(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
[0003]エネルギー情報局及び現在の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオによれば、2030年までに、世界中の電力需要が、現在の約2テラワットの電力(TWe)レベルから4TWeへと2倍になり、2100年までには8〜10TWeに達すると予想される。また、今後30〜50年間は、電力生産の需要の大部分が、化石燃料、典型的には石炭及び天然ガスにより提供されると予想される。石炭は現在の世界の電気エネルギーの41%を提供しており、2030年までに45%を提供すると予想される。加えて、IPCCの最新レポートでは、大気中への二酸化炭素排出の人為的な原因が、地球の気候に90%の大きな影響を与えている可能性が提起された。「現状維持」基準のシナリオでは、2050年まで二酸化炭素排出が現在のレベルのほぼ2.5倍になり得ることが示される。大気中の二酸化炭素濃度を安定、低下させ、付随する気候変動を軽減するよう努めつつ、先進国及び発展途上国の両方において増加するエネルギー需要を満たすために、新しい技術及び代替エネルギー源がかつてないほどに必須となっている。
【0004】
[0004]非炭素排出エネルギー源である原子力エネルギーが、1950年代から世界のエネルギー生産の重要な要素となっており、現在は世界の電気生産の約16%を占め、その割合は原理上は、増加し得る。しかし、複数の要因により、原子力エネルギーの長期にわたる持続可能性が困難になっている。このような問題には、核物質の拡散の危険や、核燃料サイクルによる技術、すなわち深地層処分場への埋設を必要とする長寿命放射性核廃棄物の発生、ワンススルー開放核燃料サイクルに対する現在の依存、及び低コストで二酸化炭素排出量の少ないウラン鉱の使用可能性が含まれる。米国のみで、すでに55000メートルトン(MT)を超える使用済み核燃料(SNF)が原子炉から発生している。近い将来、使用済み核燃料が、ユッカマウンテン(Yucca Mountain)の地層廃棄物処分場を70000MTの規制限度まで満たすことになろう。
【0005】
[0005]核融合は、将来の発電にとって魅力的なエネルギーの選択肢であり、核融合発電所についての2つの主な手法が現在開発されている。第1の手法では、慣性核融合(ICF)が、レーザ、重イオンビーム、又はパルスパワーを使用して、重水素(D)及びトリチウム(T)の混合物を含むカプセルを急速に圧縮する。カプセルの半径が減少して、DTガス密度及び温度が上昇すると、圧縮されたカプセル中心の小さな点でDT核融合反応が始まる。このようなDT核融合反応により、アルファ粒子及び14.1MeV中性子が発生する。核融合燃焼がその点から前方へ伝搬し、大きなエネルギー利得を生み出す。第2の手法である磁気核融合エネルギー(MFE)は、強力な磁場を使用してDTプラズマを閉じ込め、燃焼するプラズマを持続させるのに必要な状態を発生させて、エネルギー利得を生み出す。
【0006】
[0006]ICFのための重要な技術は、本発明の譲受人である、カリフォルニア州リバーモアのLawrence Livermore National Laboratory(LLNL)のNational Ignition Facility(NIF)で最初に開発された。ここでは、熱核融合点火及び燃焼を達成するように設計されたレーザベースICFプロジェクトが、1〜1.3MJのレーザエネルギーを使用する。10〜20MJの核融合収率が予想される。核融合技術が単独で費用効果の高い発電に使用される場合、中心のホットスポット核融合形状に200MJを超える核融合収率が必要であると予想される。したがって、純粋なICFエネルギーによる経済性を達成するという重要な技術的課題が残る。
【0007】
[0007]ICFの適用に加えて、材料加工、掘削、切断及び溶接、軍事用途等のための高平均出力レーザの分野において幅広い関心が持たれている。従来の高出力レーザ設計は、設置面積が大きく関連費用の高い構造を使用している。したがって、当技術において、小型の、少ないシステム費用で高出力を提供するレーザ及び増幅器構造が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0027]本発明の実施形態は、レーザシステムに関する。より詳細には、本発明は、4パス増幅器構造を使用して高出力レーザビームを発生させるための方法及びシステムに関する。例としてのみ、本発明は、小型構造の増幅器の横励起又は端面励起を使用する増幅器アセンブリに適用されている。方法及びシステムを種々の他のレーザ増幅器構造及びレーザシステムに適用することができる。
