(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段(70)は、前記回転駆動体(M)により前記回転体(2)を前記開閉体(Dr)の開方向へ回転させ、前記移動駆動体(53)により前記係合体(51)を係合位置へ移動駆動したときに、前記係合体(51)と前記被係合体(52)とが非制限状態である場合において、前記回転駆動体(M)による前記開閉体(Dr)の閉方向への前記回転体(2)の回転を、前記回転体(2)が所定量回転してから停止させることを特徴とする請求項1に記載の開閉体駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。先ず、開閉体駆動装置の全体について
図1〜
図11により説明する。
図1は本発明にかかる開閉体駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図であり、
図2は本発明にかかる開閉体駆動装置の正面図である。
図1に示す開閉体駆動装置Aは、車両Crの後部に設けられた開口の開口量が増加する開方向と、開口の開口量が減少する閉方向とに回動するように、開口上端に備えられた支点Fcに回動自在に連結された開閉体Drを開閉する、車両Crの内部に配置された装置である。なお、車両Crでは、開閉体Drの開閉を開閉体駆動装置Aだけを用いるものとしているが、これに限定されるものではなく、開閉体駆動装置Aと開閉体Drの移動を補助するダンパーを用いる構成としても良い。
【0015】
図2に示すように、本発明にかかる開閉体駆動装置Aは、回転駆動体Mと、クラッチ1と、回転体2と、ナット部材3と、連結部材4と、回転規制部5とを有している。そして、回転規制部5は、係合体51と、被係合体52とを含んでいる。なお、
図2に示す開閉体駆動装置Aでは、理解を容易にするため回転駆動体Mの一部の角度を変え、断面で表示している。回転駆動体Mはモータなど、回転体2を回転駆動することができるものであればよい。また、
図2、
図8、
図9では、回転規制部5の動作について理解を容易にするため、後述するリミットスイッチは省略している。
【0016】
図2に示すように、クラッチ1は、ハウジング10の内部に配置された電磁式クラッチである。クラッチ1は従来よく知られた構成であり、
図2に示すように、入力軸11と、出力軸12とを備えている。クラッチ1は内部にコイル(図示せず)を備えており、コイルに電力が供給されることで、入力軸11と出力軸12とが連結され回転力(トルク)が伝達される。また、コイルに電流が供給されていないとき、入力軸11と出力軸12とが分離され、回転力(トルク)の伝達が停止される。
【0017】
クラッチ1の入力軸11には、回転駆動体Mの回転軸に取り付けられたウォームギアWgと噛合するウォームホイール111が取り付け固定されている。これにより、回転駆動体Mの回転軸に発生する回転力がウォームギアWg及びウォームホイール111を介して入力軸11に伝達される。
なお、ウォームギアWg及びウォームホイール111の形状を調整することで、回転駆動体Mから入力軸11に回転力を伝達するときの減速比を調整することが可能である。なお、
図2では、理解を容易にするため、回転駆動体Mの回転軸を図面に対して垂直で示しているが、実際には回転駆動体Mの回転軸と同軸に伸びるものである。
【0018】
クラッチ1の出力軸12はジョイント部材6を介して、回転体2と連結されている。ジョイント部材6はクラッチ1の出力軸12が内部に嵌合されるクラッチ係合部61と、回転体2を固定する回転体固定部62とを備えている。クラッチ係合部61は、筒形状の部材であり、内部にクラッチ1の出力軸12が挿入される。
クラッチ1の出力軸12の外周面には、径方向外側に突出し回転軸と平行に伸びる凸状であるスプライン(図示せず)が形成されている。そして、クラッチ係合部61は、内周面にスプラインが係合する凹溝(図示せず)を備えている。これにより、出力軸12が回転すると、スプラインと凹溝との係合により、出力軸12の回転力がジョイント部材6に伝達される。
【0019】
次に回転体2について説明する。回転体2は開閉体Drに接続され、回転に応じて開閉体Drを回動させるものであり、
図2に示すように、回転体2は、ロッド状を呈しており、ガイドレール20の内部に回転可能に配置されている。回転体2は、柱状の部材であり、一方の端部に形成された円柱状の連結部21と、連結部21と反対側の端部に形成された被支持部22と、連結部21と被支持部22との間の部分のスクリュー部23とを備えている。回転体2は、ナット部材3と連結部材4とを介して開閉体Drに接続することで、回転体2の回転に応じて開閉体Drを回動させるように構成されているが、開閉体Drの回動軸と回転体2の回転軸とを同軸にして直接接続するなど、回転体2の回転に応じて開閉体Drが回動させることができれば、かかる構成に限らない。
【0020】
ガイドレール20は、金属板を断面C字状又はリブ付きチャンネル状に曲げて成形した部材である。
図2等に示すように、ガイドレール20の側面には長手方向に連続する開口部202が形成されている。
また、ガイドレール20の長手方向先端にはセットプレート201が取り付けられていると共に、反対側の端部にクラッチ1のハウジング10に取り付けるためのブラケット203が固定されている。連結部21が軸受Brgを介してブラケット203に回転可能に支持されていると共に、被支持部22がセットプレート201に回転可能に支持されている。
