【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主な目的は、構造が簡単であり、海況の複雑である海域において任意の深度に対して簡単に深度を決めることができ、且つ大型潮流発電機を搭載、設置、操作制御及びメンテナンスしやすい機能を有する潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、海上交通衝突と視覚公害の発生を回避でき、さらに潮流発電機を最適な発電深度に設置できる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、水中で潮流発電機の自動反転対流を補助することができる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、陸上又は海上において潮流発電機及びそのインペラを自動的に上向きに反転させる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の主な目的は、当該潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法を提供することである。
【0009】
上述の主な目的を達成するために、本発明による潮流発電多機能搭載装置は、長いメイン浮体と、長いメイン浮体の中央部から左右両側へ水平に延び且つ端部が潮流発電機を搭載する搭載フレームと、リモートガス管と、自動深度決定安定化部品とを含み、長いメイン浮体は両端が閉鎖された中心浮動制御管であり、中心浮動制御管の両端にはケーブル用係留部が設けられ、中心浮動制御管の一端の上方には管吸排気ポートが設けられ、他端の下方には管給排水ポートが設けられており、リモートガス管は、一端が管吸排気ポートに連結され、他端が操作制御スイッチに連結されており、中心浮動制御管は直交節点部材を介して搭載フレームに連結されており、自動深度決定安定化部品は、直交節点部材の垂直二等分面に沿って、直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品に均衡して設けられている。
【0010】
更なる実施態様において、前記中心浮動制御管内には少なくとも2つの一方向浮動制御チャンバが仕切られ、一方向浮動制御チャンバにはチャンバ吸排気ポートとチャンバ給排水ポートとが設けられ、チャンバ吸排気ポートは一方向浮動制御チャンバの一端の上方に設けられ、チャンバ給排水ポートは一方向浮動制御チャンバの他端の下方に設けられ、すべての一方向浮動制御チャンバは一方向規則に従って設置されている。中心浮動制御管の最前端に設けられているチャンバ給排水ポートは管給排水ポートであり、中心浮動制御管の最後端に設けられているチャンバ吸排気ポートは管吸排気ポートである。中心浮動制御管の内部にはさらに、少なくとも1つの密閉チャンバが前後に均衡して仕切られている。連通配管は、一端が後の一方向浮動制御チャンバのチャンバ給排水ポートに連結され、他端が隣接する前の一方向浮動制御チャンバのチャンバ吸排気ポートに連結されている。
【0011】
一方向規則とは、最初の一方向浮動制御チャンバの吸排気ポートが後上方に設けられ、給排水ポートが前下方に設けられる場合、他のすべての一方向浮動制御チャンバの吸排気ポートはいずれも後上方に設けられ、且つ給排水ポートはいずれも前下方に設けられることを意味し、逆の場合も同様である。このように、本発明の浮沈をよく操作制御できるとともに、搭載フレームと自動深度決定安定化部品に対して要求される浮力をよく低減させ、本発明の水流抵抗を大幅に減少させることができる。
【0012】
更なる実施態様において、自動深度決定安定化部品は両端が密閉されている深度決定安定化浮動管を含み、深度決定安定化浮動管は中心浮動制御管と直交節点部材との直交部から上向きに伸びている。補強索は、一端が深度決定安定化浮動管の上端に連結され、他端が中心浮動制御管の端部に連結されている。
【0013】
このように、本発明の自動深度決定の安定化構造は大きく簡素化され、製造及び輸送コストを低減させるとともに、操作制御及びメンテナンスを容易にする。この実施態様において、海面を深度決定の起点として、流入流れの速度が小さいとき、本発明及びそれを搭載している潮流発電機は、海面に接近するように自動浮上しており、流入流れの速度が最大であるとき、自動的に更に深く潜る。
【0014】
更なる実施態様において、摺動浮体は、深度決定安定化浮動管に沿って上下摺動できる。トップフレームは、深度決定安定化浮動管のトップに設けられ、摺動浮体の行程を制限することに用いられる。
【0015】
ここで、摺動浮体は、機械強度が比較的高い密閉筺体であってもよく、強度が比較的高い軽量な材料からなるソリッド浮体であってもよい。このように、本発明及び搭載された潮流発電機の作動時の安定性を向上させ、操作制御及びメンテナンスを容易にするだけでなく、海面を深度決定の起点として、本発明及びそれを搭載している潮流発電機を最大流速の表層海流に正確に自動深度決定することもできる。
【0016】
更なる実施態様において、深度決定安定化浮動管の上端は深度決定用上索の一端に連結され、深度決定用上索の他端には深度決定浮体が連結され、深度決定浮体は潮流発電機の底着きを防止する浮力を提供する。
【0017】
