特許第6122610号(P6122610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122610
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】生体情報測定用電極
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   A61B5/04 300C
   A61B5/04 300V
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-240219(P2012-240219)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-87542(P2014-87542A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 利幸
(72)【発明者】
【氏名】和田 茜
(72)【発明者】
【氏名】田島 亜希
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−114011(JP,U)
【文献】 実開昭60−195002(JP,U)
【文献】 実開平03−116805(JP,U)
【文献】 特開平10−179530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0408
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に設けられた電極と、前記電極の表面側に前記電極を覆うように設けられた電解質ゲルと、前記基材上の前記電極及び前記電解質ゲルと同じ面側かつ前記電解質ゲルと身体との接触を妨げないように設けられた粘着層と、を有し、前記粘着層により身体に貼着されるベースシートと、
前記ベースシートに貼り合わされ、前記ベースシートが身体に貼着されるときに前記ベースシートから剥離される剥離シートと、
を有する生体情報測定用電極であって、
前記剥離シートは、溶着層及び保湿層を有し、
前記溶着層は、前記電解質ゲルを密閉するように、前記ベースシートに熱溶着されており
前記保湿層は、水分を透過させず、かつ、前記溶着層の溶融温度に耐えることができる材料により形成されている、
生体情報測定用電極。
【請求項2】
前記溶着層は、前記ベースシートの縁部で前記ベースシートに溶着されている、
請求項1に記載の生体情報測定用電極。
【請求項3】
前記溶着層は、各電極の電解質ゲルの周囲で前記ベースシートに溶着されている、
請求項1に記載の生体情報測定用電極。
【請求項4】
前記溶着層は、ポリエチレンである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生体情報測定用電極。
【請求項5】
前記ベースシートには、複数の電極が設けられ、
前記ベースシートは、
帯状の主幹部と、
前記主幹部から斜め方向に向かって分岐した複数の枝を有し、各枝の端部近傍には前記電極が配置され、各枝は互いに平行な方向に向かって又は互いに鋭角に交わる方向に向かって形成されている、枝部と、
を具備する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体情報測定用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に装着して心電図などの生体情報を測定する生体情報測定用電極に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生体情報測定用電極として、例えば特許文献1などで開示されているものがある。この種の生体情報測定用電極は、不織布上に、粘着剤と、導電性及び粘着性を有する電解質ゲルと、電極とが設けられ、被検者の胸部に貼着される。そして、被検者の心電図信号を電極で受信し、心電図装置に伝達する。
【0003】
また、1つのシート上に複数の電極が設けられ、複数の電極を一気に胸部に貼り付けることができるようになされた心電図センサーシートがある。この種の心電図センサーシートは、例えば特許文献2−9に記載されている。この種の心電図センサーシートを用いれば、複数の電極を別々に胸部に装着させる場合と比較して、複数の電極を一気に胸部に装着できるので、迅速かつ容易に心電図の測定を行うことができるようになる。よって、緊急に心電図を測定しなければならない場合などには、非常に便利である。
【0004】
