(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセスマイクロチャネルは、鋼、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、真鍮、前記任意の金属の合金、重合体、セラミックス、ガラス、重合体とグラスファイバとを含むコンポジット、石英、ケイ素、あるいはそれらの二つ以上の組み合わせを含む材料で作られる、請求項1に記載のプロセス。
前記熱交換マイクロチャネルは、鋼、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、真鍮、前記任意の金属の合金、重合体、セラミックス、ガラス、重合体とグラスファイバとを含むコンポジット、石英、ケイ素、あるいはそれらの二つ以上の組み合わせを含む材料で作られる、請求項1に記載のプロセス。
前記マイクロチャネル反応器は入口および出口を有し、前記生成物は前記出口を通って前記マイクロチャネル反応器から流出し、前記生成物は前記反応体組成物からの未反応成分と混合され、前記反応体組成物からの前記未反応成分の少なくとも一部は前記マイクロチャネル反応器の前記入口にリサイクルされる、請求項1に記載のプロセス。
前記反応体組成物は前記プロセスマイクロチャネルに流入し、前記生成物は前記プロセスマイクロチャネルから流出し、前記プロセスマイクロチャネルに流入する前記反応体組成物の温度は、前記プロセスマイクロチャネルから流出する前記生成物の温度から200℃の範囲内にある、請求項1に記載のプロセス。
前記反応体組成物および生成物は前記プロセスマイクロチャネルを通って第一の方向に流れ、熱交換流体は前記熱交換マイクロチャネルを通って第二の方向に流れ、前記第二の方向は前記第一の方向に対して交差流である、請求項1に記載のプロセス。
前記触媒は、周期律表の第1族、第2族、第3族または第12族の金属またはそれらの酸化物、ランタニド金属または酸化物、アクチニド金属または酸化物、あるいはそれらの二つ以上の組み合わせから選ばれる促進剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
前記触媒は、Li、B、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、La、Ac、CeまたはTh、あるいはそれらの酸化物、あるいはそれらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれる促進剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
前記触媒担体は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、フッ化アルミニウム、ふっ化物化アルミナ、ベントナイト、セリア、酸化亜鉛、シリカアルミナ、炭化ケイ素、モレキュラーシーブまたはそれらの二つ以上の組み合わせから選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
前記プロセスマイクロチャネルを通る前記反応体組成物および生成物の流れの圧力降下は、前記プロセスマイクロチャネルの長さのメートルあたり最大10気圧である、請求項1に記載のプロセス。
前記熱交換流体が前記熱交換マイクロチャネルを通って流れ、前記熱交換マイクロチャネルを通って流れる前記熱交換流体の圧力降下は、前記熱交換マイクロチャネルの長さのメートルあたり最大10気圧である、請求項1に記載のプロセス。
前記COの反応率は、サイクルあたり少なくとも50%であり、前記生成物中のメタンへの選択率は15%以下であり、前記生成物の収率はサイクルあたり少なくとも35%である、請求項1に記載のプロセス。
前記触媒は固体粒子の形であり、前記固体粒子の中央値粒子直径は、1から1000μmの範囲にあり、各プロセスマイクロチャネルの長さは、最大500cmである、請求項1に記載のプロセス。
前記プロセスマイクロチャネルは垂直に配置され、前記反応体組成物および生成物は、前記プロセスマイクロチャネルを通って下向きに流れる、請求項1に記載のプロセス。
前記マイクロチャネル反応器から前記生成物を取り出す工程に続いて、再生用流体が前記プロセスマイクロチャネルを通って流れて前記触媒と接触し、前記プロセスマイクロチャネル中の前記再生用流体の滞留時間は、0.01から1000秒である、請求項1に記載のプロセス。
前記反応体組成物および生成物は前記プロセスマイクロチャネルを通って第一の方向に流れ、熱交換流体は前記熱交換マイクロチャネルを通って第二の方向に流れ、前記第二の方向は前記第一の方向に対して並流である、請求項1に記載のプロセス。
前記反応体組成物および生成物は前記プロセスマイクロチャネルを通って第一の方向に流れ、熱交換流体は前記熱交換マイクロチャネルを通って第二の方向に流れ、前記第二の方向は前記第一の方向に対して向流である、請求項1に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「マイクロチャネル」は、高さまたは幅の内部寸法の少なくとも一方が最大約10ミリメートル(mm)、一つの実施態様では最大約5mm、一つの実施態様では最大約2mm、一つの実施態様では最大約1mmであるチャネルを指す。マイクロチャネルを通る流体の流れは、マイクロチャネルの高さおよび幅に垂直なマイクロチャネルの長さ方向に進むことができる。
図1に、本発明のプロセスでプロセスマイクロチャネルおよび/または熱交換マイクロチャネルとして用いることができるマイクロチャネルの例を示す。
図1に例を示したマイクロチャネル10は、高さ(h)、幅(w)および長さ(l)を有する。流体は、マイクロチャネル10を通って矢印12および14で示した方向にマイクロチャネルに沿って流れる。マイクロチャネルの高さ(h)または幅(w)は、約0.05から約10mm、一つの実施態様では約0.05から約5mm、一つの実施態様では約0.05から約2mm、一つの実施態様では約0.05から約1.5mm、一つの実施態様では約0.05から約1mm、一つの実施態様では約0.05から約0.75mm、一つの実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲にあるとよい。高さまたは幅とは別の寸法は、任意の寸法、例えば最大約3メートル、一つの実施態様では約0.01から約3メートル、一つの実施態様では約0.1から約3メートルであるとよい。マイクロチャネルの長さ(l)は、任意の寸法、例えば最大約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約6メートル、一つの実施態様では約0.2から約3メートルであるとよい。
図1に例を示したマイクロチャネル10は長方形の断面を有するが、マイクロチャネルは任意の形状、例えば正方形、円形、半円形、台形等を有する断面を有してよいと理解される。マイクロチャネルの断面の形状および/またはサイズは、その長さにわたって変化してよい。例えば、マイクロチャネルの長さにわたって、相対的に大きな寸法から相対的に小さな寸法に、またはその逆に、高さまたは幅をテーパ状にしてもよい。
【0013】
一つのチャネルの別のチャネルに対する相対的な位置を指すとき、用語「隣接する」は、一枚の壁がこれらの二つのチャネルを分離するように、直接隣接することを意味する。この壁の厚さは変化してよい。しかし、「隣接する」チャネルは、チャネル間の伝熱を妨げる中間チャネルで分離されていない。一つの実施態様では、一つのチャネルは、別のチャネルの寸法の一部の区間だけで別のチャネルに隣接することがある。例えば、プロセスマイクロチャネルは、一つ以上の隣接する熱交換チャネルより長く、一つ以上の隣接する熱交換チャネルを超えて伸びることがある。
【0014】
用語「流体」は、気体、液体、あるいは分散した固体または液滴を含む気体または液体を指す。
【0015】
用語「接触時間」は、マイクロチャネル反応器内の反応ゾーンの体積を、反応体組成物の温度0℃および圧力一気圧で測った体積供給流量で除した商を指す。
【0016】
用語「滞留時間」は、空間を通って流れる流体が占めるある空間(例えばマイクロチャネル反応器内の反応ゾーン)の内部体積を、その空間を通って流れる流体の使用温度および圧力で測った平均体積流量で除した商を指す。
【0017】
用語「反応ゾーン」は、反応体が触媒と接触するプロセスマイクロチャネル内の空間を指す。
【0018】
用語「COの反応率」は、反応体組成物と生成物との間のCOモル数の変化を、反応体組成物中のCOのモル数で除した商を指す。
【0019】
用語「メタンへの選択性」は、生成物中のメタンのモル数を、生成物中のメタンのモル数プラスC
2炭化水素のモル数の2倍、プラス生成物中のC
3炭化水素のモル数の3倍、プラス生成物中のC
4炭化水素のモル数の4倍等、生成物中の炭化水素の全モル数が含まれるまで加えたもので除した商を指す。
【0020】
用語「COの単流反応率」は、本発明のプロセスで使用されるマイクロチャネル反応器を通る一回の通過の後のCOの反応率を指す。
【0021】
用語「生成物の収率」は、COの反応率と、該当する生成物(単数または複数)への選択率との積を指す。
【0022】
