(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122685
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】粉塵除去装置及び粉塵除去方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20170417BHJP
C01B 33/02 20060101ALI20170417BHJP
C30B 15/00 20060101ALI20170417BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
C30B29/06 502Z
C01B33/02 Z
C30B15/00 Z
B01D46/52 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-92510(P2013-92510)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-214051(P2014-214051A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004879
【氏名又は名称】三菱マテリアルテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】真田 浩嗣
【審査官】
塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−148906(JP,A)
【文献】
特開2007−015899(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/121391(WO,A1)
【文献】
特開2004−002180(JP,A)
【文献】
特開2005−288235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
C01B 33/00−33/193
B01D 46/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン製造装置と接続され、前記シリコン製造装置で発生した粉塵を除去する粉塵除去装置であって、
前記粉塵を吸着するフィルタと、
吸引装置と、
前記フィルタに、前記粉塵が吸着される第1領域と、前記第1領域に吸着力を発生させるための吸引装置が接続される第2領域とを画成する筐体と、
前記シリコン製造装置と前記第1領域とを流通可能に接続する第1流路と、
前記第2領域と吸引装置とを流通可能に接続する第2流路と、を備え、
前記第1流路、第2流路には、それぞれの流路を開閉する第1開閉弁、第2開閉弁が設けられ、
前記シリコン製造装置を運転する場合は、前記吸引装置を運転するとともに、前記第1開閉弁及び第2開閉弁を開状態とし、
前記シリコン製造装置の運転を終了して前記シリコン製造装置が大気解放された後に、前記第2開閉弁を開状態、前記第1開閉弁を閉状態としてから前記吸引装置を運転して前記筐体内を減圧し前記第2開閉弁を閉状態にした後に、前記第1開閉弁を開状態にして前記第1流路内の粉塵を前記第1領域に移動させるように構成されていることを特徴とする粉塵除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉塵除去装置であって、
前記第2領域を分離エア流入部に接続する第3流路を備え、
前記第3流路には、前記第3流路を開閉する第3開閉弁が設けられていて、
前記フィルタが吸着した粉塵を前記フィルタから分離する場合は、前記第1開閉弁及び第3開閉弁を閉状態、第2開閉弁を開状態にして、前記吸引装置を運転して前記筐体内を減圧し前記第2開閉弁を閉状態にした後に、前記第3開閉弁を開状態として前記分離エア流入部から分離エアを流入させるように構成されていることを特徴とする粉塵除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の粉塵除去装置であって、
前記第1領域と集塵機とを流通可能に接続する第4流路を備え、
前記第4流路には、第4開閉弁が設けられていて、
前記フィルタから粉塵を分離した後に、前記集塵機を運転しながら、前記第3開閉弁及び第4開閉弁を開状態、前記第1開閉弁及び第2開閉弁を閉状態とするように構成されていることを特徴とする粉塵除去装置。
【請求項4】
シリコン製造装置と接続され、前記シリコン製造装置で発生した粉塵を分離する粉塵除去方法であって、
前記粉塵を吸着するフィルタが筐体に格納されて、前記粉塵が吸着される第1領域と、前記第1領域に吸着力を発生させるための吸引装置が接続される第2領域とが画成されていて、
前記シリコン製造装置を運転する場合は、前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して、前記シリコン製造装置からの気体を前記フィルタの第1領域に吸着させ、