また、電極には各々の部位に対応するケーブルを接続しなければならないが、心電図センサーシートを用いれば、誤接続による誤診断を防ぐことができる利点もある。つまり、心電図センサーシートでは、電極から引き出されたリードは一つに束ねられ、コネクタを介して一括して心電図装置に接続されるので、各電極と心電図装置を一つ一つ接続する場合と比較して、各電極と心電図装置との配線のミスを無くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−299711号公報
【特許文献2】特開昭63−238851号公報
【特許文献3】特開2001−269322号公報
【特許文献4】特開平6−245915号公報
【特許文献5】実開平2−114011号公報
【特許文献6】特開平7−289528号公報
【特許文献7】特表平11−513584号公報
【特許文献8】特表平11−510073号公報
【特許文献9】特開2010−75691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生体情報測定用電極においては、一般に、電極の表面側に電極を覆うように電解質ゲルが設けられ、この電解質ゲルを介して、身体と電極とを電気的に接続するようになされている。つまり、電解質ゲルが皮膚とイオン交換することにより、身体と電極との間で電気信号が伝達される。
【0007】
ここで、電解質ゲルは、乾燥してしまうとイオン交換できなくなるため、電解質ゲルの乾燥を防ぐために、生体情報測定用電極は、アルミ等の保湿性を有する包装袋内に密閉された状態とされて出荷される。そして、使用時に、包装袋から取り出して、被検者の胸部に貼り付けるようになっている。
【0008】
ところで、このような生体情報測定用電極は、一般に使い捨てタイプであるため、使用の度に、包装袋がゴミとして生じる欠点がある。特に、複数の電極が設けられた心電図センサーシートにおいては、その大きさが胸部の大きさと同等なので、ゴミとして生じる包装袋の大きさもかなりの大きさである。例えば、心電図センサーシートを救急車内で使用する場合には、救急車内の狭い空間で包装袋が大きなゴミとして生じるので、救急隊員の作業の邪魔になることも考えられる。
【0009】
また、生体情報測定用電極の使用者は、生体情報測定用電極を被検者に装着する際には、先ず、包装袋を破いて生体情報測定用電極を取り出し、次に、シート本体(ベースシート)に貼り合わされた剥離シートをシート本体から剥離させ、次に、シート本体を被検者の胸部に貼り付ける、といった複数の作業が必要となる。ここで、包装袋から生体情報測定用電極を取り出す作業を無くすることができれば、被検者に生体情報測定用電極を装着するまでの時間を短縮化できる。
【0010】
本発明は、包装袋に入れなくても、電極を覆う電解質ゲルの乾燥を防止し得る生体情報測定用電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生体情報測定用電極の一つの態様は、
基材と、前記基材上に設けられた電極と、前記電極の表面側に前記電極を覆うように設けられた電解質ゲルと、前記基材上の前記電極及び前記電解質ゲルと同じ面側かつ前記電解質ゲルと身体との接触を妨げないように設けられた粘着層と、を有し、前記粘着層により身体に貼着されるベースシートと、
前記ベースシートに貼り合わされ、前記ベースシートが身体に貼着されるときに前記ベースシートから剥離される剥離シートと、
を有する生体情報測定用電極であって、
前記剥離シートは、溶着層及び保湿層を有し、
前記溶着層は、前記電解質ゲルを密閉するように、前記ベースシートに熱溶着されており
前記保湿層は、水分を透過させず、かつ、前記溶着層の溶融温度に耐えることができる材料により形成されている
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、剥離シートの溶着によって電解質ゲルが密閉されているので、包装袋に入れなくても、電解質ゲルの乾燥を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の心電図センサーシートを示す外観図
図2】ベースシートの外形形状を示す図
図3】ベースシートを被検者の身体に貼着した状態を示す図
図4】心電図センサーシートの積層構造を示す断面図
図5】熱溶着の様子を示す断面図
図6】熱溶着(ヒートシール)を施す位置を示した図
図7】熱溶着(ヒートシール)を施す位置を示した図
図8】他の実施の形態の生体情報測定用電極を示した略線的平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(1)全体形状