用語「金属分散率」は、参照によって本明細書に組み込まれる「工業用不均一系触媒(Heterogeneous Catalysis in Industrial Practice)」、第2版、チャールズ・N・サタフィールド(Charles N.Satterfield)編、139頁、マグローヒル(McGraw Hill)(1996)に記載されている水素の化学吸着法によって測定される、触媒中の金属原子の総数と比較した触媒の表面上の触媒活性金属原子と促進剤原子とのパーセント値を指す。
【0023】
表現「少なくとも約5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素を時間あたり触媒のグラムあたり約0.5グラム」では、触媒の重量またはグラム数は、触媒金属(例えばCo)またはそれらの酸化物、オプションの助触媒(例えばReまたはRu)、および/または促進剤(例えばNa、K等)からなる触媒の総重量、ならび任意の担体(例えばアルミナ)の重量を指す。しかし、触媒が発泡体、フェルト、詰め物またはフィンなどの加工品の担体構造物上に担持されるなら、そのような加工品の担体構造物の重量は、触媒の重量またはグラム数の計算に含まれない。同様に、触媒がマイクロチャネル壁に接着されるなら、マイクロチャネル壁の重量は、計算に含まれない。
【0024】
用語「Co担持率」は、触媒中のCoの重量を、触媒の総重量、すなわちCoプラス任意の助触媒または促進剤ならびに担体の総重量で除した商を指す。触媒が発泡体、フェルト、詰め物またはフィンなど、加工品の担体構造物上に担持されるなら、そのような加工品の担体構造物の重量は計算に含まれない。同様に、触媒がマイクロチャネル壁に接着されるなら、マイクロチャネル壁の重量は計算に含まれない。
【0025】
図2を参照すると、本プロセスは、マイクロチャネル反応器コア102、反応体ヘッダ104、生成物フッタ106、熱交換ヘッダ108および熱交換フッタ110を備えるマイクロチャネル反応器100を用いて実行することができる。マイクロチャネル反応器コア102は、複数のプロセスマイクロチャネルと、プロセスマイクロチャネルに隣接する複数の熱交換チャネルとを備える。熱交換チャネルは、マイクロチャネルであってよい。プロセスマイクロチャネルと熱交換チャネルとは、互いに重ね合せるか、または横に並べて、層状に整列させるとよい。プロセスマイクロチャネル中に、フィッシャー・トロプシュ触媒が収容される。プロセスヘッダ104は、プロセスマイクロチャネルへの流れの分布が一様であるように、または実質的に一様であるように、流体がプロセスマイクロチャネル中に流れるための通路を提供する。プロセスフッタ106は、流体がプロセスマイクロチャネルから比較的高い流速で迅速に流出するための通路を提供する。反応体組成物は、方向矢印112で示されるように、反応体ヘッダ104を通ってマイクロチャネル反応器100に流入する。反応体組成物は、反応体ヘッダ104に入る前に予熱するとよい。反応体組成物は、マイクロチャネル反応器コア102中のプロセスマイクロチャネルを通って流れて触媒と接触し、反応して所望の生成物を生成する。一つの実施態様では、反応器コア102を通る反応体組成物および生成物の流れは、反応器コア102の頂部からその底部へ、垂直な方向にある。生成物、および一つの実施態様では反応体組成物からの未反応成分は、方向矢印114で示されるように、反応器コア102から生成物フッタ106を通り、生成物フッタ106から流出する。本発明のプロセスの利点は、プロセスマイクロチャネルを通る一回の通過で高いレベルのCOの反応率を得ることができることであるが、一つの実施態様では、反応体組成物からの未反応成分またはその一部を、プロセスマイクロチャネルを通してリサイクルさせて戻し、触媒と接触させてもよい。プロセスマイクロチャネルを通ってリサイクルされる反応体組成物の未反応成分は、任意の回数、例えば、1回、2回、3回、4回等リサイクルしてよい。方向矢印116で示すように、熱交換流体は、熱交換ヘッダ108に流入し、熱交換ヘッダ108からマイクロチャネル反応器コア102中の熱交換チャネルを通って熱交換フッタ110に流れ、方向矢印118で示されるように、熱交換フッタ110から流出する。マイクロチャネル反応器100は、図には示していないが当業者には自明と考えられる貯槽、ポンプ、バルブ、流量制御装置および類似物とともに使用される。
【0026】
一つの実施態様では、マイクロチャネル反応器コア102は、並べて整列させたプロセスマイクロチャネルと熱交換マイクロチャネルとの層を備えてよい。
図3にそのようなマイクロチャネル層の例を示す。
図3を参照すると、プロセスマイクロチャネル層130と熱交換マイクロチャネル層150とは、並べて重ねられ、反復単位170を構成する。マイクロチャネル層130は、反応体および生成物の流れを提供する。マイクロチャネル層150は、熱交換流体の流れを提供する。
【0027】
マイクロチャネル層130は、平行に整列した複数のマイクロチャネル132を備え、各プロセスマイクロチャネル132は、末端134から末端136へマイクロチャネル層130の長さ方向に垂直方向に延在し、プロセスマイクロチャネル132は、マイクロチャネル層130の幅方向に末端138から末端140に並ぶ。マイクロチャネル層130の末端138および140にはボンディングストリップ142および144がそれぞれ配置され、次の隣接熱交換層150へのマイクロチャネル層130のボンディングを可能にする。プロセスマイクロチャネル132中には触媒が収容される。プロセスマイクロチャネル132を通る反応体および生成物の流れは、矢印146および148で示される方向である。プロセスマイクロチャネル132のそれぞれは、任意の形状、例えば正方形、長方形、円形、半円形等を有する断面を有してよい。各プロセスマイクロチャネル132の内部高さは、マイクロチャネル層130と次の隣接熱交換層150との間の垂直または水平距離、あるいはギャップとみなすことができる。各プロセスマイクロチャネル132は、最大約10mm、一つの実施態様では最大約6mm、一つの実施態様では最大約4mm、一つの実施態様では最大約2mmの内部高さを有してよい。一つの実施態様では、高さは、約0.05から約10mm、一つの実施態様では約0.05から約6mm、一つの実施態様では約0.05から約4mm、一つの実施態様では約0.05から約2mmの範囲にあってよい。これらのマイクロチャネルのそれぞれの幅は、任意の寸法、例えば、最大約3メートル、一つの実施態様では約0.01から約3メートル、一つの実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。各マイクロチャネル132の長さは、任意の寸法、例えば、最大約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約6メートル、一つの実施態様では約0.2から約3メートルであってよい。
【0028】
マイクロチャネル層150は、平行に整列した複数の熱交換マイクロチャネル152を備え、各熱交換マイクロチャネル152は、マイクロチャネル層150の幅の方向に末端154から末端156へ水平に伸び、熱交換マイクロチャネル152は、マイクロチャネル層150の長さの方向にマイクロチャネル層150の末端158から末端160へ並ぶ。マイクロチャネル層150の末端154および156にはボンディングストリップ162および164がそれぞれ配置され、次の隣接プロセスマイクロチャネル層130へのマイクロチャネル層150のボンディングを可能にする。熱交換流体は、熱交換マイクロチャネル152を通って矢印166および168で示される方向に流れることができる。矢印166および168で示される方向の熱交換流体の流れは、プロセスマイクロチャネル132を通って矢印146および148で示されるように流れる反応体および生成物の流れに対して交差流である。あるいは、熱交換マイクロチャネル152は、末端158から末端160へ、または末端160から末端158へマイクロチャネル層150の幅の方向の熱交換流体の流れを提供するように配向させることも可能と考えられる。こうすると、プロセスマイクロチャネル132を通る反応体および生成物の流れに対して並流または向流であるような方向の熱交換流体の流れが得られる。熱交換マイクロチャネル152のそれぞれは、任意の形状、例えば正方形、長方形、円形、半円形等を有する断面を有してよい。各熱交換マイクロチャネル152の内部高さは、熱交換マイクロチャネル層150と次の隣接マイクロチャネル層130との間の垂直または水平距離、あるいはギャップであるとみなすことができる。熱交換マイクロチャネル152のそれぞれは、最大約2mm、一つの実施態様では約0.05から約2mm、一つの実施態様では約0.05から約1.5mmの範囲の内部高さを有してよい。これらのマイクロチャネルのそれぞれの幅は、任意の寸法、例えば、最大約3メートル、一つの実施態様では約0.01から約3メートル、一つの実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。熱交換マイクロチャネル152のそれぞれの長さは、任意の寸法、例えば、最大約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約10メートル、一つの実施態様では約0.2から約6メートル、一つの実施態様では約0.2から約3メートルであってよい。
【0029】
あるいは、プロセスマイクロチャネルと熱交換マイクロチャネルとを、反復単位170aに示したように整列させてもよい。反復単位170aは、
図4に例示されている。
