(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122277
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】ATMユーザ補助装置
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
G07D9/00 401Z
G07D9/00 401C
G07D9/00 426C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-245780(P2012-245780)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-95956(P2014-95956A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 洋
【審査官】
角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−027207(JP,A)
【文献】
特開2011−018125(JP,A)
【文献】
特開2010−079749(JP,A)
【文献】
特開2005−242869(JP,A)
【文献】
特開2004−078582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00
3/00
9/00
9/04
11/00−13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATM装置のATMユーザを監視するカメラと、音声を出力する音声出力部と、画像及び文字を表示する画像表示部と、前記ATMユーザに補助機能サービスを提供するサービス提供部と、前記カメラの画像を取り込み、前記音声出力部、前記画像表示部、前記サービス提供部を制御するATM制御部と、を備え、前記カメラの画像から前記ATMユーザの性別や年齢、手荷物を含む当該ATMユーザの状態や状況を画像認識し、当該画像認識に対応した前記補助機能サービスを前記ATMユーザに提供するATM装置におけるATMユーザ補助装置であって、
前記ATM制御部は、前記カメラの画像から前記ATMユーザの性別や年齢、手荷物を認識する画像認識手段を設けており、
前記画像認識手段の認識結果を受け、前記ATMユーザが手荷物を利用していると認識した場合は、手荷物を保持するユーザ補助部材をATM装置の筐体内から自動的に突き出るように制御し、
年配のATMユーザであると認識した場合は、前記音声出力部の音声が設定音声より大きくなるように制御し、又は前記画像表示部に表示される文字の大きさが大きくなるように制御し、
前記ATMユーザによるATM取引後には、前記カメラの画像を元に前記ユーザ補助部材、並びに前記音声出力部による音声の大きさ、又は前記画像表示部による文字の大きさを元の状態に戻すように制御する手段を有することを特徴とするATMユーザ補助装置。
【請求項2】
ATM装置のユーザ補助部材、又はユーザ補助機能部を有するATM装置におけるATMユーザ補助装置であって、
前記ATM装置のユーザを監視するカメラと、当該カメラの画像から前記ユーザの性別や状態を認識し、前記ユーザが手荷物を利用していると認識した場合は、前記ユーザ補助部材である荷物置台をATM装置の筐体内から自動的に突き出るように制御し、
年配のATMユーザであると認定した場合は、前記ユーザ補助機能部における音声出力部の音声が設定の音声より大きくなるように制御し、及び画面表示部に表示される文字が大きくなるように制御し、
前記ユーザによるATM取引終了後には、前記カメラの画像を元に、前記ユーザ補助部材である荷物置台、並びに前記ユーザ補助機能部の音声出力部による音声、及び前記画面表示部による文字の大きさを元の状態に戻すように制御する画像認識プログラムを含むATM制御部、を有することを特徴とするATMユーザ補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATMユーザ補助装置に関し、例えばATM等の監視カメラや情報処理装置と連動して、ATMユーザ(利用者)の状況を画像認識し、ユーザが必要とするATMユーザ補助装置によるサービスを自動的に提供し、また使用後には自動的に元の状態に戻すなどの対応を可能とするユーザ補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術の背景技術として、特開2010−12121号公報(特許文献1)、特開2011−118740号公報(特許文献2)、特開2011−221964号公報(特許文献3)がある。
【0003】
特許文献1の公報には、「カウンター等の台状物Tの縁部上面に載置固定して傘や杖を滑り止め係止する係止具であって、略平板状の係止具本体10の一端10a側に傘3や杖の柄31を係合して保持させる略U字状の切り欠け部11を設けると共に、上記係止具本体10の上面に上記柄31の先端部31aを設置する凹部12,13を設けた」と記載されている(要約参照)。
【0004】
特許文献2の公報には、「利用者の接近を検知する近接センサ9と、利用者の顔画像データを取得するカメラ8aと、当該取得した顔画像データから利用者が自動取引装置1を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部12と、を備え、前記近接センサ9にて利用者が第1の所定の時間以上接近したと判定したときは、前記カメラ8aおよび顔画像認識部12の省電力モードを解除し、前記顔画像認識部12にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置1の操作部4を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにした。」(要約参照)と記載されている。