【0021】
このように、回転体2の両端部(連結部21及び被支持部22)がガイドレール20の両端に配置されたブラケット203及びセットプレート201に回転可能に支持されることで、回転体2はガイドレール20の内部で回動可能に支持されている。そして、ブラケット203がハウジング10にネジ止めされている。
【0022】
連結部21は、ジョイント部材6に備えられた凹穴である回転体固定部62に挿入固定されている。ジョイント部材6はクラッチ1の出力軸12と連結されているので、連結部21は出力軸12とジョイント部材6を介して連結される。このとき、クラッチ1の出力軸12と回転体2との回転中心が高精度に一致することが好ましい。そのため、回転体固定部62と連結部21の固定は、圧入、溶接、キーによる連結等の軸のずれを抑制できる固定方法を採用することが好ましい。
なお、本発明の開閉体駆動装置Aでは、連結部21が挿入された回転体固定部62の外側から加圧して、回転体固定部62と連結部21とを圧着する(かしめる)方法が用いられている。
【0023】
また、
図2にしているように、連結部21には、ジョイント部材6の回転体固定部62以外にも、軸受Brg及び回転規制部5の被係合体52が取り付けられている。連結部21と被係合体52とはキー500を用いて締結されるものであり、連結部21の外周面には、キー500が挿入されるキー溝211(
図7参照)が形成されている。
なお、被係合体52は回転体2と一体で回転できればよい。被係合体52と連結部21の締結はキーによるものに限定されるものではなく、圧入や溶接等であってもよい。軸受Brgは従来よく知られた、玉軸受であり、ブラケット203に固定され、回転体2の連結部21を回転可能に支持している。
【0024】
被支持部22はガイドレール20の先端に取り付けられたセットプレート201に形成された凹穴に回動可能に挿入されるものである。被支持部22がセットプレート201に支持されていることで、回転体2の先端側が回転によりふらつくのを抑制し、回転体2のたわみを抑制している。
なお、
図2に示す開閉体駆動装置Aでは、被支持部22は凹穴に挿入されているだけであるが、玉軸受を介して取り付けられたようにしても良い。
【0025】
なお、
図2に示す開閉体駆動装置Aにおいて、連結部21及び被支持部22はスクリュー部23の外径よりも小さな外径の円柱状としているが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方がスクリュー部23の外径よりも大きな外径の円柱であってもよい。
なお、回転体2を円柱状の金属棒を切削加工で製造する場合、連結部21及び被支持部22の外径がスクリュー部23の外径よりも小さい方が製造が容易であるため、開閉体駆動装置Aでは、連結部21及び被支持部22の外径をスクリュー部23の外径よりも小さくしている。スクリュー部23の外周面には、雄ネジが形成されており、ナット部材3の後述する雌ネジ部31が螺合している。
【0026】
次にナット部材3について説明する。
図3は
図2に示す開閉体駆動装置AをIII-III 線で切断した断面図である。
図3において、ナット部材3は左半分を断面で示している。
図3に示すように、ナット部材3はスクリュー部23の雄ネジと螺合する雌ネジ部31と、ガイドレール20の内部と接触するライニング32と、ガイドレール20に形成されている開口202より突出し、連結部材4を回動可能に支持するスタッド部33と、本体34とを備えている。
【0027】
雌ネジ部31は、ナット部材3の本体34と別体で形成されており、ナット部材3の本体34の中央部を貫通して固定されている。雌ネジ部31がスクリュー部23と螺合していることから、回転体2の回転によって雌ネジ部31は回転体2の軸に沿う方向に直線移動する。
これにより、雌ネジ部31が備えられたナット部材3は、回転体2及びガイドレール20にガイドされ、回転体2の軸に沿う方向に移動する。なお、雌ネジ部31はナット部材3の本体と一体形成された雌ネジであってもよい。
【0028】
雌ネジ部31とスクリュー部23の雄ネジとは接触しているので、雌ネジ部31とスクリュー部23の雄ネジとの摩擦を低減するため、グリースが塗布されている。これにより雌ネジ部31及び(又は)スクリュー部23の雄ネジの磨耗、発熱を減らすことができる。また、摩擦によるロスが少ないので、回転駆動体Mの駆動に要する電力も低減することが可能である。
【0029】
なお、グリース以外の潤滑剤が塗布されていてもよく、雌ネジ部31及び(又は)スクリュー部23が摩擦係数の小さい材料で形成されている場合、潤滑剤を塗布しなくてもよい。
また、ライニング32はガイドレール20と接触することで、ナット部材3の移動時のがたつきやねじれを抑制している。ライニング32とガイドレール20との間にもグリースを塗布し、ライニング32とガイドレール20との摩擦を低減し、ライニング32及び(又は)ガイドレール20の磨耗を低減している。
【0030】
なお、ライニング32はフッ素樹脂等の摺動性の高い材料で形成することで、グリースのような潤滑剤の塗布を省略することが可能である。なお、ライニング32を容易に着脱できるように形成しておくことで、ライニング32が磨耗したときに交換することができる。これにより、ナット部材3ががたついたり、ねじれたりするようになっても、ライニング32を取り換えるだけでよいので無駄を省くことができる。
