【文献】
岡本 青史、関口 実、三末 和男、西野 文人,カスタマーセンター支援システム,人工知能学会誌,日本,(社)人工知能学会,2000年11月 1日,第15巻、第6号,p.1027−1034
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、前記送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する提示部と、
前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する収集部と、
前記収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める統計部と、
前記求められた統計から、前記収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する算定部と、
前記収集されたメッセージのうち、前記算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、前記テンプレート群に追加すべき候補として出力する出力部と、
を備えることを特徴とするメッセージ処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、意味解析を行うと、システムにかかる負担は大きく、より簡易且つ適切に、テンプレートに追加すべき候補を得たいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、テンプレートに追加すべきメッセージの候補を、客観的な情報に基づき適切に得ることができるメッセージ処理装置、メッセージ処理方法、プログラム、及び、非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係るメッセージ処理装置は、
送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、前記送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する提示部と、
前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する収集部と、
前記収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める統計部と、
前記求められた統計から、前記収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する算定部と、
前記収集されたメッセージのうち、前記算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、前記テンプレート群に追加すべき候補として出力する出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記観点に係るメッセージ処理装置において、
前記テンプレート群に含まれるメッセージには、複数種類の言語の対訳が予め用意されており、
前記提示部は、
前記宛先ユーザから、前記複数種類の言語の中から第1言語の指定を受け付け、
前記宛先ユーザに、前記送付元ユーザにより前記テンプレート群の中から選択されたメッセージを、前記第1言語で提示する
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記観点に係るメッセージ処理装置において、
前記提示部は、
前記送付元ユーザから、前記複数種類の言語の中から第2言語の指定を受け付け、
前記送付元ユーザに、前記テンプレート群のメッセージを、前記第2言語で提示する
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記観点に係るメッセージ処理装置において、
前記送付元ユーザから、前記選択されたメッセージの内容を補充する補充用字句の指定を受け付け、
前記宛先ユーザに、前記補充用字句を、前記第2言語で提示する
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記観点に係るメッセージ処理装置において、
前記統計部は、前記収集されたメッセージにおける前記字句の出現確率を求め、
前記出力部は、前記出力されるメッセージのそれぞれについて、当該メッセージに出現する字句のうち最も出現確率の低い字句を、当該メッセージにおいて、前記補充用字句が配置される箇所の候補であることを示して、前記メッセージを出力する
ことを特徴とする。
【0012】
また、上記観点に係るメッセージ処理装置において、
前記テンプレート群に含まれるメッセージには、複数種類の言語の対訳が予め用意されており、
前記提示部は、
前記宛先ユーザから、前記複数種類の言語の中から第1言語の指定を受け付け、
前記送付元ユーザから、前記複数種類の言語の中から第2言語の指定を受け付け、
前記宛先ユーザに、前記テンプレート群に含まれるメッセージを前記第1言語及び前記第2言語で提示する
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の観点に係るメッセージ処理方法は、
メッセージ処理装置が実行するメッセージ処理方法であって、
前記メッセージ処理装置が、送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、前記送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する提示工程と、
前記メッセージ処理装置が、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する収集工程と、
前記メッセージ処理装置が、前記収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める統計工程と、