図1は、本発明の実施の形態に係る心電図センサーシート(以下、センサーシートと略記する)を示す外観図である。本実施の形態のセンサーシートは、12誘導心電図を測定するために用いられるセンサーシートである。なお、実施の形態では、本発明を、12誘導心電図を測定するために用いられるセンサーシートに適用した例について説明するが、本発明は、12誘導心電図を測定するために用いられるセンサーシート以外にも適用でき、電極の表面を覆う電解質ゲルが設けられたセンサーシートに広く適用できる。
【0016】
なお、以下の説明では、センサーシートの表面側から見たときの方向で左右方向を規定している。よって、センサーシートが貼着される被検者からセンサーシートを見たとき(特に被検者の胸部前面に貼り付けられるセンサーシート部分を見たとき)には、以下の説明とは左右方向が逆になることに注意されたい。
【0017】
センサーシート100は、ベースシート200と、剥離シート300とを有する。剥離シート300は、ベースシート200の裏面側に貼着されている。剥離シート300は、ベースシート200が被検者の胸部に貼着されるときに、ユーザーによってベースシート200から剥離される。
【0018】
図2は、ベースシート200の外形形状を示す。図3は、ベースシート200を被検者の身体に貼着した状態を示す。
【0019】
図2に示したように、ベースシート200は、帯状の主幹部AR0と、主幹部AR0から斜め方向に向かって分岐した複数の枝AR1、AR2、AR3を有する枝部と、を有する。帯状の主幹部AR0は、身体の中心に沿って貼着される部分であり、上下方向に連続して形成されている。枝部の各枝AR1、AR2、AR3は、互いに平行な方向に向かって又は互いに鋭角に交わる方向に向かって形成されている。つまり、各枝AR1、AR2、AR3は、ほぼ一様な方向に向かって形成されている。また、各枝AR1、AR2、AR3の端部近傍には電極が配置されている。
【0020】
また、換言すると、各枝AR1〜AR3は、剥離シート300(図1)のベースシート200からの剥がし方向に対して、同一方向に向かって又は鋭角に交わる方向に向かって形成されている。
【0021】
これにより、ベースシート200から剥離シート300をスムーズに剥離できるようになる。この結果、貼着時にベースシート200に皺が生じにくくなり、各電極を身体の所定位置に迅速かつ正確に取り付けることができる。
【0022】
本実施の形態の場合、ベースシート200には、10個の電極が設けられている。この10個の電極は、図1及び図3のR、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fの位置に設けられている。実際上、図中のR、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fの模様は、センサーシート100のユーザーが各電極がどの位置にあるかが分かるように、ベースシート200に印刷されたものである。なお、以下の説明では、便宜上、R、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fの位置に設けられた電極のことを、電極R、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fと呼ぶことにする。
【0023】
各電極V1〜V6は一般的な胸部誘導の位置に配置される。電極R、F、Lは四肢誘導のための関電極である。電極Rは右腕の付け根近傍に配置される。電極Lは左腕の近傍に配置される。電極Fは左脚の近傍に配置される。電極Nは電極Fの近傍に配置される。電極Nは不関電極(基準電極とも言う)である。
【0024】
ベースシート200を心電計に接続することにより、12誘導心電図が検出される。
【0025】
次に、ベースシート200上での電極R、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fの位置関係について、図1及び図3を参照して説明する。
【0026】
ベースシート200の第1の枝AR1には、電極R、Lが配置される。第2の枝AR2には、電極Fが配置される。第3の枝AR3には、胸部誘導を行うための複数の電極として、電極V1〜V6が配置される。
【0027】
ベースシート200の主幹部AR0には、身体に貼着する位置合わせを行うための中心線L1が印刷されている。これにより、ユーザーは、中心線L1を被検者の体の中心に合わせることで、ベースシート200を的確な位置に貼着させることができるようになる。また、ベースシート200上には、電極Rから電極Fに向けて、ユーザーに剥がし方向を示すための矢印L2が印刷されている。また、剥離シート300は、第1の関電極(つまり電極R)の近傍に、ベースシート200から離れる方向に突出したつまみ301が形成されている。
【0028】
