(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
水素化糖(“糖アルコール”ともいう)は、糖類が有する還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味し、一般に、HOCH
2(CHOH)nCH
2OH(ここで、nは2〜5の整数)の化学式を有する。炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に有効性が高い物質である。
【0003】
無水糖アルコールは、分子内のヒドロキシ基が2つのジオール形態を有し、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる(例えば、特許文献1、2)。無水糖アルコールは、再生可能な天然資源由来の環境に優しい物質である点で、以前から多大な関心と共にその製造方法に関する研究が行われてきた。このような無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドが、現在、工業上の利用範囲が最も広い。
【0004】
無水糖アルコールは、心臓疾患及び血管疾患の治療、パッチの接着剤、口腔清浄剤等の薬剤等、化粧品産業では組成物の溶媒、食品産業では乳化剤等、非常に様々な分野で有用である。また、PET、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂等の高分子物質のガラス転移温度を上げることができ、これらの物質の強度を向上することができる。更に、無水糖アルコールは、天然物由来の環境に優しい素材であるため、バイオプラスチック等のプラスチック産業でも非常に有用である。また、接着剤、環境に優しい可塑剤、生分解性高分子、水溶性ラッカーの環境に優しい溶媒にも使用できることが知られている。
【0005】
このように無水糖アルコールは、その様々な活用の可能性により大きく注目されており、実際の産業での利用も次第に増えている。しかし、従来の無水糖アルコールの製造方法は、脱水反応に使用される触媒コストが高く、転換率が低く、蒸留及び精製収率等が低いという欠点がある。また、前述のような様々な無水糖アルコールの用途において、高純度はもちろん、イオン含量、pH、伝導率及び色相特性などに優れた無水糖アルコールが求められている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
[工程(1)]
本発明の無水糖アルコールの製造方法は、水素化糖を脱水反応して、無水糖アルコールに転換させる工程を含む。
【0012】
前記水素化糖は、一般に糖アルコールとも呼ばれており、糖類が有する還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味する。水素化糖は、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に有効性の高い物質である。
【0013】
本明細書において、用語“無水糖アルコール”とは、任意の方法による1つ以上の工程で前記水素化糖の元の内部構造から1つ以上の水分子を除去して得られた任意の物質を意味する。
【0014】
本発明において、水素化糖としては、好ましくはヘキシトールを使用でき、より好ましくはソルビトール、マンニトール、イジトール及びこれらの混合物から選ばれる水素化糖を使用でき、さらに好ましくはデンプン由来のグルコースの水素化反応を通して容易に製造できるソルビトールを使用することができる。
【0015】
前記水素化糖は脱水反応によって無水糖アルコールに転換される。水素化糖を脱水する方法は特に制限がなく、当該分野で知られている公知の方法をそのまま又は適宜変更して活用してもよい。
【0016】
水素化糖を脱水して、無水糖アルコールに転換するには酸触媒を使用することが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記酸触媒として、硫酸、硝酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸などの単一の酸触媒を使用でき、より好ましくは硫酸を使用することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、前記酸触媒として、第1の酸と第2の酸との混酸を使用でき、より好ましくは、第1の酸として硫酸、第2の酸としてp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及び硫酸アルミニウムよりなる群から選ばれる1種以上の硫黄含有酸物質を使用することができる。
【0019】
