(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る酸素濃縮器の全体構成を示す概略図である。
【0016】
図1に示す酸素濃縮器10は、酸素濃縮器筐体(以下適宜「筐体」と略記する)11の内部に、風路ケース21、ヘパフィルタ22、吸気タンク23、コンプレッサ24、冷却パイプ25、冷却用ファン27、マニホールド30、第1及び第2の切替弁30a、30b、シーブベッド(吸着塔)41、42、製品タンク51、均圧弁52、パージオリフィス53、消音器54、圧力センサ55、レギュレータ56、止め弁57、酸素センサ58、バクテリアフィルタ59、流量制限オリフィス61、圧力センサ62、流量センサ63、加湿器64、及び酸素出口65を配置している。
【0017】
風路ケース21は、筐体11に接して設けられており、筐体11の外部の空気を、原料空気として筐体11の内部に導入する。ヘパフィルタ22は、風路ケース21が導入した空気からゴミや埃等の空中浮遊粒子を除去する。
【0018】
吸気タンク23は、ヘパフィルタ22で空中浮遊粒子が除去された原料空気を、後段のコンプレッサ24の吸気のために収容する。吸気タンク23は、いわゆる膨張型消音器として機能し、配管断面積の変化による反射により、原料空気の吸気側へと伝達するコンプレッサ24の動作音に対して、消音効果を発揮する。
【0019】
コンプレッサ24は、吸気タンク23に収容された原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する。冷却パイプ25は、コンプレッサ24で生成された圧縮空気をマニホールド30に送る。
【0020】
冷却用ファン27は、筐体11に設けられた開口から外気を筐体11内部に吸引し、筐体11に上記開口とは別に設けられた開口から排気する。冷却用ファン27により筐体11内部に吸引された外気は、筐体11内部を、コンプレッサ24を含む各種部品の熱を吸収しながら循環し、排気される。
【0021】
マニホールド30は、コンプレッサ24からの圧縮空気をシーブベッド41、42に交互に切り替えて送り、シーブベッド41、42からの窒素富化空気を交互に切り替えて消音器54に送るための多岐管である。マニホールド30は、三方弁である第1及び第2の切替弁30a、30bを有する。マニホールド30は、第1及び第2の切替弁30a、30bの状態を制御することにより、例えば10秒間隔で、圧縮空気及び窒素富化空気のマニホールド30内の流路の切替えを行う。このように,マニホールド30は、空気、窒素及び水分の流路を形成するとともに、載置台13上でシーブベッドに接続されている。
【0022】
具体的には、例えば、マニホールド30は、
図1に示すように、第1の切替弁30aを用いて、シーブベッド41とコンプレッサ24との間の管路を開放し、シーブベッド41と消音器54との間の管路を閉鎖する。同時に、マニホールド30は、第2の切替弁30bを用いて、シーブベッド42とコンプレッサ24との間の管路を閉鎖し、シーブベッド42と消音器54との間の管路を開放する。この場合、コンプレッサ24からの圧縮空気は矢印31Aの方向でシーブベッド41に送られ、消音器54には矢印31Bの方向でシーブベッド42からの窒素富化空気が送られる。
【0023】
また、マニホールド30は、第1の切替弁30aを用いて、シーブベッド41とコンプレッサ24との間の管路を閉鎖し、シーブベッド41と消音器54との間の管路を開放する。同時に、マニホールド30は、第2の切替弁30bを用いて、シーブベッド42とコンプレッサ24との間の管路を開放し、シーブベッド42と消音器54との間の管路を閉鎖する。この場合、コンプレッサ24からの圧縮空気はシーブベッド42に送られ、消音器54にはシーブベッド41からの窒素富化空気が送られる。
【0024】
シーブベッド41、42は、空気から窒素及び水分を吸着して高濃度酸素を得るものである。具体的には、シーブベッド41、42は、マニホールド30を介して送られてきた圧縮空気から、高濃度酸素をそれぞれ分離する。この分離は、シーブベッド41、42に充填されたゼオライトの働きにより実現される。ゼオライトは、加圧空気に対しては窒素及び水分を吸着し、減圧空気に対しては吸着している窒素及び水分を脱着する性質を有する吸着剤である。シーブベッド41、42は、コンプレッサ24と通じているとき、コンプレッサ24から送られてきた圧縮空気を内部に流入させ、圧縮空気から高濃度酸素を分離して後段の製品タンク51に送る。そして、シーブベッド41、42は、消音器54と通じているとき、圧縮空気から吸着した窒素及び水分を多く含む窒素富化空気を、マニホールド30に流出させ、窒素富化空気を、マニホールド30を介して消音器54に送る。
