特許第6122166号(P6122166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122166
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】熱制御式組立体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/467 20060101AFI20170417BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H01L23/46 C
   H05K7/20 H
   H05K7/20 G
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-40687(P2016-40687)
(22)【出願日】2016年3月3日
(62)【分割の表示】特願2013-505462(P2013-505462)の分割
【原出願日】2011年4月19日
(65)【公開番号】特開2016-106426(P2016-106426A)
(43)【公開日】2016年6月16日
【審査請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】61/327,339
(32)【優先日】2010年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512064675
【氏名又は名称】ナパテック アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100141254
【弁理士】
【氏名又は名称】榎原 正巳
(72)【発明者】
【氏名】クラウス エク
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−293982(JP,A)
【文献】 特開2000−174474(JP,A)
【文献】 特開2006−332148(JP,A)
【文献】 特開2004−245198(JP,A)
【文献】 特開平11−186767(JP,A)
【文献】 米国特許第04858069(US,A)
【文献】 特開平10−075030(JP,A)
【文献】 特開平03−070196(JP,A)
【文献】 特開2006−108325(JP,A)
【文献】 特開平11−112177(JP,A)
【文献】 特開2000−227823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
1/20
H01L23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、第2面と、を有する第1PCBであって、1つ又は複数の第1電子部品が前記第1PCBの前記第1面に配置されている、第1PCBと、
第1面と、第2面と、を有する第2PCBであって、1つ又は複数の第2電子部品が前記第2PCBの前記第1面に配置され、前記第1PCBの前記第1面は、前記第2PCBの前記第1面と対向している、第2PCBと、
前記第1及び第2PCBの前記第1面の少なくとも一部分と共に、第1端部及び第2端部を有するチャネルを形成するチャネル形成部と、
前記第1端部から前記第2端部に向かって前記チャネルを通じて空気を強制流通させるように配置された空気強制流通部であって、冷却面と、前記第1または第2電子部品の少なくとも1つの部品に対して前記冷却面を付勢する付勢部材と、を有し、前記冷却面は、前記少なくとも1つの部品が配置された空間を規定する、空気強制流通部と
前記チャネル形成部に設けられたスリットであって、強制流通させられる空気流によって引き起こされるベンチュリ効果によって空気が前記スリットを通り前記空間及び続いて前記チャネルに引き込まれるように配置されているスリットと、
を有する組立体。
【請求項2】
前記チャネルの前記第2端部又はその近傍に配置された1つ又は複数の開口部を更に有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記第1PCBは、その平面内において第1の輪郭を有し、
前記第2PCBは、前記平面内において第2の輪郭を有し、前記第1及び第2の輪郭の少なくとも一部は重なっており、前記チャネル形成部は、前記第1及び第2の輪郭のうちの前記重なっている部分の境界の少なくとも一部において前記第1PCBと第2PCBとの間の開口部を遮断又は閉鎖する、