混酸を使用する場合、第1の酸:第2の酸の割合は、重量比で1:9〜7:3であることが好ましい。この割合が1:9未満のとき(即ち、第1の酸の量が相対的に少な過ぎるとき)、無水糖アルコール生成率が低下することがある。この割合が7:3を超えるとき(即ち、第1の酸の量が相対的に多過ぎるとき)、糖類高分子の生成が多くなることがある。
【0020】
酸触媒の使用量は、水素化糖(例えば、ヘキシトール)100重量部当たり0.5〜10重量部が好ましい。酸触媒の量が水素化糖100重量部当たり0.5重量部未満のとき、無水糖アルコールへの転換時間が長くなり過ぎることがある。酸触媒の量が10重量部を超えると糖類高分子の生成が多くなり、転換率が低下することがある。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、水素化糖の無水糖アルコールへの転換工程は、前記のような酸触媒の存在下に105〜190℃の温度条件及び1〜100mmHgの圧力条件で1〜10時間行ってもよいが、これに限定されない。
【0022】
水素化糖の脱水反応時に酸触媒を使用する場合、反応液を中和することが好ましい。中和は、脱水反応完了後、反応液温度を下げ(例えば、100℃以下)、水酸化ナトリウムのような公知のアルカリを添加することにより行ってもよい。中和した反応液のpHは6〜8が好ましい。
【0023】
本発明の無水糖アルコールの製造方法の好ましい一実施形態によれば、水素化糖の無水糖アルコールへの転換工程の生成液は、蒸留工程に投入する前に、前処理することができる。この前処理は、転換工程の生成液内に残留する水分及び沸点が低い物質を除去するためのものであり、従来の通り90℃〜110℃の温度及び10mmHg〜100mmHgの圧力条件下で転換工程の生成液を30分以上(例えば、30分〜4時間)撹拌することによって行ってもよいが、これに限定されない。
【0024】
本発明において、前記転換反応の生成物である無水糖アルコールとして、好ましくはヘキシトールの脱水物であるジアンヒドロヘキシトールが得られ、より好ましくは、イソソルビド(1,4−3,6−ジアンヒドロソルビトール)、イソマンニド(1,4−3,6−ジアンヒドロマンニトール)、イソイジド(1,4−3,6−ジアンヒドロイジトール)及びこれらの混合物から選ばれた無水糖アルコールが得られる。その中で、イソソルビドは産業的、医薬的有用性が特に高い。
【0025】
[工程(2)]
本発明の無水糖アルコールの製造方法では、次いで、前記工程(1)から得られた反応液を蒸留する。
【0026】
前記蒸留は、好ましくは100〜250℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは110〜170℃の温度条件、及び好ましくは10mmHg以下(例えば、0.0001〜10mmHg、より具体的には0.0001〜8mmHg)、より好ましくは5mmHg以下(例えば、0.001〜5mmHg)、さらに好ましくは1mmHg以下(例えば、0.01〜1mmHg、より具体的には0.01〜0.8mmHg)の圧力条件下で行うことができる。蒸留温度が100℃未満のとき、無水糖アルコールの蒸留が効率的に進まないことがある。蒸留温度が250℃を超えると、無水糖アルコールの純度が低下し、色相が濃くなり、脱色が困難になることがある。蒸留圧力が10mmHgより高いと、無水糖アルコールを蒸留するためには、蒸留温度を高くしなければならず、このような場合、前述したような問題が発生するおそれがある。一方、蒸留圧力を低くするためには、高真空装置コストがさらに必要となり、蒸留純度も低くなるので、蒸留圧力が低すぎることは好ましくない。蒸留は必要に応じて2回以上行ってもよい。蒸留方法及び装置は特に制限がなく、当該分野で知られている公知の方法及び装置を、そのまま又は適宜変更して使用することができる。例えば、一般的なコンデンサータイプの蒸留器又は蒸留塔を使用してもよく、薄膜蒸留器を使用してもよい。
【0027】
[工程(3)]
本発明の無水糖アルコールの製造方法では、前記工程(2)から得られた蒸留物を結晶化する。
【0028】
