(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122694
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】車載用表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 7/00 20060101AFI20170417BHJP
G01D 11/28 20060101ALI20170417BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
G01D7/00 303F
G01D11/28 D
B60K35/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-108160(P2013-108160)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-228391(P2014-228391A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安本 貴史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 安彦
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−291718(JP,A)
【文献】
特開2000−038054(JP,A)
【文献】
特開平10−185628(JP,A)
【文献】
特開2009−047666(JP,A)
【文献】
特開2005−308488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00,11/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立姿勢に配置されて第1の表示画像を表示する第1の表示器と、この第1の表示器に対し略直交する前方位置に配置されて第2の表示画像を表示する第2の表示器と、これら第1および第2の表示器で挟まれた空間を斜めに横切るように傾斜姿勢で配置されたハーフミラーと、前記第1の表示器の前方に配置された装飾部材と、この装飾部材に光を照射する光源とを備え、前記ハーフミラーが前記第1の表示画像を観察者側に透過して前記第2の表示画像を観察者側に反射することにより、前記第1および第2の表示画像を合成した合成表示画像が表示される車載用表示装置であって、
前記第2の表示器における前記第1の表示器に近い方の後端部と前記ハーフミラーの後端部との間に遮光部材を設け、この遮光部材の後方に前記光源を配置したことを特徴とする車載用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用表示装置において、前記第2の表示器が液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであると共に、この第2の表示器の表示画面が前記遮光部材によって画像表示領域と発光領域とに仕切られており、この発光領域から発せられる光が前記光源であることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載用表示装置において、前記第2の表示器が液晶パネルとバックライトを積層した液晶ディスプレイであると共に、前記バックライトに前記液晶パネルから突出する露出部を設け、この露出部から発せられる光が前記光源であることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車載用表示装置において、前記装飾部材の内部に導光体を設け、この導光体の一端側を前記光源に対向させると共に、該導光体の他端側を前記装飾部材の前面に設けた照光部に対向させたことを特徴とする車載用表示装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の車載用表示装置において、前記装飾部材が前記合成表示画像の外縁の少なくとも一部を囲む位置に配置可能な装飾リングであり、この装飾リングの前面が前記光源の光に対して鋭角に傾斜していることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用表示装置において、前記装飾リングの背面が前記第1の表示器の表示画面と略平行に対向していると共に、この装飾リングが側面視で前記光源に向かっ
