(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部の外側に前記容器本体の外周縁を位置させ、当該外周縁に前記凸部の上面よりも一段低い領域を設けることを特徴とする請求項6または7に記載の深絞り型包装体。
【背景技術】
【0002】
食品の長期保存や、製品の酸化防止を図る場合に、真空処理が施された深絞り型包装体がある。深絞り型包装体は、被包装物を収納するポケット部を有する容器本体と、そのポケット部内に被包装物を収納した状態でその容器本体の開口部を閉塞する蓋部材とを備えた構成を採る。容器本体は、ポケット部の周囲に外側に突出するフランジ部を有し、蓋部材はそのフランジ部の全周に渡って熱シールされることで無端状のシール部が形成され、ポケット部の内部を密封するようになっている。容器本体並びに蓋部材は、それぞれ所定材質のフィルムから構成される。
【0003】
容器本体を構成するフィルムは、例えば蓋部材を構成するフィルムに対して肉厚とするとともに、比較的硬質な材質のものを用い、ポケット部の形状もある程度保持されるものや、剛性のない軟らかいフィルム材から形成されたソフトブリスターパックなどとも称されるものなどがある。
【0004】
容器本体のフランジ部の全面に蓋部材を熱シールし、フランジ部と蓋部材の外周縁を一致させた場合、フランジ部から蓋部材を引きはがすことが非常に困難となる。そこで、係る構成の深絞り型包装体の開封を容易にするために、たとえば、特許文献1に示された包装体のように、蓋部材の外周縁の一部をフランジ部と未接着にし、摘み部分を形成したものがある。この構造からなる深絞り型包装体では、その摘み部分を指で挟み持った状態で蓋部材をフランジ部から引き離す方向に引っ張ることで、簡単に当該蓋部材をフランジ部から離脱させて開封することができる。
【0005】
そして、特許文献1に開示された発明では、さらに摘み部分の形状に特徴を持たせている。未接着部の容器本体にポケット部の突き出たのと同じ側に突出する凸部を少なくとも一つ形成し、手指等で擦った際に手指等に容器本体が引っ掛かるように当該凸部を構成している。これにより、摘み部分の蓋体と容器本体とを手指等で擦ることにより、凸部が滑り止めとなって手指等に引っ掛かり、開封開始端である摘み部分の蓋体と容器本体とを容易に分離することができ、深絞り型包装体を開封するきっかけを容易に形成することができるという効果を発揮するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された発明では、凸部に手指等が引っかかるというものの、実際には凸部の突出量は小さく引っかかりづらく開封しにくくなる場合も多々あると言う課題がある。さらに、摘み部分における容器本体のフランジ部と蓋部材は、熱シールはされないものの凸部以外の全面で接触しているとともに外周縁は接触する構造となっているので、密着して剥がれにくくなるおそれもあると言う課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の深絞り包装機は、(1)間欠的に搬送される下側フィルムに対し、凹状のポケット部を成型する成型装置と、その成型装置の下流側に配置され、前記ポケット部内に被包装物が挿入された状態の前記下側フィルムに対して上側フィルムを被覆する手段と、前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をシールして前記ポケット部を密封するシール装置と、前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をカットして、個々の包装体を製造するカット手段とを備えた深絞り包装機であって、前記成型装置は、前記ポケット部を成型する凹所を備えた下型を有し、前記凹所に隣接する前記下型の上面に、前記凹所側から離反する方向に順に複数の凸部を設けるとともに、その複数の凸部間に形成される凹溝を有し、
前記凹溝の底面には、前記下型を上下に貫通する透孔を有し、その透孔を介して吸引した状態で前記下側フィルムをその凸部と凹溝に沿って成型することで、前記個々の包装体において前記凹溝に沿って形成した部分で折れ曲がるようにし、前記シール装置は、前記成型装置の前記凸部と前記凹溝に沿って成型されたフィルム部位はシールしないように構成した。
【0009】