【0016】
[0028]以下により完全に説明するように、本発明の実施形態は、閉鎖結合構成で1、2、4又はそれ以上のビームを増幅して、4ビーム構成において、増幅器スラブの端面励起又は横励起を使用する「クワッド」増幅器を形成するように動作可能な増幅器モジュールを提供する。したがって、以下の表1に示すように、本発明の実施形態は、従来技術と比べて各ビームアパーチャについての体積が小さいシングル又はクワッド増幅器モジュールを提供する。本発明の実施形態は、利得プロファイルの非対称を減らすことにより、横位置に応じて均一な利得をもたらす方法及びシステムを提供する。
【表1】
【0017】
[0029]本発明の実施形態は、高平均出力動作に適した受動4パス構造を提供する。
図1Aは、本発明の一実施形態による横励起増幅器モジュールの簡略平面図である。本発明の実施形態を使用することにより、長さ9.5m、幅1.3m、高さ1.28mの寸法の増幅器モジュールが提供される。本発明の実施形態はこのような特定の寸法に限定されるものではなく、この寸法は本明細書に記載する構造が提供する小型サイズを示す。
図1Aを参照すると、レーザビーム(例えば、前置増幅器モジュールにより供給されるもの)が、注入ミラー110を使用して増幅器システムに注入される。レーザビームを、高出力動作に適したものとして多重化することができる。注入ビームは、ミラー112から増幅器モジュール内へ反射した後、偏光子114の透過軸に位置合わせされた注入レーザビームの偏光により偏光子114から反射する。本発明の一実施形態によれば、注入レーザビームはs偏光を特徴とし、偏光子114はs偏光を反射してp偏光を透過するように位置合わせされるが、他の実施形態はp偏光状態又は他の適切な偏光状態を使用することができる。一部の実施形態では、伝送テレスコープによる角度多重化を使用してビームが注入される。
【0018】
[0030]ビームは4分の1波長板116を通過する。4分の1波長板はs偏光注入レーザ光を円偏光(例えば左円偏光)に変換し、B積分を少なくする。以下でより完全に説明するように、本明細書に記載の受動4パス構造は、右偏光が、ミラーからの正常な入射反射時に左偏光になることを使用している。その後、注入光が、増幅器と後述するエンドミラーとの間で使用される画像リレーにより、2つの増幅器ヘッドを通過する。
図1Aを参照すると、ミラー120が、ダイオードアレイ126、128により横方向に沿ってポンピングされる光を増幅器124に向ける。本発明の実施形態では、増幅器124が、スラブレットとも呼ばれる複数の増幅器スラブを備えることができる。要素120、122、124、126、128を、増幅器ヘッド129と呼ぶことができる。レーザ増幅器の横励起に関連する更なる説明が、参照によりすべての目的のためにその開示全体が本明細書に組み込まれている、2010年11月5日に出願された米国特許出願第12/940869号「Transverse Pumped Laser Amplifier Architecture」に記載されている。
【0019】
[0031]
図1に示すように、4分の1波長板116が構造内の特定の位置に位置決めされる。この実施に加えて、4分の1波長板116を
図1Aに示すバックミラー140の前に位置決めして、直線偏光(例えば、以下の例のs偏光)を伴う光の注入を可能にすることもできる。この光は、次に4分の1波長板を通過して円偏光(例えば、本例の左円偏光)になり、ミラー140から反射してビームの利き側を変化させ(例えば、右円偏光になり)、第2及び第3の増幅パスについて適宜p偏光状態で4分の1波長板から出て、第4の増幅パスについてs偏光に変化する。偏光に対する同じ正味効果を得るために、キャビティミラー140の前の4分の1波長板を、45°ファラデー回転子に置き換えることもできる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0020】