ここで、深度決定浮体は単一の浮体であってもよく、一連の浮体の組み合わせであってもよい。このように、海面を深度決定の起点として、本発明及びそれを搭載している潮流発電機を比較的深く且つ比較的よい作業深度に正確に自動深度決定することができる。
【0018】
更なる実施態様において、中心浮動制御管の両端の下方には索係留部が設けられている。自動深度決定安定化部品は、長さが同じ2つの深度決定用下索及び1つの深度決定カウンターウェイトを含み、深度決定用下索は、一端が索係留部に連結され、他端が深度決定カウンターウェイトに連結され、連結された前記2つの深度決定用下索はV字形になる。
【0019】
このように、本発明の自動深度決定の安定化構造を簡素化でき、本発明の縦安定性を大きく向上させるだけでなく、海底を深度決定の起点とすることは、本発明及び搭載されている潮流発電機を正確に最適作業深度に自動深度決定することもできる。また、顕著な利点としては、海面風浪などのマイナス要因の影響を回避でき、潮流発電による海上交通衝突と視覚公害を回避できることが挙げられる。
【0020】
更なる実施態様において、直交節点部材は、外部補強管、強化連通管、連通軸、位置制限リング及び軸フランジを含む。外部補強管は、中心浮動制御管の外部に固定連結されている。強化連通管は、外部補強管と中心浮動制御管を水平に直交貫通し、且つ外部補強管と中心浮動制御管とに固定連結されている。連通軸は、強化連通管内を貫通し、且つ両端にそれぞれ1つの位置制限リングと軸フランジが設けられている。連通軸は強化連通管に対して回転できる。
【0021】
このように、本発明は、自動反転対流機能を有する単一回転方向の潮流発電機を非常に便利に搭載することができる。
【0022】
更なる実施態様において、対流反転補助アームは、直交節点部材の回転可能部分又は搭載フレームに固定され、且つ半径方向に延びており、トップスライダーは、トップフレームの左右両端に設けられており、索係留部品は、摺動浮体の外部に設けられており、反転補助ロープは、一端が対流反転補助アームに連結され、他端がトップスライダーを貫通して同じ側の索係留部品に連結されている。
【0023】
ここで、トップスライダーは滑車であってもよく、表面が滑らかで、且つ自己潤滑性を有する組立体であってもよい。このように、本発明は、単一回転方向の潮流発電機を搭載できるだけでなく、当該潮流発電機の自動対流発電にも役に立つ。さらに、リモート操作制御位置からリモートガス管に圧縮空気を供給すると、可変浮力が徐々に増加し、中心浮動制御管が水面に浮上しつつある過程において、摺動浮体、反転補助ロープおよび対流反転補助アームにより、搭載フレームには上向きの大きな回転トルクが生じて、本発明が搭載している潮流発電機は最終的に、発電機のチャンバが直立し、インペラが海面から上向きに露出する直立浮動の初期状態まで自動回転する。インペラが海面から水平に露出すると、潮流発電機は自動停止する。この容易且つ安価に潮流発電機及びそのインペラを水面から自動露出させ自動停止する新たな構造機能は、潮流発電機の搭載コスト、輸送コスト、操作制御コスト及びメンテナンスコストを大きく低減できる。
【0024】
本発明の他の主な目的を実現するために、本発明による潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法は、
潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出された2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって、潮流発電機を搭載フレームの端部に搭載するステップと、
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動させるステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、且つすべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加えて、中心浮動制御管を徐々に海水で満たし、正味の固定浮力が潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の受けるすべての沈水力を完全に相殺できる深度に達するとき、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の浸水は停止し、且つ深度決定設置を自動完了するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最終的に海面で直立浮動するステップと、
を含む。
【0025】
本発明の他の主な目的を実現するために、本発明による潮流発電機の多機能搭載装置の他の使用方法は、
潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出された2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって最終的なアセンブリをして、仮設ロープにより深度決定カウンターウェイトを中心浮動制御管の中央部の下方に係留するステップと、
【0026】
