(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
[蓄電池管理システムの構成例]
図1は、本実施形態における蓄電池管理システムの構成例を示している。同図に示す蓄電池管理システムは、複数の家庭内エネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System)10と蓄電池管理サーバ300とを備える。
家庭内エネルギー管理システム10は、例えば商用交流電源、再生可能エネルギー利用装置(太陽光発電装置など)、蓄電池、蓄熱装置などを複合的に利用して家庭内の電力を管理するシステムである。同図においては、家庭内エネルギー管理システム10が備える装置として、蓄電装置100及び蓄電池管理装置200を示している。
【0024】
蓄電装置100は、例えば商用交流電源や再生可能エネルギー利用装置から供給される電力を蓄積し、必要に応じて放電して付加に供給する装置である。このために、蓄電装置100は、蓄電池を備える。なお、蓄電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
【0025】
そのうえで、本実施形態の蓄電装置100は、1以上の蓄電池カートリッジ101を備える。なお、以降において、「蓄電池カートリッジ」については単に「カートリッジ」と称する。
カートリッジ101は、例えば直列接続された所定数の蓄電池のセルをパッケージ化することにより蓄電装置100に対して容易に交換可能としたものである。なお、カートリッジ101における蓄電池のセルは並列に接続されてもよい。
カートリッジ101がこのように構成されることで、例えばユーザは、例えば寿命となったカートリッジ101を蓄電装置100から外して、新品のカートリッジ101を装填して使用することができる。これにより、例えば、蓄電装置100における蓄電池が固定的に取り付けられている場合と比較して、運用における取り扱いやメンテナンスなどが容易になる。
【0026】
蓄電池管理装置200は、家庭内エネルギー管理システム10において蓄電装置100を管理する。本実施形態において、蓄電池管理装置200は、例えばカートリッジ101の交換により蓄電装置100にカートリッジ101が装填されるのに応じて、装填されたカートリッジ101についての劣化パラメータを測定する。
本実施形態において、劣化パラメータは、カートリッジ101が備える蓄電池から測定されるパラメータのうち、蓄電池の劣化に応じて変化する所定のパラメータである。
【0027】
そして、蓄電池管理装置200は、測定した劣化パラメータを含む真贋通知要求を蓄電池管理サーバ300に送信する。蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300は、ネットワーク経由で通信可能に接続されている。
【0028】
蓄電池管理サーバ300は、家庭内エネルギー管理システム10ごとにおける蓄電装置100を管理する。具体的に、蓄電池管理サーバ300は、蓄電池管理装置200から受信した真贋通知要求に応答して、カートリッジ101が純正品であるか否かについて判定する。
ここでの純正品とは、例えば正規のメーカーによって蓄電装置100に装填して使用した際の動作保証が得られているカートリッジ101のことである。
蓄電池管理サーバ300は、純正品であると判定した場合には、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する。一方、蓄電池管理サーバ300は、純正品ではないと判定した場合には、純正品ではないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する。
【0029】
蓄電池管理装置200は、蓄電池管理サーバ300から受信した真贋通知に応じて、蓄電装置100の動作を制御する。つまり、蓄電池管理装置200は、受信した真贋通知が純正品であることを示している場合には、カートリッジ101を交換した後の蓄電装置100について特に制限無く動作させる。
【0030】
一方、蓄電池管理装置200は、受信した真贋通知が純正品ではないことを示している場合には、カートリッジ101を交換した後の蓄電装置100における動作が制限されるように制御する。
このように、本実施形態の蓄電池管理システムは、家庭内エネルギー管理システム10において、サードパーティ製品などの純正品でないカートリッジ101に交換された場合には、蓄電装置100における動作を制限する。これにより、純正品以外の不正なカートリッジ101の使用が防止される。
なお、
図1においては、複数の家庭内エネルギー管理システム10における蓄電装置100を管理する例を示しているが、本実施形態の蓄電池管理システムとしては、例えば1つの家庭内エネルギー管理システム10における蓄電装置100のみを管理するものであってもよい。
【0031】
[劣化パラメータ]
図2乃至
図4を参照して、第1の実施形態における蓄電池管理装置200が測定する劣化特性について説明する。
第1の実施形態において蓄電池管理装置200は、基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方をカートリッジ101に対して行ったときに生じる電圧値(高レート動作電圧値)を劣化パラメータとして測定する。
レートとは、蓄電池に対する充電又は放電のための電流値について、蓄電池の全容量を1時間で充放電する電流値を基準とし、この基準に対する比率によって表したものである。基準の電流値は1Cと表される。従って、例えば2Cは、レートとして基準の2倍の電流値であることを示す。
【0032】
なお、高レート動作電圧値の測定にあたり、基準よりも高いレートにより充電または放電を行う時間は10秒程度、長くとも数分程度でよく、このような短時間であっても真贋判定に十分な情報を得ることができる。
例えば、劣化パラメータの他の例として、他には蓄電池の満充電の状態から所定の放電容量を検出したときまでの期間の電力量なども挙げることができるがこのような電力量を正確に求めるには、比較的長い放電期間が必要である。このために、上記の電力量を真贋判定に利用しようとすると、真贋判定結果を得るための測定にかなり長い時間がかかってしまう。
