特許第6122612号(P6122612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立システムズの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122612
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】出荷管理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20170417BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G06Q30/06
   B65G61/00 210
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-242020(P2012-242020)
(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-92874(P2014-92874A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 麻里
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−026030(JP,A)
【文献】 特開2002−328984(JP,A)
【文献】 特開2004−171489(JP,A)
【文献】 特開2004−110494(JP,A)
【文献】 特開2002−269400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ及びストレージを用いて、複数の小売業者からの商品の発注に対する目的の商品又は代替品の出荷を管理する出荷管理システムであって、
端末から入力される、小売業者からの発注の対象となる商品とその産地、及びそれらの代替となる商品(代替品)及び産地の組合せから成る代替パターンを、優先順位をつけて格納する代替パターンDBと、端末から入力される、小売業者へ代替品を割り当てる優先度を格納する小売優先度DBと、
該コンピュータでプログラムを実行することにより、
複数の小売業者からの発注を、商品及び産地ごとに集計する第1の処理手段と、
商品及び産地ごとの生産量を算出し算出された該商品の生産量と、該第1の処理手段によって算出された商品ごと発注量から、商品の確保量を求め、該確保量と発注量を照合する第2の処理手段と、
該第2の処理手段による照合の結果、発注の対象の商品の発注量が確保されない場合、前記小売優先度DBに格納された小売優先度と、前記代替パターンDBに格納された代替パターンの優先順位を示す代替パターン優先度とを乗じた優先度を算出し、該算出した優先度順の該代替パターンに基づいて、確保量分の商品内で代替品を割り当てる第3の処理手段と、
を有することを特徴とする出荷管理システム。
【請求項2】
請求項に記載の出荷管理システムにおいて、
該第3の処理手段によって求められた、代替品とその産地及び確保された出荷量を、小売業者に対応つけて格納する荷管理DBを有する
ことを特徴とする出荷管理システム。
【請求項3】
コンピュータ及びストレージを用いて、複数の小売業者からの商品の発注に対する目的の商品又は代替品の出荷を管理する出荷管理方法であって、
端末から入力される、小売業者からの発注の対象となる商品とその産地、及びそれらの代替となる商品(代替品)及び産地の組合せから成る代替パターンを、優先順位をつけて代替パターンDBに格納するステップと、
端末から入力される、小売業者へ代替品を割り当てる優先度を小売優先度DBに格納するステップと、
該コンピュータでプログラムを実行することにより、
複数の小売業者からの発注を、商品及び産地ごとに集計する第1の処理ステップと、
商品及び産地ごとの生産量を算出し算出された該商品の生産量と、該第1の処理ステップによって算出された商品ごと発注量から、商品の確保量を求め、該確保量と発注量を照合する第2の処理ステップと、
該第2の処理ステップによる照合の結果、発注の対象の商品の発注量が確保されない場合、前記小売優先度DBに格納された小売優先度と、前記代替パターンDBに格納された代替パターンの優先順位を示す代替パターン優先度とを乗じた優先度を算出し、該算出した優先度順の該代替パターンに基づいて、確保量分の商品内で代替品を割り当てる第3の処理ステップと、
を有することを特徴とする出荷管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出荷管理システム及び方法に係り、特に卸売業者が小売業者との間における生鮮品等の受発注および出荷に関して、複数の小売業者からの発注に対して代替品を自動調整して出荷量を決定することを可能にする出荷管理システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果物のような生鮮品の生産は生産地の天候等に左右されやすいので、生産者からの入荷量が小売業者からの発注量を満たさず、また消費者のニーズを満たさないことがある。