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動するステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、深度決定カウンターウェイトに係留された仮設ロープを解放し自然沈下させ、すべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加え、中心浮動制御管が海水で満たされた後、深度決定カウンターウェイトは海底まで沈下し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最終的に予め決められた深度に自動的にホバリングするステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最後に海面に直立浮動状態で浮動するステップと、
を含む。
【0027】
以上の使用方法から、目標発電海域の深度や、海底と海面の海況の良否にかかわらず、本発明の使用方法により、ユーザーのカスタマイズされた必要条件に応じて、大型潮流発電機の搭載、設置、操作制御及びメンテナンスの作業目的は低コストで容易に実現される。
【0028】
以上の実施態様におけるリモート操作制御位置は、本発明を操作制御しやすいすべての位置の総称を指すものである。直交節点部材は、搭載フレームと中心浮動制御管との連結を容易にし、中心浮動制御管の両側と水平に直交して固定連結されている1対のフランジであってもよく、中心浮動制御管の中央部の両側と水平に直交して固定連結されている1対の短管であってもよく、中心浮動制御管を水平に直交貫通している連通軸受であってもよい。特別な場合、例えば、搭載フレームと中心浮動制御管とが直接溶接され又は粘着される場合、当該直接溶接又は粘着された継手は特別な直交節点部材と見ることができる。均衡は前後均衡及び左右均衡を含む。前後均衡とは、中心浮動制御管の垂直中心面を対称二等分面として、前後対称と略対称であることを意味する。左右均衡とは、直交節点部材の幾何学的中心点を貫通しているXZ平面を対称二等分面として、左右対称と略対称であることを意味する。搭載フレームは、密閉の搭載浮動管であってもよく、普通のトラス若しくは外形が流線型である管材又はトラスであってもよい。搭載フレームの外端に搭載されている潮流発電機は、サイズとパワーが同じであり、且つ互いに反転する潮流発電機となるべきである。自動深度決定安定化部品の作用は、本発明の自動深度決定し且つ本発明の転倒抵抗安定性を増加させることである。直交節点部材の垂直二等分面は、原点が直交節点部材の幾何学的中心点に位置するXZ平面とYZ平面(
図1)である。直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品は、直交節点部材自体、中心浮動制御管及び搭載フレームを含む。そのため、自動深度決定安定化部品は、XZ平面に沿って前後均衡し且つ左右均衡して中心浮動制御管の上方又は下方に設けられてもよく、YZ平面に沿って左右均衡し且つ前後均衡して直交節点部材及び搭載浮動管の上方又は下方に設けられてもよい。従って、自動深度決定安定化部品には2種類がある。1つの種類は、中心浮動制御管、直交節点部材及び搭載フレームの上方に連結され、主に海面を深度決定の起点として深度決定しており、浮動管や浮動フレームであってもよく、浮動管又は支持フレームとそのトップに連結されている深度決定用上索及び深度決定浮体との組み合わせであってもよく、さらに、浮動管と浮動管の外部を囲んで連結されている摺動浮体との組み合わせなどであってもよい。他方の1つの種類は、中心浮動制御管、直交節点部材及び搭載フレームの下方に連結され、主に海底を深度決定の起点として深度決定しており、沈没管、支持フレーム、又は深度決定用下索が連結されている深度決定カウンターウェイトであってもよく、沈没管、支持フレームとそれらの底部に連結されている深度決定用下索及び深度決定カウンターウェイトとの組み合わせであってもよい。この2種類の自動深度決定安定化部品は混用できる。即ち、中心浮動制御管などの部品の上方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に安定化のために用いられ、中心浮動制御管などの部品の下方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に深度決定のために用いられる。あるいは、中心浮動制御管などの部品の上方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に深度決定のために用いられ、中心浮動制御管などの部品の下方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に安定化のために用いられる。なお、直交節点部材と中心浮動制御管とが可動連結される場合、直交節点部材の回転可能な部分と回転可能な搭載フレームにはいずれも自動深度決定安定化部品が設置できない。このような部品の各種の使用状況については、発明を実施するための形態において詳細に説明する。可変浮力は中心浮動制御管に由来する。中心浮動制御管内の海水が完全に排出された後、可変浮力は最大となる。中心浮動制御管が海水で完全に満たされた後、可変浮力はゼロとなる。水中において、正味の固定浮力は、可変浮力がゼロとなるとき、本発明及びそれを搭載している潮流発電機の排水総重量から本発明及びそれを搭載している潮流発電機の総自重を減算することにより得られる。