これに対して、本実施形態においては、測定に要する時間は前述のように非常に短いものであり、これにより、純正品でないカートリッジ101が装填された場合には迅速に使用制限をかけることができる。
【0033】
また、
図2の曲線CV1は、カートリッジ101を所定の基準レートにより充電させていった場合の容量と電圧値の関係を示している。曲線CV1から分かるように、蓄電池の電圧値は、容量が増加していくのに応じて上昇していく。
また、曲線CV11は、基準レートよりも高い所定の第1レートで一定時間にわたり充電させたときに現れる電圧値の変化を示している。このように現れる電圧値が高レート動作電圧値である。
曲線CV12は、基準レートよりも高いが、曲線CV11よりも低い所定の第2レートで同じ一定時間にわたり充電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV13は、基準レートよりも高いが、曲線CV12よりも低い所定の第3レートで一定時間にわたり充電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
【0034】
図3は、曲線CV11、CV12及びCV13として示す高レート動作電圧値について、時間と電圧値の関係により示している。同図に示すように、基準レートより高い第1レート、第2レート、第3レートのそれぞれにより一定時間による充電が行われるのに応じて、電圧値は、期間T1において示すように、基準レートに対応する電圧値よりも大幅に上昇した後、短時間の充電ではほぼ元の電圧値に戻るように変動する。
【0035】
また、
図4の曲線CV2は、カートリッジ101を所定の基準レートにより放電させていった場合の容量と電圧値の関係を示している。曲線CV2から分かるように、基準レートにより放電させていった場合、蓄電池の電圧値は、容量が減少していくのに応じて低下していく。
また、曲線CV21は、対応の放電電流量の下で、基準レートよりも高い所定の第1レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV22は、放電電流量の下で、基準レートよりも高いが、曲線CV21よりも低い所定の第2レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV23は、放電電流量の下で、基準レートよりも高いが、曲線CV22よりも低い所定の第3レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
【0036】
図示は省略するが、放電時における曲線CV21、CV22、CV23としての高レート動作電圧値の時間と電圧値との関係は、
図3の場合とは反対に、或る期間内において、基準レートに対応する電圧値よりも大幅に低下した後、短時間の放電ではほぼ元の電圧値に戻るという状態になる。
【0037】
このように現れる高レート動作電圧値は、例えば、電池性能の確認や試験等に使用される。しかし、例えば同じ充電電流量または放電電流と同じレートの条件であっても、蓄電池の劣化に応じて時間経過に応じた高レート動作電圧値の上昇率やピーク値などの変化パターンが異なり、また、劣化の度合いごとにほぼ変化パターンは決まってくる。つまり、高レート動作電圧値の変化パターンは、蓄電池の劣化の度合いに対応している。従って、高レート動作電圧値については劣化パラメータの1つとして捉えることができる。
【0038】
ここで、蓄電池の劣化パラメータは、一般的には蓄電池の劣化度合いを推定するのに利用される。ここで、蓄電池の劣化度合いは、蓄電池を構成する材料、構造などによって決まってくるため、例えば製品としての仕様に応じて異なることになる。
劣化パラメータである高レート動作電圧値の特性も、カートリッジ101における蓄電池のセルの数や、蓄電池のセルを構成する材料、構造などによって決まることから、カートリッジ101としての仕様ごとに応じて異なってくる。従って、高レート動作電圧値の特性は、カートリッジとしての製品の型に応じて異なってくる。
例えば、サードパーティがカートリッジ101を製造して安価に供給しようとした場合、カートリッジ101のパッケージの形状については蓄電装置100への装填が可能なように形成することができても、コストダウンなどの必要性から内部の蓄電池の材料や構造などを純正品と全く同じように製造することはほぼ不可能である。従って、高レート動作電圧値の特性は、純正品であるカートリッジ101とサードパーティ製品のカートリッジ101とで異なる。つまり、高レート動作電圧値は、カートリッジ101の真贋判定に利用することが可能な劣化パラメータとして利用できる。
【0039】
そこで、第1の実施形態においては、劣化パラメータとして高レート動作電圧値を測定し、測定した高レート動作電圧値に基づいて、装填されたカートリッジ101が純正品であるのか、あるいはサードパーティ製品であるのかを判定する。そして、サードパーティ製品である場合には、蓄電装置100の動作を制限し、サードパーティ製品のカートリッジ101が純正品と同様に使用されることがないようにする。
【0040】
[蓄電池管理装置の機能構成例]
図5は、蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300の機能構成例を示している。
蓄電池管理装置200は、劣化パラメータ測定部201、真贋通知要求送信部202、制限制御部203及び通信部204を備える。
劣化パラメータ測定部201は、蓄電装置100に装填されたカートリッジ101を測定対象として、蓄電池の劣化に応じて変化する所定の劣化パラメータを所定の使用経過タイミングにおいて測定する。
【0041】
前述のように、第1の実施形態において、劣化パラメータ測定部201は、劣化パラメータとして高レート動作電圧値を測定する。