本発明によれば、ポケット部が形成される下側フィルムにおける成型装置の凸部・凹溝に沿って形成した部分は、後段のシール装置でシールされないので、係る部分では下側フィルムと上側フィルムは未接着となる。そして、前記成型装置の凹溝に沿って形成されるフィルム部位は、包装体で折れ曲がるため、上側フィルムの先端も持ち上げ、さらに折り曲げ部を備えることで未接着部分における上側フィルムと下側フィルムが面接触することが阻止できる。よって、未接着の摘み部分において、両フィルムを容易に離反させて、引き剥がすことができる。
【0010】
(2)前記凸部の上面は、凹凸を形成するとよい。(3)前記凹凸は、微小で多数の凹凸或いは前記凹溝と平行に延びる複数の凸条により形成されるようにするとよい。また、エンボス加工その他の各種の態様をとることができる。凹凸が形成されるとで、開封時に指が引っかかりやすく、フィルムを保持して開けやすくなる。
【0011】
(4)前記凸部の外周縁は、前記包装体の外周縁の形成位置よりも内側に位置するレイアウトとするようにするとよい。このようにすると、凸部の外周縁が一段低くなり、上側フィルムの外周縁との間で隙間が形成される。よって、上側フィルムと下側フィルムの間に指先、爪などを挿入しやすくなる。
【0012】
(5)本発明に係る深絞り型包装体は、被包装物を収納するポケット部を有する容器本体と、前記ポケット部内に被包装物を収納した状態でその容器本体の開口部を閉塞する蓋部材とを備え、前記容器本体と前記蓋部材は、前記ポケット部の外側に突出する部位で全周に渡って熱シールされることで前記ポケット部の内部を密封される深絞り型包装体であって、前記深絞り型包装体の外周縁の端部の少なくとも一箇所に、前記容器本体と前記蓋部材が未接着の摘み部分を備え、その摘み部分における前記容器本体の部位は、熱シールされた部位に隣接する根元側から先端側に至る少なくとも一箇所に折り曲げ部を有し、その折り曲げ部により先端側が前記ポケット部の突出する方向と反対側に持ち上がった姿勢となり、前記摘み部分における前記蓋部材の先端は、前記容器本体の前記先端側により持ち上げられるとともに、前記折り曲げ部と前記蓋部材が離反するように構成した。
【0013】
本発明によれば、深絞り型包装体の摘み部分において、容器本体側に折り曲げ部を形成し容器本体の先端が持ち上がることで、蓋部材の先端も持ち上げることできる。さらに折り曲げ部を備えることで、蓋部材と折り曲げ部との間に隙間を確保し、容器本体と蓋部材と容器本体が面接触することを阻止することができる。よって、摘み部分において、容器本体と蓋部材を容易に離反させて、引き剥がすことができる。
【0014】
(6)前記摘み部分における前記容器本体の部位には、熱シールされた部位に隣接する根元側から先端側に沿って順に複数の凸部を形成し、前記凸部は、前記ポケット部の突出する方向と反対側に突出するように形成し、その複数の凸部の間に形成される凹溝により前記折り曲げ部を構成するとよい。この場合において、例えば、(7)前記凹溝の底部は、前記ポケット部側に突出しないようにするとよい。
【0015】
(8)上記の(6),(7)の構成を前提とし、前記凸部の外側に前記容器本体の外周縁を位置させ、当該外周縁に前記凸部の上面よりも一段低い領域を設けるようにするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、深絞り型包装体の摘み部分において、容器本体側に折り曲げ部を形成し容器本体の先端が持ち上がることで、蓋部材の先端も持ち上げ、さらに折り曲げ部を備えることで蓋部材と容器本体が面接触することを阻止することができる。よって、摘み部分において、容器本体と蓋部材を容易に離反させて、引き剥がすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る深絞り包装機の好適な一実施形態の全体図を示している。本実施形態の深絞り型包装機は、上流側に下側フィルム供給装置1を配置する。この下側フィルム供給装置1は、回転自在に2本の原反ロール2′がセットされ、一方の原反ロール2′から連続して引き出された帯状の下側フィルム2が、複数のローラに掛け渡されて搬送され、次段のフィルム搬送装置3に供給される。なお、他方の原反ロール2′は、交換用の予備であり、一方の原反ロール2′から完全に帯状の下側フィルム2が引き出されたならば、その後端に他方の原反ロール2′から引き出される下側フィルム2の先端を接着テープ等で接続することで連続して運転できるようになっている。