結晶化の方法及び装置は特に制限されず、当該分野において従来から知られている結晶化方法及び装置をそのまま又は適宜変更して活用することができる。具体的には、例えば、無水糖アルコールを、水、酢酸エチル、アセトン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アルコールなどの溶媒に、必要に応じて、昇温下で溶解した後、溶液を冷却して無水糖アルコール結晶を析出させる方法を使用してもよく、また、溶媒を用いない溶融結晶化方法を使用してもよい。溶媒を用いた結晶化において、溶媒の種類、使用量及び昇温/冷却温度などは処理量(processing capacity)及び具体的な設備条件によって適宜決定でき、溶融結晶化時の温度条件も適宜決定できる。本発明の好ましい一実施形態によれば、溶媒として、アセトンを用いて、溶媒と無水糖アルコール蒸留液の重量比率を10:1〜1:1とし、混合した後、溶液の温度を30℃以上にした後、0℃まで冷却し、無水糖アルコール結晶を析出させ、これを母液と分離して、微結晶を得る。このとき、生じた結晶母液は、無水糖アルコールの全収率を向上させるために、濃縮して回収した後、転換が終わった転換液と混合して、蒸留工程に再び添加してもよい。これにより、蒸留収率が向上され、全体的な収率向上効果が得られる。
【0029】
化学製品の工業用の製造において、その純度を高めるために、結晶化は生産工程の最終工程で行うことが従来の認識であった。しかし、本発明では、結晶化工程を蒸留直後に行い、次いで脱色及びイオン交換樹脂処理を行うことによって、高純度と共に、イオン含量、pH、伝導率及び色相特性の全てを満足する無水糖アルコールを製造することができる。このような特定の順序の工程を含むプロセスを採択することによって、脱色及びイオン交換樹脂処理に必要な材料(例えば、活性炭とイオン交換樹脂)の量を低減することができ、特に、無水糖アルコールを用いた高分子の重合時に重要な要素となる無水糖アルコールのpHを適切に調整するという効果を得ることができる。
【0030】
[工程(4)]
本発明の無水糖アルコールの製造方法では、前記工程(3)から得られた無水糖アルコールの微結晶を脱色処理する。
【0031】
脱色処理は、好ましくは、得られた無水糖アルコールの微結晶を水(例えば、蒸留水)に溶解した水溶液を活性炭と接触させる。このとき、活性炭の平均粒径は0.25〜1.0mmが好ましく、0.25〜0.70mmがより好ましい。活性炭粒子の平均粒径が0.25mm未満のとき、カラム上で脱色を行う場合、流速が大きく低下し、また、カラム内の圧力が増加するおそれがある。また、活性炭粒子の平均粒径が1.0mmを超えると、生成物である無水糖アルコールのイオン含量及び伝導率が高くなり、色度が高くなるおそれがある。
【0032】
無水糖アルコール水溶液と活性炭の接触方法は、特に制限されない。例えば、活性炭で充填されたカラムに、無水糖アルコール水溶液を通過させる方法であってもよいし、又は、無水糖アルコール水溶液と活性炭を反応器に投入し、一定時間、撹拌装置で撹拌して混合する方法であってもよい。本発明の好ましい一実施形態によれば、活性炭で充填されたカラムに、無水糖アルコール水溶液を通過させる方法で脱色処理を進める。
【0033】
前記活性炭としては、木材、ヤシなどの植物原料、褐炭、有煙炭、瀝青炭、無煙炭などの鉱物原料を活性化して得られた活性炭群から選ばれる1種以上を用いてもよい。活性炭粒子の形態には、特に制限がなく、微粒子状活性炭(例えば、平均粒径0.25〜0.75mm)、粒子状活性炭(例えば、平均粒径0.75mm以上)、粉末状活性炭(例えば、平均粒径0.25mm以下)などの形態を使用することが可能である。本発明の好ましい一実施形態によれば微粒子状活性炭が用いられる。活性炭の効率を上げるために洗浄などの前処理を行った活性炭を使用してもよい。
【0034】
無水糖アルコールの純度に対する要求は用途に応じて変わる。食品又は医薬品の用途では、無水糖アルコール内に人体に有害な不純物が存在するべきではない。ポリマー用途のうち光学的透明度が求められる用途では、合成及び加工中に発色や着色を引き起こす不純物を含有するべきではない。また、ポリマー合成時、重合度又は重合速度を、増加させるか又は低下させる不純物を含有するべきではない。本発明では、蒸留及び結晶化を経て純度が高くなった無水糖アルコールを脱色処理することによって、その純度を根本的に低下させることなく、前記不純物を効率的に除去することができる。
【0035】
[工程(5)]
本発明の無水糖アルコールの製造方法では、前記工程(4)の脱色処理された生成物をカチオン性イオン交換樹脂で処理する。
【0036】
工程(4)の生成物のカチオン性イオン交換樹脂処理は、脱色した生成液とカチオン性イオン交換樹脂を接触させて行ってもよい。これは、カチオン性イオン交換樹脂で充填されたカラムに、脱色生成液を通過させる方法で行ってもよい。カチオン性イオン交換樹脂は、強カチオン性イオン交換樹脂(例えば、TRILITE−SCR−B)、弱カチオン性イオン交換樹脂(例えば、DIAION WK11)のいずれも使用可能であり、好ましくは、強カチオン性イオン交換樹脂を使用する。強カチオン性イオン交換樹脂としては、H型(H−form)強カチオン性イオン交換樹脂(例えば、TRILITE−SCR−BH)及びNa型(Na−form)強カチオン性イオン交換樹脂(例えば、TRILITE−SCR−B)から選ばれた1種以上が挙げられる。
