特許第6122634号(P6122634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6122634まつげエクステンション施術器、および、まつげエクステンション施術方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122634
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】まつげエクステンション施術器、および、まつげエクステンション施術方法
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/02 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   A41G5/02
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-278524(P2012-278524)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-122442(P2014-122442A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】500243679
【氏名又は名称】中村 順次
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 順次
【審査官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/088098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
A41G 3/00
A45D 2/48
A45D 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着する円弧状の端部を有した板状部材と、
前記板状部材の表面において、まつげを受け入れ可能な上部開口と、当該上部開口からまつげを収容してなお断面に余裕空間が生じる内空とを有し、少なくともエクステンション後のまつげ長以上の長さで前記端部から伸びる複数の溝構造とを備え
前記板状部材が、前記端部から、前記表面と対をなす裏面の側に所定長延長された、スカート状部材を備えるものであることを特徴とする、まつげエクステンション施術器。
【請求項2】
少なくとも前記溝構造の表面が、人工まつげを形成する樹脂組成物に対する剥離性を備えたものであることを特徴とする請求項に記載のまつげエクステンション施術器。
【請求項3】
前記板状部材は、前記溝構造が設けられた表面を、まつげ発毛箇所直下に密着させた前記端部を基点に、まつげ発毛方向に沿う角度で施術対象者の顔面から離間させる、所定高さの支持部材を備えることを特徴とする請求項に記載のまつげエクステンション施術器。
【請求項4】
瞼におけるまつげ発毛箇所直近に密着する円弧状の端部を有した板状部材と、前記板状部材の表面において、まつげを受け入れ可能な上部開口と、当該上部開口からまつげを収容してなお断面に余裕空間が生じる内空とを有し、少なくともエクステンション後のまつげ長以上の長さで前記端部から伸びる複数の溝構造とを備えるまつげエクステンション施術器を用いた施術方法であって、
前記板状部材における円弧状の端部を、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着させる工程と、
前記溝構造の内空に、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物を注入する工程と、
まつげ発毛箇所直下に端部を密着させた前記板状部材において、前記溝構造の上部開口にまつげをなでつけることで溝構造の内空にまつげを導入する工程と、
所定時間経過後に前記内空にて固化した樹脂組成物により内包され、前記溝構造の長さまで延長された前記まつげを、固化して一体となった樹脂組成物と共に溝構造の内空から取り出す工程と、
を含むことを特徴とする、まつげエクステンション施術方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげエクステンション施術器およびまつげエクステンション施術方法に関するものであり、具体的には、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化と良好な施術品質の達成を併せて可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
美を追求するニーズには様々なものがあり、対人印象を左右しやすい目元に関する美容、或いはファッションのニーズは特に根強いものがある。こうした目元を印象的に演出し、魅力的なものとするアイテムとして、つけまつげ即ち、エクステンション用の人工まつげが従来から用いられている。こうした、まつげのエクステンションに関する技術として、例えば、まつげの長さを延長する人工まつげであって、人工まつげ本体部と、人工まつげ本体部とまつげとを連結する環状部材とを備え、環状部材が収縮性材料から構成されている人工まつげ(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
また、使用者のまつげの一部を包むためのくぼみ部分を有するエクステンション用人工まつげ(特許文献2参照)や、まつげ1本をすっぽり覆い被せることができる袋状を特徴とするまつげエクステンション用人工まつげ(特許文献3参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−92491号公報
【特許文献2】特開2010−24579号公報