【0031】
連結部材4は長尺棒状部材であり、一方の端部がスタッド部33に、他方の端部が開閉体Drにそれぞれ回動可能に支持されている。開閉体Drと開閉体駆動装置Aとがリンク機構を構成しており、ナット部材3の直線移動により連結部材4を介して開閉体Drが押され(引かれ)、開閉体Drは支点Fcを中心に開閉作動される。なお、開閉体Drの開閉動作の詳細については後ほど詳しく説明する。
【0032】
回転規制部5は、回転体2の回転を規制することで、ナット部材3の移動を停止するものである。
図4は係合体の一例の正面図を示し、
図5は
図4に示す係合体の側面図であり、
図6は被係合体の一例の軸方向から見た図であり、
図7は
図6に示す被係合体を軸に沿って切断したときの断面図である。
【0033】
図2、
図4等に示すように、回転規制部5は、中空で直方体形状のケース50と、ケース50の内部に直線上を往復できるように配置された係合体51と、回転体2の連結部21に取り付けられた被係合体52と、係合体51を移動させるための駆動力を出力する移動駆動体53と、係合体51及び移動駆動体53とを連結し、移動駆動体53の動作を係合体51に伝達するリンクアーム54とを備えている。
【0034】
ケース50はガイドレール20のクラッチ1側の端部の近傍に形成された貫通孔200を係合体51が貫通できるように、ガイドレール20に固定されている。なお、ケース50は、係合体51が回転体2の中心軸方向に対して垂直方向に移動するように、ガイドレール20に固定されている。また、ケース50は、係合体51の移動をガイドする移動ガイド501と、リンクアーム54を回転自在に支持する支持軸502とを備えている。
【0035】
係合体51は、被係合体52と係合する係合位置(後述するP2)と、被係合体と係合しない係合解除位置(後述するP1)との間で移動可能であり、
図4、
図5に示すように、係合部511と、係合部511と反対側に形成された凹溝512と、凹溝512に備えられた連結軸513とを備えた円柱状の部材である。
【0036】
係合部511は中心軸を挟んで配置された2つの傾斜面を有している。係合部511の2つの傾斜面は、先端に向かって互いに接近するように形成されており、この2つの傾斜面は、被係合体52の後述する係合凹部523の側壁と同じ又は略同じ傾斜角を有している。
【0037】
凹溝512は係合体51を径方向に貫通する溝であり、凹溝512の一部を横切るように連結軸513が配置されている。なお、
図4、
図5に示しているように、連結軸513は、凹溝512と交差(直交)するように配置されており、係合体51を貫通している。連結軸513はリンクアーム54の後述する係合部連結孔543を貫通している。なお、係合体51は円柱に限るものではなく、断面多角形(例えば六角形)の柱状部材であってもよい。
【0038】
被係合体52は上述した通り、回転体2の外周に設けられ、連結部21に取り付け固定されている。
図6、
図7に示すように、被係合体52は円筒状の部材であり、回転体2の連結部21が貫通する貫通孔521と、貫通孔521の内面に形成され軸方向の両端部に貫通する貫通溝522と、回転体2の回転方向に所定の間隔をあけて複数設けられた凹状の係合凹部523とを備えている。
なお、係合凹部523は周方向に5個形成されているが、それに限定されるものではなく、さらに多く形成されていてもよく、少なくてもよい。なお、係合凹部が多い場合、製造に手間と時間がかかるが、回転体2の停止位置を精度よく調整することが可能である。少ない場合、製造の手間と時間を省くことができるが、回転体2の停止位置の精度が低下する。また、開閉体駆動装置Aでは、被係合体52を、回転体2と別部材として作製し、組み付けるものとしているが、一体に形成されるものであってもよい。
【0039】
被係合体52は次のようにして、連結部21に取り付けられる。まず、連結部21のキー溝211にキー500を挿入する。キー500は直方体形状の部材でありキー溝211が回転体2の軸と平行に形成されているので、キー溝211に挿入されたキー500は、回転体2の軸と平行に配置される。
被係合体52の貫通溝522にキー500が嵌まるように、被係合体52を連結部21に取り付ける。これにより、キー500はキー溝211と貫通溝522との両方と周方向に係合しているので、被係合体52と回転体2との周方向の相対的な移動を抑制することが可能である。
【0040】
移動駆動体53は、係合体51を移動駆動するものであり、
図2に示すように、電力によって可動ピン531を駆動するアクチュエータが用いられる。移動駆動体53は、自己保持型ソレノイドであり、可動ピン531が突出した位置又は引っ込んだ位置にあるとき、電力の供給を停止しても、可動ピン531が移動しないように保持するものである。可動ピン531の突出先端には、リンクアーム54の後述する移動駆動体連結孔542を貫通するリンクピン532が備えられている。本発明の実施の形態では、移動駆動体として自己保持型ソレノイドを用いており、可動ピンとリンクアームとを介して係合体を移動させているが、係合体を係合位置と係合解除位置との間で移動させることができればよく、モータとピニオンとラックとを用いてもよいし、リンクアームを介さずに可動ピンを直接係合体に接続してもよい。
【0041】