前記メッセージ処理装置が、前記求められた統計から、前記収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する算定工程と、
前記メッセージ処理装置が、前記収集されたメッセージのうち、前記算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、前記テンプレート群に追加すべき候補として出力する出力工程と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、前記送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する提示部、
前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する収集部、
前記収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める統計部、
前記求められた統計から、前記収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する算定部、
前記収集されたメッセージのうち、前記算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、前記テンプレート群に追加すべき候補として出力する出力部、
として機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の観点に係る非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体は、
コンピュータを、
送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、前記送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する提示部、
前記送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する収集部、
前記収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める統計部、
前記求められた統計から、前記収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する算定部、
前記収集されたメッセージのうち、前記算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、前記テンプレート群に追加すべき候補として出力する出力部、
として機能させることを特徴とするプログラムを記録する。
【0016】
上記非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な(non-transitory)情報記録媒体とは、有形な(tangible)情報記録媒体をいう。非一時的な情報記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)情報記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な情報記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テンプレートに追加すべきメッセージの候補を、客観的な情報に基づき適切に得ることができるメッセージ処理装置、メッセージ処理方法、プログラム、及び、非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1.全体構成)
本発明の実施形態に係るメッセージ処理装置100は、
図1に示すように、インターネット400に接続される。インターネット400には、メッセージ処理装置100と、ショッパー端末201、202〜20m(以下、これらを総称して「ショッパー端末200」という)と、ショップ端末301、302〜30n(以下、これらを総称して「ショップ端末300」という)と、が接続されている。
【0020】
メッセージ処理装置100は、電子市場において、ショッパーに問合せフォームを提示し、問い合わせ内容をショップあるいは電子市場の管理者に提示する装置である。また、メッセージ処理装置100は、インターネット上で商品やサービスの売買が行われる電子市場を管理する機能を有していてもよい。
【0021】
ショッパー端末200は、電子市場においてショップが販売する商品の閲覧・購入を行うショッパーが使用する端末である。ショッパーは、電子市場のサイトを介して、ショップに商品や購入についての問合せを行う。
【0022】
ショップ端末300は、電子市場において商品を販売するショップが使用する端末である。ショップは、電子市場のサイトを介して、ショッパーからの問合せを受け付ける。
【0023】
(2.情報処理装置の概要構成)
本発明の実施形態に係るメッセージ処理装置100が実現される典型的な情報処理装置600の概要構成について説明する。
【0024】
情報処理装置600は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)601と、ROM(Read Only Memory)602と、RAM(Random Access Memory)603と、記憶装置604と、NIC(Network Interface Card)605と、画像処理部606と、音声処理部607と、ディスプレイ608と、スピーカ609と、コントローラ610と、を備える。
【0025】
CPU 601は、情報処理装置600全体の動作を制御し、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりする。
【0026】
ROM 602には、情報処理装置600全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0027】
RAM 603は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、記憶装置604から読み出したプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0028】