つまり、劣化パラメータ測定部201は、装填されたカートリッジ101を測定対象として、基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電(高レート充電)、放電(高レート放電)の少なくともいずれか一方を実行する。
なお、以降においては、説明の便宜上、第1の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、高レート充電のみを行う場合を例に挙げる。また、第1の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、高レート充電として、1つの所定のレートによる高レート充電を行う。つまり、
図2との対応では、劣化パラメータ測定部201は、第1レート、第2レート、第3レートのうちのいずれか1つのレートを利用して高レート充電を行う。
【0042】
また、第1の実施形態において、劣化パラメータ測定部201は、使用経過タイミングとして、カートリッジ101の使用が開始されるタイミングで劣化パラメータを測定する。つまり、劣化パラメータ測定部201は、交換などによって蓄電装置100に最初にカートリッジ101が装填されたタイミングで劣化パラメータを測定する。
このように最初にカートリッジ101が装填されたタイミングで劣化パラメータを測定して純正品であるか否かの判断を行うことで、装填されたカートリッジ101が純正品でない場合には、装填された直後から迅速に使用制限をかけることができる。
【0043】
ここで、劣化パラメータ測定部201は、例えば、
図3に示した期間T1における電圧値の変化を所定のサンプリング周波数によりサンプルした値を高レート動作電圧値の測定結果としてもよい。あるいは、劣化パラメータ測定部201は、例えば、期間T1における電圧値のピーク値のように、期間T1における所定のタイミングの電圧値を高レート動作電圧値の測定結果としてもよい。前者の場合には、測定結果として多くの情報が得られるため真贋判定の精度が向上する。一方、後者の場合には、測定結果としてのデータ量が抑制されるとともに、これに伴って、測定結果との比較対象である劣化特性情報のデータ量も削減され、さらに真贋判定の処理の負荷を軽減することができる。
【0044】
真贋通知要求送信部202は、劣化パラメータ測定部201が測定した劣化パラメータを含む真贋通知要求を蓄電池管理サーバ300に送信する。真贋通知要求は、今回の交換により装填されたカートリッジ101が純正品であるか否かの判定結果を示す真贋通知を蓄電池管理サーバ300に対して要求するコマンドである。
【0045】
このために、真贋通知要求送信部202は、劣化パラメータ測定部201が測定した劣化パラメータを含めた真贋通知要求を生成する。この際、真贋通知要求送信部202は、純正品のカートリッジ101としての製品の型番などを示す製品識別子も真贋通知要求に含める。
また、真贋通知要求送信部202は、装填されたカートリッジ101について測定されたSOC(充電率:State Of Charge)の情報も含める。
SOCは、例えばOCV(開回路電圧:Open Circuit Voltage)と一義的な関係のあることが知られている。従って、SOCは、装填されたカートリッジ101のOCVを検出し、検出したOCVに基づく所定の演算またはルックアップテーブルの参照などにより特定することができる。なお、SOCの特定は、例えば
図5の構成のもとでは、劣化パラメータ測定部201が測定すればよい。
真贋通知要求送信部202は、生成した真贋通知要求を、通信部204を介して蓄電池管理サーバ300に送信する。
【0046】
制限制御部203は、蓄電池管理サーバ300の真贋判定部304によって純正品ではないと判定されるのに応じて、蓄電装置100の使用が制限されるように所定の制御を実行する。
つまり、制限制御部203は、真贋通知要求の送信に応答して蓄電池管理サーバ300から送信された真贋通知を参照する。真贋通知が純正品であることを示している場合、制限制御部203は、蓄電装置100について通常に動作させる。
【0047】
一方、蓄電池管理サーバ300から受信した真贋通知が純正品ではないことを示している場合には、今回の交換により装填されたカートリッジ101はサードパーティ製品ということになる。そこで、この場合の制限制御部203は、以降において、サードパーティ製品のカートリッジ101が装填されている蓄電装置100が通常に使用できないようにするための制限制御を実行する。
【0048】
本実施形態において、制限制御部203による蓄電装置100の制限制御の態様としては、サードパーティ製品のカートリッジ101が装填された蓄電装置100が通常に使用できないようにされれば、特に限定されるものではない。
制限制御の一例として、制限制御部203は、蓄電装置100の動作を停止させてもよい。この場合において、制限制御部203は、真贋通知が純正品ではないことを示していると認識したのに応じて即座に蓄電装置100の動作を停止させてもよいし、純正品ではないと認識した時点から一定期間を経過したタイミングで蓄電装置100の動作を停止させてもよい。
【0049】
また、制限制御部203は、制限制御として、表示あるいは音声などによって警告を出力するようにしてもよい。この警告の出力の際には、例えば純正品ではないカートリッジ101が装填されているので、純正品への交換を促すようなメッセージを伴うとよい。
このような警告が定常的あるいは一定時間ごとに行われることはユーザにとっては煩わしいために、ユーザは、純正品に取り替えたり動作を停止させるなどの措置をとることになる。これにより、サードパーティ製品のカートリッジ101が装填された蓄電装置100が通常に使用されるのを防止できる。
【0050】
また、制限制御部203は、制限制御として、蓄電装置100の残量が家庭内エネルギー管理システムにおける蓄電装置100の残量の表示を停止したり、残量が不明であることを表示するなどして、ユーザに残量が分からなくなるようにするための制御を実行してもよい。