【0025】
シーブベッド41、42から放出される高濃度酸素の酸素濃度は、吸脱着の繰り返し回数や吸脱着時間等を変更することにより、例えば40%〜90%程度の範囲で調整することができる。なお、ゼオライトは窒素のみならず水分をも吸着するので、シーブベッド41、42から放出される高濃度酸素は極めて乾燥している(例えば、湿度0.1%〜0.2%)。シーブベッド41、42に充填されるゼオライトは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩(例えば、アルカリ土類金属を含む結晶性含水アルミノ珪酸塩)からなる多孔質材料であり、市販されている各種のゼオライトを使用することができる。
【0026】
製品タンク51は、シーブベッド41、42に、マニホールド30が接続する側とは反対側の部分で接続されており、シーブベッド41、42により圧縮空気から分離して得られた高濃度酸素を収容する。製品タンク51は、例えば、一端がシーブベッド41に、他端がシーブベッド42にそれぞれ連結された、コの字形状を有している。均圧弁52は、製品タンク51の両端部分の圧力をこれらが同一となるように調整する。パージオリフィス53は、シーブベッド41、42の脱着の際の二次浄化を行うために、製品タンク51の両端部分の間で高濃度酸素を通過させる。
【0027】
消音器54は、筐体11に接して設けられた排気口54aを有しており、シーブベッド41、42からマニホールド30を介して送られてきた窒素富化空気を、排気口54aから筐体11の外部に排出する。
【0028】
圧力センサ55は、製品タンク51からレギュレータ56に送られる高濃度酸素の圧力を検出する。レギュレータ56は、圧力センサ55の検出結果と予め設定された圧力とを比較してこれらが同一の値となるように、高濃度酸素の圧力のフィードバック制御を行う。
【0029】
止め弁57は、閉鎖することにより、レギュレータ56から圧力調整されて送られる高濃度酸素の流れを止める。止め弁57は、例えば、高濃度酸素の供給を停止する操作が行われたとき、あるいは酸素濃縮器10への電源供給が停止されたときに閉鎖して、機器内に残留した高濃度酸素の流出を止める。
【0030】
酸素センサ58は、止め弁57からバクテリアフィルタ59に送られる高濃度酸素の酸素濃度を検出する。バクテリアフィルタ59は、細菌類を捕集することにより、流路を流れる高濃度酸素を除菌する。流量制限オリフィス61は、バクテリアフィルタ59を通って送られる高濃度酸素の流路を絞ることにより、高濃度酸素の流量を制限する。流量制限オリフィス61の絞り具合は、筐体11に設けられた、例えばボタンやつまみを有する操作部(図示省略)の操作内容と連動して調整される。
【0031】
圧力センサ62は、流量制限オリフィス61から流量センサ63に送られる高濃度酸素の圧力を検出する。流量センサ63は、流量制限オリフィス61を通って送られる高濃度酸素の流量を検出する。圧力センサ62で検出された高濃度酸素の圧力及び流量センサ63で検出された高濃度酸素の流量を継続的にメモリ(図示省略)に記憶することによって、予めなされた設定の通りに高濃度酸素が処理されているか否かをモニタリングすることができる。
【0032】
加湿器64は、流量センサ63を通って送られた高濃度酸素を加湿する。酸素出口65は、加湿器64で湿度が与えられた高濃度酸素を、患者に供給するために排気する。酸素出口65には、一端に酸素マスクや鼻腔カニューラが接続されたチューブ(図示省略)が取付けられ、このチューブを通じて高濃度酸素が患者に供給される。
【0033】
また、酸素濃縮器10は、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納した記憶媒体としてのROM(read only memory)、及び作業用メモリとしてのRAM(random access memory)等を有する。CPUは、制御プログラムを実行することにより、コンプレッサ24やマニホールド30を含めた各部の動作を制御する。
【0034】
以上、酸素濃縮器10の全体構成について説明した。
【0035】
次いで、シーブベッド41、42の取り付け構造について説明する。
図2は、シーブベッド41、42の装着状態を示す図であり、
図3は、
図2に示すシーブベッド42と継手部70との接続構造の要部構成を示す部分断面図である。
