特許第6122191号(P6122191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6122191-潤滑グリース組成物 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6122191
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】潤滑グリース組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 107/38 20060101AFI20170417BHJP
   C10M 169/00 20060101ALI20170417BHJP
   C10M 169/02 20060101ALI20170417BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20170417BHJP
   C10M 119/22 20060101ALN20170417BHJP
   C10M 117/00 20060101ALN20170417BHJP
   C10M 125/24 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20170417BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20170417BHJP
【FI】
   C10M107/38
   C10M169/00
   C10M169/02
   C10M169/04
   !C10M119/22
   !C10M117/00
   !C10M125/24
   C10N10:04
   C10N20:02
   C10N30:00 Z
   C10N30:06
   C10N30:08
   C10N40:02
   C10N40:04
   C10N50:10
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-146088(P2016-146088)
(22)【出願日】2016年7月26日
【審査請求日】2016年8月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】オリジン電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022275
【氏名又は名称】株式会社ニッペコ
(74)【代理人】
【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子
(72)【発明者】
【氏名】鏑木 肇
(72)【発明者】
【氏名】中村 久哉
(72)【発明者】
【氏名】甚内 猛宏
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−123374(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/052522(WO,A1)
【文献】 特開2009−227958(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/162659(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油が、直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)と側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)の混合物であって、(A)/(B)の質量比が1/0.6〜1/3の範囲内にあることを特徴とするトルクリミッタ用潤滑グリース組成物。
【請求項2】
直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)が一般式(1)で表わされ、かつ、40℃における動粘度が20〜500mm/sであり、側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)が一般式(2)または一般式(3)で表わされ、かつ、40℃における動粘度が20〜500mm/sである請求項1に記載の潤滑グリース組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【請求項3】
増ちょう剤含有量が潤滑グリース組成物全体に対して、2〜60質量%である請求項1または2記載の潤滑グリース組成物。
【請求項4】
増ちょう剤がフッ素樹脂及び/または金属石けんである請求項記載の潤滑グリース組成物。
【請求項5】
固体潤滑剤を潤滑グリース組成物全体に対して0.5〜10質量%添加した請求項1〜4のいずれか1項記載の潤滑グリース組成物。
【請求項6】
固体潤滑剤がリン酸カルシウムである請求項記載の潤滑グリース組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑グリース組成物に関し、さらに詳細には、耐熱性が必要とされる軸受、摺動部等で使用されるトルクリミッタ用として好適な潤滑グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の給排紙装置では、紙の重送防止等のため、トルクリミッタが用いられている。トルクリミッタには、ばねの内輪に対するラジアル方向の緊縛力を利用したものがあり、セパレート型の金属製内輪の外側に円筒状のコイルばねが設けられ、内輪に対する締め代を変化させることで、ばねの緊縛力を変化させてトルク調整をしている(特許文献1等参照)。
