあり得る。単位用量物品は、当該技術分野において公知である、任意の方法を用いて作製されてもよい。
【0052】
特に好ましいのは、低水分液体組成物が、液体洗濯洗剤組成物であるような単位用量物品である。
【0053】
適した水溶性パウチ材料は、ポリマー、コポリマー又はその誘導体を含む。好ましいポリマー、コポリマー又はその誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩類、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、澱粉及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン(xanthum)及びカラガム(carragum)等の天然ゴムからなる群から選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0054】
先にも述べたように、本発明の液体組成物は、液体洗剤組成物、より好ましくは液体洗濯洗剤組成物である。液体洗剤組成物は、界面活性剤を含み、洗浄性効果を提供する。本発明の液体洗剤組成物は、1重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、最も好ましくは15重量%〜45重量%の洗浄性界面活性剤を含む。適した洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。アニオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の好ましい重量配分比は、100:0(すなわち非イオン性界面活性剤が存在しない)〜5:95、より好ましくは99:1〜1:4、最も好ましくは5:1〜1.5:1である。
【0055】
本発明の液体洗剤組成物は、1つ以上のアニオン性界面活性剤を、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%含む。好ましいアニオン性界面活性剤は、C11〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩、C10〜C20分枝鎖及びランダムアルキル硫酸塩、C10〜C18アルキルエトキシ硫酸塩、中鎖分枝状アルキル硫酸塩、中鎖分枝状アルキルアルコキシ硫酸塩、1〜5個のエトキシ単位を含むC10〜C18アルキルアルコキシカルボン酸塩、変性アルキルベンゼンスルホン酸塩、C12〜C20メチルエステルスルホン酸塩、C10〜C18アルファオレフィンスルホン酸塩、C6〜C20スルホコハク酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知の各アニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。洗剤組成物は、好ましくは、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又は該酸の水溶性塩の形態等、少なくとも1つのスルホン酸界面活性剤を含む。
【0056】
本発明の洗剤組成物は、1つ以上の非イオン性界面活性剤を、好ましくは最高30重量%、より好ましくは1〜15重量%、最も好ましくは2〜10重量%含む。適した非イオン性界面活性剤としては、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、C6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6〜C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8〜C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic(登録商標)−BASF Corp.)、並びに半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。適した非イオン性界面活性剤の広範な開示を、米国特許第3,929,678号に見出すことができる。
【0057】
液体洗剤組成物は、両性、双性イオン性、カチオン性界面活性剤及びこれらの混合物等の追加の界面活性剤、酵素、酵素安定化剤、両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマー、粘質土洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、汚れ懸濁ポリマー、漂白系、蛍光増白剤、色相染料、微粒子、香料送達系を含む香料及び他の悪臭制御剤、ヒドロトロープ、抑泡剤、布地ケア芳香剤、pH調整剤、移染防止剤、防腐剤、非布地直接染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される従来の洗剤成分を有してもよい。