【0003】
この対策のため、例えば、特許文献1には、青果物のごとき商品の発注後に品質や数量が変動した場合であっても、発注段階から入荷、出荷まで関係付けて商品の物流管理を柔軟に行なうことができるシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、出荷量が天候などによって変動する生鮮品などの予約相対取引において、販売側や購買側が契約違約や買い付け失敗などのリスクを負わずに、必要なだけの適切な商品取引を実現可能とする予約処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−141223号公報
【特許文献2】特開2011−008546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生産者からの入荷量が小売業者からの発注量を満たさない場合、同じ生鮮品で生産地や等級の異なる生鮮品(代替品)を割り当てて小売業者に出荷することで、小売業者からの発注量を満たす手法がある。
【0007】
然るに、特許文献1には、変動要因に対して産地や等級などの異なる代替品に代えて出荷する場合に、関連付ける代替品を自動的に提案する技術の示唆が無い。また、複数の小売業者間で代替品をどのように調整するかについての示唆も無い。
【0008】
また、特許文献2には、先着順で個々の小売業者ごとに、代替注文の失敗件数を減らすように、対象や数量などを変更しながら注文を繰り返し生成するため、複数の小売業者間にまたがって優先順を決めたりできず、さらに、複数の小売業者からの発注をまとめて調整することができないという課題がある。
【0009】
本発明の目的は、複数の小売業者間にまたがって代替品を自動的に提供する出荷管理システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る出荷管理システムは、好ましくは、コンピュータ及びストレージを用いて、複数の小売業者からの商品の発注に対する目的の商品又は代替品の出荷を管理する出荷管理システムであって、
端末から入力される、小売業者からの発注の対象となる商品とその産地、及びそれらの代替となる商品(代替品)及び産地の組合せから成る代替パターンを、優先順位をつけて格納する代替パターンDBと、
該コンピュータでプログラムを実行することにより、
複数の小売業者からの発注を、商品及び産地ごとに集計する第1の処理手段と、
商品及び産地ごとの生産量を算出し算出された該商品の生産量と、該第1の処理手段によって算出された商品ごと発注量から、商品の確保量を求め、該確保量と発注量を照合する第2の処理手段と、
該第2の処理手段による照合の結果、発注の対象の商品の発注量が確保されない場合、前記代替パターンDBに格納された代替パターンに基づいて、確保量分の商品内で代替品を割り当てる第3の処理手段を有することを特徴とする出荷管理システムとして構成される。
【0011】
本発明に係る出荷管理方法は、好ましくは、コンピュータ及びストレージを用いて、複数の小売業者からの商品の発注に対する目的の商品又は代替品の出荷を管理する出荷管理方法であって、
端末から入力される、小売業者からの発注の対象となる商品とその産地、及びそれらの代替となる商品(代替品)及び産地の組合せから成る代替パターンを、優先順位をつけて代替パターンDBに格納するステップと、
該コンピュータでプログラムを実行することにより、
複数の小売業者からの発注を、商品及び産地ごとに集計する第1の処理ステップと、
商品及び産地ごとの生産量を算出し算出された該商品の生産量と、該第1の処理ステップによって算出された商品ごと発注量から、商品の確保量を求め、該確保量と発注量を照合する第2の処理ステップと、
該第2の処理ステップによる照合の結果、発注の対象の商品の発注量が確保されない場合、前記代替パターンDBに格納された代替パターンに基づいて、確保量分の商品内で代替品を割り当てる第3の処理ステップを有することを特徴とする出荷管理方法として構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の小売業者間にまたがって代替品を自動的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施例における出荷管理システムの構成例を示す図。
図2】一実施例における小売マスタDBのデータ構成例を示す図。
図3】一実施例における商品マスタDBのデータ構成例を示す図。
図4】一実施例における発注管理DBのデータ構成例を示す図。
図5】一実施例における生産量管理DBのデータ構成例を示す図。
図6】一実施例における出荷管理システムの処理動作を示すフローチャート。
図7】一実施例における代替パターン登録画面の例を示す図。
図8】一実施例における代替パターンDBのデータ構成例を示す図。
図9】一実施例における小売優先度の登録画面の例を示す図。
図10】一実施例における小売優先度DBのデータ構成例を示す図。
図11】一実施例における商品発注合計DBのデータ構成例を示す図。
図12】一実施例における出荷管理DBのデータ構成例を示す図。