図4を参照すると、熱交換マイクロチャネル152を備えるマイクロチャネル層150に隣接させてプロセスマイクロチャネル132を配置する。共通の壁171が、熱交換マイクロチャネル層150からプロセスマイクロチャネル132を分離する。プロセスマイクロチャネル132には触媒172が充填される。反応体組成物は、方向矢印146で示される方向に、プロセスマイクロチャネル132中の触媒172の充填層に流入し、充填層を通って触媒172と接触し、反応して所望の生成物を生成する。生成物、および一つの実施態様では反応体組成物からの未反応成分は、方向矢印148で示されるようにプロセスマイクロチャネル132から流出する。熱交換流体は、熱交換マイクロチャネル152を通り、プロセスマイクロチャネル132を通る反応体組成物および生成物の流れに対して交差流である方向に流れる。
【0030】
あるいは、プロセスマイクロチャネルと熱交換マイクロチャネルとを、反復単位170bに示し多ように整列させてよい。
図5に例を示した反復単位170bは、マイクロチャネル層150が90°回転し、熱交換マイクロチャネル152を通って流れる熱交換流体は、プロセスマイクロチャネル132を通る反応体組成物および生成物の流れに対して向流である方向矢印166aおよび168aで示した方向に流れることを除いて、
図4に例を示した反復単位170aと同じである。あるいは、熱交換流体を、方向矢印166aおよび168aで示した方向と反対の方向に流し、それによって、プロセスマイクロチャネル132を通る反応体組成物および生成物の方向に対して並流であるような方向の熱交換マイクロチャネル152を通る熱交換流体の流れを提供することも可能である。
【0031】
あるいは、プロセスマイクロチャネルと熱交換マイクロチャネルとを、反復単位170cに示したように整列させてもよい。反復単位170cは、
図6に例示されている。
図6を参照すると、熱交換ゾーン151に隣接させてプロセスマイクロチャネル132aを配置する。熱交換ゾーン151は互いに平行に整列する複数の熱交換マイクロチャネル152を備え、各熱交換マイクロチャネル152はプロセスマイクロチャネル132aの長さ方向に直交する長さ方向に延在する。熱交換ゾーン151の長さは、プロセスマイクロチャネル132aより短い。熱交換ゾーン151の長さは、プロセスマイクロチャネル132aの入口134aまたはその近くから、プロセスマイクロチャネル132aの長さに沿ってプロセスマイクロチャネル132aの出口136aより短い点までの方向に延在する。一つの実施態様では、熱交換ゾーン151の長さは、プロセスマイクロチャネル132aの長さの最大約100%であり、一つの実施態様では熱交換ゾーン151の長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約5から約100%であり、一つの実施態様では熱交換ゾーン151の長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約5から約50%であり、一つの実施態様では熱交換ゾーン151の長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約50%から約100%である。プロセスマイクロチャネル132aの幅は、熱交換ゾーン151の末端153の下流の区域に拡大されるか、または延長される。この構成は、プロセスマイクロチャネル132aの入口134aまたはその近くでの、ならびに入口から下流のプロセスマイクロチャネル132aの部分への熱交換(すなわち冷却)の利点を提供する。プロセスマイクロチャネル132aには触媒172が充填される。反応体組成物は、方向矢印146で示される方向にプロセスマイクロチャネル132a中の触媒172の充填層に流入し、充填層を通って流れ、触媒172と接触し、反応して所望の生成物を生成する。生成物、および一つの実施態様では反応体組成物からの未反応成分は、方向矢印148で示されるようにプロセスマイクロチャネル132aから流出する。熱交換流体は、プロセスマイクロチャネル132aを通る反応体組成物および生成物の流れに対して交差流である方向に、熱交換マイクロチャネル152を通って流れる。
【0032】
あるいは、プロセスマイクロチャネルと熱交換マイクロチャネルとを、反復単位170dに示したように整列させてもよい。反復単位170dは、
図7に例を示してあるが、反復単位170dが、プロセスマイクロチャネル132aの熱交換ゾーン151とは反対側でプロセスマイクロチャネル132aに隣接する熱交換ゾーン151aを備えることを除いて、
図6に例を示した反復単位170cと同じである。熱交換ゾーン151aは、上記で考察した熱交換マイクロチャネル152とサイズおよび設計が同じか、または類似の複数の平行な熱交換マイクロチャネル152aを備える。熱交換ゾーン151aの長さは、プロセスマイクロチャネル132aの入口134aまたはその近くから、プロセスマイクロチャネル132aの長さに沿って熱交換ゾーン151の末端153より短い点までの方向を有する。熱交換ゾーン151aの長さは、熱交換ゾーン151の長さより短くてよい。一つの実施態様では、熱交換ゾーン151aの長さは、プロセスマイクロチャネル132aの長さの最大約100%であってよく、一つの実施態様では熱交換ゾーン151aの長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約5から約100%であり、一つの実施態様では熱交換ゾーン151aの長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約5から約50%であり、一つの実施態様では熱交換ゾーン151aの長さはプロセスマイクロチャネル132aの長さの約50%から約100%である。プロセスマイクロチャネル132aの幅は、熱交換ゾーン151および151aの末端153および153aの下流の区域ではそれぞれ拡大される。この構成は、プロセスマイクロチャネル132aの入口134aまたはその近くでの、ならびに入口134aから下流のプロセスマイクロチャネル132aの部分に熱交換(すなわち冷却)の利点を提供する。二つの熱交換ゾーン151および151aを使用すると、プロセスマイクロチャネル132aの入口近くの区域での相対的に高いレベルの熱交換と、熱交換ゾーン151aの末端153a近くから下流のプロセスマイクロチャネル中での相対的にゆるやかな熱交換が可能になる。プロセスマイクロチャネル132a中には触媒172が充填される。反応体組成物は、プロセスマイクロチャネル132a中の触媒172の充填層に流入し、充填層を通って方向矢印146で示される方向に流れ、触媒172と接触し、反応して所望の生成物を生成する。生成物、および一つの実施態様では反応体組成物からの未反応成分は、方向矢印148で示されるようにプロセスマイクロチャネル132aから流出する。熱交換流体は、プロセスマイクロチャネル132aを通る反応体組成物および生成物の流れに対して交差流である方向に、熱交換チャネル151および151aを通って流れる。
【0033】
触媒床は、プロセスマイクロチャネル中で、プロセスマイクロチャネルを通る流れの方向の別個の反応ゾーンに分離してよい。各反応ゾーン中の一つ以上の隣接熱交換ゾーン(単数または複数)の長さは、寸法が変化してよい。例えば、一つの実施態様では、一つ以上の隣接する熱交換ゾーンの長さは、各反応ゾーンの長さの約50%より短くてよい。あるいは、一つ以上の熱交換ゾーンは、各反応ゾーンの長さの約50%より長く、最大では、各反応ゾーンの長さの約100%の長さを有してよい。
【0034】
マイクロチャネル層130と150とのそれぞれの中のマイクロチャネルの数は、任意の所望の数、例えば、1本、2本、3本、4本、5本、6本、8本、10本、数百本、数千本、数万本、数十万本、数百万本等であってよい。同様に、マイクロチャネル反応器コア102中のマイクロチャネル層の反復単位170(または170aから170d)の数は、任意の所望の数、例えば、1組、2組、3組、4組、6組、8組、10組、数百組、数千本組等であってよい。
【0035】
マイクロチャネル反応器コア102を備えるマイクロチャネル反応器100は、本発明のプロセスを実行するために十分な強さ、寸法安定性および伝熱特性を提供する任意の材料で構築するとよい。適当な材料の例は、鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、アルミニウム、チタン、ニッケル、および前記任意の金属の合金、プラスチック(例えばエポキシ樹脂、UV硬化樹脂、熱硬化性樹脂および類似物)、モネル、インコネル、セラミックス、ガラス、コンポジット、石英、ケイ素またはそれらの二つ以上の組み合わせを含む。マイクロチャネル反応器は、ワイヤ放電加工、通常の機械加工、レーザ切削、光化学機械加工、電気化学加工、成型、水噴流、スタンプ刻印、エッチング(例えば化学エッチング、光化学エッチングまたはプラズマエッチング)およびそれらの組み合わせを含む既知の技法を用いて作製してよい。マイクロチャネル反応器は、一部を除去して流れ通路を可能にしたシートまたは層を形成させることによって構築してもよい。拡散ボンディング、レーザ溶接、拡散ロウ付けおよび類似の方法によってシートの積層を組み立てて、集積化デバイスを形成させてよい。マイクロチャネル反応器は、反応体組成物および生成物の流れ、ならびに熱交換流体の流れを制御するために、適切なマニホルド、バルブ、流路網等を有する。これらは図面には示していないが、当業者は容易に設けることができる。