記憶装置604は、ハードディスクやフラッシュメモリ等から構成され、情報処理装置600で処理するデータを記憶する。また、記憶装置604は、CD(Compact Disc)等の非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体からデータを読み出すデバイス等を備えるように構成されてもよい。
【0029】
NIC 605は、情報処理装置600をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するためのものであり、NIC 605を介して他の情報処理装置等とやりとりをする。
【0030】
画像処理部606は、記憶装置604等から読み出されたデータをCPU 601や画像処理部606が備える画像演算プロセッサによって加工処理し、画像処理部606が備えるフレームメモリに記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され、ディスプレイ608に出力される。
【0031】
音声処理部607は、記憶装置604等から読み出されたデータをアナログ音声信号に変換し、スピーカ609から出力させる。
【0032】
コントローラ610は、ユーザからの指示入力を受け付ける。
【0033】
以下、上記情報処理装置600において実現されるメッセージ処理装置100について、
図1乃至
図11を参照して説明する。情報処理装置600に電源が投入されると、実施形態に係るメッセージ処理装置100として機能させるプログラムが実行され、実施形態に係るメッセージ処理装置100が実現される。
【0034】
(3.実施形態に係るメッセージ処理装置の概要構成)
実施形態に係るメッセージ処理装置100は、
図3に示すように、提示部101と、収集部102と、統計部103と、算定部104と、出力部105と、から構成される。
【0035】
本実施形態において、CPU 601及びNIC 605が協働して、提示部101、収集部102、統計部103、及び、出力部105として機能する。また、CPU 601が算定部104として機能する。
【0036】
提示部101は、送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する。
【0037】
送付元ユーザとは、メッセージを宛先ユーザに送ることを希望する者であり、例えば、問合せを行うショッパーである。
【0038】
宛先ユーザとは、送付元ユーザからメッセージを受ける者であり、例えば、問合せを受けるショップである。
【0039】
メッセージとは、送付元ユーザがテンプレート群から選択したもの、又は、送付元ユーザが作成したものであり、例えば、問合せ内容を示すものである。
【0040】
テンプレート群とは、予め用意されたメッセージの集まりであり、例えば、典型的な問合せ内容を示すメッセージの集まりである。
【0041】
ここで、テンプレート群に含まれるメッセージには、複数種類の言語の対訳が予め用意されているとする。
【0042】
例えば、テンプレート群に含まれるメッセージの対訳が、メッセージDB 700に格納されているとする。メッセージの対訳は、人間が翻訳したものとする。なお、対訳テーブル700aはメッセージ処理装置100が有していても良いし、外部の装置であっても良い。
【0043】
例えば、対訳は、メッセージDB 700に格納される対訳テーブル700a(
図4)に登録されているとする。
図4の対訳テーブル700aには、テンプレート群に含まれるメッセージの内容を特定するためのテンプレートID700a1と、言語700a2と、メッセージ700a3と、が対応付けて登録されている。同じテンプレートIDを有するメッセージは、同じ意味内容を示す。
【0044】
図4の対訳テーブル700aの1行目は、テンプレートIDが“1”のテンプレートを英語で表記したメッセージは、“I want to know if you ship to my country”であることを示す。
【0045】
提示部101は、宛先ユーザから、複数種類の言語の中から第1言語の指定を受け付ける。また、提示部101は、送付元ユーザから、複数種類の言語の中から第2言語の指定を受け付ける。
【0046】
第1言語とは、宛先ユーザの母国語、又は、英語など世界で広く用いられており、宛先ユーザが理解できる言語である。また、第2言語とは、送付元ユーザの母国語、又は、英語など世界で広く用いられており、送付元ユーザが理解できる言語である。第1言語と第2言語とは、同じ言語である場合もあるが、多くの場合は、両言語は異なる。
【0047】
例えば、提示部101は、宛先ユーザであるショップが、電子市場のサイトにおいて指定している表示言語を、第1言語として受け付ける。また、提示部101は、送付元ユーザであるショッパーが、電子市場のサイトにおいて指定している表示言語を、第2言語として受け付ける。本実施形態において、第1言語は日本語、第2言語は英語であるとする。
【0048】
提示部101は、送付元ユーザに、テンプレート群のメッセージを、第2言語で提示する。
【0049】
例えば、提示部101は、
図5に示すような問合せフォーム510を、ショッパーに提示する。以下、問合せフォーム510を用いて、ショップXへショッパーY(氏名“Jack Smith”)が問合せを行う例を示す。
【0050】
問合せフォーム510には、問合せを行う者の名前や、Eメールアドレスを記入する欄、商品及び注文を特定するための欄、及び、問い合わせ内容を選択・記入する欄が含まれる。
【0051】
問合せフォーム510において、ボタン511を押すと、典型的な問合せ内容を示すメッセージのテンプレート群512が表示される。提示部101は、テンプレート群512に含まれるメッセージを、第2言語である英語で提示する。
【0052】
提示部101は、宛先ユーザに、送付元ユーザによりテンプレート群の中から選択されたメッセージを、第1言語で提示する。