リンクアーム54は、中央部分で屈曲した板状の部材であり、中央部分に形成され、支持軸502が貫通する被支持孔541が形成されている。また、リンクアーム54の一方の端部には、移動駆動体53のリンクピン532が貫通する長孔形状の移動駆動体連結孔542が、他方の端部には係合体51の連結軸513が貫通する長孔形状の係合部連結孔543が形成されている。
【0042】
リンクアーム54は、被支持孔541を支持軸502に回転可能に支持されていることで、シーソーのように形成されており、一方の端部が移動すると他方の端部は被支持孔541を挟んで反対方向に移動する。
また、
図2に示しているように、リンクアーム54にはコイルスプリング55が取り付けられており、係合体51を被係合体52側に付勢している。なお、コイルスプリング55は無くても構わない。
【0043】
図2に示すように、回転規制部5は、係合体51と移動駆動体53とが並んで配置されている。係合体51の移動方向と移動駆動体53の可動ピン531の移動方向とは平行であり、可動ピン531のリンクピン532がリンクアーム54の移動駆動体連結孔542を貫通することで、可動ピン531とリンクアーム54とが連結されている。また、係合体51の連結軸513がリンクアーム54の係合部連結孔543を貫通することで、係合体51とリンクアーム54とが連結されている。
【0044】
以上のように形成された回転規制部5の動作について説明する。
図8は係合体と被係合体とが係合していない状態の一部を省略した開閉体駆動装置Aの断面図であり、
図9は係合体と被係合体とが係合している状態の一部を省略した開閉体駆動装置Aの断面図であり、
図10は
図8に示す回転規制部5をX−X線で切断した断面図であり、
図11は
図9に示す回転規制部5をXI−XI線で切断した断面図である。
【0045】
移動駆動体53の可動ピン531が引っ込み方向に移動すると、リンクアーム54の移動駆動体連結孔542がリンクピン532に引っ張られる。このとき、
図8に示すように、リンクアーム54は支持軸502を中心にL1方向に回動し、係合部連結孔543が連結軸513を引っ張る。
これにより、係合体51は回転体2より離れた、すなわち、被係合体52との係合が外れて、回転体2が回転可能になる係合解除位置P1(
図8、
図10参照)に移動する。なお、上述しているように、移動駆動体53が自己保持型ソレノイドであるので、移動駆動体53への電力が停止しても、係合体51は係合解除位置P1に保持される。
【0046】
一方、移動駆動体53の可動ピン531が突出方向に移動すると、リンクアーム54の移動駆動体連結孔542がリンクピン532に押される。このとき、
図9に示すように、リンクアーム54は支持軸502を中心に図中R1方向に回転し、係合部連結孔543が連結軸513を押す。これにより、係合体51は回転体2に接近し、被係合体52と係合する係合位置P2(
図9、
図11参照)に移動する。
なお、上述しているように、移動駆動体53が自己保持型ソレノイドであるので、移動駆動体53への電力が停止しても、係合体51の係合位置P2に保持される。以上のように、係合体51は移動駆動体53により係合解除位置P1と係合位置P2の間を移動可能にされている。
【0047】
次に開閉体駆動装置Aの動作について説明する。開閉体駆動装置Aは、回転駆動体Mより出力された回転力は、クラッチ1を介して回転体2に伝達されている。クラッチ1及び回転駆動体Mが通電状態のとき、回転駆動体Mが駆動されていると共に、回転力が回転体2に伝達される。
【0048】
回転規制部5の係合体51が係合解除位置P1にあるとき(
図8、
図10参照)、係合体51と被係合体52とが離れた状態となっているので、回転規制部5は回転体2の回転を規制しない状態となっている。この状態のとき、回転体2は回転駆動体Mの回転力により回転される。回転体2が回転することで、回転体2のスクリュー部23と螺合している雌ネジ部31を備えたナット部材3がガイドレール20に沿って移動する。
【0049】
図1に示しているように、開閉体駆動装置A、連結部材4及び開閉体Drがリンク機構を構成しているので、開閉体Drが支点Fcを中心に開く方向又は閉じる方向に移動する。なお、ナット部材3の移動方向は回転体2の回転方向によって決まる。すなわち、回転体2の回転方向によって、開閉体Drの移動方向(開く方向又は閉じる方向)が決定される。このことから、回転駆動体Mの回転方向を切り替えることで、開閉体Drを開く又は閉じることが可能である。
【0050】
車両Crの背面開口に配置される開閉体Drは、後方に回動しつつ開くので、開閉時に車両Crの後背部に大きなスペースが必要となる。十分なスペースの無い場所で開閉体Drを開く場合、降雨や風で開口を小さくしたい場合、又は、開閉体Drと人あるいは壁等とが接触しそうな場合、開閉体Drの開閉を途中で停止し、開閉体Drをその位置に保持する必要がある。つまり、この種の開閉体Drでは、全開状態から全閉状態の間の任意の位置で停止させ、その位置を保持することが要求される。
【0051】
このような開閉体Drを開閉の途中の任意の位置で保持するため、本発明の開閉体駆動装置Aでは、回転規制部5で回転体2の回転を規制する方法が用いられている。以下に、回転体2の回転の規制方法について説明する。
【0052】
回転規制部5の移動駆動体53を動作させ、可動ピン531を突出させる。これにより、リンクアーム54を介して係合体51が係合解除位置P1から係合位置P2に移動する。このとき、係合体51は係合部511が被係合体52の係合凹部523と係合する。これにより、被係合体52の動きが係合部511により規制され、被係合体52のキー締結された回転体2の回転も規制される。これにより、ナット部材3の移動が停止し、開閉体Drが静止する。