【0058】
本発明の水性構造化プレミックスは、長い糸状物質を含む水性構造化プレミックスが、改善された低い剪断粘度を提供するので、粒子を安定化させるのに特に効果的である。それゆえ、本発明の水性構造化プレミックスは、粒子を更に含む液体組成物を安定化させるのに特に適している。適した粒子は、マイクロカプセル、油分、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。特に好ましい油分は、液体組成物、又は液体組成物によって処理される基材に香りの効果を提供する香料である。そのような香料が添加される際には、液体組成物の0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.3重量%〜3重量%、より好ましくは0.6重量%〜2重量%の濃度で含まれ得る。
【0059】
一般的に、処理基材に長期間にわたる使用時の効果を提供するために、マイクロカプセルが液体組成物に添加される。マイクロカプセルは、液体組成物の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%、より好ましくは0.15重量%〜0.75重量%の濃度の封入された活性物質で含まれ得る。好ましい実施形態においては、マイクロカプセルは、香料マイクロカプセルであり、封入された有効成分は香料である。そのような香料マイクロカプセルは、例えば、処理基材が擦られるときに、破裂して封入された香料を放出する。
【0060】
マイクロカプセルは典型的に、マイクロカプセルコアと、マイクロカプセルコアを囲むマイクロカプセル壁とを含む。マイクロカプセル壁は、典型的にホルムアルデヒドと、少なくとも他の単量体とを架橋して形成される。本明細書内で使用されている「マイクロカプセル」という用語は、最も広い意味では、マイクロカプセル壁によって封入されたコアを含む。同様に、コアは、香料などの有益剤を含む。
【0061】
マイクロカプセルコアは、任意選択的に希釈剤を含んでもよい。希釈剤とは、封入される有益剤を希釈する材料であり、ゆえに不活性であることが好ましい。すなわち、希釈剤は、製造中又は使用中に、有益剤と反応しない。好ましい希釈剤は、イソプロピルミリステート、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、又はそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0062】
マイクロカプセル、及びそれらの製造方法は次の文献に記載されている:米国特許公開第2003−215417(A1)号、同第2003−216488(A1)号、同第2003−158344(A1)号、同第2003−165692(A1)号、同第2004−071742(A1)号、同第2004−071746(A1)号、同第2004−072719(A1)号、同第2004−072720(A1)号、欧州特許1393706(A1)号、米国特許公開第2003−203829(A1)号、同第2003−195133(A1)号、同第2004−087477(A1)号、同第2004−0106536(A1)号、米国特許第6645479号、同第6200949号、同第4882220号、同第4917920号、同第4514461号、米国再発行特許発明32713号、米国特許第4234627号。
【0063】
封入技術は、ベニータ及びサイモン編、「マイクロカプセル封入:方法及び工業用応用」(マーセルデッカー社、1996年)に開示されている。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂又は尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのホルムアルデヒド系樹脂は、それらが広く普及していること及び経済的な原価のために、香料封入にとって特に魅力的である。
【0064】
このマイクロカプセルは、1μm〜75μmのサイズであることが好ましく、5μm〜30μmのサイズであることがより好ましい。このマイクロカプセルの壁は、0.05μm〜10μmの厚みであることが好ましく、0.05μm〜1μmのサイズであることがより好ましい。一般的には、マイクロカプセルコアは、50重量%〜95重量%の有益剤を含む。
【0065】
構造化プレミックスを作製する工程