請求項1又は請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記第1PCBは、その平面内において第1領域をカバーしており、前記第2PCBは、前記平面内において第2領域をカバーしており、前記第2領域は、前記第1領域内に位置し、且つ、前記空気強制流通部は、前記平面内において第3領域をカバーしており、前記第3領域は、前記第2領域によってカバーされていない前記第1領域の一部分内に位置する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記平面内において、前記空気強制流通部は、前記チャネルの前記第2端部よりも前記チャネルの前記第1端部の近くに配置されている、請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
前記第1及び第2PCBは、少なくとも平行である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項7】
前記空気強制流通部は、前記チャネルに入った空気が通り抜け、前記冷却面と熱的に結合している複数のフィンを有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
前記付勢部材は、少なくとも同一のばね定数を有する少なくとも3つの弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記付勢部材及び前記空気強制流通部によって前記少なくとも1つの部品に対して作用する力が、前記少なくとも1つの部品が配置された前記第1または第2PCBの平面に対して垂直となるように配置されている、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記付勢部材は、互いに直交すると共に1つの平面内に配置された2つの軸のそれぞれに沿って、前記少なくとも1つの部品の中心から、前記中心との関係において前記軸に沿って一方向に配置されたそれぞれの付勢部材までの第1総計距離が、前記中心から、前記中心との関係において前記軸に沿って反対方向に配置されたそれぞれの付勢部材までの第2総計距離から所定の距離内になるように、配置されている、請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
前記付勢部材は、前記チャネル形成部に当接する、請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
前記空気強制流通部は、前記冷却面の第1の側に設けられたファンと、前記冷却面の他方の側上の前記空間と、を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
請求項1に記載の前記組立体を動作させる方法であって、
前記第1PCBの前記の電子部品に電力を供給するステップと、
前記第2PCBの前記の電子部品に電力を供給するステップと、
前記空気強制流通部を動作させて空気を前記空気強制流通部から前記チャネルの前記第1端部を通じて前記チャネルの前記第2端部に向かって強制流通させ、前記スリット及び前記空間を通じて前記チャネルに引き込むステップと、
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用空気が流通するチャネルを使用する電子部品を冷却する方法に関する。このような技術は、例えば、ファンが冷却用空気を駆動しているチャネルに向かって内向きに方向付けされた冷却フィンを有する冷却素子が配置されているHiFiアンプで知られている。電子部品は冷却素子の外側に配置される。
【背景技術】
【0002】
現在、冷却は、PCBに配置された又はこれに固定された部品に対して行われ、特に、部品を冷却するために空気を強制流通させるチャネルの形成はPCBを使用して行われている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様においては、本発明は、第1面と、第2面と、を有する第1PCBであって、1つ又は複数の第1電子部品が第1PCBの第1面に配置されている第1PCBと、第1面と、第2面と、を有する第2PCBであって、1つ又は複数の第2電子部品が第2PCBの第1面に配置され、第1PCBの第1面は、第2PCBの第1面と対向している、第2PCBと、第1及び第2PCBの第1面の少なくとも一部分と共に、第1端部及び第2端部を有するチャネルと、内部に設けられたスリットを形成するチャネル形成部と、第1端部から第2端部に向かってチャネルを通じて空気を強制流通させるように配置された空気強制流通部であって、冷却面と、第1または第2部品の少なくとも1つの部品に対して冷却面を付勢する付勢部材と、を有し、冷却面は、少なくとも1つの部品が配置された空間を規定する空気強制流通部と、を有し、スリットは、空気がベンチュリ効果によって、スリットを通り、空間及びチャネルに引き込まれるように配置されている、ことを特徴とする組立体に関する。
