(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122145
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの動作方法及び複数の動作モードを有するディーゼルエンジン装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20170417BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20170417BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
F02D45/00 320A
F01N3/08 H
F02D45/00 370Z
F02D45/00 301A
F02D45/00 301E
F02D45/00 301Z
F02D43/00 301Z
F02D43/00 301J
F02D43/00 301R
F02D43/00 301K
F02D43/00 301N
F02D45/00 364M
F02D45/00 374Z
F02D45/00 376H
F02D45/00 364Z
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-549344(P2015-549344)
(86)(22)【出願日】2012年12月23日
(65)【公表番号】特表2016-502029(P2016-502029A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2012071547
(87)【国際公開番号】WO2014098916
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】508205718
【氏名又は名称】マック トラックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(72)【発明者】
【氏名】ベリ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】モーリス,ヒース
(72)【発明者】
【氏名】ダール,ユーアン
【審査官】
山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−293172(JP,A)
【文献】
特開2006−170057(JP,A)
【文献】
米国特許第07906862(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0162350(US,A1)
【文献】
特開2009−287578(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/098916(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
F01N 3/08
F02D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を有する排気後処理システム(EATS)を備えるディーゼルエンジンの動作方法において、前記エンジンは、複数のシステム及び部品を備え、前記複数のシステム及び部品の少なくとも一部は、前記エンジンの1つ以上の基礎アクチュエータの1つ以上の制御セットポイントに設定されるように構成される方法であって、
複数のエンジン動作モードを規定する工程において、前記動作モードの夫々は、少なくとも1つの制御セットポイントについてその他の任意の動作モードと異なる工程と、
前記動作モードの夫々について、燃料経済性に対して前記EATSから排出されるNOXレベルをマッピングする工程と、
前記EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、前記複数の動作モードから1つを選択する工程と、
前記選択された動作モードで前記エンジンを動作させる工程と、
前記マッピング工程は、前記動作モードの夫々について、異なるエンジン速度及び負荷で費やす時間の記録、ならびに、前記記録されたエンジン速度及び負荷での燃料経済性及びNOXレベルの記録を行う工程と、
選択したエンジン動作モードでの動作中にNOXレベルが前記所定のNOXレベルに近づくと、所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、燃費効率の良い別のエンジン動作モードを選択する工程、とをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マッピング工程は、前記動作モードの夫々について、異なるエンジン速度及び負荷で費やす時間の記録を更新する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マッピング工程は、前記動作モードの夫々について、前記異なるエンジン速度及び負荷での燃料経済性及びNOXレベルの記録を更新する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動作モードの夫々について、前記エンジンは、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成され、