本発明の水性構造化プレミックスを作製するには、先行する請求項による、構造化プレミックスを作製する方法を用いてもよく、次の工程:非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を含むエマルジョンを、水中で80℃〜98℃の第1の温度で生成する工程と、25℃〜60℃の第2の温度までエマルジョンを冷却する工程と、エマルジョンを第2の温度に少なくとも2分間維持する工程と、62℃〜75℃の第3の温度までエマルジョンの温度を昇温する工程と、エマルジョンをその第3の温度に少なくとも2分間維持する工程と、を含む。
【0066】
エマルジョンは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の液滴、好ましくは溶解状態の硬化ヒマシ油(HCO)を含む。液滴は、好ましくは0.1μm〜4μm、より好ましくは1μm〜3.5μm、更により好ましくは2μm〜3.5μm、最も好ましくは2.5μm〜3μmの平均直径を有する。平均直径は、乳化が完了した温度で測定されたものである。
【0067】
エマルジョンは、溶解状態の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を含む、又は、から構成される第1の液体と、水を含む第2の液体とを提供することにより調製される。第1の液体は、第2の液体中で乳化される。これは、典型的には、第1の液体と第2の液体とを合わせ、これらを混合装置に通すことで実施される。
【0068】
第2の液体は、好ましくは50重量%〜99重量%、より好ましくは60重量%〜95重量%、最も好ましくは70重量%〜90重量%の水を含む。第2の液体はまた、乳化を促進するために界面活性剤も含んでもよい。好ましい実施形態では、少なくとも第2の液体の1重量%、好ましくは1重量%〜50重量%、より好ましくは5重量%〜40重量%、最も好ましくは10〜30%重量が、界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む群から選択され得る。好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、より好ましくはアルキルベンゼンスルホネート、最も好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。非高分子性、結晶質、ヒドロキシル含有構造剤の液滴が主な水連続相に存在し、かつ主な界面活性剤連続相には存在しないエマルジョンが形成される濃度で、界面活性剤が第2の液体中に存在することは理解すべきである。
【0069】
界面活性剤は、酸形態、又は中和された塩の形態のいずれかで添加されてもよい。第2の液体は、特に界面活性剤が酸形態で添加されるときに、中和剤を含んでもよい。本明細書では、「中和剤」とは、酸性溶液を中和するために使用される物質のことを意味し、例えば、界面活性剤が酸形態で添加されたときに作製されるものである。好ましくは、中和剤は、水酸化ナトリウム、C
1〜C
5エタノールアミン、及びこれらの混合物を含む群から選択される。好ましい中和剤は、C
1〜C
1エタノールアミン、より好ましくはモノエタノールアミンである。
【0070】
第2の液体は防腐剤を含んでもよい。好ましくは、この防腐剤は、抗菌剤である。「Acticide」シリーズの抗菌剤(Thor Chemicals,Cheshire,UKから市販)から選択される1つなどの任意の適した防腐剤が使用され得る。
【0071】
第1の液体と第2の液体を混ぜ合わせて、第1の温度でエマルジョンを形成する。エマルジョンを形成するためには、第1の温度は、80℃〜98℃、好ましくは、85℃〜95℃、より好ましくは87.5℃〜92.5℃であるのがよい。
【0072】
第1の液体の温度は、第2の液体と混合する直前において、好ましくは70℃以上、より好ましくは70℃〜150℃、最も好ましくは75℃〜120℃である。この温度範囲が、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が溶解してエマルジョンが効果的に形成されることを確実にする。しかしながら、高温すぎると、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の変色、又は分解も生じる。
【0073】
第2の液体の温度は、第1の液体と混合する直前において、典型的には80℃〜98℃、好ましくは85℃〜95℃、より好ましいは87.5℃〜92.5である。すなわち、第1の温度と同じ、又はその近傍にある。
【0074】
エマルジョン内の、水に対する非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の比は、1:50〜1:5でもよく、好ましくは1:33〜1:7.5、より好ましいは1:20〜1:10である。言い換えれば、水に対する非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の比は、2つの液体の流れが混ぜ合わされる段階、例えば、混合装置に導入される際において、1:50〜1:5、好ましくは1:33〜1:7.5、より好ましくは1:20〜1:10であり得る。