【0004】
本発明は、部品の冷却を緩和することなしにスペースを節約できるという点において、多くの利点を提供する。従って、PCBの第1面を使用してチャネルを成形又は形成する際に、チャネル内に配置された部品の直接的な冷却が実現され、且つ、冷却チャネルを形成するための追加の素子が不要である。更に、チャネル形成部は、ある程度の剛性を有するように設けてもよく、それゆえ、組立体を強固にする役目を果たすことができる。これは、更に後述するように、この素子が付勢手段に係合するためにも使用されるとき、特に適している。
【0005】
これに関連して、組立体は、共に動作すると共に/又は相互に固定される等、相互に接続された複数の部材である。必然的に、固定は、着脱自在としてもよく、ワイヤを介して、ワイヤレスで、機械的結合を介して、或いは、これらに類似した方式により、任意の相互動作を実行してもよい。
【0006】
電子部品は、単純な抵抗器から任意の種類のチップに至る、任意のタイプの部品であってもよい。従って、部品は、プロセッサ、FPGA、メモリ回路、抵抗器、コンデンサ、コイル/インダクタ、又はこれらに類似したものであってもよい。
【0007】
通常、PCBとは、印刷回路基板(Printed Circuit Board)であり、これは、2つの主面と、周縁部と、を有する平らな部材である。PCBは、1つ又は複数の導体層を有してもよく、その一方の面上に、又は、その2つの主面上に、電子部品を有してもよい。通常、電子部品は、電力及び/又は信号を互いにPCB内の導体を介して送受信することにより、相互動作可能となる。通常、これらの部品は、導体等を介してPCBに固定される。
【0008】
PCBの第1面が互いに対向している際には、これらの面は、第1面に配置された電子部品が空気強制流通部によって生成される空気流によって冷却されるように配置されたチャネルの面を形成する。
【0009】
好ましくは、第1及び第2PCBは、平行であり、これは、これらが平らな部材であるという状況の下でPCBの主要平面となるその基本平面が平行であることを意味している。この場合には、チャネルが形成される位置においてチャネル形成部が同一の厚さを有するように、PCBの端部をそれらの間の距離が同一となるように配置してもよい。
【0010】
これに関連して、チャネル形成部は、PCB、例えばPCBの第1面、及びチャネルを形成するPCBの部分において第1面に配置された電子部品と共にチャネルを形成するように構成されている。
【0011】
当然のことながら、チャネルは、第1面の平面内又はこれらに垂直の平面内の一方又は両方において、直線的であってもよく、湾曲していてもよく、或いは、蛇行していてもよい。その内部の空気流が影響を受けるように、第1面に配置された部品が、チャネルの内部寸法を不規則なものにしてもよいことに留意されたい。
【0012】
また、PCB(PCBが平らな部材である際の主要平面)が平行である場合には、チャネル形成部をPCBの直線的な面に配置する必要はなく、チャネル形成部は、第1端部から第2端部までのチャネルの基本的な方向に対して垂直であるチャネルの幅に渡るとともに第1表面の一部分のみにわたってチャネルを規定してもよいことに留意されたい。
【0013】
チャネルの形成とは、空気が第1端部から第2端部まで全般的に流れるようにする部材を設置することである。当然のことながら、チャネル形成部は、チャネルの長さの全体に沿って気密にチャネルを封止する必要はない。望ましい空気流をチャネル内に維持可能である限り、空気がチャネルに出入り可能となる小さな開口部も許容可能であり、これらの小さな開口部は、換気及び冷却を実質的に補助することができる。
【0014】
チャネルは、好ましくは、空気がチャネルに出入り可能となる第1端部及び第2端部を有する。空気のチャネルへの流入、または空気のチャネルからの排出は、1つ又は複数の開口部を介してもよい。チャネル内に望ましい空気流を実現するために、その他の開口部を端部以外に配置してもよい。
【0015】
チャネルを形成する最も単純な方法は、チャネル形成部によってPCBの端部間に封止を提供し、これにより、チャネルの基本的な方向にわたって(例えば、第1端部から第2端部まで)PCBの幅全体を使用してチャネルを形成するというものである。但し、チャネル形成部を一方又は両方のPCBの1つ又は複数の端部において係合又は封止させるのではなく、その第1表面において係合又は封止させることにより、チャネルは、これよりも狭くしてもよい。従って、チャネルが、PCBのうちの1つのPCBの幅全体を占有することは可能であるが、他方のPCBの幅全体を占有しないように、1つのPCBが、チャネルの基本的な方向を横断する方向において、他方のPCBよりも幅広であってもよく、或いは、チャネル形成部が両方のPCBの第1表面において係合又は封止し、且つ、これにより、チャネルの基本的な方向に渡って、両方のPCBの幅よりも狭くなってもよい。