【0019】
フィルム搬送装置3は、図示省略するが、一対のスプロケット間に渡設されたエンドレスチェーンの所定間隔毎に配設された爪部材にて、下側フィルム2の両側縁をつかみ、そのまま下側フィルム2を前進移送するようになっている。そして、下側フィルム2の搬入側近傍には、成型装置6が配設されている。この成型装置6は、下側フィルム2を真空吸引し、下側フィルム2の所定位置に下側に突出する凹状のポケット部を成型する。
【0020】
また、成型装置6の進行方向前方には、被包装物供給エリアが設けられており、そのエリア内でポケット部内に被包装物を順次供給するようになっている。なお、係る供給は、機械による自動供給でもよく、あるいは人手による供給でもよい。
【0021】
更に、下側フィルム2の搬送路の略中央上方部には上側フィルム供給装置4が配置される。この上側フィルム供給装置4は、回転自在に原反ロール5′が配設され、その原反ロール5′から連続して引き出された上側フィルム5を、下側フィルム2の上方を被覆するように供給する。
【0022】
さらにまた、上側フィルム5の被覆点より進行方向前方には、シール装置10が配設される。シール装置10は、下側フィルム2と上側フィルム5の所定位置、つまり、ポケット部の周囲の両フィルム2,5の接触部位を上下から挟み込むとともに加熱して熱シールする。これにより、被包装物がポケット部内に密封される。また、このシール装置10にポケット部内の空気を吸引除去する機能を設け、両フィルム2,5を熱シールする前にポケット部内の空気を吸引除去することで、被包装物がポケット部内にて真空状態で密封するように構成している。なお、係る空気を除去する機能は必ずしも備える必要はなく、シールのみする構成としても良いし、吸引除去してポケット部内を真空にする機能に替えて、所定のガスを充填する機能を設けることで、ポケット部内を窒素等の不活性ガスに置換するようにしてもよい。
【0023】
さらにシール装置10は、ポケット部が形成されていない下側フィルム2と上側フィルム5の対向するフィルムのほぼ全面をシールするようになっているが、シール面の一部に凹部を設け、フィルムの一部の領域に未シール部を形成するようになっている。この未シール部を形成する領域は、ポケット部の4つの角部のうちの1つの先端側とし、最終的な包装体における摘み部分を構成する位置としている。なお、詳細な構成は後述する。
【0024】
シール装置10の更に進行方向前方には、横カッター装置7並びに縦カッター装置8が配設されており、下側フィルム2と上側フィルム5の所定位置を横方向,縦方向にそれぞれ切断し、個々の深絞り型包装体ごとに分離製造する。これらの点では、従来の真空包装装置と概略同一構成である。
【0025】
図2〜
図4は、成型装置6の具体的な構成を示している。同図に示すように、成型装置6は、下側フィルム2を挟むように上下に配置された上型11と下型12とを備える。両型11,12は、下側フィルム2の搬送タイミングに合わせて昇降移動する。そして、上型11と下型12が接近移動することで、両型11,12は下側フィルム2を上下から挟み込んで保持する。
【0026】
上型11は、扁平な矩形状からなり、その下面に底浅の凹所11aを設ける。これにより、上型11の下面は、その外周縁に沿って凸部11bの枠が形成される。また、凹所11a内には、熱板13が配置される。
【0027】
下型12は、上型11とほぼ同形状の平面形状を有し、上面12dの所定位置に凹部12aを備える。本実施形態では、2行2列の合計4個の凹部12aを備える。上型11と下型12が離反した状態では、共に下側フィルム2から離れる。これにより下側フィルム2はスムーズに前進移動する。所定のタイミングで上型11と下型12が昇降することで、上型11の凸部11bと、下型12の上面12dの周縁との間で下側フィルム2を挟み込んで保持する。これにより、熱板13から発する熱により下側フィルム2が加熱される。
【0028】
また、凹部12aの底面には、下型12を上下に貫通する透孔12bが形成され、それら透孔12bは、下型12内に形成した所定の排気通路12cに連通され、その排気通路12cを介して外部に配置された図示省略の真空ポンプと連通可能となる。なお、当該排気通路と真空ポンプの間には、開閉バルブ(図示せず)が設けられており、真空ポンプと凹部12aとが連通したり、遮断したりできるようにしている。
【0029】