図4は、シーブベッド42の底面部が載置されるシーブベッド載置台13における載置面部150の構成を示す断面図であり、
図5はシーブベッド載置台13における載置面部150の平面図である。
図6は、シーブベッド載置台13の斜視図である。
【0036】
酸素濃縮器10におけるシーブベッド41、42の取り付け構造は、シーブベッド載置台13と、継手部70と、固定板金81と、酸素濃縮器10の筐体11の一部となるコンプレッサの側壁(押さえ板)11aとを含む。
【0037】
まず、シーブベッド載置台(以下、「載置台」という)13の載置面部(載置面)150に載置することで、酸素濃縮器10の筐体11に装着されるシーブベッド41、42について説明する。
【0038】
図2に示すシーブベッド41、42は、それぞれ、上述のゼオライト(図示省略)を内部に充填した有蓋・有底の筒状体、言い換えれば、中空の円柱体である。例えば、アルミニウムスラグ等の金属材料をインパクト成形して筒体を成形し、この成形してなる筒状体の両端に底部と、蓋部とをそれぞれ取り付けることで作製される。シーブベッド41、42は、ここでは、側面が相互に密接した状態、且つ、下端部の外周面から互いに平行に突出した突出接続管(接続管)41a、42aの高さ位置及び突出方向が一致する状態で、結束されてユニット化されている。なお、シーブベッド41、42はそれぞれ別体のものであり、2本セットで用いて、ユニット化された場合と同様に、載置台13に載置されてもよい。
【0039】
本実施の形態のシーブベッド41、42はそれぞれ、インパクト成形によって成形されている。このため、シーブベッド41、42は、アルミ等を押出成形で2本分のシーブベッドをユニット化して一体的に形成したものよりも薄くて軽いものとして製造できる。
【0040】
シーブベッド42は、吸着剤(図示省略)が充填された有底の筒状体であるシーブベッド本体421と、蓋部422とを有する。シーブベッド本体421には、底部の外周面から突出接続管42a(
図3参照)が、シーブベッド42の半径方向に突出されている。なお、シーブベッド41の形状は、シーブベッド42の形状と同様であるため、ここでは、その説明を省略している。
【0041】
突出接続管42aは、シーブベッド42の底面の直径を通る位置に配置されており、シーブベッド42の内部と外部とを連通させる。突出接続管42aは、継手部70の開口部71に挿入して、固定されることで接続される。
【0042】
また、シーブベッド42の底部の底面には、底面の中心を通る位置決め溝部(第1係合部)424が下方及び側方に凹状に開口して設けられている(
図2、
図4参照)。なお、この位置決め溝部424は、ここでは、底面で中心を横切るように延在する凹状としたが、これに限らない。位置決め溝部424は、一部に断面凹状を有し、且つ、載置面部側の係合部であるスライドリブ(第2係合部)152にスライド自在に係合する形状であれば、どのように形成されてもよい。例えば、シーブベッド42(41)の底面から下方に突出する複数の突起を設け、これら突起間の窪みで、載置面側の係合部であるスライドリブ(第2係合部)152にスライド自在に係合する構成としてもよい。また、円柱状のシーブベッドとして円形の底面とする場合、この底面に複数の突起を、外縁に沿って環状に配置すれば、インパクト成形等によりシーブベッド42の横断面が真円となるように成形しやすい。
【0043】
この位置決め溝部424は、シーブベッド42の底部に、載置台13上でスライド移動するシーブベッド42のスライド方向と平行で、且つ、スライド方向と直交する方向(幅方向)の長さの中心を通る仮想線V上を中心に設けられている。なお、シーブベッド42を載置台13に載置した際に、仮想線Vの延長線と上下方向で重なる位置で、継手部70の開口部71が開口する。
【0044】
この位置決め溝部424は、突出接続管42aと平行である。言い換えれば、シーブベッド42では、その外側面から突出接続管42aが、位置決め溝部424の上方で、スライド方向(ここでは、位置決め溝部424の延在方向と重なる方向)で突出して設けられている。この位置決め溝部424は、スライドリブ(第2係合部、突条部)152とともに、載置台13にシーブベッド42をスライド自在に載置させ、シーブベッド42のスライド移動を案内してマニホールド30に接続させる案内手段を構成する。
【0045】
ここでは、突出接続管42aは、シーブベッド42を底面から見て、位置決め溝部424の延長線上の領域内に、位置決め溝部424と平行に配置されている。ここでは、位置決め溝部424の外縁側の一端部は、突出接続管42aが突出する前部の下端を切り欠くことで形成されている。