[0032]増幅器124を通る第1の増幅パス後、光がミラー122から、レンズ130、132により表されるリレーテレスコープに向けて反射される。画像リレーに加えて、リレーテレスコープは空間フィルタリング機能を提供する。90°偏光回転子134が、増幅器ヘッド129と、2つの回転ミラーと2つのダイオードアレイにより横励起される増幅器とを備えた増幅器ヘッド136との間に位置決めされる。90°偏光回転子134は、複数の利点のうち、増幅器スラブの熱複屈折を補償する。ビームが増幅中に円偏光状態にある実施形態では、熱複屈折がビームに楕円率を導入する傾向があり、これは偏光回転子134を通る複数のパスにより除去される。図示した実施形態では、増幅器ヘッド129、136間で画像リレーが使用される。
【0021】
[0033]熱複屈折は、熱負荷下の等方性利得媒質に関連した潜在的な消耗性損失である。熱複屈折の悪影響により、一部のシステム設計者はブルースター角設計を使用するようになっている。増幅器ヘッド129、136を通る第1の増幅パスの後、ビームがキャビティミラー140に画像リレーされて、円偏光が左から右へ修正される(前述した左利きを想定)。一部の実施形態では、ミラー140は増幅ビームからの歪みを低減又は除去するように動作可能な変形可能ミラーである。図示したように、リレーテレスコープが、増幅器ヘッド136の出口回転ミラーとキャビティミラー140との間の光学路に沿って配置される。
【0022】
[0034]増幅器ヘッド129、136を通る第1のパスの後、ビームはミラー140から反射して、増幅器ヘッド136、129を通る第2の増幅パスを形成する。4分の1波長板116を通過するときに、本実施形態では偏光が右円偏光からp偏光に変換されるため、偏光子114を通過する。その後、ビームは、レンズ142、144を含むリレーテレスコープを使用してポッケルスセル146に画像リレーされ、偏光子116を横切る偏光子148を通って第2のキャビティミラー150に到達した後に、偏光子148及びポッケルスセル146を通って戻る。
【0023】
[0035]増幅器ヘッド129、136を通る第3のパスでは、2回増幅されたビームが左円偏光状態にある。変形可能ミラー140及びヘッド129、136を通る第4のパスからの反射後、4分の1波長板116が偏光をs偏光に変換することにより、偏光子114及びミラー112から増幅器モジュールの上レベルへの反射が生じる。ミラー112のレベルの、
図1Bに関連して説明する伝送テレスコープは、光を出力窓152に送る。
【0024】
[0036]本発明の実施形態による使用に適したポッケルスセル、特にギャップ結合電極ポッケルスセルに関連する更なる記述が、参照によりすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれている、2010年10月27日に出願した米国特許出願第12/913651号「Electro−Optic Device with Gap−Coupled Electrode」に示されている。
【0025】
[0037]
図1Aを参照すると、増幅器ヘッド129、136は横励起を使用して励起される。
図3A〜4Bに関連して説明するように、端面励起を使用して増幅器を励起することもできる。このようなポンピング設計では、低ダイオードピッチと組み合わせて非常に高いアレイ強度を生み出す、最先端の高出力ダイオードバー技術を使用することができる。一部の実施形態では、合成して有効なアレイ強度を2倍にする偏光を使用することにより、高いポンプ強度が提供される。その後、このポンプ源を増幅器の中心に画像リレーする。この構造により、ポンプ源の強度及びダイオードバーの開きが維持される。これはポンプ放射が比較的大きなレイリー範囲を有し、効率のよい平坦なポンププロファイル強度を比較的厚い増幅器(例えば、増幅器深さが増幅器幅及び高さに近い場合)に与えることを意味する。偏光合成技術及びレーザ増幅器の横励起に関連する更なる記述が、参照によりすべての目的のためにその開示全体が本明細書に組み込まれている、2010年11月5日に出願した米国特許出願第12/940869号「Transverse Pumped Laser Amplifier Architecture」に示されている。