【特許文献2】特開2008−285802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、まつげエクステンションの施術には、相当な時間にわたる煩雑で細かな手元作業と施術者の根気が必要とされており、それ故に、施術のしやすさや、本来のまつげとの接着性、一体性といった面に考慮したエクステンション用人工まつげに関する技術は提案されてきた。しかしながら、施術時における施術者の過大な作業負担や作業時間の発生といった問題点を根本的に解決する技術は提案されていない。また、様々な工夫がなされてはいるもの、エクステンション用人工まつげと本来のまつげとの一体性は確実なものではなく、外力や水分等の作用で両者は比較的容易に分離し、エクステンションの用途が短期間に終焉してしまう事態となっていた。
【0006】
そこ本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであって、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化と良好な施術品質の達成を併せて可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のまつげエクステンション施術器は、瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着する円弧状の端部を有した板状部材と、前記板状部材の表面において、まつげを受け入れ可能な上部開口と、当該上部開口からまつげを収容してなお断面に余裕空間が生じる内空とを有し、少なくともエクステンション後のまつげ長以上の長さで前記端部から伸びる複数の溝構造とを備え前記板状部材が、前記端部から、前記表面と対をなす裏面の側に所定長延長された、スカート状部材を備えるものであることを特徴とする。
このまつげエクステンション施術器を用いれば、板状部材における円弧状の端部を、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着させた上で、上部開口を介して溝構造の内空にまつげを導入することで、内空に注入済みの樹脂組成物とまつげを一体化させ適宜延長すなわちエクステンションすることが出来る。つまり、上述の溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、ひいては人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになる。しかも、施術者に必要となる主たる作業は、溝構造の内空にまつげを導入するシンプルな作業のみとなり、作業効率は従来より大きく向上する。従って、従来のエクステンション施術の如く、相当な時間をかけ、まつげ一本ずつに人工まつげを接着するという煩雑で細かな手元作業は不要となり、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化を図る事が出来る。また、上述したように、溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになるため、樹脂組成物で構成されたエクステンション部分と、本来のまつげとが強固に一体化し、良好な施術品質を達成出来る。
また、上述のスカート状部材を備えることにより、施術対象者の上瞼のまつげ発毛箇所直下にあたる上瞼の下端付近に、板状部材における円弧状の端部を密着させ、エクステンション施術を行うとして、この場合、溝構造の内空の樹脂組成物が、板状部材における円弧状の端部から漏出する事態が生じるとしても、漏出物が眼球等に付着することを防ぐことが出来る。すなわち、上述のスカート状部材が上述の端部と瞼との間を確実に間詰めしつつ、上瞼の下端付近から下瞼の下方にかけて覆っているため、端部から漏出した樹脂組成物は眼球とその周囲へ流下出来ない。
【0008】
このまつげエクステンション施術器を用いれば、板状部材における円弧状の端部を、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着させた上で、上部開口を介して溝構造の内空にまつげを導入することで、内空に注入済みの樹脂組成物とまつげを一体化させ適宜延長すなわちエクステンションすることが出来る。つまり、上述の溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、ひいては人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになる。しかも、施術者に必要となる主たる作業は、溝構造の内空にまつげを導入するシンプルな作業のみとなり、作業効率は従来より大きく向上する。従って、従来のエクステンション施術の如く、相当な時間をかけ、まつげ一本ずつに人工まつげを接着するという煩雑で細かな手元作業は不要となり、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化を図る事が出来る。また、上述したように、溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになるため、樹脂組成物で構成されたエクステンション部分と、本来のまつげとが強固に一体化し、良好な施術品質を達成出来る。
【0010】
また、上述のまつげエクステンション施術器において、少なくとも前記溝構造の表面が、人工まつげを形成する樹脂組成物に対する剥離性を備えたものであるとすれば好適である。これによれば、溝構造の内空にて一体となった樹脂組成物とまつげを、無理な力を加えずともスムーズに内空から取り出せる。
【0011】