【0075】
エマルジョン作製の方法は、連続方法又はバッチ方法であってもよい。連続性であるため、運転間のダウンタイムが短縮され、より費用及び時間の効率良い方法をもたらす。「連続方法」とは、本明細書において、装置を通る材料の連続流を意味する。「バッチ方法」とは、本明細書において、方法が別個の異なる工程を経ることを意味する。装置を通る生成物の流れは様々な変換段階が完了したときに中断され、すなわち、材料の流れは不連続的である。
【0076】
理論に束縛されるものではないが、連続方法を使用することは、バッチ方法と比較して、エマルジョン液滴サイズの改善された制御をもたらすと考えられている。その結果、連続方法は典型的に、所望の平均サイズを有する液滴サイズ、すなわち、より幅の狭い液滴サイズのより効率のよい生産性をもたらす。エマルジョンのバッチ生産は、概して、バッチタンク内で発生する混合の度合いにおける固有のばらつきのために、生産される液滴サイズのより大きなばらつきをもたらす。ばらつきは、バッチタンク内の混合パドルの使用法や位置に起因して生じ得る。液がゆっくりと動くゾーン(ゆえに混合の度合いが少なく、より大きな液滴)と、液が早く動くゾーン(ゆえに混合の度合いが大きく、より小さな液滴)の両方が生じる結果となる。当業者であれば、連続方法を可能にするための適切な混合装置の選択方法を認識するであろう。同様に、連続式方法では、冷却工程に送り込む前にバッチタンクで生じ得る、想定より早い段階での冷却を減らすことが可能になる。
【0077】
エマルジョンは、適当な混合装置を使用して調製され得る。この混合装置は、一般的に機械的エネルギーを用いて液体を混合する。適した混合装置は、静的及び動的ミキサー装置を含み得る。動的混合装置の例には、ホモジナイザー、ローターステータ、及び高剪断ミキサーである。混合装置は、必要なエネルギー散逸速度を提供するために直列又は並列に配置された複数の混合装置であり得る。
【0078】
一実施形態において、エマルジョンは、第1及び第2の液体をマイクロチャネル混合装置に通すことによって調製される。マイクロチャネル混合装置は、静的ミキサーの類である。適したマイクロチャネル混合装置は、分割再合流型混合装置、スタガード・ヘリンボーン・ミキサー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましい実施形態において、マイクロチャネル混合装置は、分割再合流型混合装置である。
【0079】
エマルジョンが、1×10
2W/Kg〜1×10
7W/Kg、好ましくは、1×10
3W/Kg〜5×10
6W/Kg、より好ましくは5×10
4W/Kg〜1×10
6W/Kgのエネルギー散逸率を有する高エネルギー分散で成分を混合することにより形成されるのが好ましい。
【0080】
理論に縛られるものではないが、高エネルギー分散は、エマルジョンのサイズを小さくし、後工程での結晶成長の効率を向上させると考えられている。
【0081】
第2の工程では、エマルジョンは25℃〜60℃の、好ましくは30℃〜52℃の、より好ましくは35℃〜47℃の第2の温度まで冷却される。理論に束縛されるものではないが、この冷却工程は非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の結晶性を向上させると考えられている。好ましくは、エマルジョンはできるだけ迅速に冷却されるのがよい。例えば、エマルジョンは第2の温度まで10秒〜15分で、好ましくは5分未満で、より好ましくは2分未満で冷却され得る。
【0082】
エマルジョンは、熱交換装置を通す工程などの任意の方法を使用して第2温度まで冷却されてもよい。適した熱交換装置としては、プレートアンドフレーム式の熱交換器、シェルアンドチューブ式の熱交換器、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0083】
エマルジョンは、2つ以上の熱交換装置を通過してもよい。この場合において、第2及びその後の熱交換装置は、第1の熱交換器に対して、一般的には直列に配置される。そのような熱交換装置の配置は、エマルジョンの冷却プロファイルを制御するために使用され得る。
【0084】
エマルジョンは第2の温度に少なくとも2分間維持される。好ましくは、エマルジョンは第2の温度に2分〜30分の間、好ましくは5分〜20分の間、より好ましくは10分〜15分の間維持される。
【0085】