て先窄まりの形状を有していることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載用表示装置において、前記第1および第2の表示器と前記ハーフミラーが開口部を有するパネルカバーによって覆われており、このパネルカバーの内底面側に前記第2の表示器が配置されていると共に、前記第2の表示器の後端側から起立する前記遮光部材の上端と前記開口部の上辺側との間に前記ハーフミラーが架設されていることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載用表示装置において、前記第2の表示器の表示画面上に光の透過方向を制限する光学的フィルムが敷設されていることを特徴とする車載用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のインストルメントパネルに設置して使用される車載用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の車載用表示装置として、前面を開口したパネルカバーの内部にハーフミラーを傾斜姿勢で配置し、このハーフミラーの後方に第1の表示画像を表示する第1の表示器を配置すると共に、ハーフミラーの前方上部に第2の表示画像を表示する第2の表示器を配置することにより、第1の表示画像と第2の表示画像を合成表示するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車載用表示装置は、第1の表示器とハーフミラーとの間に配置されたリング状の反射部材を備えており、この反射部材がハーフミラーを透過して入射する第2の表示器からの光の一部を受けて光輝することにより、合成表示画像の外縁を囲む第3の表示画像が表示されるようになっている。
【0003】
このように概略構成された車載用表示装置では、パネルカバーの開口内を目視する観察者に対して、ハーフミラーが第1の表示画像を観察者側に透過し、第2の表示画像を観察者側に反射することにより、ハーフミラーに第1の表示画像と第2の表示画像を合成した合成表示画像が形成される。また、反射部材がハーフミラーを透過して入射する第2の表示器からの光の一部を受けて観察者側に反射することにより、第1の表示器の前方に配置されたリング状の反射部材が光輝するため、合成表示画像の外縁を囲むように第3の表示画像が表示される。その際、第2の表示画像は虚像として最も奥まった位置に表示され、その手前位置に第1の表示画像と第3の表示画像が順次表示されることにより、平面的な表示とならずに立体感やメリハリのある表示を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の車載用表示装置では、第1の表示器の前方に配置したリング状の反射部材がハーフミラーを透過して入射する第2の表示器からの光の一部を受けて光輝するため、外光が少なかったり全くない夜間等の暗所においても、観察者は反射部材の存在を認識することができる。しかしながら、反射部材を光輝させる第2の表示器からの光の一部がハーフミラーの表面で反射し、その反射光によって反射部材と周囲のコントラストが低下してしまうため、視認性の悪い表示になってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、合成表示画像の周囲に配置された装飾リングを視認性を損なうことなく照光することができる車載用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の車載用表示装置は、
起立姿勢に配置されて第1の表示画像を表示する第1の表示器と、この第1の表示器に対し略直交する
前方位置に配置されて第2の表示画像を表示する第2の表示器と、これら第1および第2の表示器
で挟まれた空間を斜めに横切るように
傾斜姿勢で配置されたハーフミラーと、前記第1の表示器の前方に配置された装飾部材と
、この装飾部材に光を照射する光源とを備え、前記ハーフミラーが前記第1の表示画像を観察者側に透過して前記第2の表示画像を観察者側に反射することにより、前記第1および第2の表示画像を合成した合成表示画像が表示される車載用表示装置
であって、前記第2の表示器
における前記第1の表示器に近い方の後端部と前記ハーフミラーの
後端部との間に遮光部材を設け、この遮光部材の後方に
前記光源を配置するようにした。
【0008】
このように構成された車載用表示装置では、
略直交する第1の表示器と第2の表示器と
で挟まれた空間内に斜めに配置されたハーフミラーが、第1の表示画像を観察者側に透過して第2の表示画像を観察者側に反射することにより、第1の表示画像と第2の表示画像を合成した合成表示画像が形成され、さらに、第1の表示器の前方に配置された装飾部材がハーフミラーを透過して視認されるため、観察者は立体感のある表示画像を目視することができる。また、第2の表示器
における第1の表示器に近い方の後端部とハーフミラーの
後端部との間に遮光部材が介設されており、この遮光部材の後方に配置した光源の光がハーフミラーに入射されることなく装飾部材に直接照射されるため、夜間等の暗所でも装飾部材の存在を目立たせることができ、コントラストの低下を押さえて視認性に優れた表示を行うことができる。