前記シリコン製造装置の運転が終了して前記シリコン製造装置が大気解放された後に、前記シリコン製造装置と前記第1領域間を閉状態にしてから前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して前記筐体内を減圧状態にし、減圧状態に維持した状態で前記第1領域と前記シリコン製造装置の間を流通可能にして前記シリコン製造装置と第1領域との間にある粉塵を前記第1領域に移動させることを特徴とする粉塵除去方法。
【請求項5】
請求項4に記載の粉塵除去方法であって、
前記フィルタが吸着した粉塵を前記フィルタから分離する場合は、前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して前記筐体内を減圧状態に維持した状態で、分離エア流入部から分離エアを流入させて、前記第2領域から前記第1領域に前記分離エアを流すことを特徴とする粉塵除去方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の粉塵除去方法であって、
前記フィルタから分離した粉塵を、集塵機により収集することを特徴とする粉塵除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリコン鋳造装置、結晶シリコン引上装置等のシリコン製造装置において原料シリコンが蒸発、凝固した際に発生するシリコンの粉塵を、容易かつ効率的に除去することが可能な粉塵除去装置及び粉塵除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、シリコン鋳造装置、結晶シリコン引上装置等のシリコン製造装置では、シリコンの製造過程において、溶融されたシリコンが蒸発、凝固して粉塵が発生し、これら粉塵をシリコン製造装置から吸引してフィルタで除去する場合がある。
【0003】
このようなシリコン製造装置で発生した粉塵の一部は、排気配管内に堆積する場合があり、排気配管内に堆積したシリコンの粉塵を除去するには、高温の配管を分解して清掃する必要があるうえ、堆積した粉塵は可燃性であるために、清掃等に多くの時間を費やす必要があり、シリコン製造装置で発生した粉塵を、効率的に除去する技術が求められていた。
【0004】
そこで、シリコン製造装置の排気系において、シリコンの粉塵を燃焼させることで、排気系の粉塵を、緩やかに燃焼させて容易に取扱うことを可能とした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−97797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、シリコンの粉塵を燃焼させることが必要であり、取扱いを注意する必要がある。そこで、シリコン製造装置内の粉塵、シリコン製造装置の排気系配管内の粉塵を容易かつ効率的に除去可能な技術に対する強い要請がある。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、シリコン製造装置に接続され、シリコン製造装置で原料シリコンが蒸発、凝固した際に発生し、シリコン製造装置の排気系配管内に堆積した粉塵を容易かつ効率的に除去することが可能な粉塵除去装置及び粉塵除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、シリコン製造装置と接続され、前記シリコン製造装置で発生した粉塵を除去する粉塵除去装置であって、前記粉塵を吸着するフィルタと、吸引装置と、前記フィルタに、前記粉塵が吸着される第1領域と、前記第1領域に吸着力を発生させるための吸引装置が接続される第2領域とを画成する筐体と、前記シリコン製造装置と前記第1領域とを流通可能に接続する第1流路と、前記第2領域と吸引装置とを流通可能に接続する第2流路と、を備え、前記第1流路、第2流路には、それぞれの流路を開閉する第1開閉弁、第2開閉弁が設けられ、前記シリコン製造装置を運転する場合は、前記吸引装置を運転するとともに、前記第1開閉弁及び第2開閉弁を開状態とし、前記シリコン製造装置の運転を終了して前記シリコン製造装置が大気解放された後に、前記第2開閉弁を開状態、
前記第1開閉弁を閉状態としてから前記吸引装置を運転して前記筐体内を減圧し前記第2開閉弁を閉状態にした後に、前記第1開閉弁を開状態にして前記第1流路内の粉塵を前記第1領域に移動させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、シリコン製造装置と接続され、前記シリコン製造装置で発生した粉塵を分離する粉塵除去方法であって、前記粉塵を吸着するフィルタが筐体に格納されて、前記粉塵が吸着される第1領域と、前記第1領域に吸着力を発生させるための吸引装置が接続される第2領域とが画成されていて、前記シリコン製造装置を運転する場合は、前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して、前記シリコン製造装置からの気体を前記フィルタの第1領域に吸着させ、前記シリコン製造装置の運転が終了して前記シリコン製造装置が大気解放された後に、
前記シリコン製造装置と前記第1領域間を閉状態にしてから前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して前記筐体内