【0026】
[0038]
図1Bは、
図1Aに示す横励起増幅器システムの簡略側面図である。
図1Bを参照すると、2つの増幅器ヘッド129、136間のリレーテレスコープがレンズ130、132により示され、ビームを出力窓に向けるために使用される伝送テレスコープは、レンズ160、162により示される。一部の実施形態では、長手方向空間フィルタ(図示せず)を使用して、システム性能を向上させる。リレーテレスコープ及び空間フィルタに関連する更なる記述が、参照によりすべての目的のためにその開示全体が本明細書に組み込まれている、2009年8月20日に出願した米国特許出願第12/544988号「Spatial Filters for High Average Power Lasers」に示されている。
【0027】
[0039]空間フィルタは、2つの高利得増幅器間の寄生光を限定する利得分離の1形態として機能する。加えて、空間フィルタリングはB積分をリセットし、増幅器を通る最新のパスでのビーム品質を維持しながら、より高い抽出効率を可能にする。リレー画像化は、多重化角度に関連するケラレを減らして、より大きいモードフィルを有するより高いコントラストビームが増幅器から出力を抽出できるようにすることによって、抽出効率を向上させる。加えて、リレー画像化により、高コントラストビームを維持しながら、より質の低い光学素子を使用できるようになる。本発明の一部の実施形態では、リレーテレスコープがビーム品質を向上させるために示されているが、本発明が必要とするものではなく、一部の設計では任意選択である。加えて、増幅器ヘッド間の空間フィルタの使用も、寄生の問題に拘束されにくい設計では任意選択である。したがって、リレーテレスコープ、空間フィルタ等は、本発明が必要とするものではなく、一部の実施では任意選択とすることができる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0028】
[0040]
図1Bに示すように、偏光合成がダイオードアレイポンプ126、128で使用されて、増幅器124に結合されたポンプ強度を高める。本明細書を通してより完全に説明するように、種々の偏光合成技術を本発明の実施形態とともに実施することができる。光がミラー112及び偏光子114により反射されて、増幅器ヘッド及びリレーテレスコープ130、132を含む下面に入る。
図1Bに示す側面図では、各増幅器の増幅器スラブにヘリウムガス冷却を行うものとして、ガス冷却システムが示される。本発明の実施形態は、ガス冷却を伴う列線交換ユニット(LRU)と、LRU交換のための取り外し可能な電気その他の接続部とを提供する。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0029】
[0041]第1の2つの増幅パスの後に、第1のキャビティミラー及び第2のキャビティミラーへの増幅器ヘッド間のビームラインを折り畳むことにより、従来の設計では使用できない小型設計が可能になる。本明細書に記載する小型設計により高出力動作が可能になるため、このような設計は、幅広い適用、特にレーザ増幅器モジュールが輸送可能である適用に適したものとなる。
【0030】
[0042]
図1A、1Bは、増幅器ヘッド内の各増幅器について単一のアパーチャを示しているが、これは本発明の実施形態が必要とするものではない。代替の実施形態では、アパーチャがより小さい隣接アパーチャに細分化されて、ビームアパーチャ寸法を小さくする。
図1Cは、本発明の実施形態による、細分化された増幅器アパーチャの簡略横断面図である。
図1Cに示す増幅器では、アパーチャが、横方向にわたる4つのサブアパーチャ170A、170B、170C、170Dに細分化される。したがって、増幅中に光が増幅器を通過して画像面に入る。このような実施形態では、シングルビームではない入力ビームを、一組のほぼ平行なコヒーレント入力ビームとして供給することができる。アパーチャの細分化により、より小さい横寸法を有する光学素子を使用できるため、製造プロセスが容易になる。加えて、光学素子間の領域172により伝搬損失が増加し、横方向の増幅自然放出の影響が減る。4つのサブアパーチャ170A、170B、170C、170Dが