図13】一実施例における代替パターン優先度管理DBのデータ構成例を示す図。
図14A図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14B図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14C図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14D図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14E図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14F図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14G図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14H図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
図14I図6に示す出荷管理システムの処理動作の具体的な流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に供する出荷管理システムの構成例を示す。
出荷管理システムは、小売業者端末100、卸売業者端末101および生産者端末102が、インターネット110等のネットワークを介してデータセンター120に接続して構成される。データセンター120は、基幹システム130、受発注システム140、出荷量調整部150、小売優先度DB160および代替パターンDB170等のデータベース(DB)が、バス180を介して相互に接続して構成される。
データセンターは、コンピュータ及びストレージを備えて構成され、コンピュータで固有のプログラムが実行されることにより、上記基幹システム130、受発注システム140、出荷量調整部150の各機能が実現する。上記及び後述する各DBはストレージに形成される。
【0015】
ここで、出荷量調整部150は、小売業者端末100から入力される商品及び産地の代替パターン(後述)を処理する代替パターン入力部151と、卸売業者端末101から入力される小売業者の優先度を処理する小売優先度入力部152と、商品の発注量を集計処理する発注量集計部153と、入力されたデータを用いて計算して種々のデータを生成するデータ生成部154と、出荷量を計算する出荷量算出部155と、出荷量記録部156を有して構成される。
【0016】
基幹システム130は、小売マスタDB131および商品マスタDB132を有して、小売店及び商品の情報を管理する。ここで、小売マスタDB131は、図2に示すように、1つの卸売業者が取引している小売業者を一意に識別する小売業者コード(例:S_001)を記憶する。商品マスタDB132は、図3に示すように、1つの卸売業者が取り扱っている商品を、商品コード(例:P_0001)および産地コード(例:A_01)の対として記憶する。
【0017】
受発注システム140は、発注管理DB141、出荷管理DB142および生産量管理DB143を有して、小売業者への発注情報、生産者情報、及び出荷情報を管理する。
ここで、発注管理DB141は、1つの卸売業者が取引している小売業者の発注量を管理するものであり、図4に示すように、小売業者コード(例:S_001)、商品コード(例:P_0001)、産地コード(例:A_01)、及び発注量(AMOUNT)を対として記憶する。
【0018】
出荷管理DB142は、図12に示すように、小売業者が当初発注する商品(PRODUCT FROM)及び産地(AREA FROM)に対応して、発注量(ORDER AMOUNT)と出荷量(SHIP AMOUNT)を記憶する。欠品のあった商品については、小売業者コード、商品コードおよび産地コードに対して、欠品量と発注量および出荷量を格納する。代替商品については、小売業者コード、商品コード、産地コード、代替品の商品コード(PRODUCT TO)、代替品の産地コード(AREA TO)、代替品の発注量および代替品の出荷量を格納する。
【0019】
生産量管理DB143は、図5に示すように、商品コード(例:P_0001)および産地(例:A_01)をキーとして、1つの卸売業者が契約している全生産者からの商品の確保量(RESERVE AMOUNT)および上限量(LIMIT AMOUNT)を記憶する。
【0020】
小売優先度DB160は、小売業者ごとの優先度情報を管理するものであり、図10に示すように、小売業者コード(例:S_001)に対応付けて、優先度(PRIORITY)を記憶する。この優先度は予め決められている。
【0021】
代替パターンDB162は、当初発注する商品及び産地(・・FROM)に対して、その商品又は産地のものが不足している場合、それに代わって、代替となる商品及び産地の情報を、代替パターンとして管理する。図8に示すように、小売業者コード、商品コード(PRODUCT FROM)、産地コード(AREA FROM)、及び代替商品を示す商品コード(PRODUCT TO)、代替産地を示す産地コード(AREA TO)および、代替商品及び産地の優先順位を示す優先度(PRIORITY)を記憶する。