このように蓄電装置100の残量が分からない状況では、ユーザは蓄電装置100に蓄えられた電力がいつ無くなるのかを知ることができなくなるために、安心して使用することができなくなる。この場合にも、ユーザは、純正品に取り替えたり動作を停止させるなどの措置をとることになる。
【0051】
また、制限制御部203は、制限制御として、一定以上のレートによる充電または放電を伴う用途に使用しようとした場合には蓄電装置100が対応した動作を行わないように動作を制限してもよい。
【0052】
通信部204は、例えばネットワークを介して蓄電池管理サーバ300と通信を実行する。
【0053】
[蓄電池管理サーバの機能構成例]
次に、同じ
図5を参照して蓄電池管理サーバ300の機能構成例について説明する。
同図に示す蓄電池管理サーバ300は、通信部301、劣化パラメータ取得部302、劣化特性情報記憶部303、真贋判定部304及び真贋通知部305を備える。
【0054】
通信部301は、ネットワークを介して蓄電池管理装置200と通信を実行する。
【0055】
劣化パラメータ取得部302は、劣化パラメータを蓄電池管理装置200から通信を介して取得する。
具体的に、劣化パラメータ取得部302は、蓄電池管理装置200から送信され通信部204にて受信された真贋通知を入力し、真贋通知に含まれる劣化パラメータを取得する。また、劣化パラメータ取得部302は、劣化パラメータと併せて、同じ真贋通知に含まれる製品識別子も取得する。
【0056】
劣化特性情報記憶部303は、劣化特性情報を記憶する。劣化特性情報は、カートリッジ101の使用経過における所定のタイミング(使用経過タイミング)における劣化パラメータを示す。劣化特性情報が記憶する劣化パラメータは、試験やシミュレーションなどによって予め求められた純正品のカートリッジ101についての劣化パラメータである。
【0057】
図6は、劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報の構造例を示している。
劣化特性情報記憶部303は、同図に示すように、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、所定の1以上のSOCに対応する高レート動作電圧値を劣化パラメータとして格納した情報である。同図に示す高レート動作電圧値は、製品識別子が示すカートリッジ101について、予めの試験やシミュレーションなどによってSOCごとに求められたものである。
劣化特性情報における製品識別子は、純正品であるカートリッジ101の製品識別子である。同図では、家庭内エネルギー管理システム10において使用されるカートリッジ101としての製品が複数種類あることに対応して、複数の製品識別子ごとに対応する複数の劣化特性情報が示されている。これにより、家庭内エネルギー管理システム10の間で使用するカートリッジ101としての製品が異なる状況に対応して適切に蓄電装置100を管理できる。
また、同図では、100%、90%、80%・・・のように、例えば10%ごとにSOCが区分された例が示されているが、あくまでも一例であり、SOCの区分については適宜変更されてよい。
【0058】
真贋判定部304は、劣化パラメータ取得部302が取得した劣化パラメータと劣化特性情報が示す劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象のカートリッジ101が純正品であるか否かについて判定する。ここで、劣化パラメータ取得部302が取得した劣化パラメータとは、すなわち、蓄電池管理装置200において劣化パラメータ測定部が測定した劣化パラメータである。
【0059】
そのうえで、真贋判定部304は、カートリッジ101の装填に対応して送信された真贋通知要求に対する応答として、劣化パラメータ取得部302が取得した劣化パラメータと劣化特性情報が示す使用開始時の使用経過タイミングに対応する劣化パラメータとを比較する。
本実施形態においては、交換などによって装填されるカートリッジ101は新品である。従って、ここでの使用開始時の使用経過タイミングとは、新品であるカートリッジ101が装填されたタイミングになる。
【0060】
真贋判定部304は、真贋通知要求に含まれていた製品識別子とSOCに対応付けられた高レート動作電圧値を劣化特性情報記憶部303から読み出す。ここで、前述のように交換などによって装填されたカートリッジ101は新品である。従って、カートリッジ101の装填に対応して送信された真贋通知要求が含むSOCは100%を示す。
【0061】
そして、真贋判定部304は、真贋通知要求に含まれていた高レート動作電圧値と、劣化特性情報から読み出した高レート動作電圧値とを比較する。
ここで、真贋通知要求に含まれていた高レート動作電圧値が、劣化特性情報の高レート動作電圧値を基準とする一定の誤差範囲内(例えば劣化特性情報の高レート動作電圧値の10%以内のように定める)であるとの比較結果が得られた場合、測定された高レート動作電圧値は、純正品と同じであるとみてよい。
そこで、この場合の真贋判定部304は、今回の交換によって装填されたカートリッジ101が純正品であると判定する。
【0062】
これに対して、真贋通知要求に含まれていた高レート動作電圧値が、劣化特性情報の高レート動作電圧値を基準とする一定の誤差範囲を越えているとの比較結果が得られた場合、測定された高レート動作電圧値は、純正品と同じではないとみてよい。
そこで、この場合の真贋判定部304は、今回の交換によってカートリッジ101が装填された蓄電装置100の純正品ではないと判定する。
【0063】
真贋通知部305は、真贋判定部304の判定結果を蓄電池管理装置200に通知する。つまり、真贋通知部305は、真贋通知として、真贋判定部304の判定結果を、通信部301を介して蓄電池管理装置200に送信する。
前述のように、蓄電池管理装置200における制限制御部203は、受信した真贋通知が純正品でないことを示している場合には制限制御を実行する。
【0064】
例えば、多くの場合は、上記の説明のように、最初にカートリッジ101が装填された際の真贋判定によって、装填されたカートリッジ101が純正品でない場合には適切に使用を制限することができる。