【0046】
位置決め溝部424は、
図3から
図5に示すように、載置台13の載置面部(載置面)150に設けられたスライドリブ(突条部)152に摺動自在に係合する。位置決め溝部424の深さは、スライドリブ152の高さに対応している。
【0047】
また、載置台13におけるスライドリブ152は、シーブベッド42が載置される載置面部150から上方に突出して設けられるものであれば、どのように構成されてもよい。ここでは、スライドリブ152は、載置面部150で互いに対向して立設され、位置決め溝部424の幅に対応して離間する複数のリブを有しており、これら複数のリブの各上端部で位置決め溝部424の底面に当接している。この位置決め溝部424を介して、シーブベッド42は、載置台13上で、スライドリブ152に沿って摺動自在に載置される。
【0048】
このように、スライドリブ152は、シーブベッド42の底面の位置決め溝部424に係合することで、シーブベッド42を位置決めする。言い換えれば、シーブベッド42は、スライドリブ152によって、載置台13の載置面部150において位置決めされる。
【0049】
このように構成されたシーブベッド42は、シーブベッド41とともに、シーブベッド載置台13の載置面部150上に載置されている。
【0050】
図3に示すように、シーブベッド42は、載置面部150において、シーブベッド41とともに、突出接続管41a、42aが突出する前面を、前部側位置決めリブ154に当接させて、突出接続管41a、42aを継手部70に接続している。
【0051】
載置台13は、樹脂製の成型体である。シーブベッド載置台13には、載置面部150上に、シーブベッド41、42を立てた状態で載置することができるほか、マニホールド30が載置されている。なお、載置台13に載置されるマニホールド30は、少なくとも継手部70に接続される可撓性を有する送出管32を含む。また、マニホールド30の上部には、コンプレッサ(図示省略)が配置される。
【0052】
これらマニホールド30、コンプレッサ(図示省略)が載置される本体側領域と、シーブベッド41、42が載置される載置面部150とは、コンプレッサケースの側壁11aで仕切られている。
【0053】
載置面部150は、
図5及び
図6に示すように、載置されるシーブベッド41、42の底面よりも広い領域を有している。載置面部150は、載置されるシーブベッド41、42の位置決め溝部424に係合するスライドリブ152の他、立設して設けられた前部側位置決めリブ154及び後部側位置決めリブ156を有する。
【0054】
図5に示すように、前部側位置決めリブ154及び後部側位置決めリブ156は、載置面部150において、スライドリブ152の長手方向の両端側で、スライドリブ152を挟むよう配置されている。
【0055】
図7は、載置面部150における前部側位置決めリブ154及び後部側位置決めリブ156とシーブベッド41、42との関係を模式的に示す側面図である。
【0056】
図7に示すように、前部側位置決めリブ154は、載置面部150でスライドリブ152上を移動するシーブベッド41、42の前面の位置を規定するストッパとして機能する。また、後部側位置決めリブ156は、載置面部150でスライドリブ152上を移動するシーブベッド41、42の後面の位置を規定するストッパとして機能する。
【0057】
すなわち、載置面部150では、シーブベッド41、42は、スライドリブ152に案内されることで、前部側位置決めリブ154及び後部側位置決めリブ156間で移動自在となっている。
【0058】
前部側位置決めリブ154(
図2参照)の前面側(マニホールド30側)には、側壁11aが、立設されている。
【0059】
側壁11aは、
図3に示すように、載置台13において、コンプレッサが載置される領域と、載置面部150との間に設けられた一対の挟持リブ間に挿入されることで、載置台13に対して立設されている。
【0060】
この側壁11aには、突出接続管41a、42aが挿入される開口部が形成されている。この開口部を挟んだマニホールド30側の位置には、継手部70の開口部71が、前部側位置決めリブ154側に開口して配置されている。以下、継手部70の説明において、シーブベッド42を主な接続対象として説明する。
【0061】