を減圧状態にし、減圧状態に維持した状態で前記第1領域と前記シリコン製造装置
の間を流通可能にして前記シリコン製造装置と第1領域との間にある粉塵を前記第1領域に移動させることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る粉塵除去装置、粉塵除去方法によれば、シリコン製造装置を運転する場合は、フィルタの第2領域側を吸引装置で吸引してシリコン製造装置からの粉塵をフィルタの第1領域に吸着させ、シリコン製造装置の運転を終了した後、前記第2領域側を前記吸引装置により吸引した後に、前記筐体内を減圧状態に維持した状態で、第1領域をシリコン製造装置と流通可能にすることで、シリコン製造装置から第1領域に向かってエアを勢いよく流通させることができ、その結果、シリコン製造装置と筐体の間(配管等)に堆積している粉塵を勢いよく除去することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉塵除去装置であって、前記第2領域を分離エア流入部に接続する第3流路を備え、前記第3流路には、前記第3流路を開閉する第3開閉弁が設けられていて、前記フィルタが吸着した粉塵を前記フィルタから分離する場合は、前記第1開閉弁及び第3開閉弁を閉状態、第2開閉弁を開状態にして、前記吸引装置を運転して前記筐体内を減圧し前記第2開閉弁を閉状態にした後に、前記第3開閉弁を開状態として前記分離エア流入部から分離エアを流入させるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の粉塵除去方法であって、前記フィルタが吸着した粉塵を前記フィルタから分離する場合は、前記第2領域側を前記吸引装置により吸引して前記筐体内を減圧状態に維持した状態で、分離エア流入部から分離エアを流入させて、前記第2領域から前記第1領域に前記分離エアを流すことを特徴とする。
【0013】
この発明に係る粉塵除去装置、粉塵除去方法によれば、吸着した粉塵をフィルタから分離する場合には、第2領域を大気解放して分離エアを流入させて、第2領域から真空状態に近い圧力に維持された第1領域に向かう勢いのある分離エアの流れを形成することにより、粉塵をフィルタから分離する。その結果、シリコン製造装置において原料シリコンが蒸発、凝固した際に発生するシリコンの粉塵を容易かつ効率的に除去することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の粉塵除去装置であって、記第1領域と集塵機とを流通可能に接続する第4流路を備え、前記第4流路には、第4開閉弁が設けられていて、前記フィルタから粉塵を分離した後に、前記集塵機を運転しながら、前記第3開閉弁及び第4開閉弁を開状態、前記第1開閉弁及び第2開閉弁を閉状態とするように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の粉塵除去方法であって、前記フィルタから分離した粉塵を、集塵機により収集することを特徴とする。
【0016】
この発明に係る粉塵除去装置、粉塵除去方法によれば、フィルタから分離された粉塵を集塵機により収集するのでシリコン製造装置で発生する粉塵を、効率的に分離、回収することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る粉塵除去装置、粉塵除去方法によれば、シリコン製造装置で発生するシリコンの粉塵を容易かつ効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粉塵除去装置の概略構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る粉塵分離装置の詳細を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る粉塵除去装置の作用を説明する図であり、シリコン引上装置運転時の状態を示している。
【
図4】一実施形態に係る粉塵除去装置の作用を説明する図であり、シリコン引上装置の排気配管内に堆積した粉塵を除去する状態を示している。
【
図5】一実施形態に係る粉塵除去装置の作用を説明する図であり、フィルタに吸着された粉塵を分離する状態を示している。
【
図6】一実施形態に係る粉塵除去装置の作用を説明する図であり、フィルタから分離された粉塵を集塵する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図6を参照し、この発明の一実施形態に係る粉塵除去装置及び粉塵除去方法について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る粉塵除去装置の概略を示す図であり、符号1は粉塵除去装置を、符号10は粉塵分離装置を、符号Mは結晶シリコン引上装置(シリコン製造装置)を示している。
【0020】
粉塵除去装置1は、
図1、
図2に示すように、粉塵分離装置10と、集塵機30とを備え、結晶シリコン引上装置Mに接続され、結晶シリコン引上装置MのチャンバM1内で発生するシリコンの粉塵を排気配管M2を通じて吸引、除去するようになっている。
【0021】