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、前記選択された動作モードにおいて前記高NOXモードと前記低NOXモードとの間の範囲の少なくとも一部に沿って補間する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エンジンが、前記選択された動作モードにおいて、排気NOXレベルが前記所定のNOXレベルかそれ以下になる地点を超えないところまで前記高NOXモードに向かって補間するように、1つ以上の動作エンジンパラメータを調整する工程をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記選択された動作モードでの動作中に前記エンジンが前記高NOXモードに向かって補間するように1つ以上の動作エンジンパラメータを調整する工程と、NOXレベルが前記所定のNOXレベルに到達するかそれ以前に、前記EATSから排出される排気が前記所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、前記最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、前記複数の動作モードから1つの異なるエンジン動作モードを選択する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ディーゼルエンジンは、シリンダ吸気弁と、シリンダ排気弁と、燃料噴射弁と、燃料ポンプと、圧縮機と、タービンと、ターボ過給機と、吸気絞り弁と、給気冷却器と、排ガス再循環弁を有する排ガス再循環ラインとのうちの1つ以上を備え、前記制御セットポイントは、シリンダ吸気弁開弁タイミングと、シリンダ排気弁開弁タイミングと、燃料噴射弁開弁タイミングと、燃料ポンプ圧力と、圧縮機給気圧と、タービン背圧と、吸気絞り弁位置と、燃焼室温度と、排ガス再循環弁位置とのうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マッピング工程は、前記EATSを通る排気質量又は体積流量、前記EATSから排出されるNOXレベル、及び前記EATSにおける温度を決定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記EATSにおける温度は、選択触媒還元(SCR)触媒の温度を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
トリガイベントの発生後に前記選択工程及び前記動作工程を繰り返す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記トリガイベントは、所定時間の経過を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動作モードの夫々について、燃料経済性に対する前記EATSから排出されるNOXレベルのマップを少なくとも周期的に更新する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記動作モードの夫々について、前記マップを継続的に更新する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を有する排気後処理システム(EATS)を備えるディーゼルエンジンの動作方法において、
前記エンジンの複数の基礎アクチュエータの第1の一連の制御セットポイントを使用する第1モードで前記エンジンを動作させる工程と、
前記複数の基礎アクチュエータの第2の一連の制御セットポイントを使用する第2モードで前記エンジンを動作させる工程において、前記第1及び第2の一連の制御セットポイントの少なくとも1つが互いに異なる工程と、
前記第1及び第2モードにおいて、複数のエンジン速度及び負荷について、前記EATSを通る排気質量又は体積流量、前記EATSから排出されるNOXレベル、及び前記EATSにおける温度を前記エンジンに対して追跡をする工程と、
一定のエンジン速度及び負荷について、前記EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、前記第1及び第2モードの1つが選択される工程と、を含む方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の動作モードの夫々について、前記エンジンは、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成され、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、前記選択された動作モードにおいて前記高NOXモードと前記低NOXモードとの間の範囲の少なくとも一部に沿って補間する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記選択された動作モードでの動作中に前記エンジンが前記高NOXモードに向かって補間するように1つ以上の動作エンジンパラメータを調整する工程と、NOXレベルが前記所定のNOXレベルに到達するかそれ以前に、前記EATSから排出される排気が前記所定のNOXレベル以上のNOXを含まないように、別のエンジン動作モードを選択する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