その後の工程では、エマルジョンの温度は62℃〜75℃、好ましくは65℃〜73℃、より好ましくは69℃〜71℃の第3の温度に上昇される。理論に束縛されるものではないが、この温度において、エマルジョン液滴は細長であり、成長し得、長い糸状物質の水性構造化プレミックスを形成すると考えられる。
【0086】
エマルジョンの温度は、任意の適した手段を使用して第3の温度まで上昇され得る。そのような手段には、1つ以上の熱交換器、熱せられたパイプ、又は熱せられたタンクへの移送が挙げられる。
【0087】
エマルジョンは、本発明の水性構造化プレミックスを形成するために、第3の温度において少なくとも2分間維持される。好ましくは、エマルジョンは2〜30分間の第3の温度に、好ましくは5〜20分間、より好ましくは10〜15分間維持される。
【0088】
本発明の方法は更に水性構造化プレミックスを10℃〜30℃、好ましくは15℃〜24℃の第4の温度に冷却する工程を更に含む。この温度範囲では、糸状物質は、使用前の長期間の保存においても十分安定であり、及びまた、改善された構造化を失うことなく、液体組成物に糸状物質が導入されることができるほど十分に堅牢である。
【0089】
水性構造化プレミックス1つ以上の熱交換器を用いることを含む、任意の適した方法を用いて第4の温度に冷却してもよい。
【0090】
本発明の方法で形成された水性構造化プレミックスは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の球晶をほとんど又は全く含まない。そのような球晶は、構造化すること、及び粘度を提供することにおいて非常に非効率であると考えられている。本発明の方法は、球晶をほとんど又は全く生成しないので、より多くの非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が糸状物質の成長に使用され、それにより、より長い糸状物質が作製されると考えられる。
【0091】
静的ミキサー、及びバッチ工程で一般的に使用されるなどの頭上式ミキサーの使用を含む任意の適した手段は、水性構造化プレミックスを液体組成物に導入するのに使用され得る。
【0092】
好ましくは、水性構造化プレミックスの糸状物質の損傷を最小限にするために、水性構造化プレミックスは、高剪断混合を必要とする成分の導入後に添加される。水性構造化プレミックスが、液体組成物に添加される最後の成分であるのがより好ましい。水性構造化プレミックスは、低剪断混合を用いて液体組成物に導入されるのが好ましい。好ましくは、水性構造化プレミックスは、平均剪断速度1000s
−1未満であり、好ましくは500s
−1未満、より好ましくは200s
−1未満を使用して、液体組成物に導入される。混合における滞留時間は好ましくは20秒未満、より好ましくは5秒未満、更により好ましくは1秒未満である。剪断速度及び滞留時間は、混合装置で使用される手法に従って算出され、通常、製造者によって提供される。例えば、静的ミキサーにおいては、平均剪断速度は、以下の式を用いて算出される。
【0093】
【数1】
(式中、
v
fは、(供給者によって提供された)静的ミキサーの空隙割合であり、
D
パイプは、静的ミキサー要素を含むパイプの内径であり、
v
パイプは、以下の式により算出された、内径D
パイプを有するパイプを通過する流体の平均速度であり:
【0094】
【数2】
Qは、静的ミキサーを通過する液体の容積流量である。
【0095】
静的ミキサーの場合、滞留時間は、以下の式を用いて算出される。
【数3】
(式中、
Lは、静的ミキサーの長さである。
【0096】
方法
A)pH測定:
pHは、取扱説明書に従って検量したジェル充填プローブ(例えばToledoプローブ、部品番号52 000 100)付きのSantarius PT−10P pHメータを用いて、25℃で、未希釈組成物に対して測定される。
【0097】
B)レオロジー
間隔が300μmの標準的な40mmのスチール平行板を有する、TA Instruments製のAR−G2レオメータが、レオロジー測定に用いられる。特に記載の無い限り、全ての測定は、25℃で、定常状態の剪断速度で、取扱説明書に従って行われる。
【0098】
C)糸状物質のサイズ測定法
水性構造化プレミックスは、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて解析される。試料は以下の手順を使用して調製される:片面研磨Siウェハー(<100>,381μm厚み、2nm自然酸化膜、IDB Technologies,UKより入手)を、まず約20×20mmのサイズに割るか、又は切断する。水性構造化プレミックスを綿棒(Johnson & Johnson,UK)を用いて、Siウェハーに多量に塗布する。糊をコーティングされたウェハーを蓋付のポリ(スチレン)製のペトリ皿(40mm直径,10mm高さ、Fisher Scientific,UK)に定置し、通常環境(18℃,40−50% RH)下の空気中に5分間放置する。次にペトリ皿をH