【0016】
通常、端部が1つ又は両方のPCBの端部において1つ又は両方のPCBのエッジに又はその近傍に位置するように、チャネルは、1つ又は両方のPCBの長手方向の軸に沿った基本的な方向を有することになる。
【0017】
例えばチャネル内に空気を強制流通させるために、いくつかの手段及び方法が存在している。ファンや、圧縮空気等を使用することができる。チャネルの一端を吸引すれば、チャネルを通じて一方向に空気が強制流通することになり、加圧すれば(例えばファンを反対方向に動作させる)、チャネルを通じて空気が他の方向に強制流通することになる。空気の望ましい方向は、チャネル内の部品の位置に依存し、特に、チャネル内の部品のうちの最も熱を生成する部品及び最も熱の影響を受け易い部品の位置に依存する。
【0018】
最も熱の影響を受け易い素子の冷却を最優先に保証するために、最も冷たい空気、即ち、複数の部品の冷却に使用されていない空気が、これらの素子に最初に提供されることが望ましい。或いは、その代わりに、最も熱を生成する部品をチャネルからの空気の排出地点の近くに配置することも望ましく、その目的は、これらの部品によって生成される加熱された空気がその他の部品に提供されないようにするためであり、その理由は、この加熱された空気は、その他の部品を冷却する代わりに、それらを加熱しうるからである。
【0019】
従って、チャネル内における空気の流れの方向及び個別の部品の位置を使用し、個々の部品の冷却を調整してもよい。
【0020】
上述のように、空気は、一端においてチャネル内に強制流入させ、他端において排出させてもよい。通常、チャネルは、この空気の流れを促進させるために、その端部に1つ又は複数の開口部を有する。必要に応じて、その他の開口部を設けてもよい。
空気強制流通部は、空気冷却面と、第1または第2部品の少なくとも1つの部品に対して冷却面を付勢する付勢部材と、を有する。第1及び第2PCBの部分を重ねることによって形成されたチャネル内の部品は、チャネル内を流れる空気によって冷却される一方、いくつかの部品は、これに付勢された冷却面によって、代替的に、あるいは付加的に、直接冷却される。冷却面は、通常、部品の最も高い部分に付勢されるが、その一方で、(PCBの平面に対して垂直方向に)部品の最も低い部分の冷却は、空気の流れ、または、部品と冷却面との間に熱伝導素子または熱伝導材料を配置することによって行われる。同様に、あるいはこれに加えて、そのような部品の最も低い部分は、部品と冷却面との間に熱伝導素子または熱伝導材料を配置することによって冷却することができる。
【0021】
一実施形態において、組立体は、チャネルの第2端部又はその近傍に配置された1つ又は複数の開口部を更に有する。上述のように、これらの開口部のうちの1つ又は複数の開口部をチャネル形成部内に配置してもよい。
【0022】
本実施形態又は他の実施形態において、第1PCBは、その平面内において第1の輪郭を有し、第2PCBは、この平面内において第2の輪郭を有し、第1及び第2の輪郭の少なくとも一部は重なっており、チャネル形成部は、これら第1及び第2の輪郭のうちの重なっている部分の境界の少なくとも一部において第1PCBと第2PCBとの間の開口部を遮断又は閉鎖している。
【0023】
従って、第1及び第2PCBの輪郭は重なっており、チャネル形成部はPCBの重なっている部分を使用してチャネルを形成してもよい。
【0024】
特に興味深い実施形態においては、第1PCBは、その平面内において第1領域をカバーしており、第2PCBは、この平面内において第2領域をカバーしており、第2領域は、第1領域内に位置し、且つ、空気強制流通部は、この平面内において第3領域をカバーしており、第3領域は、第2領域によってカバーされていない第1領域の一部分内に位置している。従って、空気強制流通部は、第2PCBに隣接して、或いは、第1PCBの第1表面の一部分上に、配置してもよい。この場合にも、第1及び第2領域が重なっている領域にチャネルが形成されることになり、空気の排出/流入用の開口部を第2領域と第3領域との間の境界面に配置してもよい。これにより、更に後述するように、利点が得られる。
【0025】
好ましくは、第2及び第3領域は重なっていないが、組立体の空間を可能な限り最適に利用するために、一緒に第1領域をカバーするか又はこれに対応している。