【0036】
反応体組成物は、H
2とCOとの混合物を含む。この混合物は、合成ガスまたはシン・ガスと呼ぶことができる。COに対するH
2のモル比は、約0.8から約10、一つの実施態様では約0.8から約5、一つの実施態様では約1から約3、一つの実施態様では約1.5から約3、一つの実施態様では約1.8から約2.5、一つの実施態様では約1.9から約2.2、一つの実施態様では約2.05から約2.10の範囲であるとよい。反応体組成物は、CO
2および/またはH
2O、ならびに1個から約4個の炭素原子、一つの実施態様では1個から約2個の炭素原子の軽質炭化水素も含むとよい。反応体組成物は、約5から約45体積%のCO、一つの実施態様では約5から約20体積%のCOと、約55から約95体積%のH
2、一つの実施態様では約80から約95体積%のH
2とを含むとよい。反応体組成物中のCO
2の濃度は、最大約60体積%、一つの実施態様では約5から約60体積%、一つの実施態様では約5から約40体積%であるとよい。反応体組成物中のH
2Oの濃度は、最大約80体積%、一つの実施態様では約5から約80体積%、一つの実施態様では約5から約50体積%であるとよい。反応体組成物中の軽質炭化水素の濃度は、最大約80体積%、一つの実施態様では約1から約80体積%、一つの実施態様では約1から約50体積%であるとよい。反応体組成物は、リサイクルされた本発明のプロセスの間に形成されるガス生成物を含んでよい。反応体組成物は、水蒸気改質プロセス(約3のH
2/COモル比を有する生成物の流れ)、部分酸化プロセス(約2のH
2/COモル比を有する生成物の流れ)、自己熱改質プロセス(約2.5のH
2/COモル比を有する生成物の流れ)、CO
2改質プロセス(約1のH
2/COモル比を有する生成物の流れ)、石炭ガス化プロセス(約1のH
2/COモル比を有する生成物の流れ)およびそれらの組み合わせなど、別のプロセスからの流れ(例えばガスの流れ)を含んでよい。
【0037】
反応体組成物中に硫黄、窒素、ハロゲン、セレン、リン、ヒ素および類似物などの汚染物質が存在すると望ましくないことがある。従って、本発明の一つの実施態様では、本発明のプロセスを実行する前に、前述の汚染物質を反応体組成物から除去するか、または濃度を低下させるとよい。これらの汚染物質を除去するための技法は、当業者には公知である。例えば、硫黄不純物を除去するためにZnOガード床を用いるとよい。一つの実施態様では、反応体組成物中の汚染物質レベルは、最大約5体積%、一つの実施態様では最大約1体積%、一つの実施態様では最大約0.1体積%、一つの実施態様では最大約0.05体積%のレベルであるとよい。
【0038】
熱交換流体は、任意の流体であってよい。これらは、空気、水蒸気、液状水、気体窒素、不活性ガスを含むその他の気体、一酸化炭素、溶融塩、ミネラルオイルなどの油、およびダウ‐ユニオン・カーバイド(Dow‐Union Carbide)から入手可能なダウサームA(Dowtherm A)およびサーミノール(Therminol)などの熱交換流体を含む。
【0039】
熱交換流体は、反応体組成物の流れを含んでよい。これによって、プロセス予熱およびプロセスの全体的な熱効率の増加をもたらすことができる。
【0040】
一つの実施態様では、熱交換チャネルは、吸熱プロセスが実行されるプロセスチャネルを備える。これらの熱交換プロセスチャネルは、マイクロチャネルであってよい。熱交換チャネル中で実行することができる吸熱プロセスの例は、水蒸気改質および脱水素反応を含む。約200℃から約300℃の範囲の温度で起こるアルコールの水蒸気改質は、そのような吸熱プロセスの別の例である。改善されたヒートシンクを提供するために同時吸熱反応を組み込むことによって、一般に対流冷却熱流束より大体一桁多い熱流束が可能になる。マイクロチャネル反応器中の熱を交換するために発熱反応と吸熱反応とを同時に使用することは、参照によって本明細書に組み込まれる2002年8月15日出願の米国特許出願第10/222,196号に開示されている。
【0041】
一つの実施態様では、熱交換流体は、熱交換チャネルを通って流れるとき、部分的または全体的な相変化を起す。この相変化は、対流冷却がもたらす除熱の他に、プロセスマイクロチャネルからの熱の除去をさらに進める。蒸発する液体熱交換流体の場合、プロセスマイクロチャネルから移動するこの追加の熱は、その熱交換流体が必要とする蒸発潜熱から生じさせることが可能である。そのような相変化の例は、沸騰するオイルまたは水である。一つの実施態様では、熱交換流体の約50重量%が蒸発する。
【0042】
マイクロチャネル反応器中の対流熱交換のための熱流束は、マイクロチャネル反応器中のプロセスマイクロチャネルの表面積の平方センチメートルあたり約1から約25ワット(W/cm
2)、一つの実施態様では約1から約10W/cm
2の範囲であるとよい。相
変化または同時吸熱反応熱交換のための熱流束は、約1から約250W/cm
2、一つの実施態様では約1から約100W/cm
2、一つの実施態様では約1から約50W/cm
2、一つの実施態様では約1から約25W/cm
2、一つの実施態様では約1から約10W/cm
2の範囲であるとよい。
【0043】
一つの実施態様では、本発明のプロセスの間のプロセスマイクロチャネルの冷却は、そのような追加の冷却によって、より高い活性化エネルギーの望ましくない並行反応による望ましくない副生物の生成が減少するか、またはなくなるという事実によって、主生成物または所望の生成物の選択率を制御するうえで有利である。一つの実施態様では、この冷却の結果、プロセスマイクロチャネルの入口での反応体組成物の温度は、プロセスマイクロチャネルの出口での生成物(または生成物と未反応反応体との混合物)の温度の約200℃の範囲、一つの実施態様では約150℃の範囲、一つの実施態様では約100℃の範囲、一つの実施態様では約50℃の範囲、一つの実施態様では約25℃の範囲、一つの実施態様では約10℃の範囲にするとよい。
【0044】
触媒は、任意のフィッシャー・トロプシュ触媒を含んでよい。触媒は、少なくとも一つの触媒活性金属、またはそれらの酸化物を含む。一つの実施態様では、触媒は、触媒担体をさらに含む。一つの実施態様では、触媒は、少なくとも一つの促進剤をさらに含む。触媒活性金属は、Co、Fe、Ni、Ru、Re、Osまたはそれらの二つ以上の組み合わせを含むとよい。担体材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化物化アルミナ、ベントナイト、セリア、酸化亜鉛、シリカ‐アルミナ、炭化ケイ素、モレキュラーシーブ、またはそれらの二つ以上の組み合わせを含むとよい。担体材料は、耐火性酸化物を含んでよい。促進剤は、IA、IIA、IIIBまたはIVB族金属またはそれらの酸化物、ランタニド金属または金属酸化物、あるいはアクチニド金属または金属酸化物を含んでよい。一つの実施態様では、促進剤は、Li、B、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、La、Ac、CeまたはTh、あるいはそれらの二つ以上の混合物である。用いることができる触媒の例は、米国特許第4,585,798号、第5,036,032号、第5,733,839号、第6,075,062号、第6,136,868号、第6,262,131号、第6,353,035号、第6,368,997号、第6,476,085号、第6,451,864号、第6,490,880号、第6,537,945号、第6,558,634号、および米国特許公開第2002/0028853号、第2002/0188031号、および第2003/0105171号に開示されている触媒を含む。これらの特許および公開特許のフィッシャー・トロプシュ触媒およびそのような触媒を調製するための方法の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0045】
一つの実施態様では、触媒は、担体に担持されたCoと、オプションとして助触媒および/または促進剤とを含む。この場合、Co担持率は、少なくとも約5重量%、一つの実施態様では少なくとも約10重量%、一つの実施態様では少なくとも約15重量%、一つの実施態様では少なくとも約20重量%、一つの実施態様では少なくとも約25重量%、一つの実施態様では少なくとも約28重量%、一つの実施態様では少なくとも約30重量%、一つの実施態様では少なくとも約32重量%、一つの実施態様では少なくとも約35重量%、一つの実施態様では少なくとも約40重量%である。一つの実施態様では、Co担持率は、約5から約50重量%、一つの実施態様では約10から約50重量%、一つの実施態様では約15から約50重量%、一つの実施態様では約20から約50重量%、一つの実施態様では約25から約50重量%、一つの実施態様では約28から約50重量%、一つの実施態様では約30から約50重量%、一つの実施態様では約32から約50重量%であるとよい。触媒の触媒活性金属(すなわちCoおよびオプションとして助触媒および/または促進剤)の金属分散率は、約1から約30%、一つの実施態様では約2から約20%、一つの実施態様では約3から約20%の範囲にあるとよい。助触媒は、Fe、Ni、Ru、Re、Osまたはそれらの酸化物、あるいはそれらの二つ以上の混合物であるとよい。促進剤は、IA、IIA、IIIBまたはIVB族金属またはそれらの酸化物、ランタニド金属または金属酸化物、あるいはアクチニド金属または金属酸化物であるとよい。一つの実施態様では、促進剤は、Li、B、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、La、Ac、CeまたはTh、あるいはそれらの二つ以上の混合物である。助触媒は、触媒(すなわち触媒、助触媒、促進剤および担体の重量)の総重量を基準として、最大約10重量%、一つの実施態様では約0.1から約5重量%の濃度で使用するとよい。促進剤は、触媒の総重量を基準として、最大約10重量%、一つの実施態様では約0.1から約5重量%の濃度で使用するとよい。