図1Cに示されるが、本発明はこの特定の構成に限定されず、本発明の実施形態により、他のサブアパーチャ構成を使用することができる。
【0031】
[0043]増幅器に加えて、又は増幅器の代わりに、サブアパーチャ技術を使用して、偏光回転子、周波数変換器、ポッケルスセル等を含む他のシステム部品を形成することができる。増幅器がサブアパーチャシステムとして設けられる実施形態では、ダイオードアレイポンプを同様に分割して、冷却要素又は他の適切な要素を含むことのできるギャップを設けることができる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。一部の実施形態では、前置増幅器モジュール(例えば、繊維振動子)を、外部源から提供する代わりに、増幅器モジュールに組み込むことができる。空間フィルタ/リレー画像化が増幅器モジュールに含まれる実施形態では、前置増幅器モジュール位置(すなわち、ビーム高さに対する増幅器コラム高さによる)について使用可能な関連空間がある。前置増幅器モジュールを増幅器モジュール内に位置決めすることにより、画像リレーテレスコープを介して増幅器モジュールに剛性接続する必要があり得る前置増幅器モジュールの外部位置に関連する問題の影響が減る。加えて、増幅器モジュールに対する前置増幅器モジュールの振動又は変位により、指向誤差、不適切な注入、及び/又は効率損失が生じるが、これらは増幅器モジュールに前置増幅器モジュールを組み込むことにより改善される問題である。
【0032】
[0044]
図2Aは、本発明の一実施形態による横励起4ビーム増幅器システムの簡略平面図である。
図2A、2Bに示す実施形態では、長さ9.5m、幅2.2m、高さ2.38mの寸法の増幅器モジュールが設けられるが、本発明の実施形態はこのような正確な寸法を有する必要はない。
図2A、2Bに示す構造は、
図1A、1Bに示す構造と一部が類似しているが、
図2Bに示すように、2×2構成において、各増幅器ヘッドにつき4つの増幅器を使用する。したがって、このような実施形態を「クワッド」構成と呼ぶことができる。
【0033】
[0045]
図2Aを参照すると、矢印210により示すように光がミラー212、214及び偏光子216、218に向けて注入される。これにより、
図1A、1Bに示す単一ビーム路と比べて、2つのビーム路が設けられる。各ビーム路の光は、その後、第1のクワッド増幅器ヘッド220へ伝搬する。増幅器ヘッド220は4つの増幅器を備え、各増幅器が一組の増幅器スラブを備えることができる。増幅器は、横励起構成において4つのダイオードアレイによりポンピングされ、1つのダイオードアレイが各増幅器をポンピングする。
図2Bに2×2構成が示されているが、この特定の構成は必要ではなく、本発明の範囲内で1×2構成又は他の適切な構成を使用することができる。増幅器が一側からのみポンピングされるため、横利得プロファイルに非対称が生じ得る。
図2Aに示すように、増幅器ヘッド220の内側増幅器により増幅された光は、増幅器ヘッド230の外側増幅器により増幅され、利得の非対称を少なくする。
【0034】
[0046]
図2Bは、
図2Aに示す横励起4ビーム増幅器システムの簡略側面図である。この側面図で、増幅器ヘッドの増幅器の2×2構成が、増幅器スラブ冷却システムとともに明確に示される。この構成では、光が上下レベルで増幅器モジュールに注入された後、上下レベル間に配置された2組の増幅器の面で増幅される。したがって、クワッド構成により、
図1A、1Bに示す構成に、反射方向に変更を加えることができる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0035】
[0047]明確にするために一部の要素を省略しているが、2つの増幅器ヘッド間のリレーテレスコープが
図2Aの下部に示され、伝送テレスコープが
図2Bの上下部に示される。
【0036】
[0048]
図3Aは、本発明の一実施形態による端面励起増幅器システムの簡略平面図である。
図3A、3Bに示す実施形態では、長さ8.32m、幅2.2m、高さ1.35mの寸法の増幅器モジュールが設けられるが、本発明の実施形態は、このような正確な寸法を有する必要はない。以下でより完全に説明するように、増幅器の端面励起により、横励起を使用する他の設計よりも短い増幅器モジュールが得られる。
【0037】