【0022】
商品発注合計DB164は、図11に示すように、商品コードごとに、その商品の産地及びその産地における全ての小売業者からの商品の発注量の合計を記憶する。
【0023】
代替パターン優先度管理DB166は、図13に示すように、小売業者が当初発注する商品(PRODUCT FROM)及び産地(AREA FROM)に対して、代替となる商品(PRODUCT TO)及び産地(AREA TO)、及び代替パターン優先度と小売優先度の乗算値(WULTIPLY PRIORITY)を記憶する。
【0024】
次に、出荷管理システムの処理動作について説明する。
まず、小売優先度DB160及び代替パターンDB162の形成動作について説明する。
小売業者は、小売業者端末100の表示画面に表示される代替パターン登録画面700(図7参照)を用いて、ある産地(A_01)の商品(P_001)が欠品した場合の代替商品を登録する。代替商品は、産地が異なる(異なる産地コード)が同じ商品(同じ商品コード)、又は異なる商品(産地は同じか異なり商品コードが異なる)が優先度順に入力できる。入力された情報は、出荷量調整部150の代替パターン入力部151で処理されて、代替パターンDB162に格納される。
【0025】
卸売業者は、卸売業者端末101に表示される小売優先度登録画面900(図9)を用いて、代替商品の割り当てを優先させる小売業者(小売業者コード)の順番を登録する。入力された情報は、小売優先度入力部152で処理されて、小売優先度DB160に、小売業者コードと優先度の対として格納される。
【0026】
図6を参照して、出荷管理システムの処理動作について説明する。なお、説明上、より具体的な図14A図14Iも併せて参照する。
まず、出荷量調整部150の発注量集計部153は、発注伝票を集計して商品ごとの発注量を算出する(S600)。図14Aに示すように、例えば、複数の小売店A及びBからの発注伝票に記載された、商品及び産地ごとに発注量を集計して商品発注合計DB164に格納する。
【0027】
次に、出荷量算出部155は、複数の生産者a〜cの商品の生産量を集計して商品ごとの生産量を算出し、更に商品ごとの確保量を求めて、確保量と発注量を比較する(S601)。即ち発注分の商品が不足しているか否かを判定する。ここで、集計した商品の発注量と生産量から確保量と上限量を算出する仕方について説明する(図14A参照)。発注量<生産量のとき、確保量=発注量、上限量=生産量とする。一方、発注量≧生産量のとき、確保量=生産量、上限量=生産量とする。このように算出した確保量、上限量は生産量管理DB143に格納される。
【0028】
確保量と発注量との比較の結果、確保量<発注量の場合、S603へ移る。一方、確保量<発注量でない場合、S602へ移る。なお、S601以降の処理動作は、出荷量算出部155により行われる。
【0029】
S602において(即ち商品の発注量が確保された場合)、発注量≠0のとき、出荷量=発注量とし、「欠品無し」として出荷量を決定する。決定した出荷量(=発注量)は、小売業者及び商品ごとに出荷管理DB142に格納する。その後、出荷管理処理は終了する。
【0030】
一方、S603において(即ち商品の発注量が確保されない場合)、確保量分の商品を、各小売業者の不足率が等しくなるように割り当てる。この割当て処理は、例えば次の式を用いて行われる。即ち、商品a={a|aは全ての商品}に対して、次の連立方程式の解x1,x2,…,xnを出荷量として割り当てる(n≧2)。ここで、a1,a2,…,anは各小売の商品aへの発注量、bは確保量を示す。1-(xi/ai)は不足率を示し、これら不足率の値が、i=1〜nまで全て等しいことを示している。
【0031】
1-(x1/a1) =1-(x2/a2)
1-(x2/a2) =1-(x3/a3)
・・・
1-(xn-1/an-1) =1-(xn/an)
x1+x2+・・・xn=b
n=1のとき、x1=b
【0032】
その結果、小売業者A,Bからの商品ごとの発注量に対して、図14Bに示すような、商品/産地/出荷量が割り当てられる。しかし、この段階では、小売業者Aの発注量に対して、「キャベツ」が150、「小松菜」が200不足している。また、小売業者Bの発注量に対しては、「キャベツ」が200、「セロリ」が600不足している。
【0033】
そこで、次の処理として、本発明に特徴的な処理(即ち代替パターンを用いた処理)が行なわれる。即ち、小売優先度と代替パターン優先度を乗じた優先度を算出し、この優先度順に代替パターンをソートする(S604)。小売優先度(PRIORITY)は、小売優先度DB160に予め登録された値を用いる。また、代替パターン優先度(PRIORITY)は、代替パターンDB162に予め登録された値を用いる。算出された代替パターン優先度管理DB166の一例を図14Cに示す。具体的に言えば、代替パターン優先度管理DB166の優先度の数値が小さいレコードから順にソートする(優先度p=最小の優先度)。優先度の同じレコードが複数存在する場合には、その全てを一度にS605以降で処理する。求めた商品の残量は一時的な記憶領域に格納する。(なお、S602で「欠品無し」となったものは対象外となる。)