排気後処理システム(EATS)を有するディーゼルエンジンと、
前記EATSから排出されるNOXレベルを検出するように配置されるNOXセンサと、
前記NOXセンサから信号を受信するように配置される制御部と、を備え、
前記制御部は、複数のエンジン動作モードについて、燃料経済性に対する前記EATSから排出されるNOXレベルのマップを含み、前記エンジン動作モードの夫々は、前記エンジンの少なくとも1つの基礎アクチュエータについて、その他の任意のエンジン動作モードと異なり、前記制御部は、プログラム化されており、それにより、前記複数の動作モードの1つを選択し、一定のエンジン速度及び負荷について、前記EATSから排出される排気が所定NOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、前記選択された動作モードで前記エンジンを動作させ、
前記動作モードの夫々について、前記エンジンは、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成され、前記制御部は、前記エンジンが、前記選択された動作モードにおいて、排気NOXレベルが前記所定のNOXレベルかそれ以下になる地点を超えないところまで前記高NOXモードに向かって補間可能なように、プログラム化されていることを特徴とするディーゼルエンジン装置。
【請求項18】
前記ディーゼルエンジンは、シリンダ吸気弁と、シリンダ排気弁と、燃料噴射弁と、燃料ポンプと、圧縮機と、タービンと、ターボ過給機と、吸気絞り弁と、給気冷却器と、排ガス再循環弁を有する排ガス再循環ラインとのうちの1つ以上を備え、制御セットポイントは、シリンダ吸気弁開弁タイミングと、シリンダ排気弁開弁タイミングと、燃料噴射弁開弁タイミングと、燃料ポンプ圧力と、圧縮機給気圧と、タービン背圧と、吸気絞り弁位置と、燃焼室温度と、排ガス再循環弁位置とのうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項17に記載のディーゼルエンジン装置。
【請求項19】
前記制御部がプログラム化されており、それにより、前記選択された動作モードでの動作中に前記エンジンが前記高NOXモードに向かって補間するように1つ以上の動作エンジンパラメータを調整するときに、NOXレベルが前記所定のNOXレベルに到達するかそれ以前においては、前記EATSから排出される排気が前記所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、前記最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、前記複数の動作モードから異なるエンジン動作モードが選択されることを特徴とする請求項17に記載のディーゼルエンジン装置。
【請求項20】
前記制御部は、トリガイベントの発生後、動作モードの選択、ならびに、前記動作モードでの動作を行うように、プログラム化されていることを特徴とする請求項17に記載のディーゼルエンジン装置。
【請求項21】
前記トリガイベントは、所定時間の経過を含むことを特徴とする請求項20に記載のディーゼルエンジン装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記動作モードの夫々について、燃料経済性に対する前記EATSから排出されるNOXレベルのマップを少なくとも周期的に更新するように、プログラム化されていることを特徴とする請求項17に記載のディーゼルエンジン装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記動作モードの夫々について、前記マップを継続的に更新するように、プログラム化されていることを特徴とする請求項22に記載のディーゼルエンジン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ディーゼルエンジンの動作方法、ならびに、ディーゼルエンジン装置に関し、特に、複数の動作モードを伴う当該方法及び当該ディーゼルエンジン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、多くの場合において、基礎エンジンアクチュエータの1つ以上の異なるセットポイントについて互いに異なる複数の個別の動作モードで動作する。例えば、ある動作モードにおいて、EGRラインを含むエンジン装置は、EGR弁が開くセットポイントを有する一方、別の動作モードにおいては、EGR弁は閉じていてもよい。
【0003】
いくつかのエンジンは、特定の方法で異なる動作モードについて設定される種々の異なる基礎アクチュエータを有するように制御されている。例えば、基礎アクチュエータのある設定においては、「燃料節約モード」が規定されてもよく、燃料節約モードは、例えばエンジン装置から出力されるNOXレベルに関わらず燃料を節約することを目的とする。基礎アクチュエータの別の設定においては、「低熱モード」が規定されてもよく、低熱モードは、特定のエンジン温度又は特定の温度の排気を生じることを目的とする。基礎アクチュエータのさらに別の設定においては、「高熱モード」が規定されてもよく、高熱モードは、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)の能動再生等のために、低熱モードより高いエンジン又は排気温度を生じることを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの国における大気質規制によって、現在、例えば車両からの窒素酸化物(NOX)等の各種放出物が制限されている。