【0003】
トルクリミッタには、内輪とばね間の摩耗、異常発熱等を防止するために、潤滑剤が用いられているが、潤滑剤が摺動面に十分にない場合、金属同士の接触が多く発生し、早期に摩耗が発生したり、スティックスリップが発生する。スティックスリップは、滑り面で発生する振動現象であり、接触滑り面の潤滑状態の変化による摩擦係数の変化等が原因で発生する。
【0004】
しかし、トルクリミッタの周辺部品には、加工性の良いポリカーボネートやABS樹脂等の非結晶性樹脂が使用されるため、基油に鉱物油、アルキルナフタレン、エステル等を使用した潤滑剤は、非結晶性樹脂を劣化させてしまう、耐熱性が劣っているため高温下で使用すると寿命が短い、臭気が発生する等の問題点を有している。そのため、トルクリミッタ用潤滑剤の基油には、これらの問題点がなく、しかも、酸化安定性、潤滑性、耐加水分解性、耐火性、耐薬品性、耐揮発性に優れるフッ素系潤滑剤(パーフルオロポリエーテル)が用いられることが多い(特許文献2〜3等参照)。
【0005】
直鎖型パーフルオロポリエーテルは、流動点が低く、粘度指数が大きいため低温から高温までの広い範囲で使用できるが、高温状態での動粘度が高い。この高温状態は、金属製内輪の回転速度の上昇と、発生するトルク値の増大によってもたらされる。そのため、直鎖型パーフルオロポリエーテルのみを基油に用いた潤滑剤は、低温環境下での使用特性や耐摩耗性には優れているが、高温下で使用するとトルクリミッタの寿命が短くなる(即ち、「耐摩耗性」が劣る)等技術面での課題がある。また、コスト面での課題もある。
【0006】
一方、側鎖型パーフルオロポリエーテルは、流動点が直鎖型よりも高く、粘度指数が小さいため、低温状態での動粘度が高い。そのため、側鎖型パーフルオロポリエーテルのみを基油に用いた潤滑剤は、トルクリミッタが低温下で使用されたときには、潤滑剤がばねと金属製内輪との間に滞留し難くなるため、十分な油膜を形成できなくなり、金属間接触を引き起こし、トルクリミッタの耐久性を低下させる。低温環境下での潤滑剤の滞留性を向上させるため潤滑剤の粘度を低く設定しようとすると、基油を低分子量化することになるため、基油の蒸発損失によりトルクリミッタの耐久性が低下する。したがって、側鎖型パーフルオロポリエーテルは単独で基油に用いられることは少ないが、高温での耐久性に優位性があり、コスト面でも有利である。
【0007】
更には、トルクリミッタを使用した複写機やプリンタ等は、世界中で使用されるため、低温環境下や高温環境下で問題なく、できるだけ長時間使用できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−053648号公報
【特許文献2】特開2006−348292号公報
【特許文献3】特開2006−291206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、低温から高温まで広い温度範囲で良好な温度特性を有し、低速〜中速〜高速回転における耐久性、耐スティックスリップ性および耐摩耗性に優れた潤滑グリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討の結果、潤滑グリース組成物の基油として、直鎖型パーフルオロポリエーテルと側鎖型パーフルオロポリエーテルを所定の混合比で用いることにより、予期しない相乗効果が発現し、上記目的を効率よく達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、基油が、直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)と側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)の混合物であって、(A)/(B)の質量比が1/0.6〜1/3の範囲内にあることを特徴とするトルクリミッタ用潤滑グリース組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温から高温まで広い温度範囲で良好な温度特性を有し、低速〜中速〜高速回転における耐久性、耐スティックスリップ性および耐摩耗性に優れた潤滑グリース組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】耐久性(寿命特性)試験に使用した試験機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の(A)成分;直鎖型パーフルオロポリエーテルは、一般式(1)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0015】
一般式(1)で示される(A)成分;直鎖型パーフルオロポリエーテルは、40℃動粘度は20〜500mm/sである。動粘度がこの範囲内であれば、低温下での基油の動粘度を低く維持することができるとともに、基油の蒸発損失を抑制できるので、潤滑グリース組成物の耐スティックスリップ性、耐摩耗性が向上する。