2O(HPLC等級,Sigma−Aldrich,UK)で充填し、試料を浸漬状態で約1時間放置する。この後、SiウェハーをHPLC等級H
2Oに浸漬させた状態のまま、綿棒を使用して、Siウェハー表面から離れて浮き上がってきた糊を取り除く。次に、Siウェハーをペトリ皿から取り出し、HPLC等級H
2Oですすぐ。その後、Siウェハーを35℃のファン・オーブンで10分間乾燥させる。
【0099】
次に、ウェハー表面を以下のようにして画像化する:角錘先端部を有する矩形Siカンチレバー(PPP−NCL,Windsor Scientific,UK)を用いて、間歇コンタクトモード(Intermittent Contact Mode)で、SiウェハーをAFM(NanoWizard II,JPK Instruments)に搭載し、通常環境(18℃,40〜50% RH)下の空気中で画像化する。画像サイズは20μm×20μmとし、ピクセル数は1024×1024に設定し、スキャン速度は0.3Hzに設定する。これは毎秒12μmの先端速度に相当する。
【0100】
得られたAFM画像は、以下のように解析される:ImageJ,version 1.46(National Institute of Health、http://rsb.info.nih.gov/ij/よりダウンロード可能)を用いてAFM画像を開く。「Analyze」メニューにおいて、スケールをマイクロメートルの実画像サイズ、20μm×20μmに設定する。画像縁部に接触しない糸状物質20本をランダムに選択する。ImageJのToolsメニューの「freehand line」機能を用いて、選択された糸状物質をトレースし、長さを測定する(メニュー選択は、「Plugins」/「Analyze」/「Measure and Set Label」/「Length」である)。
【0101】
3セットの測定(試料調製、AFM測定、及び画像解析)を実施し、その結果を平均する。
【0102】
D)エネルギー散逸速度
静的乳化装置を含む連続的方法においては、エネルギー散逸速度は、乳化装置での圧力低下を測定し、この値に流量を乗算し、次に装置のアクティブ体積で除算することによって、求められる。バッチタンク又は高剪断ミキサーなどの外部電源を介して乳化が行われる場合、エネルギー散逸は、以下の式1を用いて求められる(Kowalski,A.J.,2009.,Power consumption of in−line rotor−stator devices.Chem.Eng.Proc.48,581.)。
P
f=P
T+P
F+P
L 式1
式中、P
Tは、液体に対してローターを回転させるのに必要とされる電力であり、P
Fは、液体の流れからの追加の所要電力であり、P
Lは、例えば、軸受、振動、雑音等による電力損失である。
【0103】
E)レオロジー測定
他に特に記載が無い限り、粘度は、角度2°のコーンプレート形状及び206μmギャップを有するAnton Paar MCR 302レオメータ(Anton Paar,Graz,Austria)を使用して測定する。剪断速度は、安定状態に達するまで、0.01s
−1の一定の剪断速度に保たれ、その後粘度を測定する。次に、剪断速度は、各測定が行われる前に、各剪断速度で10秒間待ちながら、0.0224s
−1、0.05s
−1、0.11s
−1、0.25s
−1、0.55s
−1、0.255s
−1、2.8s
−1、6.25s
−1、14s
−1、31.2s
−1、70s
−1で測定される。全ての測定は、20℃で実施する。
【実施例】
【0104】
本発明の水性構造化プレミックスAは、以下の手順に従って、連続方法で調製された:
硬化ヒマシ油を溶解して、90+/−5℃の第1の液体を作製した。第2の液体は、水中の6.7重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、及び3.34重量%モノエタノールアミンを含み、90+/−5℃で調製された。第1の液体は、液体を混合し、11の工程及び0.6mmの内径を含む分割再合流型静的ミキサー(Ehrfeld,Wendelsheim,Germany)に10Kg/hrの流量で通過させて、86℃のエマルジョンを生成する連続方法を介して、4:96の比の第2の液体へと乳化した。得られた平均エマルジョンサイズは、2.88μmであった。
【0105】