また、剥離シート300は、少なくとも複数の枝AR1、AR2、AR3の間を充たすように、ベースシート200に貼り合わされている。具体的には、剥離シート300は、ベースシート200の複数の枝AR1、AR2、AR3の先端から主幹部AR0の方向に切り込まれていない、ほぼ菱形形状を有する。つまり、剥離シート300は、ベースシート200とは異なり、枝分かれした形状ではなく、ほぼ菱形の形状となっている。これにより、剥離シート300をベースシート200と同様に枝分かれした形状とするのと比較して、ベースシート200が剥離シート300からよりスムーズに剥がれるようになる。また、剥離シート300の保持力により、剥離時に、ベースシート200が縒れにくくなり、ベースシート200を所定位置により正確に貼ることができるようになる。
【0029】
次に、ベースシート200を被検者の身体に貼り付けるときの動作について説明する。
【0030】
ベースシート200からの剥離シート300の剥離、及び、身体へのベースシート200の貼着は、ベースシート200の左上隅に配置された第1の関電極(つまり電極R)に対応する位置を起点に、右下隅方向へと行われる。剥離及び貼り付けは、例えば絆創膏を身体に貼り付けるのと同様、剥離シート300をベースシート200から剥離させるのと同時にベースシート200を身体に貼り付けるようにして行う。これにより、剥離シート300の剥がしと連動させながら、ベースシート200を1アクションで身体に貼り付けることができるので、剥離及び貼り付けを容易に行うことができる。
【0031】
具体的に説明する。先ず、被検者の身体の中心にベースシート200の中心線L1を合わせた状態で、指でつまみ301をつまみながらベースシート200から剥離シート301に隅を剥がして、電極Rの位置を身体に貼り付ける。次に、剥離シート300を矢印L2で示される右下の方向に引っ張っていくことでベースシート200から剥離シート300を剥がしながら、ベースシート200を身体に貼り付けていく。
【0032】
このように、ベースシート200を、帯状の主幹部AR0と、主幹部AR0から斜め方向に向かって分岐し、互いに平行な方向に向かって又は互いに鋭角に交わる方向に向かって形成されている複数の枝AR1〜AR3と、を有する構成としたことにより、ベースシート200から剥離シート300をスムーズに剥離できるようになる。この結果、各電極を身体の所定位置に迅速かつ正確に取り付けることができるようになる。
【0033】
(2)電解質ゲルを密閉するための構造
図4は、本実施の形態のセンサーシート100の積層構造を示す断面図である。
【0034】
ベースシート200は、基材210と、ポリエチレン層220と、粘着層230と、を有する。また、ベースシート200は、電極240(上述した電極R、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、Fに相当する)と、この電極240を覆うように設けられた電解質ゲル250と、を有する。基材210は、例えば不織布である。また、基材210は、ポリエチレン・テレフタレート等の耐熱樹脂フィルムであってもよい。
【0035】
なお、ベースシート200の積層構造は、図4に示したものに限らない。但し、ベースシート200は、少なくとも、基材と、基材上に設けられた複数の電極と、電極の表面側に前記電極を覆うように設けられた電解質ゲルと、基材上の複数電極及び電解質ゲルと同じ面側に設けられた粘着層と、を有した構成とされている。
【0036】
剥離シート300は、保湿層310と、溶着層320と、を有する。保湿層310は、例えばポリエチレン・テレフタレート等の、水分を透過させない材料により形成されている。また、保湿層310は、耐熱性に優れた材料が選定されている。つまり、保湿層310は、水分を透過させず、かつ、耐熱性に優れた材料であればよく、例えばアルミニウム等でもよい。ここで、耐熱性に優れた材料とは、後述するヒートシールを行ったときの熱に耐えることができる材料を意味する。つまり、保湿層310は、溶着層320の溶融温度に耐えることができる材料により形成されている。
【0037】
溶着層320は、ポリエチレンにより形成されている。なお、溶着層320は、ポリエチレンに限らず、ヒートシールに用いられる一般的な材料を用いることができる。例えば、ポリプロピレンや塩化ビニル等を用いてもよい。この場合、ベースシート200のポリエチレン層220もこれと同様の材料に変更すると、溶着層320との接着をより良くすることができる。
【0038】