【0009】
上記の構成において、第2の表示器が液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであると共に、この第2の表示器の表示画面が遮光部材によって画像表示領域と発光領域とに仕切られており、この発光領域から発せられる光が光源であると、第2の表示器の発光領域から発せられる任意色の光で装飾部材を照光することができる。
【0010】
また、上記の構成において、第2の表示器が液晶パネルとバックライトを積層した液晶ディスプレイである場合、このバックライトの一部を液晶パネルから突出させて露出部となし、この露出部から発せられる光を光源として利用すれば、バックライトから発せられる単一色の光で装飾部材を照光することができる。
【0011】
また、上記の構成において、装飾部材の内部に導光体を設け、この導光体の一端側を光源に対向させると共に、該導光体の他端側を装飾部材の前面に設けた照光部に対向させると、装飾部材の内部から照光部の前方へ光が出射されるため、装飾部材の照光部をインジケータ等として利用することができる。
【0012】
また、上記の構成において、装飾部材が合成表示画像の外縁の少なくとも一部を囲む位置に配置可能な装飾リングであり、この装飾リングの前面が光源の光に対して鋭角に傾斜していると、光源の光が装飾リングの前面全体に照射されるため、装飾リングの前面全体をほぼ均一な明るさで照光することができる。
【0013】
この場合において、肉厚が均一の装飾リング全体を第1の表示器の表示画面に対して傾斜させても良いが、装飾リングの背面が第1の表示器の表示画面と略平行に対向していると共に、この装飾リングが側面視で光源に向かって先窄まりの形状を有していると、装飾リングの尖鋭状端部を光源に向けることによって、光源の光を装飾リングの前面に効率良く照射することができる。
【0014】
また、上記の構成において、第1および第2の表示器とハーフミラーが開口部を有するパネルカバーによって覆われており、このパネルカバーの内底面側に第2の表示器が配置されていると共に、第2の表示器の後端側から起立する遮光部材の上端と開口部の上辺側との間にハーフミラーが架設されていると、太陽光が前傾姿勢のハーフミラーに直接入射しにくくなるため、パネルカバーに必要なバイザーの突出量を少なくしても太陽光の反射を抑制することができる。
【0015】
この場合において、第2の表示器の表示画面上に光の透過方向を制限する光学的フィルムが敷設されていると、第2の表示器から直接開口部を通って観察者側へ向かう第2の表示画像を光学的フィルムによって遮断し、光学的フィルムが第2の表示器からハーフミラーへ向かう第2の表示画像だけを通過することができるため、観察者に対して第2の表示器の存在を分かりにくくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載用表示装置では、
略直交する第1の表示器と第2の表示器と
で挟まれた空間内にハーフミラーを斜めに配置して第1および第2の表示画像の合成表示画像を表示するようになし、第2の表示器の後端部とハーフミラーの
後端部との間に遮光部材を設けると共に、この遮光部材の後方に装飾部材に光を照射する光源を配置することにより、ハーフミラーの後方に配置した装飾部材に対して光源の光を直接照射するようにしたので、夜間等の暗所でも装飾部材の存在を目立たせることができ、コントラストの低下を押さえて視認性に優れた表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態例に係る車載用表示装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す車載用表示装置の縦断面図である。
【
図3】該車載用表示装置の表示内容を示す説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態例に係る車載用表示装置の縦断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態例に係る車載用表示装置の縦断面図である。
【
図6】本発明の第4実施形態例に係る車載用表示装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、
図1〜
図3に基づいて本発明の第1実施形態例を説明すると、
図1に示すように、本実施形態例に係る車載用表示装置1は、車室内で運転席の前方に位置するインストルメントパネルに設置して使用され、長方形状の開口部2aを有するパネルカバー2と、パネルカバー2の背面側に配設された第1の表示器3と、パネルカバー2の内底面側に配設された第2の表示器4と、これら第1および第2の表示器3,4の間を斜めに横切るように配設されたハーフミラー5と、第1の表示器3の前方に配置された円環状の装飾リング(装飾部材)6等を備えている。