[0049]光がミラー310を通して増幅器モジュールに注入され、ミラー312から反射されて増幅器モジュールの下部に入り、ここで偏光子314から増幅器ヘッド329へ向けて反射される。
図3A、3Bに示す実施形態では、増幅器ヘッド329がダイオードポンプアレイ326、328を備え、これらのダイオードポンプアレイ326、328は、ミラー330、332及び他の適切な光学素子を使用して増幅器324に光学的に結合される。ミラー320、322は二色性であり、ポンプ波長で光を通し、レーザ波長で光を反射する。したがって、ポンプ光は、面ポンピング構成を使用して、ミラー320、322を通過し、複数の増幅器スラブを含み得るポンプ増幅器324に至る。
【0038】
[0050]ダイオードアレイポンプがミラー330、332を使用して増幅器に対して折り畳まれる構成のため、増幅器モジュールの長さを他の構成に比べて短くすることができる。
図1A、1Bと共通の他の部品が、当業者に明らかなように示されている。例として、レンズ330、332、90°偏光回転子334、及びキャビティミラー340を備えたリレーテレスコープが示される。第1の2つの増幅パスの後の光学路に沿った光学素子は、ポッケルスセル346、偏光子348、及びキャビティミラー350を含む。
【0039】
[0051]
図3Bは、
図3Aに示す端面励起増幅器システムの簡略側面図である。
図3Bに示すように、ダイオードアレイの偏光合成を使用してポンプ強度を高める。本実施形態では、一組のアレイの上下にあり、第1の偏光を有する2つのアレイからの光が、2倍に反射されて、一組のアレイの中央の2つのアレイからの光と共線伝搬する。各アレイに対して45°の角度でアレイ間に配置された偏光感受反射鏡により互いに直角に向けられた2つのアレイを含む他の構成が可能である。第1のアレイパスからの光が偏光感受反射鏡を通り、第2のアレイからの光が反射して第1のアレイからの光と共線をなす。したがって、本発明の実施形態は、ダイオードポンプのための種々の偏光合成設計を使用することができる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。光をキャビティから出力窓352を通して伝送するために使用されるレンズ360、362を含む伝送テレスコープが示される。
図3A、3Bに示す実施形態を使用して、1.3m×2.2m×8.3mの寸法の増幅器モジュールにおいて、15Hzで6.3kJのビームを発生させる核融合クラスのレーザシステムが提供される。
【0040】
[0052]
図4Aは、本発明の一実施形態による、端面励起4ビーム増幅器システムの簡略平面図である。
図4A、4Bに示す実施形態では、長さ8.32m、幅3.66m、高さ2.38mの寸法の増幅器モジュールが設けられるが、本発明の実施形態はこのような正確な寸法を有する必要はない。
図4A、4Bに示す構造は、
図3A、3Bに示す構造と一部が類似しているが、
図4Bに示すように、2×2構成において、各増幅器ヘッドにつき4つの増幅器を使用する。したがって、このような実施形態を「クワッド」構成と呼ぶことができる。明確にするために、シングル増幅器構成とクワッド増幅器構成との間で共通の光学素子の一部を省略する。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0041】
[0053]
図4Aを参照すると、矢印410で示すように光がミラー412、414及び偏光子416、418に向けて注入される。これにより、
図3A、3Bに示す単一ビーム路と比較して、2つのビーム路が設けられる。各ビーム路の光は、その後、第1のクワッド増幅器ヘッド420へ伝搬する。増幅器ヘッド420は4つの増幅器を備え、各増幅器が一組の増幅器スラブを備えることができる。増幅器は、端面励起構成において4つのダイオードアレイによりポンピングされ、1つのダイオードアレイが各増幅器をポンピングする。
図4Bに2×2構成が示されているが、この特定の構成は必要ではなく、本発明の範囲内で1×2構成又は他の適切な構成を使用することができる。
【0042】
[0054]
図4Bは、