粉塵分離装置10は、粉塵分離装置本体11と、吸引ポンプ15とを備え、粉塵分離装置本体11は、フィルタ12と、筐体13とを有している。
図2において、破線で示す矢印(F1、F2を含む)は、粉塵をシリコン引上装置Mから吸引するときの気体の流れを示し、実線で示す矢印(F3を含む)は、フィルタ12の吸着面12Aに吸着された粉塵を分離(逆洗)する際の分離エアの流れを示している。
【0022】
フィルタ12は、例えば、粉塵を含む気体から粉塵を分離可能な小孔が多数形成された材料(または払織布のような三次元網目構造を有する材料)等からなり、屈曲させることで一方の面と他方の面に凹凸を設けて波板状とすることで吸着面積が増大されていて、一方の面から他方の面に気体が流通することで、気体に含まれる粉塵がフィルタ12に吸着、捕捉されるようになっている。
【0023】
筐体13は、フィルタ12に粉塵が吸着される吸着面(第1領域)12Aと、吸着面(第1領域)12Aに吸着力を生じさせる吸引ポンプ15が接続される吸引面(第2領域)12Bとを画成するものであり、この実施形態では、対向配置されたふたつのフィルタ12の対向面を吸引面12Bとして吸引空間を形成し、この吸引面12Bの裏面を吸着面12Aとするために、吸引面12Bと吸着面12Aとを気密に仕切るとともにフィルタ12を覆って大気と離隔した構成とされ、内側底部は、フィルタ12から分離された粉塵が貯留される貯留部13Aとされている。
【0024】
また、筐体13には、第1流路を構成する排気接続配管21、第2流路を構成する吸引配管22、第3流路を構成する分離エア配管23、第4流路を構成する集塵配管24が形成されている。
【0025】
排気接続配管21は、シリコン引上装置Mとフィルタ12の吸着面12Aが位置する空間を流通可能に接続するものであり、第1開閉弁V1が設けられていて、第1開閉弁V1を開閉することにより排気接続配管21の流通を制御可能とされている。
【0026】
また、吸引配管22は、フィルタ12の吸引面12Bが位置する空間と吸引ポンプ15とを流通可能に接続するものであり、第2開閉弁V2が設けられていて、第2開閉弁V2を開閉することにより吸引配管22の流通を制御可能とされている。
【0027】
また、分離エア配管23は、分離エア流入部16と吸引面12Bが位置する空間とを流通可能に接続するものであり、第3開閉弁V3が設けられていて、第3開閉弁V3を開閉することにより分離エア配管23の流通を制御可能とされ、分離エア流入部16から吸引空間に分離エアが流入可能とされている。
【0028】
また、集塵配管24は、フィルタ12の吸着面2Aが位置する空間と集塵機30とを流通可能に接続するものであり、第4開閉弁が設けられていて、第4開閉弁V4を開閉することにより集塵配管24の流通を制御可能とされている。
【0029】
吸引ポンプ15は、例えば、真空ポンプにより構成されていて、筐体13内のフィルタ12の吸引面12Bが位置する空間に接続されて、筐体13内を所定の圧力まで減圧可能とされている。
【0030】
シリコン引上装置Mは、例えば、原料シリコンを溶融して、種結晶をシリコン融液に浸漬、引き上げて結晶シリコンを製造するものであり、結晶シリコンを溶融する際に負圧状態を形成、保持するチャンバM1と、結晶シリコン製造過程でシリコンが蒸発、凝固して発生したシリコンの粉塵を含有する気体を、粉塵除去装置1に排気する排気配管M2とを備えており、チャンバM1は、排気配管M2を介して排気接続配管21に接続されている。
【0031】
集塵機30は、集塵ポンプ31と、ダストコレクタ32とを備え、集塵配管24により筐体13の貯留部13A近傍に接続され、集塵ポンプ31でダストコレクタ32内を吸引することにより、貯留部13Aに堆積した粉塵をダストコレクタ32に集塵するようになっている。
【0032】
なお、粉塵除去装置1は、図示しない制御部を備えており、第1吸引ポンプ15、集塵機30の運転、第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、第3開閉弁V3、第4開閉弁V4の開閉を制御可能とされている。
【0033】
次に、
図3〜
図6を参照して、粉塵除去装置1の作用を説明する。
<シリコン引上装置運転時>
シリコン引上装置Mを運転する場合は、吸引ポンプ15を運転するとともに、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を開状態とし、第3開閉弁V3及び第4開閉弁V4を閉状態とする。
その結果、
図3に示すように、シリコン引上装置Mで発生した粉塵を含む気体は、排気配管M2及び排気接続配管21を矢印F1方向に流れて、フィルタ12を通過してフィルタ12の吸着面12Aで粉塵が吸着されてから、吸引配管22を矢印F2方向に流れて吸引ポンプ15に吸引される。
【0034】
<シリコン引上装置運転終了後>
次に、シリコン引上装置Mの運転が終了したら、チャンバM1は大気解放されて大気圧となる。その後、第2開閉弁V2を開状態、第1開閉弁V1、第3開閉弁V3、第4開閉弁V4を閉状態としてから吸引ポンプ15を運転して、筐体13内を真空に近い圧力まで減圧して、第2開閉弁V2を閉状態にして筐体13内を真空に近い圧力で維持した状態で、第1開閉弁V1を開状態とする。