この継手部70は、シーブベッド42がスライドリブ152に沿って摺動した際に、シーブベッド42に接合して、シーブベッド42とマニホールド30とを接続する。また、継手部70の開口部71には、側壁11aの開口部を介して、突出接続管41a、42aが挿入され、接続される。このように継手部70は、載置台13において、載置面部150にシーブベッド42が載置された際に、突出接続管42aと対向する位置に配置される。そして、この継手部70には、シーブベッド42がスライドリブ152上を摺動して接続位置への移動することにより、突出接続管42aが挿抜自在に接合する。
【0062】
継手部70は、マニホールド30の送出管32と、突出接続管42a(41a)と接続して、マニホールド30からの圧縮空気をシーブベッド41、42に送出可能とする(
図2及び
図3参照)。
【0063】
継手部70は、筒状をなしている。継手部70の外周の中央部には、軸方向と直交する方向に窪む窪み75が、外周回りに設けられている。継手部70の両端部の開口部71、72には、マニホールド30の送出管32と、突出接続管42a(41a)とがそれぞれ挿入される。
【0064】
この継手部70は、工具を必要とせず、差し込み挿入のみで突出接続管42a(41a)と接続可能であり、突出接続管41aの着脱を容易に行えるワンタッチ継手部(クイックディスコネクト、クイックカップリング、或いは迅速継手とも称する)である。
【0065】
すなわち、継手部70は、一端側の開口部71に突出接続管42a(41a)を挿入するだけで、突出接続管42a(41a)を、開口部71内の係脱部材(ロック爪)713(
図8参照)に係合して固定する。また、突出接続管42a(41a)を継手部70から取り外す際には、継手部70では、一端側の開口部71の開口縁を構成するプッシュリング711を、他端側(突出接続管42a(41a)を挿入する方向である挿入方向)に移動する。これより、開口部71内で係脱部材の係合が開放、つまり、突出接続管42a(41a)の固定状態は開放されて、突出接続管42a(41a)自体は、継手部70の開口部71から引き抜き可能となる。継手部70は、このような機能を有するワンタッチ継手であれば、どのように構成してもよい。この継手部70の一例を
図8に示す。
【0066】
図8(a)は、継手部の通常状態(固定状態)を示す要部断面図であり、
図8(b)は、継手部における突出接続管の固定が解除された状態を示す要部断面図である。
【0067】
図8(a)に示すように、継手部70は、外周の中央部に窪み75を有する筒状の継手本体76を備える。この継手本体76の両端部で開口する部位に、開口部71、72が形成されている。継手本体76の内部では、突出接続管42aとマニホールド30とが連結され、マニホールド30にシーブベッド42(41)が接続される。
【0068】
開口部71は、継手本体76の一端側で開口する筒状本体761内に設けられている。開口部71は、筒状本体761と、筒状本体761内で軸方向に移動自在に配置され、且つ、開口端にプッシュリング711を有する移動筒状部716と、パッキン部712と、ロック爪713と、爪固定部714と、カラー部715とにより構成される。
【0069】
パッキン部712は、継手本体76の筒状本体761内に配置された環状部材であり、開口部71内に挿入される突出接続管42a(41a)の外周に外嵌する。
【0070】
ロック爪713は、開口部71内で突出接続管42aに係脱自在に設けられる。ロック爪713は、突出接続管42aに係合した際に、突出接続管42aとの接触摩擦により突出接続管42aを固定する。また、ロック爪713は、挿入方向へ移動する移動筒状部716に押圧されて、突出接続管42aとの接触摩擦が減少する。突出接続管42aと接触摩擦が減少した際(ここでは非係合状態という)には、ロック爪713は、突出接続管42aを固定状態から開放して引き抜き可能な状態とする。
【0071】
ロック爪713は、筒状本体761内に、開口部71の開口側から奥側に向かって軸心方向に傾斜するように延在して設けられている。ロック爪713では、基端部側が、筒状本体716内に内嵌された環状の爪固定部714により固定され、先端部713aが、突出接続管42a(41a)が挿入される領域内に突出している。なお、ここではロック爪713は、継手本体76の内周面に、周方向に沿って複数配設されており、挿入される突出接続管42a(41a)の外周面と、周方向に亘って係合するように構成されている。
【0072】
このロック爪713は、弾性変形自在であり、