また、上述のまつげエクステンション施術器において、前記板状部材は、前記溝構造が設けられた表面を、まつげ発毛箇所直下に密着させた前記端部を基点に、まつげ発毛方向に沿う角度で施術対象者の顔面から離間させる、所定高さの支持部材を備えるとすれば好適である。これによれば、本来のまつげの発毛方向に沿った、無理のないカール形状でまつげエクステンションを施すことが可能であり、また、発毛方向と溝構造の傾斜とがマッチすることから、溝構造の内空へのまつげ導入を無理なく行えることにもつながる。
【0012】
また、本発明のまつげエクステンション施術方法は、瞼におけるまつげ発毛箇所直近に密着する円弧状の端部を有した板状部材と、前記板状部材の表面において、まつげを受け入れ可能な上部開口と、当該上部開口からまつげを収容してなお断面に余裕空間が生じる内空とを有し、少なくともエクステンション後のまつげ長以上の長さで前記端部から伸びる複数の溝構造とを備えるまつげエクステンション施術器を用いた施術方法であって、前記溝構造の内空に、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物を注入する工程と、前記板状部材における円弧状の端部を、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着させる工程と、まつげ発毛箇所直下に端部を密着させた前記板状部材において、前記溝構造の上部開口にまつげをなでつけることで溝構造の内空にまつげを導入する工程と、所定時間経過後に前記内空にて固化した樹脂組成物により内包され、前記溝構造の長さまで延長された前記まつげを、固化して一体となった樹脂組成物と共に溝構造の内空から取り出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
これによれば、板状部材における円弧状の端部を、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着させた上で、上部開口を介して溝構造の内空にまつげを導入することで、内空に注入済みの樹脂組成物とまつげを一体化させ適宜延長すなわちエクステンションすることが出来る。つまり、上述の溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、ひいては人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになる。しかも、施術者に必要となる主たる作業は、溝構造の内空にまつげを導入するシンプルな作業のみとなり、作業効率は従来よりも大きく向上する。従って、従来のエクステンション施術の如く、相当な時間をかけ、まつげ一本ずつに人工まつげを接着するという煩雑で細かな手元作業は不要となり、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化を図る事が出来る。また、上述したように、溝構造の内空において、樹脂組成物がまつげを内包しつつ一体に固化し、人工まつげの形成とまつげエクステンションとが同時実行されることになるため、樹脂組成物で構成されたエクステンション部分と、本来のまつげとが強固に一体化し、良好な施術品質を達成出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化と良好な施術品質を併せて達成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態におけるまつげエクステンション施術器を示す斜視図である。
図2】本実施形態におけるまつげエクステンション施術器を示す上面図である。
図3A】本実施形態におけるまつげエクステンション施術器を示す側面図である。
図3B】本実施形態におけるまつげエクステンション施術器の変形例を示す側面図である。
図4】本実施形態におけるまつげエクステンション施術器を示す正面図である。
図5】本実施形態のまつげエクステンション施術方法を示すフロー図である。
図6】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況1を示す概念図である。
図7A】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況2を示す概念図である。
図7B】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況2を示す側面図である。
図8】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況3を示す概念図である。
図9A】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況4を示す概念図である。
図9B】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況4(下まつげ施術時)を示す側面図である。
図9C】本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況4(上まつげ施術時)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のまつげエクステンション施術器100を示す斜視図、図2は同じく上面図、図3Aは同じく側面図、図4は同じく正面図である。各図に示すまつげエクステンション施術器100は、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化と良好な施術品質の達成を併せて可能とする器具である。
【0017】