【0005】
また、特許文献3の公報には、「振り込め詐欺防止装置は、赤外線カメラを通じてATM利用者が携帯電話を使用しているか否かをパターンマッチングで判定することで、携帯電話の電波の電界強度を検出するだけでは困難だった、ATM利用者が携帯電話を使用しているか否かの判定を、より精緻に遂行できる。現金自動預け払い機は、振り込み処理中に振り込め詐欺防止装置から携帯電話の使用を示す情報が得られたら、フラグ変数を真に設定する。そして、振り込み処理の最終段階でフラグ変数が真であれば、LCD表示部205に警告画面901を表示して、振り込み処理を禁じる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−12121号公報
【特許文献2】特開2011−118740号公報
【特許文献3】特開2011−221964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1には、銀行や店のカウンターやテーブルもしくはATM等の現金自動預払機あるいは駅のきっぷ自動機等の台状物の上に傘や杖を安定よく、かつ確実に滑り止め係止できるようにすることを課題として、銀行や店のカウンターやテーブルもしくはATM等の現金自動支払機あるいは駅のきっぷ自販機等の台状物の上に載置固定して傘や杖を滑り止め係止するための傘や杖の滑り止め係止具が記載されている。
係る係止具によれば、傘や杖を安定よく、かつ確実に滑り止め係止できる。
【0008】
しかし、このような係止具は、台状物の上面に、その先端部が全面に常時突き出るようにして接着剤などにより取り付けていることから、この係止具により、身体を引っ掛けて傷付ける別の問題が起こし得る課題があった。
【0009】
前記特許文献2には、ATM利用者の顔画像からATMを利用しようとしているか判断し、ATM省エネモードを解除する自動取引装置が記載されている。
【0010】
また、前記特許文献3には、ATMに搭載のカメラで携帯電話使用を認識し、警報の上、ATM振込み取引制限を行う現金自動預け払機が開示されている。
【0011】
しかし、これらには、顔画像からユーザの年齢層、性別等を認識し、当該認識結果を元に利用客を判断し、当該利用各に特化(対応)したサービスを提供することについては考慮されていない。
【0012】
そこで、本発明は、ATM装置のユーザを監視するカメラ及び当該カメラの画像から監視対象者であるユーザの状態や状況(例えば、男女や年齢、手荷物等)を画像認識し、当該画像認識に対応したサービスを自動的に選択し、提供するATMユーザ補助装置を提供する。
【0013】
例えば、通常時には、ATM筐体内に収納しておき、ATMユーザが手荷物や杖等を利用している場合には、傘や手荷物等の一時保持部材をATM装置の筐体内から自動的に突き出るようにし、あるいは年配等のユーザに対しては、ATM装置の音声出力部からの音声を大きくし、あるいは画像表示部の表示文字を大きくする等の制御を行い、ATM取引後には、提供サービスを元の状態に戻すことが可能なユーザ補助装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、ATM装置の
ATMユーザを監視するカメラと、
音声を出力する音声出力部と、画像及び文字を表示する画像表示部と、前記ATMユーザに補助機能サービスを提供するサービス提供部と、前記カメラの画像を取り込み、前記音声出力部、前記画像表示部、前記サービス提供部を制御するATM制御部と、を備え、前記カメラの画像から前記ATMユーザの性別や年齢、手荷物を含む当該ATMユーザの状態や状況を画像認識し、当該画像認識に対応した前記補助機能サービスを前記ATMユーザに提供するATM装置におけるATMユーザ補助装置であって、
前記ATM制御部は、前記カメラの画像から前記ATMユーザの性別や年齢、手荷
物を認識する画像認識手段
を設けており、
前記画像認識手段の認識結果を受け、
前記ATMユーザ
が手荷物を利用していると認識した場合は、手荷物を保持するユーザ補助部材
をATM装置の筐体内から自動的に突き出るように制御し、
年配のATMユーザであると認識した場合は、前記音声出力部の音声が設定音声より大きくなるように制御し、又は前記画像表示部に表示される文字の大きさが大きくなるように制御し、
前記ATMユーザによるATM取引後に
は、前記カメラの画像を元
に前記ユーザ補助部材
、並びに前記音声出力部による音声の大きさ、又は前記画像表示部による文字の大きさを元の状態に戻すように制御する手段を
有することを特徴とする。
また、本発明は上記課題を解決するために、ATM装置のユーザ補助部材、又はユーザ補助機能部を有するATM装置におけるATMユーザ補助装置であって、
前記ATM装置のユーザを監視するカメラと、当該カメラの画像から前記ユーザの性別や状態を認識し、前記ユーザが手荷物を利用していると認識した場合は、前記ユーザ補助部材である荷物置台をATM装置の筐体内から自動的に突き出るように制御し、
年配のATMユーザであると認定した場合は、前記ユーザ補助機能部における音声出力部の音声が設定の音声より大きくなるように制御し、及び画面表示部に表示される文字が大きくなるように制御し、