各種排気後処理システム及び部品は、これらの要件を満たすように開発されている。当該要件を満たすために、通常、一定の動作条件下において放出制限が満たされているか否かが着目される。本願発明者が認識したところでは、放出制限を満たす一組の基礎アクチュエータ制御セットポイントでの動作に対する、放出制限を満たす別の一組の基礎アクチュエータ制御セットポイントでの動作の相対的な燃料経済性について実質的に考慮されていない。また、本願発明者がさらに認識したところでは、より良好な燃料経済性を得るために、放出制限を満たすモードで現状動作していても、当該動作モードから別の動作モードに切り替えることが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を有する排気後処理システム(EATS)を備えるディーゼルエンジンの動作方法において、エンジンは、複数のシステム及び部品を備え、複数のシステム及び部品の少なくとも一部は、エンジンの1つ以上の基礎アクチュエータの1つ以上の制御セットポイントに設定されるように構成される方法を提供する。当該方法は、複数のエンジン動作モードを規定する工程において、動作モードの夫々は、少なくとも1つの制御セットポイントについてその他の任意の動作モードと異なる工程と、動作モードの夫々について、燃料経済性に対してEATSから排出されるNOXレベルをマッピングする工程と、EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、複数の動作モードから1つを選択する工程と、選択された動作モードでエンジンを動作させる工程と、を含む。
【0006】
本発明の別の態様によれば、排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を有する排気後処理システム(EATS)を備えるディーゼルエンジンの動作方法を提供する。当該方法は、エンジンの複数の基礎アクチュエータの第1の一連の制御セットポイントを使用する第1モードでエンジンを動作させる工程と、複数の基礎アクチュエータの第2の一連の制御セットポイントを使用する第2モードでエンジンを動作させる工程において、第1及び第2の一連の制御セットポイントの少なくとも1つが互いに異なる工程と、第1及び第2モードにおいて、複数のエンジン速度及び負荷について、EATSを通る排気質量又は体積流量、EATSから排出されるNOXレベル、及びEATSにおける温度をエンジンに対して追跡をする工程と、一定のエンジン速度及び負荷について、EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、第1及び第2モードの1つが選択される工程と、を含む。
【0007】
本発明のさらに別の態様によれば、ディーゼルエンジン装置は、排気後処理システム(EATS)を有するディーゼルエンジンと、EATSから排出されるNOXレベルを検出するように配置されるNOXセンサと、NOXセンサから信号を受信するように配置される制御部と、を備え、制御部は、複数のエンジン動作モードについて、燃料経済性に対するEATSから排出されるNOXレベルのマップを含み、エンジン動作モードの夫々は、エンジンの少なくとも1つの基礎アクチュエータについて、その他の任意のエンジン動作モードと異なり、制御部は、プログラム化されており、それにより、複数の動作モードの1つを選択し、一定のエンジン速度及び負荷について、EATSから排出される排気が所定NOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、選択された動作モードでエンジンを動作させる。
【0008】
本発明の作用効果は、図面を参照して以下の詳細な説明を解釈することによって十分に理解され、図面において、同様の符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係るエンジン装置の概略図である。
【
図2】例示的エンジンが特定のエンジン負荷及び速度で費やした時間の割合の記録を示すグラフである。
【
図3】本発明の一態様に係る、燃費とシステム放出NOXレベルとの関係をエンジンについて示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一態様に係るディーゼルエンジン装置21を示す。ディーゼルエンジン装置21は、排気後処理システム(EATS)25を有するディーゼルエンジン23を含む。NOXセンサ27は、EATS25から排出するNOXレベルを検出するように配置される。ディーゼルエンジン装置21は、特に、トラック等の車両における使用に有用であるが、その他の種々の用途にも使用可能である。
【0011】