しかしながら、例えば、サードパーティ製品によっては、新品時の状態での高レート動作電圧値が純正品と同じになる可能性のあることは否定できない。このような場合には、実際にはサードパーティ製品が装填されていても、純正品であると判定されることになり、使用制限がかからない。
【0065】
ここで、
図2及び
図4に示した高レート動作電圧値は、充電電流量あるいは放電電流量に応じて異なる特性を示す。つまり、高レート動作電圧値は、SOCに応じて異なる特性を示す。また、SOCごとの高レート動作電圧値の特性も、例えば蓄電池の材質や構造などに応じてほぼ一義的に決まる。
前述のように、サードパーティ製品では、純正品と同等の仕様であることはないと考えられる。このために、たまたま新品時(SOC=100%)の高レート動作電圧値が同じであるとしても、その後の使用経過に従った放電や保存時間などによりSOCが低下していくことによって、純正品と異なる特性が現れる可能性が高い。
【0066】
そこで、本実施形態においては、最初の装填時の真贋判定により純正品であるとの判定が得られた場合には、その後における所定の使用経過タイミングで、再度、真贋判定を実行する。
このために、劣化パラメータ測定部201は、例えば蓄電装置100が使用されるのに応じて、所定のタイミングで、交換によって装填されたカートリッジ101のSOCを特定する。そして、特定したSOCが、装填時において特定されたSOCに対して一定にまで低下したことを判定したタイミングで、再度、劣化パラメータを測定する。
なお、
図6に示した劣化特性情報のSOCが10%ごとに区分されているのは、SOCが10%低下したことを判定したタイミングで、再度、劣化パラメータを測定するようにした場合に対応させた例である。
そして、真贋通知要求送信部202は、上記のように測定された劣化パラメータを含む真贋通知要求を蓄電池管理サーバ300に送信する。
【0067】
蓄電池管理サーバ300においては、上記のように送信された真贋通知要求の受信に応じて、前述のように、真贋判定部304が真贋判定を実行し、真贋通知部305が真贋判定部304による判定結果を真贋通知として蓄電池管理装置200に送信する。
【0068】
なお、2回目の真贋判定によっても純正品であることの判定結果が得られた場合には、上記と同様の処理によって3回目以降の真贋判定を行うようにしてもよい。
この場合において、真贋判定を実行する回数について特に制限しなくともよいし、真贋判定を実行する回数の上限を定めておいてもよい。一例として、3回目まで真贋判定を行っても純正品であることの判定結果が得られたのであれば、そのカートリッジ101については純正品であると確定してよいことが分かっている場合、真贋判定の上限については3回とする。この場合、3回目の真贋判定によって純正品であることの判定結果が得られた場合、以降においては真贋判定が行われず、通常の動作が継続される。
【0069】
[処理手順例]
図7のフローチャートは、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて、蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が実行する処理手順例を示している。
蓄電池管理装置200において、劣化パラメータ測定部201は、交換により新たにカートリッジ101が蓄電装置100に装填されるのを待機している(ステップS101−NO)。
【0070】
劣化パラメータ測定部201は、カートリッジ101が装填されるのに応じて(ステップS101−YES)、今回装填されたカートリッジ101のSOCを特定する(ステップS102)。SOCの特定にあたり、劣化パラメータ測定部201は、前述のようにOCVを測定し、測定したOCVに対応するSOCを演算またはルックアップテーブルの参照によって特定すればよい。
【0071】
次に、劣化パラメータ測定部201は、今回装填されたカートリッジ101を測定対象として高レート動作電圧値を測定する(ステップS103)。つまり、劣化パラメータ測定部201は、前述のように、基準より高い所定のレートによって一定時間(例えば10秒程度)の充電を測定対象のカートリッジ101に対して行い、このときの電圧値を測定する。
【0072】
次に、劣化パラメータ測定部201は、ステップS103にて測定した高レート動作電圧値を含む真贋判定要求を生成する(ステップS104)。ここで、劣化パラメータ測定部201は、ステップS104にて真贋判定要求を生成するにあたり、ステップS102にて特定したSOCと、蓄電装置100での動作が保証されている純正品のカートリッジ101の製品識別子も含める。
【0073】
次に、真贋通知要求送信部202は、ステップS104により生成された真贋判定要求を、通信部204を介して蓄電池管理サーバ300に送信する(ステップS105)。
通信部204は、真贋判定要求に対する応答として蓄電池管理サーバ300が送信した真贋判定通知を受信する(ステップS106)。
【0074】
制限制御部203は、ステップS106にて受信した真贋通知が純正品であることを示しているか否かについて判定する(ステップS107)。
純正品でないことが示されている場合(ステップS107−NO)、制限制御部203は、所定の制限制御を実行する(ステップS108)。制限制御としては、例えば先に例示した制御のうちのいずれを実行してもよい。
一方、純正品であることが示されている場合、制限制御部203は、ステップS108の処理を特に実行することなく、同図に示す処理を終了する。この場合、蓄電装置100の使用について特に制限はかけられない。
【0075】
また、蓄電池管理サーバ300において、劣化パラメータ取得部302は、ステップS105によって送信された真贋通知要求から、劣化パラメータである高レート動作電圧値とともに、SOC、製品識別子を取得する(ステップS201)。
【0076】
真贋判定部304は、ステップS201により取得した高レート動作電圧値と、劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報に格納された高レート動作電圧値とを比較する(ステップS202)。