【0016】
本発明の(B)成分;側鎖型パーフルオロポリエーテルは、一般式(2)または一般式(3)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0017】
一般式(2)または一般式(3)で示される(B)成分;側鎖型パーフルオロポリエーテルは、40℃動粘度は20〜500mm/sである。側鎖型パーフルオロポリエーテルは、動粘度が低すぎると蒸発損失が大きくなり、耐久性が低下する傾向にある。一方、動粘度が高すぎると、低温性能が悪いことに加え、高温下でも動粘度が高くなり、潤滑グリース組成物が所望の性能を長期的に維持し難くなる。
【0018】
上記の直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)と側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)の質量比(A)/(B)は、1/0.6〜1/3の範囲内にあることが重要であり、より好ましくは(A)/(B)は、1/0.75〜1/2の範囲である。
【0019】
パーフルオロポリエーテルは、極性基(C−O)が金属に対して吸着性があり強固な膜をつくるため、良好な潤滑性能を発揮すると考えられている。中でも側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)は、側鎖があるためにポリマーのフレキシビリティーが高く、また、その立体構造から厚く表面保護力が強い油膜を形成すると考えられている。本発明の潤滑グリース組成物が、優れた性能を発揮する理由は明らかではないが、以下のように推察する。すなわち、側鎖型パーフルオロポリエーテルの表面張力は全体的に直鎖型パーフルオロポリエーテルの表面張力よりも低い。そのため低温下では、動粘度が低い直鎖型パーフルオロポリエーテルが金属やばねに速やかに吸着して膜を形成するが、常温から高温となり動粘度が次第に低下してくると、直鎖型パーフルオロポリエーテルよりも表面張力の低い側鎖型パーフルオロポリエーテルが、金属に対して迅速に吸着して厚い膜を形成する。側鎖型ポリマーはフレキシビリティーを有するため、側鎖型パーフルオロポリエーテルの吸着状態は、長期的に安定的に維持される結果、潤滑グリース組成物の耐久性や耐スティックスリップ性が向上するものと推察される。
一方、潤滑グリース組成物において、直鎖型パーフルオロポリエーテルの質量比が高すぎる場合は、厚く安定的に維持される強固な油膜形成が困難となるため寿命が短くなり、また、側鎖型パーフルオロポリエーテルの質量比が高すぎる場合は、低温特性が著しく悪化することとなるため耐スティックスリップ性が低下するものと推察される。
【0020】
本発明の潤滑グリース組成物は、これを充填したトルクリミッタの回転速度によって、最適な潤滑剤のちょう度は変化する。低温低速の場合は、潤滑グリース組成物は軟らかい方が長寿命になる。高温高速の場合は、潤滑グリース組成物が軟らかいと、内輪やばねへ保持される力が弱くなるので、潤滑剤としての効果が弱くなる。そのため、回転速度と使用環境によって最適ちょう度は異なり、使用目的によって最適ちょう度に調整することが好ましい。
【0021】
本発明の潤滑グリース組成物においては、側鎖型パーフルオロポリエーテルを直鎖型パーフルオロポリエーテルと併用して用いることが必要であるが、潤滑グリースを適用する状況に応じて、直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)と側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)の比率を適宜選択することができる。
【0022】
例えば、直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)は低温特性に優れ、起動トルクを低くすることができるので、低速回転用潤滑グリースには直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)を多く含む組成が好適であり、この場合、(A)/(B)の質量比は1/0.6〜1/2の範囲が好ましく、より好ましくは1/0.75〜1/1.5の範囲である。
【0023】
他方、高温特性に優れる側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)は高温特性に優れ、耐スティックスリップ性が良好であるので、高速回転用潤滑グリースには側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)を多く含む組成が好適であり、この場合、(A)/(B)の質量比は1/1〜1/3の範囲が好ましく、より好ましくは1/1〜1/2の範囲である。
【0024】
本発明の潤滑グリース組成物では、所望の潤滑特性ならびに耐摩耗性を発揮させるためには、増ちょう剤含有量を潤滑グリース組成物全体に対して2〜60質量%、好ましくは5〜40質量%の割合で配合することが適当である。増ちょう剤の種類ならびに添加量は、潤滑グリース組成物の硬さ(ちょう度)や潤滑特性等を考慮して、適宜決定すれば良い。例えば、流動性の良い潤滑グリース組成物が求められる場合は、増ちょう剤の含有量を潤滑グリース組成物全体に対して10質量%以下とすることが好ましい。また、高温高速の場合、増ちょう剤の含有量を潤滑グリース組成物全体に対して15〜40質量%とすることが好ましい。増ちょう剤を、潤滑グリース組成物全体に対して60質量%を超えて配合した場合は、潤滑グリース組成物が硬くなり、グリースとしての機能を果たすことができなくなる。