ディーゼルエンジン装置21は、エンジン23の上流側において圧縮機29を含み得る。圧縮機29は、通常、周囲空気を圧縮する。圧縮機29は、ターボ過給機33の一部として、タービン31に結合可能である。エンジン装置21は、さらに、エンジンの上流側且つ圧縮機の下流側に設けられる給気冷却器(CAC)35と、エンジンの上流側且つ給気冷却器の下流側に設けられる絞り弁37と、シリンダ40用のエンジンシリンダ吸気弁39と、シリンダ排気弁41と、燃料噴射弁43と、燃料ポンプ45と、排ガス再循環(EGR)弁49を有する排ガス再循環(EGR)ライン47と、を含み得る。EGRライン47は、通常、エンジン23の下流側且つタービン31の上流側の地点からエンジンの上流側の地点まで至る。冷却器51は、EGRライン47においてEGR弁49とエンジンの上流側の地点との間に設けられてもよい。また、冷却器51におけるEGRガスの冷却を望まない場合には、バイパスライン53は、EGR弁49とエンジン23の上流側の地点との間に接続されてもよい。
【0012】
エンジン21は、ここにおいてエンジンの基礎アクチュエータと称される1つ以上の制御セットポイントを変更することによって、異なる複数の動作モードで動作可能である。基礎アクチュエータは、異なる速度及び負荷でのエンジンの動作に影響を及ぼすエンジンの部品として定義されるものとする。例えば、圧縮機29(及びターボ過給機33の対応するタービン31)のセットポイントは、エンジン吸気圧を変えるように変更され、CAC35のセットポイントは、例えばCACをバイパスすることによって、燃焼室温度を変えるように変更され、吸気絞り弁37のセットポイントは、エンジン吸気量及びエンジン吸気圧を変えるように変更され、シリンダ吸気弁39及び/又はシリンダ排気弁41のセットポイントは、当該弁の開弁のタイミングを早めるか遅くすることによって変更され、燃料噴射弁43のセットポイントは、当該弁の開弁のタイミングを早めるか遅くすることによって変更され、燃料ポンプ45のセットポイントは、圧力を増減させることによって変更され、タービン33のセットポイントは、タービン背圧を増減させることによって変更され、EGR弁49のセットポイントは、当該バルブを完全に開閉するか、部分的に開閉することによって変更可能である。上記は、単に基礎エンジンアクチュエータ及びセットポイントの変更方法を説明するためのものであることに留意されたい。多くのエンジンコンセプトにおいては、より多数の基礎アクチュエータ、より少数の基礎アクチュエータ、又は異なる基礎アクチュエータが含まれていてもよく、多くの基礎アクチュエータは、上述以外の方法でも変更可能なセットポイントを有していてもよい。異なる種類のエンジンコンセプトについては、例えば、ターボコンパウンド装置を含むエンジン装置、EGRを有さないエンジン装置、可変ジオメトリータービンと、多数のターボ過給機と、多段ターボ過給機と、ツインターボとを含むエンジン装置、EGRを有する可変ジオメトリータービンと、EGRを有する固定ジオメトリータービンと、2サイクルエンジンと、4サイクルエンジンとを含むエンジン装置、を含むが、これに限定されるものではない。
【0013】
ディーゼルエンジン装置21のEATS25は、通常、複数の排気後処理装置を含み、当該排気後処理装置は、例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC)55と、通常DOCの上流側において燃料を導入する噴射器57と、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)59と、選択触媒還元触媒(SCR)61と、SCRの上流側において還元剤を注入する還元剤噴射器63と、リーンNOXトラップ65と、を含む。上記は、単にEATS25の通常の部品を説明するためのものである。EATS25は、必ずしも説明した全ての部品を含まなくてもよく、付加的な排気後処理部品又は異なる排気後処理部品を含み得る。
【0014】
制御部67は、NOXセンサ27等のセンサ、その他の基礎アクチュエータ及びEATS25の部品の全て又は一部、ならびに、エンジン装置又はそれより大型のシステムの一部を構成するその他の部品からの信号を受信するように配置され、当該大型のシステムは、例えばエンジン装置が設けられる車両等、エンジン装置が一部となっているシステムである。制御部67は、複数のエンジン動作モードについて、燃料経済性に対するEATS25から排出されるNOXレベル(NOXセンサ27によって測定可能)のマップを有しており、各エンジン動作モードは、エンジン23の少なくとも1つの基礎アクチュエータについて、その他の任意のエンジン動作モードと異なる。制御部67はプログラム化されており、これにより、複数の動作モードの1つを選択し、一定のエンジン速度及び負荷について、EATS25から排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、選択された動作モードでエンジンを動作させる。
【0015】
燃料経済性対NOXレベルマップは、各種エンジン速度及び負荷でのこれらのレベルを周期的又は継続的に記録することによって、周期的又は継続的に更新される。エンジンが異なる速度及び負荷で費やす時間もまた、通常追跡され、継続的又は周期的に更新される。例示的エンジンが異なる速度(spd_Engine)及び負荷(Trq_Engine)で費やした時間の割合の記録を示すグラフ又はマップを
図2において示す。燃料経済性及びNOXレベルは、各種動作モードにおける各種エンジン速度及び負荷についてマッピングされる。当該マップは、周期的又は継続的に更新されることにより、各種エンジン速度及び負荷での燃料経済性及びNOXレベルの変化を反映可能であり、当該変化は、例えばEATS部品の経年劣化等の変化を含み得る。
【0016】