前記ユーザによるATM取引終了後には、前記カメラの画像を元に、前記ユーザ補助部材である荷物置台、並びに前記ユーザ補助機能部の音声出力部による音声、及び前記画面表示部による文字の大きさを元の状態に戻すように制御する画像認識プログラムを含むATM制御部、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ATM装置の監視カメラを利用して、ATMユーザに対応した補助部材や補助機能を自動的に提供でき、ATMユーザに対して勝ってよいサービスが行える。また、ATM取引終了後には、自動的に元の状態に戻すようにする構成としているので、補助部材による不要な怪我の防止することができる。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のATMユーザ補助装置の構成を示す図である。
【
図2】ATMユーザ補助装置の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施例は、ユーザ補助装置をATM装置に適用した例である。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明のATM装置に提供されるATMユーザ補助装置の構成例を示す図である。ATM装置100は、ATM内蔵カメラ1、ATM制御部3、音声出力部4、画像表示部5、サービス提供部6、紙幣部7、硬貨部8、通帳部9、カード部10、明細票部11、を有する。
【0019】
ここで、ATM内蔵カメラ1、ATM制御部3、音声出力部4、画像表示部5、サービス提供部6は、ATMユーザ補助装置100を構成する。
【0020】
ATM内蔵カメラ1は、ATM装置100のATM筐体内に内蔵され、ATM装置を利用するユーザ(利用者客)を監視する。カメラ1は、既存の監視カメラを利用しても良い。但し、利用者の顔などが認識でき、男女や年齢等を認識するに足り得る映像データが得られるものが望ましい。
【0021】
ATM制御部3は、ATM内蔵カメラ1の画像を受け、当該画像を認識する画像認識プログラム2を有する。
【0022】
画像認識プログラム2は、カメラ1の映像(画像)を受け、当該画像からユーザの性別や年齢、手荷物等を認識する認識機能を有する一般的に周知の技術を利用すれば良い。
【0023】
音声出力部4は、ATM制御部3の画像認識プログラム2による画像認識結果に応じて音声の大きさを制御する。画像表示部5は、ATM制御部3の画像認識プログラム2による画像認識結果に応じて表示文字の大きさを制御する。
【0024】
サービス提供部6は、ATM制御部3の画像認識プログラム2による画像認識結果に応じてATMユーザ補助部材や補助機能などのサービス内容を選択し、当該選択したサービス内容をATMユーザに提供する。
【0025】
サービス提供部6によるユーザ補助部材は、例えば、ユーザの手荷物の一つである傘、杖などを掛ける棒状や板状の部材、荷物等を載せる台等である。このユーザ補助部材は、通常は、ATM装置100の筐体内に収納しておく。そして、画像認識プログラム2による認識結果、杖や手荷物がある場合には、筐体内から外部に露出するように構成し、またATM利用取引終了後には元の状態に戻るように構成する。この出し入れは、例えばプランジャーなどにより、励磁のオンオフをもってユーザ補助部材を突出したり、引き戻したりする構成とすればよい。
【0026】
また、ユーザ補助機能は、画像認識プログラム2による認識結果、ユーザが年配者(お年寄り)等である場合には、ATM装置100の音声出力部4の音声が設定の音声より大きくなるように制御し、また画像表示部5の操作画面に表示される文字等が大きくなるように制御し、ATM取引終了後には、元の状態に戻るようにする構成する。
【0027】
図2は、ATMユーザ補助装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
同図において、ステップS201において、ユーザが入店した場合、ATM内蔵カメラ1でユーザを撮影し、その画像をATM制御装置3の画像認識プログラム2により、認識する。
【0029】
ステップS202において、前記画像認識結果を元にユーザがユーザ補助サービス提供者か否かを判断する。
【0030】
次いで、ステップS203において、ユーザ認識結果、例えば性別(男女)、年齢(お年寄り)、状態(杖、手荷物持参)等を判断し、ステップS204において、ユーザに対するユーザ補助装置又はユーザ補助機能を自動的に選択する。
【0031】
例えば、「お年寄り」の場合には、ステップS2041において、音声を設定値よりも大きくしたり、あるいはステップS2042において、表示画面の文字の大きさを大きくし、より見やすくするような制御を行う。また、ユーザが「女性」で「手荷物」持参の場合には、ステップS2043において、杖や手荷物置き台をATM筐体内部から露出し、利用可能状態に制御する。
【0032】
以上述べたように本実施例によれば、ユーザに応じた木目細かなサービスを自動的に行うことができる。また、必要のない場合には、ATM筐体内に収納したり、あるいは音声や表示を元の状態に戻しているので、他のユーザに対して迷惑をかけるような過剰なサービスを避けることができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
100 ATM装置
1 ATM内蔵カメラ
2 画像認識プログラム
3 ATM制御部
4 音声出力部
5 画像表示部
6 サービス提供部(補助機能サービス提供部)