【0026】
本実施形態においては、平面内において、空気強制流通部は、好ましくは、チャネルの第2端部よりもチャネルの第1端部の近くに配置されている。従って、空気強制流通部は、空気を組立体の外部から空気強制流通部を通じてチャネル内に強制流通させるために使用される。次いで、空気は、チャネル及びその内部に配置された部品を通じて流れ、チャネルの他端で排出される。
【0027】
構成が容易な一実施形態は、第1及び第2PCBが少なくとも実質的に平行なものである。この状況においては、チャネル形成部は、その機能を実現するために、PCBの平面に対して垂直の方向に同一の厚さ又は範囲を有してもよい。
【0028】
冷却面の冷却を促進させるために、空気強制流通部は、チャネルに入った空気が通り抜け、冷却面と熱的に結合している複数のフィンを有することが好ましい。
【0029】
一般に、付勢部材は、少なくとも実質的に同一のばね定数を有する少なくとも3つの弾性部材を有し、これらの弾性部材は、付勢部材及び空気強制流通部によって少なくとも1つの部品に対して作用する力がその少なくとも1つの部品が配置されているPCBの平面に対して垂直になるように、配置されることが好ましい。
【0030】
この観点において、弾性部材は、スプリング、つる巻きばね、又は板ばね、発泡体、ゴム、プラスチック、及びポリマーなどの非中空材料、或いは、これらに類似したものなどの任意のタイプの弾性部材であってもよい。当然のことながら、必要に応じて、圧縮可能なガスシリンダ又はこれらに類似したものなどの更に複雑な技術を使用してもよい。弾性部材のばね定数又は弾性定数は、通常、その部材の特定の方向における所定の変形/圧縮を実行するのに必要とされる力を表すことになる。
【0031】
力が平面に対して垂直である場合には、冷却面は、部品の上部表面の少なくとも実質的に全てに対して接触することが可能となり、この部品は、通常はPCBの平面と平行な上部表面を有する平らな部品である。この結果、この部品の冷却が最適化される。
【0032】
更には、PCBの平面に対して垂直の力を提供することにより、付勢によってPCBに対する部品の装着に応力が生じないことが保証される。
【0033】
非常に興味深い一実施形態においては、付勢部材は、互いに直交すると共に1つの平面内に配置された2つの軸のそれぞれに沿って、少なくとも1つの部品の中心から、この中心との関係において軸に沿った一方向に配置されたそれぞれの付勢部材までの第1総計距離(first combined distance)が、この中心から、この中心との関係において軸に沿った反対方向に配置されたそれぞれの付勢部材までの第2総計距離(second combined distance)から所定の距離内になるように、配置されている。理想的には、且つ、好ましくは、所定の距離は、ゼロであるが、製造の不完全性及びその他の考慮事項に起因し、ゼロからの多少の逸脱を許容することが必要となろう。従って、この距離は、任意の弾性手段から部品の中心までの最大距離の最大で10%であってもよい。
【0034】
従って、2つの軸のそれぞれごとに、部品の中心からこれらの方向を判定し、これら2つの方向に沿った距離を単純に合計する。
【0035】
これらの軸を選択する方法は問題ではない。問題となるのは、部品に作用する力は、中心から弾性部材及び作用する力までの距離に関係しているという点にあり、この作用する力は、好ましくは、すべての弾性部材について同一である。
【0036】
この実施形態は、付勢部材を部品の中心までの同一の距離において部品の周りに対称的に配置することができない場合に特に適している。これには、電子部品、空気強制流通部、又はこれらに類似したものにより、これが妨げられるか又は困難になっている場合が該当することになろう。この場合には、付勢部材が同一の弾性定数、又は、ばね定数を有する必要があるという選択肢により、これらの位置の選択が困難になる。
【0037】
但し、上述の位置の判定により、ばね定数が同一である場合にも、力がPCBの平面に対して垂直の状態に留まることが保証される。従って、その結果、弾性手段の非対称的な位置についても、同一の有利な効果が実現されることになる。
【0038】
PCBの平面に対する垂直状態からの力の方向の多少の逸脱を許容することができることに留意されたい。従って、製造の不完全性によって通常生じる所定の量又は所定の百分率だけ、ばね定数が互いに変化してもよい。
【0039】
上述のように、力の方向が垂直方向からの許容可能な角度内に留まっている限り、所定の量又は所定の百分率だけ、部品の中心までの距離は逸脱してもよい。
【0040】