さらに、特定のエンジンについて、それが異なる速度及び負荷で費やす時間のマップが利用可能な動作モードの1つ以上において変化するときに、当該モードにおける算出燃料経済性も変化する。燃料経済性及びNOXレベルは、
図2に示すような各種エンジン速度及び負荷での時間のマップに基づき、結果として、エンジン速度及び負荷に係る時間のマップが変化するときに、記録された各種エンジン速度及び負荷での燃料経済性対NOXレベルマップもまた変化する。
【0017】
通常、エンジン装置21は、少なくとも2つの動作モードを有しており、当該動作モードは、「通常動作モード」及び「エンジン熱モード」として広く述べられてもよい。異なる各種モードが通常動作モードの範囲内で規定されてもよく、例えば、燃費を最適化するように設定され、高いNOXレベルをもたらし得る「燃料節約モード」、エンジンがアイドリングしているが、低いNOXレベルを保つように設定されている「低NOXアイドリングモード」、エンジンが通常動作には冷た過ぎるときの「低温始動モード」、EGR弁49が全閉又は部分的に閉じられているときに使用される「EGR保護モード」、ならびに、低車両速度でのロバスト動作に使用される「オフハイウェイモード」等を含み得る。エンジン熱モードは、通常、異なるモードを含み、例えば、走行中の車両における排気温度が通常動作で生じる温度を超えて上昇し、例えば暖かいEGRガス又はCACのバイパス等に起因するある種の燃料ペナルティを通常伴う「低熱モード」、走行中の車両における排気温度がさらに上昇し、装置(例えば、限定されないが、EATS25における背圧を上昇させる弁68等)の動作等に起因するある種の燃料ペナルティをさらに伴う「高熱モード」、ならびに、「高熱停車モード」等を含み得る。その他の動作モードも、例えば異なるエンジンコンセプトでの使用のために規定可能であり、全てのエンジンコンセプトが同一の動作モードを有していなくてもよい。
【0018】
本願の目的のために、3つのエンジン動作モード、即ち燃料節約モード、低熱モード、及び高熱モードを有するエンジン装置21を説明する。尚、本発明は、付加的な動作モード又はその他の動作モードを有するエンジン装置に適用可能である。燃料節約モード、低熱モード、及び高熱モードについて、エンジン23は、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成されるが、全ての動作モードについて当てはまるわけではない。説明のために、高NOXモードと低NOXモードとの間の補間は直線に沿って起こると仮定するが、これに限られるものではない。エンジン動作パラメータは、1つ以上の基礎アクチュエータセットポイント、あるいは、エンジン負荷、エンジン速度、燃料経済性、及び/又はエンジン排ガス温度に影響を与えるその他の動作パラメータの調整に関連し得る。
【0019】
制御部67はプログラム化されており、それにより、いずれの動作モード(燃料節約モード、低熱モード、又は高熱モード)についても、エンジン23は、選択された動作モードにおいて、排気NOXレベルが所定のNOXレベルかそれ以下になる地点を超えないところまで高NOXモードに向かって補間可能である。
図3のグラフから明らかなように、エンジン23が、選択された動作モード(
図3の例では燃料節約モード)での動作中に、高NOXモードに向かって補間するときに、NOXレベルが所定のNOXレベル(例示では、0.40g/kWh)に到達するかそれ以前に、EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、異なるエンジン動作モード(例示では、低熱モード)が複数の動作モードから選択される。
図3のグラフの拡大部分から明らかなように、燃料節約モードの燃費は、システム放出NOXが目標値の0.40g/kWhに近くなる地点までは、低熱モードの燃費よりも低く、それ以降は、低熱モードの燃費は、燃料節約モードの燃費よりも低くなる。低熱モードの燃費が燃料節約モードの燃費よりも低くなる動作領域を
図3において斜線によって示す。
【0020】
制御部67は、動作モードの選択、ならびに、当該動作モードでの動作を行うようにプログラム化可能であり、それにより所定NOXレベルを下回るNOXレベルをもたらし、トリガイベントの発生後に最小燃費をもたらす。トリガイベントは、例えば、5分、10分、15分、又は30分等の所定時間の経過等であってもよい。トリガイベントは、その他のイベントであってもよく、例えば、センサは、各種状況を継続的に監視し、制御部67は、適切な動作モードを自動的に選択し、一連の状況のうち特定の状況の検出時に、選択された動作モードで動作するようにプログラム化されていてもよい。例えば、特定の動作モードの選択、ならびに、当該動作モードでの動作を引き起こす状況又は一連の状況は、車両が高速からより密集している都市街路に入ったことで減速することによるものであってもよく、例えばエンジン負荷、エンジン速度、及び排ガス温度の変化をもたらし得る。
【0021】