よって、上型11と下型12が接近移動して下側フィルム2を挟み込んだ状態になると、下型12の凹部12aの上方は下側フィルム2にて閉塞される。そして、その状態で、真空ポンプと凹部12aを連通することで、凹部12a内等に存在する空気を吸引し除去すると、下側フィルム2にも負圧がかかり熱板13の熱により軟化されていたフィルム部位は変形、延びやすくなっていることも相まって、凹部12aの内形状に沿った形状に加工されてポケット部が形成される。係る構成は、基本的に従来の成型装置6と同様である。
【0030】
ここで本発明では、
図2,
図4(a)に示すように、下型12の上面12dの所定位置に、摘み成形部15を設けている。摘み成形部15を設ける所定位置は、凹部12aの4角のうちの一箇所の外側に隣接する位置としている。この隣接する位置は、最終的な深絞り型包装体における4角のうちの一角に対応する位置となり、その深絞り型包装体の外周縁に臨むレイアウトとしている。
【0031】
摘み成形部15は、下型12の上面12dよりも上方に所定の間隔をおいて配置される複数の凸部と、その複数の凸部間に形成される凹溝を有し、その凹溝に対向するフィルム部位に折り曲げ部を形成するようにしている。本実施形態では、第一凸部15aと第二凸部15bの2つの凸部を備える。第一凸部15aは、凹所12a側に配置し、その平面形状は等脚台形とし、第二凸部15bは凹所12aから離れた側(深絞り型包装体の先端側)に配置し、その平面形状は直角二等辺三角形状としている。第一凸部15aの斜辺と、第二凸部15bの斜辺はほぼ同一直線状に位置し、両凸部15a,15bを合わせた全体では大きな直角二等辺三角形が形成される。また、両凸部15a,15bは、最終的に製造される深絞り型包装体の形成領域における一つのコーナー部分の外周縁よりは少し内側に位置するようにしている。
【0032】
そして、両凸部15a,15bは、凹所12a側から順に離反するように配置されるとともに、所定の間隔をおいて形成されており、両凸部15a,15bの間には、直線状の凹溝15cが形成される。この凹溝15cの底面には、下型12を上下に貫通する透孔15dが形成され、それら透孔15dは、下型12内に形成した所定の排気通路12c′に連通され、その排気通路12c′を介して外部に配置された図示省略の真空ポンプと連通可能となる。
【0033】
これにより、上型11と下型12とで下側フィルム2を挟み込むと、下側フィルム2は両凸部15a,15bに接触するフィルム部位が上方に付勢され、上に凸に成形される。さらにその上型11と下型12とで下側フィルム2を挟んだ状態で真空ポンプによる吸引を行うと、凹溝15cに対向するフィルム部位が吸引され、凹溝15cの内形状に沿って凹部が形成される。よって、摘み成形部15に位置するフィルム部位は、第一凸部15a,第二凸部15bの形状に沿って上方に突出する2つの凸部が形成されるとともに、その両凸部間に凹部2c(凹溝に対向する部位)が形成される。
【0034】
さらに、第一凸部15aと第二凸部15bの上面は、微小で無数の凹凸が形成される。この上面は、例えばざらざらとしており、梨地状のような表面となっている。したがって、両凸部15a,15bにより形成された下側フィルム2の凸部の表面は、ざらざらとした状態となる。
【0035】
さらにまた、凹溝15cの高さ位置は、下型12の上面12dと等しくしている。つまり、本実施形態では、下型12の上面に、上方に突出するように第一凸部15aと第二凸部15bを設けることで、両凸部の上面の位置が高くなることから相対的に両凸部15a,15b間に凹溝15cが形成されており、当該凸部の上面位置に比べて相対的に低位置となった凹溝15cが形成されるようにしている。
【0036】
よって、この成型装置6にて成形された下側フィルム2は、下型12の凹所12aに対向するフィルム部位は下側フィルム2の基準面よりも下方に突出し、両凸部15a,15bに対向するフィルム部位は下側フィルム2の基準面よりも上方に突出する。そして、凹溝15cに対向するフィルム部位は、下側フィルム2の基準面と同じ位置となる。
【0037】
図5,
図6は、シール装置10の具体的な構成を示している。同図に示すように、シール装置10は、上側ボックス21と下側ボックス22とを備え、両ボックス21,22は、上側フィルム5,下側フィルム2の搬送タイミングに合わせて昇降移動するようになっている。