従って、通常、ばね定数が、弾性部材の定数の平均値の最大で10%だけ変化することを許容することができよう。また、中心までの個々の付勢部材の距離が、最適な又は完璧な位置から最大で10%だけ変化することも通常は許容することができよう。
【0041】
付勢部材が、例えば、PCBにではなく、チャネル形成部に係合している場合には、更なる利点が認められることに留意されたい。PCBに係合し、且つ、弾性部材によって作用する力をPCBから導出する際には、PCBが、これによって影響を受け、且つ、曲がることになる。その結果、時間の経過に伴って、且つ、通常コンピュータにおいて観察される振動及び温度変動に起因して、PCBが破壊されることになる。
【0042】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様の組立体を動作させる方法に関し、この方法は、第1PCBの電子部品に電力を供給するステップと、第2PCBの電子部品に電力を供給するステップと、空気強制流通部を動作させて空気を空気強制流通部からチャネルの第1端部を通じて且つチャネルの第2端部に向かって強制流通させ、スリット及び空間を通ってチャネルに空気を引き込むステップと、を有する。
【0043】
以下、添付の図面を参照し、好適な実施形態について説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】好適な一実施形態について上方から見た図を示す。
図2図1の実施形態について側部から見た図からを示す。
図3図1の実施形態の断面図を示す。
図4図1の実施形態の断面図を示す。
図5図1の実施形態の固定手段を示す。
図6図1の実施形態の固定手段を示す。
図7】付勢部材の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、データ処理組立体10が上方から示されている。図2には、データ処理組立体10が、側面図として、図3には、Aラインに沿った断面図として、示されており、図4には、Bラインに沿った断面図が示されている。図5及び図6には、組立体10の組立に関する詳細が示されている。
【0046】
組立体10は、外側の補強部材16によって相互の関係における位置に維持された2つの印刷回路基板(PCB)12及び14と、換気装置又はファン18と、を有する。PCB12/14の平面内に規定されている領域は、PCB12のみにより、又はPCB14及びファン18により、占有されていることがわかる。
【0047】
これらのPCBは、少なくともその相互に対向する面上に電子部品20を有しているが、部品は、相互に対向していない面上に設けてもよい。
【0048】
組立体10の電子部品の動作は、部品20/20′が、電力供給され、且つ、必要に応じて、データを受信/生成/出力するというものである。又、これらの部品は、参照符号24によって示されているように、電源と、入出力手段と、を有してもよい。又、PCBは、それぞれ、電力/信号/情報又はこれらに類似したものを相互交換するために、これらのPCBを電気的に相互接続するように適合されたプラグ22を有してもよい。
【0049】
組立体は、外部からアクセス可能な端子12′を介してPCIカードとして動作してもよい。又、組立体は、PCIカードに必要とされるブラケット10′を有してもよい。
【0050】
この組立体の冷却の動作は、ファン18が空気を、組立体10内に、且つ、PCB12/14及び部材16(図4参照)によって規定されたチャネル30内に、強制流通させるというものである。この空気は、部材16内の開口部16′などを通じて、組立体10のもう1つの(図1の下部の)端部において、チャネル30から排出されることになる。
【0051】
ファン18は、好ましくは、その冷却作用を増大させるために、ファン自体とその下方に配置された電子部品20′との間に下部表面18′を有する(図3を参照されたい)。当然のことながら、これらの部品20′は、異なる高さを有してもよく、且つ、ファン18を、例えば、スプリング付勢により、これらの部品のうちの最も背の高い部品に向かって押圧してもよく、且つ、ペースト、糊、又は発泡体などの熱伝導性を有する材料28を背の低い部品と下部表面18′との間に設けてもよい。
【0052】
更には、ファン18は、図1に示されている複数の平行なフィン18″を有しており、チャネル30に進入する空気は、これらのフィンを通過し、且つ、これらのフィンは、下部表面の冷却作用を増大させるために下部表面18′に対して熱的に接続されている。
【0053】