制御部67は、各動作モードについて、燃料経済性に対するEATS25から排出されるNOXレベルのマップを少なくとも周期的に更新するようにプログラム化可能である。制御部67は、各動作モードについて、燃料経済性に対するEATS25から排出されるNOXレベルのマップを継続的に更新するようにプログラム化可能である。いずれの場合においても、各動作モードについて、燃料経済性に対するEATS25から排出されるNOXレベルのマップを周期的又は継続的に更新することによって、エンジン装置21は、EATS部品の経年劣化等の変化に対して動作を調整可能である。例えば、DOC55、DPF59、SCR61、及びリーンNOXトラップ65が経年劣化するにつれて、夫々のNOXレベルに対する影響が変化する。燃費及び/又はNOXレベルに影響を与える可能性のある、エンジン装置のその他の部品の損傷又はその経年劣化の場合において、マップの周期的又は継続的な更新によって、最適な動作モードが確実に選択されるように補助可能である。
【0022】
図1に示すディーゼルエンジン23とEATS25とを含むディーゼルエンジン装置21について、ディーゼルエンジン装置の動作方法を説明する。EATS25は、排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を備え、当該装置は、例えば、DOC55、DPF59、SCR61、及びリーンNOXトラップ65である。エンジン23は、複数のシステム及び部品を備え、それらの少なくとも一部は、エンジンの1つ以上の基礎アクチュエータの1つ以上の制御セットポイントに設定されるように構成される。当該方法は、複数のエンジン動作モードを規定する工程を含み、動作モードの夫々は、少なくとも1つの制御セットポイントについてその他の任意の動作モードと異なる。動作モードの3つの例は、
図3に示す燃料節約モード、低熱モード、及び高熱モードである。
【0023】
各動作モードについて、EATS25から排出されるNOXレベルに対する燃料経済性は、
図3のようにマッピングされる。燃料経済性に対するシステム放出NOXのマッピング工程は、EATS25を通る排気質量流量、EATSから排出されるNOXレベル、及びEATSにおける温度を決定する工程を含み得る。当該決定工程は、決定を行うためのエンジン速度及び負荷の記録工程を含む。EATS25における温度は、SCR61の温度を含み得る。SCR61は、通常、排気流からのNOXの除去に寄与する主要要素の1つである。通常、SCR61における温度が高ければ高いほど、より多くのNOXが除去され、燃費が高くなる傾向がある。また、EATS25を通る排気質量(又は体積)流量は、通常、NOXレベルに関連する。通常、負荷及び速度が高くなればなるほど質量又は体積流量が多くなり、質量又は体積流量が多くなれば多くの燃料を消費する。質量又は体積流量が多ければ多いほど、EATSにおける滞留時間が短くなる。結果として、単位質量又は体積毎のNOXの除去が少なくなる。SCRにおけるNOXは、通常、温度が上昇するにつれて低減され、排気流量が低いときに低減される。SCRにおけるNOXが低減されればされるほど、許容エンジン放出NOXが高くなる。通常、エンジン放出NOXが高ければ高いほど、より良好な燃料経済性を示す。
【0024】
EATSから排出される排気が所定NOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、複数の動作モードから1つが選択される。そして、エンジン23は、選択された動作モードで動作する。
【0025】
上述の動作モードの夫々について、エンジン23は、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成される。本願方法において、エンジンは、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、選択された動作モードにおいて高NOXモードと低NOXモードとの間の範囲の少なくとも一部に沿って補間する。説明のために、上述の3つの動作モードに対する高NOXモードと低NOXモードとの間の補間は、直線に沿って起こるものと仮定するが、これに限定されるものではない。エンジン動作パラメータは、1つ以上の基礎アクチュエータセットポイント、あるいは、エンジン負荷、エンジン速度、及び/又はエンジン排ガス温度に影響を与えるその他の動作パラメータの調整に関連し得る。
【0026】
選択された動作モードにおいて高NOXモードに向かってエンジンが補間するように1つ以上の動作エンジンパラメータを調整するときに、エンジンの動作を制御し、排気NOXレベルが所定のNOXレベルかそれ以下になる地点を超えないところまでエンジンが補間可能となるように、制御部67はプログラム化可能である。
図3において、所定NOXレベルは、0.40g/kWhに設定されており、垂直破線で示される。例えば、一般的に、低熱モード又は高熱モードでの動作に比べて燃料節約モードで動作する方がより燃費効率がよい場合があるが、これは、EATS25から排出されるNOXレベルが十分に低く、NOXレベルが所定NOXレベルに達するまでに限る。
図2から明らかなように、燃料節約モードでの動作中、NOXレベルが所定NOXレベルに近づくと、複数の動作モードのうちの異なるエンジン動作モード、即ち低熱モードでの動作が、燃料節約モードでの動作に比べてより燃料効率が良くなり、制御部67は、EATSから排出される排気が所定NOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、動作モードの選択を低熱モードに変更する。そして、エンジン23は、燃料節約モードでの動作が再びより良好な燃料効率を示す地点まで、低熱モードの低NOXモードに向かって下方に低熱モード曲線に沿って補間する時まで、低熱モードで動作する。
【0027】