図6に示すように、両ボックス21,22の間には、成型装置6にて成型された下側フィルム2の上方に上側フィルム5が覆われた状態で位置する。下側フィルム2には、下型12の凹所12aによって形成された下方に突出するポケット部2aと、摘み成形部15により形成された上方に突出する凸部2bが形成される。さらに
図6に示すように、2つの凸部2b間のフィルム部位2cは、下側フィルム2の基準面と同じ位置となっている。
【0038】
下側ボックス22は、上開きの箱状になっていて、上部頂面に受けゴム24を貼着するとともに、その内部に所定数(実施例では4個(2×2)を示している)の第一凹部22aを備える。第一凹部22aは、下側フィルム2に形成されたポケット部2aに対向する位置に設ける。各凹部22a間には、仕切壁14が形成される。
【0039】
また、第一凹部22aに隣接して平面略三角形状の第二凹部22dを備える。この第二凹部22dは、下側フィルム2に形成された凹部2b及びその周辺のフィルム部位、すなわち、深絞り型包装体における摘み部分となるフィルム部位に対向する位置に設ける。
【0040】
第一凹部22a,第二凹部22dの底面には、それぞれ上下に貫通する透孔22bが形成されている。また、仕切壁14の所定位置(ほぼ中央部)には上下に貫通する貫通孔(図示省略)が複数形成されている。透孔22b並びに貫通孔は、下側ボックス22に形成した所定の通路22cに連通され、その通路を介して外部に配置された図示省略の真空ポンプと連通可能となり、第一凹部22a、第二凹部22d内等に存在する空気を吸引除去できる。なお、当該通路と真空ポンプの間には、開閉バルブ(図示せず)が設けられており、真空ポンプと連通したり、遮断したりできるようにしている。
【0041】
一方、上側ボックス21は、下開きの箱状の外枠25の凹所25aに、層状に一体となったヒータ27,シーラ28が配置される。ヒータ27内の所定位置には、例えば図示省略するヒートパイプが設けられ、そのヒートパイプの熱がヒータ27ひいてはシーラ28に伝わり、全体が加熱される。
【0042】
そのシーラ28の下面の所定位置には、第一凹部28aと第二凹部28bが形成される。第一凹部28aの形成位置は、下側ボックス22に形成した第一凹部22aに対向する位置とし、第二凹部28bの形成位置は、下側ボックス22に形成した第二凹部22dに対向する位置とした。これらの各凹部28a,28bが形成されていないシーラ28の下面がシール面となる。
【0043】
すなわち、シーラ28の凹部28a,28bが形成されていない下面の領域は、上側ボックス21と下側ボックス22で上側フィルム5と下側フィルム2を挟み込んだ際には、シーラ28の当該シール面と、上記受けゴム24との間で上側,下側フィルム5,2を所定圧力で挟持し、フィルムに接触するシール面から両フィルムを加熱することで接触部位を熱シールする。
【0044】
さらに、第一凹部28a内には、抑え板29を配置している。この抑え板29は、ポケット部2aの上方を塞ぐ上側フィルム5のフィルム部位に接触し、抑えこむものである。ヒータ27やシーラ28とは熱的に遮断されており、接触するフィルム部位を加熱はしない。
【0045】
各凹部22a,22d,28a,28bに対向し、シーラ28の下面が接触しないフィルム部位は、直接的にシーラ28によって加熱されず、加圧もされないため、熱シールされない。よって、例えば、深絞り型包装体における摘み部分となるフィルム部位も加熱・加圧されず、当該フィルム部位の上側フィルム5と下側フィルム2は未シール部となる。
【0046】
なお、具体的な説明を省略するが、このシールの際に下側ボックス22の各凹部22a,22dや仕切壁23の貫通孔を介して真空ポンプによる吸引を行うことなどにより、ポケット部2a内の空気を除去して真空処理を施す。これにより、ポケット部2a内が真空に引かれるとともに、ポケット部2aの周囲にて上下のフィルムがシールされて密封される。
【0047】
図7は、上述した本実施形態の深絞り包装機を用いて製造される深絞り型包装体30を示している。ポケット部2aの周囲に位置するフィルム部位は熱シールされてシール部31となり、深絞り型包装体30が密封される。また、この深絞り型包装体30の4角のうちの一箇所は、摘み部分32となる。
図7(a)に示すように、この摘み部分32は、成型装置6の摘み成形部15で形成され2つの凸部2bと、その凸部2b間に形成される凹部2cが形成される。また、凸部2bの外周囲は、深絞り型包装体30の周縁よりも内側に位置するようになり、係る凸部2bの外周には下側フィルム2の外周縁2dが位置する。