【0019】
パネルカバー2は遮光性樹脂で成形された筐体からなり、その前面には開口部2aを包囲するようにバイザー2bが設けられている。バイザー2bは太陽光の直接入射を遮るようにパネルカバー2の前方へ突出しており、その突出量は天面側が最も多くなるように設定されている。パネルカバー2の内部には遮光性樹脂等からなる横長板状の遮光部材11が配設されており、この遮光部材11は開口部2aの下辺よりも下方位置でパネルカバー2の背面と所定間隔を存して対向している。
【0020】
ハーフミラー5は反射光と透過光の強さをほぼ同じくする公知のビームスプリッターであり、ハーフミラー5の上端は開口部2aの上辺よりも上方位置でパネルカバー2の前面裏側に支持されている。また、ハーフミラー5の下端は遮光部材11の上端に支持されており、遮光部材11はハーフミラー5を支持する支持部材としての機能を有している。
【0021】
装飾リング6は遮光部材11とパネルカバー2の背面とで挟まれた空間の上方に配置されており、その外表面には装飾メッキ等が施されている。装飾リング6は第1の液晶パネル7の表示画面7aと一定間隔を存して対向しており、この装飾リング6によって後述する合成表示画像の外縁が包囲されるようになっている。
【0022】
第1の表示器3は、長方形状の表示画面を有する第1の液晶パネル7と、その裏面に積層・一体化された第1のバックライト8とを有するカラータイプの液晶ディスプレイからなり、第1の液晶パネル7の表示画面7aは、パネルカバー2の背面に形成された図示しない矩形状の開口から露出して開口部2aと正対している。この表示画面7aには車両の状態に関連する各種情報、例えば、走行速度、エンジン回転数、燃料残量、エンジンオイル残量、ナビゲーション画面等の第1の表示画像が表示され、第1の表示画像はハーフミラー5を透過して車室内の観察者に目視される。なお、第1の表示器3にモータを駆動源として回転する指針を付設し、この指針と表示画面7a上の第1の表示画像とを組合せた指針式の表示画像によって、走行速度やエンジン回転数等を表示するようにしても良い。
【0023】
第2の表示器4は、長方形状の表示画面を有する第2の液晶パネル9と、その裏面に積層・一体化された第2のバックライト10とを有するカラータイプの液晶ディスプレイからなり、第2の液晶パネル9の表示画面は第1の液晶パネル7の表示画面7aと直交している。第2の液晶パネル9は遮光部材11の下方位置に配置されており、この遮光部材11によって第2の液晶パネル9の表示画面は前方の画像表示領域9aと後方の発光領域9bとに仕切られている。
【0024】
第2の液晶パネル9の画像表示領域9aには車両の状態に関連する各種情報である第2の表示画像が表示され、第2の表示画像は画像表示領域9a上に敷設された光学的フィルム12を透過した後、ハーフミラー5によって開口部2aの方向に反射される。この光学的フィルム12は光の透過方向を制限するブラインド機能を持つフィルムであり、本実施形態例ではLCF(Light Control Film 米3M社の登録商標)が用いられている。したがって、観察者が開口部2aを通して第1の表示器3を目視したとき、第1の液晶パネル7の表示画面7aの前方(
図2の破線Vで示す位置)に第2の表示画像が虚像として現れるため、観察者は第1の液晶パネル7の第1の表示画像と第2の液晶パネル9の第2の表示画像とを合成した合成表示画像を目視することができる。
【0025】
図3はかかる合成表示画像の一例を示すものであり、この場合、装飾リング6で囲まれた円形領域内にエンジン回転数の目盛りと指針が第1の表示画像として表示され、中央部に走行速度(56Km/h)とシフトポジション(Dレンジ)が第2の表示画像として表示されるため、合成表示画像を装飾リング6で周囲の画面から仕切って目立たせることができる。それ以外にも、装飾リング6で囲まれた円形領域内にエンジン回転数や走行速度を第2の表示画像として表示し、装飾リング6の側方の2点鎖線で示す表示領域Sにナビゲーション画面等を第1の表示画像として表示することができる。あるいは、装飾リング6で囲まれた円形領域内にエンジン回転数や走行速度の目盛りを第1の表示画像として表示し、指針を第2の表示画像として表示する等、第1の表示画像と第2の表示画像の組合せによって種々の合成表示画像を表示することができる。
【0026】