この際、真贋判定部304は、ステップS201により取得した高レート動作電圧値との比較対象として、ステップS201により取得した製品識別子とSOCに対応付けられた高レート動作電圧値を選択する。
【0077】
真贋判定部304は、ステップS202による比較結果として、ステップS201により取得した高レート動作電圧値が、劣化特性情報の高レート動作電圧値を基準とする一定の誤差範囲内に収まっているか否かについて判定する(ステップS203)。
一定の誤差範囲内に収まっている場合(ステップS203−YES)、真贋通知部305は、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS204)。
一方、一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203−NO)、真贋通知部305は、純正品でないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS205)。
【0078】
また、
図8のフローチャートを参照して、前回の真贋判定の結果が純正品であることを示していた場合に、次の真贋判定を実行するにあたって蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が実行する処理手順例について説明する。
また、同図において
図7と同様となる処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
蓄電池管理装置200において、劣化パラメータ測定部201は、蓄電装置100の使用に応じた所定のタイミングでカートリッジ101のSOCを特定する(ステップS111)。このときに、劣化パラメータ測定部201がSOCの特定対象とするカートリッジ101は、1回目の真贋判定において劣化パラメータの測定対象となっているカートリッジ101である。
【0080】
劣化パラメータ測定部201は、ステップS111にて特定したSOCが、前回の真贋判定時のSOCから一定値低下したか否かについて判定する(ステップS112)。具体的には、例えば劣化パラメータ測定部201は、ステップS111にて特定したSOCが、前回の真贋判定時のSOCから10%の低下を示した状態となったか否かについて判定する。
【0081】
特定したSOCが前回の真贋判定時のSOCに対して一定値にまで低下していない場合(ステップS112−NO)、劣化パラメータ測定部201は、ステップS111に戻り、蓄電装置100の使用に応じた所定のタイミングでカートリッジ101のSOCを特定する。
【0082】
そして、特定したSOCが前回の真贋判定時のSOCから一定値低下したのであれば(ステップS112−YES)、
図7と同様のステップS103〜S108までの処理が実行される。
また、蓄電池管理サーバ300は、ステップS105による真贋通知要求の送信に応答して、
図7と同様のステップS201〜S205の処理を実行する。
【0083】
なお、第1の実施形態において、1回目の真贋判定によってほぼ全てのサードパーティ製品に対応して的確に純正品でないとの判定結果が得られることが分かっている状況であれば、
図8に例示したような2回目以降の真贋判定の処理は省略してもよい。この場合、1回目の真贋判定に際して装填されるカートリッジ101が新品であることを前提として、劣化特性情報としては、100%のSOCに対応した高レート動作電圧値のみでよい。
【0084】
また、上記の例では、2回目以降の真贋判定のタイミングについては、前回の真贋判定時に対応して測定されたSOCから一定値低下したタイミングとしているが、これに限定されない。
一例として、例えば前回の真贋判定から一定の充放電サイクルが完了したタイミングや、保存時間が経過したタイミングなどを次の真贋判定タイミングとしてもよい。
このような場合には、例えば充放電サイクル回数に応じた劣化によりSOCの特性も変化するので、蓄電池管理装置200の真贋通知要求送信部202は、例えば充放電サイクル回数、保存時間、SOH(State Of Health)などのうちのいずれか1つのように、劣化度合いを示す所定の指標も真贋通知要求に含めて送信すればよい。
また、蓄電池管理サーバ300は、劣化特性情報として、製品識別子ごとに、指標が示す劣化度合いに応じた高レート動作電圧値を格納する。そして、真贋判定部304は、劣化特性情報から、真贋通知要求に含まれていた製品識別子、劣化度合い、SOCに対応付けられた高レート動作電圧値を比較対象とすればよい。
【0085】
<第2の実施形態>
[概要]
続いて、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態において、1回の真贋判定に対応して高レート動作電圧値を測定するにあたっては、例えば、第1レートのみによる1つのレートにより1つの高レート動作電圧値を測定していた。
これに対して、第2の実施形態においては、劣化パラメータ測定部201が1回の真贋判定に対応して高レート動作電圧値を測定するにあたり、異なる複数のレートごとに対応した複数の高レート動作電圧値を測定する。そして、真贋判定部304が真贋判定を行うにあたっては、測定された複数の高レート動作電圧値のそれぞれについて、劣化特性情報の高レート動作電圧値と比較するというものである。
【0086】
ここで、純正品であるカートリッジ101とサードパーティ製品であるカートリッジ101とで、或る1つのレートに対応した高レート動作電圧値が同じである場合を例に挙げる。この場合、上記の1つのレートにより測定した高レート動作電圧値により真贋判定が行われた場合には、サードパーティ製品であっても純正品であると判定されてしまう。
しかし、1つのレートに対応した高レート動作電圧値が同じであっても、他のレートに対応する高レート動作電圧値までもが同じである可能性は著しく低下する。従って、複数のレートに対応した複数の高レート動作電圧値を測定し、これら複数の高レート動作電圧値のそれぞれを劣化特性情報の高レート動作電圧値と比較して真贋判定を行うようにすれば、真贋判定の精度を向上させることが可能になる。