【0048】
この摘み部分32では、上側フィルム5と下側フィルム2はシールされておらず、未接着となり、互いにフリーな状態となっている。この未接着の摘み部分32は、深絞り型包装体30の外周縁まで至るようにしている。
【0049】
そして、
図7(b)に示すように、本発明では、2つの凸部2bの間に折り曲げ部となる凹部2cが形成されており、その凹部2cの部分で折り曲げている。すなわち、
図7(c)に拡大して示すように、凹部2cの底部の幅d1に比べ凹部2cの開放側の両端距離d2が接近するように変形するため、2つの凸部2bの上面が面一ではなく上面同士のなす角θ1が180度よりも小さくなる。その結果、摘み部分32における下側フィルム2は、先端・外周縁が跳ね上がった状態となる。このようになす角θ1が180度よりも小さくすることで、上側フィルム5と下側フィルム2を確実に離反させ、空間を確保させる。よって、摘み部分32における上側フィルム5と下側フィルム5が密着等することなく、両者を簡単に離すことができる。
【0050】
さらに、図示するようにポケット部2aに隣接する側の凸部2bの壁面も、下側フィルム2の基準面Lに対して垂直ではなくなす角θ2が鋭角となって斜めに立ち上がるため、下側フィルムの基準面Lに対して、係る隣接する側の凸部2bから上側フィルム5側に立ち上がるように傾斜させるようになり、摘み部分32の全体をポケット部2aの突出方向と反対側に斜めに傾斜させることができる。これにより、上側フィルム5も、係る摘み部分32の根元(ポケット部2a側)から斜めに立ち上げることができ、摘み部分32における上側フィルム5と下側フィルム2がより剥がれやすくなる。
【0051】
また、本実施形態では、凸部2bの外側に下側フィルム2の外周縁2dを位置させて、凸部2bの上面によりも一段低い領域を設けているため、
図7(b)に示すように、係る外周縁2dと上側フィルム5の先端5aとの間に、凸部2bの高さに相当する隙間を確保できる。よって、例えば、ユーザが指先或いは爪を、係る外周縁2dと上側フィルム5の先端5aの間に入れることで、ユーザの指を上側フィルム5と下側フィルム2の間に容易に進入させ、両フィルムを引き離していくことができる。
【0052】
さらにその進入に際し、凸部2bの表面がざらざらとしているので、指等が適宜に引っかかり、下側フィルム2をしっかりと保持することもできる。そして、未接着の摘み部分32の根元部分まで上側フィルム5と下側フィルム2を開いたならば、そのまま両フィルム5、2を、それぞれ別々の片方の手で持つとともに、さらに引き離す方向に付勢することでシール部31が剥がれていき、包装体が開封する。
【0053】
図4(b)は、本発明の別の実施形態の要部を示している。すなわち、この実施形態では、成型装置6の摘み成形部15′の構成を変えている。具体的には、両凸部15a′,15b′の上面の形状を多数の溝・凸条を形成している。これにより、この両凸部15a′,15b′の上面に接触した下側フィルム2のフィルム部位は、
図8に示すように、摘み部分32を構成する下側フィルム2の凸部2b′の表面には、摘み成形部15′の両凸部15a′,15b′の上面の形状に沿って多数の凸条が形成される。よって、上述した実施形態における凸部2bの表面がざらざらとした状態のものと同様に、当該凸条に指が適宜に引っかかり、容易かつ確実に下側フィルムを保持することができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上述した実施形態と同様とするとよい。
【0054】
上側フィルム5と下側フィルム2のフィルム材は任意であり、例えば特許文献1に開示されたソフトタイプのように被包装物を収納するポケット部を備えた下側フィルムも軟らかい材質としても良いし、硬質のものを用いても良い。
【0055】
上述した実施形態では、成型装置6の下型12には、第一凸部15aと第二凸部15bを設け、その間に一つの凹溝15cを形成するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば3つ以上設けて複数の凹溝を形成するようにしてもよい。また、
図8において溝・凸条の形状を凹部2cと直交する方向に形成したり(縦目)、格子模様にしたりすることもできる。