図4Aに示す端面励起4ビーム増幅器システムの簡略側面図である。この側面図で、増幅器ヘッドの増幅器の2×2構成が、増幅器スラブ冷却システムとともに明確に示される。この構成では、光が上下レベルで増幅器モジュールに注入された後、上下レベル間に配置された2組の増幅器の面で増幅される。したがって、クワッド構成により、
図3A、3Bに示す構成に、反射方向に変更を加えることができる。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0043】
[0055]
図3Aに関連して説明したように、ミラー430、432は、それぞれ、ポンプ光をダイオードポンプアレイ426、428から増幅器424へ反射する。ミラー420、422は二色性であり、ポンプ波長で光を通し、レーザ波長で光を反射する。したがって、ポンプ光は、ミラー420、422を通過して、複数の増幅器スラブを含み得るポンプ増幅器424に至る。ダイオードポンプアレイ、光学素子等の同様の構成を使用して、他の増幅器のポンピングが達成される。第2の増幅器ヘッド436は、別のクワッドの端面励起増幅器を備える。光が増幅器モジュールから出力窓452、454を通って出る。
【0044】
[0056]
図5Aは、本発明の一実施形態によるポンプ送り構造の簡略平面図である。
図5Aに示すように、ダイオードポンプアレイ510が、ホモジナイザー512及びダクト514を通ってポンプ増幅器520に結合される。
図5Aに示す光学素子を、
図1A〜4Bに示す構造とともに、ダイオードポンビングシステムの要素として使用することができる。
図5Bは、
図5Aに示すポンプ送り構造の簡略側面図である。本実施形態では、フレネルプリズム530を使用して、ダイオードポンプアレイ510からの光を集めて収束させる。一実施形態では、ダイオードポンプアレイ510と増幅器520との間の距離が5mであるが、他の距離を使用してもよい。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0045】
[0057]
図6は、本発明の一実施形態によるレーザ増幅器システムを示す。
図6に示すレーザ増幅器システム600は、画像リレーを用いるキャビティ内の二重増幅器構造を使用することにより、システム効率を向上させる。注入ミラー607を使用して、入力ビーム605をキャビティに注入する。一実施形態では、入力ビームが、0.9Jのエネルギーを有するレーザパルスである。入力ビームはミラー662から反射する。入力ビームの偏光は所定の偏光(例えば、s偏光)であるため、入力ビーム605の偏光状態を反映するように位置合わせされた偏光子630から入力ビームが反射する。入力ビームは4分の1波長板650を通過し、増幅器616、増幅器614を通る第1のパスを形成する。
【0046】
[0058]増幅器616と増幅器614との間には、テレスコープ及びピンホール(図示せず)の形の空間フィルタ642が配置される。本発明の実施形態により他の空間フィルタを使用することができ、図示したピンホールフィルタは例としてのみ示される。増幅器616を通る第1の増幅パスの後、増幅器614を通る第1の増幅パスの前に、ビームが偏光回転子630(例えば、石英回転子)を通過する。リレーテレスコープ624が設けられて、増幅器614の中心に形成された画像をミラー620の反射面にリレーする。画像リレーは、増幅器614の中心、ミラー620の表面、及びシステムの他の位置に示された整列正方形の群によって示される。
【0047】
[0059]増幅光がミラー620から反射され、リレーテレスコープ624を通って戻り、一組の増幅器614、616を通る第2のパスを形成する。石英回転子632及び4分の1波長板650を2度通過した後、増幅ビームの偏光が回転して、ビームが偏光子630を通過できるようにする。ビームはリレーテレスコープ626、ポッケルスセル652、及び偏光子630を横切る偏光子660を通過する。リレーテレスコープ626は、増幅器616の中心の画像をミラー622の反射面にリレーする。ポッケルスセル652の増幅ビームの強度は、一組の増幅器を通る2つの増幅パスにより生じる。入力ビームは各増幅器614、616の複数の増幅器スラブを通過しているかもしれないが、ポッケルスセル652のビームは2回増幅されたビームとも呼ばれる。ポッケルスセルを作動させて、2回増幅されたビームの偏光を半波長だけ回転させ、ビームが増幅器へ向けて伝搬するときに偏光子630を通過するようにする。代替の実施形態では、ポッケルスセルを4分の1波長ポッケルスセルとすることができ、偏光子660が4分の1波長板に置き換えられ、例えば、リレーテレスコープ626に隣接して位置決めされて、偏光回転を行う。