【0053】
また、提示部101は、選択されたメッセージの内容を補充する補充用字句の指定を受け付け、宛先ユーザに、補充用字句を、第2言語で提示する。
【0054】
補充用字句とは、テンプレート群に含まれるメッセージであって、選択されたメッセージの内容を補充する字句である。
【0055】
例えば、
図6に示すように、問合せフォーム510において、メッセージ“I want to know if you ship to my country.”が選択され、欄513に“New Zealand”が記入されたとする。これらの記載は、ショッパーYが、ニュージーランドに商品の発送が可能か否かを問い合わせていることを示す。この例では、“New Zealand”が補充用字句である。メッセージ中の“my country”が欄513に記入された“New Zealand”により限定されている。
【0056】
図6において、ボタン514が押されると、提示部101は、テンプレート群から選択されたメッセージ“I want to know if you ship to my country.”と、欄513に記入された“New Zealand”とを、ショップXに送信する。
【0057】
そして、提示部101は、対訳テーブル700aを参照し、
図7に示すように、テンプレート群512から選択された英語のメッセージ“I want to know if you ship to my country.”の日本語の対訳「私の国へ発送をおこなっていますか?」をショップXに提示する。また、補充用字句を英語のまま、ショップXに提示する。
【0058】
一方、
図8において、テンプレート群512に含まれるメッセージが選択されず、“Other”の選択肢が選択され、欄513に、ショッパーYにより作成されたメッセージが記入されてボタン514が押されると、提示部101は、メッセージ“I entered a wrong shipping address. The correct address is xxx xxx xxx.”をショップXに送信する。そして、提示部101は、当該メッセージを英語のままショップXに提示する。
【0059】
収集部102は、送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する。
【0060】
例えば、収集部102は、
図8に示すように、“Other”の選択肢が選択され、欄513に、ショッパーYにより作成されたメッセージが記入されてボタン514が押されると、欄513に記入されたメッセージ“I entered a wrong shipping address. The correct address is xxx xxx xxx.”を、メッセージDB 700に格納する。
【0061】
例えば、収集されたメッセージは、メッセージDB 700に格納される収集メッセージテーブル700b(
図9)に登録される。
図9の収集メッセージテーブル700bには、収集したメッセージを特定するためのメッセージID 700b1と、収集したメッセージ700b2と、が対応付けて登録されている。
【0062】
図9の収集メッセージテーブル700bの1行目は、メッセージID“1”のメッセージが“I entered a wrong shipping address.”であることを示す。
【0063】
統計部103は、収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める。
【0064】
ここで、例えば、統計部103は、収集されたメッセージにおける字句の出現確率を求める。
【0065】
例えば、収集されたメッセージにおける字句とは、各メッセージに含まれる単語であるとし、収集されたメッセージには、N種類の単語が含まれるとする。N種類の単語w
1、w
2、・・・、w
Nの出現頻度をo
1、o
2、・・・、o
Nとすると、各単語の出現確率は数1のように表すことができる。
【0067】
すなわち、統計部103は、収集されたメッセージに出現する単語について、p
iを求める。
【0068】
算定部104は、求められた統計から、収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する。
【0069】
例えば、収集されたメッセージがM個あり、あるメッセージmが、L個の単語w
s[1]w
s[2]・・・w
s[L]から構成されるとする。この場合、メッセージmの出現確率は数2のように表すことができる。
【0071】
すなわち、算定部104は、収集されたM個のメッセージについて、p(m)を求める。
【0072】
なお、数1、数2は、1-gramのモデルに従って出現確率を計算したものであるが、統計部103及び算定部104が求める出現確率はこれに限らない。例えば、単語の隣接関係を考慮した2-gramモデルや、nが3以上のn-gramモデルに従って出現確率を計算してもよい。
【0073】
例えば、2-gramモデルに従う場合、w
iw
jの出現確率は、数3のように表すことができる。
【0075】
そして、メッセージmの出現確率は、数4のように表すことができる。
【0077】
また、n-gramモデルに従う場合、w
i1w
i2・・・w
inの出現確率は、数5のように表すことができる。
【0079】
そして、メッセージmの出現確率は、数6のように表すことができる。
【0081】
出力部105は、収集されたメッセージのうち、算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、テンプレート群に追加すべき候補として出力する。
【0082】
例えば、算定部104が収集したメッセージM個について算定したメッセージp(m)が、所定の閾値(例えば、0.001)を超えたメッセージを、テンプレート群512に追加すべき候補として、出力する。または、メッセージM個のうちp(m)の値の上位から任意の数を、テンプレート群に追加すべき候補として出力するようにしてもよい。
【0083】