【0037】
[工程(6)工程]
本発明の無水糖アルコールの製造方法では、前記工程(5)のカチオン性イオン交換樹脂で処理された生成物を、次いでアニオン性イオン交換樹脂で処理する。
【0038】
工程(5)の生成物とアニオン性イオン交換樹脂との接触は、アニオン性イオン交換樹脂で充填されたカラムに、工程(5)の生成液を通過させる方法で行ってもよい。アニオン性イオン交換樹脂には、強アニオン性イオン交換樹脂(例えば、TRILITE AMP24)、および弱アニオン性イオン交換樹脂(例えば、DIAION WA10)のいずれも使用可能であり、好ましくは強アニオン性イオン交換樹脂を使用する。強アニオン性イオン交換樹脂としては、Cl型(Cl−form)強アニオン性イオン交換樹脂(例えば、TRILITE AMP24)が挙げられる。
【0039】
前記イオン交換樹脂を用いたイオン精製の方法及びカラム装置は特に制限がなく、当該分野で知られている公知の方法及び装置をそのまま又は適宜変更して使用することができる。
【0040】
前記したイオン精製の順とは違って、脱色処理された無水糖アルコールを、アニオン性イオン交換樹脂処理に次いでカチオン性イオン交換樹脂で処理すれば、処理生成物のpHが3〜4と低くなるため、中性化のために中和剤を投入しなければならなくなり、そうすると精製生成物に投入したイオンが取り込まれ、イオン含量及び電気伝導率が上昇するという問題がある。
【0041】
特に、無水糖アルコールをプラスチック合成などの工程で使用するとき、無水糖アルコールのイオン含量が高いと重合速度の調節が難しくなる。従って、無水糖アルコール内のイオン含量は無水糖アルコールの活用に重要な要素となるが、従来の精製方法では、これを効率的に低減することができなかった。しかし、本発明では、脱色処理以降、前記のような一連のイオン交換樹脂処理工程を行うことによって、最終生成物内のイオン含量を効率的に低減することができる。
【0042】
本発明の無水糖アルコールの製造方法は、必要に応じて、前記工程(6)において、アニオン性イオン交換樹脂で処理された無水糖アルコール溶液を濃縮するか、又は固形化する工程をさらに含んでいてもよい。このような濃縮又は固形化工程を経て、最終的にフレーク状又は粒子状の無水糖アルコール製品を得ることができる。
【0043】
以上説明したような本発明の無水糖アルコールの製造方法によれば、高純度でありながら、イオン含量が顕著に低減され、適切なpHを有し、伝導率が顕著に低く、色相特性が向上した無水糖アルコール製品を得ることができる。
【0044】
従って、本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の無水糖アルコールの製造方法により製造され、純度99%以上、イオン含量10ppm以下(より好ましくは1ppm以下、例えば、0.01〜1ppm)、pH6〜8、伝導率10μS/cm以下(例えば、0.01〜10μS/cm)及びYI値が0.1以下(例えば、0.01〜0.1)の無水糖アルコール製品が提供される。
【0045】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0046】
[実施例及び比較例]
<物性測定>
無水糖アルコールの純度分析はガスクロマトグラフィー(GC、HP6890)を用いた。イオン含量分析はイオンクロマトグラフ(Dionex ICS−3000)を、電気伝導率測定は伝導率測定器(Pharmacia Biotech 18−1500)を用いた。YI値分析は色差計(Hunterlab Ultrascan vis)を用いた。
【0047】
実施例1
ソルビトール粉末(D−ソルビトール、Samyang Genex Inc.製)1,200gを撹拌付き4つ口ガラス反応器に入れ、110℃に昇温し、溶解した。次いで、濃硫酸(Duksan Chemical社製、95%)12gとメタンスルホン酸(Sigma社製、70%)7.2gを、それぞれ投入した後、反応混合物を135℃に昇温した。この温度を維持しながら、4時間、40torrの真空条件下で脱水反応し、出発物質であるソルビトールを無水糖アルコールのイソソルビドに転換した。以降、反応物を110℃まで冷却し、反応液に50%水酸化ナトリウム溶液(Samjeon Pure Chemical社製)31.2gを添加し、中和した。
【0048】
中和した無水糖アルコールを、薄膜蒸留器で180℃、5torr以下の真空下で蒸留した。得られた無水糖アルコール蒸留液の純度は97.5%であった。
【0049】
得られた蒸留液をジャケット付き反応槽に入れ、アセトン(Samjeon Pure Chemical社製)300gを添加し、混合物を0℃まで冷却し、結晶化を行った。結晶化終了後、脱水し、母液と分離して、無水糖アルコール結晶を回収した。