図8(a)では、先端部713aで突出接続管42a(41a)を軸心側に押圧している。これにより、継手部70の開口部71内に挿入された突出接続管42a(41a)は、継手部70に固定される。爪固定部714は、ロック爪713の先端部713aが、突出接続管42a(41a)の挿入領域から退避するように変形する際のガイドとしても機能する。
【0073】
移動筒状部716は、筒状本体761内で軸方向(突出接続管42aの挿抜方向)に移動自在であり、移動筒状部716の奥側(継手部70の他端側)に移動した際に、ロック爪713の先端部713aを押圧する。すると、ロック爪713は、爪固定部714の外面に沿って変形し、これにより先端部713aは、継手部70の軸心に対して放射方向に移動して、突出接続管42aが挿入される領域から退避する。移動筒状部716は、筒状本体761の開口部分に内嵌されたカラー部715によって、筒状本体761からの抜けが防止されている。なお、カラー部715は、筒状本体761に内嵌されることで、筒状本体761の奥側(継手部70の他端側)の端部でロック爪713の基端部分を介して、環状に配置された爪固定部714及び環状のパッキン部712を固定している。
【0074】
このように構成された継手部70において、
図8(a)に示す状態で、移動筒状部716を矢印Hで示す挿入方向、つまり、筒状本体761の奥側(継手部70の他端側)に移動させる。具体的には、筒状本体761とプッシュリング711とを接近させる。
【0075】
これにより、移動筒状部716は、位置P1から継手部70の他端側に移動、つまり、挿入方向に移動して、ロック爪713の先端部713aを押圧して挿入方向に移動する。なお、このとき、移動筒状部716は、継手本体76において筒状本体761の内周に沿って環状に複数配置している先端部713aのすべてを押圧する。すると、
図8(b)に示すように、ロック爪713の先端部713aは、突出接続管42aの挿入領域から退避し、先端部713aの突出接続管42a(41a)への係合状態を開放する。これにより、開口部71から突出接続管42a(41a)を引き抜き可能となる。
【0076】
このように構成される継手部70は、
図3及び
図6に示すように、載置台13に形成された継手支持部132に遊嵌されている。
【0077】
図9は、継手支持部132の説明に供する図であり、詳細には、
図6において固定板金81を外した継手支持部132の平面図である。また、
図10は、
図9のA−A線断面図である。なお、
図9及び
図10に示す継手部70は、
図3で示す継手部70とともに外形が現れるように模式的に示している。
【0078】
図3、
図6、
図9、
図10に示すように、継手支持部132は、載置台13において、載置面部150に臨む位置で、載置面部150側と上方とに開口する凹状に設けられている。この継手支持部132の凹状部分は、載置面部150上にシーブベッド42が載置された際に、突出接続管42a(41a)に対応する高さ位置に形成されている。
【0079】
このように継手部70は、継手支持部132内で、一端側の開口部71を載置面部150側に向けて開口する。継手部70の開口部71は、載置面部150に載置されるシーブベッド42(41)の外周面の一部(突出接続管42a(41a)が突出する前面)側に臨む位置に配置されている。
【0080】
これにより、継手部70における一端側の開口部71は、載置面部150の外縁に臨む位置、つまり、載置面部150に載置されたシーブベッド42(41)における前面の突出接続管42a(41a)と対向する位置に配置されている。なお、この継手部70の他端側の開口部72に挿入して接合された送出管32は、可撓性を有するチューブであり、継手部70の移動に追従して、継手部70に接合した状態で移動する。
【0081】
この継手支持部132において凹状の内周面には、凸部134が形成されている。この凸部134には、継手部70の窪み75が遊嵌しており、内部に継手部70を配置させた状態で、継手支持部132の上端部間に固定板金81を架け渡してネジ止めされる(
図6参照)。これにより、固定板金81は、継手部70が継手支持部132から抜けることを防止している。
【0082】
ここでは、
図9及び
図10に示すように、継手支持部132内において、継手部70は、凸部134の軸方向(突出接続管42aの挿抜方向)の長さL2により規制される範囲で、軸方向に所定の長さで移動自在となっている。この所定の長さは、
図10で示すように、窪み75において軸方向の長さL1である底面75aを、軸方向の長さL2である継手支持部132の凸部134の天面が摺動する長さである。
【0083】