そして、例えば、出力部105は、出現確率が所定の閾値を超えたメッセージを、
図10のページ530に含めて提示する。
【0084】
本実施形態によれば、テンプレート群に追加すべきメッセージの候補を、人間の経験や直感に頼ること無く、適切に得ることができる。
【0085】
また、例えば住所などの個人情報が含まれるメッセージは、個人情報の出現確率が低いので、そのメッセージの出現確率は極めて低くなる。よって、本実施形態によれば、個人情報を含むメッセージがテンプレートに含めるべき候補として出力されないようにすることができ、プライバシーを保つことができる。
【0086】
なお、出力部105は、出力されるメッセージのそれぞれについて、当該メッセージに出現する字句のうち最も出現確率の低い字句を、当該メッセージにおいて、補充用字句が配置される箇所の候補であることを示して、メッセージを出力するようにしてもよい。
【0087】
一般的に、固有名詞は他の品詞と比較して出現確率は低いと考えられる。例えば、テンプレート群に追加すべき候補として出力されたメッセージ“How much is the shipping to Indonesia?”のうち、最も出現確率の低い単語が、“Indonesia”であるとする。出力部105は、ページ530(
図10)において“Indonesia”の位置が補充用字句が配置される箇所の候補であることを示すメッセージ531を表示する。また、テンプレート群に追加すべき候補として出力されたメッセージ“Can I change to AAA?”のうち、最も出現確率の低い単語が、“AAA”(商品名)であるとする。出力部105は、ページ530において、“AAA”の位置が補充用字句が配置される箇所の候補であることを示すメッセージ532を表示する。
【0088】
そして、例えば、問合せフォームの管理者に補充用字句の配置候補が提示されると、管理者は、“How much is the shipping to Indonesia?”の“Indonesia”を“my country”で置換した“How much is the shipping to my country?”をテンプレート群に追加してもよい。また、“Can I change to AAA?”の“AAA”を“another product”で置換した“Can I change to another product?”をテンプレート群に追加してもよい。
【0089】
例えば、出力部105は、メッセージ“How much is the shipping to my country?”を受け付け、当該メッセージをテンプレート群512に追加する。
【0090】
補充用字句でメッセージの内容を補充できるメッセージをテンプレートとして用意しておくと、テンプレート群に含めるメッセージの数を抑えることができる。例えば、“How much is the shipping to my country?”がテンプレート群に含まれていれば、補充用字句“Indonesia”や“Singapore”を指定することにより、どこの国への発送について問い合わせているのかを示すことができる。したがって、“How much is the shipping to Indonesia?”、“How much is the shipping to Singapore?”、等のように、地名は異なるが同じ事柄を質問しているメッセージそれぞれをテンプレート群に含める必要はなくなる。
【0091】
すなわち、このような構成により、テンプレート群に追加すべきメッセージについて、さらに汎用性のあるメッセージへの変更の可能性を示すことができる。
【0092】
また、補充用字句の配置候補として提示された箇所を他の字句に変更したメッセージを作成してテンプレート群に追加することにより、多数のメッセージをテンプレート群に含む必要がなく、汎用性の高いメッセージをテンプレート群に含むことができる。また、テンプレート群に含めるメッセージ数を抑えることができ、当該メッセージの対訳を用意するコストを下げることができる。
【0093】
なお、提示部101は、宛先ユーザに、テンプレート群に含まれるメッセージを第1言語及び第2言語で提示するようにしてもよい。
【0094】
例えば、提示部101は、
図7の問合せフォーム520において、ショッパーYが選択した英語のメッセージ“I want to know if you ship to my country.”と、当該メッセージの日本語の対訳「私の国へ発送をおこなっていますか?」を、提示する。
【0095】
このような構成により、メッセージを提示された宛先ユーザは、送付元ユーザが選択した第2言語のメッセージと、そのメッセージの第1言語での対訳とを対比して確認することができる。また、送付元ユーザが選択したメッセージを第2言語で提示することにより、第2言語で提示される補充用字句の意図を理解する上で有益な情報を提供することができる。
【0096】
(4.実施形態のメッセージ処理装置の動作)
本実施形態のメッセージ処理装置100の動作について説明する。メッセージ処理装置100は、例えば、電源が投入されると、
図11に示すメッセージ処理を開始する。
【0097】
提示部101は、問合せフォームの提示要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS101)。提示部101は、問合せフォームの提示要求を受け付けたと判断すると(ステップS101;Yes)、問合せフォームを提示する(ステップS102)。一方、提示部101は、問合せフォームの提示要求を受け付けていないと判断すると(ステップS101;No)、出力部105は、テンプレート群に追加すべき候補の出力要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS108)。
【0098】
例えば、ショッパーYから問合せフォームの提示要求が送信されると、提示部101は、
図5の問合せフォーム510を、ショッパーYのショッパー端末200に送信する。一方、問合せフォームの提示要求を受け付けていない場合、出力部105は、テンプレート群512に追加すべき候補の出力要求があったか否かを判断する。