最も冷却される部品は、部品20′であり、これらは、通常、最も電力を消費すると共に、従って、最も熱を生成する部品となる。当然のことながら、表面18′における部品20′、チャネル30内の部品20、又はPCB12/14の外側面上に配置された部品20などの部品の位置は、動作の際のその部品の熱生成及びその部品の高熱に耐える能力によって左右されることになる。
【0054】
チャネル30を通じた空気の流れに起因し、且つ、部材16内に設けられたスリット16″に起因し、空気は、ベンチュリ効果にも起因して、部品20′が配置されている空間内に、且つ、チャネル30内に、引き込まれることになる。この結果、部材20′の冷却作用が増大し、且つ、部材20′に対向する部材の下面18′によって冷却された冷たい空気も、チャネル30内に引き込まれる。
【0055】
組立体10の組立は、以下の方式によって実行される(具体的には、図2図5、及び図6を参照されたい)。
【0056】
チャネル26が設けられる部材24の固定のために使用される中央の切取り部32及び打ち抜かれたフィン34を有する複数の領域を補強部材16に設ける。部材24は、部材16の長手方向を横断する方向においてこれらを固定するように、切取り部32内に嵌合する部分を有しており、且つ、従って、フィン34は、部材24を部材16に固定することになる。次いで、チャネル26を貫通するボルト及びナットを使用することにより、PCB12/14を、相互に、且つ、部材24に対して、且つ、従って、補強部材16に対して、固定してもよい。
【0057】
ファン18は、部材20′及び熱伝導性を有する材料28に対する充分な熱的接続を維持するために、スプリング付勢を介して補強部材16に装着される。従って、ファン18の上方に位置するように、部材16の複数の部分36が折り曲げられ、且つ、ファン18を部分36から離れるように且つ部材20′に向かって押圧するように部分36とファン18の間に後から設けられるスプリング42をガイドするために、ピン40が、それぞれの部分36の孔38内に設けられる。PCB12との関係における固定の代わりに、ファン18を付勢するために補強部材16の部分36を使用することにより、PCB12上における空間が節約される。更には、PCB12から力を導出することを要することなしに、力を部品20′に対して印加してもよく、これには、スプリング42が、補強部材16に対してではなく、PCBに対して接続される場合が当てはまることになろう。
【0058】
付勢に起因し、部材36は、部品20′のうちの最も背の高い部品の中心との関係において、印加された力が均衡するように、配置されることが好ましい。これが図7に示されている。
【0059】
これは、複数の方式によって実現されよう。最も背の高い部品20′の中心との関係における部分36の位置に応じて、異なるばね定数を有する弾性部材42を使用してもよく、或いは、同一のスプリング42又は少なくとも同一のばね定数を有する部材を使用してもよいように、部分36の位置を選択してもよい。
【0060】
印加される力及びトルク(最も背の高い部品20′の中心に対する力及びそれまでの距離)をその部品の中心において下向きに直接的に方向付けることにより、部品20′に亀裂が発生することが防止される。これには、表面18′がPCB12の平面に対して垂直ではない力を印加する場合が当てはまることになろう。
【0061】
図7においては、表面18′は、その下方における部材20′の範囲及び位置について示されている。表面18′の中心cと部材20′の中心の判定は容易である。
【0062】
2つのスプリング部材42の位置が円1及び2によって示されており、且つ、2つの垂直の方向が矢印a及びbによって示されている。これらの位置から、第3の及び任意の更なる部材42の最適位置を判定してもよい。
【0063】
製造のためには、すべての弾性手段42が(製造の限度内において)同一であることが望ましいということに起因し、円1及び2並びに更なる弾性手段42の位置は、部品20′の中心からスプリング42の位置1、2までの2つの方向に投影された距離により、簡単に判定される。
【0064】
更に詳しくは、部品20′の中心から方向aに沿って一方向に配置されたすべてのスプリング42における組み合わせられた距離は、部品20′の中心から方向aに沿って反対方向に配置されたすべてのスプリング42における組み合わせられた距離と同一であるか又はそれから所定の距離内にあることを要する。
【0065】
同じことが、方向bに沿っても、当てはまり、これにより、表面18′に対して垂直に方向付けされた部品20′上に、且つ、従って、部品20′の上部表面上に、表面18′によって作用する力を提供する同一のスプリング42を使用することにより、付勢が実現される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7