第1開閉弁V1を開状態とすると、
図4に示すように、排気配管M2及び排気接続配管21内に堆積した粉塵が、筐体13内に向かって矢印F1A方向に勢いよく移動する。この操作は、堆積している粉塵の量に応じて、複数回繰り返してもよく、複数回繰り返えすことにより排気配管M2内の粉塵を充分に除去することができる。
【0035】
<フィルタからの粉塵分離>
次いで、フィルタ12が吸着した粉塵をフィルタ12から分離する場合は、第1開閉弁V1、第3開閉弁V3を閉状態、第2開閉弁V2を開状態にして吸引ポンプ15を運転して、筐体13内を真空に近い圧力まで減圧し、その後、第2開閉弁V2を閉状態にした後に、第3開閉弁V3を開状態とすることで、
図5に示すように、分離エア流入部16からフィルタ12の吸引面12B側に向かって分離エア(大気)が矢印F3方向に流入する。
その結果、フィルタ12の吸着面12Aに吸着された粉塵は、フィルタ12から分離、落下して、貯留部13Aに堆積する。このとき、フィルタ12の吸着面12A側が減圧されていると、粉塵がフィルタ12から効率的に分離される点で好適である。
【0036】
<フィルタから分離された粉塵の集塵>
次に、フィルタ12から粉塵が分離されて貯留部13Aに落下した後は、第3開閉弁V3及び第4開閉弁V4を開状態とし、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を閉状態としてから、集塵機30を運転する。
その結果、
図6に示すように、貯留部13Aに堆積した粉塵が集塵機30によって矢印F4方向に吸引されてダストコレクタ32に集塵される。
【0037】
以上、説明したように、粉塵除去装置1及び粉塵除去方法によれば、シリコン引上装置Mで発生し、排気配管M2等に堆積した粉塵を効率的に除去することができる。
また、フィルタ12に吸着した粉塵を、分離エアにより逆洗することで、フィルタ12に吸着された粉塵を効率的にフィルタ12から分離することができる。
また、筐体13の貯留部13Aに堆積した粉塵を、集塵機30により集塵することにより、シリコンの粉塵を効率的かつ安全に除去することができる。
【0038】
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、シリコン製造装置として、結晶シリコン引上装置Mに接続する場合について説明したが、結晶シリコン引上装置Mに代えて、例えば、シリコン鋳造装置等、結晶シリコンを製造する過程でシリコンの粉塵が発生するシリコン製造装置に適用してもよい。
【0039】
また、上記実施の形態においては、粉塵除去装置1が、シリコン引上装置Mの運転が終了した後に、筐体13内を真空に近い圧力まで減圧してから第2開閉弁V2を閉状態にして筐体13内を真空にし、その後、第3開閉弁V3を開状態とすることで、フィルタ12の吸着面12Aに付着した粉塵を吸着面12Aから除去する場合について説明したが、フィルタ12の吸着面12Aに付着した粉塵を逆洗除去する構成を備えない設定としてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態においては、粉塵除去装置1が集塵機30を備えていて、貯留部13Aに堆積した粉塵を集塵機30で集塵する場合について説明したが、集塵機30を備えない構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、集塵機30が集塵ポンプ31を備えた構成である場合について説明したが、サイクロン形式等の集塵機を用いてもよいことはいうまでもない。
【0041】
また、上記実施の形態においては、二枚の波板状のフィルタ12を対向配置して、二枚のフィルタ12間に吸引面が位置する空間が形成される場合について説明したが、一枚又は三枚以上のフィルタを用いてもよし、筒状フィルタの外周面と内周面に吸引面と吸着面を画成してもよい。
また、板状フィルタに代えて、筒状のフィルタや波状凹凸面が形成されたフィルタを用いることもできる。
【0042】
また、上記実施の形態においては、第1吸引ポンプ15、集塵機30の運転、第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、第3開閉弁V3、第4開閉弁V4の開閉が、制御部により制御される場合について説明したが、人手により運転操作又は開閉操作する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る粉塵除去装置によれば、シリコン製造装置で発生し、排気配管等に堆積した粉塵を効率的に除去できるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
M シリコン引上装置(シリコン製造装置)
V1 第1開閉弁
V2 第2開閉弁
V3 第3開閉弁
V4 第4開閉弁
1 粉塵除去装置
10 粉塵分離装置
11 粉塵分離装置本体
12 フィルタ
12A 吸着面(第1領域)
12B 吸引面(第2領域)
13 筐体
15 吸引ポンプ(吸引装置)
16 分離エア流入部
21 排気接続配管(第1流路)
22 吸引配管(第2流路)
23 分離エア配管(第3流路)
24 集塵配管(第4流路)
30 集塵機