【0050】
得られた結晶に蒸留水を添加し、溶解して、固形分37%の溶液を得た。この溶液を、平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに、1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過させて脱色し、脱色した無水糖アルコールを、次いで、H型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液をCl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに1.5BV/hの速度で通過させ、最終精製された無水糖アルコールを得た。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.7%であった。
【0051】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量は、蒸留水で6%に希釈して分析した。また、無水糖アルコールのpH、電気伝導率、YI値は、蒸留水で20%に希釈し、分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0052】
実施例2
実施例1で得られた無水糖アルコール転換液を、180℃、5torr以下で第1次蒸留した後に得られた蒸留液(純度97.5%)を、150℃、1torr以下で第2次蒸留を行った。このとき、蒸留液の純度は98.5%であった。第2次蒸留液(純度:98.5%)を実施例1と同様に結晶化、脱色、カチオン性イオン交換樹脂処理、アニオン性イオン交換樹脂処理の順で精製した。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.8%であった。
【0053】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0054】
比較例1
実施例1で得られた無水糖アルコール転換液を、180℃、5torr以下で第1次蒸留した後に得られた蒸留液(純度97.5%)に、蒸留水を添加し、溶解して、固形分40%の溶液を得た。この溶液を、平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに、1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過して脱色し、脱色した無水糖アルコールを、次いで、H型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液を、Cl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させた。このようにして得られた無水糖アルコール溶液を水分含量が1重量%以下になるように濃縮した後、実施例1と同じ方法で結晶化を行った。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.2%であった。
【0055】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0056】
比較例2
実施例1で得られた無水糖アルコール転換液を実施例1と同じ方法で蒸留及び結晶化した。得られた生成物を比較例2とした。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.5%であった。
【0057】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0058】
比較例3
実施例1で得られた蒸留生成液に蒸留水を添加して、固形分37%の溶液を得た。この溶液を、平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに、1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過させ脱色した。得られた生成液から水を除去した後、アセトン(Samjeon Pure Chemical社製)300gを添加し、混合物を0℃まで冷却しながら結晶化を行った。結晶化終了後に、母液と分離して、無水糖アルコール結晶を回収した。得られた結晶に蒸留水を添加し、溶解して、固形分37%の溶液を得た。この溶液をH型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液を、Cl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させ、最終精製された無水糖アルコールを得た。得られた無水糖アルコールの最終純度は90.1%であった。