ベースシート200と剥離シート300は、電解質ゲル250を密閉できるような位置で熱溶着される。図5は、その状態を示すものである。剥離シート300の溶着層320がベースシート200のポリエチレン層220に熱溶着することで、電解質ゲル250が密閉される。溶着位置以外の位置では、粘着層230によって剥離シール300がベースシート200に粘着されている。
【0039】
ここで、粘着層230の粘着だけでも、電解質ゲル250からの水分の逸脱をある程度は防ぐことができる。しかし、それだけでは不十分である。本実施の形態では、熱溶着つまりヒートシールによって電解質ゲル250を密閉するようにしたことにより、電解質ゲル250からの水分の逸脱を確実に防ぐことができるようになる。この結果、センサーシート100を包装袋で包装しなくても、電解質ゲル250からの水分の逸脱を防ぐことができる。
【0040】
図6及び図7は、熱溶着(ヒートシール)を施す位置を示した図である。図中の一点鎖線が熱溶着位置を示す。図6の例は、ベースシート200の縁部で熱溶着を行ったものである。図7の例は、各電極の電解質ゲルの周囲で熱溶着を行ったものである。
【0041】
因みに、熱溶着の面積が大きくなるほど、ベースシート200から剥離シート300を剥がしにくくなるので、熱溶着する位置は、これを考慮して、電解質ゲル250を密閉できる最小限の位置に選定することが好ましい。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、剥離シート300に溶着層320を設け、電解質ゲル250を密閉するようにヒートシールを行ったことにより、包装袋に入れなくても、電極240を覆う電解質ゲル250の乾燥を防止し得る心電図センサーシート100を実現できる。
【0043】
また、心電図センサーシート100は、包装袋に入れる必要がないので、心電図センサーシート100から引き出されたリード線と心電図装置との接続を前もって行っておくことができるようになり、速やかに心電図測定を行うことができるようになる。つまり、従来のセンサーシートは、電解質ゲルの乾燥を防ぐために、心電図測定の直前に包装袋からセンサーシートを取り出してから、心電図装置との接続を行う必要があった。つまり、急患など、速やかに心電図を測定したい場合などには不利であった。これに対して、本実施の形態の心電図センサーシート100は、従来の心電図センサーシートよりも速やかに心電図測定を行うことができるようになる。
【0044】
なお、上述の実施の形態では、本発明を、12誘導心電図を測定するために用いるセンサーシートに適用した場合について説明したが、心電図検査を行うための心電図センサーシートに広く適用可能である。
【0045】
さらに、上述の実施の形態では、ベースシート200上に複数の電極240が設けられ、被検者の胸部に複数の電極240を一気に貼り付けることができる心電図センサーシートに、本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、生体情報測定用電極に広く適用可能である。
【0046】
本発明は、例えば図8に示すようなタイプの生体情報測定用電極にも適用可能である。図8において、円で表した点線内は電極240及び電解質ゲル250の位置を示し、一点鎖線は溶着位置を示す。図8Aは、1つのベースシート200に1つの電極が設けられるタイプの生体情報測定用電極を示す。図8Aの生体情報測定用電極では、ユーザーは、各電極240毎に、ベースシート200から剥離シート300を剥がした後、各ベースシート200を被検者に貼着する。なお、図8Aでは剥離シート300は初めから3つに分割されているが、1つのつながった剥離シートとしてもよいし、1つの剥離シートにミシン目を入れて分割できるようにしてもよい。図8Bは、出荷時には1つのベースシート200に複数の電極が設けられているが、被検者への貼着時には各電極を別々に貼着するタイプの生体情報測定用電極を示す。図8Bの生体情報測定用電極では、ユーザーは、ベースシート200から剥離シート300を剥がした後、ベースシート200をミシン目に沿って切ることでベースシート200を(3つに)分離し、その後各ベースシート200を被検者に貼着する。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、電解質ゲルを用いた生体情報測定用電極に適用し得る。
【符号の説明】
【0049】
100、400 心電図センサーシート
200、500 ベースシート
210 基材
220 ポリエチレン層
230 粘着層
240 電極
250 電解質ゲル
300 剥離シート
310 保湿層
320 溶着層
AR0 主幹部
AR1、AR2、AR3 枝
R、L、V1、V2、V3、V4、V5、V6、N、F 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8