【0048】
[0060]増幅器を通るさらに2つのパスの後、ビームが偏光子630及びミラー662から最終光学素子672へ向けて反射する。ビームは、4つの増幅パスの後、空間フィルタ640及び周波数変換器670を通って伝送される。リレーテレスコープ646は、周波数変換器670でビームの画像を最終光学素子672へリレーする。一部の実施形態では、中性子のピンホールを使用して、核融合事象により放出された中性子から増幅器システムを保護する。
【0049】
[0061]
図7は、本発明の実施形態による増幅レーザビームを供給する方法を示す簡略フローチャートである。方法700は、入力ビームを受けるステップと、入力ビームを第1の方向に沿って方向付けるステップ(710)と、増幅器ヘッドとも呼ばれる一組の増幅器を使用して入力ビームを1回目に増幅するステップ(712)とを含む。一組の増幅器を通る増幅路が、第1の方向にほぼ直交する第2の方向に沿って配置される。
図1Aに示すように、増幅器ヘッドを通る増幅路が、増幅器モジュールの長さに直交する増幅器モジュールの幅にほぼ位置合わせされる。したがって、図示した実施形態では、第1の方向が増幅器モジュールの長手方向に沿っており、増幅器モジュールの中心部から、第1の増幅器ヘッドが位置する増幅器モジュールの第1の端部へ、ビームを方向付ける。
【0050】
[0062]方法は、第1のキャビティミラーを使用して増幅ビームを反射するステップ(714)と、一組の増幅器を使用して増幅ビームを2回目に増幅するステップ(716)とをさらに含む。一部の実施形態では、第1のキャビティミラーが、ビームの歪みを補償するために使用可能な変形可能ミラーである。方法は、2回増幅されたビームを第1の方向に沿って画像リレーするステップ(718)と、第2のキャビティミラーを使用して増幅ビームを反射するステップ(720)とをさらに含む。第1の2つの増幅パスの後、方法は、増幅器モジュール外に結合される前に2回増幅されたビームをさらに2回増幅できるようにするために、ポッケルスセルを使用して2回増幅されたビームの偏光状態を回転させるステップをさらに含む。
【0051】
[0063]加えて、方法は、一組の増幅器を使用して2回増幅されたビームを3回目に増幅するステップ(722)と、第1のキャビティミラーを使用して3回増幅されたビームを反射するステップ(724)と、一組の増幅器を使用して3回増幅されたビームを増幅するステップ(726)と、4回増幅されたビームを出力するステップとをさらに含む。一部の実施形態では、入力ビーム及び4回増幅されたビームが、直線偏光、例えば、s偏光又はp偏光を特徴とする。さらに、
図1A、1Bに関連して説明したように、増幅ビーム、2回増幅されたビーム、及び3回増幅されたビームは、増幅器ヘッドを通る増幅パス中の円偏光を特徴とすることができる。
【0052】
[0064]本発明の実施形態によれば、一組の増幅器間で画像リレーが実行され、例えば、一組の増幅器を使用して3回増幅されたビームを増幅するステップと、4回増幅されたビームを出力するステップとの間に画像リレーが実行される。
【0053】
[0065]
図7に示す特定のステップにより、本発明の一実施形態による、増幅レーザビームを供給する特定の方法が提供されることを理解すべきである。代替の実施形態により、他の順序のステップを実行することもできる。例えば、本発明の代替実施形態は、前述したステップを異なる順で行うことができる。さらに、
図7に示す個々のステップが、個々のステップに応じた種々の順序で実行され得る複数のサブステップを含んでいてもよい。さらに、特定の用途に応じて、更なるステップを追加又は除去してもよい。当業者は、多くの変更、修正、代案を認めるだろう。
【0054】
[0066]また、本明細書に記載した例及び実施形態は例示のためのものに過ぎず、これに照らした種々の修正又は変更が、当業者に提示され、本出願の精神及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲に含まれるものであることを理解されたい。