【0025】
増ちょう剤としては、フッ素樹脂が好ましく用いられる。フッ素樹脂は、従来から潤滑剤として用いられているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルキレン樹脂等が用いられる。フッ素樹脂は乳化重合、懸濁重合、溶液重合等の方法によって製造された重合体を、熱分解または粉砕等の方法によって数平均分子量を約1,000〜50万程度としたものが用いられる。得られた粉末状のフッ素樹脂は、一般に約100μm以下、好ましくは約0.1〜30μmの平均一次粒径を有するものである。
【0026】
フッ素樹脂以外の増ちょう剤として、Na、Li、Ca、Ba、Al等の金属石けん系増ちょう剤、カーボンブラック、(アルキル)テレフタラメート、メラミンシアヌレート、ウレア樹脂、ベントナイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の非石けん系増ちょう剤も使用できる。アルキルテレフタラメートは、アルキル基の炭素数が8〜22のものを1種または2種以上を組合せて使用でき、塩を形成する金属がNa、K、Li、Zn、Ca、Ba、Mg、Sr、Ti、Al、Fe、Cu等のものを1種または2種以上混合して使用できる。これらの増ちょう剤とフッ素樹脂を併用しても良く、フッ素樹脂と併用する増ちょう剤は金属石けん系増ちょう剤が好ましい。
【0027】
本発明の潤滑グリース組成物には、公知の固体潤滑剤を潤滑グリース組成物全体に対して0.5〜10質量%の割合で配合することができる。固体潤滑剤としては、リン酸カルシウムが好ましい。さらに、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、極圧剤、油性剤等の従来潤滑剤に添加されている添加剤を必要に応じて添加しても良い。
【0028】
本発明の潤滑グリース組成物の調製は、公知の方法で行えば良く、たとえば、2種類のパーフルオロポリエーテルを混合した基油に増ちょう剤、固体潤滑剤ならびに必要な他の添加剤を添加し、適宜な装置で混練する方法を挙げることができる。
【0029】
本発明の潤滑グリース組成物は、種々の用途に使用できるが、特に耐熱性が必要とされる軸受、摺動部の潤滑に好適に使用される。最も好適な使用形態は、トルクリミッタであり、特に複写機やプリンタ等の給排紙装置用トルクリミッタである。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0031】
表1に示す基油、増ちょう剤、固体潤滑剤を、表1に示す割合(質量%)でよく混ぜ合せ、グリース組成物(実施例1、2、比較例1〜4)を調製した。得られたグリース組成物を以下の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
【0032】
[耐久性(寿命特性)]
図1に概略を示す試験機を用いて試験を実施した。すなわち、表1に示すグリース組成物を充填したトルクリミッタのハウジングを試料として、試験機の試料取付け治具に取り付け、所定のトルクに設定した後、モータに取り付けられたプーリからタイミングベルトを介して内輪を所定の回転速度で回転させた。トルクが低下するか顕著なスティックスリップが発生するまでの回転時間を求め、グリースの耐久性を以下のように判定した。
◎;耐久性極めて良好;回転時間500時間超
○;耐久性良好 ;回転時間300〜500時間
×;耐久性不良 ;回転時間300時間未満
【0033】
耐久性の試験は、所定の回転速度として、50rpm、100rpm、400rpmおよび600rpmの4つの水準を採用した。なお、回転速度が50rpmの場合は低速耐久性、100rpmの場合は中低速耐久性、400rpmの場合は中速耐久性、600rpmの場合は高速耐久性を意味する。
【0034】
【表1】
【0035】
(*1)一般式(1)で表わされる化合物。
平均分子量9,500、動粘度(40℃)150mm/sec、流動点−65℃
(*2)一般式(2)で表わされる化合物。
平均分子量6,000、動粘度(40℃)320mm/sec、流動点−25℃
(*3)平均一次粒径0.2μm
(*4)ステアリン酸カルシウム
【0036】
表1の結果より、本願発明の直鎖型パーフルオロポリエーテルと側鎖型パーフルオロポリエーテルを所定の範囲内で併用することにより、耐久性に優れた潤滑グリースが得られること、そして当該潤滑グリースは低温〜高温での耐久性に優れることがわかる。
【要約】
【課題】低温から高温まで広い温度範囲で良好な温度特性を有し、低速〜中速〜高速回転における耐久性、耐スティックスリップ性および耐摩耗性に優れた潤滑グリース組成物を提供する。
【解決手段】基油が、直鎖型パーフルオロポリエーテル(A)と側鎖型パーフルオロポリエーテル(B)の混合物であって、(A)/(B)の質量比が1/0.6〜1/3の範囲内にあることを特徴とする潤滑グリース組成物である。
【選択図】なし
図1