【0034】
次に、優先度が同じで代替品が同じ代替パターンが複数存在するかを判断する(S605)。まず、優先度1から代替パターンを処理する。(なお、これまでの処理で「代替あり」となった商品に対するレコードは除外する。)「欠品X」となった商品に対するレコードの代替したい量はXとする。そうでないときは、(代替したい量=発注量−出荷量)、としたとき、「優先度が同じ」かつ「代替品が同じ」代替パターンが複数存在するかを判断する。
【0035】
S605の判断の結果、「Yes」の場合、代替したい量≦(残量/代替パターン数)か判断する(S606)。この判断の結果、「Yes」の場合、S609〜S610の処理を行う。
【0036】
S609では、代替品の可能な量を出荷量に割り当てる。具体的には、「優先度が同じ」かつ「代替品が同じ」代替パターンが複数存在するか否かにより異なる処理を行う。
即ち、「優先度が同じ」かつ「代替品が同じ」代替パターンが複数存在しない場合、代替したい量≦残量ならば、
・代替品の出荷量=出荷量+代替したい量
・元の商品に対するレコードには、結果=「代替あり」
・代替品に対するレコードには、結果=「代替品」、とする。
【0037】
一方、代替したい量>残量ならば、
・代替品の出荷量=出荷量+残量
・元の商品に対するレコードには、結果=「欠品(代替したい量ー残量)」
・代替品に対するレコードには、結果=「代替品」、とする。
【0038】
「優先度が同じ」かつ「代替品が同じ」代替パターンが複数存在する場合、
・代替品の出荷量=代替したい量
・元の商品に対するレコードには、結果=「代替あり」
・代替品に対するレコードには、結果=「代替品」、とする。
それらの処理の後、代替品の残量を更新する。
【0039】
上記処理の結果、全ての代替パターンを処理した場合には(S610「Yes」)、処理を終了する。そうでない場合は、S605に戻って処理を繰り返す。本実施例の場合、算出した優先度が6つあるので、上記の処理を、優先度1の代替パターンから優先度6の代替パターンについて行う(図14C図14H)。
【0040】
上記S605の判断の結果、「Yes」の場合、代替したい量≦(残量/代替パターン数)か判断する(S606)。この判断の結果、「No」の場合、残量が0かを判断する(S607)。その結果、0でなければ、代替品の出荷量を求めて、残量を更新する(S608)。具体的にはS608において、代替品の出荷量=出荷量+残量/代替パターン数を求め、元の商品に対するレコードには、結果=「欠品(代替したい量−残量/代替パターン数)」を、代替品に対するレコードには、結果=「代替品」を記録して、残量を更新する。
【0041】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、種々の代案、変形例が考えられ得る。
例えば、図6を参照した処理動作のステップS603において、確保量分の商品を、各小売業者の不足率が等しくなるように割り当てるとしたが、変形例においては必ずしも不足率が等しくなるように割り当てる必要はない。例えば、大量の商品を発注した小売業者Aと少量の商品を発注した小売業者Bの間で、小売業者Aの不足率を小売業者Bよりも低くするように変えてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、図6を参照した処理動作のステップS604において、小売優先度と代替パターン優先度を乗じた優先度を算出し、この優先度順に代替パターンをソートする、とした。しかし、代案においては、小売優先度を加味せず、代替パターン優先度のみで優先順位を決めてもよい。確かに、小売優先度を加味すれば、小売業者の発注度会いに応じてその優先度に高低をつけることができる(例えば頻繁に発注する小売業者の優先度は高く設定する)。しかし、代案のように、小売優先度を使用しないで代替パターン優先度のみを使用することでも、代替品の選定は可能である。
【0043】
本実施例によれば、卸売業者が受発注システムの付加価値機能として、代替パターンに基づく出荷量の自動調整として適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
100:小売業者端末 101:卸売業者端末 102:生産者端末 110:インターネット
120:データセンター 130:基幹システム 131:小売マスタDB 132:商品マスタDB
140:受発注システム 141:発注管理DB 142:出荷管理DB 143:生産量管理DB
150:出荷量調整部 151:代替パターン入力部 152:小売優先度入力部 153:発注量集計部 154:データ生成部 155:出荷量算出部 156:出荷量季肋部
160:小売優先度DB 162:代替パターンDB 164:商品発注合計DB 166:代替パターン優先度管理DB 180:バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I