【0059】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0060】
比較例4
実施例1で得られた無水糖アルコール転換液を実施例1と同じ方法で蒸留及び結晶化した。得られた生成物に蒸留水を添加し、溶解して、固形分37%の溶液を得た。この溶液をH型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液を、Cl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させ、その生成液を、平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過させ脱色し、最終精製された無水糖アルコールを得た。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.7%であった。
【0061】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0062】
比較例5
実施例1で得られた蒸留生成液に蒸留水を添加して、固形分37%の溶液を得た。この溶液をH型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液を、Cl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに1.5BV/hの速度で通過させた。得られた生成液から水を除去した後、アセトン(Samjeon Pure Chemical社製)300gを添加し、混合物を0℃まで冷却しながら結晶化を行った。結晶化終了後に、母液と分離して、無水糖アルコール結晶を回収した。得られた結晶に蒸留水を添加し、溶解して、固形分37%の溶液を得た。この溶液を平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに、1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過させ脱色し、最終精製された無水糖アルコールを得た。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.5%であった。
【0063】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0064】
比較例6
実施例1で得られた蒸留生成液に蒸留水を添加して、固形分37%の溶液を得た。この溶液をH型強カチオン性イオン交換樹脂(TRILITE−SCR−BH、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させた後、その生成液を、Cl型強アニオン性イオン交換樹脂(TRILITE AMP24、Samyang Corporation社製)で充填されたカラムに、1.5BV/hの速度で通過させ、その生成液を、平均粒径0.25mmの微粒子状活性炭で充填されたカラムに、1.0BV/h(カラム体積/時間)の速度で通過させ脱色した。得られた生成液から水を除去した後、アセトン(Samjeon Pure Chemical社製)300gを添加し、混合物を0℃まで冷却しながら結晶化を行った。結晶化終了後に、母液と分離して、最終精製された無水糖アルコールを得た。得られた無水糖アルコールの最終純度は99.7%であった。
【0065】
最終精製された無水糖アルコールのイオン含量、pH、電気伝導率及びYI値を実施例1と同様に分析及び評価した。分析結果を下記表1に示す。
【0067】
表1の結果から分かるように、本発明の実施例で製造された無水糖アルコールは、高純度でありながら、イオン含量が顕著に低減され、適切なpHを有し、伝導率が顕著に低く、色相特性が向上した。これに対して、本発明の特定の工程順とは異なる順で処理した比較例の無水糖アルコールは、これら特性のうち一つ以上を満たしていないことが分かる。特に、比較例1〜6のように無水糖アルコールのpHが低い及び/又はYI値が悪ければ、高分子重合時に黄変現象が発生するという問題がある。
【0068】
また、比較例3は、所望の純度を得ることが難しく、結晶収率が低下し、希釈と濃縮の工程を2回ずつ行う必要があり、工程が複雑、且つ不便になりコストが高くなるという問題点がある。比較例4は、単位量当たりのカチオン樹脂、アニオン樹脂の必要量が大きくなりイオン含量を1ppm以下にすることが難しい。比較例5は、比較例3のように希釈、濃縮の工程を2回ずつ行う必要があり、イオン含量を低くすることが難しいという問題点がある。