【0046】
一つの実施態様では、触媒は、アルミナに担持されたCoを含むとよく、Coの担持率は、少なくとも約25重量%、一つの実施態様では少なくとも約28重量%、一つの実施態様では少なくとも約30重量%、一つの実施態様では少なくとも約32重量%であり、Co分散率は、少なくとも約3%、一つの実施態様では少なくとも約5%、一つの実施態様では少なくとも約7%である。
【0047】
一つの実施態様では、触媒は式
CoM
1aM
2bO
x
で表される組成物を含むとよい。式中、M
1は、Fe、Ni、Ru、Re、Osまたはそれらの混合物であり、一つの実施態様では、M
1は、RuまたはReあるいはそれらの混合物であり、M
2は、Li、B、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、La、Ac、CeまたはTh、あるいはそれらの二つ以上の混合物であり、aはゼロから約0.5、一つの実施態様ではゼロから約0.2の範囲の数であり、bはゼロから約0.5、一つの実施態様ではゼロから約0.1の範囲の数であり、xは、存在する元素の原子価要件を満たすために必要な酸素の数である。
【0048】
一つの実施態様では、本発明のプロセスで用いられる触媒は、複数の含浸工程を用いて作るとよく、各含浸工程の間に中間焼成工程が実行される。少なくとも一つの実施態様では、そのような手順の使用によって、そのような中間焼成工程が使用されない手順による場合より触媒金属、およびオプションとして促進剤の担持率のレベルが高い触媒の形成が可能になる。一つの実施態様では、以下の順番の工程を用いて、触媒金属(例えばCo)、オプションとして助触媒(例えばReまたはRu)および/または促進剤を、担体(例えばAl
2O
3)上に担持させる。(A)触媒金属、オプションの助触媒、および/または促進剤を含む組成物を担体に含浸させて中間触媒生成物を準備する工程、(B)工程(A)で形成された中間触媒生成物を焼成する工程、(C)触媒金属、オプションの助触媒、および/または促進剤を含む別の組成物を(B)で形成された焼成中間生成物に含浸させて別の中間触媒生成物を準備する工程、および(D)工程(C)で形成された別の中間触媒生成物を焼成して所望の触媒生成物を準備する工程。触媒金属、オプションの助触媒、および/または促進剤は、初期湿式含浸プロセスを用いて担体上に含浸させるとよい。工程(C)および(D)は、触媒金属、オプションの助触媒、および/または促進剤の所望の担持率が実現されるまで、もう一回または二回以上繰り返してよい。触媒金属を含む組成物は、金属の硝酸塩溶液、例えば硝酸コバルト溶液であってよい。このプロセスは、触媒金属(すなわちCo)が、約20重量%以上、一つの実施態様では約25重量%以上、一つの実施態様では約28重量%以上、一つの実施態様では約30重量%以上、一つの実施態様では約32重量%以上、一つの実施態様では約35重量%以上、一つの実施態様では約37重量%以上、一つの実施態様では約40重量%以上の担持率レベルを実現するまで続けてよい。焼成工程のそれぞれは、約100℃から約500℃、一つの実施態様では約100℃から約400℃、一つの実施態様では約250℃から約350℃の範囲の温度で、約0.5から約100時間、一つの実施態様では約0.5から約24時間、一つの実施態様では約2から約3時間、触媒を加熱することを含む。温度は、約1〜20℃/分の速度で焼成温度まで昇温するとよい。焼成工程の前に、約75から約200℃、一つの実施態様では約75℃から約150℃の温度で、約0.5から約100時間、一つの実施態様では約0.5から約24時間、触媒を乾燥させる乾燥工程を設けてよい。一つの実施態様では、触媒は、約12時間約90℃で、次に、約0.5〜1℃/分の速度で温度を90℃から110〜120℃に昇温して、約110〜120℃で約1〜1.5時間乾燥させるとよい。
【0049】
マイクロチャネル反応器中で用いられる触媒は、プロセスマイクロチャネルの内部に適合する任意のサイズおよび幾何学的構造を有するとよい。触媒は、約1から約1000μm(ミクロン)、一つの実施態様では約10から約500μm、一つの実施態様では約25から約250μmの中央値粒子直径を有する固体粒子(例えばペレット、粉体、繊維および類似物)の形であってよい。一つの実施態様では、触媒は、固体粒子の固定床の形である。
【0050】
一つの実施態様では、触媒は、固体粒子の固定床の形であり、触媒固体粒子の中央値粒子直径は比較的小さく、各プロセスマイクロチャネルの長さは比較的短い。中央値粒子直径は、約1から約1000μm、一つの実施態様では約10から約500μmであるとよく、各プロセスマイクロチャネルの長さは、最大約500cm、一つの実施態様では約10から約500cm、一つの実施態様では約50から約300cmの範囲にあるとよい。
【0051】
触媒は、発泡体、フェルト、詰め物またはそれらの組み合わせなど、多孔性担体構造物上に担持するとよい。本明細書では、用語「発泡体」は、構造物の内部全体に細孔を定める連続な壁を有する構造物を指すために用いられる。本明細書では、用語「フェルト」は、それぞれの間に隙間の空間を有する繊維の構造物を指すために用いられる。本明細書では、用語「詰め物」は、スチールウールのように、もつれ合ったより線の構造物を指すために用いられる。触媒は、ハニカム構造物上に担持してよい。
【0052】
触媒は、隣接するギャップを有するフェルト、隣接するギャップを有する発泡体、ギャップを有するフィン構造物、任意の挿入基板上のウォッシュコート、あるいは流れのための対応するギャップを有する流れの向きに平行な細目などの側流担体構造物上に担持してよい。
図8に側流構造物の例を示す。
図8で、触媒300は、プロセスマイクロチャネル302中に収容される。矢印306および308で示されるように、開放流路304によって、触媒300と接触してプロセスマイクロチャネル302を通る流体の流れが可能になる。
【0053】
触媒は、発泡体、詰め物、ペレット、粉体または細目などの貫通流担体構造物上に担持させてよい。
図8に貫通流構造物の例を示す。
図9では、貫通流触媒310は、プロセスマイクロチャネル312の内部に収容され、流体は、矢印314および316で示されるように、触媒310を通って流れる。
【0054】
貫通流触媒のための担体構造物は、シリカゲル、発泡銅、焼結ステンレス鋼繊維、スチールウール、アルミナ、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリスルホン酸塩、ポリ(テトラフルオロエチレン)、鉄、ニッケルスポンジ、ナイロン、ポリ二フッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンエチルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリブチレンまたはそれらの二つ以上の組み合わせを含む材料から形成させるとよい。一つの実施態様では、担体構造物は、触媒からの除熱を容易にするために、金属などの伝熱材料で作るとよい。
【0055】
触媒は、プロセスマイクロチャネルの内壁上に直接ウォッシュコートするか、溶液から壁上に成長させるか、あるいはフィン構造物上にインサイチュでコーティングしてよい。触媒は、多孔性連続材料の一体、または物理的に接触する多数の小片の形状であってよい。一つの実施態様では、触媒は、連続材料で構成され、分子が触媒を通って拡散することができるように、連続的多孔構造を有する。この実施態様では、流体は、触媒の周囲ではなく、触媒の中を流れる。一つの実施態様では、触媒の断面積は、プロセスマイクロチャネルの断面積の約1から約99%、一つの実施態様では約10から約95%を占める。触媒は、BET法で測定して、約0.5m
2/gより大きな、一つの実施態様では約2m
2/gより大きな表面積を有するとよい。
【0056】
触媒は、多孔性担体、多孔性担体上の界面層、および界面層上の触媒材料を含んでよい。界面層は、担体上に溶液析出させるか、あるいは化学蒸着法または物理蒸着法によって析出させてよい。一つの実施態様では、触媒は、多孔性担体、バッファ層、界面層および触媒材料を有する。前述の層のどれも連続的であってよく、あるいはスポットまたはドットの形、あるいはギャップまたは空孔を有する層の形のように不連続的であってよい。
【0057】
多孔性担体は、水銀ポロシメトリーで測定して、少なくとも約5%の多孔率および約1から約1000μmの平均細孔サイズ(細孔直径の総和を細孔の数で除した商)を有するとよい。多孔性担体は、多孔性セラミックスまたは金属発泡体であってよい。用いることができるその他の多孔性担体は、炭化物、窒化物および複合材料を含む。多孔性担体は、約30%から約99%、一つの実施態様では約60%から約98%の多孔率を有するとよい。多孔性担体は、発泡体、フェルト、詰め物またはそれらの組み合わせの形であってよい。金属発泡体の開放セルは、約20インチあたり細孔(ppi)から約3000ppi、一つの実施態様では約20から約1000ppi、一つの実施態様では約40から約120ppiの範囲であるとよい。用語「ppi」は、インチあたりの細孔の最大数を指す(等方性物質中では測定の方向は無関係であるが、異方性物質中では細孔数を最大にする方向で測定を実行する)。