一方、第2の液晶パネル9の発光領域9bは合成表示画像に関与しない発光部であり、この発光領域9bを光源Pとする第2の液晶パネル9の光が装飾リング6の外表面に照射されるようになっている。その際、発光領域9bの前方に遮光部材11が立設されているため、光源Pである発光領域9bから出射した光が観察者から直接目視されることはなく、発光領域9bからの光を装飾リング6の外表面に直接照射することができる。また、発光領域9bは第2の液晶パネル9の表示画面の一部であるため、装飾リング6の外表面に対して任意色の光を照射することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用表示装置1では、第1の表示器3と第2の表示器4との間に斜めに配置されたハーフミラー5が、第1の表示器3の第1の表示画像を観察者側に透過して第2の表示器4の第2の表示画像を観察者側に反射することにより、第1の表示画像と第2の表示画像を合成した合成表示画像が形成され、この合成表示画像の外縁を円環状の装飾リング6で囲んだ表示態様となるため、観察者は立体感のある表示画像を目視することができる。また、第2の表示器4として第2の液晶パネル9と第2のバックライト10を積層・一体化した液晶ディスプレイを用い、この第2の液晶パネル9の表示画面を遮光部材11によって画像表示領域9aと発光領域9bとに仕切ると共に、ハーフミラー5の下端を遮光部材11で支持するようにしたので、発光領域9bから発せられる光を光源Pとして、その光をハーフミラー5に直接入射させることなく装飾リング6の外表面に直接照射することができる。したがって、外光が少なかったり全くない夜間等の暗所においても、装飾リング6だけを光輝させて周囲の表示画面とのコントラストを高めることができ、車室内の観察者は装飾リング6の存在を明確に認識することができる。しかも、第2の液晶パネル9の表示画面の一部である発光領域9bを光源Pとして利用しているため、わざわざ光源を別途設ける必要がなくなって構成を簡素化できると共に、発光領域9bの光によって装飾リング6の外表面を任意色で光輝させることができる。
【0028】
また、本実施形態例に係る車載用表示装置1では、開口部2aを有するパネルカバー2の内底面側に第2の液晶パネル9と第2のバックライト10を配設し、第2の液晶パネル9の表示画面から起立する遮光部材11と開口部2aの上辺側との間にハーフミラー5を前傾姿勢で配置したため、開口部2aの上部前方へ突出するバイザー2bの突出量を比較的小さく設定しても、太陽光がハーフミラー5に直接入射しにくくなり、太陽光の反射に起因する視認性の低下を抑止することができる。ただし、第2の表示器4(第2の液晶パネル9と第2のバックライト10)をパネルカバー2の天面側に配設することも可能であり、この場合、ハーフミラー5は開口部2aの下辺側から斜め後方へ傾斜する後傾姿勢で配置されるため、太陽光のハーフミラー5での反射を抑止するのには、バイザー2bの前方への突出量を大きくする必要がある。
【0029】
また、パネルカバー2の内底面側に配設された第2の液晶パネル9の表示画面(画像表示領域9a)上に光の透過方向を制限する光学的フィルム12を敷設したため、光学的フィルム12のブラインド機能を利用して、第2の液晶パネル9上の第2の表示画像をハーフミラー5の方向にだけ透過させることができる。したがって、観察者が開口部2aを通して第2の液晶パネル9を目視したとき、第2の表示画像は光学的フィルム12に遮断されて直接には見えなくなり、観察者に対して第2の液晶パネル9の存在を分かりにくくすることができる。
【0030】
なお、上記の第1実施形態例では、第2の表示器4として液晶ディスプレイ(第2の液晶パネル9と第2のバックライト10)を使用しているが、液晶ディスプレイの代わりに有機ELディスプレイを使用することも可能であり、この場合はバックライトを省略することができる。
【0031】
図4は本発明の第2実施形態例に係る車載用表示装置20の縦断面図であり、
図2に対応する部分には同一符号を付してある。
【0032】
第2実施形態例に係る車載用表示装置20では、第2の表示器4を構成する第2の液晶パネル9と第2のバックライト10が同じ大きさになっておらず、第2のバックライト10に第2の液晶パネル9から後方へ突出する露出部10aを設け、この露出部10aから発せられる光を光源Pとしており、この点が前述した第1実施形態例と相違しているが、それ以外の構成は基本的に同じである。この場合、光源Pとなる露出部10aからは単一色の光(白色光)が発せられるため、装飾リング6の外表面を単一色で光輝させることができる。また、第2の液晶パネル9に発光領域9bを設ける必要がなくなるため、第2の液晶パネル9の表示画面の全てを画像表示領域9aとすることができる。なお、露出部10aに着色フィルタを被着させることで、装飾リング6の外表面を所望の色で光輝させることも可能である。
【0033】
図5は本発明の第3実施形態例に係る車載用表示装置30の縦断面図であり、
図2に対応する部分には同一符号を付してある。
【0034】