【0087】
[劣化特性情報の構造例]
図9は、第2の実施形態に対応して蓄電池管理サーバ300の劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報の構造例を示している。
同図に示す劣化特性情報は、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、SOCごとに第1レート対応高レート動作電圧値、第2レート対応高レート動作電圧値、第3レート対応高レート動作電圧値が対応付けられた構造である。
【0088】
第1レート対応高レート動作電圧値は、
図2及び
図4にて説明した第1レートにより一定時間の充電又は放電を行った場合の高レート動作電圧値である。第2レート対応高レート動作電圧値は、第2レートにより一定時間の充電又は放電を行った場合の高レート動作電圧値である。第3レート対応高レート動作電圧値は、第3レートにより一定時間の充電又は放電を行った場合の高レート動作電圧値である。
【0089】
[処理手順例]
図10のフローチャートを参照して、第2の実施形態における蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて実行する処理手順例について説明する。なお、同図において、
図7と同様となる処理については同一符号を付している。
【0090】
蓄電池管理装置200における劣化パラメータ測定部201は、カートリッジ101が装填されるのに応じて(ステップS101−YES)、装填されたカートリッジ101のSOCを特定する(ステップS102)。
続いて、劣化パラメータ測定部201は、今回装填されたカートリッジ101を測定対象として、第1レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−1)。
次に、劣化パラメータ測定部201は、ステップS103−1のときと同じ測定対象のカートリッジ101に対して第2レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−2)。
次に、劣化パラメータ測定部201は、同じ測定対象のカートリッジ101に対して第3レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−3)。
このように、第2の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、第1レート、第2レート、第3レートのそれぞれに対応する高レート動作電圧値を測定するための処理を順次実行する。
なお、上記のステップS103−1、S103−2、S103−3の間での処理の順序は適宜変更されてよい。
【0091】
次に、真贋通知要求送信部202は、ステップS103−1、S103−2、S103−3により測定された第1レート、第2レート、第3レートのそれぞれに対応する高レート動作電圧値を含む真贋判定要求を生成する(ステップS104A)。この際にも、真贋通知要求送信部202は、ステップS102にて特定したSOCと、蓄電装置100が対応する純正品のカートリッジ101の製品に対応する製品識別子についても真贋判定要求に含める。
続くステップS105〜S108の処理は、
図7と同様である。
【0092】
蓄電池管理サーバ300において、劣化パラメータ取得部302は、通信部301が受信した真贋判定要求から、第1レート、第2レート、第3レートのそれぞれに対応する高レート動作電圧値とともに、SOCと製品識別情報を取得する(ステップS201A)。
【0093】
次に、真贋判定部304は、ステップS201Aにより取得した第1〜第3レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第1〜第3レート対応高レート動作電圧値とをそれぞれ比較する(ステップS202A)。
このために、真贋判定部304は、劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報から、ステップS201Aにて取得した製品情報とSOCに対応付けられた3つの第1レート対応高レート動作電圧値、第2レート対応高レート動作電圧値、第3レート対応高レート動作電圧値を取得する。
そして、真贋判定部304は、ステップS201Aにより取得した第1レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第1レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
また、真贋判定部304は、第2レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第2レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
また、真贋判定部304は、第3レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第3レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
【0094】
真贋判定部304は、上記のステップS202Aによる比較結果について、その全てが一定の誤差範囲内であるか否かについて判定する(ステップS203A)。
3つの比較結果の全てが一定の誤差範囲内である場合、真贋判定部304は、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS204)。
一方、3つの比較結果のうちの少なくとも1つが一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203A−NO)、真贋判定部304は、純正品でないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS205)。
【0095】