【0058】
バッファ層は、存在するなら、多孔性担体および界面層の両方と異なる組成および/または密度を有してよく、一つの実施態様では、多孔性担体の熱膨張係数と界面層の熱的膨張係数との中間の熱膨張係数を有するとよい。バッファ層は、金属酸化物または金属炭化物であるとよい。バッファ層は、Al
2O
3、TiO
2、SiO
2、ZrO
2またはそれらの組み合わせで構成してよい。Al
2O
3は、α‐Al
2O
3、γ‐Al
2O
3またはそれらの組み合わせであってよい。α‐Al
2O
3を用いれば、酸素拡散に対する優れた抵抗の利点が得られる。バッファ層は、二つ以上の組成的に異なるサブ層で形成させてよい。例えば、多孔性担体が金属、例えばステンレス鋼発泡体であるとき、二つの組成的に異なるサブ層で形成されるバッファ層を用いてよい。第一のサブ層(多孔性担体と接触する)は、TiO
2であってよい。第二のサブ層は、TiO
2上に配置されるα‐Al
2O
3であってよい。一つの実施態様では、α‐Al
2O
3サブ層は緻密層であり、下地金属表面の保護を提供する。次に、触媒活性層のための担体として、アルミナなどのこれより密度の低い大表面積界面層を析出させてよい。
【0059】
多孔性担体は、界面層の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有してよい。そのような場合、二つの熱膨張係数の間のつなぎとしてバッファ層が必要なことがある。多孔性担体および界面層の膨張係数と適合する膨張係数を得るために、バッファ層の組成を制御することによって、バッファ層の熱膨張係数を調整してよい。下地の担体の優れた保護を提供するために、バッファ層には開口部およびピンホールがない方がよい。バッファ層は、非多孔性であってよい。バッファ層は、多孔性担体の平均細孔サイズの半分より小さい厚さを有してよい。バッファ層は、約0.05から約10μm、一つの実施態様では約0.05から約5μmの厚さを有するとよい。
【0060】
本発明の一つの実施態様では、バッファ層を用いずに、適切な接着強さおよび化学的安定性を得ることができる。この実施態様では、バッファ層は省略してよい。
【0061】
界面層は、窒化物、炭化物、硫化物、ハロゲン化物、金属酸化物、炭素、またはそれらの組み合わせを含んでよい。界面層は、大表面積を提供し、および/または担持触媒のために望ましい触媒‐担体相互作用を提供する。界面層は、触媒担体として通常用いられる任意の材料で構成してよい。界面層は、金属酸化物で構成してよい。用いることができる金属酸化物の例は、γ‐Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、酸化タングステン、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、ランタン系列酸化物(単数または複数)、ゼオライト(単数または複数)およびそれらの組み合わせを含む。界面層は、それ以上の触媒活性材料を上に析出させずに、触媒活性層として使用してよい。しかし、通常は、界面層は、触媒活性層と組み合わせて用いる。界面層は、二つ以上の組成的に異なるサブ層で形成させてよい。界面層は、多孔性担体の平均細孔サイズの半分より薄い厚さを有してよい。界面層の厚さは、約0.5から約100μm、一つの実施態様では約1から約50μmの範囲にあるとよい。界面層は、結晶または非晶質のどちらであってもよい。界面層は、少なくとも約1m
2/gのBET表面積を有するとよい。
【0062】
触媒は、界面層の上に析出させてよい。あるいは、触媒材料は、界面層と同時に析出させてよい。触媒層は、界面層上に密に分散させてよい。触媒層を界面層の「上に分散させる」または「上に析出させる」ことは、微視的な触媒粒子を、担体層(すなわち界面層)表面上に、担体層中の裂け目の中に、および担体層中の開口細孔中に分散させるという通常の理解を含む。
【0063】
触媒は、プロセスマイクロチャネル中に配置される一つ以上のフィンのアセンブリ上に担持させてよい。
図10〜12に例を示す。
図10を参照すると、フィンアセンブリ320は、プロセスマイクロチャネル328の基壁326の上地のフィン基材324上に取り付けられたフィン322を備える。フィン322は、フィン基材324からプロセスマイクロチャネル328の内部に突出する。フィン322は、プロセスマイクロチャネル328の上部壁330の内部表面に伸び、接触してよい。フィン322の間のフィンチャネル332は、流体がプロセスマイクロチャネル328を通ってプロセスマイクロチャネル328の長さに平行に流れる通路を提供する。フィン322のそれぞれは、その側面のそれぞれに外部表面を有し、この外部表面は、触媒に担体基材を提供する。本発明のプロセスでは、反応体組成物は、フィンチャネル332を通って流れ、フィン322の外部表面に担持された触媒と接触し、反応して生成物を生成する。
図11に例示したフィンアセンブリ320aは、フィン322aがマイクロチャネル328の上部壁330の内部表面まで十分に伸びていないことを除いて、
図10に例示したフィンアセンブリ320と類似している。
図12に例示したフィンアセンブリ320bは、フィンアセンブリ320bのフィン322bが台形状の断面形状を有することを除いて、
図10に例示したフィンアセンブリ320と類似している。フィンのそれぞれは、約0.02mmから最大でプロセスマイクロチャネル328の高さ、一つの実施態様では約0.02から約10mm、一つの実施態様では約0.02から約5mm、一つの実施態様では約0.02から約2mmの範囲の高さを有するとよい。各フィンの幅は、約0.02から約5mm、一つの実施態様では約0.02から約2mm、一つの実施態様では約0.02から約1mmの範囲であるとよい。各フィンの長さは、最大でプロセスマイクロチャネル328の長さ、一つの実施態様では最大約10mm、一つの実施態様では約0.5から約10m、一つの実施態様では約0.5から約6m、一つの実施態様では約0.5から約3mの任意の長さであるとよい。フィンのそれぞれの間のギャップは、任意の値であってよく、約0.02から約5mm、一つの実施態様では約0.02から約2mm、一つの実施態様では約0.02から約1mmの範囲であってよい。プロセスマイクロチャネル328中のフィンの数は、プロセスマイクロチャネル328の幅のセンチメートルあたり約1から約50フィン、一つの実施態様ではセンチメートルあたり約1から約30フィン、一つの実施態様ではセンチメートルあたり約1から約10フィン、一つの実施態様ではセンチメートルあたり約1から約5フィン、一つの実施態様ではセンチメートルあたり約1から約3フィンの範囲であってよい。フィンのそれぞれは、
図10または11に例示したように長方形または正方形、あるいは
図12に例示したように台形の形状の断面を有してよい。その長さ方向から見たとき、各フィンは、直線状またはテーパ状であってよく、あるいは蛇行構成を有してよい。フィンアセンブリは、プロセスマイクロチャネルの目的の動作を可能にするのに十分な強さ、寸法安定性および伝熱特性を提供する任意の材料で作ることができる。これらの材料は、鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、真鍮、任意の前述の金属の合金、重合体(例えば熱硬化性樹脂)、セラミックス、ガラス、一つ以上の重合体(例えば熱硬化性樹脂)を含むコンポジットおよびグラスファイバ、石英、ケイ素、またはそれらの二つ以上の組み合わせを含む。フィンアセンブリは、Fe、Cr、AlおよびYを含む合金などのAl
2O
3形成材料、またはNi、CrおよびFeの合金などのCr
2O
3形成材料で作ることができる。
【0064】
一つの実施態様では、触媒は、再生することができる。これは、プロセスマイクロチャネルを通して再生用流体を流して触媒と接触させることによって実行することができる。再生用流体は、水素または希釈水素の流れを含むとよい。希釈剤は、窒素、アルゴン、ヘリウム、メタン、二酸化炭素、水蒸気、またはそれらの二つ以上の混合物を含んでよい。再生用流体は、ヘッダ104からプロセスマイクロチャネルを通りフッタ106へ、あるいはフッタ106からプロセスマイクロチャネルを通りヘッダ104へ反対の向きに流してよい。再生用流体の温度は、約50から約400℃、一つの実施態様では約200から約350℃であるとよい。この再生工程の間のプロセスマイクロチャネル中の圧力は、約1から約40気圧、一つの実施態様では約1から約20気圧、一つの実施態様では約1から約5気圧の範囲であるとよい。プロセスマイクロチャネル中の再生用流体の滞留時間は、約0.01から約1000秒、一つの実施態様では約0.1秒から約100秒の範囲であるとよい。
【0065】
一つの実施態様では、プロセスマイクロチャネルは、バルク流路を有することを特徴としてよい。用語「バルク流路」は、プロセスマイクロチャネル中の開放経路(連続するバルク流れ領域)を指す。連続バルク流れ領域によって、大きな圧力降下なしでマイクロチャネルを通る迅速な流体の流れが可能になる。一つの実施態様では、バルク流れ領域中の流体の流れは層流である。各プロセスマイクロチャネル中のバルク流れ領域は、約0.05から約10,000mm