なお、上述したように移動駆動体53は自己保持型ソレノイドであるので、移動駆動体53は、可動ピン531が突出した状態で保持される。これにより、係合体51も係合部511が係合凹部523に係合した係合位置P2(
図9、
図11参照)に保持される。
【0053】
また、係合体51の移動方向は、回転体2の軸と直交するものであり、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523と係合しているとき、係合部511が係合凹部523の側壁から受ける力は、係合体51の移動方向と交差している。
【0054】
本発明にかかる開閉体駆動装置Aを用いることで、係合体51と被係合体52とが機械的に係合するので、開閉体Drを任意の位置で確実に停止することが可能である。また、係合体51と被係合体52とが係合した後は、移動駆動体53に電力を供給しなくてもよいので電力消費を低減することが可能である。さらに、本発明の開閉体駆動装置Aでは、係合体51と被係合体52とが機械的に係合することで、開閉体Drを任意の位置に保持するので、クラッチ1への通電を停止することができる。これにより、従来のようにクラッチで回転体2を保持する構成のものに対して、クラッチの磨耗を低減することができ、クラッチの耐久性を向上させることができる。
【0055】
また、回転体とナット部材とをボールねじ構造を用いてもよい。このような、ボールねじ構造を用いることで、ナット部材の移動時のスクリューと雌ネジとの摩擦を低減し、回転体及び(又は)ナット部材の磨耗を低減することが可能である。また、摩擦を低減することができるので、モータの出力を小さくすることが可能であるので、それだけ、消費電力を低減させることも可能である。
【0056】
ところで、係合体51が係合解除位置P1から係合位置P2に移動するとき、係合部511が被係合体52の外周部分の係合凹部523が形成されていない部分と接触する場合が生じる(非制限状態)。かかる場合、本発明では、開閉体Drを閉じる方向に回転駆動体Mを回転制御して、係合体51を被係合体52の隣接する係合凹部523に係合するように制御している。
【0057】
次に、上記制御について説明する。
図12はかかる制御に関連するブロック回路図を示しており、制御手段70は上記クラッチ1、回転駆動体M、移動駆動体53等を制御するものである。この制御手段70は、回転駆動体Mと、移動駆動体53と、被係合体52と係合体51とが回転体2の回転を制限しない非制限状態であることに基づいて制御するように、クラッチ駆動部74、回転駆動体駆動部75、移動駆動体駆動部76、制御部71及び記憶部73等で構成されている。
【0058】
クラッチ駆動部74は制御部71により駆動されてクラッチ1をオン、オフ制御するものであり、回転駆動体駆動部75は、制御部71により制御されて回転駆動体Mを正逆転に駆動制御するものである。この回転駆動体駆動部75は、PWM回路とパワースイッチング素子から構成されている。また、制御部71により制御される移動駆動体駆動部76は、移動駆動体53を駆動するものである。
【0059】
制御部71は、マイクロコンピュータで構成されていて、所定の手順に従って全体の制御を行なうものであり、また、所定の時間をカウントするタイマー部72を備えている。記憶部73は、制御手段70に入力される種々のデータを一時的に記憶するRAMと、全体の制御を行なうプログラムを格納しているROMとで構成されている。
【0060】
また、制御手段70には、オープナースイッチ80、インナースイッチ81、タッチセンサー82、エンコーダ83、リミットスイッチ84等からの各種の信号が入力されるようになっている。また、後述するように制御手段70にてブザー85が吹鳴される。
上記オープナースイッチ80は、車両Crの開閉体Drの外側のオープナーハンドルに設けられており、開閉体Drを開けるときに操作するレバーであり、開閉体Drを開ける場合に操作した際の信号が制御手段70に入力される。
【0061】
インナースイッチ81は、開閉体Drの下端に設けられているスイッチであり、タッチセンサー82は、開閉体Drの両側の側端の車内側に設けられている。このタッチセンサー82は、開閉体Drと車体との間に人の手などが挟み込まれたことを検出するために設けられているものであり、挟み込みを検出した場合にはタッチセンサー82からの信号により制御手段70は開閉体Drの閉方向の駆動が停止される。
【0062】
エンコーダ83は、スクリュー部23あるいは回転駆動体M側に設けられていて、スクリュー部23あるいは回転駆動体Mの回転数に応じたパルスが出力され、そのパルス数に応じて開閉体Drの開閉位置を認識したり、パルス数に応じて開閉体Drの全閉位置あるいは全開位置を認識できるようになっている。
リミットスイッチ84は、被係合体52と係合体51とが回転体2の回転を制限しない非制限状態であるかどうかの判定を行うものである。より詳しくは、係合体51の係合部511が、被係合体52の係合凹部523に係合しているか否かの判定を行なうものであり、係合部511が係合凹部523に係合している場合は、例えば、オン信号を出力する。
また、ブザー85は、開閉体Drを途中の任意の位置で保持する場合、操作した際にその操作を報知するものである。
【0063】