なお、第2の実施形態において2回目以降の真贋判定を行う場合、蓄電池管理装置200は、ステップS112(
図8)により、ステップS111にて測定したSOCが前回の真贋判定時に対して一定以下にまで低下したことが判定されるのに応じて、
図10のステップS103−1からS108までの処理を実行すればよい。
また、第2の実施形態において、蓄電池管理装置200の真贋通知要求送信部202は、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値を測定するごとに順に蓄電池管理サーバ300に送信してもよい。この場合、真贋通知要求送信部202は、真贋判定要求について、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値とは別に蓄電池管理サーバ300に送信してもよいし、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値のいずれかと共に送信するようにしてもよい。
【0096】
<第3の実施形態>
[概要]
上記の第1の実施形態と第2の実施形態においては、高レート動作電圧値を劣化パラメータとして使用している。本実施形態における劣化パラメータは、高レート動作電圧値に限定されない。すなわち、本実施形態の真贋判定に適用すべき劣化判定手法は、高レート動作電圧値を利用した手法に限定されない。
一例として、第3の実施形態により、カートリッジ101の内部抵抗値を劣化パラメータとして使用する例について説明する。
【0097】
図11に示す曲線CV31、CV32、CV33は、それぞれ、異なる劣化度合いにおけるOCVとSOCの関係を示している。曲線CV31が最も劣化度合いが少なく、次いで、曲線CV32、CV33の順で劣化度合いが進行している。
OCVとSOCは、同じ劣化度合いでは一意となる関係である。しかし、
図11において破線で示すように、同じSOCに対応するOCVは曲線CV31、CV32、CV33で異なる。これは、蓄電池が使用されていくのに応じて内部抵抗値が増加していくことに起因する。つまり、蓄電池の内部抵抗値は蓄電池の劣化度合いを示す劣化パラメータである。
【0098】
[劣化特性情報の構造例]
図12は、第3の実施形態に対応して劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報の構造例を示している。
同図に示す劣化特性情報は、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、所定の1以上のSOCに対応する内部抵抗値を劣化パラメータとして格納した情報である。
【0099】
[処理手順例]
図13のフローチャートは、第3の実施形態における蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて実行する処理手順例について説明する。なお、同図において、
図7と同様となる処理については同一符号を付している。
蓄電池管理装置200における劣化パラメータ測定部201は、高レート動作電圧値を測定するのに代えて、内部抵抗値を測定する(ステップS103B)。内部抵抗値の測定には、例えば、交流インピーダンス法に従って、例えばポテンショガルバノスタットを利用して測定することができる。
また、真贋通知要求送信部202は、ステップS103Bにより測定された内部抵抗値とともに、ステップS102により特定したSOCと、製品識別子とを含む真贋判定要求を生成する(ステップS104B)。
以降のステップS105〜S108の処理は、
図7と同様でよい。
【0100】
蓄電池管理サーバ300において、劣化パラメータ取得部302は、通信部301が受信した真贋判定要求から、内部抵抗値とともに、SOCと製品識別情報を取得する(ステップS201B)。
【0101】
次に、真贋判定部304は、ステップS201Bにより取得した内部抵抗値と、劣化特性情報における内部抵抗値とを比較する(ステップS202B)。この際、真贋判定部304は、劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報から、ステップS201Bにて取得した製品情報とSOCに対応付けられた内部抵抗値を比較対象とする。
【0102】
真贋判定部304は、ステップS202Bによる比較結果として、ステップS201Bにより取得した内部抵抗値が、劣化特性情報の内部抵抗値を基準とする一定の誤差範囲内に収まっているか否かについて判定する(ステップS203B)。
一定の誤差範囲内に収まっている場合(ステップS203−YES)、真贋通知部305は、純正品であることを示す真贋通知を送信する(ステップS204)。一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203−NO)、真贋通知部305は、純正品でないことを示す真贋通知を送信する(ステップS205)。
【0103】
なお、変形例として、蓄電池管理サーバ300による真贋判定のための機能を家庭内エネルギー管理システム10内に設けることで、本実施形態における蓄電池管理システムとしての機能が家庭内エネルギー管理システム10内で完結するように構成してもよい。
【0104】
また、これまでの説明では、カートリッジ101は、家庭内エネルギー管理システムにおける蓄電装置に装填される場合を例に挙げたが、BEMS(Building Energy Management System)やTEMS(Town Energy Management System)などの他のエネルギー管理システムの他、例えば電気自動車やハイブリッド型の自動車などに搭載される蓄電池にも適用できる。
【0105】
なお、上述の蓄電池管理装置200又は蓄電池管理サーバ300の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の蓄電池管理装置200又は蓄電池管理サーバ300の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。