ここでは、継手部70は、継手支持部132内で凸部134に案内されて、凸部134の他端側の角部134bが継手部70の窪み75の他端側の傾斜面75bに当接する位置まで、移動する。このとき、継手部70における一端側の開口部71のプッシュリング711は、側壁11aを押圧する。すなわち、継手部70では、継手支持部132内で継手部70自体が、一端側、つまり、載置面部150側に移動すると、継手部70における一端側の開口部71が側壁11aを押圧する。すると、開口部71の開口縁を構成するプッシュリング711は、反力を受けて継手部70の他端側に移動して、ロック爪713の先端部713aが突出接続管42aの挿入領域から退避する。これにより、開口部71内に挿入されて固定された突出接続管42a(41a)は、固定状態が開放され、引き抜き可能となる。
【0084】
また、継手部70は、継手支持部132内において、挿入方向(開口部71の奥側)に移動すると、窪み75を介して凸部134に案内されることで、窪み75の一端側の傾斜面75cに凸部134の一端側の角部134aが当接する位置まで、移動する。凸部134の一端側の角部134aが継手部70の窪み75の一端側の傾斜面75cに当接した状態では、一端側の開口部71は、側壁(押さえ板)11aから離間し、側壁11aからの反力を受けなくなる。これにより、継手部70では、移動筒状部716によるロック爪713への押圧は解除され、ロック爪713の先端部713aは、突出接続管42aの挿入領域に突出する位置に復帰する。
【0085】
次に、この継手部70を用いた酸素濃縮器10へシーブベッド41、42の装着方法について
図11、
図12を用いて説明する。なお、酸素濃縮器10へのシーブベッド41の装着は、酸素濃縮器10へのシーブベッド42の装着と同様に行うため、シーブベッド41の装着は省略する。
【0086】
図11及び
図12は、本発明の一実施の形態に係る酸素濃縮器におけるシーブベッドの取り付け方法の説明に供する図であり、それぞれ継手部70とシーブベッド42の接続構造の縦断面図である。
【0087】
図11に示すように、所定容量のシーブベッド42を載置台13の載置面部150上に載置する。このとき、シーブベッド42の底面の位置決め溝部424を、スライドリブ152に外嵌させる。これにより、シーブベッド42は、載置面部150において所定位置に配置され、シーブベッド42の突出接続管42aの突出方向の延長線上に、継手部70の開口部71が位置した状態となる。
【0088】
この状態のシーブベッド42を、継手部70側にスライド移動させると、
図12に示すように、突出接続管42aは、側壁11aの開口部を通り、継手部70の開口部71内に圧入される。言い換えれば、シーブベッド42を継手部70側にスライド移動することで、突出接続管42aは、側壁11aの開口部を挿通して、継手部70の開口部71内に挿入する。
【0089】
開口部71内に突出接続管42aが挿入されると、継手部70は、挿入方向(他端部側)に移動する。このとき継手部70の開口部71は、側壁11aから離間する方向に移動する。すると、継手部70では、窪み75の傾斜面75cに、継手支持部132の凸部134の角部134aが当接する(
図10参照)。これにより、継手部70の挿入方向への移動は規制され、突出接続管42aは、固定された開口部71内に挿入されることで、開口部71内でロック爪713に係合し、継手部70に固定される。なお、載置面部150上で、シーブベッド42を、継手部70の方向にスライド移動させた際には、シーブベッド42は、前部側位置決めリブ154によって、その移動を規制される。よって、突出接続管42aが、必要以上に、開口部71内に挿入されることなく、継手部70が凸部134自体に当接した後、凸部134を必要以上に押圧することがない。
【0090】
このように、シーブベッド41、42を装着する際には、載置台13の載置面部150上に、シーブベッド41、42を上から載置した後、継手部70側にスライド移動(突出接続管42a(41a)の突出方向に摺動)させるだけでよい。この動作だけでシーブベッド41、42の突出接続管41a、42aを、継手部70に圧入することができ、継手部70を介してシーブベッド41、42とマニホールド30との接続を容易に行うことができる。
【0091】
また、シーブベッド41、42の取り外し時には、
図12で示す状態から、シーブベッド42を継手部70から離間する方向(挿入方向であるスライド方向とは逆の方向である逆スライド方向)である引き抜き方向に移動させる。
【0092】