図13〜
図15は開閉体駆動装置Aを示しており、先の図面、例えば
図8とは各部材の位置や形状が少し異なっているが、各部材の機能は同じであるので、同じ機能を有する部材には同じ番号を付している。図示するように係合体51の上方には上記リミットスイッチ84が配設されており、このリミットスイッチ84のアクチュエータ84aの先端が、リンクアーム54の上部に設けた接触片90に対応して配置されている。
また、リンクアーム54を軸支している支持軸502にはスプリング91が設けられていて、このスプリング91の先端91aにより係合体51が被係合体52側に付勢されている。
【0064】
図13は、係合体51の係合部511と、被係合体52の係合凹部523との係合を解除している状態である。かかる状態でスプリング91の先端91aにて係合体51を被係合体52側に付勢しているが、この付勢力よりも、移動駆動体53の可動ピン531が引っ込んだ状態で該可動ピン531を保持している保持力の方が大きく設定されている。
【0065】
この
図13の状態を開閉体Drの開方向への回動状態とし、途中で開閉体Drを停止させて、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に嵌入係合した場合の状態を
図14に示す。かかる場合、すなわち通常制御について
図16のタイミングチャートを用いて説明する。
【0066】
図16において、(a)はオープナースイッチ80あるいはキーレス信号を示し、オープナースイッチ80からの信号、あるいはキー信号の場合は、押している時間だけ信号が出力される(短押し受信)。(b)は運転席の近傍にあるスイッチ(D席SW)あるいはインナースイッチ81からの信号を示しており、スイッチを押操作した後はオン信号が出力されている。
図16(a)と(b)のいずれかが、開閉体Drの停止指示に相当する。
図16(h)は、移動駆動体53のタイミングチャートを示し、(i)はエンコーダ83からのパルスのカウントを示し、例えば、開閉体Drの全閉状態では0(ゼロ)とし、全開状態では任意のパルス数Nとしている。
【0067】
図16(b)に示すように、インナースイッチ81からの信号が制御部71に入力されると、制御部71ではタイマー部72が所定の時間T1をカウントして、時間T1を経過することで、正式な信号として認識する。これは外乱による誤動作を防止するためである。
インナースイッチ81ではなく、係合指示手段としてのオープナースイッチ80からの信号が制御部71に入力される場合もあり、このオープナースイッチ80からの信号が入力された時刻t1、あるいは上記インナースイッチ81からの信号が入力されて所定の時間T1が経過した時刻t1で、制御部71は回転駆動体駆動部75を制御して回転駆動体Mを停止させる(
図16(g)参照)。同時に
図16(c)に示すように制御部71がブザー85を所定の時間吹鳴させて操作者に開閉体Drを途中で保持させる旨の動作を知らせる。
【0068】
回転駆動体Mが停止してから移動駆動体53がオンする遅延時間T50を経過した時刻t2で移動駆動体53がオンして、可動ピン531を突出させる。移動駆動体53が駆動されて可動ピン531が突出すると、
図14に示すように、リンクアーム54を支持軸502を中心にして時計方向に回動させる。
リンクアーム54が時計方向に回動すると、係合体51を図中の右方、つまり被係合体52側に突出し、
図14に示すように、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に嵌入して係合すると、上述したように開閉体Drは途中で開閉を停止してその位置に保持される。なお、この
図14に示す場合は、1回の操作で係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523にうまく係合した場合である。
【0069】
係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523内に完全に係合した状態では、係合体51は完全に右方に移動した状態となっている。この状態はリンクアーム54が時計方向に完全に回動した状態であり、これにより、リンクアーム54の上部の接触片90がリミットスイッチ84のアクチュエータ84aを押接して、
図16(d)に示すように、時刻t3でリミットスイッチ84をオンさせる。
【0070】
時刻t3で制御部71が移動駆動体駆動部76を制御して移動駆動体53をオフさせるが、該移動駆動体53がオン状態からオフする遅延時間T51を経て、
図16(h)に示すように、時刻t4で移動駆動体53がオフする。
制御部71は移動駆動体53をオフさせると共に、クラッチ駆動部74を制御してクラッチ1をオフとさせるが、
図16(f)に示すように、クラッチ1がオフする遅延時間T52を経てクラッチ1は時刻t5でオフする。この後、制御手段70に、インナースイッチ81などから回転駆動体Mの駆動を指示する信号が入力されるまで、係合体51と被係合体52とによる回転体2の回転を制限する制限状態が保持され、開閉体Drは停止状態を維持する。
【0071】
ここで、移動駆動体53をオフする条件として、上述のように係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合してリミットスイッチ84からのオン信号を受信した場合のほかに、以下の条件を設けている。