本実施形態におけるまつげエクステンション施術器100は、施術対象者の瞼におけるまつげ発毛箇所直下に密着する円弧状の端部101を有した板状部材102と、この板状部材102の各側端103から下方に連続し、板状部材102を支持する支持部材104とにより主構造をなしている。
【0018】
このうち板状部材102における端部101の円弧状の形状は、まつげエクステンションの施術対象者の瞼が持つ膨らみ形状に完全フィットするものが最適である。従って、施術前に施術対象者の瞼が持つ膨らみ形状を測定し、この測定結果に応じて端部101の形状を調整するとすれば良い。
【0019】
また、そうした施術対象者個別に、いわばオーダーメイドでエクステンション施術器100を用意しない場合、人間の瞼が持つ膨らみ形状について、様々な人物について予め型取りし、この型取り結果に応じた形状の端部101を備えたエクステンション施術器100を、種々の端部形状のパターン別に用意するものとする。
【0020】
上述した板状部材102の表面105には、端部101から伸びる複数の溝構造106が備わっている。この溝構造106は、図4でも示すように、まつげ10を受け入れ可能な上部開口107と、この上部開口107からまつげ10を収容してなお断面に余裕空間108が生じる内空109とを有している。また、溝構造106は、少なくともエクステンション後のまつげ長以上の長さL(図1図3を参照)で端部101から伸びている。内空109の断面形状は、図4で示すような上方が開口した略円形が想定できるが、それ以外にも、一部が開口した、三角形、矩形、多角形、星形など、施術対象者のニーズ等に応じて様々な形状を採用できる。また、上部開口107の開口幅は、まつげ10の直径より所定値だけ大きく、まつげ10を通過させられる限界に近い幅であると更に良い。このことは、上部開口107を介してまつげ10を内空109に導入した際、まつげ10が、その弾性に由来する反発力等で内空109から脱出してしまう事態を抑制しやすくなる。
【0021】
こうした溝構造106の内空109には、まつげ10と一体になるべく、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物が注入されることになり、後に、一体に固化下まつげ10と樹脂組成物とをこの内空109から取り出す必要がある。従って、少なくとも溝構造106の表面110は、上述の樹脂組成物に対する剥離性を備えている。こうした性状を備える溝構造106ひいては板状部材102の素材としてはシリコンを想定できる。勿論、採用する樹脂組成物の性状に応じて必要な剥離性を発揮し、なおかつ、施術者による施術動作によって変形しすぎない程度に一定以上の強度、剛性を有する素材であればいずれのものでもよい。
【0022】
なお、上述の支持部材104は、図1図3A図3Bに例示するように、人間の顔面における表面形状にフィットすべく、板状部材102の表面105から傾斜した当接部111を備え、また、この当接部111と板状部材102の側端103(の後端112)との間が所定距離だけ離間するよう図った高さhを備えている。従って、支持部材104は三角形状の形態をとる。この支持部材104によって、板状部材102は、溝構造106が設けられた表面105を、まつげ10の発毛箇所直下に密着させた端部101を基点に、まつげ10の発毛方向に沿う角度で施術対象者の顔面から離間させることが出来る。上述の当接部111の付近には、施術対象者の顔面にエクステンション施術器100を固定するための接着具117が備わっている。この接着具117は、支持部材104の下部から水平方向に伸びるものであり、顔面との対向面に粘着材が塗布してある粘着テープである。
【0023】
また、図3Aに示すように、板状部材102の表面105に設けられた溝構造106が、直線上に伸びる形状である場合、この溝構造106を用いたエクステンションの結果得られるのは、ほぼ直線上に延長されたまつげとなる。一方、人工まつげの先端がカールしていることを望む施術対象者の存在も予想される。そこで、人工まつげの先端をカールさせるべく、図3Bに示すように、板状部材102の表面105に設けられた溝構造106が、全体に湾曲する形状である形態も想定すると好適である。
【0024】
更に、板状部材102が、端部101から、表面105と対をなす裏面114の側に所定長延長された、スカート状部材115を備えるとすれば好適である。図3A図3Bに示す例では、このスカート状部材115の縁には、所定高さの縁取り部116が更に備わっており、スカート状部材115上に樹脂組成物が流れてきても、この縁取り部116が堤となって留め置くことが出来る。或いは、逆に、スカート状部材115の外周から、スカート状部材115上に樹脂組成物が流れ込もうとしても、この縁取り部116が堤となって流入を阻止できる。したがって、例えば、施術対象者の上瞼における、まつげ10の発毛箇所直下にあたる上瞼の下端付近に、板状部材102の端部101を密着させ、エクステンション施術を行うとして、この場合、溝構造106の内空109の樹脂組成物が、板状部材102の端部101から漏出する事態が生じるとしても、漏出物が眼球等に付着することを防ぐことが出来る。すなわち、上述のスカート状部材115が上述の端部101と瞼との間を確実に間詰めしつつ、上瞼の下端付近から下瞼の下方にかけて覆っているため、端部101から漏出した樹脂組成物は眼球とその周囲へ流下出来ない。
【0025】
続いて、本実施形態におけるまつげエクステンション施術器100を用いた、まつげエクステンションの施術方法について説明する。図5は本実施形態のまつげエクステンション施術方法を示すフロー図であり、図6図8は本実施形態のまつげエクステンション施術方法の適用状況1〜4を示す概念図である。
【0026】