2、一つの実施態様では約0.05から約5000mm
2、一つの実施態様では約0.1から約2500mm
2の断面積を有するとよい。バルク流れ領域は、プロセスマイクロチャネルの断面の約5%から約95%、一つの実施態様では約30%から約80%を含むとよい。
【0066】
プロセスマイクロチャネル中の反応体と触媒との接触時間は、最大約2000ミリ秒(ms)、一つの実施態様では約10msから約1000ms、一つの実施態様では約20msから約500msの範囲であるとよい。一つの実施態様では、接触時間は、最大約300ms、一つの実施態様では約20から約300ms、一つの実施態様では約50から約150ms、一つの実施態様では約75から約125ms、一つの実施態様では約100msの範囲であるとよい。
【0067】
プロセスマイクロチャネルを通る反応体組成物および生成物の流れの空間速度(または気体毎時空間速度(GHSV))は、少なくとも約1000hr
−1(原料の標準リットル/時間/プロセスマイクロチャネル中の体積のリットル)または少なくとも約800ml原料/(g触媒)(hr)であるとよい。空間速度は、約1000から約1,000,000hr
−1、または約800から約800,000ml原料/(g触媒)(hr)の範囲であるとよい。一つの実施態様では、空間速度は、約10,000から約100,000hr
−1、または約8,000から約80,000ml原料/(g触媒)(hr)の範囲であるとよい。
【0068】
プロセスマイクロチャネルに流入する反応体組成物の温度は、約150℃から約270℃、一つの実施態様では約180℃から約250℃、一つの実施態様では約180℃から約220℃の範囲であるとよい。
【0069】
プロセスマイクロチャネル中の反応体組成物および生成物の温度は、約200℃から約300℃、一つの実施態様では約220℃から約270℃、一つの実施態様では約220℃から約250℃の範囲であるとよい。
【0070】
プロセスマイクロチャネルから流出する生成物の温度は、約200℃から約300℃、一つの実施態様では約220℃から約270℃、一つの実施態様では約220℃から約250℃の範囲であるとよい。
【0071】
プロセスマイクロチャネル内の圧力は、少なくとも約5気圧、一つの実施態様では少なくとも約10気圧、一つの実施態様では少なくとも約15気圧、一つの実施態様では少なくとも約20気圧、一つの実施態様では少なくとも約25気圧、一つの実施態様では少なくとも約30気圧であるとよい。圧力は、一つの実施態様では約5から約50気圧、一つの実施態様では約10から約50気圧、一つの実施態様では約10から約30気圧、一つの実施態様では約10から約25気圧、一つの実施態様では約15から約25気圧の範囲であるとよい。
【0072】
反応体および/または生成物がプロセスマイクロチャネルを通って流れるときの圧力降下は、プロセスマイクロチャネルの長さのメートルあたり最大約10気圧(atm/m)、一つの実施態様では最大約5atm/m、一つの実施態様では最大約3atm/mの範囲であるとよい。
【0073】
プロセスマイクロチャネルに流入する反応体組成物は、通常、蒸気の形であるが、プロセスマイクロチャネルから流出する生成物は、蒸気、液体、または蒸気と液体との混合物の形であってよい。プロセスマイクロチャネルを通る蒸気の流れのレイノルズ数は、約10から約4000、一つの実施態様では約100から約2000の範囲であるとよい。プロセスマイクロチャネルを通る液体の流れのレイノルズ数は、約10から約4000、一つの実施態様では約100から約2000であるとよい。
【0074】
熱交換チャネルに流入する熱交換流体は、約150℃から約300℃、一つの実施態様では約150℃から約270℃の温度であるとよい。熱交換チャネルから流出する熱交換流体は、約220℃から約270℃、一つの実施態様では約230℃から約250℃の範囲の温度であるとよい。熱交換チャネル中の熱交換流体の滞留時間は、約50から約5000ms、一つの実施態様で約100から約1000msの範囲であるとよい。熱交換流体が熱交換チャネルを通って流れるときの圧力降下は、最大約10atm/m、一つの実施態様では約1から約10atm/m、一つの実施態様では約2から約5atm/mの範囲であるとよい。熱交換流体は、蒸気、液体、または蒸気と液体との混合物の形であってよい。熱交換チャネルを通る蒸気の流れのレイノルズ数は、約10から約4000、一つの実施態様では約100から約2000であるとよい。熱交換チャネルを通る液体の流れのレイノルズ数は、約10から約4000、一つの実施態様では約100から約2000であるとよい。
【0075】
COの反応率は、サイクルあたり約40%以上、一つの実施態様では約50%以上、一つの実施態様では約55%以上、一つの実施態様では約60%以上、一つの実施態様では約65%以上、一つの実施態様では約70%以上であるとよい。本明細書では、用語「サイクル」は、プロセスマイクロチャネルを通る反応体の一回の通過を指すために用いられる。
【0076】
生成物中のメタンへの選択率は、約25%以下、一つの実施態様では約20%以下、一つの実施態様では約15%以下、一つの実施態様では約12%以下、一つの実施態様では約10%以下であるとよい。
【0077】
生成物の収率は、サイクルあたり約25%以上、一つの実施態様では約30%以上、一つの実施態様ではサイクルあたり約40%以上であるとよい。
【0078】
一つの実施態様では、COの反応率は少なくとも約50%であり、メタンへの選択性は約15%以下であり、生成物の収率はサイクルあたり少なくとも約35%である。
【0079】
本発明のプロセスによって形成される生成物は、気体状生成物画分および液状生成物画分を含んでよい。気体状生成物画分は、大気圧で約350℃より低温で沸騰する炭化水素(例えばテールガスから中間留分まで)を含む。液体生成物画分(凝縮画分)は、約350℃より高温で沸騰する炭化水素(例えば真空ガス油から重質パラフィンまで)を含む。
【0080】
約350℃より低温で沸騰する生成物画分は、例えば高圧および/または低温の気‐液分離器、または低圧分離器、あるいは分離器の組み合わせを用いて、テールガス画分と凝縮液画分、例えば約5個から約20個の炭素原子のノルマルパラフィンと高沸点炭化水素とに分離するとよい。約350℃より高温で沸騰する画分(凝縮液画分)は、約350℃から約650℃の範囲で沸騰する一つ以上の画分を除去した後、約650℃より高温で沸騰するワックス画分に分離するとよい。ワックス画分は、比較的少量の高沸点分岐パラフィンとともに約20から約50個の炭素原子の直鎖パラフィンを含んでよい。分別蒸留を用いて分離を実行してよい。
【0081】
本発明のプロセスによって形成される生成物は、メタン、ワックスおよびその他の重質な高分子量生成物を含んでよい。生成物は、エチレンなどのオレフィン類、ノルマルおよびイソパラフィン類、ならびにそれらの組み合わせを含んでよい。これらは、ジェット燃料範囲またはディーゼル燃料範囲を含む溜出物燃料範囲の炭化水素を含んでよい。
【0082】
分岐は、多くの最終用途で、特に高オクタン価および/または低流動点が望ましいとき、利点とすることができる。異性化の程度は、n‐パラフィンのモルあたりイソパラフィンの約1モル、一つの実施態様ではn‐パラフィンのモルあたりイソパラフィンの約3モルより大きくするとよい。ディーゼル燃料組成物中で用いられるとき、生成物は、少なくとも約60のセタン価を有する炭化水素混合物を含むとよい。
【0083】
商業的には、高分子量生成物、たとえばワックスは、分離してそのまま用いるか、または、低分子量生成物を生成させるために反応させてよい。例えば、高分子量生成物を水素化分解して低分子量生成物を提供し、液体可燃性燃料の収率を増加させるとよい。水素化分解は、遊離水素の存在下で通常実行される触媒プロセスを指し、大型炭化水素分子のクラッキングがこの操作の主目的である。水素化分解操作の実行に用いられる触媒は、当分野では公知である。例えば、各プロセス中で用いられる水素化精製、水素化分解および触媒の記載が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,347,121号および第4,810,357号を参照すること。本発明のプロセスによって形成される生成物は、潤滑剤基油またはディーゼル燃料を形成させるためにさらに加工してよい。例えば、本発明のプロセスによって作られる生成物は、水素化分解し、次に蒸留および/または触媒異性化に付して潤滑剤基油、ディーゼル燃料および類似物を提供するとよい。
【0084】
本発明のプロセスによって作られる炭化水素生成物は、米国特許第6,103,099号または第6,180,575号に開示されているプロセスを使用して水素化異性化するとよく、米国特許第4,943,672号または第6,096,940号に開示されているプロセスを使用して水素化分解および水素化異性化するとよく、米国特許第5,882,505号に開示されているプロセスを使用して脱ロウするとよく、あるいは米国特許第6,013,171号、第6,080,301号または第6,165,949号に開示されているプロセスを使用して水素化異性化および脱ロウするとよい。これらの特許は、フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素を処理するためのプロセスおよびそのようなプロセスから作られる結果の生成物の開示に関して、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【実施例1】