すなわち、リミットスイッチ84からのオン信号が制御部71に入力されない場合に所定の時間をタイマー部72で移動駆動体53がオンした時刻t2からカウントして、所定の時間を経過した場合には移動駆動体53を強制的にオフ制御している。
【0072】
図16(e)に示すように、ここではオーバータイムカウントとしてT27時間と設定しているが、
図14に示すように、最初の操作でT27時間が経過する前の時刻t4で係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523にうまく係合したので、オーバータイムになる前にリミットスイッチ84からのオン信号により制御部71が移動駆動体駆動部76を制御して移動駆動体53をオフにしている。
【0073】
次に、
図15に示すように、移動駆動体53による係合体51の最初の移動駆動で係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合せずに、係合部511の先端面が被係合体52の突端に当接した場合の制御について説明する。
移動駆動体53によって係合体51を最初に移動駆動した場合に
図16(g)に示すように、回転駆動体Mは停止しており、また、
図15に示すように、係合体51の係合部511の先端面が被係合体52の当接した状態となっている。
【0074】
移動駆動体53によって係合体51を最初に移動駆動して
図17(g)に示すように、移動駆動体53がオンした時刻t1から制御部71のタイマー部72がT27時間をカウントする(
図17(a)参照)。係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合しないと、
図15に示すように、リンクアーム54の接触片90がリミットスイッチ84のアクチュエータ84aを押接できない状態となっている。
そのため、リミットスイッチ84はオンできず、制御部71ではリミットスイッチ84からのオン信号を受信することができない。一方、制御部71では、タイマー部72にてT27時間をカウントしており、カウントアップになった時刻t2(
図17(a)参照)で、制御部71が移動駆動体53を強制的にオフせしめる(
図17(g)参照)。
【0075】
移動駆動体53をオフしない場合には、
図15に示すように、係合体51の係合部511の先端面が被係合体52の係合凹部523の突端に押接した状態となり、接触面の面圧が高くなり、再度回転駆動体Mを回転させた場合に回転駆動体Mが回転しにくくなる。そのため、移動駆動体53をオフさせることで、荷重を解除して、回転駆動体Mを
図15の状態から回転しやすくして、回転駆動体Mにかかる負担を軽減している。なお、係合体51にはスプリング91の先端91aが付勢されているが、回転駆動体Mにかかる負担は軽いものである。
【0076】
本実施形態では、時刻t2から開閉体Drを閉じる方向に回転駆動体Mを駆動して係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合するように再度制御(リトライ制御)するようにしている。
図17において、時刻t2以前が通常制御のタイミングチャートを示し、時刻t2以後をリトライ制御のタイミングチャートを示している。
【0077】
このリトライ制御では、時刻t2から制御部71のタイマー部72が所定の時間T151をカウントし、この所定の時間T151を経過した時刻t3で、制御部71は回転駆動体駆動部75を制御して回転駆動体Mをオン駆動する(
図17(f)参照)。ここで、リトライ制御における回転駆動体Mの駆動はデューティ制御を行なっている。
【0078】
図18はかかるデューティ制御を示しており、最初は例えば、12%のデューティ比とし、所定の時間T33(例えば、50msec)経過ごとにデューティ比を所定の割合(例えば、20%)で段階的に増加させるようにしている。なお、上記デューティ比や、時間T33や、デューティ比を増加させる割合は任意に設定できるものである。
【0079】
これは、開閉体Drにガスダンパーが設けられている場合、このガスダンパーに対しての温度に対する反発力を平準化するためである。夏場の温度が高い場合では、反発力が強く、デューティ制御をしない場合では回転駆動体Mが回転しなかったり、また、温度が低い冬場ではガスダンパーの反発力が弱いために、回転駆動体Mが一気に回転して、被係合体52の係合凹部523を乗り越えてしまうことになる。かかる場合には、開閉体Drが閉じる方向に多く動くために、利用者に違和感を与えることになる。また、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523の側壁と摺動して磨耗してしまい、回転体2の回転を制限できるような係合部511と被係合体52との係合が困難になる。
すなわち、リトライ制御においては、回転駆動体Mを再度回転させるときには低いデューティ比から所定の時間ごとにデューティ比を段階的に増加させることで、温度条件の差がでないようにして、回転駆動体Mを回転させた際に隣の係合凹部523に係合体51の係合部511を係合させることができるようにしている。これにより、回転駆動体Mを回転させた際に、被係合体52と係合体51とを係合させて、早期に制限状態にすることができる。
【0080】
次に、
図17において、
図17(g)に示すように、時刻t3から所定の遅延時間T152を経て時刻t4で制御部71により移動駆動体53がオンされる。移動駆動体53がオンされることにより、係合体51は被係合体52側に付勢される。また、このとき、