ここではまず、まつげエクステンション施術器100における溝構造106の内空109に、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物を注入する(s100)。この樹脂組成物は、最適には、人工まつげ製造時に用いられる既存の樹脂組成物を想定するが、簡易的にまつげエクステンションを行う場合にはマスカラを採用するとしてもよい。
【0027】
続いて、図6に例示するように、板状部材102における端部101を、施術対象者の上瞼12におけるまつげ10の発毛箇所11直下、すなわち上瞼12の下端13に密着させる(s101)。この工程により、上瞼12から発毛しているまつげ10は、板状部材102に下支えされ、その表面105に載置された状態となる。また、この時、スカート状部材115が、上瞼12の下端13から、上瞼12と下瞼14との合わせ目15をカバーしつつ、頬16の付近まで施術対象者の顔面を覆うことになる(図7B参照)。
【0028】
こうした状態において施術者は、上述の板状部材102において、所定の棒状器具や、まつげ用の櫛等を使用し、溝構造106の上部開口107にまつげ10をなでつけ、これにより溝構造106の内空109にまつげ10を導入すなわち収容する(s102)。図7Aにて、まつげ10の少なくとも毛先が溝構造106の内空109に収容された様子を示している。まつげ10を収容した内空109は、予め注入されていた樹脂組成物がまつげ10に押されて上述の余裕空間108に移動し、まつげ10の周囲は全周にわたって樹脂組成物に包まれた状態となる。つまり、内空109に注入済みの樹脂組成物中にまつげ10が浸された状態となる(s103)。
【0029】
その後、内空109における樹脂組成物が固化するまで待機し、固化に必要な所定時間が経過したならば(s104:yes)、まつげ10は、内空109にて固化した樹脂組成物により内包され、溝構造106の長さまで延長された状態となる。そこで、図8に示すように、樹脂組成物由来の人工まつげにより延長されたまつげ10を、溝構造106の内空109から取り出す(s105)。最後に、人工まつげ先端17を施術対象者の好み、要望等に応じて不要部分をカットし(s106)、櫛入れするなどして形を整えた上で施術を完了する。
【0030】
なお、上述した実施形態では、溝構造106の内空109に、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物を注入する工程(s100)を先に実施した後に、溝構造106の内空109へのまつげ10の導入を行う工程(s102)を実施する例を示した。しかしながら、溝構造106の内空109へのまつげ10の導入を行う工程を先に実施した後に、溝構造106の内空109に、人工まつげ形成用の液状ないしゲル状の樹脂組成物を注入する工程を実施するとしてもよい。
【0031】
また、図9A図9Cの適用状況4に示すように、上まつげ10だけでなく下まつげ20に関しても施術する場合、上述のまつげエクステンション施術器100と同じ構造であり、このまつげエクステンション施術器100の内空118に、収納可能なサイズを備えた、下まつげ用エクステンション施術器200を用いた施術を行う。この下まつげ用エクステンション施術器200においても、施術前あるいは溝構造への下まつげ20の導入後に、上述の樹脂組成物の注入(s100と同じ)が行われるものとする。
【0032】
この場合、したまつげ20を下支えするように、下まつげ用エクステンション施術器200の板状部材202における端部201を、施術対象者の下瞼14における下まつげ20の発毛箇所直下に密着させ、以降、上まつげ10の場合と同様に施術を行う(図9B参照)。下まつげ20に関するエクステンション施術が完了したならば(或いは、上述のステップs105まで完了したならば)、その後、下まつげ用エクステンション施術器200を内空118に収容する形で、上述のステップs100以降と同様に、まつげエクステンション施術器100を上まつげ10に対して配置し、そのエクステンション施術を行うこととなる。
【0033】
なお、上述してきた、まつげエクステンション施術方法において、まつげエクステンション施術器の溝構造の形状や長さ、カーブを、施術対象者が希望するまつげの長さ、曲がり具合に応じたものとすれば、最終的に得られる、エクステンション後のまつげは、施術対象者の希望にそった長さとカーブを備えたものとなる。従って、本実施形態のまつげエクステンション施術方法を実行することで、まつげパーマと同じ施術結果を得る事も可能である。
【0034】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。特に、本発明のまつげエクステンション施術器、およびまつげエクステンション施術方法を、髪の毛のエクステンション施術にそのまま用いることも可能である。
【0035】
こうした本実施形態によれば、まつげエクステンション施術者の作業負担や作業時間を軽減して、施術の効率化と良好な施術品質を併せて達成可能となる。
【符号の説明】
【0036】
10 まつげ(上まつげ)
11 発毛箇所
12 上瞼
13 上瞼下端
14 下瞼
15 上下瞼の合わせ目
16 頬
17 人工まつげ先端
20 下まつげ
100 まつげエクステンション施術器
101 端部
102 板状部材
103 板状部材の側端
104 支持部材
105 板状部材の表面
106 溝構造
107 上部開口
108 余裕空間
109 内空
110 溝構造の表面
111 当接部
112 板状部材側端の後端
113 溝構造の後端部分
114 板状部材の裏面
115 スカート状部材
116 縁取り部
117 接着具
118 施術器内空
200 下まつげ用エクステンション施術器
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C