すると、継手部70は、係合する突出接続管42aによって、側壁11a側に引っ張られる。この側壁11aによって、継手部70における開口部71のプッシュリング711は、継手部70の他端側に押圧されて移動し、突出接続管42aとの係合状態(突出接続管42aの固定状態)が開放される。このとき、突出接続管42aは引き抜き方向に移動しているため、そのまま継手部70から抜けることになる。なお、載置面部150上で、引き抜き方向に移動するシーブベッド42は、突出接続部42aを継手部70から引き抜いた状態で、後部側位置決めリブ156に当接する。これにより、シーブベッド42の引き抜き方向への移動が規制され、必要最小限の移動で、突出接続管42aを継手部70から引き抜くことができる。
【0093】
このようにシーブベッド41、42を、引き抜き方向に移動させただけで、継手部70から突出接続管41a、42aを引き抜くことができ、シーブベッド41、42とマニホールド30とを分離することができる。このように、シーブベッド41、42は、スライド方向の移動だけで容易に着脱することができる。
【0094】
したがって、メンテナンス部品であるシーブベッド42の着脱を容易に行うことができ、ひいては酸素濃縮器10のメンテナンス性の向上を図ることができる。具体的には、シーブベッド42の吸着材の交換が容易となり、組み立て工数の大幅な削減や、ひいては、配管同士を接続するクランプなどの部品点数の削減を図り、コストの低廉化を図ることができる。
【0095】
また、シーブベッド41、42は、底面に形成された位置決め溝部424を、載置面部150のスライドリブ152に係合させることで、スライド移動により継手部70に接続するため位置決めが行われる。すなわち、底面に形成された位置決め溝部424を、載置面部150のスライドリブ152に係合させると、シーブベッド42の突出接続管42aの先端に対向して、且つ、側壁11aの開口部を介して、継手部70の開口部71が配置される。
【0096】
したがって、酸素濃縮器10に装着されるシーブベッド42は、底面に形成される位置決め溝部424と、この位置決め溝部424の延長線上で平行に配置される突出接続管42aとの位置関係が同じであれば、外形の異なるシーブベッドであってもよい。すなわち、酸素濃縮器10には、シーブベッド42の外形(ここでは、シーブベッドが円筒状であるため、外径に相当)の異なるシーブベッド、つまり、容量の異なるシーブベッドを装着できる。
【0097】
このように、本実施の形態によれば、シーブベッド41、42の大きさ(具体的には、円柱状体における外径の大きさ)に関わらず、載置台13上でシーブベッド41、42をマニホールド30に対して確実に接続できる位置に配置できる。これにより、酸素濃縮器10において、シーブベッド41、42の取り付けを容易にしてメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0098】
また、位置決め溝部424をスライドリブ152に係合させることで、酸素濃縮器10におけるシーブベッドの配置位置が規定される。よって、複数のシーブベッドを酸素濃縮器10に装着する場合、載置面部150に載置されたシーブベッドの蓋部に設けられた接続口の向きを一定の方向に規定することができ、これらを接続チューブなどで接続する作業が容易となる。
【0099】
また、本実施の形態では、位置決め溝部424、スライドリブ152とで案内手段を構成したが、これに限らない。すなわち、互いにスライド自在に係合することで、載置台13にシーブベッド41、42をスライド自在に載置させるとともに、シーブベッド41、42のスライド移動を案内してマニホールド30に接続させる構成であれば、どのような形状としてもよい。例えば、スライドリブ152と同様の形状のスライドリブをシーブベッド41、42の底面に設けるとともに、このスライドリブにスライド自在に係合する位置決め溝部424を載置面部側に設けた構成としてもよい。また、シーブベッド41、42の底面と、シーブベッド41、42を載置する載置面部とのうちの一方に、断面凹状の第1係合部を、スライド方向に開口するように複数個配置し、他方に、これら第1係合部とスライド自在に係合する第2係合部を配置してもよい。このように、第1係合部及び第2係合部は、互いにスライド自在に係合することで、シーブベッド41、42を載置台13上で好適にマニホールド30に接続可能な位置に案内する構成であれば、どのように構成されてもよい。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。