図17(a)に示すように、タイマー部72にてT27時間がカウントされる。
【0081】
係合体51が被係合体52側に付勢されている状態で、上述のデューティ制御されている回転駆動体Mが開閉体Drが閉じる方向に再度回転していくと、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に嵌入して係合する。係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合すると、リンクアーム54も
図15の状態から
図14に示すように時計方向に回動することで、該リンクアーム54の接触片90がリミットスイッチ84のアクチュエータ84aを押接してリミットスイッチ84をオンさせる。
【0082】
このリミットスイッチ84がオンした時刻t5から所定の時間T51の経過した時刻t6において制御部71が移動駆動体53をオフ駆動する。この時刻t6でタイマー部72はT27のカウントを停止する(
図17(a)参照)。
時刻t6から所定の時間を経過した時刻t7で制御部71は回転駆動体Mを停止させ、さらに所定の時間T154経過後の時刻t8でクラッチ1をオフする。この後は通常制御と同様に、制御手段70にインナースイッチ81などから回転駆動体Mの駆動を指示する信号が入力されるまで、係合体51と被係合体52とによる回転体2の回転を制限する制限状態が保持され、開閉体Drは停止状態を維持する。
【0083】
なお、
図17(b)に示す時間T32は、リトライ制御における回転駆動体Mの駆動時間を設定しているものであり、この時間T32はタイマー部72にてカウントしている。時間T32をカウントアップした場合には、制御部71が回転駆動体Mの回転を強制的に停止させて、開閉体Drがそれ以上閉じる動作を停止させるようにしている。これにより、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合せずに、係合凹部523が2つ以上行き過ぎて、開閉体Drが必要以上に閉方向に閉じるのを防止でき、操作者に違和感を与えるのを防止することができる。
ここでは、
図17(f)に示すように、時刻t7で回転駆動体Mが停止したので、制御部71はタイマー部72でのT32でのカウントを停止している。また、
図17において、所定の時間T153は、リミットスイッチ84がオンしてから回転駆動体Mがオフするまでの時間である。
【0084】
ここで、回転駆動体Mの停止条件として、リミットスイッチ84がオンしてから所定の時間T153が経過するか、所定の時間T32をカウントアップした場合か、
図17(d)に示すエンコーダ83からのパルス数が所定のパルス数をカウントした場合か、タッチセンサー82からの信号にて手などを挟んだことを検出した信号のいずれか1つでも制御部71に入力された場合として、安全性を向上させている。
【0085】
このように本実施形態では、制御手段70が、回転駆動体Mにより回転体2を開閉体Drの開方向へ回転させ、移動駆動体53により係合体51を係合位置P2へ移動駆動したときに、リミットスイッチ84がオンしない、つまり係合体51と被係合体52とが非制限状態である場合は、係合体51と被係合体52とが係合するために、回転駆動体Mにより回転体2を開閉体Drの閉方向に回転させることによって、開閉体Drの途中で停止指示が出されてから、係合体51の係合部511が被係合体52の係合凹部523に係合するまでの間に、開閉体Drが閉方向へ移動し、開方向へは回動しないようにしているので、障害物に衝突するのを防止することができる。
【0086】
また、本実施形態では、制御手段70が、回転駆動体Mにより回転体2を開閉体Drの開方向へ回転させ、移動駆動体53により係合体51を係合位置P2へ移動駆動したときに、リミットスイッチ84がオンしない、つまり係合体51と被係合体52とが非制限状態である場合において、回転駆動体Mによる開閉体Drの閉方向への回転体2の回転を、回転体2が所定量回転してから停止させているので、開閉体Drが必要以上に閉方向に回動するのを防止でき、開閉体Drの操作者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0087】
また、本実施形態では、制御手段70が回転駆動体Mをデューティ制御しており、回転駆動体Mにより回転体2を開閉体Drの開方向へ回転させ、移動駆動体53により係合体51と係合位置P2へ移動駆動したときに、リミットスイッチ84がオンしない、つまり係合体51と被係合体52とが非制限状態である場合において、回転駆動体Mによる開閉体Drの閉方向への回転体2の回転を、デューティ比を増加させた回転としているので、回転駆動体Mを回転させた際に被係合体52と係合体51とを早期に制限状態にすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、制御手段70が、回転駆動体Mにより回転体2を開閉体Drの開方向へ回転させ、移動駆動体53により係合体51を係合位置P2へ移動駆動したときに、リミットスイッチ84がオンしない、つまり係合体51と被係合体52とが非制限状態である場合において、移動駆動体53を停止させているので、係合体51と被係合体52との押接面での面圧を低くし、再度回転駆動体Mを駆動する場合における荷重を解除して、回転駆動体Mを回転しやすくすることができる。