【0085】
Al
2O
3上に担持されたCo/Re触媒を形成させるために複数の含浸プロセスを用いる。各含浸のために別個のバッチの含浸溶液(異なる濃度を有する)を用いる。各含浸溶液の組成は、以下の通りである。含浸溶液Aは、31.0重量%の硝酸コバルトおよび2.8重量%の過レニウム酸を含む。含浸溶液Bは、29.8重量%の硝酸コバルトおよび2.7重量%の過レニウム酸を含む。含浸溶液Cは、38.7重量%の硝酸コバルトおよび3.5重量%の過レニウム酸を含む。含浸溶液Dは、30.7重量%の硝酸コバルトおよび3.6重量%の過レニウム酸を含む。以下の順序の工程が用いられる。
(1)Al
2O
3担体(1.0グラム)を650℃で1時間焼成する。担体は、200m
2/gのブリュナウアー・エメット・テラー(Brunauer‐Emmett‐Teller)(BET)表面積および0.69cm
3/gのバレット・ジョイナー・ハレンダ(Barret‐Joyner‐Halenda)(BJH)細孔容積を有する。
(2)0.7mlの含浸溶液Aを用いて第一の含浸を実行して7.9重量%のCoおよび1.2%重量%のReの全担持率を得る。
(3)触媒を90℃で12時間乾燥させ、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(4)工程(3)からの触媒は、183m
2/gのBET表面積および0.57cm
3/gのBJH細孔容積を有する。
(5)0.57mlの含浸溶液Bを用いて第二の含浸を実行して13重量%のCoおよび2.0重量%のReの総担持率を得る。
(6)触媒を90℃で12時間乾燥させ、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(7)工程(6)からの触媒は、162m
2/gのBET表面積および0.48cm
3/gのBJH細孔容積を有する。
(8)0.48mlの含浸溶液Cを用いて第三の含浸を実行して19重量%のCoおよび2.9重量%のReの総担持率を得る。
(9)触媒を90℃で12時間乾燥させ、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(10)工程(9)からの触媒は、144m
2/gのBET表面積および0.41cm
3/gのBJH細孔容積を有する。
(11)0.41mlの含浸溶液Dを用いて第四の含浸を実行する。結果は、25重量%のCoおよび3.6重量%のReの総担持率である。
(12)触媒を90℃で12時間乾燥させ、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(13)化学吸着試験を実行する。結果は、6.2%のCo分散率である。
【0086】
上記に示した合成で収集した細孔容積および表面積のデータを
図10に開示する。
【実施例2】
【0087】
以下の含浸では、単一バッチの含浸溶液を用いる。含浸溶液は、過レニウム酸を添加した硝酸コバルトの飽和溶液を含む。以下の手順を用いる。
(1)Al
2O
3担体(1グラム)を650℃で1時間焼成する。担体は、200m
2/gのBET表面積および0.69cm
3/gのBJH細孔容積を有する。
(2)0.69mlの含浸溶液を用いて第一の含浸を実行して11.0重量%のCoおよび1.7%重量%のReの全担持率を得る。
(3)触媒を90℃で12時間乾燥し、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(4)細孔容積を0.52cm
3/gと想定する。
(5)0.66mlの含浸溶液を用いて第二の含浸を実行して18重量%のCoおよび2.8重量%のReの総担持率を得る。
(6)触媒を90℃で12時間乾燥し、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(7)細孔容積を0.435cm
3/gと想定する。
(8)0.63mlの含浸溶液を用いて第三の含浸を実行して24重量%のCoおよび3.6重量%のReの総担持率を得る。
(9)触媒を90℃で12時間乾燥し、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(10)細孔容積を0.39cm
3/gと想定する。
(11)0.61mlの含浸溶液を用いて第四の含浸を実行して28重量%のCoおよび4.2重量%のReの総担持率の結果を得る。
(12)触媒を90℃で12時間乾燥し、次に毎分5℃の速度で温度を250℃に上げた後、温度を250℃に2時間維持することによって焼成する。
(13)化学吸着試験は、6.3%のCo分散率を示す。触媒は、107m
2/gのBET表面積および0.28cm
3/gのBJH細孔容積を有する。
【0088】
前述の方法を用いて、前述の合成からの試料の一部を用いてCo担持率が35%および40%になるまで続ける。
【実施例3】
【0089】
マイクロチャネル反応器中でフィッシャー・トロプシュ反応を実行する。マイクロチャネル反応器は、一つのプロセスマイクロチャネルを備える。プロセスマイクロチャネルは、高さ0.51mm、幅0.7cm、および長さ5.1cmを有する。プロセスマイクロチャネルは、Al
2O
3上に担持された0.2グラムのCo/Re触媒を含む。Co/Reモル比は21である。触媒は、多重含浸法を用いて調製され、Coの担持率30重量%およびReの担持率4.5重量%を実現する。触媒中の金属分散率は5.4%である。触媒は、177〜250ミクロンの範囲の粒子サイズを有する固体粒子の形である。固体は、プロセスマイクロチャネル中に充填される。プロセスマイクロチャネルは、隣接する熱交換器によって触媒中の温度勾配が5℃未満になるように冷却される。
【0090】
反応器は、12520hr
−1のGHSVを用いて20気圧で操作される。このGHSVは、0.26秒の接触時間に相当する。224℃で、CO反応率は50%であり、メタン選択率は10%である。圧力を35気圧に上げと、初期CO反応率は65%に増加し、メタン選択率は6.8%に低下する。
図14にこれらの結果を示す。生成物からの液体/ワックス試料の分析によると、連鎖成長確率は0.93にも及ぶ高さとなる。
【0091】
本プロセスを、10から40気圧の範囲の種々の操作圧力で、しかし同じ温度(225℃)および接触時間(0.26秒)で実行する。
図15に結果を示す。結果によると、システム圧力を10気圧から40気圧に増加すると、メタン選択率は12%から6.5%に低下する。
【0092】
本プロセスを250℃で実行し、
図16に結果を示す。
図16を参照すると、本プロセスは70%のCO反応率を実現し、メタンへの選択率は10%である。
【0093】
35気圧の圧力および226℃の温度で接触時間を0.1秒(GHSV=33,180hr
−1)に低下させ、本プロセスを繰り返す。
図17に結果を示すが、63%のCO反応率および10.5%のメタンへの選択率である。
【実施例4】
【0094】
フィッシャー・トロプシュ合成反応で、二つの30%Co‐4.5%Re/Al
2O
3触媒を試験する。一方の触媒は、中間焼成工程を用いて作られる。他方の触媒は、中間焼成工程なしで作られる。中間焼成工程を用いて作られる触媒は、以下の手順を用いて作られる。担体に、その細孔を満たすのにちょうど十分な飽和量の水溶液中の硝酸コバルトおよび過レニウム酸を含浸させる。次に、含浸させた担体を90℃で14時間加熱した後、5℃/分で300℃に加熱し、焼成のために300℃に3時間保持してから室温に冷却する。所望のCoおよびRe担持率を実現させるために、この手順を4回繰り返す。
【0095】
中間焼成工程なしで作られる触媒は、以下の手順を用いて作られる。担体に、その細孔を満たすのにちょうど十分な飽和量の水溶液中の硝酸コバルトおよび過レニウム酸を含浸させる。次に、含浸された担体を90℃に加熱し、90℃に14時間維持してから室温に冷却する。所望のCoおよびRe担持率を実現させるために、この手順を4回繰り返す。最後の含浸工程の後に、毎分10℃の速度で触媒を350℃に加熱した後、350℃に3時間保持してから室温に放冷する。
【0096】
5本のプロセスマイクロチャネルを備えるマイクロチャネル反応器中で、フィッシャー・トロプシュ反応を実行する。プロセスマイクロチャネルは、高さ1.5mm、幅0.635cmおよび長さ2.54cmの寸法を有する。各プロセスマイクロチャネルは、約0.15グラムの触媒を含む。触媒は、150から250ミクロンの範囲の粒子サイズを有する。プロセスマイクロチャネルは、隣接する熱交換器を用いて冷却される。反応は、水素63.89モル%、一酸化炭素32.1モル%および窒素4.01モル%を含む反応体組成物を用いて実行される。入口ゲージ圧は、20.4気圧である。反応器は、
図18に示す温度で等温操作される。一酸化炭素の重量毎時空間速度(時間あたり触媒単位質量あたり供給される一酸化炭素の質量)は4.9である。
図18に結果を示す。
【0097】
さまざまな詳細な実施態様に関して本発明を説明してきたが、本明細書を読めば、本発明のさまざまな変更形は、当業者には自明になると理解される。従って、本明細書に開示される本発明は、そのような変更形を請求項の範囲内に入るものとして包含することを意図すると理解される。