【0099】
収集部102は、問合せを受け付けたか否かを判断する(ステップS103)。収集部102は、問合せを受け付けたと判断すると(ステップS103;Yes)、受け付けたメッセージがテンプレート群に含まれるメッセージか否かを判断する(ステップS104)。一方、収集部102は、問合せを受け付けていないと判断すると(ステップS103;No)、そのまま待機する。
【0100】
例えば、問合せフォームにおいて、問合せの送信を指示するボタン514が押されると、収集部102は、問合せを受け付けたと判断し、受け付けた問合せに含まれるメッセージがテンプレート群512に含まれるメッセージであるか否かを判断する。一方、問合せフォームにおいてボタン514が押されない場合は、そのまま待機する。
【0101】
ステップS104において、収集部102が、受け付けたメッセージがテンプレート群に含まれるメッセージであると判断すると(ステップS104;Yes)、提示部101は、当該メッセージの対訳を提示する(ステップS107)。一方、収集部102が、受け付けたメッセージがテンプレート群に含まれるメッセージでないと判断すると(ステップS104;No)、提示部101は、メッセージをそのまま提示する(ステップS105)。そして、収集部102は、メッセージを収集する(ステップS106)。ステップS106、S107の処理が終了すると、ステップS101に戻る。
【0102】
例えば、
図6の問合せフォーム510においてボタン514が押されて、テンプレート群512に含まれるメッセージ“I want to know if you ship to my country.”を受け付けたとすると、提示部101は、ショップ端末300の表示言語(ここでは、日本語)を取得し、対訳テーブル700aを参照して、“I want to know if you ship to my country.”のテンプレートID“1”と、表示言語“日本語”とに対応付けられたメッセージを選択する。そして、提示部101は、
図7に示すように、“I want to know if you ship to my country.”のメッセージの日本語訳「私の国へ発送をおこなっていますか?」が含まれる問合せフォームをショップ端末300に提示し、ステップS101に戻る。なお、補充用字句が記入されている場合は、提示部101は、日本語訳とあわせて補充用字句を提示する。
【0103】
一方、
図8の問合せフォーム510においてボタン514が押されて、テンプレート群512に含まれないメッセージ“I entered a wrong shipping address. The correct address is xxx xxx xxx.”を受け付けたとすると、提示部101は、メッセージをそのままショップ端末300に提示する。そして、収集部102は、テンプレート群512に含まれないメッセージを、収集メッセージテーブル700bに登録し、ステップS101に戻る。
【0104】
ステップS108において、出力部105は、テンプレート群に追加すべき候補の出力要求を受け付けたと判断すると(ステップS108;Yes)、統計部103は、収集したメッセージに含まれる字句の統計を求める(ステップS109)。一方、出力部105は、テンプレート群に追加すべき候補の出力要求を受け付けていないと判断すると(ステップS108;No)、ステップS101に戻る。
【0105】
例えば、電子市場の管理者より、問合せフォームのテンプレート群に追加すべきメッセージの候補の出力要求を受け付けたとすると、統計部103は、収集されたM個のメッセージに含まれる単語のそれぞれについて、出現確率を求める(数1)。一方、候補の出力要求を受け付けていない場合、ステップS101に戻る。
【0106】
算定部104は、収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する(ステップS110)。
【0107】
例えば、算定部104は、単語の出現確率に基づいて、当該単語を含むメッセージの出現確率を求める(数2)。
【0108】
出力部105は、収集されたメッセージのうち、算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、テンプレート群に追加すべき候補として出力する(ステップS111)。
【0109】
例えば、出力部105は、収集されたM個のメッセージの出現確率が、所定の閾値以上のメッセージを選択し、当該メッセージが含まれるページ530(
図10)を、候補の出力要求を行った管理者に提示する。なお、この際に、所定の閾値以上のメッセージにおいて、最も出現確率の低い単語を、補充用字句が配置される箇所の候補として出力してもよい。
【0110】
なお、本実施形態において、メッセージ処理装置100が、電子市場の問合せフォームに含まれるメッセージについて、テンプレート群に追加すべき候補を提示する例を示したが、メッセージ処理装置100の適用はこのような形態に限らない。本願のメッセージ処理装置は、テンプレート群に追加すべきメッセージの候補を提示する、あらゆる状況に適用可能である。
【0111】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
提示部(101)は、送付元ユーザに、メッセージのテンプレート群を提示し、当該テンプレート群の中から、送付元ユーザにより選択されたメッセージ、又は、送付元ユーザにより作成されたメッセージを、宛先ユーザに提示する。収集部(102)は、送付元ユーザにより作成されたメッセージを収集する。統計部(103)は、収集されたメッセージに出現する字句の統計を求める。算定部(104)は、求められた統計から、収集されたメッセージにおける各メッセージの出現確率を算定する。出力部(105)は、収集されたメッセージのうち、算定された出現確率が所定の閾値以上のメッセージを、テンプレート群に追加すべき候補として出力する。