図3は、3つの異なる動作モードを示し、当該動作モードは、本願方法を説明するために、表1において示す値を有する。
【表1】
図3は、EATS25から出る目標値又は所定の最大NOXレベルを示し、0.40g/kWhに設定されており、当該値は、NOXの法定限界値、あるいは、法定限界値に安全率を加算した値に対応してもよい。所定の最大NOXレベルにおける各動作モードに対する高NOXモードと低NOXモードとの間の直線補間を仮定し、以下の表2は、燃料節約モード及び低熱モードで許容される最大NOXレベル(0.40g/kWh)での燃費、ならびに、高熱モードでの動作中に出力可能な最大NOXレベル(0.15g/kWh)での燃費を示す。
【表2】
当該例において、EATS25から排出されるシステム放出NOXが目標値の0.40g/kWhであるときに、低熱モードでの動作による燃費は、燃料節約モードでの動作による燃費よりも低い。従って、当該例において、制御部67は、システム放出NOXレベルが目標値に近いときには、燃料節約モードでの動作の代わりに低熱モードでの動作を通常選択する。制御部67は、オペレータ又はプログラムのその他のアスペクトがDPF59の能動再生等を行うために高熱モードでの動作を特に要求するときを除いて、高熱モードでの動作を通常選択しない。勿論、本発明の態様が適用可能な各種エンジンに対する動作モードの特徴は、表1及び表2に示す例とは実質的に異なってもよい。
【0028】
動作モードを選択して、選択された動作モードでエンジン23を動作させる工程は、トリガイベントの発生後に繰り返されてもよい。トリガイベントは、例えば、5分、10分、15分、30分等の所定の時間の経過等であってもよい。トリガイベントは、その他のイベントであってもよく、例えば、センサは、各種状況を継続的に監視し、制御部67は、適切な動作モードを自動的に選択し、一連の状況のうち特定の状況の検出時に、選択された動作モードで動作するようにプログラム化されていてもよい。例えば、特定の動作モードの選択、ならびに、当該動作モードでの動作を引き起こす状況又は一連の状況は、車両が高速からより密集している都市街路に入ったことで減速することによるものであってもよく、例えばエンジン負荷、エンジン速度、及び排ガス温度の変化をもたらし得る。
【0029】
各動作モードについての燃料経済性に対するEATS25から排出されるNOXレベルのマップは、通常、周期的又は継続的に更新される。例えば、EATS25の部品が経年劣化するにつれて、燃費対NOXレベルマップは、一般的に、
図3に示すグラフの右側に移動することが予想される。マップを周期的又は継続的に更新することによって、ある動作モードか別の動作モードで動作するのが好ましいかどうかの決定は、時間と共に変更してもよい。
【0030】
ディーゼルエンジン23と、排気NOXレベルを制御する1つ以上の装置を有するEATS25と、を含むディーゼルエンジン装置21の動作方法は、エンジンの複数の基礎アクチュエータの第1の一連の制御セットポイントを使用する第1モードでエンジンを動作させる工程と、複数の基礎アクチュエータの第2の一連の制御セットポイントを使用する第2モードでエンジンを動作させる工程において、第1及び第2の一連の制御セットポイントの少なくとも1つが互いに異なる工程と、を伴うものとして説明されてもよい。当該方法は、第1及び第2モードにおいて、複数のエンジン速度及び負荷について、EATS25を通る排気質量又は体積流量、EATSから排出されるNOXレベル、及びEATSにおける温度をエンジン23に対して追跡をする工程を伴う。そして、一定のエンジン速度及び負荷について、EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まず、最小量の燃料が単位エネルギー毎に消費されるように、第1及び第2モードの1つが選択される。第1及び第2の動作モードの夫々について、エンジン23は、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、高NOXモードと低NOXモードとの間を補間するように構成され、本願方法は、1つ以上のエンジン動作パラメータを調整することによって、選択された動作モードにおいて高NOXモードと低NOXモードとの間の範囲の少なくとも一部に沿って補間する工程をさらに含む。本願方法は、選択された動作モードでの動作中にエンジンが高NOXモードに向かって補間するように1つ以上の動作エンジンパラメータを調整する工程と、NOXレベルが所定のNOXレベルに到達するかそれ以前に、EATSから排出される排気が所定のNOXレベル以上のNOXを含まないように、別のエンジン動作モードを選択する工程と、をさらに含み得る。
【0031】
本願において、「有する、備える」等の用語の使用は、オープンエンド形式であり、「含む」等の用語と同一の意味を有し、その他の構成、材料、又は行為を除外するものではない。同様に、「可能」又は「し得る、してもよい」等の用語の使用は、オープンエンド形式であり、ある構成、材料、又は行為が必ずしも必要ではないことを示しているが、これらの用語を使用しないことによって、ある構成、材料、又は行為が必要不可欠であることを示すものではない。ある構成、材料、又は行為が必要不可欠と現状で考えられる限りにおいて、その旨が明記される。
【0032】
本発明は、好ましい実施形態について図示及び説明されたが、請求項に記載の発明から逸脱することなく変形及び変更が可能である。