本実施形態例に係る車載用表示装置30が第1実施形態例と相違する点は、装飾リング6の形状を側面視で光源P(発光領域9b)に向けて先窄まりにしたことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。すなわち、装飾リング6は上端から下端に向かって肉厚を次第に小さくした側面視三角形状に形成されており、この三角形の一辺側を第1の表示器3の表示画面に平行に対向させた状態で発光領域9bの上方に配置されている。したがって、装飾リング6の前面が光源Pである発光領域9bの表面に対して鋭角に傾斜した状態となり、光源Pの光が装飾リング6の前面全体に効率良く照射されるため、装飾リング6の前面全体をほぼ均一な明るさで照光することができる。
【0035】
図6は本発明の第4実施形態例に係る車載用表示装置40の縦断面図であり、
図2に対応する部分には同一符号を付してある。
【0036】
本実施形態例に係る車載用表示装置40が第3実施形態例と相違する点は、側面視三角形状に形成した装飾リング6の内部に導光体13を設け、この導光体13の下端側を集光レンズ14を介して光源P(発光領域9b)に対向させると共に、導光体13の前端側を装飾リング6の照光部6aに対向させたことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。照光部6aは円環状の装飾リング6の前面に周方向に沿って複数設けられており、例えば、
図3に示した合成表示画像であるエンジン回転数の目盛り(0,1,2……8)位置に装飾リング6の各照光部6aが一致するようになっている。このように構成すると、光源Pの光が装飾リング6の前面全体に照射されるだけでなく、集光レンズ14と導光体13を介して装飾リング6の内部から照光部6aの前方にも光源Pの光が出射されるため、装飾リング6の照光部6aをインジケータ等として利用することができる。
【0037】
また、この第4実施形態例において、導光体13として例えば光ファイバーのような透光性部材を使用し、この透光性部材の先端を遮光性合成樹脂で形成した装飾リング6の照光部6aから露出させるようにしても良いが、装飾リング6自体を透光性合成樹脂から形成することで導光体として兼用すると共に、照光部6a以外の前面をメッキ等によって遮光することにより、集光レンズ14から装飾リング6に入射した光を照光部6aから出射させるように構成することも可能である。
【0038】
なお、上記した第3,4実施形態例で説明した側面視三角形状の装飾リング6を第2実施形態例に係る車載用表示装置20に適用し、この装飾リング6の尖鋭状下端部を光源Pである第2のバックライト10の露出部10aに対向させるようにしても良い。この場合、装飾リング6の前面が露出部10aの表面に対して鋭角に傾斜した状態となるため、装飾リング6の前面全体を単一色で光輝させることができる。
【0039】
また、上記した各実施形態例では、第1の表示器3の前方に円環状の装飾リング6を1つだけ配置した場合について説明したが、第1の表示器3の前方に左右一対の装飾リング6を配置し、これら2つの装飾リング6で囲まれた円形領域内にエンジン回転数や走行速度等に関連する合成表示画像をそれぞれ表示するようにしても良い。また、装飾部材である装飾リング6は、合成表示画像の外縁の少なくとも一部を囲む形状であれば必ずしも円環状でなくても良く、半円弧状等の装飾リングを用いることも可能である。あるいは、装飾部材を例えばキャラクターや各種マーク等を象ったリング形状以外の形状とし、このような装飾部材を合成表示画像に重なる位置または合成表示画像の外側に配置しても良い。
【0040】
また、上記した各実施形態例では、合成表示画像の外縁を囲む装飾リング(装飾部材)6が常に同じ位置にある場合について説明したが、1つまたは複数の装飾部材をモータ等を駆動源として第1の表示器3の表示画面と平行な方向へ移動可能とし、合成表示画像の表示内容等に応じて装飾部材の停止位置を変えるようにしても良い。この場合、光源Pとして用いられる第2の液晶パネル9の発光領域9bや第2のバックライト10の露出部10aは装飾部材の移動範囲の全域に亘って延設されているため、装飾部材がどのような位置で停止していても、光源Pの光を装飾部材の外表面に直接照射させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1,20,30,40 車載用表示装置
2 パネルカバー
2a 開口部
2b バイザー
3 第1の表示器
4 第2の表示器
5 ハーフミラー
6 装飾リング(装飾部材)
6a 照光部
7 第1の液晶パネル
7a 表示画面
8 第1のバックライト
9 第2の液晶パネル
9a 画像表示領域
9b 発光領域
10 第2のバックライト
10a 露出部
11 遮光部材
12 光学的フィルム
13 導光体
14 集光レンズ
P 光源