1Kg/hrの流体を、3m長のコイル状0.32cm(1/8”)ステンレス製管と、続く、エマルジョンを冷却して41℃の温度に維持するために使用された、水浴に浸された2m長のコイル状0.64cm(1/4”)ステンレス製管とからなる熱交換器に分岐した。次に、流体を、6m長のコイル状0.32cm(1/8”)ステンレス製管と、続く、液体を昇温して71℃の温度に維持するための、水浴に浸された4.6m長のコイル状0.38cm(3/8”)ステンレス製管とからなる第2の熱交換器に通した。次に、プレミックスは20℃の温度に冷却され、保管された。
【0106】
比較例の水性構造化プレミックスBは、以下の手順を使用して、バッチ方法で調製された:
水中の6.7重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、及び3.34重量%モノエタノールアミンからなる液体が、90+/−5℃で調製された。バッチ方法で、粒子化された硬化ヒマシ油をかき混ぜながら、ゆっくりと液体に4:96の比で分散した。溶解すると、硬化ヒマシ油は液中で乳化する。それからエマルジョンを、40℃の温度に到達するまでゆっくりと1℃/分の速度で冷却した。それから水性構造化プレミックスを保存用タンクに移送し、室温になるまで冷却した。
【0107】
得られた水性構造化プレミックス:本発明のプレミックスA、及び比較例プレミックスBはいずれも以下の組成を有した。
【0108】
【表1】
【0109】
しかしながら、製造方法が異なるために、本発明のプレミックスAは、より長い糸状物質をより大きな割合で含む。
【0110】
【表2】
【0111】
以下の組成を有し、本発明の水性構造化プレミックスA、又は比較例水性構造化プレミックスBのいずれかを含む、液体組成物を調製した。
【0112】
【表3】
【0113】
液体組成物のA及びBいずれも、以下の手順を使って調製された。
【0114】
モノエタノールアミンと直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)を水中で正確な比で混合した。937.5mLの混合液を1Lのビーカーに加え、頭上式ミキサーに接続したミキサーのプロペラを、プロペラ頭部の位置がビーカーの250mLの印と同等の深さになるように、混合液に挿入した。
【0115】
7mLのプラスチックパスツールピペットの先端部を1mLの印の位置で取り除き、同じくピペットの端部をまた、開口部直径が5mLとなるように取り除いた。改造したピペット先端部を50mLプラスチック注射器の端部に締結した。次に、この注射器を水性構造化プレミックスで充填した。62.5mLの水性構造化プレミックスをビーカーに添加するために、十分な注射器が準備された。
【0116】
次に、頭上式ミキサーを起動し、得られた渦が、プロペラには近接するが、プロペラより上方の、空気が渦の中に入り込まないような十分な高さになるまで、速度を上げた。その後、62.5mLの水性構造化プレミックスを75秒かけて添加し、攪拌を更に15秒継続して、水性構造化プレミックスを適切に処理組成物に導入した。
【0117】
本発明の水性構造化プレミックスを含む処理組成物A、及び比較例水性構造化プレミックスを含む処理組成物Bについて、得られた低剪断粘度(0.01s
−1で測定)は以下の通りである。
【0118】
【表4】
【0119】
以下は、本明細書に記載された方法を用いて作製され得る、本発明の水性構造化プレミックスの非限定的例である。
【0120】
【表5】
【0121】
本発明による水性構造化プレミックスを、以下に記述するような構造化された処理組成物を作製するために、構造化されていない処理組成物に添加してもよい。
【0122】
【表6】
1 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の重量%は、プレミックスを介して組成物に加えられたものの重量%を含む。
2 −NH当たり20個のエトキシレート基を備えた、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。
3 PEG−PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリ酢酸ビニル側鎖とを有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000で、ポリエチレンオキシドとポリ酢酸ビニルの重量比は、約40対60であり、50エチレンオキシド単位当たり1グラフト点を超えない。
4 本発明による水性構造化プレミックスからの。
【0123】
あるいは、本発明による水性構造化プレミックスは、低水分非構造化処理組成物に添加され、以下に記載のような構造化された低水分処理組成物を生成し得る。
【0124】
【表7】
【0125】
得られた低水分処理組成物を水溶性フィルム中に封入して、水溶性単位用量物品を作製し得る。
【0126】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。